説明

天井吊下型防振具

【課題】少ない構成部材でコンパクト化が図れ、安全率を考慮したコイルばねを用いて、被吊持体の高さ及び水平調整を容易にする。
【解決手段】天井側から吊下された上側吊りボルト4を取り付ける上側取付部11と、被吊持体を吊持する下側吊りボルト5を取り付ける下側取付部12と、上側取付部と下側取付部を連結する垂直部13とからなるハウジング10と、上側取付部に装着される貫通孔20aを有する上部ゴム座20と、一端が上部ゴム座20に取着されるコイルばね30と、コイルばねの他端に取着される貫通孔40aを有する座金付き下部ゴム座40と、上部ゴム座とコイルばね及び座金付き下部ゴム座を貫通する上側吊りボルトの先端ねじ部4aにねじ結合される固定ナット50a,50bと、を具備し、ハウジングの垂直部に、座金付き下部ゴム座の位置が確認可能な縦長窓孔60を設け、該縦長窓孔の上下方向の開口縁に荷重確認用の目盛り70を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば空調機器や配管ダクト等の天井吊下型の機器を吊り下げる天井吊下型防振具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば空調機器や配管ダクト等の天井吊下型の機器を吊り下げる天井吊下型防振構造として、天井側支持部から吊り下げられた上側吊持材と、例えば空調機器等の被吊持体を吊持する下側吊持材とを取り付けるハウジングと、該ハウジングの上側取付部に装着される貫通孔を有する上部ゴム座と、一端が前記上部ゴム座に取着されるコイルばねと、該コイルばねの他端に取着される貫通孔を有する座金付き下部ゴム座と、前記上部ゴム座とコイルばね及び座金付き下部ゴム座を貫通する前記上側吊持材の先端ねじ部にねじ結合される固定ナットと、を具備する構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の構造によれば、少ない部品点数でコンパクト化でき、天井側支持部と被吊持体との間で振動が伝わることを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−141013号公報(図1,図6,図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コイルばねを具備するこの種の防振構造においては、被吊持体の重量に応じて特にコイルばねの安全率を考慮して設計されている。
【0006】
特許文献1に記載のものにおいては、組付け作業時には、作業者はハウジングの開放側からスパナ等の工具をもってナットを締め付け、その締め付け量で被吊持体が水平となるように高さ調整している。また、被吊持体を複数箇所で吊持する場合、被吊持体の重心位置は中央でない場合が多く、かつ、各所への負荷荷重は一定でないため、各防振具に均一に荷重がかからないので、各防振具で被吊持体の高さ調整を行っている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のものにおいては、作業者の目視や水平器(水準器)を用いてナットを締め付けて被吊持体の水平を調整するため、複数の防振具を調整して被吊持体の水平を得ることは容易でない。しかも、組み付け時の防振具の向きは一定でないため、ハウジングの開口側が被吊持体側に向き、垂直部が外部側に位置した場合には、更に被吊持体を水平に調整することが難しくなり、作業性が低下する懸念がある。
【0008】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、少ない構成部材でコンパクト化が図れると共に、安全率を考慮したコイルばねを用いて、異なる負荷荷重によるたわみによって生じた被吊持体の高さ違いの水平調整を容易に行えるようにした天井吊下型防振具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明は、天井側支持部から吊り下げられた上側吊持材を取り付ける上側取付部と、被吊持体を吊持する下側吊持材を取り付ける下側取付部と、前記上側取付部及び下側取付部の対向する側辺同士を連結する垂直部とからなるハウジングと、前記上側取付部に設けられた取付孔に装着される貫通孔を有する上部ゴム座と、一端が前記上部ゴム座に取着されるコイルばねと、前記コイルばねの他端に取着される貫通孔を有する座金付き下部ゴム座と、前記上部ゴム座とコイルばね及び座金付き下部ゴム座を貫通する前記上側吊持材の先端ねじ部にねじ結合される固定ナットと、を具備する天井吊下型防振具であって、前記ハウジングの垂直部に、前記座金付き下部ゴム座の位置が確認可能な縦長窓孔を設けると共に、該縦長窓孔の上下方向の開口縁に荷重確認用の目盛りを形成してなる、ことを特徴とする(請求項1)。
【0010】
このように構成することにより、被吊持体の組付け時のナットの締め付け量に応じて移動する座金付き下部ゴム座を縦長窓孔から目視できると共に、座金付き下部ゴム座の位置を荷重確認用の目盛りによって確認することができる。
【0011】
この発明において、前記上側取付部及び下側取付部と前記垂直部とを屈曲形成し、屈曲部に跨って切欠きを形成すると共に、前記屈曲部における前記上側取付部及び下側取付部の両側辺と前記垂直部の両側辺に補強リブを形成するのが好ましい(請求項2)。
【0012】
このように構成することにより、ハウジングの曲げ加工を容易にすると共に、縦長窓孔を設けたハウジングの強度を向上させることができる。
【0013】
また、この発明において、前記上側取付部及び下側取付部は、中央に取付孔を有する板状基部と、該板状基部の一辺から水平方向に延在する三角状突出部とで形成され、前記垂直部は、前記上側取付部及び下側取付部の前記三角状突出部の二辺から屈曲され、前記三角状突出部の先端側の屈曲部に跨って切欠きが設けられると共に、前記屈曲部における前記三角状突出部の二辺と前記垂直部の両側辺に補強リブが形成され、かつ、前記垂直部における前記上側取付部及び下側取付部の三角状突出部の先端同士を結ぶ線上に前記縦長窓孔が設けられ、該縦長窓孔の上下方向の開口縁の両側に前記荷重確認用の目盛りを形成するのが好ましい(請求項3)。
【0014】
このように構成することにより、板状基部の先端側及び左右側方が開口され、三角状突出部の二辺に垂直部が屈曲されるので、ハウジングの開放側を広くすることができると共に、垂直部の強度を高めることができる。また、屈曲部に跨って切欠きが設けられ、屈曲部における三角状突出部の二辺と垂直部の両側辺に補強リブが形成されるので、ハウジングの曲げ加工を容易にすると共に、縦長窓孔を設けたハウジングの強度を向上させることができる。更に、垂直部における上側取付部及び下側取付部の三角状突出部の先端同士を結ぶ線上に縦長窓孔を設け、該縦長窓孔の上下方向の開口縁の両側に荷重確認用の目盛りを形成することにより、荷重確認用の目盛りを確認する範囲を広くすることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0016】
(1)請求項1記載の発明によれば、ハウジングの垂直部に設けた縦長窓孔及び荷重確認用の目盛りによって確認することができるので、少ない構成部材でコンパクト化が図れると共に、安全率を考慮したコイルばねを用いて、異なる負荷荷重によるたわみによって生じた被吊持体の高さ違いの水平調整を容易に行うことができ、組付け作業性の向上を図ることができる。
【0017】
(2)請求項2記載の発明によれば、ハウジングの曲げ加工を容易にすると共に、縦長窓孔を設けたハウジングの強度を向上させることができるので、上記(1)に加えて更にハウジングの肉厚を薄くでき、ハウジングのコンパクト化が図れる。
【0018】
(3)請求項3記載の発明によれば、ハウジングの開放側を広くすることができるので、被吊持体の高さ調整及び水平調整作業を容易にすることができる。また、垂直部の強度を高めることができる上、ハウジングの曲げ加工を容易にすると共に、縦長窓孔を設けたハウジングの強度を向上させることができるので、上記(1)に加えて更にハウジングの肉厚を薄くでき、ハウジングのコンパクト化及び軽量化が図れる。更に、垂直部における上側取付部及び下側取付部の三角状突出部の先端同士を結ぶ線上に縦長窓孔を設け、該縦長窓孔の上下方向の開口縁の両側に荷重確認用の目盛りを形成することで、荷重確認用の目盛りを確認する範囲を広くすることができるので、上記(1)に加えて更に被吊持体の高さ調整及び水平調整作業を容易に行うことができ、組付け作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係る天井吊下型防振具の使用状態の一例を示す概略斜視図である。
【図2】図1のI部を拡大して示す斜視図である。
【図3】この発明に係る天井吊下型防振具の使用状態を示す側面図(a)及び(a)のII矢視図(b)である。
【図4】この発明におけるハウジングを示す斜視図である。
【図5】この発明における上部ゴム座、コイルばね及び座金付き下部ゴム座の半部を断面で示す分解側面図である。
【図6】この発明に係る天井吊下型防振具を用いた被吊持体の組付け手順を示す概略側面図である。
【図7】この発明に係る天井吊下型防振具の別の使用状態の一例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、この発明に係る天井吊下型防振具の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は、この発明に係る天井吊下型防振具1(以下に防振具1という)を4個用いて被吊持体例えば空調機器2の角部の4箇所を吊持する場合の使用状態を示す概略斜視図である。
【0022】
上記防振具1は、図1ないし図3に示すように、天井側支持部3から吊り下げられた上側吊持材である上側吊りボルト4を取り付ける上側取付部11と、被吊持体である空調機器2を吊持する下側吊持材である下側吊りボルト5を取り付ける下側取付部12と、上側取付部11及び下側取付部12の対向する側辺同士を連結する垂直部13とからなるハウジング10と、上側取付部11に設けられた取付孔11aに装着される貫通孔20aを有する上部ゴム座20と、一端が上部ゴム座20に取着されるコイルばね30と、コイルばね30の他端に取着される貫通孔40aを有する座金付き下部ゴム座40と、上部ゴム座20とコイルばね30及び座金付き下部ゴム座40を貫通する上側吊りボルト4の先端ねじ部4aにねじ結合される2個の固定ナット50a,50bと、を具備している。また、ハウジング10の垂直部13には、座金付き下部ゴム座40の位置が確認可能な縦長窓孔60が設けられると共に、縦長窓孔60の上下方向の開口縁に荷重確認用の目盛り70が形成されている。
【0023】
上記ハウジング10は、上側取付部11及び下側取付部12と垂直部13とが、鋼板の曲げ加工によって一体に形成されている。この場合、図3及び図4に示すように、上側取付部11及び下側取付部12が、中央に取付孔11a,12aを有する矩形状の板状基部14と、該板状基部14の一辺から水平方向に延在する三角状突出部15とで形成されている。また、垂直部13は、上側取付部11及び下側取付部12の三角状突出部15の二辺から屈曲形成され、三角状突出部15の先端側の屈曲部16に跨って切欠き17が設けられると共に、屈曲部16における三角状突出部15の二辺と垂直部13の両側辺に左右一対の三角形状の補強リブ18が形成されている。更に、垂直部13における上側取付部11及び下側取付部12の三角状突出部15の先端同士を結ぶ線上に縦長窓孔60が設けられ、該縦長窓孔60の上下方向の開口縁の両側に荷重確認用の目盛り70が形成されている。この場合、目盛り70は、縦長窓孔60の上端縁から縦長窓孔60の下端縁より下方側に等間隔に形成されている。
【0024】
また、目盛り70の上から3番目の目盛り70は他の目盛り70より太く形成されており、この3番目の目盛り70によってコイルばね30のたわみ量の上限位置を確認できるようになっている。これにより、座金付き下部ゴム座40の下端が3番目の目盛り70より上方に位置している場合は、防振具1に過剰に負荷がかかっているので、座金付き下部ゴム座40の下端が3番目の目盛り70より下方に位置しているかを監視することで、防振具の適正状態を確認することができる。
【0025】
このように形成されるハウジング10によれば、板状基部14の先端側及び左右側方が開口され、三角状突出部15の二辺に垂直部13が屈曲されるので、ハウジング10の開放側を広くすることができると共に、垂直部13の強度を高めることができる。また、屈曲部16に跨って切欠き17が設けられ、屈曲部16における三角状突出部15の二辺と垂直部13の両側辺に補強リブ18が形成されるので、ハウジング10の曲げ加工を容易にすると共に、縦長窓孔60を設けたハウジング10の強度を向上させることができる。更に、垂直部13における上側取付部11及び下側取付部12の三角状突出部15の先端同士を結ぶ線上に縦長窓孔60を設け、該縦長窓孔60の上下方向の開口縁の両側に荷重確認用の目盛り70を形成することにより、荷重確認用の目盛り70を確認する範囲を広くすることができる。
【0026】
上記上部ゴム座20は、例えばクロロプレインゴムにて形成されており、図5に示すように、上側取付部11の上面に係止する円板状の上部係止部21と、上側取付部11の下面に係止する上部係止部21よりも大径の円板状の下部係止部22と、これら上下係止部21,22の間に形成された上部係止部21よりも外径の小さい円板状の嵌合部23と、上部係止部21の上面に隆起する截頭円錐状の上部テーパ部24と、下部係止部22の下面から垂下する円柱状のばね受け部25と、ばね受け部25の下面から垂下する逆截頭円錐状の下部テーパ部26とからなり、中心部には上側吊りボルト4が挿通可能な上下方向に延びる貫通孔20aが設けられている。
【0027】
このように形成された上部ゴム座20の上部テーパ部24を、下方から上側取付部11の取付孔11aに挿入すると、上部テーパ部24及び上部係止部21が圧縮変形して取付孔11aから上側取付部11の上面側に突出した後、元の形状に復元する。これにより、嵌合部23が取付孔11aに嵌合し、上側取付部11が上部係止部21と下部係止部22との間に挟持されて、上部ゴム座20は上側取付部11に取着される。
【0028】
なお、ばね受け部25はコイルばね30の内径よりも若干大径に形成されている。このため、コイルばね30の上側の端部に下部テーパ部26及びばね受け部25を挿入すると、コイルばね30の螺旋状内周部がばね受け部25に食い込んで、コイルばね30が上部ゴム座20を介して上側取付部11に固定される。
【0029】
上記座金付き下部ゴム座40は、例えばクロロプレインゴムにて形成されるゴム座本体41と、ゴム座本体41の下面に装着される平座金42とを具備する。この場合、ゴム座本体41は、図5に示すように、略扁平円柱状のナット受け部43とナット受け部43の上面から上方に延在する円柱状のばね受け部44と、ばね受け部44の上面に隆起する截頭円錐状のテーパ部45とからなり、中心部には上側吊りボルト4が挿通可能な上下方向に延びる貫通孔40aが設けられている。
【0030】
ナット受け部43には、下方に開口する円形凹部46が形成されており、この円形凹部46の内周壁には周溝47が周設されており、この周溝47内に平座金42が嵌挿されている。
【0031】
なお、ばね受け部44はコイルばね30の内径よりも若干大径に形成されている。このため、コイルばね30の下側の端部にテーパ部45及びばね受け部44を挿入すると、コイルばね30の螺旋状内周部がばね受け部44に食い込んで、コイルばね30が座金付き下部ゴム座40を介して上側取付部11に固定される。
【0032】
上記ハウジング10の下側取付部12に設けられた取付孔12aには、上方から下側吊りボルト5が挿入され、下側吊りボルト5の突出側ねじ部5aには平座金52を介して2個の固定ナット51a,51bがねじ結合されるようになっている。
【0033】
次に、防振具1の取付手順について、図6を参照して説明する。まず、図6(a)に示すように、上側吊りボルト4を上方から上部ゴム座20の貫通孔20a、コイルばね30の螺旋状内方及び座金付き下部ゴム座40の貫通孔40aの順に挿通し、座金付き下部ゴム座40の下面から突出する上側吊りボルト4の先端ねじ部4aに固定ナット50a,50bをねじ結合させる。このとき、固定ナット50a,50bは上側吊りボルト4の先端のねじ部4aが2〜3山覗く程度にする。
【0034】
上記のようにして、上側吊りボルト4の先端ねじ部4aに固定ナット50a,50bをねじ結合させることで、天井側支持部3から吊り下げられた上側吊りボルト4によって防振具1が吊持される。この状態で、ハウジング10の下側取付部12の取付孔12aに予め挿入された下側吊りボルト5の突出側の先端ねじ部5aに平座金52を介して固定ナット51a,51bをねじ結合しておく。そして、図6(b)に示すように、空調機器2の角部から突設されたブラケット6に設けられた二又部6aを下側取付部12の下面と平座金52との間に挿入し、二又部6a内に下側吊りボルト5を挿入した後、固定ナット51a,51bを締め付けて、防振具1とブラケット6とを固定する(図6(c)参照)。
【0035】
このようにして、空調機器2の4箇所に突設されたブラケット6をそれぞれ防振具1に固定して、4本の上側吊りボルト4を介して天井側支持部3の下方に仮吊持する。この状態で、作業者は各防振具1に設けられた縦長窓孔60と、該縦長窓孔60の上下方向の開口縁の両側に形成された荷重確認用の目盛り70を見ながら上側吊りボルト4の先端ねじ部4aにねじ結合する固定ナット50a,50bの締め付け量を調整して、異なる負荷荷重によるたわみによって生じた空調機器2の高さ(傾き)を調整して空調機器2を水平にする。
【0036】
上記実施形態の防振具1によれば、ハウジング10の垂直部13に設けた縦長窓孔60及び荷重確認用の目盛り70によって確認することができるので、少ない構成部材でコンパクト化が図れると共に、安全率を考慮したコイルばね30を用いて、異なる負荷荷重によるたわみによって生じた空調機器2の高さ違いの水平調整を容易に行うことができ、組付け作業性の向上を図ることができる。
【0037】
また、ハウジング10の開放側を広くすることができるので、空調機器2の高さ及び水平調整作業を容易にすることができる。また、垂直部13の強度を高めることができる上、ハウジング10の曲げ加工を容易にすると共に、縦長窓孔60を設けたハウジング10の強度を向上させることができるので、更にハウジング10の肉厚を薄くでき、ハウジング10のコンパクト化が図れる。更に、垂直部13における上側取付部11及び下側取付部12の三角状突出部15の先端同士を結ぶ線上に縦長窓孔60を設け、該縦長窓孔60の上下方向の開口縁の両側に荷重確認用の目盛り70を形成することで、荷重確認用の目盛り70を確認する範囲を広くすることができるので、更に空調機器2の高さ及び水平調整作業を容易に行うことができ、組付け作業性の向上を図ることができる。
【0038】
なお、上記実施形態では、この発明に係る防振具1を空調機器2の吊持用に適用した場合について説明したが、被吊持体は必ずしも空調機器2だけではなく、その他の被吊持体であってもよい。例えば、図7に示すように、天井側支持部3から吊り下げられる上側吊りボルト4に取り付けられた防振具1の下側取付部12に取り付けられる下側吊りボルト5Aによって配管ダクト2Aを吊持する場合にも同様に適用できる。この場合、配管ダクト2Aを保持する保持バンド7に下側吊りボルト5の先端ねじ部5aをねじ結合して、配管ダクト2Aを吊持する。
【0039】
また、上記実施形態では、ハウジング10が矩形状の板状基部14と、該板状基部14の一辺から水平方向に延在する三角状突出部15とで形成され、垂直部13は、上側取付部11及び下側取付部12の三角状突出部15の二辺から屈曲形成される場合について説明したが、ハウジング10の形状は必ずしもこの形状に限定されるものではない。例えば、板状基部の先端を円弧状に形成してもよい。また、ハウジング10は、上側取付部11及び下側取付部12と垂直部13とが屈曲形成され、屈曲部16に跨って切欠き17が形成されると共に、屈曲部16における上側取付部11及び下側取付部12の両側辺と垂直部13の両側辺に補強リブ18が形成されるものであれば、その他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 防振具
2 空調機器(被吊持体)
2A 配管ダクト(被吊持体)
3 天井側支持部
4 上側吊りボルト(上側吊持材)
4a ねじ部
5,5A 下側吊りボルト(下側吊持材)
5a ねじ部
10 ハウジング
11 上側取付部
11a 取付孔
12 下側取付部
12a 取付孔
13 垂直部
14 板状基部
15 三角状突出部
16 屈曲部
17 切欠き
18 補強リブ
20 上部ゴム座
20a 貫通孔
30 コイルばね
40 座金付き下部ゴム座
40a 貫通孔
41 ゴム座本体
42 平座金
50a,50b 固定ナット
51a,51b 固定ナット
60 縦長窓孔
70 荷重確認用目盛り


【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井側支持部から吊り下げられた上側吊持材を取り付ける上側取付部と、被吊持体を吊持する下側吊持材を取り付ける下側取付部と、前記上側取付部及び下側取付部の対向する側辺同士を連結する垂直部とからなるハウジングと、
前記上側取付部に設けられた取付孔に装着される貫通孔を有する上部ゴム座と、
一端が前記上部ゴム座に取着されるコイルばねと、
前記コイルばねの他端に取着される貫通孔を有する座金付き下部ゴム座と、
前記上部ゴム座とコイルばね及び座金付き下部ゴム座を貫通する前記上側吊持材の先端ねじ部にねじ結合される固定ナットと、を具備する天井吊下型防振具であって、
前記ハウジングの垂直部に、前記座金付き下部ゴム座の位置が確認可能な縦長窓孔を設けると共に、該縦長窓孔の上下方向の開口縁に荷重確認用の目盛りを形成してなる、
ことを特徴とする天井吊下型防振具。
【請求項2】
請求項1記載の天井吊下型防振具において、
前記上側取付部及び下側取付部と前記垂直部とが屈曲形成され、屈曲部に跨って切欠きが形成されると共に、前記屈曲部における前記上側取付部及び下側取付部の両側辺と前記垂直部の両側辺に補強リブが形成される、ことを特徴とする天井吊下型防振具。
【請求項3】
請求項1記載の天井吊下型防振具において、
前記上側取付部及び下側取付部は、中央に取付孔を有する板状基部と、該板状基部の一辺から水平方向に延在する三角状突出部とで形成され、前記垂直部は、前記上側取付部及び下側取付部の前記三角状突出部の二辺から屈曲され、前記三角状突出部の先端側の屈曲部に跨って切欠きが設けられると共に、前記屈曲部における前記三角状突出部の二辺と前記垂直部の両側辺に補強リブが形成され、かつ、前記垂直部における前記上側取付部及び下側取付部の三角状突出部の先端同士を結ぶ線上に前記縦長窓孔が設けられ、該縦長窓孔の上下方向の開口縁の両側に前記荷重確認用の目盛りを形成してなる、ことを特徴とする天井吊下型防振具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−64427(P2013−64427A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202526(P2011−202526)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(594113218)ネミー株式会社 (5)
【Fターム(参考)】