説明

太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置

【課題】タワーの積載重量低減によりタワー製作コストを抑制することができる太陽熱ガスタービンを提供する。
【解決手段】空気を吸入して昇圧させる圧縮機1と、集光器Hで集めた太陽光の熱により圧縮機1で昇圧された高圧空気を加熱して昇温させる受熱器2と、高温高圧空気が保有する熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービン3とを具備し、受光器2とともにタワーT上に設置して運転される太陽熱ガスタービンGT1において、圧縮機1をタービン3から分離して圧縮機駆動用電動機7と連結し、圧縮機1を地上設置の電動機駆動方式にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を利用して生成される空気等の圧縮性作動流体を用いて駆動される太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化等の環境問題を解決するため、太陽光や風力等の自然エネルギーが注目されている。
そこで、自然エネルギーの一つである太陽光を利用し、太陽光の熱により高圧の圧縮性作動流体を加熱して駆動する太陽熱ガスタービン、そして、この太陽熱ガスタービンにより発電機を駆動して発電する太陽熱ガスタービン発電装置が提案されている。
【0003】
図10に示す太陽熱ガスタービンGTは、圧縮性作動流体を圧縮して昇圧させる圧縮機1と、太陽光を変換した熱により圧縮性作動流体を加熱して昇温させる受熱器2と、高温高圧の圧縮性作動流体が保有する熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービン3とを主な構成要素とする装置である。すなわち、太陽熱ガスタービンGTは、天然ガス等の燃料を燃焼させて高温高圧の燃焼ガスを生成する燃焼器に代えて、太陽光の熱エネルギーを利用して圧縮性作動流体を加熱して昇温する受熱器2を設けたものである。
【0004】
この場合の受熱器2は、太陽光を熱エネルギーに変換するための装置であり、集光器(ヘリオスタット)Hにより集めた光の熱を用いて、高圧の圧縮性作動流体を加熱して昇温させることができる。
また、発電機4を太陽熱ガスタービンGTと同軸に連結し、太陽熱ガスタービンGTで発電機4を駆動するように構成すれば、太陽光を利用して発電する太陽熱ガスタービン発電装置となる。なお、図中の符号5は、タービン3で仕事をした後に煙突6から大気へ排出される圧縮性作動流体の排熱を用い、圧縮機1で昇圧された高圧の圧縮性作動流体を予熱するための再熱器である。
【0005】
このような太陽熱ガスタービン発電装置は、集光器H以外の機器、すなわち太陽熱ガスタービンGTが破線で示すタワーTの上に配置されている。このような配置は、高所配置となる受熱器2の出口からタービン3の入口まで、たとえば流体温度が900℃程度の高温配管となるため、この高温配管を最短にしたものである。
一方、ガスジェネレータモジュールと減速ギアボックスモジュールとを備えたガスタービンエンジンにおいて、ガスジェネレータモジュールの出力軸と減速ギアボックスモジュールの軸とをオフセットし、減速ギアボックスモジュールが、ガスジェネレータモジュールの出力軸に対して傾斜した中間軸により駆動される構成が開示されている。(たとえば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2005−513346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置においては、高温配管の長さを最短とするため、太陽熱ガスタービンGTが受熱器2とともにタワーTの上部(高所)に設置されている。このため、タワーTの高所に作用する積載重量は大きくなり、従って、タワー製作に要するコストが増大するという問題を有している。
さらに、太陽熱ガスタービンGTを受熱器2とともに設置するタワーTの高さについては、集光器Hの構造上、ミラーを設置する敷地面積が同じであれば高いタワーTほど受熱量を増すことになる。従って、太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置の効率面では、できるだけ高いタワーTを使用することが望ましい。
【0008】
このため、太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置においては、タワーTの上部積載重量を低減できる構成を開発し、タワーTの製作コストを抑制することが望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、タワーの積載重量低減によりタワー製作コストを抑制することができる太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明の太陽熱ガスタービンは、圧縮性作動流体を吸入して昇圧させる圧縮機と、集光器で集めた太陽光の熱により前記圧縮機で昇圧された圧縮性作動流体を加熱して昇温させる受熱器と、高温高圧の圧縮性作動流体が保有する熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービンとを具備し、前記受光器とともにタワー上に設置して運転される太陽熱ガスタービンにおいて、前記圧縮機を前記タービンから分離して圧縮機駆動用電動機と連結し、前記圧縮機を地上設置の電動機駆動方式にしたことを特徴とするものである。
【0010】
このような太陽熱ガスタービンによれば、圧縮機をタービンから分離して圧縮機駆動用電動機と連結し、圧縮機を地上設置の電動機駆動方式にしたので、高温配管の長さが最短に維持されるとともに、圧縮機を地上設置にした分だけタワーの積載重量が低減される。なお、タービンから分離された圧縮機は、同じく地上設置にした圧縮機駆動用電動機と連結して駆動されるので、圧縮性作動流体を吸入して昇圧させる機能上の問題はない。
【0011】
上記の太陽熱ガスタービンにおいて、前記圧縮機から流出する高圧の圧縮性作動流体を前記タービンから排出される高温の圧縮性作動流体との熱交換で予熱する再熱器を備え、該再熱器は、タワー上または地上に設置されていることが好ましく、これにより、タービンで仕事をした高温の圧縮性作動流体が保有する排熱を有効利用できる。
【0012】
本発明の太陽熱ガスタービン発電装置は、請求項1または2に記載の太陽熱ガスタービンと、該太陽熱ガスタービンで駆動されて発電する発電機とを備えていることを特徴とするものである。
【0013】
このような太陽熱ガスタービン発電装置によれば、請求項1または2に記載の太陽熱ガスタービンと、該太陽熱ガスタービンで駆動されて発電する発電機とを備えているので、タワーの積載重量を低減してタワー製作コストを抑え、自然エネルギーの太陽光を利用して発電することができる。
【0014】
上記の太陽熱ガスタービン発電装置において、前記タービンから排出される高温の圧縮性作動流体を蒸気発生器に導入し、該蒸気発生器で生成した蒸気により運転される蒸気タービンが発電機を駆動して発電する蒸気発電サイクルを設けることが好ましく、これにより、タービンより排出される圧縮性作動流体が保有する熱エネルギーを有効利用し、装置全体の熱効率を向上させることができる。
この場合、蒸気発電サイクルは地上設置とすることが一般的であるが、前記蒸気発生器をタワー上に設置すれば、タービンの排ガスダクトを短くして熱損失を低減することができる。
【0015】
上記の太陽熱ガスタービン装置発電装置において、前記蒸気タービンを前記圧縮機及び前記圧縮機駆動用電動機と同軸に連結し、運転時には前記蒸気タービンが前記圧縮機駆動用電動機とともに前記圧縮機を駆動させることが好ましく、これにより、圧縮機駆動用電動機を小型化することができる。
【0016】
上記の太陽熱ガスタービン装置発電装置において、前記タービンを低圧タービン及び高圧タービンに分離し、前記低圧タービンを前記圧縮機及び前記蒸気タービンと連結して地上設置することが好ましく、これにより、地上の発電機を廃止することができる。
【0017】
上記の太陽熱ガスタービン装置発電装置において、前記タービンを低圧タービン及び高圧タービンに分離し、前記低圧タービンを発電機と連結して地上設置するとともに、前記高圧タービンを前記圧縮機と連結してタワー上に設置することが好ましく、これにより、効率よりコストを優先した構成となる。
【0018】
上記の太陽熱ガスタービン装置発電装置において、前記タービンを低圧タービン及び高圧タービンに分離し、前記低圧タービンを前記蒸気タービン及び発電機と連結して地上設置するとともに、前記高圧タービンを圧縮機と連結してタワー上に設置することが好ましく、これにより、相対的に重い発電機を地上に設置することができる。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明によれば、タワーの上部積載重量を低減し、タワーの製作コストを抑制することができる。この結果、集光器のミラーを設置する敷地面積が同じであれば、太陽熱ガスタービンを受熱器とともに設置するタワーを高くし、集光器から受熱器への受熱量を増すことができるようになる。従って、自然エネルギーである太陽光を利用して運転する太陽熱ガスタービン、及び自然エネルギーである太陽光を利用して発電する太陽熱ガスタービン発電装置の効率向上に大きな効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置について、第1の実施形態を示す構成図(系統図)である。
【図2】図1に示す第1の実施形態に係る太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置について、第1変形例を示す構成図(系統図)である。
【図3】図1に示す第1の実施形態に係る太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置について、第2変形例を示す構成図(系統図)である。
【図4】本発明に係る太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置について、第2の実施形態を示す構成図(系統図)である。
【図5】図4に示す第2の実施形態に係る太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置について、第1変形例を示す構成図(系統図)である。
【図6】図4に示す第2の実施形態に係る太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置について、第2変形例を示す構成図(系統図)である。
【図7】本発明に係る太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置について、第3の実施形態を示す構成図(系統図)である。
【図8】図7に示す第3の実施形態に係る太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置について、第1変形例を示す構成図(系統図)である。
【図9】図7に示す第3の実施形態に係る太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置について、第2変形例を示す構成図(系統図)である。
【図10】太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置の従来例を示す構成図(系統図)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
図1に示す実施形態において、太陽熱ガスタービンGT1は、圧縮性作動流体を吸入して昇圧させる圧縮機1と、集光器Hで集めた太陽光の熱により圧縮機1で昇圧された圧縮性作動流体を加熱して昇温させる受熱器2と、高温高圧の圧縮性作動流体が保有する熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービン3とを具備して構成される。
そして、図示の太陽熱ガスタービンGT1は、タービン3と同軸に連結した発電機4を設けることにより、太陽光を利用して発電する太陽熱ガスタービン発電装置となる。
【0022】
圧縮機1は、圧縮性作動流体を吸入して所望の高圧に圧縮する装置であり、タービン3から分離して専用の圧縮機駆動用電動機7と連結されている。圧縮機1で圧縮する圧縮性作動流体には、たとえば大気から吸入した空気が使用される。以下の説明では、圧縮性作動流体を空気として説明するが、これに限定されることはない。
圧縮機1で昇圧された圧縮性作動流体の空気は、高圧空気流路11を通って受熱器2に導かれる。図示の構成例では、高圧空気流路11の途中に再熱器5が設けられている。この再熱器5は、圧縮機1で昇圧された高圧空気と、タービン3で仕事をした高温空気とを熱交換させる装置である。すなわち、再熱器5は、タービン3で仕事をして煙突6から大気へ放出される高温空気の排熱を有効利用し、高圧空気を予熱することによって太陽熱ガスタービンGT1及び太陽熱ガスタービン発電装置の熱効率を向上させる熱交換器である。
【0023】
再熱器5を通過する際に予熱され、圧縮機1の出口温度より温度上昇した高圧空気は、高圧空気流路11を通って受熱器2に導かれる。
受熱器2は、タワーTの上部に配置されて太陽光を熱エネルギーに変換するための装置であり、地上に配置した多数の鏡を主な構成要素とする集光器Hにより集めた光の熱を用いて高圧空気を加熱するので、高圧空気の温度を上昇させることができる。すなわち、受熱器2は、高圧空気を流す多数の配管に集光器Hから光を当てることにより、配管及び配管内の高圧空気を加熱して昇温させる加熱装置である。
【0024】
受熱器2で加熱された高圧空気は、たとえば出口温度が900℃程度の高温高圧空気となり、高温高圧空気流路12を通ってタービン3へ供給される。
タービン3に供給された高温高圧空気は、タービン内の動翼/静翼間を通過する際に膨張し、動翼と一体のタービン軸を回転させてタービン出力を発生させる。タービン3で発生した出力は、同軸に連結された発電機4の駆動力として用いられる。タービン3で仕事をした高温高圧空気は、タービン入口より圧力及び温度が低下した高温高圧空気(以下では、「使用済み空気」ともいう)となり、排気流路13を通って再熱器5に導かれる。この使用済み空気は、再熱器5で高圧空気流路11を通って導入された高圧空気との熱交換を行って予熱するので、さらに温度低下して煙突6から大気へ放出される。
【0025】
このように構成された太陽熱ガスタービンGT1及び太陽熱ガスタービン発電装置は、圧縮機及び圧縮機駆動用電動機7が集光器Hとともに地上Gに設置され、他の構成要素である受熱器2、タービン3、発電機4、再熱器5及び煙突6がタワーTの上部に設置されている。すなわち、タービン3から分離して圧縮機駆動用電動機7と連結された圧縮機1については、タワーTの上部に設置されてタービン3から出力の一部をもらい受ける従来の駆動方式から、圧縮機駆動用電動機7とともに地上設置された電動機駆動方式に変更されている。なお、煙突6の位置については特に限定されるものではないが、再熱器5の出口に近いタワーT上が望ましい。
【0026】
このように構成された太陽熱ガスタービンGT1及び太陽熱ガスタービン発電装置は、タワーTの上部に設置される機器類の重量から地上設置された圧縮機1の重量が減少するので、タワーTの積載重量を低減することができる。このようなタワーTの積載重量低減は、たとえば100m程度の高さを有するタワーTの製作コストを低減するのに有効であり、あるいは、同じ製作コストでより高いタワーTを建設することができる。
また、受熱器2及びタービン3は、従来通りタワーTの上部に設置されているので、両者の位置関係については従来と略同じにすることができる。従って、高価な配管素材や断熱対策等が必要となる高温高圧配管12の配管長については、従来通りの略最短長さを維持することができる。
【0027】
次に、本実施形態の第1変形例を図2に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この第1変形例は、圧縮機1が圧縮機駆動用電動機7とともに地上設置される電動機駆動方式に加えて、再熱器5についても同様に地上設置したものである。なお、煙突6の位置については、特に限定されるものではない。
【0028】
このように構成された第1変形例の太陽熱ガスタービンGT2及び太陽熱ガスタービン発電装置は、再熱器5を地上設置にした分だけタワーTの積載荷重はさらに低減されるので、タワーTの製作コストをより一層低減することが可能になる。
また、受熱器2及びタービン3は、タワーTの上部に設置されているので、両者の位置関係については従来と略同じにすることができ、従って、高温流体を取り扱う高温高圧配管12の配管長については、従来通りの略最短長さを維持することができる。
【0029】
次に、本実施形態の第2形例を図3に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この第2変形例では、圧縮機1が圧縮機駆動用電動機7とともに地上設置される電動機駆動方式を採用するとともに、熱効率の向上に有利な再熱器5を廃止したものである。なお、煙突6の位置については、タービン3の出口に近いタワーT上としているが、特に限定されるものではない。
【0030】
このように構成された第2変形例の太陽熱ガスタービンGT3及び太陽熱ガスタービン発電装置は、再熱器5がない分だけタワーTの積載荷重はさらに低減されるので、タワーTの製作コストをより一層低減することができる。
また、受熱器2及びタービン3は、タワーTの上部に設置されているので、両者の位置関係については従来と略同じにすることができ、従って、高温高圧配管12の配管長については、従来通りの略最短長さを維持することができる。
【0031】
<第2の実施形態>
本発明に係る太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置について、第2の実施形態を図4に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態では、太陽熱ガスタービンにより発電機を駆動して発電する太陽熱ガスタービン発電装置が、以下に説明する蒸気発電サイクル20を備えている。なお、図4に示す構成例では、再熱器5のない図3に示した太陽熱ガスタービンGT3及び太陽熱ガスタービン発電装置に地上設置の蒸気発電サイクル20を追設しているが、これに限定されるものではない。
【0032】
図示の蒸気発電サイクル20は、タービン3から排出される使用済み空気を蒸気発生器21に導入し、蒸気発生器21内で水を加熱して蒸気を生成する。蒸気発生器21で生成した蒸気は蒸気タービン22に供給され、この蒸気により運転される蒸気タービン22が発電機23を駆動して発電する。
蒸気タービン22で仕事をした蒸気は、復水器24を通過して水に戻された後、再び蒸気発生器21に供給される。従って、蒸気発生器21で使用済み空気に加熱される水は、水及び蒸気の状態変化を繰り返して閉回路の配管流路を循環する。
【0033】
このように、蒸気発電サイクル20を備えた太陽熱ガスタービンGT3及び太陽熱ガスタービン発電装置とすることにより、タービン3より排出される高温高圧の使用済み空気が保有する熱エネルギーを有効利用し、装置全体の熱効率を向上させることができる。すなわち、タービン3より排出される使用済み空気をそのまま煙突6から大気へ放出するのではなく、蒸気タービン22を運転するための蒸気生成により熱回収をし、タービン3に駆動される発電機4の発電量に加えて、蒸気タービン22により駆動される発電機23の発電量を得て熱効率の向上を達成している。
【0034】
ところで、上述した蒸気発電サイクル20は、地上設置が一般的である。しかし、たとえば図5に示す本実施形態の第1変形例のように、蒸気発生器21をタービン3とともにタワーTの上に設置する配置を採用すれば、タービン3から蒸気発生器21に使用済み空気を導く排気流路(排ガスダクト)13を短くすることができる。このため、使用済み空気が排気流路13を流れる際、外気に放熱して温度低下する熱損失は低減される。
【0035】
また、図6に示す本実施形態の第2変形例では、蒸気発電サイクル20Aの蒸気タービン22を圧縮機1及び圧縮機駆動用電動機7と同軸に連結している。そして、太陽熱ガスタービン発電装置の運転時には、蒸気タービン22が圧縮機駆動用電動機7とともに圧縮機1を駆動するように構成されている。
【0036】
このような構成を採用することにより、地上の発電機23を廃止するとともに、圧縮機駆動用電動機7を小型化することができる。すなわち、この変形例は、タービン3から排出される使用済み空気の排熱について、蒸気タービン22の出力で発電機23を駆動する発電に使用するのではなく、蒸気タービン22の出力で圧縮機1を駆動するのに必要な駆動力の一部を補うために使用している。
なお、図6に示す構成例では、蒸気発生器21がタワーT上に配置されているが、図4に示す地上配置としてもよい。
【0037】
<第3の実施形態>
本発明に係る太陽熱ガスタービン及び太陽熱ガスタービン発電装置について、第3の実施形態を図7に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態では、太陽熱ガスタービンにより発電機を駆動して発電する太陽熱ガスタービン発電装置において、上述したタービン3が低圧タービン3L及び高圧タービン3Hに分離されている。
【0038】
高圧タービン3H及び低圧タービン3Lは、受熱器2及び蒸気発生器21の間に直列配置されている。すなわち、受熱器2の出口と高圧タービン3Hの入口との間が高温高圧空気流路12によって接続され、高圧タービン3Hの出口と低圧タービン3Lの入口との間が高温高圧空気流路12aによって接続され、さらに、低圧タービン3Lの入口と蒸気発生器21との間が排気流路13によって接続されている。
また、受熱器2と高圧タービン3Hとの間を接続する高温高圧空気流路12には、流路途中から分岐して高圧タービン3Hの下流側で高温高圧空気流路12aに合流するバイパス流路12bが設けられている。このバイパス流路12bには、流量調整可能なバイパス弁14が設けられている。このバイパス流路12bは、バイパス弁14の開度調整に応じて高圧タービン3Hのバイパス空気流量を調整できるため、たとえば起動時等にはバイパス空気流量を増して圧縮機1の駆動力を確保する運転制御が可能となる。
【0039】
上述した高圧タービン3Hは、発電機4と同軸に連結されてタワーTの上部に設置されている。一方、上述した低圧タービン3Lは、圧縮機1及び蒸気タービン22と同軸に連結されて地上に設置されている。
このように構成された太陽熱ガスタービン発電装置においては、高圧タービン3Hが発電機4を駆動して発電を行い、低圧タービン3Lが蒸気タービン22と協働して圧縮機1を駆動するので、圧縮機1を駆動するための電動機7が不要となる。すなわち、本実施形態の構成では、地上に設置されている圧縮機1を駆動するため駆動源が不要となるので、地上設置の発電機7を廃止することができる。
【0040】
図8に示す本実施形態の第1変形例では、上述した実施形態と同様に、タービン3を低圧タービン3L及び高圧タービン3Hに分離している。しかし、この変形例では、地上に設置された低圧タービン3Lが発電機4と連結され、かつ、タワーT上に設置された高圧タービン3Hが圧縮機1と連結されている。
従って、この場合の低圧タービン3Lは発電機4を駆動して発電を行い、高圧タービン3Hは圧縮機1を駆動して空気を圧縮するための駆動源となる。このような構成は、装置の効率面では不利になるが、圧縮機1を駆動する電動機が不要となるためコスト面では有利になり、効率よりコストを優先した構成となる。
【0041】
図9に示す本実施形態の第2変形例では、上述した実施形態と同様に、タービン3を低圧タービン3L及び高圧タービン3Hに分離している。しかし、この変形例では、低圧タービン3Lを蒸気タービン22及び発電機23と連結して地上設置するとともに、高圧タービン3Hを圧縮機1と連結してタワーT上に設置している。
従って、この場合の低圧タービン3Lは、蒸気タービン22との協働により発電機23を駆動して発電を行い、高圧タービン3Hは、圧縮機1を駆動して空気を圧縮するための駆動源となる。このような構成は、相対的に重い発電機23を地上に設置できるので、タワーTの上部積載荷重を低減して製作コストを抑制することができる。
【0042】
このように、上述した各実施形態によれば、タワーTの上部積載重量を低減し、タワーTの製作コストを抑制することができる。この結果、集光器Hのミラーを設置する敷地面積が同じであれば、太陽熱ガスタービンを受熱器2とともに設置するタワーTを高くし、受熱器2が集光器Hから受熱する熱量を増すことができる。従って、自然エネルギーである太陽光を利用して運転する太陽熱ガスタービン、及び自然エネルギーである太陽光を利用して発電する太陽熱ガスタービン発電装置の効率を向上させることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、たとえば再熱器5の有無が限定されないなど、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 圧縮機
2 受熱器
3 タービン
3L 低圧タービン
3H 高圧タービン
4,23 発電機
5 再熱器
6 煙突
7 圧縮機駆動用電動機
11 高圧空気流路
12,12a 高温高圧空気流路
12b バイパス流路
13 排気流路
14 バイパス弁
20,20A 蒸気発電サイクル
21 蒸気発生器
22 蒸気タービン
24 復水器
GT1〜GT3 太陽熱ガスタービン
H 集光器
T タワー
G 地上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮性作動流体を吸入して昇圧させる圧縮機と、集光器で集めた太陽光の熱により前記圧縮機で昇圧された圧縮性作動流体を加熱して昇温させる受熱器と、高温高圧の圧縮性作動流体が保有する熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービンとを具備し、前記受光器とともにタワー上に設置して運転される太陽熱ガスタービンにおいて、
前記圧縮機を前記タービンから分離して圧縮機駆動用電動機と連結し、前記圧縮機を地上設置の電動機駆動方式にしたことを特徴とする太陽熱ガスタービン。
【請求項2】
前記圧縮機から流出する高圧の圧縮性作動流体を前記タービンから排出される高温の圧縮性作動流体との熱交換で予熱する再熱器を備え、該再熱器がタワー上または地上に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽熱ガスタービン。
【請求項3】
請求項1または2に記載の太陽熱ガスタービンと、該太陽熱ガスタービンで駆動されて発電する発電機とを備えていることを特徴とする太陽熱ガスタービン発電装置。
【請求項4】
前記タービンから排出される高温高圧の圧縮性作動流体を蒸気発生器に導入し、該蒸気発生器で生成した蒸気により運転される蒸気タービンが発電機を駆動して発電する蒸気発電サイクルを設けたことを特徴とする請求項3に記載の太陽熱ガスタービン発電装置。
【請求項5】
前記蒸気発生器をタワー上に設置したことを特徴とする請求項4に記載の太陽熱ガスタービン発電装置。
【請求項6】
前記蒸気タービンを前記圧縮機及び前記圧縮機駆動用電動機と同軸に連結し、運転時には前記蒸気タービンが前記圧縮機駆動用電動機とともに前記圧縮機を駆動させることを特徴とする請求項4に記載の太陽熱ガスタービン発電装置。
【請求項7】
前記タービンを低圧タービン及び高圧タービンに分離し、前記低圧タービンを前記圧縮機及び前記蒸気タービンと連結して地上設置したことを特徴とする請求項6に記載の太陽熱ガスタービン発電装置。
【請求項8】
前記タービンを低圧タービン及び高圧タービンに分離し、前記低圧タービンを発電機と連結して地上設置するとともに、前記高圧タービンを前記圧縮機と連結してタワー上に設置したことを特徴とする請求項3に記載の太陽熱ガスタービン発電装置。
【請求項9】
前記タービンを低圧タービン及び高圧タービンに分離し、前記低圧タービンを前記蒸気タービン及び発電機と連結して地上設置するとともに、前記高圧タービンを圧縮機と連結してタワー上に設置したことを特徴とする請求項4に記載の太陽熱ガスタービン発電装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−275997(P2010−275997A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132135(P2009−132135)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】