説明

太陽電池用表面保護シート及びそれを用いた太陽電池

【課題】 エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする封止膜との接着性が良い太陽電池用表面保護シートを提供する。
【解決手段】 エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする封止膜との接着性が良い、酢酸ビニル含量が15〜50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部及びエポキシ化合物0.01〜1.5重量部よりなり酸化処理されたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物層並びに樹脂フィルム層からなる太陽電池用表面保護シート、及びそれを用いた太陽電池を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池用表面保護シート及びそれを用いた太陽電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、石化資源の枯渇、環境破壊の進行等の問題を解決する手段として太陽電池が急速に普及しつつある。一般に太陽電池は、結晶シリコンなどの太陽電池セルを使用し、表側表面保護材、封止膜、太陽電池用セル、封止膜、及び裏側表面保護材等を積層し、真空吸引加熱ラミネ−ション法等を利用して製造されている。
【0003】
表側表面保護材は、太陽電池用セルを保護するのに必要な強度を備えたガラス基板、またはポリエステルフィルム等の樹脂フィルム、裏側表面保護材は、軽量で耐久性に優れたポリエステルフィルム、フッ素樹脂フィルム等の樹脂フィルムが一般に用いられている。
【0004】
一方、封止膜は透明性、柔軟性、電気絶縁性、耐久性等の性能が求められ、一般にエチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする膜が使用されており、太陽電池セルや周辺配線を表側表面保護部材と裏側表面保護部材ではさむ際の接着剤としての役割も担っている。
【0005】
しかし、一般に裏側表面保護材に使用されているポリエステルフィルムとエチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする封止膜との接着性は余り良くないため、接着強度の向上を目的としてスチレン−オレフィン共重合体樹脂の熱接着層(ホットメルト接着剤層)を設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、ポリエステルフィルムに、ポリエステル系樹脂やポリウレタン樹脂で構成された接着改善層を設けることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。さらにはオキサゾリン基含有ポリマーを架橋剤として含有する易接着層を設けることが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−060218号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2007−136911号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2006−261288号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1〜3に提案の方法は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする封止膜(以下、単に封止膜と言うことがある)とポリエステルフィルムを接着させるためにエチレン−酢酸ビニル共重合体とは異なる接着層を設けているので接着性が充分でない、また接着層を形成するために環境負荷となる有機溶剤を使用しなければならない、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、酢酸ビニル含量が15〜50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部及びエポキシ化合物0.01〜1.5重量部よりなり酸化処理されたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物層に樹脂フィルムを積層することにより、封止膜との接着性が良い太陽電池用表面保護シートが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち本発明は、酢酸ビニル含量が15〜50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部及びエポキシ化合物0.01〜1.5重量部よりなり酸化処理されたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物層、並びに樹脂フィルム層からなる太陽電池用表面保護シート、及びそれを用いた太陽電池に関するものである。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明の太陽電池用表面保護シートは、酢酸ビニル含量が15〜50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部及びエポキシ化合物0.01〜1.5重量部よりなるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなる層を酸化処理した後に樹脂フィルムに積層したものである。
【0013】
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物層の厚さに特に限定はなく、得られる太陽電池用表面保護シートと封止膜の接着性が向上することから0.5〜1000μmが好ましく、1〜500μmがさらに好ましく、1〜100μmが特に好ましい。
【0014】
また、樹脂フィルム層の厚さは特に限定はなく、耐久性、強度が高いことから5〜3000μm、5〜250μmがさらに好ましく、10〜150μmが特に好ましい。
【0015】
本発明で用いる樹脂フィルムは、特に制限はなく、例えばポリテトラフルオロエチレン、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、及びポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物フィルム等の樹脂フィルム等を挙げることができる。中でも耐熱性、耐久性に優れることからポリエステルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましい。
【0016】
本発明で用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体は、JIS K6924(1997年版)に準拠して測定した酢酸ビニル含量が15〜50重量%であれば特に制限はなく、公知のものを用いることができ、20〜35重量%の酢酸ビニル含量を有するものが好ましい。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニルは部分的に鹸化されていても構わない。一般に封止膜は酢酸ビニル含量が20〜35重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体が用いられているため、本発明で用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量が15重量%未満では本発明で得られる太陽電池用表面保護シートと封止膜の接着強度が充分でなく、50重量%を超えても本発明で得られる太陽電池用表面保護シートと封止膜の接着強度が充分でない。
【0017】
エチレン−酢酸ビニル共重合体のJIS K7210(1995年版)に準拠して測定したメルトインデックス(以下、MIと略す)は、成形時の流動性と接着強度との観点から0.1〜800g/10分であることが好ましく、0.1〜100g/10分であることが更に好ましく、1.0〜15g/10分であることが特に好ましい。
【0018】
本発明で用いるエポキシ化合物は、エポキシ基を有していれば特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
【0019】
エポキシ化合物としては、例えばエポキシ変性ジエン系共重合体、不飽和エポキシ(共)重合体、エポキシ化植物油、エポキシ基及びアルコキシ基を有するシランカップリング剤、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でもエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなる層と樹脂フィルムの接着強度が向上することから、エポキシ変性ジエン系共重合体、不飽和エポキシ(共)重合体、エポキシ化植物油、エポキシ基及びアルコキシ基を有するシランカップリング剤が好ましく、エポキシ基及びアルコキシ基を有するシランカップリング剤がさらに好ましい。
【0020】
エポキシ変性ジエン系共重合体は、例えばジエン系重合体をエポキシ変性することにより得られる。エポキシ変性ジエン系重合体を形成するジエン系重合体としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,4−ヘプタジエン等の単独重合体あるいは2種以上の共重合体を例示することができる。また、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルアクリレート、メチルメタアクリレート等がジエン系単量体と共重合されていてもよい。ジエン系重合体の製造方法は、例えば、溶剤中でラジカル発生剤や連鎖移動剤の存在下、ジエン系単量体および必要に応じて共重合可能なその他の単量体の混合物を共重合することによって得られる。その他、アニオン重合法等の一般的に知られている方法によっても得ることができる。
【0021】
エポキシ変性ジエン系重合体を得るためジエン系重合体のエポキシ変性方法は、特に限定はなく、過酸化水素、有機過酸により処理する方法が例示できる。
【0022】
エポキシ変性ジエン系重合体の分子末端基は、特に限定はなく、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等により変性されていてもよい。
【0023】
また、エポキシ変性ジエン系重合体は、部分的あるいは完全に水素添加されていてもよい。
【0024】
エポキシ変性ジエン系重合体の数平均分子量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物層と樹脂フィルムの接着性が向上することから5000以上が好ましい。
【0025】
エポキシ変性ジエン系重合体のエポキシ基含有量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物層と樹脂フィルムの接着性が向上することから、オキシラン酸素含有量として5%以上であることが好ましい。オキシラン酸素含有量は、試料をベンゼン等の溶剤に溶解した後、クリスタルバイオレット等の指示薬を加え臭化水素規定液により滴定して求めることができる。
【0026】
上記構造及び性能を有するエポキシ変性ジエン系重合体として、前述のジエン系重合体をエポキシ変性したものであれば特に限定するものではなく、中でも液状エポキシ化ポリブタジエンが最も好ましい。液状エポキシ化ポリブタジエンを形成する液状ポリブタジエンは、1,2−ポリブタジエンもしくは1,4−ポリブタジエンのいずれでもよい。ダイセル化学工業製「エポリードRB3600」、旭電化工業製「BF−1000」を例示することができ、「エポリードRB3600」が最も好ましい。
【0027】
不飽和エポキシ(共)重合体としては、例えばラジカル重合可能な不飽和基とエポキシ基を有する単量体残基を含むものを挙げることができ、不飽和基とエポキシ基を有する単量体(以下、不飽和エポキシ単量体という)の単独重合体、又は該単量体とその他の不飽和基を有する単量体との共重合体を挙げることができる。
【0028】
このような不飽和エポキシ単量体は特に限定されるものではないが、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルアクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレート、グリシジルイタコネート、グリシジルブテニネート、グリシジルヘキセノエート、グリシジルオレート等の不飽和グリシジルエステル類;アリルグリシジルエーテル、p−エチレニルフェニルグリシジルエーテル、プロペニルグリシジルエーテル等の不飽和グリシジルエーテル類;p−グリシジルスチレン等のグリシジルスチレン類;3,4−エポキシブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、3,4−エポキシ−3−メチルペンテン、5,6−エポキシ−1−へキセン等のエポキシアルケン類がエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなる層と樹脂フィルムの接着性を向上させることができるため好ましい。これらは1種又は2種以上混合して使用してもかまわない。
【0029】
不飽和エポキシ単量体と共重合可能なその他の不飽和基を有する単量体としては、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、セチルアクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート等のアルキル基を有するアクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン、o−クロロスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有ビニル化合物、アクリル酸ポリエチレングリコール、アクリル酸ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールアクリレート、ポリアルキレングリコールメタクリレート類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用できる。この内アクリル酸エステル類は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなる層と樹脂フィルムが良好な接着性を発現するため最も好ましい。
【0030】
不飽和エポキシ(共)重合体中の不飽和エポキシ単量体の量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなる層と樹脂フィルムの接着性が向上することから15〜100mol%であることが好ましく、更に好ましくは20〜98mol%である。
【0031】
不飽和エポキシ(共)重合体の重量平均分子量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなる層と樹脂フィルムの接着性が向上することから、1000〜20000が好ましく、4000〜20000がさらに好ましい。
【0032】
不飽和エポキシ(共)重合体は、公知の方法により製造することができる。例えば、溶液重合法では40〜150℃の溶剤中でラジカル発生剤や連鎖移動剤の存在下、不飽和エポキシ単量体および共重合可能なその他の単量体の混合物を共重合することによって得られる。その他、懸濁重合法や乳化重合法等一般的に知られている方法によっても得ることができる。
【0033】
エポキシ化植物油としては、例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等が挙げられる。
【0034】
エポキシ基及びアルコキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えばβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられ、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
【0035】
また、これらエポキシ基及びアルコキシ基を有するシランカップリング剤は、単独もしくは2種以上混合して使用してもよく、さらに他のシランカップリング剤やチタン系カップリング剤と併用してもかまわない。本発明に用いられるエポキシ基及びアルコキシ基を有するシランカップリング剤は公知のものを使用することができ、例えば、チッソ株式会社製、商品名:サイラエースS510、S520,S530、信越化学工業株式会社製、商品名:信越シリコーンKBM303,KBM403,KBE402,KBE403等が挙げられる。
【0036】
エポキシ樹脂としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエーテル等の一官能性エポキシ化合物;テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、p−フェニレンジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエステル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の二官能性エポキシ化合物等が挙げられ、その中でも二官能性エポキシ化合物が好ましく、特に2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0037】
これらのエポキシ化合物は1種又は2種以上が使用できる。
【0038】
本発明で用いるエポキシ化合物の量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、エポキシ化合物が0.01〜1.5重量部であり、好ましくは0.05〜1.0重量部である。
【0039】
エポキシ化合物が0.01重量部未満の場合、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなる層と樹脂フィルムの接着性が向上せず、1.5重量部を超えると、得られる太陽電池用表面保護シートの表面がべたついたり、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなる層と樹脂フィルムの接着性が悪化したりする。
【0040】
本発明で用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物は、得られる太陽電池用表面保護シートの耐久性が向上することから架橋剤をさらに含むことが好ましい。
【0041】
架橋剤の量は、架橋工程におけるガスの発生を抑制できることからエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.3〜2.0重量部である。
【0042】
本発明でさらに含むことが好ましい架橋剤としては、10時間半減期温度が80〜120℃、特に85〜95℃であるものが架橋工程におけるガスの発生を抑制できることから好ましく用いられる。なお、架橋剤を分解させた際に残存量が初期値の半分に減少するまでの時間を半減期といい、10時間半減期温度とは半減期が10時間となる温度を意味する。
【0043】
架橋剤としては、熱分解法など簡易な方法により架橋でき、耐湿性が改善されたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなる層が得られることから、有機過酸化物が好ましく用いられる。
【0044】
本発明でさらに含むことが好ましい架橋剤としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジハイドロパーオキサイド、3−ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート;ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0045】
これらのうち架橋工程におけるガスの発生を抑制できることから、1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。
【0046】
本発明で用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物は、得られる太陽電池用表面保護シートの耐久性が向上することから架橋剤と共に架橋助剤をさらに含むことが好ましい。架橋助剤としては、例えばトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の3官能の架橋助剤の他、(メタ)アクリルエステル(例、NKエステル等)の単官能又は2官能の架橋助剤等を挙げることができる。なかでも、トリアリルシアヌレートおよびトリアリルイソシアヌレートが好ましく、特にトリアリルイソシアヌレートが好ましい。
【0047】
架橋助剤の量は、架橋工程におけるガスの発生を抑制できることからエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、1.0〜2.0重量部がより好ましく、0.1〜0.5重量部が特に好ましい。
【0048】
本発明で用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなる層と樹脂フィルムの接着性が向上することから接着向上剤をさらに含むことが好ましい。
【0049】
接着向上剤としては、シランカップリング剤を用いることができ、例えばγ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。中でも、架橋工程におけるガスの発生を高く抑制することができることから、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましく挙げられる。
【0050】
接着向上剤の量は、架橋工程におけるガスの発生を抑制できることからエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、0.1〜1重量部が好ましく、0.1〜0.7重量部であることがより好ましい。
【0051】
本発明におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて各種樹脂を添加することができ、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、及び超低密度ポリエチレン等のポリエチレン;エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−ビニルアルコール樹脂、エチレン−プロピレン共重合体等エチレン系共重合体、ポリプロピレン、ポリプロピレン系共重合体、さらにこれらポリオレフィン樹脂の塩素化物を挙げることができる。
【0052】
また、本発明におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、中和剤、受酸剤、染料、有機顔料、無機顔料、無機補強剤、可塑剤、アクリル加工助剤等の加工助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、発泡剤、滑剤、ワックス、結晶核剤、可塑剤、離型剤、加水分解防止剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、防徽剤、防錆剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤、無機充填材、有機充填材等を挙げることができる。
【0053】
本発明において太陽電池用表面保護シートは、酢酸ビニル含量が15〜50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部及びエポキシ化合物0.01〜1.5重量部よりなるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物層を酸化処理した後に樹脂フィルムに積層することにより製造することができる。例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を押出しラミネート法により酸化処理をした後に樹脂フィルムと積層する方法、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物をフィルム化した後酸化処理してサーマルラミネート法、ヒートシール法、真空ラミネート法等により樹脂フィルムと積層する方法が挙げられる。
【0054】
その際エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物は、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体とエポキシ化合物とをそのまま混合、エチレン−酢酸ビニル共重合体とエポキシ化合物とを押出し機等で溶融混合、エチレン−酢酸ビニル共重合体とエポキシ化合物とを溶剤に溶かして溶液混合した後溶剤を除去、エポキシ化合物を予めエチレン−酢酸ビニル共重合体に練り込んだマスターバッチとエチレン−酢酸ビニル共重合体のペレットとをドライブレンド、したものを供することができる。
【0055】
酸化処理は、例えばクロム酸処理、硫酸処理、空気酸化、オゾン処理、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理等を挙げることができ、中でも、効率的に接着性を上げることができることから、コロナ放電処理、オゾン処理、フレーム処理及び/又はプラズマ処理の少なくとも1種であることが好ましく、コロナ放電処理、オゾン処理がさらに好ましく、オゾン処理が特に好ましい。
【0056】
コロナ放電処理は、樹脂フィルムやシート表面の連続処理技術として広く使用されており、コロナ放電処理機により発生したコロナ雰囲気にフィルムを通過させることにより行われる。エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなる層と樹脂フィルムの接着性が向上することからコロナ放電密度1〜100W・分/mの放電処理を施すことが好ましい。
【0057】
フレーム処理は、天然ガスやプロパン等を燃焼させたときに生じる火炎にフィルム表面を接することで処理が行われる。
【0058】
プラズマ処理は、アルゴン、ヘリウム、ネオン、水素、酸素、空気等の単体または混合気体をプラズマジェットで電子的に励起せしめた後、帯電粒子を除去し、電気的に中性とした励起不活性ガスをフィルム表面に吹き付けることにより行われる。
【0059】
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を押出しラミネート法に供する場合、ダイより押出されたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物よりなる溶融フィルムの少なくとも樹脂フィルムと接する側の表面を空気もしくはオゾンガスにより酸化処理することが好ましい。オゾンガスによる酸化を進行させるオゾン処理の場合、該溶融フィルムの1m当たりに0.5mg以上のオゾンガスを吹き付けることが好ましい。
【0060】
押出しラミネートする際の温度は50〜250℃が好ましく、70〜190℃がさらに好ましい。
【0061】
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物をフィルム化する方法としては、例えばインフレーション成形法、Tダイキャスト成形法、カレンダー成形法、プレス成形法、溶液流延法等を挙げることができる。
【0062】
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなる層と樹脂フィルムとの接着性を向上させるために樹脂フィルムのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物と接する側の表面は酸化処理されることが好ましい。酸化処理は、例えばコロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理等が挙げられ、コロナ放電処理、プラズマ処理が好ましく、少なくとも1種の処理を行うことが好ましい。
【0063】
積層する際の酸化処理はインラインで行うことが好ましい。
【0064】
得られた太陽電池用表面保護シートはエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなる層と樹脂フィルムの接着性を向上させるために、30℃以上で10時間以上熱処理することが好ましい。
【0065】
本発明の太陽電池用表面保護シートは、樹脂フィルム側にさらに防湿層、白色層、耐久層等を積層してもよい。防湿層としては、例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の無機酸化物を蒸着したフィルムが挙げられる。白色層としては、例えば白色顔料を塗布したポリエステルフィルム、白色顔料を含んだり、発泡させたりしたポリエステルフィルム等を挙げることができる。耐久層としては、例えばフッ素樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、フッ素系塗料を挙げることができる。
【0066】
積層は、例えばエステル系接着剤、ウレタン系接着剤を使用してドライラミネート法等により貼り合せることでできる。
【0067】
本発明の太陽電池は、酢酸ビニル含量が15〜50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部及びエポキシ化合物0.01〜1.5重量部よりなり酸化処理されたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物層並びに樹脂フィルム層からなる太陽電池用表面保護シート含んでなり、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物層が太陽電池セル、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる封止膜と接着し内層を形成し、樹脂フィルム層が外層を形成する。本発明の太陽電池の構成は、本発明の太陽電池用表面保護シートを含んでいれば特に制限はなく、例えば受光面側から本発明の太陽電池用表面保護シート/エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる封止膜/太陽電池セル/エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる封止膜/本発明の太陽電池用表面保護シート、本発明の太陽電池用表面保護シート/エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる封止膜/太陽電池セル/本発明の太陽電池用表面保護シート、本発明の太陽電池用表面保護シート/太陽電池セル/エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる封止膜/本発明の太陽電池用表面保護シート、本発明の太陽電池用表面保護シート/太陽電池セル/本発明の太陽電池用表面保護シート、ガラス基板/エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる封止膜/太陽電池セル/エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる封止膜/本発明の太陽電池用表面保護シート、ガラス基板/エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる封止膜/太陽電池セル/本発明の太陽電池用表面保護シート等が挙げられる。
【発明の効果】
【0068】
本発明により産業上極めて応用範囲の広い、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする封止膜との接着性が良い太陽電池用表面保護シートを提供する。本太陽電池用表面保護シートは太陽電池の表面保護材として有用である。
【実施例】
【0069】
以下に実施例にもとづき本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明の理解を助けるための例であって本発明はこれらの実施例により何等の制限を受けるものではない。尚、用いた試薬等は断りのない限り市販品を用いた。
【0070】
<エチレン−酢酸ビニル共重合体>
エチレン−酢酸ビニル共重合体−1(以下、EVA−1と記す。);ウルトラセン(登録商標)751(酢酸ビニル含量28重量%、MFR=5.7g/10分、密度=952kg/m)、東ソー株式会社製
エチレン−酢酸ビニル共重合体−2(以下、EVA−2と記す。);ウルトラセン(登録商標)637(酢酸ビニル含量20重量%、MFR=8.0g/10分、密度=941kg/m)、東ソー株式会社製
エチレン−酢酸ビニル共重合体−3(以下、EVA−3と記す。);ウルトラセン(登録商標)YX13(酢酸ビニル含量32重量%、MFR=1.0g/10分、密度=956kg/m)、東ソー株式会社製
エチレン−酢酸ビニル共重合体−4(以下、EVA−4と記す。);ウルトラセン(登録商標625(酢酸ビニル含量15重量%、MFR=14g/10分、密度=935kg/m)、東ソー株式会社製
エチレン−酢酸ビニル共重合体−5(以下、EVA−5と記す。);Levapren(登録商標)600HV(酢酸ビニル含量60重量%)、LANXESS社製
エチレン−酢酸ビニル共重合体−6(以下、EVA−6と記す。);メルセンH(登録商標H−6410M(酢酸ビニル含量28重量%の鹸化物、MFR=16g/10分、密度=950kg/m)、東ソー株式会社製
<エポキシ化合物>
(1)エポキシ基及びアルコキシ基を有するシランカップリング剤
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、 商品名信越シリコーンKBM403、以下、EP−Aと記す。)
(2)エポキシ変性ジエン系共重合体
液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業株式会社製、 商品名エポリードRB3600、数平均分子量5900、以下、EP−Bと記す。)
(3)エポキシ化植物油
エポキシ化大豆油(旭電化工業株式会社製、 商品名O−130P、以下、EP−Cと記す。)
(4)不飽和エポキシ共重合体
グリシジルメタクリレート280gとエチルアクリレート200g、およびアゾビスイソブチロニトリル3.0gをベンゼン1L中に溶かし、窒素気流中で60℃×3時間重合させた。重合物をn−ヘキサンで沈殿させ、50℃で減圧乾燥し、不飽和エポキシ共重合体であるEP−Dを得た。グリシジルメタクリレートの量は50mol%、重量平均分子量は30000であった。
【0071】
<樹脂フィルム>
(1)ポリエチレンテレフタレートフィルム
ルミラー(登録商標)T60(厚み:125μm)、東レ株式会社製
(2)ポリエチレンナフタレートフィルム
テオネックス(登録商標)Q51(厚み:75μm)、帝人デュポンフィルム株式会社
<封止膜>
接着強度を測定するため、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする封止膜を作製した。エチレン−酢酸ビニル共重合体としてEVA−1を100重量部、架橋剤として1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを2重量部、架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレートを2重量部、シランカップリング剤としてγ−メタクリロプロピルトリメトキシシランを0.5重量部を配合し温度110℃に設定した20mmΦの単軸押出機にて溶融混練しペレットを得た。
【0072】
得られたペレットを圧縮成形して厚さ0.5mmの封止膜−1を作製した。圧縮成形は、110℃で300秒間加熱した後、30℃で300秒間冷却して行った。
【0073】
<接着強度の測定>
剥離試験は、引張試験機(島津製作所(株)製、商品名:オートグラフDCS500)を用い、サンプル巾15mm、剥離速度300mm/分の条件で樹脂フィルムをチャックではさみT型剥離した際の剥離強度を測定し、該剥離強度を接着強度とした。
【0074】
実施例1
エチレン−酢酸ビニル共重合体としてEVA−1を100重量部、エポキシ化合物としてEP−Aを0.1重量部配合し、温度110℃に設定した20mmΦの単軸押出機にて溶融混練しペレットを得た。
【0075】
得られたペレットを25mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、ルミラー(登録商標)T60(厚み:125μm)をコロナ処理した面に190℃の温度でTダイより押出し、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物が100μmの厚さになるようラミネートし太陽電池用表面保護シートを得た。その際、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物の溶融フィルムの樹脂フィルムと接する側の表面に、フィルム1m当たりに1.0mgのオゾンガスを吹き付けオゾン処理をした。
【0076】
得られた太陽電池用表面保護シートを20時間40℃に保温されたオーブン中に保管した後、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなる層と封止膜−1が接触するように、得られた太陽電池用表面保護シートで封止膜−1を挟み、遠赤外加熱炉(テーピ熱学株式会社製)を用い、温度100℃で5分間仮接着した後、温度150℃に設定したオーブン中で20分間熱接着した。その後15mm幅に切断し、接着試験片とした。接着強度を測定した結果を表1に示す。
【0077】
【表1】

実施例2、4〜6
エチレン−酢酸ビニル共重合体としてEVA−1を100重量部、エポキシ化合物としてEP−Aを0.1重量部を用いた代わりに、表1に示すエチレン−酢酸ビニル共重合体、エポキシ化合物、配合量を用いた以外は実施例1と同様に太陽電池用表面保護シートを作製し評価した。評価した結果を表1に示す。
【0078】
実施例3
エチレン−酢酸ビニル共重合体としてEVA−3を100重量部、エポキシ化合物としてEP−Bを0.1重量部を配合し温度110℃に設定した20mmΦの単軸押出機にて溶融混練しペレットを得た。
【0079】
得られたペレットを圧縮成形して厚さ0.5mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなるフィルムを得た。圧縮成形は、110℃で300秒間加熱した後、30℃で300秒間冷却して行った。該フィルムの片面を50W・分/mの条件でコロナ処理をした後、樹脂フィルムとしてテオネックス(登録商標)Q51(厚み:75μm)を用い、その片面にコロナ処理を施し、該ポリエチレンナフタレートフィルムのコロナ処理面とエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなるフィルムのコロナ処理面を合わせ、遠赤外加熱炉(テーピ熱学株式会社製)を用い、温度100℃で5分間間熱接着して、太陽電池用表面保護シートを得た。
【0080】
得られた太陽電池用表面保護シートを温度23℃、相対湿度50%の環境に3日間放置した後、得られた太陽電池用表面保護シートの接着強度を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0081】
比較例1、3〜5
エチレン−酢酸ビニル共重合体としてEVA−1を100重量部、エポキシ化合物としてEP−Aを0.1重量部を用いた代わりに、表1に示すエチレン−酢酸ビニル共重合体、エポキシ化合物、配合量を用いた以外は実施例1と同様に太陽電池用表面保護シートを作製し評価した。評価した結果を表1に示す。但し、比較例5ではオゾン処理をしなかった。
【0082】
比較例2
エチレン−酢酸ビニル共重合体としてEVA−1を100重量部、エポキシ化合物としてEP−Aを0.1重量部を用いた代わりに、表1に示すエチレン−酢酸ビニル共重合体、エポキシ化合物、配合量を用いた以外は実施例3と同様に太陽電池用表面保護シートを作製し評価した。評価した結果を表1に示す。
【0083】
比較例1では、用いたエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量酢酸ビニル含量が少なすぎるため、得られた太陽電池用表面保護シートの接着強度が低かった。
【0084】
比較例2では、用いたエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量酢酸ビニル含量が多すぎるため得られた太陽電池用表面保護シートの接着強度が低かった。
【0085】
比較例3では、エポキシ化合物を用いなかったため得られた太陽電池用表面保護シートの接着強度が低かった。
【0086】
比較例4では、用いたエポキシ化合物の量が多すぎて得られた太陽電池用表面保護シートの接着強度が低かった。
【0087】
比較例5では、酸化処理を行わなかったため太陽電池用表面保護シートの接着強度が低かった。
【0088】
実施例7
エチレン−酢酸ビニル共重合体としてEVA−1を100重量部、エポキシ化合物としてEP−Aを0.1重量部、架橋剤として1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを2重量部、架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレートを2重量部、シランカップリング剤としてγ−メタクリロプロピルトリメトキシシランを0.5重量部を配合し温度110℃に設定した20mmΦの単軸押出機にて溶融混練しペレットを得た。
【0089】
得られたペレットを圧縮成形して厚さ0.5mmのフィルムを作製した。圧縮成形は、110℃で300秒間加熱した後、30℃で300秒間冷却して行った。該フィルムの片面を50W・分/mの条件でコロナ処理をして、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなるフィルムを得た。
【0090】
その後、樹脂フィルムとしてルミラー(登録商標)T60(厚み:125μm)を用い、その片面にコロナ処理を施し、該ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面とエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなるフィルムのコロナ処理面を合わせ、遠赤外加熱炉(テーピ熱学株式会社製)を用い、温度100℃で5分間間熱接着して、太陽電池用表面保護シートを得た。
【0091】
得られた太陽電池用表面保護シートを温度23℃、相対湿度50%の環境に3日間放置した後、得られた太陽電池用表面保護シートの接着強度を実施例1と同様にして測定したところ接着強度は51N/15mmであった。
【0092】
実施例8
下から順に、表側表面保護材としてガラス基板(北陸板硝子製)、封止膜−1、実施例1で得られた太陽電池用表面保護シートを樹脂フィルムが外側になるように重ねて、遠赤外加熱炉(テーピ熱学株式会社製)を用い、温度100℃で5分間仮接着した後、温度150℃に設定したオーブン中で20分間熱接着し、太陽電池相当の積層体を作製した。得られた太陽電池相当の積層体は各層の接着性が良いものであった。
【0093】
実施例9
実施例3で得られた太陽電池用表面保護シート2枚をエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物層が接触するように重ねて、遠赤外加熱炉(テーピ熱学株式会社製)を用い、温度100℃で5分間仮接着した後、温度150℃に設定したオーブン中で20分間熱接着し、太陽電池相当の積層体を作製した。得られた太陽電池相当の積層体は各層の接着性が良いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の太陽電池用表面保護シートは、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする封止膜との接着性が良く、太陽電池の太陽電池用表面保護シートとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸ビニル含量が15〜50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部及びエポキシ化合物0.01〜1.5重量部よりなり酸化処理されたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物層並びに樹脂フィルム層からなることを特徴とする太陽電池用表面保護シート。
【請求項2】
樹脂フィルムがポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用表面保護シート。
【請求項3】
ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンナフタレートフィルムであることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池用表面保護シート。
【請求項4】
樹脂フィルムが酸化処理されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの項に記載の太陽電池用表面保護シート。
【請求項5】
酸化処理が、コロナ放電処理、オゾン処理、フレーム処理及び/又はプラズマ処理であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの項に記載の太陽電池用表面保護シート。
【請求項6】
エポキシ化合物が、エポキシ基及びアルコキシ基を有するシランカップリング剤、エポキシ変性ジエン系共重合体、エポキシ化植物油並びに/又は不飽和エポキシ(共)重合体であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの項に記載の太陽電池用表面保護シート。
【請求項7】
エポキシ化合物がエポキシ基及びアルコキシ基を有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかの項に記載の太陽電池用表面保護シート。
【請求項8】
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物がエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して0.1〜5重量部の架橋剤をさらに含むことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかの項に記載の太陽電池用表面保護シート。
【請求項9】
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物がエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して0.1〜5重量部の架橋助剤をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池用表面保護シート。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれかの項に記載の太陽電池用表面保護シートを含むことを特徴とする太陽電池。

【公開番号】特開2010−186932(P2010−186932A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31180(P2009−31180)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】