太陽輻射の入射方向及び強度を検出するための太陽センサ
【解決手段】太陽輻射の入射方向及び強度を検出するための太陽センサが開示されている。前記太陽センサは、太陽輻射の少なくとも一部に透過性を有するプラスチック材料から形成されたハウジング(12)を有している。ハウジング(12)は、入射する太陽輻射に面する湾曲した面(14)を有しており、レンズとして光学的に機能し、ハウジングのレンズ特性によって定義される内部の焦点面(26)を有する。前記太陽センサは、ハウジング(12)のプラスチック材料にはめ込まれた少なくとも2つの光センサ(16)を更に有しており、各光センサ(16)は、プラスチック材料が透過性を有する太陽輻射の少なくとも一部を感知可能なセンサ領域(18)を含んでいる。光センサ(16)のセンサ領域(18)は、入射する太陽輻射に面する面(14)から見て、焦点面(26)の前又は焦点面(26)の後に設けられた共通の平面(19)に略平行に配置されている。太陽輻射の入射方向が、光センサ(16)のセンサ領域(18)によって受けた太陽輻射の強度に基づいて決定され得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽輻射の入射方向及び強度を検出するための太陽センサに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な技術的適用例では、瞬間的な太陽輻射に関する情報を、太陽輻射の強度及び入射方向の両方に関してすぐに取得することが時には必要である。太陽センサの1つの可能な適用例が、自動車輌の空調システムであり、太陽輻射によって引き起こされる車輌内部の加熱が、補償のために検出されるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第10102353号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術では、傾斜した複数の個別のフォトダイオードを備えた太陽センサに関する概念が公知である。このような太陽センサの例が、独国特許出願公開第10102353号明細書、独国特許出願公開第102004053958号明細書、及び欧州特許出願公開第1460448号明細書に述べられている。他の公知の概念では、導光器、拡散要素及びカバー(レキサンキャップ(Lexan caps)、つまり昼光フィルタ)が備えられており、これらは、太陽輻射の入射方向及び強度を検出するために必要である。フォトダイオードの傾斜により、太陽センサの製造(特に組立)が更に困難になり、更に、導光器、拡散要素及びレキサンキャップのような追加の要素は太陽センサのコスト増加を引き起こす。また、上述されたタイプの公知の太陽センサは、センサ要素が互いに調節して較正されなければならない(太陽センサの調節及び較正)という点で不便である。
【0005】
本発明は、太陽輻射の入射方向及び強度を検出するための太陽センサであり、製造及び組立のコスト効率の良い簡素化された構造概念及びセンサ要素を特徴とする前記太陽センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、太陽輻射の入射方向及び強度を検出するための太陽センサを提供し、該太陽センサは、
− 太陽輻射の少なくとも一部に透過性を有するプラスチック材料から形成されており、入射する太陽輻射に面する湾曲した面を有するハウジングであり、レンズとして光学的に機能し、前記ハウジングのレンズ特性によって定義される内部の焦点面を有する前記ハウジング、及び
− ハウジングのプラスチック材料にはめ込まれている少なくとも2つの光センサを備えており、
− 各光センサは、前記プラスチック材料が透過性を有する太陽輻射の少なくとも一部を感知可能なセンサ領域を含んでおり、前記光センサのセンサ領域は、入射する太陽輻射に面する面から見て、焦点面の前又は該焦点面の後に(焦点面と略平行に)設けられた略共通の平面に配置されており、
− 太陽輻射の入射方向が、光センサのセンサ領域によって受けた太陽輻射の強度に基づいて決定され得る。
【0007】
本発明の太陽センサでは、少なくとも2つの光センサ(例えば、フォトダイオード)がハウジングのプラスチック材料体にはめ込まれている。このハウジングは、例えば、配線式のフォトダイオード(THT 技術)から公知であるハウジングと同様のハウジングであってもよい。しかしながら、SMD 技術のハウジングも考えられる。用いられるプラスチック材料は、太陽輻射の少なくとも一部(例えば赤外線部分)に透過性を有する。ハウジングは、入射する太陽輻射に面して、太陽輻射に露出可能であり、湾曲した、つまり球形状の面を有する。ハウジングの幾何学的形状(特に入射側における形状)により、ハウジングはレンズとして光学的に機能して、ハウジングの特性がハウジング内に設けられた焦点面を定義しており、入射する太陽輻射の焦点が、焦点面内に置かれているか、又は入射方向に応じて、焦点面内を焦点が移動する。前記焦点面は、太陽センサの光軸に略直角に延びている。
【0008】
本太陽センサの各光センサは、ハウジングのプラスチック材料が透過性を有する太陽輻射の一部分を感知可能なセンサ領域を含んでいる。少なくとも2つの光センサのセンサ領域は、焦点面の外側に、つまり、入射する太陽輻射に面する面から見て、焦点面の前又は焦点面の後に設けられている略共通の平面に設けられている。光センサのセンサ領域は、光軸がセンサ領域の中心にあるように配置されている。
【0009】
ハウジングのレンズ特性により、各光センサは、太陽輻射の入射方向に応じて、様々な大きさの太陽輻射強度を受ける。そのため、光センサの個別の信号の組み合わせから太陽輻射の入射方向を決定することが可能である。更に、太陽輻射の強度に関する情報が得られる。
【0010】
本太陽センサの重要な特徴は、全ての光センサが共通の(標準的な)ハウジングに略平面方向に配置されており、従来の発光ダイオード及びフォトダイオードから公知であるように、光センサが特にはプラスチック材料にはめ込まれていることである。焦点面の外側に光センサを配置することにより、太陽センサの光軸に対する(ハウジング表面に垂直に)太陽輻射の様々な入射角について、太陽輻射の最大可能部分が光センサのセンサ領域に入射し、しかも、太陽輻射により、入射角に応じて個別の光センサの様々なレベルの輻射が引き起こされることが利点である。
【0011】
本発明によれば、少なくとも2つの光センサが必要である。しかしながら、3以上の光センサを設けることが適切である。3つの光センサが設けられるとき、該光センサのセンサ領域が夫々互いに対して120 °ずつオフセットされるように光センサは配置される。4つの光センサでは、該光センサのセンサ領域が矩形状にマトリックスのように配置される。5以上の光センサが設けられる場合、該光センサのセンサ領域が、(場合によっては等辺の)多角形の外形を有する全体領域を画定するように光センサは配置される。
【0012】
有利には、(半導体)光センサが共通の基板に配置及び/又は形成されており、光センサは、フォトダイオード又は赤外線検出器として構成されている。光センサが共通の(半導体)基板に形成される(つまり、光センサが共に製造される)ので、光センサの調節又は較正が必要ではない。適切には、光センサと電気的に接続された電気的なコネクタ要素がハウジングから突出しており、コネクタ要素は、プラグのコネクタ要素として構成されている。
【0013】
本発明の太陽センサは、追加の導光器も拡散要素もレキサンキャップも必要としない。更に、光センサを互いに較正する処理を行なう必要がない。本発明の太陽センサの別の利点は、機能的な要素が全て光学的要素に一体化されており、従って、(2D/3D )太陽センサの全ての所望の光学的特性が、更なる追加の構造的要素なしで、光学的要素自体によってのみ備えられているということである。
【0014】
本発明の太陽センサの特徴及び利点として、以下が挙げられ得る。
− 共通のハウジングに設けられた少なくとも2つの高感度光センサ(光センサ)は、平面方向に配置されて、太陽輻射を検出するために用いられており、それによって単一の一体化された要素が得られる。
− 光透過性ハウジングはフィルタ材料及び拡散材料を含んでもよく、フィルタ材料及び拡散材料により、波長に関する太陽輻射の選択的な検出(フィルタ)が可能になり、更に、入射輻射の均質化(拡散器)が可能になる。
− 3つの光センサでは、光センサは120 °の配列で設けられている。
− 4つの光センサが設けられる場合、光センサは矩形状の90°の配列で設けられている。
− 5以上の光センサでは、光センサは、光センサの数に対応する等辺多角形の形状に配列されている。
− 光センサは、個別の光センサで電気信号のタッピングを可能にするリードフレーム(コネクタ要素)又は別のキャリア構造に配置されており、リードフレームは、要素が電子部品に電気的に接続され得るプラグとして同時に機能してもよい。
− 標準的な半田付け方法を用いて、THT 技術又はSMD 技術で実現されたリードフレームは、信号を処理するための外部の回路基板に電気的に接続されてもよい。
− ハウジングは、光学的要素(例えば、昼光フィルタリング特性)としてそれ自体公知である標準のプラスチック材料から形成されている。
− ハウジングは、光学的要素のための標準的な製造方法を用いて製造され得る。
− ハウジングは、幾何学的な形状により、太陽センサの位置での太陽輻射の方向に加えて、入射する太陽輻射の強度も、太陽センサの幾何学的な構成から決定され得ることを保証する。
− 4以上の光センサが用いられる場合、直接的な太陽輻射の間接的な(拡散器)の太陽輻射に対する比が決定され得る。
【0015】
本発明を、幾つかの実施形態及び図面を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る2つの光センサを備えた太陽センサを示す側断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る2つの光センサを備えた太陽センサを示す平面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る3つの光センサを備えた太陽センサを示す側断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る3つの光センサを備えた太陽センサを示す平面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る4つの光センサを備えた太陽センサを示す側断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る4つの光センサを備えた太陽センサを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び2は、太陽センサ10の第1実施形態の側断面図及び平面図である。太陽センサ10は、本実施形態では、赤外線放射に透過性を有し、昼光を略遮断するプラスチック材料から構成された(固形物の)ハウジング12を備える。入射する太陽輻射に露出可能なハウジング12の面14が、湾曲しているか又は球形状を有しており、ハウジング12のこの部分にレンズ特性が与えられるように形成されている。
【0018】
2つのフォトダイオード16がハウジング12に配置されており、フォトダイオード16のセンサ領域18が、略共通の平面19に設けられている。両方のフォトダイオード16は、共通のコネクタ要素20上に配置されており、各フォトダイオード16は、結合ワイヤ22を介して他の異なるコネクタ要素24に更に接続されている。前記太陽センサにより、太陽輻射の2D検出が可能になる。
【0019】
図3及び4は、太陽センサ10′の別の実施形態を示す。太陽センサ10′の要素が、図1及び2に示された太陽センサ10の要素と構造的又は機能的に同様又は同一である限り、同一の参照番号が図3及び4に用いられている。
【0020】
太陽センサ10′では、3つのフォトダイオード16が、正三角形の辺に沿ってコネクタ要素20上に配置されており、つまり、夫々120 °ずつオフセットされている。このような太陽センサの配置により、太陽輻射の3D検出が可能になる。
【0021】
最後に、図5及び6は、太陽センサ10″の更なる別の実施形態を示す。この場合も、太陽センサ10″の要素が図1及び2に示された太陽センサ10の要素に構造的又は機能的に同様又は同一である限り、同一の参照番号が図5及び6に用いられている。
【0022】
太陽センサ10,10′ と異なり、太陽センサ10″は矩形状に配置された4つのフォトダイオード16を備えており、各フォトダイオードは、結合ワイヤ22を介して別のコネクタ要素と接続されている。
【0023】
説明された太陽センサの機能は、複数のフォトダイオードが別々に反応するが、個別の信号の組み合わせで、入射する太陽輻射に対して明確に反応するように、光センサのための標準的なハウジングに複数のフォトダイオードを配置するという考えに夫々基づいている。太陽センサ又は別の電子機器のマイクロコントローラ(図示せず)で直接実施する計算処理では、太陽輻射の強度に加えて太陽輻射の入射方向も、個別の信号から計算され得る。
【0024】
ここでは、フォトダイオード16は共通の平面19に平面状に配置されており、2以上のフォトダイオードを用いることが可能である。3つの光センサが用いられるとき、考えられ得る共通の平面における幾何学的配置は正三角形であり、4つの光センサが用いられるときは正方形又は矩形である。フォトダイオードが従来、正方形の断面を有して製造されているという事実により、4つの光センサが単一の基板に共に配置されて製造され得るので、4つの光センサの配置が好ましい。
【0025】
太陽輻射の入射角に応じた個別の光センサに関する様々な放射がハウジング12のレンズ特性によって引き起こされ、該ハウジングは、レンズとして光学的に機能して、対象の放射線を通過させる材料(プラスチック材料)から形成され、前記材料はフィルタ材料又は拡散材料で濃縮されてもよい。レンズ特性は、入射面14のハウジング表面の膨らみ(例えば球形状)によって達成されて、膨らみの半径は、センサ領域18のサイズに応じて選択されるだけでなく、光センサの垂直方向及び水平方向の位置の関数として選択される必要がある。
【0026】
太陽センサの幾何学的配置を構成する際に、光センサ16のセンサ領域18が、入射面14を通り抜けて入射する太陽輻射の焦点面(図1、3及び5に示された焦点面26参照)にないが、光軸28に沿って焦点面26の前又は焦点面26の後に置かれていることを注目すべきである。従って、ハウジング表面の垂直線(光軸28)に関する太陽輻射の様々な入射角について、太陽輻射の最大可能部分が、全てのフォトダイオード16のセンサ領域18に入射するが、太陽輻射により、入射角に応じて、個別のフォトダイオードの様々なレベルの輻射が引き起こされる。
【0027】
入射角と光センサの個別の信号との明瞭な関係が、ハウジング12の幾何学的構成、ハウジング材料の光特性(プラスチック材料の回析指数)及びハウジング12内における個別のフォトダイオード16の位置(フォトダイオード16とフォトダイオード16のセンサ領域18との互いに対する位置及びサイズ、センサ領域18の配置及び位置に対する光軸28の水平の軌線、及び水平方向及び垂直方向の配置)によって生じる。
【0028】
個別のフォトダイオードが検出可能な立体角部分は重複する。個別のフォトダイオードの位置における夫々の光強度から、太陽輻射の方向及び全体的な強度の両方が、夫々のセンサ信号によって決定され得る。更に、4以上のフォトダイオードを用いた場合は、太陽輻射の拡散部分と直接部分との比で決定され得る。
【0029】
製造方法により、フォトダイオード16が同一の基板から夫々形成される場合、個別のフォトダイオード16のセンサ領域18の感度許容誤差は、最低水準から理想的には零の範囲である。従って、フォトダイオード16間の許容誤差は無視できる。これは、従来の太陽センサの場合には20%程度感度が異なるフォトダイオード16の較正のための負担が、非常に軽減され得るか、又は全て省かれ得ることを意味する。
【符号の説明】
【0030】
10 太陽センサ
10′ 太陽センサ
10″ 太陽センサ
12 ハウジング
14 入射する太陽輻射に面する面
16 フォトダイオード
18 フォトダイオードのセンサ領域
19 センサ領域の面
20 コネクタ要素
22 結合ワイヤ
24 コネクタ要素
26 焦点面
28 光軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽輻射の入射方向及び強度を検出するための太陽センサに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な技術的適用例では、瞬間的な太陽輻射に関する情報を、太陽輻射の強度及び入射方向の両方に関してすぐに取得することが時には必要である。太陽センサの1つの可能な適用例が、自動車輌の空調システムであり、太陽輻射によって引き起こされる車輌内部の加熱が、補償のために検出されるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第10102353号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術では、傾斜した複数の個別のフォトダイオードを備えた太陽センサに関する概念が公知である。このような太陽センサの例が、独国特許出願公開第10102353号明細書、独国特許出願公開第102004053958号明細書、及び欧州特許出願公開第1460448号明細書に述べられている。他の公知の概念では、導光器、拡散要素及びカバー(レキサンキャップ(Lexan caps)、つまり昼光フィルタ)が備えられており、これらは、太陽輻射の入射方向及び強度を検出するために必要である。フォトダイオードの傾斜により、太陽センサの製造(特に組立)が更に困難になり、更に、導光器、拡散要素及びレキサンキャップのような追加の要素は太陽センサのコスト増加を引き起こす。また、上述されたタイプの公知の太陽センサは、センサ要素が互いに調節して較正されなければならない(太陽センサの調節及び較正)という点で不便である。
【0005】
本発明は、太陽輻射の入射方向及び強度を検出するための太陽センサであり、製造及び組立のコスト効率の良い簡素化された構造概念及びセンサ要素を特徴とする前記太陽センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、太陽輻射の入射方向及び強度を検出するための太陽センサを提供し、該太陽センサは、
− 太陽輻射の少なくとも一部に透過性を有するプラスチック材料から形成されており、入射する太陽輻射に面する湾曲した面を有するハウジングであり、レンズとして光学的に機能し、前記ハウジングのレンズ特性によって定義される内部の焦点面を有する前記ハウジング、及び
− ハウジングのプラスチック材料にはめ込まれている少なくとも2つの光センサを備えており、
− 各光センサは、前記プラスチック材料が透過性を有する太陽輻射の少なくとも一部を感知可能なセンサ領域を含んでおり、前記光センサのセンサ領域は、入射する太陽輻射に面する面から見て、焦点面の前又は該焦点面の後に(焦点面と略平行に)設けられた略共通の平面に配置されており、
− 太陽輻射の入射方向が、光センサのセンサ領域によって受けた太陽輻射の強度に基づいて決定され得る。
【0007】
本発明の太陽センサでは、少なくとも2つの光センサ(例えば、フォトダイオード)がハウジングのプラスチック材料体にはめ込まれている。このハウジングは、例えば、配線式のフォトダイオード(THT 技術)から公知であるハウジングと同様のハウジングであってもよい。しかしながら、SMD 技術のハウジングも考えられる。用いられるプラスチック材料は、太陽輻射の少なくとも一部(例えば赤外線部分)に透過性を有する。ハウジングは、入射する太陽輻射に面して、太陽輻射に露出可能であり、湾曲した、つまり球形状の面を有する。ハウジングの幾何学的形状(特に入射側における形状)により、ハウジングはレンズとして光学的に機能して、ハウジングの特性がハウジング内に設けられた焦点面を定義しており、入射する太陽輻射の焦点が、焦点面内に置かれているか、又は入射方向に応じて、焦点面内を焦点が移動する。前記焦点面は、太陽センサの光軸に略直角に延びている。
【0008】
本太陽センサの各光センサは、ハウジングのプラスチック材料が透過性を有する太陽輻射の一部分を感知可能なセンサ領域を含んでいる。少なくとも2つの光センサのセンサ領域は、焦点面の外側に、つまり、入射する太陽輻射に面する面から見て、焦点面の前又は焦点面の後に設けられている略共通の平面に設けられている。光センサのセンサ領域は、光軸がセンサ領域の中心にあるように配置されている。
【0009】
ハウジングのレンズ特性により、各光センサは、太陽輻射の入射方向に応じて、様々な大きさの太陽輻射強度を受ける。そのため、光センサの個別の信号の組み合わせから太陽輻射の入射方向を決定することが可能である。更に、太陽輻射の強度に関する情報が得られる。
【0010】
本太陽センサの重要な特徴は、全ての光センサが共通の(標準的な)ハウジングに略平面方向に配置されており、従来の発光ダイオード及びフォトダイオードから公知であるように、光センサが特にはプラスチック材料にはめ込まれていることである。焦点面の外側に光センサを配置することにより、太陽センサの光軸に対する(ハウジング表面に垂直に)太陽輻射の様々な入射角について、太陽輻射の最大可能部分が光センサのセンサ領域に入射し、しかも、太陽輻射により、入射角に応じて個別の光センサの様々なレベルの輻射が引き起こされることが利点である。
【0011】
本発明によれば、少なくとも2つの光センサが必要である。しかしながら、3以上の光センサを設けることが適切である。3つの光センサが設けられるとき、該光センサのセンサ領域が夫々互いに対して120 °ずつオフセットされるように光センサは配置される。4つの光センサでは、該光センサのセンサ領域が矩形状にマトリックスのように配置される。5以上の光センサが設けられる場合、該光センサのセンサ領域が、(場合によっては等辺の)多角形の外形を有する全体領域を画定するように光センサは配置される。
【0012】
有利には、(半導体)光センサが共通の基板に配置及び/又は形成されており、光センサは、フォトダイオード又は赤外線検出器として構成されている。光センサが共通の(半導体)基板に形成される(つまり、光センサが共に製造される)ので、光センサの調節又は較正が必要ではない。適切には、光センサと電気的に接続された電気的なコネクタ要素がハウジングから突出しており、コネクタ要素は、プラグのコネクタ要素として構成されている。
【0013】
本発明の太陽センサは、追加の導光器も拡散要素もレキサンキャップも必要としない。更に、光センサを互いに較正する処理を行なう必要がない。本発明の太陽センサの別の利点は、機能的な要素が全て光学的要素に一体化されており、従って、(2D/3D )太陽センサの全ての所望の光学的特性が、更なる追加の構造的要素なしで、光学的要素自体によってのみ備えられているということである。
【0014】
本発明の太陽センサの特徴及び利点として、以下が挙げられ得る。
− 共通のハウジングに設けられた少なくとも2つの高感度光センサ(光センサ)は、平面方向に配置されて、太陽輻射を検出するために用いられており、それによって単一の一体化された要素が得られる。
− 光透過性ハウジングはフィルタ材料及び拡散材料を含んでもよく、フィルタ材料及び拡散材料により、波長に関する太陽輻射の選択的な検出(フィルタ)が可能になり、更に、入射輻射の均質化(拡散器)が可能になる。
− 3つの光センサでは、光センサは120 °の配列で設けられている。
− 4つの光センサが設けられる場合、光センサは矩形状の90°の配列で設けられている。
− 5以上の光センサでは、光センサは、光センサの数に対応する等辺多角形の形状に配列されている。
− 光センサは、個別の光センサで電気信号のタッピングを可能にするリードフレーム(コネクタ要素)又は別のキャリア構造に配置されており、リードフレームは、要素が電子部品に電気的に接続され得るプラグとして同時に機能してもよい。
− 標準的な半田付け方法を用いて、THT 技術又はSMD 技術で実現されたリードフレームは、信号を処理するための外部の回路基板に電気的に接続されてもよい。
− ハウジングは、光学的要素(例えば、昼光フィルタリング特性)としてそれ自体公知である標準のプラスチック材料から形成されている。
− ハウジングは、光学的要素のための標準的な製造方法を用いて製造され得る。
− ハウジングは、幾何学的な形状により、太陽センサの位置での太陽輻射の方向に加えて、入射する太陽輻射の強度も、太陽センサの幾何学的な構成から決定され得ることを保証する。
− 4以上の光センサが用いられる場合、直接的な太陽輻射の間接的な(拡散器)の太陽輻射に対する比が決定され得る。
【0015】
本発明を、幾つかの実施形態及び図面を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る2つの光センサを備えた太陽センサを示す側断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る2つの光センサを備えた太陽センサを示す平面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る3つの光センサを備えた太陽センサを示す側断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る3つの光センサを備えた太陽センサを示す平面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る4つの光センサを備えた太陽センサを示す側断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る4つの光センサを備えた太陽センサを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び2は、太陽センサ10の第1実施形態の側断面図及び平面図である。太陽センサ10は、本実施形態では、赤外線放射に透過性を有し、昼光を略遮断するプラスチック材料から構成された(固形物の)ハウジング12を備える。入射する太陽輻射に露出可能なハウジング12の面14が、湾曲しているか又は球形状を有しており、ハウジング12のこの部分にレンズ特性が与えられるように形成されている。
【0018】
2つのフォトダイオード16がハウジング12に配置されており、フォトダイオード16のセンサ領域18が、略共通の平面19に設けられている。両方のフォトダイオード16は、共通のコネクタ要素20上に配置されており、各フォトダイオード16は、結合ワイヤ22を介して他の異なるコネクタ要素24に更に接続されている。前記太陽センサにより、太陽輻射の2D検出が可能になる。
【0019】
図3及び4は、太陽センサ10′の別の実施形態を示す。太陽センサ10′の要素が、図1及び2に示された太陽センサ10の要素と構造的又は機能的に同様又は同一である限り、同一の参照番号が図3及び4に用いられている。
【0020】
太陽センサ10′では、3つのフォトダイオード16が、正三角形の辺に沿ってコネクタ要素20上に配置されており、つまり、夫々120 °ずつオフセットされている。このような太陽センサの配置により、太陽輻射の3D検出が可能になる。
【0021】
最後に、図5及び6は、太陽センサ10″の更なる別の実施形態を示す。この場合も、太陽センサ10″の要素が図1及び2に示された太陽センサ10の要素に構造的又は機能的に同様又は同一である限り、同一の参照番号が図5及び6に用いられている。
【0022】
太陽センサ10,10′ と異なり、太陽センサ10″は矩形状に配置された4つのフォトダイオード16を備えており、各フォトダイオードは、結合ワイヤ22を介して別のコネクタ要素と接続されている。
【0023】
説明された太陽センサの機能は、複数のフォトダイオードが別々に反応するが、個別の信号の組み合わせで、入射する太陽輻射に対して明確に反応するように、光センサのための標準的なハウジングに複数のフォトダイオードを配置するという考えに夫々基づいている。太陽センサ又は別の電子機器のマイクロコントローラ(図示せず)で直接実施する計算処理では、太陽輻射の強度に加えて太陽輻射の入射方向も、個別の信号から計算され得る。
【0024】
ここでは、フォトダイオード16は共通の平面19に平面状に配置されており、2以上のフォトダイオードを用いることが可能である。3つの光センサが用いられるとき、考えられ得る共通の平面における幾何学的配置は正三角形であり、4つの光センサが用いられるときは正方形又は矩形である。フォトダイオードが従来、正方形の断面を有して製造されているという事実により、4つの光センサが単一の基板に共に配置されて製造され得るので、4つの光センサの配置が好ましい。
【0025】
太陽輻射の入射角に応じた個別の光センサに関する様々な放射がハウジング12のレンズ特性によって引き起こされ、該ハウジングは、レンズとして光学的に機能して、対象の放射線を通過させる材料(プラスチック材料)から形成され、前記材料はフィルタ材料又は拡散材料で濃縮されてもよい。レンズ特性は、入射面14のハウジング表面の膨らみ(例えば球形状)によって達成されて、膨らみの半径は、センサ領域18のサイズに応じて選択されるだけでなく、光センサの垂直方向及び水平方向の位置の関数として選択される必要がある。
【0026】
太陽センサの幾何学的配置を構成する際に、光センサ16のセンサ領域18が、入射面14を通り抜けて入射する太陽輻射の焦点面(図1、3及び5に示された焦点面26参照)にないが、光軸28に沿って焦点面26の前又は焦点面26の後に置かれていることを注目すべきである。従って、ハウジング表面の垂直線(光軸28)に関する太陽輻射の様々な入射角について、太陽輻射の最大可能部分が、全てのフォトダイオード16のセンサ領域18に入射するが、太陽輻射により、入射角に応じて、個別のフォトダイオードの様々なレベルの輻射が引き起こされる。
【0027】
入射角と光センサの個別の信号との明瞭な関係が、ハウジング12の幾何学的構成、ハウジング材料の光特性(プラスチック材料の回析指数)及びハウジング12内における個別のフォトダイオード16の位置(フォトダイオード16とフォトダイオード16のセンサ領域18との互いに対する位置及びサイズ、センサ領域18の配置及び位置に対する光軸28の水平の軌線、及び水平方向及び垂直方向の配置)によって生じる。
【0028】
個別のフォトダイオードが検出可能な立体角部分は重複する。個別のフォトダイオードの位置における夫々の光強度から、太陽輻射の方向及び全体的な強度の両方が、夫々のセンサ信号によって決定され得る。更に、4以上のフォトダイオードを用いた場合は、太陽輻射の拡散部分と直接部分との比で決定され得る。
【0029】
製造方法により、フォトダイオード16が同一の基板から夫々形成される場合、個別のフォトダイオード16のセンサ領域18の感度許容誤差は、最低水準から理想的には零の範囲である。従って、フォトダイオード16間の許容誤差は無視できる。これは、従来の太陽センサの場合には20%程度感度が異なるフォトダイオード16の較正のための負担が、非常に軽減され得るか、又は全て省かれ得ることを意味する。
【符号の説明】
【0030】
10 太陽センサ
10′ 太陽センサ
10″ 太陽センサ
12 ハウジング
14 入射する太陽輻射に面する面
16 フォトダイオード
18 フォトダイオードのセンサ領域
19 センサ領域の面
20 コネクタ要素
22 結合ワイヤ
24 コネクタ要素
26 焦点面
28 光軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽輻射の入射方向及び強度を検出するための太陽センサにおいて、
− 太陽輻射の少なくとも一部に透過性を有するプラスチック材料から形成されており、入射する太陽輻射に面する湾曲した面(14)を有するハウジング(12)であり、レンズとして光学的に機能し、前記ハウジングのレンズ特性によって定義される内部の焦点面(26)を有する前記ハウジング(12)、及び
− 該ハウジング(12)のプラスチック材料にはめ込まれている少なくとも2つの光センサ(16)を備えており、
− 各光センサ(16)は、前記プラスチック材料が透過性を有する太陽輻射の少なくとも一部を感知可能なセンサ領域(18)を含んでおり、前記光センサ(16)のセンサ領域(18)は、入射する太陽輻射に面する面(14)から見て、焦点面(26)の前又は該焦点面(26)の後に設けられた略共通の平面(19)に配置されており、
− 太陽輻射の入射方向が、前記光センサ(16)のセンサ領域(18)が受けた太陽輻射の強度に基づいて決定され得ることを特徴とする太陽センサ。
【請求項2】
3つの前記光センサ(16)が設けられており、該光センサ(16)のセンサ領域(18)が夫々互いに対して120 °ずつオフセットされていることを特徴とする請求項1に記載の太陽センサ。
【請求項3】
4つの前記光センサ(16)が設けられており、該光センサ(16)のセンサ領域(18)がマトリックス状に矩形状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽センサ。
【請求項4】
5以上の前記光センサ(16)が設けられており、該光センサ(16)のセンサ領域(18)が、多角形の外形を有する全体領域を画定していることを特徴とする請求項1に記載の太陽センサ。
【請求項5】
前記ハウジング(12)のプラスチック材料は、フィルタ材料及び/又は拡散材料を含んでいることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽センサ。
【請求項6】
前記光センサ(16)は、共通の基板に配置及び/又は形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の太陽センサ。
【請求項7】
前記光センサ(16)は、フォトダイオードとして構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の太陽センサ。
【請求項8】
前記光センサ(16)は、例えば、サーモパイルのような赤外線検出器として構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の太陽センサ。
【請求項9】
前記光センサ(16)と電気的に接続された電気的なコネクタ要素(20,24) が、前記ハウジング(12)から突出しており、前記コネクタ要素(20,24) は、プラグのコネクタ要素として構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の太陽センサ。
【請求項10】
前記光センサ(16)が配置された前記共通の平面(19)は、前記焦点面(26)と略平行であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の太陽センサ。
【請求項1】
太陽輻射の入射方向及び強度を検出するための太陽センサにおいて、
− 太陽輻射の少なくとも一部に透過性を有するプラスチック材料から形成されており、入射する太陽輻射に面する湾曲した面(14)を有するハウジング(12)であり、レンズとして光学的に機能し、前記ハウジングのレンズ特性によって定義される内部の焦点面(26)を有する前記ハウジング(12)、及び
− 該ハウジング(12)のプラスチック材料にはめ込まれている少なくとも2つの光センサ(16)を備えており、
− 各光センサ(16)は、前記プラスチック材料が透過性を有する太陽輻射の少なくとも一部を感知可能なセンサ領域(18)を含んでおり、前記光センサ(16)のセンサ領域(18)は、入射する太陽輻射に面する面(14)から見て、焦点面(26)の前又は該焦点面(26)の後に設けられた略共通の平面(19)に配置されており、
− 太陽輻射の入射方向が、前記光センサ(16)のセンサ領域(18)が受けた太陽輻射の強度に基づいて決定され得ることを特徴とする太陽センサ。
【請求項2】
3つの前記光センサ(16)が設けられており、該光センサ(16)のセンサ領域(18)が夫々互いに対して120 °ずつオフセットされていることを特徴とする請求項1に記載の太陽センサ。
【請求項3】
4つの前記光センサ(16)が設けられており、該光センサ(16)のセンサ領域(18)がマトリックス状に矩形状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽センサ。
【請求項4】
5以上の前記光センサ(16)が設けられており、該光センサ(16)のセンサ領域(18)が、多角形の外形を有する全体領域を画定していることを特徴とする請求項1に記載の太陽センサ。
【請求項5】
前記ハウジング(12)のプラスチック材料は、フィルタ材料及び/又は拡散材料を含んでいることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽センサ。
【請求項6】
前記光センサ(16)は、共通の基板に配置及び/又は形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の太陽センサ。
【請求項7】
前記光センサ(16)は、フォトダイオードとして構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の太陽センサ。
【請求項8】
前記光センサ(16)は、例えば、サーモパイルのような赤外線検出器として構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の太陽センサ。
【請求項9】
前記光センサ(16)と電気的に接続された電気的なコネクタ要素(20,24) が、前記ハウジング(12)から突出しており、前記コネクタ要素(20,24) は、プラグのコネクタ要素として構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の太陽センサ。
【請求項10】
前記光センサ(16)が配置された前記共通の平面(19)は、前記焦点面(26)と略平行であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の太陽センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2010−537214(P2010−537214A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522369(P2010−522369)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061293
【国際公開番号】WO2009/027459
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(508066083)ベーア−ヘラー サーモコントロール ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061293
【国際公開番号】WO2009/027459
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(508066083)ベーア−ヘラー サーモコントロール ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]