説明

好ましいシステム選択を実行するための方法および機器

【課題】好ましいシステム選択を実行するための方法および機器
【解決手段】
加入者局が位置する地理上の地域に従って通信システムを選択するための方法および機器。捕そく成功時に、加入者局は、受信されたシステム識別情報を調べ、その地理上の地域を判断する。それから、加入者局は、捕そくされたシステムが、該地理上の地域で使用するためにもっとも望ましいシステムであるかどうかを判断する。それが地理上の地域で使用するためにもっとも望ましいシステムである場合には、加入者局は、捕そくされたシステムを使用してサービスを提供する。それが該地理上の地域で使用するためにもっとも望ましいシステムではない場合には、加入者局はより望ましいシステムの捕そくを試みる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信システムに関する。さらに、本発明は、複数の地理上の地域での操作可能な加入者局(subscriber station)で好ましい通信システムを選択するための新規かつ改善された方法および機器に関する。
【背景技術】
【0002】
社会において移動通信システムがさらに一般的になるに従って、より重要で、より精密なサービスに対する要望が高まってきた。移動通信システムの容量ニーズを満たすために、限られた通信資源(resource)に対する多重アクセスという技法が開発された。符号分割多重アクセス(CDMA)変調技法の使用は、多数のシステム・ユーザーが存在する通信を助長するためのいくつかの技法の内の1つである。時分割多重アクセス(TDMA)および周波数分割多重アクセス(FDMA)のような他の多重アクセス通信システム技法が、技術上周知である。しかし、CDMAのスペクトラム拡散変調技法には、多重アクセス通信システム用のこれらの変調技法に優る重要な優位点がある。
【0003】
多重アクセス通信システムでのCDMA技法の使用は、「衛星または地上中継器を使用するスペクトラム拡散多重アクセス通信システム」と題する、1990年2月13日に発行され、本発明の譲受け人に譲渡され、参照してここに組み込まれる、米国特許第4,901,307号に開示される。多重アクセス通信システムにおけるCDMA技法の使用は、さらに、「CDMAセルラー電話システムで信号波形を生成するためのシステムおよび方法」とい題する、1992年4月7日に発行され、本発明の譲受け人に譲渡され、参照してここに組み込まれる、米国特許第5,103,459号に開示される。
【0004】
加入者局のユーザーがある地理上のエリアから別のエリアに移動すると、加入者局は、サービスを実施するための通信システムを選択しなければならない。ユーザーが、異なる地理上の地域で加入者局を操作する2つの手段がある。第1の方法によって、ユーザーは、多様な地域の通信サービスに加入する。したがって、加入者局は、ユーザーが加入する通信システムを見つけ出せばよく、それらのサービス・プロバイダのどれかを使用してサービスを提供する可能性がある。
【0005】
代わりに、ユーザーが、ローミング・サービスによって通信することもある。移動通信プロバイダは、プロバイダ間で契約を交渉し、その顧客には「ローミング」として知られるサービスを提供する。「ローマー(roamer)」とは、ユーザーが加入しているプロバイダ以外の移動通信サービス・プロバイダによって運用されるシステムでのサービスを必要とする加入者局のことである。現在では、加入者局がローミング中の場合、ローミング状態を示す信号がユーザーに与えられる。ローミングの決定は、加入された1つまたは複数のシステムのシステム識別(identification)(SID)を、そのシステムによって放送されるサービスを提供するシステムのSIDと比較した結果なされる。これは、加入者局のユーザーに、提供されているサービスがローミング料金を蓄積していることを警告する。
【0006】
加入者局は、通常、ユーザーの地理上の位置を知らないため、加入者局は、費用およびサービスの質という点でユーザーに最適のサービスを提供するシステムを(エリアの考えられる通信システムから)選択しなければならない。ユーザーが操作できることを希望する地域の数が増加するに従って、加入者局が捕そく (acquisition) を試みなければならないさまざまな通信システムの数も増加する。本発明は、ユーザーのニーズにもっとも適した通信システムを選択するための方法および機器を提供する。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、「マルチモード加入者局でのシステム決定のための方法および機器」と題する、本発明の譲受け人に譲渡され、参照してここに組み込まれる、同時係属中の米国特許出願番号第08/509,719号に詳細に説明されるような、マルチモード加入者局で説明される。例示的な実施例は、CDMA信号を送受可能で、AMPSおよびNAMPSのようなアナログ信号を送受可能な加入者局という文脈で説明される。本発明は、TDMA、FDMAおよびGSMを含む任意のデジタル通信システムに等しく適用できる。さらに、本発明は、1つのモード(例えば、アナログまたはデジタル)だけでの運用が可能な加入者局にも等しく適用できる。
【0008】
発明の要約
本発明では、加入者局は、その内のいくつかが「好ましい(preferred) 」システム(加入者局が使用することを許されるシステム)であり、その内のいくつかが「否定的な」システム(加入者局が使用することを許されないシステム)である、システムのリストを保持する。リスト中の各システムに結び付くのは、対応する捕そくパラメータ(バンド、周波数、モードなど)だけではなく、システムID(SID)である。このリストが、本文中、汎用システム・テーブル(universal system table)と呼ばれる。
【0009】
汎用システム・テーブルは、加入者局が、容易に、どちらのシステム(好まれているか、あるいは否定的)が共通の地理上の地域をカバーするのかを判断できるように保持される。共通の地理上の地域に対する参照は、共通無線有効範囲 (coverage)のエリアを指す。さらに、1つの共通した地理上の地域をカバーするシステムには優先順位(preferences) が付けられる(つまり、もっとも望ましいからもっとも望ましくないまで等級が付けられる)。加入者局の仕事は、加入者局の現在の地理上のエリア内でもっとも望ましいシステムでのサービスの捕そくを試みることである。システムは、典型的に、限られた地理上の地域内だけでサービスを提供するので、加入者局の現在の地理上の地域の外にあるシステムでサービスを捕そくしようとしても無駄である。
【0010】
問題は、加入者局が必ずしも、電源が投入されたときにそれがどこにいるのかを理解していないという点である。ローミングのため、それは、過去にいたところとはまったく異なる地域にいる可能性がある。したがって、もっとも望ましいシステムはおろか、システムをどのように捕そくするのかが明らかでない可能性がある。本発明の例示的な実施例では、加入者局は、もっとも最近使用された (MRU)システムのリストを保持する。加入者局が、現在、それがそれほど以前のことではない過去にいたどこかにいる十分な見込みがあるため、第1手段として、これらのシステムの内の1つの捕そくを試みるのには大きな意味がある。 加入者局は、MRUシステムを捕そくできない場合、適切な捕そくパラメータを使用して、汎用システム・テーブル内で任意の好ましいシステムの捕そくを試みることができる。例示的な実施例では、加入者局は、最初に、捕そくが「もっとも容易な」システム(例えば、汎用システム・テーブルにはAMPSシステムがあると仮定して、AMPSシステム)で捕そくを試みる。例示的な実施例で、加入者局がこれらのシステムの内の1つを捕そくできない場合、加入者局は、汎用システム・テーブル内の「もっとも代表的な」システムであるシステムの捕そくを試みる。言い換えると、汎用システム・テーブルは、おそらく、そのSIDおよびその地理上の地域に関してだけ異なるが、同一の捕そくパラメータ(例えば、チャネル番号または周波数ブロック指名子)を持つ数多くのシステムを含んでいるだろう。
【0011】
加入者局がいったんシステムを捕そくすると、加入者局は、架空メッセージから捕そくされたシステムのSIDをとらえることができる。加入者局は受信されたSIDを使用し、それが位置している地理上の地域を判断する。例示的な実施例では、加入者局は、捕そくされたシステムが好まれているか、否定的であるかに関係なく、汎用システム・テーブルからこの地理情報を捕そくすることができる。
【0012】
SIDが、その地理上の地域内のもっとも好ましいシステムである汎用システム・テーブル中の好ましいシステムに属す場合、加入者局は、そのシステムを使用してサービスを提供する。捕そくされたシステムのSIDが、その地理上のエリア内でもっとも望ましいシステムではない汎用システム・テーブル中のシステムに属す場合、加入者局は受信しSIDを使用し、それが位置する地理上の地域を判断する。加入者局は、地域のもっとも望ましいからもっとも望ましくないまで、地理上の地域内のシステムで捕そくを連続して試みることによって、その地理上のエリア内でもっとも望ましいシステムの捕そくを試みる。
【0013】
SIDが汎用システム・テーブルにないシステムに属す場合は、加入者局は他のシステムの捕そくを試みる。加入者局が好ましいシステムを捕そくできない場合は、加入者局はこのシステムに戻ることがある。
【0014】
本発明の特徴、目的、および優位点は、類似した参照文字が全体を通して対応して識別する図面とともに解釈されるときに、以下に説明される詳細な説明からさらに明らかになるだろう。
【発明の実施の形態】
【0015】
図1を参照すると、マルチモード加入者局(MMSS)1がシステム決定状態(substate)にあるとき、操作は、システム決定プロセッサ8によって実施される。システム決定状態では、システム決定プロセッサ8が、MMSS1が捕そくの実行を試み、捕そく回路に必要なパラメータを提供する通信システムを選択する。システム決定プロセッサ8は、図に関連して説明されるように、プログラム制御の元で機能するマイクロプロセッサとして実現されることがある。
【0016】
例示的な実施例では、MMSS1は、アナログ変調復調処理回路(アナログ回路)4を使用するアナログ伝送と受信、およびデジタル変調復調処理回路(デジタル回路)6を使用するデジタル伝送と受信の両方が可能な二重モード加入者局である。例示的な実施例では、デジタル回路6は、符号分割多重アクセス(CDMA)送受回路である。ただし、TDMAやGSMのような他のタイプのデジタル通信モードが使用されることもある。本発明は、セルラー通信システム、個人通信システム(PCS)および複数の地理上の地域で操作可能な加入者局にサービスを提供することがあるそれ以外の通信システムに適用することができる。
【0017】
アナログ回路4の設計は技術で既知であり、William C.Y.Leeによる移動セルラー電気通信システムに詳細に説明される。デジタル回路6の例示的な実施例は、前記米国特許番号第4,901,307号および第5,103,459号に詳細に説明される。
【0018】
もっとも最近使用された(MRU)テーブル9は、MMSS1によってもっとも最近使用された通信システムのリストを含む。例示的な実施例では、MRUテーブル9は、MMSS1の電源が切られた後にも保持される不揮発性メモリ内で実現される。汎用システム・テーブル11には、MMSS1が存在すると「知っている」すべての通信システムのシステム・パラメータが含まれる。例示的な実施例では、汎用システム・テーブル11には好ましいシステムと否定的なシステムの両方に関する情報が含まれ、システムはその地理的な地域に従って蓄積される。例示的な実施例では、汎用システム・テーブル11は、MMSS1の電源が切られた後も保持される不揮発性メモリ内で実現される。
【0019】
例示的な実施例では、汎用システム・テーブル11に蓄積されるシステムが地理上の地域に従って分類されてから、地理上のグループ内で一覧される各システムはもっとも望ましいからもっとも望ましくないまで連続して順序付けられる (ordered) 。システムに等級を付けるための基準には、例えば、サービスの費用、サービスの品質、独特な機能のサポートなどが含まれることがある。システムごとに、汎用システム・テーブル11が、バンド、周波数、モード、および捕そくを実行するために必要なそれ以外のあらゆるパラメータを含む必要な捕そくパラメータとともに、システム識別(SID)を含む。例示的な実施例では、一覧される各システムに、該システムが、加入者局が使用することを許されているシステム(好ましいシステム)であるのか、あるいは加入者局が使用することを許されないシステム(否定的なシステム)であるのかに関する表示というタグ (tag)が付けられる。
【0020】
図2は、本発明の好ましいシステム選択の例示的な方法を図解するフローチャートである。電源投入時(ブロック20)、MMSS1は、システム決定状態に入り、制御はシステム決定プロセッサ8に渡される。ブロック22では、システム決定プロセッサ8が、例示的な実施例ではMRUテーブル9に一覧されるシステムに従って選択される、捕そくを試みる最初の(initial) システムを選択する。例示的な実施例では、システム決定プロセッサは、最初の捕そく用のシステムとしてサービスを提供するために使用される最後のシステムを選択する。代替実施例では、システム決定プロセッサ8が、MMSS1によってもっとも頻繁に使用されるシステムを選択する。別の代替実施例では、システム決定プロセッサ8は、MMSS1のホーム・システムを選択する。
【0021】
ブロック22では、システム決定プロセッサ8が、汎用システム・テーブル11から必要な捕そくパラメータを検索する。最初の捕そくに選択されたシステムがアナログ・システムである場合、システム決定プロセッサ8は、捕そくパラメータをアナログ回路4に提供し、必要な周波数情報をトランシーバ3に提供する。ブロック24では、MMSS1は選択されたアナログ・システムの捕そくを試みる。トランシーバ3は、システム決定プロセッサ8によって提供される周波数情報に従って、アンテナ5を介して受信される(存在する場合には)信号を増幅し、ダウン・コンバートする。アナログ回路は、システム決定プロセッサ8によって提供される捕そくパラメータに従って信号を復調する。
【0022】
ブロック22では、選択されたシステムがデジタル・システムである場合、システム決定プロセッサ8は、必要な捕そくパラメータをデジタル回路6に提供し、必要な周波数情報をトランシーバ3に提供する。例示的な実施例では、過去に指摘されたように、本発明は、他のデジタル通信システムの捕そくにも等しく適用できるが、捕そくに選択されたデジタル・システムはCDMAシステムとして説明される。ブロック24では、MMSS1は、選択されたCDMAシステムの捕そくを試みる。トランシーバ3は、システム決定プロセッサ8からの周波数情報に従って、アンテナ5を介して受信された(存在する場合は)信号をダウン・コンバートする。デジタル回路6は、システム決定プロセッサ8によって提供される捕そくパラメータに従って信号を復調する。CDMA信号の復調は、前記米国特許第5,103,459号に詳細に説明される。
【0023】
ブロック26では、捕そくの試みが不成功に終わると、制御はブロック25でシステム決定プロセッサに戻される。ブロック25では、システム決定プロセッサ8が、捕そくされる次のシステムを選択する。例示的な実施例では、MMSS1は、最初に、MRUテーブル9に蓄積されるすべてのシステムの捕そくを試みる。MMSS1がMRUテーブル9に蓄積されるシステムの1つの捕そくに不成功に終わると、MMSS1は、捕そくが「容易」であると識別されるシステムの集合の捕そくを試みる。捕そくが容易なシステムは、たとえそれらが、それらのそれぞれの地理上の地域内でもっとも望ましいシステムではない可能性があっても、地理上の地域の高速かつ容易な識別を提供できるように選択される。代替実施例では、AMPSシステムの可用性は容易に判断できるため、MMSS1は、MRUテーブル9のシステムの捕そくを試みる前に、最初にAMPSシステムの捕そくを試みるだろう。
【0024】
MMSS1が捕そくが容易なシステムを捕そくできない場合、捕そくは「代表的な」システムで試みられる。代表的なシステムとは、複数の他のシステムに共通である捕そくパラメータを備えるシステムのことである。このようにして、代表的なシステムで捕そくを試みることによって、MMSS1は、実際には、地理上の地域の仮説の集合を同時に試しているのである。これらのシステムのどれも捕そくできない場合には、MMSS1は、汎用システム・テーブル11内の残りのシステムで徹底的に捕そくを試みる。
【0025】
システム決定プロセッサ8によって選択されるシステムの捕そくが不成功に終わる場合、運用はブロック28に移動する。ブロック28は、捕そくがMRUテーブル9のすべてのシステムで試みられたかどうかを判断する。MRUテーブル9内に捕そくの試みがなされなかったシステムがある場合、システム決定プロセッサ8は、前述のように、MRUテーブル9からシステムを選択し、アナログ回路4、デジタル回路6、およびトランシーバ3に選択してシステム捕そくパラメータを提供する。それから、選択されたシステムに対する捕そくが、前述のように、ブロック24で試される。
【0026】
捕そくがMRUテーブル9のすべてのシステムでなされる場合、MMSS1は、「高速捕そく」システムでの捕そくを試みる。AMPSシステムは高速捕そくシステムの典型的な例である。AMPSシステムが、CDMAシステムがサービスの一様性という点で提供するサービスに劣るサービスを提供する場合、さらに短い時間期間内にAMPSシステムを捕そくすることが可能である。ブロック34では、MMSS1がすべての高速捕そくシステムの捕そくを試みていない場合には、ブロック36で、システム決定プロセッサ8が高速捕そくシステムを選択し、汎用システム・テーブル11から捕そくパラメータを検索する。システム決定プロセッサ8は、前述のように、アナログ回路4、デジタル回路6、およびトランシーバ3に選択してシステム捕そくパラメータを提供する。それから、選択されたシステムでの捕そくが、前述のようにブロック24で試される。
【0027】
捕そくの試みがすべての「高速捕そく」システムでなされた場合、MMSS1は、代表的なシステムの捕そくを試みる。ブロック42で、MMSS1がすべての代表的なシステムの捕そくを試みなかった場合、ブロック38で、システム決定プロセッサ8は代表的なシステムを選択し、汎用システム・テーブル11から捕そくパラメータを検索する。システム決定プロセッサ8は、前述のように、アナログ回路4、デジタル回路6、およびトランシーバ3にシステム捕そくパラメータを提供する。それから、選択されたシステムに対する捕そくが、前述のようにブロック24で試される。
【0028】
捕そくの試みがブロック42ですべての「代表的な」システムになされた場合、MMSS1は、汎用システム・テーブル11の残りのシステムで徹底的に捕そくを試みる。ブロック44では、汎用システム・テーブル11に捕そくの試みがなされなかった好ましいシステムがある場合には、フローはブロック40に移動する。ブロック40では、システム決定プロセッサ8が、前述のように、捕そくを試みる残りの好ましいシステムを選択し、汎用システム・テーブル11から捕そくパラメータを検索し、アナログ回路4、デジタル回路6、およびトランシーバ3に選択してシステム捕そくパラメータを提供する。
【0029】
それから、選択されたシステムでの捕そくが、前述のようにブロック24で試される。すべての好ましいシステムを捕そくしようとする試みが失敗した場合、例示的な実施例では、MMSS1が、ブロック46で一時的に電源を切り、バッテリ電力を節約してから、ブロック20で、後の所定の時間に、再び、好ましいシステム選択のプロセスを開始する。考えられる複数の代替行動方針がある。考えられる1つの代替策とは、MMSS1が単に電源を切ることである。考えられる第2の代替策とは、MMSS1が、好ましいシステム選択のプロセスをただちにもう一度開始することである。考えられる第3の代替策とは、MMSS1が故障を示し、ユーザー介入を待機することである。
【0030】
捕そく成功時に、MMSS1は、ブロック27で捕そくされたシステムによって放送されるシステム識別(SID)を受け取る。信号は、アンテナ5を介して受信され、メッセージ信号がダウン・コンバートされ、増幅されるトランシーバ3に提供される。捕そくされたシステムがアナログである場合、メッセージは、アナログ復調フォーマットに従って信号を復調し、システム識別情報をシステム決定プロセッサ8に提供するアナログ回路4に提供される。捕そくされたシステムがCDMAである場合、メッセージは、CDMA復調フォーマットに従って信号を復調し、システム識別情報をシステム決定プロセッサ8に提供するデジタル回路6に提供される。
【0031】
ブロック35では、システム決定プロセッサ8が、受信されたSIDが汎用システム・テーブル11に蓄積されるシステムの内の1つであるかどうかを判断する。捕そくされたシステムがMMSS1にとって未知である場合、フローはブロック25に戻され、MMSS1は別のシステムの捕そくを試みる。例示的な実施例では、捕そくされたが、未知のシステムの捕そくパラメータはシステム決定プロセッサ8によって保持され、好ましいシステムが捕そくできない場合には、そのシステムが使用されることがある。
【0032】
受信されたシステム識別(SID)が汎用システム・テーブル11で「否定的な」システムとして一覧される場合には、システム識別プロセッサ8は制御をブロック25に渡し、MMSS1は別のシステムの捕そくを試みる。好ましい実施例では、捕そくされたシステムの捕そくパラメータがシステム決定プロセッサ8によって保持され、緊急呼が発信されると、そのシステムが使用される。
【0033】
受信されたシステム識別(SID)が汎用システム・テーブル11に一覧される場合は、システム決定プロセッサ8は、これがブロック48で地理上の地域にとってもっとも望ましいシステムであるかどうかを判断する。加入者局による使用に等しく望ましい複数のシステムがある可能性があると想像される。捕そくされたシステムが地理上の地域にとってもっとも望ましいシステムである場合には、サービスは、ブロック50で捕そくされたシステムを使用して提供される。サービスの完了時、システム決定プロセッサ8は、ブロック52で、MRUテーブル9を更新する。
【0034】
受信されたシステム識別が地理上の地域にとってもっとも望ましいシステムではない場合、システム決定プロセッサは、ブロック54で、該地域にもっとも望ましいシステムを選択し、前述のように、アナログ回路4、デジタル回路6、およびトランシーバ3に選択してシステム捕そくパラメータを提供する。ブロック56では、MMSS1が地理上の地域でもっとも望ましいシステムの捕そくを試みる。捕そくが成功し、捕そくされたシステムが加入者局が捕そくを期待していたシステムである場合、ブロック58で、MMSS1が、ブロック60で捕そくされたシステムを使用してサービスを提供する。ブロック62では、システム決定プロセッサ8が、サービス完了時にMRUテーブル9を更新する。
【0035】
捕そくが不成功に終わると、ブロック64で、決定プロセッサ8が、地理上の地域で使用するために次にもっとも望ましいシステムを選択する。システム決定プロセッサ8は、前述のように、アナログ回路4、デジタル回路6、およびトランシーバに選択してシステム捕そくパラメータを提供する。このプロセスは、捕そくが成功し、MMSS1がブロック60で捕そくされたシステムを使用してサービスを提供するまで繰り返す。例示的な実施例では、システムが捕そくできない場合、ブロック66で、MMSS1が一時的に電源を切り、ブロック68でバッテリ電力を節約してから、ブロック20で後の所定の時間に再び好ましいシステム選択のプロセスを開始する。考えられる複数の代替行動方針がある。考えられる1つの代替策とは、MMSS1が単に電源を切ることである。考えられる第2の代替策は、MMSSが、ただちに、好ましいシステム選択のプロセスを再度開始することである。考えられる第3の代替策とは、MMSS1が失敗を示し、ユーザー介入を待機することである。
【0036】
代替実施例では、ブロック48での捕そく成功時に、システム決定プロセッサ8が、システムが好ましいかどうかを判断する。それが好ましいシステムである場合には、MMSS1は捕そくされたシステムを使用してサービスを提供し、間欠的にシステム決定状態に再入し、エリア内のさらに望ましいシステムが捕そくできるかどうかを確かめる。
【0037】
例示的な実施例では、汎用システム・テーブル11に蓄積される情報が、結び付いたシステムが次に一覧されるシステム(ビット=1)より望ましいか、あるいは同じ望ましさの度合い(ビット=0)であるのかを示すビットを提供する。これは、同じ地理上の地域内の複数の好ましいシステムを見越す。テーブル1は、地理上の地域内のシステムの望ましさのレベルを示す例示的な方法を説明する。
【0038】
テーブル1
SID ジオ(Geo)ビット より望ましいビット
1111 0 1
2222 0 0
3333 0 0
4444 0 1
5555 0 0
6666 1 0
7777 1 0
8888 1 0
テーブル1では、存在する2つの異なった地理上の地域がある。1つの共通した地理上の地域のシステムが地理上の地域ビット(ジオ・ビット)によって示されていることに注意する。このようにして、第1の地理上の地域をカバーするシステムは、1111、2222、3333、4444、および5555であり、第2の地理上の地域をカバーするシステムは6666、7777、および8888である。これは、ジオ・ビットの極性のフリップによって示される。
【0039】
地理上の地域内のシステムの望ましさは、より望ましいビットの極性によって示される。第1の地理上の地域内では、システム1111はシステム2222より望ましい。システム2222、3333、および4444は等しく望ましく、3つのすべてが5555より望ましい。第2の地理上の地域内では、システム6666、7777、および8888はすべて等しく望ましい。システムがサービスを提供する地理上の地域を示すこの方法、およびそのシステムを通じてサービスを捕そくすることの望ましさは例示的であり、この情報を蓄積する他の方法も考えられることに注意する必要がある。
【0040】
前記テーブル1では、システム1111は、その地理上の地域のSIDの第1の好ましい部分集合と呼ばれる場合がある。システム2222、3333、および4444は等しく望ましく、その地理上の地域のSIDの第2の好ましい部分集合と呼ばれることがある。同様に、システム5555は、地理上の地域のSIDの第3の好ましい部分集合と呼ばれることがある。前記に注記されるように、汎用システム・テーブル11の例示的な実施例では、テーブルは、好ましいシステムと否定的なシステムの両方から成り立つ。したがって、例えば、そのシステム5555は否定的なシステムであり、第3の好ましい部分集合と呼ばれないが、むしろその地理上のエリアのシステムの否定的な集合の要素であるだろう。
【0041】
好ましい実施例の前記説明は、任意の当業者が、本発明を作成または使用できるようにするために提供される。 これらの実施例に対するさまざまな修正は、当業者容易に明らかとなり、本文中に定義される一般的な原則は、発明の設備を使用しなくても他の実施例に適用される可能性がある。したがって、本発明は、本文中に示された実施例に限られることが意図されるのではなく、本文中に開示された原則および新規機能と一致するもっとも広い適用範囲を与えられなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の例示的なマルチモード加入者局のブロック図である。
【図2A】本発明の例示的なシステム選択プロセスを図解するフロー図である。
【図2B】本発明の例示的なシステム選択プロセスを図解するフロー図である。
【図2C】本発明の例示的なシステム選択プロセスを図解するフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記ステップを具備する,加入者システム中で補そくシステムを選択する方法、
中央通信局からシステム識別(SID)を受信するステップ、及び
前記受信されたシステム識別から地理上の地域を決定するステップ。
【請求項2】
前記地理上の地域を決定する前記ステップが、
前記地理上の地域にサービス範囲を提供する中央通信局の集合を決定することを備える、請求項1の方法。
【請求項3】
前記地理上の地域を決定する前記ステップが、
前記受信されたSIDを前記加入者局に蓄積されたSIDのリストと比較するステップと、
前記比較に従って、前記中央通信局の集合を識別するステップと、
を備える、請求項2の方法。
【請求項4】
前記加入者局に蓄積された前記SIDのリストが、事前に定められたユーザー優先順位の集合に従って連続して順序付けられる、請求項3の方法。
【請求項5】
さらに、
前記受信されたSIDを、前記地理上の地域のための好ましいSIDの集合からの好ましいSIDの第1部分集合で比較するステップと、
前記受信されたSIDが、前記好ましいSIDの第1部分集合のものである場合に、前記中央通信局を使用するサービスを提供するステップと、
を備える、請求項1の方法。
【請求項6】
さらに、
前記好ましいSIDの第1部分集合から代替システムを選択するステップと、
前記受信されたSIDが前記好ましいSIDの第1部分集合のものでない場合に、前記代替システム上で捕そくを試みるステップと、
を備える、請求項5の方法。
【請求項7】
さらに,
前記捕そくの試みが成功する場合に、前記代替システムを使用するサービスを提供するステップ,
を備える、請求項6の方法。
【請求項8】
さらに、
前記捕そくの試みが不成功の場合に、所定の選択フォーマットに従って、前記地理上の地域のための前記好ましいSIDの集合から第2代替システムを選択するステップと、及び
前記第2代替システムを捕そくすることを試みるステップと、
を備える、請求項7の方法。
【請求項9】
前記中央通信局から前記SIDを受信する前記ステップが、
捕そくするための最初のシステムを選択するステップと、
前記最初のシステムに捕そくすることを試みるステップと、
前記捕そくすることの試みが成功する場合に、前記中央通信局から前記SIDを受信するステップと、
を備える、請求項1の方法。
【請求項10】
さらに、
前記捕そくの試みが不成功な場合に、捕そくを試みる代替システムを選択するステップと、
前記代替システム上で捕そくを試みるステップと、
を備える、請求項9の方法。
【請求項11】
捕そくを試みる代替システムを選択する前記ステップが、もっとも最近に使用されたシステムの集合に従って決定される、
請求項10の方法。
【請求項12】
捕そくを試みる代替システムを選択する前記ステップが、容易に捕そくされるシステムの集合に従って決定される、請求項10の方法。
【請求項13】
捕そくを試みる代替システムを選択する前記ステップが、複数の他のシステムに共通した捕そくパラメータを持つシステムの集合に従って決定される、 請求項10の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【公開番号】特開2008−193704(P2008−193704A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−26913(P2008−26913)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【分割の表示】特願平9−534699の分割
【原出願日】平成9年3月26日(1997.3.26)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】