媒体厚検出装置及び画像形成装置
【課題】媒体の厚さを検出する期間が短い場合でも、厚さの検出精度を向上させること。
【解決手段】媒体Sに接触している接触回転体3の1回転以上の期間における接触回転体3の厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、媒体有り移動量V2を演算する媒体有り移動量演算手段と、媒体Sに接触していない接触回転体3の1回転未満の期間T1における接触回転体3の厚さ方向の移動量の履歴情報と、媒体有り時の1回転以上の期間T2における履歴情報に基づいて導出された補正情報と、に基づいて、媒体無し移動量V1を演算する媒体無し移動量演算手段と、媒体有り移動量V2と媒体無し移動量V1と、に基づいて、媒体の厚さを検知する媒体厚検知手段と、を備えた媒体厚検出装置。
【解決手段】媒体Sに接触している接触回転体3の1回転以上の期間における接触回転体3の厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、媒体有り移動量V2を演算する媒体有り移動量演算手段と、媒体Sに接触していない接触回転体3の1回転未満の期間T1における接触回転体3の厚さ方向の移動量の履歴情報と、媒体有り時の1回転以上の期間T2における履歴情報に基づいて導出された補正情報と、に基づいて、媒体無し移動量V1を演算する媒体無し移動量演算手段と、媒体有り移動量V2と媒体無し移動量V1と、に基づいて、媒体の厚さを検知する媒体厚検知手段と、を備えた媒体厚検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体厚検出装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、複数枚の媒体が重ねて搬送される状態、いわゆる重送状態を検出したり、媒体の厚さに応じて制御を変更するために、媒体の厚さを検出する技術が使用されている。このような媒体の厚さの検出に関する技術として、以下の特許文献1〜6に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1としての特開2003−176062号公報には、最初の用紙が搬送されるまでの間に用紙厚センサ(150)で検出された10回の信号のうち、最初の3回分のデータを廃棄して、7回分のデータの平均から、用紙が存在しない場合の用紙厚センサ(150)の出力値を算出し、用紙厚センサ(150)が1枚目の用紙を検出した場合に出力される6回分のデータのうち、最大値と最小値を除いた4回分のデータの平均から用紙が存在する場合の出力値を算出し、出力値の差分から、用紙の厚さを検出する技術が記載されている。なお、特許文献1では、1枚目の用紙と2枚目の用紙の間、いわゆる紙間の用紙が存在しない状態では、用紙厚センサ(150)から3回分信号の出力がされ、3回分の平均から、用紙が存在しない場合の用紙厚センサ(150)の出力値が算出されている。
【0004】
特許文献2としての特開2000−284549号公報には、機内滞留紙がない状態における紙厚センサ(6)の出力値(t0)を検出しておき、記録紙(P)が送り出された後に、紙厚センサ(6)で検出した測定結果(t1)との差分から、紙厚を測定する技術が記載されている。また、特許文献2には、連続印字や間欠印字モードにおける紙間において、紙が無い状態の紙厚センサ(6)の出力値(t0)を検出可能であることも記載されている。
【0005】
特許文献3としての特開平5−294511号公報には、紙厚検知用ローラ(51,52)の回転中心が偏心している影響を考慮して、紙厚検知用ローラ(51,52)の間に、被写体(S)が突入してから一定時間(X)が経過した後の瞬間(B)における紙厚データ(f−α)と、瞬間(B)からローラ(51,52)の1回転前の被写体(S)が無い状態における紙厚データ(a−α)と、から、紙厚(f−a)を導出する技術が記載されている。
【0006】
特許文献4としての特開平5−294512号公報には、基準ローラ(1)と基準ローラ(1)に対向する検知ローラ(2)を有する紙幣の厚さ検知装置において、基準ローラ(1)の偏心に対応するために、紙幣を検知してから一定の時間の間サンプリングした波形と、基準ローラ(1)の1周期分後の紙幣が無い状態においてサンプリングした波形と、の差分から紙幣の厚さを検出する技術が記載されている。
【0007】
特許文献5としての特開2008−254855号公報には、突入する紙の厚さに応じて変位する変位ローラ(20)の軸受け(22a)に支持された磁石(22c)と、磁石(22c)が中間位置に対向して配置されたホール素子(H1,H2)と、を有する変位センサ(22)により、変位ローラ(20)の移動に伴って、磁石(22c)がホール素子(H1,H2)の一方から遠ざかり、他方に近づくことで、各ホール素子(H1,H2)の検出信号の差分から紙の厚みを検出する技術が記載されている。
【0008】
特許文献6としての特開2003−12192号公報には、基端部を中心に回転可能且つ搬送経路(18)内に先端部が突出する接触子(54)が配置されており、接触子(54)の先端部に用紙が接触して回転した場合に、基端部の角度磁気センサで回転角から用紙の厚さを検出して、重送を判別する技術が記載されている。また、特許文献6記載の技術では、新しい用紙有り位置におけるデータと、前回の用紙有り位置におけるデータと、の差分を使用して、用紙無し位置におけるデータの補正を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−176062号公報(「0019」〜「0032」)
【特許文献2】特開2000−284549号公報(「0028」〜「0034」、「0037」、図1〜図3)
【特許文献3】特開平5−294511号公報(「0018」〜「0019」、図4)
【特許文献4】特開平5−294512号公報(「0008」〜「0011」、図4)
【特許文献5】特開2008−254855号公報(「0069」〜「0076」、「0092」〜「0096」、図2、図4、図5)
【特許文献6】特開2003−12192号公報(「0039」〜「0043」、「0083」〜「0087」、図2、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、媒体の厚さを検出する期間が短い場合でも、厚さの検出精度を向上させることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の媒体厚検出装置は、
媒体の搬送路に配置され且つ回転駆動する駆動部材と、
前記駆動部材に対向して配置されて搬送される媒体に接触可能、且つ、接触時に前記媒体の厚さに応じて媒体の厚さ方向に移動可能な接触回転体と、
前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量を検出する移動量検出手段と、
前記接触回転体が前記媒体に接触している場合に、前記接触回転体の1回転以上の期間における前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、媒体が有る場合の移動量である媒体有り移動量を演算する媒体有り移動量演算手段と、
前記接触回転体が前記媒体に接触していない場合に、前記接触回転体の1回転未満の期間における前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量の履歴情報と、前記媒体有り時の1回転以上の期間における履歴情報に基づいて導出された補正情報と、に基づいて、媒体が無い場合の移動量である媒体無し移動量を演算する媒体無し移動量演算手段と、
前記媒体有り移動量演算手段で演算された媒体有り移動量と、前記媒体無し移動量演算手段で演算された媒体無し移動量と、に基づいて、媒体の厚さを検知する媒体厚検知手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の媒体厚検出装置において、
前記接触回転体が媒体に接触していない場合における前記接触回転体の1回転未満の期間に連続し且つ直前の前記接触回転体が媒体に接触している期間の履歴情報と、前記媒体有り移動量と、に基づいて、前記接触回転体が媒体に接触していない1回転未満の期間と1回転分の期間との差を補完する補完情報により構成された前記補正情報を導出する補完情報導出手段、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の媒体厚検出装置において、
前記接触回転体が前記媒体に接触している場合に、前記接触回転体の1回転以上の期間における前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、移動量の波形の媒体有り移動量に対する振幅により構成された補正情報を導出する振幅導出手段と、
前記接触回転体が前記媒体に接触していない場合に、前記接触回転体の1回転未満且つ予め設定された期間における前記移動量の平均と、前記振幅とに基づいて、前記媒体無し移動量を演算する前記媒体無し移動量演算手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の媒体厚検出装置において、
前記接触回転体が前記媒体に接触している場合に、前記接触回転体の1回転以上の期間における前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、移動量の波形の媒体有り移動量に対する振幅により構成された補正情報を導出する振幅導出手段と、
前記接触回転体に対して、媒体の搬送方向上流側に配置された媒体検出部材と、
前記媒体検出部材での媒体の検出状態が変化した後、予め設定された測定開始時間が経過した後に、予め設定された1回転未満の期間の前記接触回転体の移動量の平均と、前記振幅とに基づいて、前記媒体無し移動量を演算する前記媒体無し移動量演算手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
前記技術的課題を解決するために、請求項5に記載の発明の画像形成装置は、
媒体が搬送される搬送路と、
前記搬送路上に配置された請求項1ないし4のいずれかに記載の媒体厚検出装置と、
前記媒体に画像を記録する画像記録部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、5に記載の発明によれば、媒体有り時の履歴情報に基づいて導出された補正情報を使用して媒体無し移動量を演算しない場合に比べて、媒体の厚さを検出する期間が短い場合でも、厚さの検出精度を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、前記接触回転体が媒体に接触していない1回転未満の期間と1回転分の期間との差を補完する補完情報を使用して、媒体無し移動量を演算できる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、接触回転体の1回転未満の期間における前記移動量の平均と、媒体有り時の履歴情報から導出される振幅とに基づいて、媒体無し移動量を演算できる。
請求項4に記載の発明によれば、媒体検出部材で媒体が検出された後の予め設定された1回転未満の期間の接触回転体の移動量の平均と、媒体有り時の履歴情報から導出される振幅とに基づいて、媒体無し移動量を演算できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の説明図である。
【図2】図2は実施例1の媒体厚検出装置の説明図である。
【図3】図3は実施例1の画像形成装置のコントローラが備えている各機能をブロック図で示した図である。
【図4】図4は実施例1の移動量の履歴の説明図であり、図4Aは偏心したピンチローラとアクチュエータが90°ずつ回転していった状態の説明図、図4Bは図4Aの回転に伴う厚さセンサの出力値の履歴情報の説明図である。
【図5】図5は実施例1の接触ローラ対にシートが進入する前後の説明図であり、図5Aはシート進入前の状態の説明図、図5Bはシート進入時の状態の説明図、図5Cはシート進入前後に渡る厚さセンサの出力値の履歴情報の一例の説明図である。
【図6】図6は本発明の実施例1の通過検知処理のフローチャートである。
【図7】図7は本発明の実施例1の厚さ検知処理のフローチャートである。
【図8】図8は従来の構成における紙間が比較的長い場合のシートセンサの出力と、厚さセンサの出力との説明図である。
【図9】図9は実施例1におけるシートセンサの出力と、厚さセンサの出力との説明図である。
【図10】図10は実施例2の画像形成装置のコントローラが備えている各機能をブロック図で示した図であり、実施例1の図3に対応する図である。
【図11】図11は実施例2の振幅の説明図であり、実施例1の図5Cに対応する図である。
【図12】図12は実施例2の波形の種類の説明図であり、図12Aは極大値を中心とした半周期分の波形の説明図、図12Bは極大値から極小値までの半周期分の波形の説明図、図12Cは極小値を中心とした半周期分の波形の説明図、図12Dは極小値から極大値までの半周期分の波形の説明図である。
【図13】図13は本発明の実施例2の厚さ検知処理のフローチャートであり、実施例1の図7に対応する図である。
【図14】図14は実施例3の画像形成装置のコントローラが備えている各機能をブロック図で示した図であり、実施例1の図3に対応する図である。
【図15】図15は本発明の実施例3の通過検知処理のフローチャートであり、実施例1の図6に対応する図である。
【図16】図16は本発明の実施例3の厚さ検知処理のフローチャートである。
【図17】図17は実施例3の一例のタイムチャートであり、実施例1の図9に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の説明図である。
図1において、実施例1の画像形成装置の一例としての複写機Uは、上面に透明な原稿台の一例であるプラテンガラスPGを有する装置本体U1と、前記プラテンガラスPG上に着脱自在に装着される自動原稿搬送装置U2とを備えている。
前記自動原稿搬送装置U2は、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて収容される原稿収容部の一例である原稿給紙トレイTG1を有している。前記原稿給紙トレイTG1に載置された複数の各原稿Giは順次プラテンガラスPG上の複写位置を通過して原稿排紙部の一例である原稿排紙トレイTG2に排出されるように構成されている。
【0021】
前記装置本体U1は、作業者が指示を入力する動作指示入力部の一例としてのユーザインタフェースUIと、前記プラテンガラスPGの下方に順次配置された画像読取部の一例としてのスキャナ部U1aおよび画像記録部の一例としてのプリンタ部U1bと、前記スキャナ部U1aまたはプリンタ部U1bに設けられた画像処理部GSとを有している。
装置本体U1上面の透明なプラテンガラスPGの下方に配置された原稿読取装置としてのスキャナ部U1aは、原稿読取り位置に配置された露光系位置検出部材の一例としての露光系レジセンサSp、および露光光学系Aを有している。
【0022】
前記露光光学系Aは、その移動および停止が露光系レジセンサSpの検出信号により制御され、常時は画像読取り位置の一例としてのホーム位置、すなわち、初期位置に停止している。
前記自動原稿搬送装置U2を使用して自動的に原稿を搬送して複写を行う自動原稿搬送動作の場合は、前記露光光学系Aはホーム位置に停止した状態で、プラテンガラスPG上の複写位置F1を順次通過する各原稿Giを露光する。
原稿Giを作業者が手でプラテンガラスPG上に置いて複写を行う原稿手動設置動作時の場合、露光光学系Aは移動しながらプラテンガラスPG上の原稿を露光走査する。
露光された前記原稿Giからの反射光は、前記露光光学系Aを通って固体撮像素子CCD上に収束される。前記固体撮像素子CCDは、その撮像面上に収束された原稿反射光を電気信号に変換する。
【0023】
また、画像処理部GSは、前記スキャナ部U1aの固体撮像素子CCDから入力された読取画像信号をデジタルの画像書込信号に変換して画像形成部U1bの潜像書込回路DLに出力する。
前記潜像書込回路DLは、入力された画像データに応じた潜像書込信号を潜像形成装置の一例としての露光装置RSに出力する。
【0024】
前記露光装置RSの下方に配置された像保持体の一例としての感光体ドラムPRは、矢印Ya方向に回転する。前記感光体ドラムPR表面は、帯電領域Q0において帯電器の一例としての帯電ローラCRによりに帯電された後、潜像書込位置Q1において前記露光装置RSの潜像書込光の一例としてのレーザビームLにより露光走査されて静電潜像が形成される。前記静電潜像が形成された感光体ドラムPR表面は回転移動して現像領域Q2、画像記録領域の一例としての転写領域Q3を順次通過する。
【0025】
前記現像領域Q2において前記静電潜像を現像する現像装置Gは、トナーおよびキャリアを含む現像剤を現像剤保持体の一例としての現像ローラR0により現像領域Q2に搬送し、前記現像領域Q2を通過する静電潜像を画像の一例としてのトナー像Tnに現像する。前記感光体ドラムPR表面のトナー像Tnは前記転写領域Q3に搬送される。
【0026】
前記転写領域Q3において、感光体ドラムPRに対向して配置された転写搬送装置の一例としての転写ユニットTUは、無端帯状の媒体用搬送部材の一例としての転写ベルトTBを有する。前記転写ベルトTBは、駆動部材の一例としての駆動ローラRdおよび従動部材の一例としての従動ローラRfを有する媒体搬送部材支持系の一例としてのベルト支持ローラRd+Rfにより回転可能に支持されている。前記転写ベルトTBを挟んで前記感光体ドラムPRに対向して転写装置の一例としての転写ローラTRが配置されている。また、前記駆動ローラRdに対向して媒体剥離部材の一例としての剥離爪SCが配置され、剥離爪SCの転写ベルトTB回転方向下流側には、転写用の清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbが配置されている。
転写ローラTRは、感光体ドラムPR表面のトナー像Tnを媒体の一例としてのシートSに転写する部材であり、現像装置Gで使用される現像用のトナーの帯電極性と逆極性の転写電圧が電源回路Eから供給される。前記電源回路Eは制御部の一例としてのコントローラCにより制御される。
【0027】
媒体収容部の一例としての給紙トレイTR1〜TR4に収容されたシートSは、予め設定された給紙時期に媒体取出し部材の一例としてのピックアップロールRpにより取り出され、媒体分離部材の一例としての捌きローラRsで1枚づつ分離されて、複数の媒体用搬送部材の一例としての搬送ローラRaにより、上流媒体搬送部材の一例としてのプレレジローラRPrに搬送される。また、前記シートSは、前記プレレジローラRPrにより、前記転写領域Q3に向けて前記シートSを搬送する時期調整部材の一例としてのレジローラRrに搬送される。
【0028】
前記レジローラRrに搬送されたシートSは、前記感光体ドラムPR上のトナー像Tnが転写領域Q3に移動する時期、すなわち、タイミングを合わせて、転写前媒体案内部材の一例としての転写前シートガイドSG1から転写ユニットTUの転写ベルトTBに搬送される。転写ベルトTBは搬送されたシートSを前記転写領域Q3に搬送する。
前記感光体ドラムPR表面に現像されたトナー像Tnは、前記転写領域Q3において、転写ローラTRによりシートSに転写される。転写後、感光体ドラムPR表面は、像保持体清掃器の一例としての感光体クリーナCLpにより残留トナーが除去され、前記帯電ローラCRにより再帯電される。
【0029】
転写領域Q3において転写ローラTRによりトナー像が転写された前記シートSは、転写領域Q3の下流側の剥離爪SCにより転写ベルトTB表面から剥離される。剥離されたシートSは、加熱定着部材の一例としての加熱ローラFhおよび加圧定着部材の一例としての加圧ローラFpを有する定着装置Fでトナー像が加熱定着されてから、弾性シート製の搬送路切換部材の一例としてのマイラーゲートMGを通って、媒体排出路の一例としてのシート排出路SH2の正逆回転可能な搬送ローラRbに搬送される。マイラゲートMGは弾性変形して、定着装置Fを通過したシートSをシート排出路SH2に向かわせる。
【0030】
媒体排出部の一例としての排紙トレイTRhに排出されるシートSは正逆回転可能な搬送ローラRbおよび複数の搬送ローラRaが配置されたシート排出路SH2を搬送される。シート排出路SH2の下流端部には搬送路切換部材の一例としての切替ゲートGT1が配置されている。切替ゲートGT1は、複写機Uに図示しない後処理装置が接続されている場合には、搬送されてきたシートSを排紙トレイTRhまたは図示しない後処理装置のいずれかに排出するように切替えられる。なお、後処理装置が装着されていない状態では、切替ゲートGT1は、シート排出路SH2の下流端部に搬送されたシートSを、排紙トレイTRhに排出するように切替えられており、前記シートSは媒体排出部材の一例としての排紙ローラRhによって排紙トレイTRhに排出される。
【0031】
両面印刷を行う場合、前記正逆回転可能な搬送ローラRbは、片面記録済のシートSが搬送されると、片面記録済のシートSの後端が搬送ローラRbを通過する直前に逆回転する。したがって、前記片面記録済のシートSは、シート排出路SH2をマイラーゲートMG側に戻され、いわゆるスイッチバックされる。前記マイラゲートMGは、前記搬送ローラRbによりスイッチバックして来たシートSを媒体循環搬送路の一例としてのシート循環搬送路SH3に向かわせる。シート循環搬送路SH3に搬送された片面記録済シートSは表裏反転した状態で前記転写領域Q3に再送される。前記転写領域Q3に再送された片面記録済シートSは、2面目にトナー像が転写され、シート排出路SH2を搬送されて、排紙トレイTRhに排出される。
【0032】
(媒体厚検出装置の説明)
図2は実施例1の媒体厚検出装置の説明図である。
図2において、捌きローラRsの下流側には、媒体検知部材の一例として、シートSの有無を検知するシートセンサSN1が配置されている。前記シートセンサSN1の下流側には、検出装置本体の一例として、接触ローラ対1が配置されている。前記接触ローラ対1は、駆動源の一例としての図示しないメインモータからの駆動が伝達されて回転する駆動部材の一例としての駆動ローラ2と、前記駆動ローラ2に対向して従動回転可能に支持された従動部材の一例であって接触回転体の一例としてのピンチローラ3とを有する。ピンチローラ3は、従動軸3aを有し、従動軸3aの軸方向両端部において、駆動ローラ2に対して接触、離間する方向に移動可能に支持されている。
【0033】
ピンチローラ3の近傍には、厚さ検知本体の一例としての厚さセンサSN2が配置されている。厚さセンサSN2は、基端部4aを中心として回転可能に支持され且つ先端部4bが従動軸3aに接触する接触体の一例としてのアクチュエータ4と、アクチュエータ4の基端部4aの回転角を検出する回転検知部6とを有する。
したがって、駆動ローラ2とピンチローラ3との間にシートSが進入した場合に、ピンチローラ3の移動に応じて回転するアクチュエータ4の回転角を検知することで、シートSの厚さが検知可能になっている。
前記接触ローラ対1、シートセンサSN1、厚さセンサSN2等により、実施例1の媒体厚検出装置1+SN1+SN2が構成されている。
【0034】
(実施例1の制御部の説明)
図3は実施例1の画像形成装置のコントローラが備えている各機能をブロック図で示した図である。
図3において、前記コントローラCは、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行う入出力信号調節部の一例としての入出力インターフェース、いわゆる、I/O、必要な処理を実行するためのプログラムおよびデータ等が記憶されたリードオンリーメモリ、いわゆる、ROM、必要なデータを一時的に記憶するためのランダムアクセスメモリ、いわゆる、RAM、前記ROMに記憶されたプログラムに応じた処理を行う中央演算処理装置、いわゆる、CPU、ならびにクロック発振器等を有する計算機の一例としてのコンピュータにより構成されており、前記ROMに記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0035】
(コントローラCに接続された信号出力要素)
前記コントローラCには、次の信号出力要素の出力信号が入力されている。
UI:ユーザインタフェース
ユーザインタフェースUIは、複写開始釦の一例としてのコピースタートキーUI1、数字釦の一例としてのテンキーUI2,複写枚数入力釦の一例としてのコピー枚数入力キーUI3、表示部UI4等を備えており、それらが入力されたことを検出して、その検出信号をコントローラCに入力する。
SN1:シートセンサ
シートセンサSN1は、シートSの有無の検知信号をコントローラCに入力する。
SN2:厚さセンサ
厚さセンサSN2は、シートSの厚みの検知信号をコントローラCに入力する。
【0036】
(コントローラCに接続された被制御要素)
コントローラCは、次の被制御要素D1,D1,Eの制御信号を出力している。
D1:メインモータ駆動回路
主駆動源駆動回路の一例としてのメインモータ駆動回路D1は主駆動源の一例としてのメインモータM1を駆動することにより、図示しない駆動力伝達部材の一例としてのギアを介して感光体ドラムPR、さばきローラRs、駆動ローラ2、搬送ローラRa,Rb、現像装置Gの現像ローラR0、定着装置Fの加熱ローラFh等を回転駆動する。
DL:レーザ駆動回路
レーザ駆動回路DLは、潜像形成装置RSを制御して、感光体ドラムPR表面に潜像を形成する。
【0037】
E:電源回路
前記電源回路Eは、現像用電源回路Ea、帯電用電源回路Eb、転写用電源回路Ecと定着用電源回路Edとを有している。
Ea:現像用電源回路
現像用電源回路Eaは現像装置Gの現像ローラR0に現像電圧を印加する。
Eb:帯電用電源回路
帯電用電源回路Ebは帯電ローラCRに帯電電圧を印加する。
Ec:転写用電源回路
転写用電源回路Ecは転写ローラTRに転写電圧を印加する。
Ed:定着用電源回路
定着用電源回路Edは定着装置Fの加熱ローラFhの加熱部材の一例としてのヒータに加熱用の電力を印加する。
【0038】
(コントローラCの機能)
コントローラCは、ユーザインタフェースUI、シートセンサSN1、厚さセンサSN2の出力信号に応じて前記各被制御要素の動作を制御するためのプログラムにより、次の機能実現手段を有している。
C1:ジョブ制御手段
画像形成動作制御手段の一例としてのジョブ制御手段C1は、コピースタートキーUI1の入力に応じて、前記潜像形成装置RS、帯電ローラCR、転写ローラTR、定着装置F等の動作を制御して、画像形成動作の一例としてのジョブを実行する。
【0039】
C2:メインモータ制御手段
メインモータ制御手段C2は、前記メインモータ駆動回路D1を介してメインモータM1の回転を制御して、感光体ドラムPRや現像装置Gの現像ローラR0、定着装置Fの加熱ローラFh等の駆動を制御する。
C3:電源制御手段
電源制御手段C3は、電源回路Eの作動を制御して、現像ローラR0や帯電ローラCR、転写ローラTR、定着装置Fの加熱ローラFhのヒータ等への電圧、電流の供給を制御する。
【0040】
C4:シート検知手段
シート検知手段C4は、シート前端判別手段C4Aと、シート後端判別手段C4Bとを有し、シートセンサSN1の検知信号に基づいて、シートSがシートセンサSN1の位置に有るか否かを検知する。
C4A:シート前端判別手段
シート前端判別手段C4Aは、シートセンサSN1の検知信号に基づいて、シートSの前端がシートセンサSN1の位置を通過したか否かを判別する。実施例1のシート前端判別手段C4Aは、シートセンサSN1の検知信号が、シートS「無し」から「有り」になった場合に、シートSの前端が通過したと判別する。
【0041】
C4B:シート後端判別手段
シート後端判別手段C4Bは、シートセンサSN1の検知信号に基づいて、シートSの後端がシートセンサSN1の位置を通過したか否かを判別する。実施例1のシート後端判別手段C4Bは、シートセンサSN1の検知信号が、シートS「有り」から「無し」になった場合に、シートSの後端が通過したと判別する。
C5:有無切替判別手段
有無切替判別手段C5は、切替時間記憶手段C5Aと、切替タイマTM1と、シート有無フラグFLとを有し、厚さセンサSN2で検知が行われる接触ローラ対1の位置にシートSが存在する場合と存在しない場合との切替の判別を行う。実施例1の有無切替判別手段C5は、シートSの前端がシートセンサSN1の位置を通過してから予め設定された切替時間t1が経過すると接触ローラ対1にシートSが存在し、シートSの後端がシートセンサSN1の位置を通過してから予め設定された切替時間t1が経過すると接触ローラ対1の位置にシートSが存在しなくなると判別する。
【0042】
C5A:切替時間記憶手段
切替時間記憶手段C5Aは、接触ローラ対1の位置におけるシートSの有無の切替を行うための切替時間t1を記憶する。実施例1の切替時間t1は、接触ローラ対1の上流側の捌きローラRsの搬送速度と、シートセンサSN1の位置から接触ローラ対1の位置までの距離とから、シートSがシートセンサSN1を通過してから接触ローラ対1に到達する時間に応じた時間が予め設定されている。
TM1:切替タイマ
切替タイマTM1は、切替時間t1が入力設定、いわゆるセットされ、切替時間t1が経過すると通知を行う。実施例1の切替タイマTM1には、シートセンサSN1でシートSの搬送方向前端または後端が検知されると、切替時間t1がセットされる。
【0043】
FL:シート有無フラグ
シート有無フラグFLは、初期値は「0」であり、シートSが接触ローラ対1に存在すると判別された場合に「1」となり、シートSが接触ローラ対1に存在しないと判別された場合に「0」となる。
C6:移動量検出手段
移動量検出手段C6は、ピンチローラ3のシートSの厚さ方向の移動量を検出する。実施例1の移動量検出手段C6は、厚さセンサSN2の出力信号に基づいて、ピンチローラ3のシートSの厚さ方向の移動量を検出する。
【0044】
図4は実施例1の移動量の履歴の説明図であり、図4Aは偏心したピンチローラとアクチュエータが90°ずつ回転していった状態の説明図、図4Bは図4Aの回転に伴う厚さセンサの出力値の履歴情報の説明図である。
C7:移動量記憶手段
移動量記憶手段C7は、シート無しデータ記憶手段C7Aと、シート有りデータ記憶手段C7Bとを有し、移動量検出手段C6で検出された移動量を記憶する。図4において、実施例1の移動量記憶手段C7は、厚さセンサSN2で検出された移動量、すなわち、厚さセンサSN2の出力値の履歴情報を記憶する。すなわち、図4Aに示すように製造誤差等で従動軸3aの位置がピンチローラ3の真の中心から偏心することに伴って、図4Bに示すように、厚さセンサSN2の出力値が正弦波状に変動する履歴のデータである履歴情報を記憶する。
【0045】
図5は実施例1の接触ローラ対にシートが進入する前後の説明図であり、図5Aはシート進入前の状態の説明図、図5Bはシート進入時の状態の説明図、図5Cはシート進入前後に渡る厚さセンサの出力値の履歴情報の一例の説明図である。
C7A:シート無しデータ記憶手段
媒体無し移動量記憶手段の一例としてのシート無しデータ記憶手段C7Aは、接触ローラ対1にシートSが存在しない場合における移動量を記憶する。実施例1のシート無しデータ記憶手段C7Aは、シート有無フラグFLが「0」の場合における、厚さセンサSN2の出力値の履歴情報を記憶する。すなわち、実施例1のシート無しデータ記憶手段C7Aは、図5Cにおけるシート無し期間T1の履歴データを記憶している。
【0046】
C7B:シート有りデータ記憶手段
媒体有り移動量記憶手段の一例としてのシート有りデータ記憶手段C7Bは、接触ローラ対1にシートSが存在する場合における移動量を記憶する。実施例1のシート有りデータ記憶手段C7Bは、シート有無フラグFLが「1」の場合における、厚さセンサSN2の出力値の履歴情報を記憶する。すなわち、実施例1のシート有りデータ記憶手段C7Bは、図5Cにおけるシート有り期間T2の履歴データを記憶している。
【0047】
C8:シート有り値演算手段
媒体有り移動量演算手段の一例としてのシート有り値演算手段C8は、ピンチローラ3がシートSに接触している場合に、ピンチローラ3の1回転以上の期間におけるピンチローラ3の厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、シートSが有る場合の移動量である媒体有り移動量の一例としてのシート有り値V2を演算する。実施例1のシート有り値演算手段C8は、シート有りデータ記憶手段C7Bに記憶された履歴データから、予め設定されたピンチローラ3の1回転、すなわち、正弦波の1周期に対応する期間T2a分の履歴データを読み出し、その平均値を演算することで、ピンチローラ3の偏心の影響が無いシートSの厚みに対応するシート有り値V2を演算する。
C9:シート有り値記憶手段
媒体有り移動量記憶手段の一例としてのシート有り値記憶手段C9は、シート有り値演算手段C8で演算されたシート有り値V2を記憶する。
【0048】
C10:シート無し値演算手段
媒体無し移動量演算手段の一例としてのシート無し値演算手段C10は、周期演算手段C10Aと、周期判別手段C10Bと、補正情報導出手段の一例としての補完情報導出手段C10Cとを有し、ピンチローラ3がシートSに接触していない場合に、ピンチローラ3の厚さ方向の移動量の履歴情報とに基づいて、シートSが無い場合の移動量である媒体無し移動量の一例としてのシート無し値V1を演算する。実施例1のシート無し値演算手段C10は、シート無しデータ記憶手段C7Aに記憶された履歴データに基づいて、ピンチローラ3の1回転、すなわち、正弦波の1周期に対応する期間T1a分の履歴データに基づいて、その平均値であるシート無し値V1を演算する。なお、実施例1のシート無し値演算手段C10は、シート無しデータ記憶手段C7Aに記憶された履歴データが、1回転に対応する期間T1a以上存在する場合には、1回転に対応する期間T1a分の履歴データに基づいて、シート無し値V1を演算する。また、シート無しデータ記憶手段C7Aに記憶された履歴データが、1回転に対応する期間T1a未満の場合は、ピンチローラ3の1回転未満の期間におけるピンチローラ3の厚さ方向の移動量の履歴情報と、シートS有り時の1回転以上の期間における履歴情報に基づいて導出された補正情報と、に基づいて、シート無し値V1を演算する。なお、実施例1では、ジョブが開始されてから最初のシートSの搬送が開始されるまでの間に、ピンチローラ3は1回転以上回転するように、設定されている。
【0049】
C10A:周期演算手段
周期演算手段C10Aは、シート無しデータ記憶手段C7Aに記憶された履歴データが、ピンチローラ3の1回転、すなわち、1周期に対応する予め設定された期間T1aに対して、何周期分蓄積されているか否かを演算する。すなわち、N=(シート無し期間T1)/(1周期に対応する期間T1a)を演算することで、N周期を演算する。
C10B:周期判別手段
周期判別手段C10Bは、周期演算手段C10Aで演算されたN周期が、1周期以上であるか否かを判別する。すなわち、N≧1であるか否かを判別する
【0050】
C10C:補完情報導出手段
補正情報導出手段の一例としての補完情報導出手段C10Cは、ピンチローラ3がシートSに接触していない場合におけるピンチローラ3の1回転未満のシート無し期間T1に連続し且つ直前のピンチローラ3がシートSに接触しているシート有り期間T2の履歴情報と、シート有り値V2と、に基づいて、ピンチローラ3がシートSに接触していない1回転未満のシート無し期間T2と1回転分の期間T1aとの差を補完する補完情報により構成された前記補正情報を導出する。図5Cにおいて、実施例1の補完情報導出手段C10Cは、搬送されるシートどうしの間、いわゆる紙間のシート無し期間T1のように、ピンチローラ3が1回転未満の場合、直前のシート有り期間T2の履歴データから、シートの厚みに対応するシート有り値V2と前回導出されたシート無し値V1との差分V2−V1を減算した図5Cの一点鎖線で示す波形を補完情報として演算する。そして、シート無し値演算手段C10は、導出された1点鎖線で示す波形の補完情報と、履歴データとから1周期分の履歴データを生成し、その平均から、シート無し値V1を演算する。
【0051】
C11:シート無し値記憶手段
シート無し値記憶手段C11は、シート無し値演算手段C10で演算されたシート無し値V1を記憶する。
C12:媒体厚検知手段
媒体厚検知手段C12は、シート有り値演算手段C8で演算されたシート有り値V2と、シート無し値演算手段C10で演算されたシート無し値V1と、に基づいて、シートSの厚さを検知する。実施例1の媒体厚検知手段C12は、シート有り値V2とシート無し値V1との差分V2−V1からシートSの厚みを検知する。なお、検知された厚みV2−V1は、図示しない、重送判別手段において、予め登録されている給紙トレイTR1〜TR4のシートの種類に応じた厚みと、比較することで重送を判別したり、厚みに応じた転写電圧や定着温度等を制御するために使用することが可能である。
【0052】
(実施例1の流れ図の説明)
次に、本発明の実施例1の画像形成装置Uの処理の流れを流れ図、いわゆるフローチャートを使用して説明する。
(実施例1の通過検知処理のフローチャートの説明)
図6は本発明の実施例1の通過検知処理のフローチャートである。
図6のフローチャートの各ステップSTの処理は、前記画像形成装置UのコントローラCに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は画像形成装置Uの他の各種処理と並行して並列処理で実行される。
図6に示すフローチャートは画像形成装置Uの電源投入により開始される。
【0053】
図6のST1において、ジョブが開始されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に移り、ノー(N)の場合はST1を繰り返す。
ST2において、接触ローラ対1の駆動ローラ2の駆動を開始する。そして、ST3に進む。
ST3において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST4に進む。
(1)シート有無フラグFLを「0」とする。
(2)シート無しデータの記憶、すなわち、蓄積を開始する。
ST4において、シートセンサSN1がシートSの前端を検知したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST5に進み、ノー(N)の場合はST4を繰り返す。
【0054】
ST5において、切替タイマTM1に切替時間t1をセットする。そして、ST6に進む。
ST6において、切替タイマTM1がタイムアップしたか否か、すなわち、切替時間t1が経過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST7に進み、ノー(N)の場合はST6を繰り返す。
ST7において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST8に進む。
(1)シート有無フラグFLを「1」とする。
(2)シート有りデータの記憶、すなわち、蓄積を開始する。
ST8において、シートセンサSN1がシートSの後端を検知したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST9に進み、ノー(N)の場合はST8を繰り返す。
【0055】
ST9において、切替タイマTM1に切替時間t1をセットする。そして、ST10に進む。
ST10において、切替タイマTM1がタイムアップしたか否か、すなわち、切替時間t1が経過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST11に進み、ノー(N)の場合はST10を繰り返す。
ST11において、ジョブが終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST12に進み、ノー(N)の場合はST3に戻る。
ST12において、駆動ローラ2の駆動を停止し、ST1に戻る。
【0056】
(実施例1の厚さ検知処理のフローチャートの説明)
図7は本発明の実施例1の厚さ検知処理のフローチャートである。
図7のフローチャートの各ステップSTの処理は、前記画像形成装置UのコントローラCに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は画像形成装置Uの他の各種処理と並行して並列処理で実行される。
図7に示すフローチャートは画像形成装置Uの電源投入により開始される。
【0057】
図7のST21において、ジョブが開始されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST22に移り、ノー(N)の場合はST21を繰り返す。
ST22において、シート有無フラグFLが「0」から「1」に変わったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST23に進み、ノー(N)の場合はST28に進む。
ST23において、蓄積されたシート無しデータがN周期分であるかを演算する。そして、ST24に進む。
ST24において、Nが1未満であるか否かを判別する。すなわち、(0<)N<1で有るか否かを判別する。ノー(N)の場合はST25に進み、イエス(Y)の場合はST26に進む。
ST25において、シート無しデータ記憶手段C7Bに記憶された1周期分のシート無しデータから平均値を演算して、シート無し値V1として記憶する。そして、ST30に進む。
【0058】
ST26において、シート有無フラグFLが「0」になる直前の(1−N)周期分のシート有りデータと、シート有り値V2と、前回のシート無し値V1とから、補完情報を演算、導出する。そして、ST27に進む。
ST27において、N周期分のシート無しデータと、(1−N)周期分の補完情報とから平均値を演算し、シート無し値V1として記憶する。そして、ST30に進む。
ST28において、シート有無フラグFLが「1」から「0」になったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST29に進み、ノー(N)の場合はST30に進む。
ST29において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST30に進む。
(1)蓄積されたシート有りデータの1周期分あら平均値を演算して、シート有り値V2として記憶する。
(2)(シート有り値V2)−(シート無し値V1)からシートSの厚さを検知する。
ST30において、ジョブが終了したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST22に戻り、イエス(Y)の場合はST21に戻る。
【0059】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、画像形成動作であるジョブが開始されると、給紙トレイTR1〜TR4からシートSが搬送される前に、駆動ローラ2が駆動して、図6のST3に示す処理でシートSが無い状態において、ピンチローラ3の1回転分以上の厚さセンサSN2の出力値の履歴データが蓄積される。そして、シートSの給紙が開始されて、搬送方向の前端が厚さセンサSN2に到達すると、図7のST25の処理がされて、1周期分のシート無しデータに基づいて、シート無し値V1、すなわち、シートSが無い状態における厚さセンサSN2の出力値が算出される。したがって、ピンチローラ3の偏心の影響がない精度の高いシート無し値V1が算出される。
【0060】
接触ローラ対1にシートSが挟まれた搬送されている状態では、図6のST7の処理がされて、シート有りデータが蓄積される。そして、シートSの後端が接触ローラ対1を抜けて、シート有無フラグFLが「1」から「0」になると、図7のST29の処理がされて、1周期分のシート有りデータに基づいて、シート有り値V2、すなわち、シートSが有る状態における厚さセンサSN2の出力値が算出される。そして、シート有り値V2とシート無し値V1とに基づいて、シートSの厚さが検出される。したがって、シート有り値V2は、ピンチローラ3の偏心の影響がなく、精度が高いシート有り値V2が演算される。
【0061】
前のシートSの後端が通過後、次のシートSの前端が進入するまでの間、いわゆる紙間では、図6のST3に示す処理がされてシートが無い状態における履歴データが蓄積される。そして、次のシートSの前端が接触ローラ対1に進入すると、紙間におけるシート無しデータに基づいて、シート無し値V1の演算、更新が行われる。このとき、シートSのサイズ等のシート種類や、高速印刷や通常印刷等のジョブの設定、画像データの情報処理の時間等に応じて、紙間が異なり、紙間が比較的長く、紙間において、ピンチローラ3の1回転分以上の履歴データが蓄積された場合は、図7のST25の処理がされて、1周期分のシート無しデータからシート無し値V1の演算が行われる。
紙間が短く、紙間においてピンチローラ3の1回転分未満の履歴データが蓄積された場合は、図7のST26、ST27の処理がされて、直前のシート有りデータから補完情報が算出される。そして、1周期分のシート無しデータが生成され、シート無し値V1が演算される。したがって、ピンチローラ3の偏心の影響がなく、精度の高いシート無し値V1が算出され、更新される。
【0062】
したがって、紙間においてシート無し値V2の更新をしない場合には、連続して画像形成が行われる場合の媒体厚検出装置1+SN1+SN2の温度変動、いわゆる温度ドリフトなどの影響を受ける恐れがあるが、実施例1では、紙間でもシート無し値V2の更新を行っており、温度ドリフト等の影響が低減されている。
また、実施例1では、算出されたシート無し値V1およびシート有り値V2は、ピンチローラ3の偏心の影響が除去されており、特許文献1、2、5、6に記載されたような偏心の影響を考慮しない従来の技術に比べて、シート無し値V1およびシート有り値V2が精度良く算出され、シートSの厚さの検知の精度が向上している。特に、シート無し値V1が検出、更新されており、厚さセンサSN2の個体差等の影響も除去することが可能になっている。
【0063】
特許文献3に記載の従来技術では、瞬間のデータを使用してシートSの厚さを検出しており、ある程度の期間の履歴データを使用しておらず、検出結果が安定しにくかったり、ノイズ等の影響で誤検出する恐れもある。また、特許文献4に記載の従来技術では、媒体(紙幣)有りの状態よりも媒体無しの状態が長いことが前提となっており、紙間が長くなってしまう問題がある。
【0064】
図8は従来の構成における紙間が比較的長い場合のシートセンサの出力と、厚さセンサの出力との説明図である。
図9は実施例1におけるシートセンサの出力と、厚さセンサの出力との説明図である。
図8において、従来技術では、シートに接触する回転体の偏心を補正させるためには、回転体を1回転以上させないと、精確な用紙無しの状態の出力値を取得できず、図8に示すように、紙間のシート無し期間T1′を長く取る必要があった。したがって、従来の構成では、紙間を短くすることが困難であり、単位時間当たりの印刷枚数、いわゆる生産性を向上することが困難となる問題があった。
これに対して、実施例1では、図9に示すように、紙間が短く、1回転未満しかピンチローラ3が回転しない場合でも、補完情報を算出して1回転分のシート無しデータが生成され、偏心の影響が除去されたシート無し値V1が算出される。したがって、紙間を短くして、生産性を向上しつつ、シートSの厚さを検出する精度を向上させることが可能となっている。
【実施例2】
【0065】
図10は実施例2の画像形成装置のコントローラが備えている各機能をブロック図で示した図であり、実施例1の図3に対応する図である。
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
図10において、実施例2のコントローラCは、実施例1のシート無し値演算手段C10に替えて、シート無し値演算手段C10′を有すると共に、振幅導出手段C21と、振幅記憶手段C22とを有する。
【0066】
図11は実施例2の振幅の説明図であり、実施例1の図5Cに対応する図である。
C21:振幅導出手段
振幅導出手段C21は、ピンチローラ3がシートSに接触している場合に、ピンチローラ3の1回転以上の期間におけるピンチローラ3の厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、移動量の波形のシート有り値V2に対する振幅αにより構成された補正情報を導出する。実施例2の振幅導出手段C21は、シート有りデータ記憶手段C7Bに記憶されたシート有りデータの波形の情報に基づいて、振幅αを導出する。具体的には、1周期分の履歴データにおいて、シート有り値V2との差分の絶対値が最大となる値を振幅αとして導出する。
C22:振幅記憶手段
振幅記憶手段C22は、振幅導出手段C22で導出された振幅αを記憶する。
【0067】
C10′:シート無し値演算手段
実施例2のシート無し値演算手段C10′は、周期演算手段C10Aと、周期判別手段C10Bと、極値検知手段C10Dと、波形種類判別手段C10Eとを有し、シート無しデータに基づいて、シート無し値V1を演算する。
C10D:極値検知手段
極値検知手段C10Dは、ピンチローラ3がシートSに接触していない場合に、ピンチローラ3の1回転未満のシート無しデータに基づいて、1回転未満のシート無しデータの波形の極値、すなわち、極大値または極小値を検知する。
【0068】
図12は実施例2の波形の種類の説明図であり、図12Aは極大値を中心とした半周期分の波形の説明図、図12Bは極大値から極小値までの半周期分の波形の説明図、図12Cは極小値を中心とした半周期分の波形の説明図、図12Dは極小値から極大値までの半周期分の波形の説明図である。
C10E:波形種類判別手段
波形種類判別手段C10Eは、ピンチローラ3がシートSに接触していない場合に、ピンチローラ3の1回転未満のシート無しデータに基づいて、1回転未満のシート無しデータの波形の種類を判別する。図12において、実施例2の波形種類判別手段C10Eは、図12Aに示す極大値を中心とした半周期分の波形が含まれるか、図12Bに示す極大値から極小値までの半周期分の波形が含まれるか、図12Cに示す極小値を中心とした半周期分の波形が含まれるか、図12Dに示す極小値から極大値までの半周期分の波形が含まれるかを判別する。実施例2では、極値検知手段C10Dにおいて、検知された履歴の時間が古い極値が極大値または極小値であるかと、極値に対して履歴の時間が古い側に1/4周期分の履歴データが存在するか否かを判別することで、波形が図12A〜図12Dのいずれかに該当するかを判別する。すなわち、極値が極大値で、古い側に1/4周期分の履歴データがあれば、図12Aの波形、極値が極大値で古い側に1/4周期分の履歴データが無ければ、図12Bの波形と判別する。そして、極値が極小値で、古い側に1/4周期分の履歴データがあれば、図12Cの波形、極値が極小値で古い側に1/4周期分の履歴データが無ければ、図12Dの波形と判別する。
【0069】
したがって、実施例2のシート無し値演算手段C10′は、ピンチローラ3がシートSに接触していない場合に、ピンチローラ3の1回転未満の履歴データが蓄積された場合には、ピンチローラ3の1回転未満且つ予め設定された期間の一例としての半周期における厚さセンサの出力値の平均と、振幅αとに基づいて、シート無し値V2を演算する。具体的には、波形種類判別手段C10Eで、図12Aに示す波形の場合には、出力値の平均値V1′から振幅αの2/π倍を引いた値、すなわち、V1′−2α/πをシート無し値V1として演算する。また、波形種類判別手段C10Eで、図12Bまたは図12Dに示す波形の場合には、出力値の平均値をシート無し値V1として演算する。さらに、波形種類判別手段C10Eで、図12Cに示す波形の場合には、出力値の平均値V1′に振幅αの2/πを加算した値、すなわち、V1′+αをシート無し値V1として演算する。
【0070】
(実施例2のフローチャートの説明)
次に、本発明の実施例2の画像形成装置Uの処理の流れをフローチャートを使用して説明する。
(実施例2の厚さ検知処理のフローチャートの説明)
図13は本発明の実施例2の厚さ検知処理のフローチャートであり、実施例1の図7に対応する図である。
図13において、実施例2の厚さ検知処理では、実施例1の厚さ検知処理のST26、ST27に替えて、ST41〜ST45が実行される以外は、実施例1と同様であるので、それらの処理については詳細な説明を省略する。
【0071】
図13のST41において、シート無しデータから極値、すなわち、極大値または極小値を検知する。そして、ST42に進む。
ST42において、極値の波形の前側に1/4周期分の履歴データがあるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST43に進み、イエス(Y)の場合はST44に進む。
ST43において、半周期分のシート無しデータから平均値V1′を演算して、演算された平均値V1′をシート無し値V1として記憶する。そして、ST30に進む。
ST44において、シート有りデータから振幅αを演算する。そして、ST45に進む。
ST45において、シート無しデータから平均V1′を演算して、振幅αの2/π倍を、図12Aまたは図12Cに示す波形種類に応じて加減した値を、シート無し値V1として記憶する。そして、ST30に進む。
【0072】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の複写機Uでは、紙間が比較的短く、紙間におけるシート無しの履歴データが、ピンチローラ3の半回転以上1回転未満のデータしか得られない場合に、蓄積されたシート無しデータに基づいて、波形の種類が判別され、波形の種類と振幅αとからシート無し値V1が演算される。したがって、実施例2の媒体厚検出装置1+SN1+SN2においても、紙間が短くなっても、精確なシート無し値V1を算出可能になっている。
【実施例3】
【0073】
図14は実施例3の画像形成装置のコントローラが備えている各機能をブロック図で示した図であり、実施例1の図3に対応する図である。
次に本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1、2の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1、2と相違しているが、他の点では前記実施例1、2と同様に構成される。
図14において、実施例3のコントローラCは、実施例2の移動量検出手段C6、シート無し値演算手段C10′に替えて、移動量検出手段C6″、シート無し値演算手段C10″を有する。
【0074】
C6″:移動量検出手段
移動量検出手段C6″は、情報蓄積判別手段C6Aと、検知開始時間記憶手段C6Bと、検知開始タイマTM2とを有し、ピンチローラ3のシートSの厚さ方向の移動量を検出する。実施例3の移動量検出手段C6″は、厚さセンサSN2の出力信号に基づいて、予め設定された期間だけ、ピンチローラ3のシートSの厚さ方向の移動量を検出する。
C6A:情報蓄積判別手段
情報蓄積判別手段C6Aは、予め設定された期間だけ、厚さセンサSN2の出力信号の履歴データが蓄積されたか否かを判別する。実施例3の情報蓄積判別手段C6Aでは、ジョブ開始時のシートSが無い状態と、シートSがある状態では、厚さセンサSN2の出力信号を、予め設定された期間の一例としての1周期分だけ、履歴データが蓄積されたか否かを判別する。また、紙間のシートSが無い状態では、厚さセンサSN2の出力信号を1/2周期分だけ、履歴データが蓄積されたか否かを判別する。
【0075】
C6B:検知開始時間記憶手段
検知開始時間記憶手段C6Bは、シートSが無い状態における厚さセンサSN2の検知を開始する検知開始時間t2を記憶する。実施例3では、検知開始時間t2の一例として、3/4周期に対応する時間に設定されている。
TM2:検知開始タイマ
検知開始タイマTM2は、検知開始時間t2がセットされ、検知開始時間t2が経過するとタイムアップする。
【0076】
実施例3の極値検知手段C10D″は、シートセンサSN1でのシートSの検出状態が変化、すなわち、シートSが有りから無し、または無しから有りなった後、シート有りデータの履歴データに基づいて、最初に測定される波形の極値または平均値、すなわちシート有り値V2を検知する。
また、実施例3のシート無し値演算手段C10″は、シートセンサSN1でシートSが検出された後、予め設定された測定開始時間が経過した後に、予め設定された1回転未満の期間のピンチローラ3の移動量の平均と、前記振幅とに基づいて、前記シート無し値V1を演算する。なお、実施例3では、最初に極値検知手段C10D″が検知されるまでの時間に検知開始時間t2が加算された時間が前記測定開始時間となっている。
【0077】
(実施例3のフローチャートの説明)
次に、本発明の実施例2の画像形成装置Uの処理の流れをフローチャートを使用して説明する。
(実施例3の通過検知処理のフローチャートの説明)
図15は本発明の実施例3の通過検知処理のフローチャートであり、実施例1の図6に対応する図である。
図15において、実施例3の通過検知処理では、実施例1の通過検知処理のST3、ST7に替えて、ST3″およびST7″が実行される。
ST3″において、シート有無フラグFLを「0」として、ST4に進む。
ST7″において、シート有無フラグFLを「1」として、ST8に進む。
【0078】
(実施例3の厚さ検知処理のフローチャートの説明)
図16は本発明の実施例3の厚さ検知処理のフローチャートである。
図16のST51において、ジョブが開始されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST52に進み、ノー(N)の場合はST51を繰り返す。
ST52において、シート有無フラグFLが「0」であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST53に進み、ノー(N)の場合はST52を繰り返す。
ST53において、シート無しデータの蓄積を開始する。そして、ST54に進む。
ST54において、1周期分のシート無しデータが蓄積されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST55に進み、ノー(N)の場合はST54を繰り返す。
【0079】
ST55において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST56に進む。
(1)1周期分のシート無しデータから平均値を演算し、シート無し値V1として記憶する。
(2)シート無しデータの蓄積を終了する。
ST56において、シート有無フラグFLが「1」になったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST57に進み、ノー(N)の場合はST56を繰り返す。
ST57において、シート有りデータの蓄積を開始する。そして、ST58に進む。
ST58において、1周期分のシート有りデータが蓄積されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST59に進む、ノー(N)の場合はST58を繰り返す。
【0080】
ST59において、次の処理(1)〜(4)を実行して、ST60に進む。
(1)1周期分のシート有りデータから平均値を演算し、シート有り値V2として記憶する。
(2)1周期分のシート有りデータから振幅αを演算する。
(3)(シート有り値V2)−(シート無し値V1)から、シートSの厚さを検知する。
(4)シート有りデータの蓄積を終了する。
ST60において、シートセンサSN1がシートSの後端を検知したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST61に進み、ノー(N)の場合はST60を繰り返す。
【0081】
ST61において、シート有りデータの極値(極大値または極小値)または平均値(シート有り値V2)を検知したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST62に進み、ノー(N)の場合はST61を繰り返す。
ST62において、検知開始タイマTM2に検知開始時間t2をセットする。そして、ST63に進む。
ST63において、検知開始タイマTM2がタイムアップしたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST64に進み、ノー(N)の場合はST63を繰り返す。
ST64において、シート無しデータの蓄積を開始する。そして、ST65に進む。
【0082】
ST65において、1/2周期分のシート無しデータが蓄積されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST66に進み、ノー(N)の場合はST65を繰り返す。
ST66において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST67に進む。
(1)1/2周期分のシート無しデータから平均値を演算し、シート無しデータが蓄積された半周期分の波形の種類と、振幅αから、実施例2のST43、ST45と同様の処理により、シート無し値V1を演算し、記憶する。
(2)シート無しデータの蓄積を終了する。
ST67において、ジョブが終了したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST56に戻り、イエス(Y)の場合はST51に戻る。
【0083】
図17は実施例3の一例のタイムチャートであり、実施例1の図9に対応する図である。
(実施例3の作用)
図17において、前記構成を備えた実施例3の複写機Uでは、紙間が比較的短く、ピンチローラ3の半回転以上1回転未満のデータしか得られない場合に、上流側のシートセンサSN1がシートSの後端を検出してから、極値または平均値から3/4周期後の平均値または極値から半周期分のシート無しデータが蓄積される。そして、蓄積されたシート無しデータに基づいて、波形の種類が判別され、波形の種類と振幅αとからシート無し値V1が演算される。したがって、実施例3の媒体厚検出装置1+SN1+SN2においても、紙間が短くなっても、精確なシート無し値V1を算出可能になっている。
【0084】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H06)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置Uの一例として複写機による構成を例示したが、これに限定されず、プリンタ、FAX、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。また、電子写真方式の画像形成装置に限定されず、インクジェット記録方式やサーマルヘッド方式などをはじめリソグラフ等の印刷機等任意の画像形成方式の画像形成装置に適用可能である。また、単色現像の画像形成装置に限定されず、多色、いわゆるカラーの画像形成装置により構成することも可能である。
【0085】
(H02)前記実施例2、3において、半周期の波形の種類と、振幅αからシート無し値V1を算出したが、半周期に限定されず、例えば、1/4周期分の波形の種類と、振幅αとからシート無し値V1を算出する構成とすることも可能である。
(H03)前記実施例において、媒体厚検出装置1+SN1+SN2は、捌きローラRsの下流側に配置する構成を例示したが、搬送路上であれば、設計や仕様等に応じて、設置する位置は適宜変更可能である。
(H04)前記実施例において、厚さセンサSN2をピンチローラ3の従動軸3aに接触するアクチュエータの回転角を検出するセンサにより構成したが、この構成に限定されず、従来公知の任意の構成とすることが可能であり、例えば、特許文献5に記載されているホール素子を使用することも可能である。
【0086】
(H05)前記実施例1、2において、厚さセンサSN2の上流側にシートセンサSN1を設ける構成を例示したが、この構成に限定されず、例えば、シートセンサSN1を省略して、厚さセンサSN2の出力値が、予め設定された閾値以上変動した場合にシートSが到達したと判別することも可能である。
(H06)前記実施例において、駆動ローラ2とピンチローラ3との組み合わせを例示したが、この構成に限定されず、例えば、無端帯状部材の一例としての駆動ベルトとピンチローラといった組み合わせとすることも可能である。なお、実施例では、駆動ローラ2の偏心の影響が無いものとみなして制御を行ったが、駆動ローラ2に偏心がある場合には、駆動ローラ2の偏心とピンチローラ3の偏心とが合成された合成波形に基づいて、制御を実行することが可能である。なお、実施例では、駆動ローラ2とピンチローラ3とを同径にすると、周期が同じになるため、実用上の問題は発生しにくい。また、駆動ローラ2の軸受けに金属製ベアリングを使用してたりして、駆動ローラ2の偏心がピンチローラ3の偏心に対した問題にならない程度まで小さくすることが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1+SN1+SN2…媒体厚検出装置、
2…駆動部材、
3…接触回転体、
C6,C6″…移動量検出手段、
C8…媒体有り移動量演算手段、
C10,C10′,C10″…媒体無し移動量演算手段、
C10C…補完情報導出手段、
C12…媒体厚検知手段、
C21…振幅導出手段、
S…媒体、
SH1…搬送路、
SN1…媒体検出部材、
U…画像形成装置、
U1b…画像記録部、
V1…媒体無し移動量、
V2…媒体有り移動量、
α…振幅。
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体厚検出装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、複数枚の媒体が重ねて搬送される状態、いわゆる重送状態を検出したり、媒体の厚さに応じて制御を変更するために、媒体の厚さを検出する技術が使用されている。このような媒体の厚さの検出に関する技術として、以下の特許文献1〜6に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1としての特開2003−176062号公報には、最初の用紙が搬送されるまでの間に用紙厚センサ(150)で検出された10回の信号のうち、最初の3回分のデータを廃棄して、7回分のデータの平均から、用紙が存在しない場合の用紙厚センサ(150)の出力値を算出し、用紙厚センサ(150)が1枚目の用紙を検出した場合に出力される6回分のデータのうち、最大値と最小値を除いた4回分のデータの平均から用紙が存在する場合の出力値を算出し、出力値の差分から、用紙の厚さを検出する技術が記載されている。なお、特許文献1では、1枚目の用紙と2枚目の用紙の間、いわゆる紙間の用紙が存在しない状態では、用紙厚センサ(150)から3回分信号の出力がされ、3回分の平均から、用紙が存在しない場合の用紙厚センサ(150)の出力値が算出されている。
【0004】
特許文献2としての特開2000−284549号公報には、機内滞留紙がない状態における紙厚センサ(6)の出力値(t0)を検出しておき、記録紙(P)が送り出された後に、紙厚センサ(6)で検出した測定結果(t1)との差分から、紙厚を測定する技術が記載されている。また、特許文献2には、連続印字や間欠印字モードにおける紙間において、紙が無い状態の紙厚センサ(6)の出力値(t0)を検出可能であることも記載されている。
【0005】
特許文献3としての特開平5−294511号公報には、紙厚検知用ローラ(51,52)の回転中心が偏心している影響を考慮して、紙厚検知用ローラ(51,52)の間に、被写体(S)が突入してから一定時間(X)が経過した後の瞬間(B)における紙厚データ(f−α)と、瞬間(B)からローラ(51,52)の1回転前の被写体(S)が無い状態における紙厚データ(a−α)と、から、紙厚(f−a)を導出する技術が記載されている。
【0006】
特許文献4としての特開平5−294512号公報には、基準ローラ(1)と基準ローラ(1)に対向する検知ローラ(2)を有する紙幣の厚さ検知装置において、基準ローラ(1)の偏心に対応するために、紙幣を検知してから一定の時間の間サンプリングした波形と、基準ローラ(1)の1周期分後の紙幣が無い状態においてサンプリングした波形と、の差分から紙幣の厚さを検出する技術が記載されている。
【0007】
特許文献5としての特開2008−254855号公報には、突入する紙の厚さに応じて変位する変位ローラ(20)の軸受け(22a)に支持された磁石(22c)と、磁石(22c)が中間位置に対向して配置されたホール素子(H1,H2)と、を有する変位センサ(22)により、変位ローラ(20)の移動に伴って、磁石(22c)がホール素子(H1,H2)の一方から遠ざかり、他方に近づくことで、各ホール素子(H1,H2)の検出信号の差分から紙の厚みを検出する技術が記載されている。
【0008】
特許文献6としての特開2003−12192号公報には、基端部を中心に回転可能且つ搬送経路(18)内に先端部が突出する接触子(54)が配置されており、接触子(54)の先端部に用紙が接触して回転した場合に、基端部の角度磁気センサで回転角から用紙の厚さを検出して、重送を判別する技術が記載されている。また、特許文献6記載の技術では、新しい用紙有り位置におけるデータと、前回の用紙有り位置におけるデータと、の差分を使用して、用紙無し位置におけるデータの補正を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−176062号公報(「0019」〜「0032」)
【特許文献2】特開2000−284549号公報(「0028」〜「0034」、「0037」、図1〜図3)
【特許文献3】特開平5−294511号公報(「0018」〜「0019」、図4)
【特許文献4】特開平5−294512号公報(「0008」〜「0011」、図4)
【特許文献5】特開2008−254855号公報(「0069」〜「0076」、「0092」〜「0096」、図2、図4、図5)
【特許文献6】特開2003−12192号公報(「0039」〜「0043」、「0083」〜「0087」、図2、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、媒体の厚さを検出する期間が短い場合でも、厚さの検出精度を向上させることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の媒体厚検出装置は、
媒体の搬送路に配置され且つ回転駆動する駆動部材と、
前記駆動部材に対向して配置されて搬送される媒体に接触可能、且つ、接触時に前記媒体の厚さに応じて媒体の厚さ方向に移動可能な接触回転体と、
前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量を検出する移動量検出手段と、
前記接触回転体が前記媒体に接触している場合に、前記接触回転体の1回転以上の期間における前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、媒体が有る場合の移動量である媒体有り移動量を演算する媒体有り移動量演算手段と、
前記接触回転体が前記媒体に接触していない場合に、前記接触回転体の1回転未満の期間における前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量の履歴情報と、前記媒体有り時の1回転以上の期間における履歴情報に基づいて導出された補正情報と、に基づいて、媒体が無い場合の移動量である媒体無し移動量を演算する媒体無し移動量演算手段と、
前記媒体有り移動量演算手段で演算された媒体有り移動量と、前記媒体無し移動量演算手段で演算された媒体無し移動量と、に基づいて、媒体の厚さを検知する媒体厚検知手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の媒体厚検出装置において、
前記接触回転体が媒体に接触していない場合における前記接触回転体の1回転未満の期間に連続し且つ直前の前記接触回転体が媒体に接触している期間の履歴情報と、前記媒体有り移動量と、に基づいて、前記接触回転体が媒体に接触していない1回転未満の期間と1回転分の期間との差を補完する補完情報により構成された前記補正情報を導出する補完情報導出手段、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の媒体厚検出装置において、
前記接触回転体が前記媒体に接触している場合に、前記接触回転体の1回転以上の期間における前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、移動量の波形の媒体有り移動量に対する振幅により構成された補正情報を導出する振幅導出手段と、
前記接触回転体が前記媒体に接触していない場合に、前記接触回転体の1回転未満且つ予め設定された期間における前記移動量の平均と、前記振幅とに基づいて、前記媒体無し移動量を演算する前記媒体無し移動量演算手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の媒体厚検出装置において、
前記接触回転体が前記媒体に接触している場合に、前記接触回転体の1回転以上の期間における前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、移動量の波形の媒体有り移動量に対する振幅により構成された補正情報を導出する振幅導出手段と、
前記接触回転体に対して、媒体の搬送方向上流側に配置された媒体検出部材と、
前記媒体検出部材での媒体の検出状態が変化した後、予め設定された測定開始時間が経過した後に、予め設定された1回転未満の期間の前記接触回転体の移動量の平均と、前記振幅とに基づいて、前記媒体無し移動量を演算する前記媒体無し移動量演算手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
前記技術的課題を解決するために、請求項5に記載の発明の画像形成装置は、
媒体が搬送される搬送路と、
前記搬送路上に配置された請求項1ないし4のいずれかに記載の媒体厚検出装置と、
前記媒体に画像を記録する画像記録部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、5に記載の発明によれば、媒体有り時の履歴情報に基づいて導出された補正情報を使用して媒体無し移動量を演算しない場合に比べて、媒体の厚さを検出する期間が短い場合でも、厚さの検出精度を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、前記接触回転体が媒体に接触していない1回転未満の期間と1回転分の期間との差を補完する補完情報を使用して、媒体無し移動量を演算できる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、接触回転体の1回転未満の期間における前記移動量の平均と、媒体有り時の履歴情報から導出される振幅とに基づいて、媒体無し移動量を演算できる。
請求項4に記載の発明によれば、媒体検出部材で媒体が検出された後の予め設定された1回転未満の期間の接触回転体の移動量の平均と、媒体有り時の履歴情報から導出される振幅とに基づいて、媒体無し移動量を演算できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の説明図である。
【図2】図2は実施例1の媒体厚検出装置の説明図である。
【図3】図3は実施例1の画像形成装置のコントローラが備えている各機能をブロック図で示した図である。
【図4】図4は実施例1の移動量の履歴の説明図であり、図4Aは偏心したピンチローラとアクチュエータが90°ずつ回転していった状態の説明図、図4Bは図4Aの回転に伴う厚さセンサの出力値の履歴情報の説明図である。
【図5】図5は実施例1の接触ローラ対にシートが進入する前後の説明図であり、図5Aはシート進入前の状態の説明図、図5Bはシート進入時の状態の説明図、図5Cはシート進入前後に渡る厚さセンサの出力値の履歴情報の一例の説明図である。
【図6】図6は本発明の実施例1の通過検知処理のフローチャートである。
【図7】図7は本発明の実施例1の厚さ検知処理のフローチャートである。
【図8】図8は従来の構成における紙間が比較的長い場合のシートセンサの出力と、厚さセンサの出力との説明図である。
【図9】図9は実施例1におけるシートセンサの出力と、厚さセンサの出力との説明図である。
【図10】図10は実施例2の画像形成装置のコントローラが備えている各機能をブロック図で示した図であり、実施例1の図3に対応する図である。
【図11】図11は実施例2の振幅の説明図であり、実施例1の図5Cに対応する図である。
【図12】図12は実施例2の波形の種類の説明図であり、図12Aは極大値を中心とした半周期分の波形の説明図、図12Bは極大値から極小値までの半周期分の波形の説明図、図12Cは極小値を中心とした半周期分の波形の説明図、図12Dは極小値から極大値までの半周期分の波形の説明図である。
【図13】図13は本発明の実施例2の厚さ検知処理のフローチャートであり、実施例1の図7に対応する図である。
【図14】図14は実施例3の画像形成装置のコントローラが備えている各機能をブロック図で示した図であり、実施例1の図3に対応する図である。
【図15】図15は本発明の実施例3の通過検知処理のフローチャートであり、実施例1の図6に対応する図である。
【図16】図16は本発明の実施例3の厚さ検知処理のフローチャートである。
【図17】図17は実施例3の一例のタイムチャートであり、実施例1の図9に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の説明図である。
図1において、実施例1の画像形成装置の一例としての複写機Uは、上面に透明な原稿台の一例であるプラテンガラスPGを有する装置本体U1と、前記プラテンガラスPG上に着脱自在に装着される自動原稿搬送装置U2とを備えている。
前記自動原稿搬送装置U2は、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて収容される原稿収容部の一例である原稿給紙トレイTG1を有している。前記原稿給紙トレイTG1に載置された複数の各原稿Giは順次プラテンガラスPG上の複写位置を通過して原稿排紙部の一例である原稿排紙トレイTG2に排出されるように構成されている。
【0021】
前記装置本体U1は、作業者が指示を入力する動作指示入力部の一例としてのユーザインタフェースUIと、前記プラテンガラスPGの下方に順次配置された画像読取部の一例としてのスキャナ部U1aおよび画像記録部の一例としてのプリンタ部U1bと、前記スキャナ部U1aまたはプリンタ部U1bに設けられた画像処理部GSとを有している。
装置本体U1上面の透明なプラテンガラスPGの下方に配置された原稿読取装置としてのスキャナ部U1aは、原稿読取り位置に配置された露光系位置検出部材の一例としての露光系レジセンサSp、および露光光学系Aを有している。
【0022】
前記露光光学系Aは、その移動および停止が露光系レジセンサSpの検出信号により制御され、常時は画像読取り位置の一例としてのホーム位置、すなわち、初期位置に停止している。
前記自動原稿搬送装置U2を使用して自動的に原稿を搬送して複写を行う自動原稿搬送動作の場合は、前記露光光学系Aはホーム位置に停止した状態で、プラテンガラスPG上の複写位置F1を順次通過する各原稿Giを露光する。
原稿Giを作業者が手でプラテンガラスPG上に置いて複写を行う原稿手動設置動作時の場合、露光光学系Aは移動しながらプラテンガラスPG上の原稿を露光走査する。
露光された前記原稿Giからの反射光は、前記露光光学系Aを通って固体撮像素子CCD上に収束される。前記固体撮像素子CCDは、その撮像面上に収束された原稿反射光を電気信号に変換する。
【0023】
また、画像処理部GSは、前記スキャナ部U1aの固体撮像素子CCDから入力された読取画像信号をデジタルの画像書込信号に変換して画像形成部U1bの潜像書込回路DLに出力する。
前記潜像書込回路DLは、入力された画像データに応じた潜像書込信号を潜像形成装置の一例としての露光装置RSに出力する。
【0024】
前記露光装置RSの下方に配置された像保持体の一例としての感光体ドラムPRは、矢印Ya方向に回転する。前記感光体ドラムPR表面は、帯電領域Q0において帯電器の一例としての帯電ローラCRによりに帯電された後、潜像書込位置Q1において前記露光装置RSの潜像書込光の一例としてのレーザビームLにより露光走査されて静電潜像が形成される。前記静電潜像が形成された感光体ドラムPR表面は回転移動して現像領域Q2、画像記録領域の一例としての転写領域Q3を順次通過する。
【0025】
前記現像領域Q2において前記静電潜像を現像する現像装置Gは、トナーおよびキャリアを含む現像剤を現像剤保持体の一例としての現像ローラR0により現像領域Q2に搬送し、前記現像領域Q2を通過する静電潜像を画像の一例としてのトナー像Tnに現像する。前記感光体ドラムPR表面のトナー像Tnは前記転写領域Q3に搬送される。
【0026】
前記転写領域Q3において、感光体ドラムPRに対向して配置された転写搬送装置の一例としての転写ユニットTUは、無端帯状の媒体用搬送部材の一例としての転写ベルトTBを有する。前記転写ベルトTBは、駆動部材の一例としての駆動ローラRdおよび従動部材の一例としての従動ローラRfを有する媒体搬送部材支持系の一例としてのベルト支持ローラRd+Rfにより回転可能に支持されている。前記転写ベルトTBを挟んで前記感光体ドラムPRに対向して転写装置の一例としての転写ローラTRが配置されている。また、前記駆動ローラRdに対向して媒体剥離部材の一例としての剥離爪SCが配置され、剥離爪SCの転写ベルトTB回転方向下流側には、転写用の清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbが配置されている。
転写ローラTRは、感光体ドラムPR表面のトナー像Tnを媒体の一例としてのシートSに転写する部材であり、現像装置Gで使用される現像用のトナーの帯電極性と逆極性の転写電圧が電源回路Eから供給される。前記電源回路Eは制御部の一例としてのコントローラCにより制御される。
【0027】
媒体収容部の一例としての給紙トレイTR1〜TR4に収容されたシートSは、予め設定された給紙時期に媒体取出し部材の一例としてのピックアップロールRpにより取り出され、媒体分離部材の一例としての捌きローラRsで1枚づつ分離されて、複数の媒体用搬送部材の一例としての搬送ローラRaにより、上流媒体搬送部材の一例としてのプレレジローラRPrに搬送される。また、前記シートSは、前記プレレジローラRPrにより、前記転写領域Q3に向けて前記シートSを搬送する時期調整部材の一例としてのレジローラRrに搬送される。
【0028】
前記レジローラRrに搬送されたシートSは、前記感光体ドラムPR上のトナー像Tnが転写領域Q3に移動する時期、すなわち、タイミングを合わせて、転写前媒体案内部材の一例としての転写前シートガイドSG1から転写ユニットTUの転写ベルトTBに搬送される。転写ベルトTBは搬送されたシートSを前記転写領域Q3に搬送する。
前記感光体ドラムPR表面に現像されたトナー像Tnは、前記転写領域Q3において、転写ローラTRによりシートSに転写される。転写後、感光体ドラムPR表面は、像保持体清掃器の一例としての感光体クリーナCLpにより残留トナーが除去され、前記帯電ローラCRにより再帯電される。
【0029】
転写領域Q3において転写ローラTRによりトナー像が転写された前記シートSは、転写領域Q3の下流側の剥離爪SCにより転写ベルトTB表面から剥離される。剥離されたシートSは、加熱定着部材の一例としての加熱ローラFhおよび加圧定着部材の一例としての加圧ローラFpを有する定着装置Fでトナー像が加熱定着されてから、弾性シート製の搬送路切換部材の一例としてのマイラーゲートMGを通って、媒体排出路の一例としてのシート排出路SH2の正逆回転可能な搬送ローラRbに搬送される。マイラゲートMGは弾性変形して、定着装置Fを通過したシートSをシート排出路SH2に向かわせる。
【0030】
媒体排出部の一例としての排紙トレイTRhに排出されるシートSは正逆回転可能な搬送ローラRbおよび複数の搬送ローラRaが配置されたシート排出路SH2を搬送される。シート排出路SH2の下流端部には搬送路切換部材の一例としての切替ゲートGT1が配置されている。切替ゲートGT1は、複写機Uに図示しない後処理装置が接続されている場合には、搬送されてきたシートSを排紙トレイTRhまたは図示しない後処理装置のいずれかに排出するように切替えられる。なお、後処理装置が装着されていない状態では、切替ゲートGT1は、シート排出路SH2の下流端部に搬送されたシートSを、排紙トレイTRhに排出するように切替えられており、前記シートSは媒体排出部材の一例としての排紙ローラRhによって排紙トレイTRhに排出される。
【0031】
両面印刷を行う場合、前記正逆回転可能な搬送ローラRbは、片面記録済のシートSが搬送されると、片面記録済のシートSの後端が搬送ローラRbを通過する直前に逆回転する。したがって、前記片面記録済のシートSは、シート排出路SH2をマイラーゲートMG側に戻され、いわゆるスイッチバックされる。前記マイラゲートMGは、前記搬送ローラRbによりスイッチバックして来たシートSを媒体循環搬送路の一例としてのシート循環搬送路SH3に向かわせる。シート循環搬送路SH3に搬送された片面記録済シートSは表裏反転した状態で前記転写領域Q3に再送される。前記転写領域Q3に再送された片面記録済シートSは、2面目にトナー像が転写され、シート排出路SH2を搬送されて、排紙トレイTRhに排出される。
【0032】
(媒体厚検出装置の説明)
図2は実施例1の媒体厚検出装置の説明図である。
図2において、捌きローラRsの下流側には、媒体検知部材の一例として、シートSの有無を検知するシートセンサSN1が配置されている。前記シートセンサSN1の下流側には、検出装置本体の一例として、接触ローラ対1が配置されている。前記接触ローラ対1は、駆動源の一例としての図示しないメインモータからの駆動が伝達されて回転する駆動部材の一例としての駆動ローラ2と、前記駆動ローラ2に対向して従動回転可能に支持された従動部材の一例であって接触回転体の一例としてのピンチローラ3とを有する。ピンチローラ3は、従動軸3aを有し、従動軸3aの軸方向両端部において、駆動ローラ2に対して接触、離間する方向に移動可能に支持されている。
【0033】
ピンチローラ3の近傍には、厚さ検知本体の一例としての厚さセンサSN2が配置されている。厚さセンサSN2は、基端部4aを中心として回転可能に支持され且つ先端部4bが従動軸3aに接触する接触体の一例としてのアクチュエータ4と、アクチュエータ4の基端部4aの回転角を検出する回転検知部6とを有する。
したがって、駆動ローラ2とピンチローラ3との間にシートSが進入した場合に、ピンチローラ3の移動に応じて回転するアクチュエータ4の回転角を検知することで、シートSの厚さが検知可能になっている。
前記接触ローラ対1、シートセンサSN1、厚さセンサSN2等により、実施例1の媒体厚検出装置1+SN1+SN2が構成されている。
【0034】
(実施例1の制御部の説明)
図3は実施例1の画像形成装置のコントローラが備えている各機能をブロック図で示した図である。
図3において、前記コントローラCは、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行う入出力信号調節部の一例としての入出力インターフェース、いわゆる、I/O、必要な処理を実行するためのプログラムおよびデータ等が記憶されたリードオンリーメモリ、いわゆる、ROM、必要なデータを一時的に記憶するためのランダムアクセスメモリ、いわゆる、RAM、前記ROMに記憶されたプログラムに応じた処理を行う中央演算処理装置、いわゆる、CPU、ならびにクロック発振器等を有する計算機の一例としてのコンピュータにより構成されており、前記ROMに記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0035】
(コントローラCに接続された信号出力要素)
前記コントローラCには、次の信号出力要素の出力信号が入力されている。
UI:ユーザインタフェース
ユーザインタフェースUIは、複写開始釦の一例としてのコピースタートキーUI1、数字釦の一例としてのテンキーUI2,複写枚数入力釦の一例としてのコピー枚数入力キーUI3、表示部UI4等を備えており、それらが入力されたことを検出して、その検出信号をコントローラCに入力する。
SN1:シートセンサ
シートセンサSN1は、シートSの有無の検知信号をコントローラCに入力する。
SN2:厚さセンサ
厚さセンサSN2は、シートSの厚みの検知信号をコントローラCに入力する。
【0036】
(コントローラCに接続された被制御要素)
コントローラCは、次の被制御要素D1,D1,Eの制御信号を出力している。
D1:メインモータ駆動回路
主駆動源駆動回路の一例としてのメインモータ駆動回路D1は主駆動源の一例としてのメインモータM1を駆動することにより、図示しない駆動力伝達部材の一例としてのギアを介して感光体ドラムPR、さばきローラRs、駆動ローラ2、搬送ローラRa,Rb、現像装置Gの現像ローラR0、定着装置Fの加熱ローラFh等を回転駆動する。
DL:レーザ駆動回路
レーザ駆動回路DLは、潜像形成装置RSを制御して、感光体ドラムPR表面に潜像を形成する。
【0037】
E:電源回路
前記電源回路Eは、現像用電源回路Ea、帯電用電源回路Eb、転写用電源回路Ecと定着用電源回路Edとを有している。
Ea:現像用電源回路
現像用電源回路Eaは現像装置Gの現像ローラR0に現像電圧を印加する。
Eb:帯電用電源回路
帯電用電源回路Ebは帯電ローラCRに帯電電圧を印加する。
Ec:転写用電源回路
転写用電源回路Ecは転写ローラTRに転写電圧を印加する。
Ed:定着用電源回路
定着用電源回路Edは定着装置Fの加熱ローラFhの加熱部材の一例としてのヒータに加熱用の電力を印加する。
【0038】
(コントローラCの機能)
コントローラCは、ユーザインタフェースUI、シートセンサSN1、厚さセンサSN2の出力信号に応じて前記各被制御要素の動作を制御するためのプログラムにより、次の機能実現手段を有している。
C1:ジョブ制御手段
画像形成動作制御手段の一例としてのジョブ制御手段C1は、コピースタートキーUI1の入力に応じて、前記潜像形成装置RS、帯電ローラCR、転写ローラTR、定着装置F等の動作を制御して、画像形成動作の一例としてのジョブを実行する。
【0039】
C2:メインモータ制御手段
メインモータ制御手段C2は、前記メインモータ駆動回路D1を介してメインモータM1の回転を制御して、感光体ドラムPRや現像装置Gの現像ローラR0、定着装置Fの加熱ローラFh等の駆動を制御する。
C3:電源制御手段
電源制御手段C3は、電源回路Eの作動を制御して、現像ローラR0や帯電ローラCR、転写ローラTR、定着装置Fの加熱ローラFhのヒータ等への電圧、電流の供給を制御する。
【0040】
C4:シート検知手段
シート検知手段C4は、シート前端判別手段C4Aと、シート後端判別手段C4Bとを有し、シートセンサSN1の検知信号に基づいて、シートSがシートセンサSN1の位置に有るか否かを検知する。
C4A:シート前端判別手段
シート前端判別手段C4Aは、シートセンサSN1の検知信号に基づいて、シートSの前端がシートセンサSN1の位置を通過したか否かを判別する。実施例1のシート前端判別手段C4Aは、シートセンサSN1の検知信号が、シートS「無し」から「有り」になった場合に、シートSの前端が通過したと判別する。
【0041】
C4B:シート後端判別手段
シート後端判別手段C4Bは、シートセンサSN1の検知信号に基づいて、シートSの後端がシートセンサSN1の位置を通過したか否かを判別する。実施例1のシート後端判別手段C4Bは、シートセンサSN1の検知信号が、シートS「有り」から「無し」になった場合に、シートSの後端が通過したと判別する。
C5:有無切替判別手段
有無切替判別手段C5は、切替時間記憶手段C5Aと、切替タイマTM1と、シート有無フラグFLとを有し、厚さセンサSN2で検知が行われる接触ローラ対1の位置にシートSが存在する場合と存在しない場合との切替の判別を行う。実施例1の有無切替判別手段C5は、シートSの前端がシートセンサSN1の位置を通過してから予め設定された切替時間t1が経過すると接触ローラ対1にシートSが存在し、シートSの後端がシートセンサSN1の位置を通過してから予め設定された切替時間t1が経過すると接触ローラ対1の位置にシートSが存在しなくなると判別する。
【0042】
C5A:切替時間記憶手段
切替時間記憶手段C5Aは、接触ローラ対1の位置におけるシートSの有無の切替を行うための切替時間t1を記憶する。実施例1の切替時間t1は、接触ローラ対1の上流側の捌きローラRsの搬送速度と、シートセンサSN1の位置から接触ローラ対1の位置までの距離とから、シートSがシートセンサSN1を通過してから接触ローラ対1に到達する時間に応じた時間が予め設定されている。
TM1:切替タイマ
切替タイマTM1は、切替時間t1が入力設定、いわゆるセットされ、切替時間t1が経過すると通知を行う。実施例1の切替タイマTM1には、シートセンサSN1でシートSの搬送方向前端または後端が検知されると、切替時間t1がセットされる。
【0043】
FL:シート有無フラグ
シート有無フラグFLは、初期値は「0」であり、シートSが接触ローラ対1に存在すると判別された場合に「1」となり、シートSが接触ローラ対1に存在しないと判別された場合に「0」となる。
C6:移動量検出手段
移動量検出手段C6は、ピンチローラ3のシートSの厚さ方向の移動量を検出する。実施例1の移動量検出手段C6は、厚さセンサSN2の出力信号に基づいて、ピンチローラ3のシートSの厚さ方向の移動量を検出する。
【0044】
図4は実施例1の移動量の履歴の説明図であり、図4Aは偏心したピンチローラとアクチュエータが90°ずつ回転していった状態の説明図、図4Bは図4Aの回転に伴う厚さセンサの出力値の履歴情報の説明図である。
C7:移動量記憶手段
移動量記憶手段C7は、シート無しデータ記憶手段C7Aと、シート有りデータ記憶手段C7Bとを有し、移動量検出手段C6で検出された移動量を記憶する。図4において、実施例1の移動量記憶手段C7は、厚さセンサSN2で検出された移動量、すなわち、厚さセンサSN2の出力値の履歴情報を記憶する。すなわち、図4Aに示すように製造誤差等で従動軸3aの位置がピンチローラ3の真の中心から偏心することに伴って、図4Bに示すように、厚さセンサSN2の出力値が正弦波状に変動する履歴のデータである履歴情報を記憶する。
【0045】
図5は実施例1の接触ローラ対にシートが進入する前後の説明図であり、図5Aはシート進入前の状態の説明図、図5Bはシート進入時の状態の説明図、図5Cはシート進入前後に渡る厚さセンサの出力値の履歴情報の一例の説明図である。
C7A:シート無しデータ記憶手段
媒体無し移動量記憶手段の一例としてのシート無しデータ記憶手段C7Aは、接触ローラ対1にシートSが存在しない場合における移動量を記憶する。実施例1のシート無しデータ記憶手段C7Aは、シート有無フラグFLが「0」の場合における、厚さセンサSN2の出力値の履歴情報を記憶する。すなわち、実施例1のシート無しデータ記憶手段C7Aは、図5Cにおけるシート無し期間T1の履歴データを記憶している。
【0046】
C7B:シート有りデータ記憶手段
媒体有り移動量記憶手段の一例としてのシート有りデータ記憶手段C7Bは、接触ローラ対1にシートSが存在する場合における移動量を記憶する。実施例1のシート有りデータ記憶手段C7Bは、シート有無フラグFLが「1」の場合における、厚さセンサSN2の出力値の履歴情報を記憶する。すなわち、実施例1のシート有りデータ記憶手段C7Bは、図5Cにおけるシート有り期間T2の履歴データを記憶している。
【0047】
C8:シート有り値演算手段
媒体有り移動量演算手段の一例としてのシート有り値演算手段C8は、ピンチローラ3がシートSに接触している場合に、ピンチローラ3の1回転以上の期間におけるピンチローラ3の厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、シートSが有る場合の移動量である媒体有り移動量の一例としてのシート有り値V2を演算する。実施例1のシート有り値演算手段C8は、シート有りデータ記憶手段C7Bに記憶された履歴データから、予め設定されたピンチローラ3の1回転、すなわち、正弦波の1周期に対応する期間T2a分の履歴データを読み出し、その平均値を演算することで、ピンチローラ3の偏心の影響が無いシートSの厚みに対応するシート有り値V2を演算する。
C9:シート有り値記憶手段
媒体有り移動量記憶手段の一例としてのシート有り値記憶手段C9は、シート有り値演算手段C8で演算されたシート有り値V2を記憶する。
【0048】
C10:シート無し値演算手段
媒体無し移動量演算手段の一例としてのシート無し値演算手段C10は、周期演算手段C10Aと、周期判別手段C10Bと、補正情報導出手段の一例としての補完情報導出手段C10Cとを有し、ピンチローラ3がシートSに接触していない場合に、ピンチローラ3の厚さ方向の移動量の履歴情報とに基づいて、シートSが無い場合の移動量である媒体無し移動量の一例としてのシート無し値V1を演算する。実施例1のシート無し値演算手段C10は、シート無しデータ記憶手段C7Aに記憶された履歴データに基づいて、ピンチローラ3の1回転、すなわち、正弦波の1周期に対応する期間T1a分の履歴データに基づいて、その平均値であるシート無し値V1を演算する。なお、実施例1のシート無し値演算手段C10は、シート無しデータ記憶手段C7Aに記憶された履歴データが、1回転に対応する期間T1a以上存在する場合には、1回転に対応する期間T1a分の履歴データに基づいて、シート無し値V1を演算する。また、シート無しデータ記憶手段C7Aに記憶された履歴データが、1回転に対応する期間T1a未満の場合は、ピンチローラ3の1回転未満の期間におけるピンチローラ3の厚さ方向の移動量の履歴情報と、シートS有り時の1回転以上の期間における履歴情報に基づいて導出された補正情報と、に基づいて、シート無し値V1を演算する。なお、実施例1では、ジョブが開始されてから最初のシートSの搬送が開始されるまでの間に、ピンチローラ3は1回転以上回転するように、設定されている。
【0049】
C10A:周期演算手段
周期演算手段C10Aは、シート無しデータ記憶手段C7Aに記憶された履歴データが、ピンチローラ3の1回転、すなわち、1周期に対応する予め設定された期間T1aに対して、何周期分蓄積されているか否かを演算する。すなわち、N=(シート無し期間T1)/(1周期に対応する期間T1a)を演算することで、N周期を演算する。
C10B:周期判別手段
周期判別手段C10Bは、周期演算手段C10Aで演算されたN周期が、1周期以上であるか否かを判別する。すなわち、N≧1であるか否かを判別する
【0050】
C10C:補完情報導出手段
補正情報導出手段の一例としての補完情報導出手段C10Cは、ピンチローラ3がシートSに接触していない場合におけるピンチローラ3の1回転未満のシート無し期間T1に連続し且つ直前のピンチローラ3がシートSに接触しているシート有り期間T2の履歴情報と、シート有り値V2と、に基づいて、ピンチローラ3がシートSに接触していない1回転未満のシート無し期間T2と1回転分の期間T1aとの差を補完する補完情報により構成された前記補正情報を導出する。図5Cにおいて、実施例1の補完情報導出手段C10Cは、搬送されるシートどうしの間、いわゆる紙間のシート無し期間T1のように、ピンチローラ3が1回転未満の場合、直前のシート有り期間T2の履歴データから、シートの厚みに対応するシート有り値V2と前回導出されたシート無し値V1との差分V2−V1を減算した図5Cの一点鎖線で示す波形を補完情報として演算する。そして、シート無し値演算手段C10は、導出された1点鎖線で示す波形の補完情報と、履歴データとから1周期分の履歴データを生成し、その平均から、シート無し値V1を演算する。
【0051】
C11:シート無し値記憶手段
シート無し値記憶手段C11は、シート無し値演算手段C10で演算されたシート無し値V1を記憶する。
C12:媒体厚検知手段
媒体厚検知手段C12は、シート有り値演算手段C8で演算されたシート有り値V2と、シート無し値演算手段C10で演算されたシート無し値V1と、に基づいて、シートSの厚さを検知する。実施例1の媒体厚検知手段C12は、シート有り値V2とシート無し値V1との差分V2−V1からシートSの厚みを検知する。なお、検知された厚みV2−V1は、図示しない、重送判別手段において、予め登録されている給紙トレイTR1〜TR4のシートの種類に応じた厚みと、比較することで重送を判別したり、厚みに応じた転写電圧や定着温度等を制御するために使用することが可能である。
【0052】
(実施例1の流れ図の説明)
次に、本発明の実施例1の画像形成装置Uの処理の流れを流れ図、いわゆるフローチャートを使用して説明する。
(実施例1の通過検知処理のフローチャートの説明)
図6は本発明の実施例1の通過検知処理のフローチャートである。
図6のフローチャートの各ステップSTの処理は、前記画像形成装置UのコントローラCに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は画像形成装置Uの他の各種処理と並行して並列処理で実行される。
図6に示すフローチャートは画像形成装置Uの電源投入により開始される。
【0053】
図6のST1において、ジョブが開始されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に移り、ノー(N)の場合はST1を繰り返す。
ST2において、接触ローラ対1の駆動ローラ2の駆動を開始する。そして、ST3に進む。
ST3において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST4に進む。
(1)シート有無フラグFLを「0」とする。
(2)シート無しデータの記憶、すなわち、蓄積を開始する。
ST4において、シートセンサSN1がシートSの前端を検知したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST5に進み、ノー(N)の場合はST4を繰り返す。
【0054】
ST5において、切替タイマTM1に切替時間t1をセットする。そして、ST6に進む。
ST6において、切替タイマTM1がタイムアップしたか否か、すなわち、切替時間t1が経過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST7に進み、ノー(N)の場合はST6を繰り返す。
ST7において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST8に進む。
(1)シート有無フラグFLを「1」とする。
(2)シート有りデータの記憶、すなわち、蓄積を開始する。
ST8において、シートセンサSN1がシートSの後端を検知したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST9に進み、ノー(N)の場合はST8を繰り返す。
【0055】
ST9において、切替タイマTM1に切替時間t1をセットする。そして、ST10に進む。
ST10において、切替タイマTM1がタイムアップしたか否か、すなわち、切替時間t1が経過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST11に進み、ノー(N)の場合はST10を繰り返す。
ST11において、ジョブが終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST12に進み、ノー(N)の場合はST3に戻る。
ST12において、駆動ローラ2の駆動を停止し、ST1に戻る。
【0056】
(実施例1の厚さ検知処理のフローチャートの説明)
図7は本発明の実施例1の厚さ検知処理のフローチャートである。
図7のフローチャートの各ステップSTの処理は、前記画像形成装置UのコントローラCに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は画像形成装置Uの他の各種処理と並行して並列処理で実行される。
図7に示すフローチャートは画像形成装置Uの電源投入により開始される。
【0057】
図7のST21において、ジョブが開始されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST22に移り、ノー(N)の場合はST21を繰り返す。
ST22において、シート有無フラグFLが「0」から「1」に変わったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST23に進み、ノー(N)の場合はST28に進む。
ST23において、蓄積されたシート無しデータがN周期分であるかを演算する。そして、ST24に進む。
ST24において、Nが1未満であるか否かを判別する。すなわち、(0<)N<1で有るか否かを判別する。ノー(N)の場合はST25に進み、イエス(Y)の場合はST26に進む。
ST25において、シート無しデータ記憶手段C7Bに記憶された1周期分のシート無しデータから平均値を演算して、シート無し値V1として記憶する。そして、ST30に進む。
【0058】
ST26において、シート有無フラグFLが「0」になる直前の(1−N)周期分のシート有りデータと、シート有り値V2と、前回のシート無し値V1とから、補完情報を演算、導出する。そして、ST27に進む。
ST27において、N周期分のシート無しデータと、(1−N)周期分の補完情報とから平均値を演算し、シート無し値V1として記憶する。そして、ST30に進む。
ST28において、シート有無フラグFLが「1」から「0」になったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST29に進み、ノー(N)の場合はST30に進む。
ST29において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST30に進む。
(1)蓄積されたシート有りデータの1周期分あら平均値を演算して、シート有り値V2として記憶する。
(2)(シート有り値V2)−(シート無し値V1)からシートSの厚さを検知する。
ST30において、ジョブが終了したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST22に戻り、イエス(Y)の場合はST21に戻る。
【0059】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、画像形成動作であるジョブが開始されると、給紙トレイTR1〜TR4からシートSが搬送される前に、駆動ローラ2が駆動して、図6のST3に示す処理でシートSが無い状態において、ピンチローラ3の1回転分以上の厚さセンサSN2の出力値の履歴データが蓄積される。そして、シートSの給紙が開始されて、搬送方向の前端が厚さセンサSN2に到達すると、図7のST25の処理がされて、1周期分のシート無しデータに基づいて、シート無し値V1、すなわち、シートSが無い状態における厚さセンサSN2の出力値が算出される。したがって、ピンチローラ3の偏心の影響がない精度の高いシート無し値V1が算出される。
【0060】
接触ローラ対1にシートSが挟まれた搬送されている状態では、図6のST7の処理がされて、シート有りデータが蓄積される。そして、シートSの後端が接触ローラ対1を抜けて、シート有無フラグFLが「1」から「0」になると、図7のST29の処理がされて、1周期分のシート有りデータに基づいて、シート有り値V2、すなわち、シートSが有る状態における厚さセンサSN2の出力値が算出される。そして、シート有り値V2とシート無し値V1とに基づいて、シートSの厚さが検出される。したがって、シート有り値V2は、ピンチローラ3の偏心の影響がなく、精度が高いシート有り値V2が演算される。
【0061】
前のシートSの後端が通過後、次のシートSの前端が進入するまでの間、いわゆる紙間では、図6のST3に示す処理がされてシートが無い状態における履歴データが蓄積される。そして、次のシートSの前端が接触ローラ対1に進入すると、紙間におけるシート無しデータに基づいて、シート無し値V1の演算、更新が行われる。このとき、シートSのサイズ等のシート種類や、高速印刷や通常印刷等のジョブの設定、画像データの情報処理の時間等に応じて、紙間が異なり、紙間が比較的長く、紙間において、ピンチローラ3の1回転分以上の履歴データが蓄積された場合は、図7のST25の処理がされて、1周期分のシート無しデータからシート無し値V1の演算が行われる。
紙間が短く、紙間においてピンチローラ3の1回転分未満の履歴データが蓄積された場合は、図7のST26、ST27の処理がされて、直前のシート有りデータから補完情報が算出される。そして、1周期分のシート無しデータが生成され、シート無し値V1が演算される。したがって、ピンチローラ3の偏心の影響がなく、精度の高いシート無し値V1が算出され、更新される。
【0062】
したがって、紙間においてシート無し値V2の更新をしない場合には、連続して画像形成が行われる場合の媒体厚検出装置1+SN1+SN2の温度変動、いわゆる温度ドリフトなどの影響を受ける恐れがあるが、実施例1では、紙間でもシート無し値V2の更新を行っており、温度ドリフト等の影響が低減されている。
また、実施例1では、算出されたシート無し値V1およびシート有り値V2は、ピンチローラ3の偏心の影響が除去されており、特許文献1、2、5、6に記載されたような偏心の影響を考慮しない従来の技術に比べて、シート無し値V1およびシート有り値V2が精度良く算出され、シートSの厚さの検知の精度が向上している。特に、シート無し値V1が検出、更新されており、厚さセンサSN2の個体差等の影響も除去することが可能になっている。
【0063】
特許文献3に記載の従来技術では、瞬間のデータを使用してシートSの厚さを検出しており、ある程度の期間の履歴データを使用しておらず、検出結果が安定しにくかったり、ノイズ等の影響で誤検出する恐れもある。また、特許文献4に記載の従来技術では、媒体(紙幣)有りの状態よりも媒体無しの状態が長いことが前提となっており、紙間が長くなってしまう問題がある。
【0064】
図8は従来の構成における紙間が比較的長い場合のシートセンサの出力と、厚さセンサの出力との説明図である。
図9は実施例1におけるシートセンサの出力と、厚さセンサの出力との説明図である。
図8において、従来技術では、シートに接触する回転体の偏心を補正させるためには、回転体を1回転以上させないと、精確な用紙無しの状態の出力値を取得できず、図8に示すように、紙間のシート無し期間T1′を長く取る必要があった。したがって、従来の構成では、紙間を短くすることが困難であり、単位時間当たりの印刷枚数、いわゆる生産性を向上することが困難となる問題があった。
これに対して、実施例1では、図9に示すように、紙間が短く、1回転未満しかピンチローラ3が回転しない場合でも、補完情報を算出して1回転分のシート無しデータが生成され、偏心の影響が除去されたシート無し値V1が算出される。したがって、紙間を短くして、生産性を向上しつつ、シートSの厚さを検出する精度を向上させることが可能となっている。
【実施例2】
【0065】
図10は実施例2の画像形成装置のコントローラが備えている各機能をブロック図で示した図であり、実施例1の図3に対応する図である。
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
図10において、実施例2のコントローラCは、実施例1のシート無し値演算手段C10に替えて、シート無し値演算手段C10′を有すると共に、振幅導出手段C21と、振幅記憶手段C22とを有する。
【0066】
図11は実施例2の振幅の説明図であり、実施例1の図5Cに対応する図である。
C21:振幅導出手段
振幅導出手段C21は、ピンチローラ3がシートSに接触している場合に、ピンチローラ3の1回転以上の期間におけるピンチローラ3の厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、移動量の波形のシート有り値V2に対する振幅αにより構成された補正情報を導出する。実施例2の振幅導出手段C21は、シート有りデータ記憶手段C7Bに記憶されたシート有りデータの波形の情報に基づいて、振幅αを導出する。具体的には、1周期分の履歴データにおいて、シート有り値V2との差分の絶対値が最大となる値を振幅αとして導出する。
C22:振幅記憶手段
振幅記憶手段C22は、振幅導出手段C22で導出された振幅αを記憶する。
【0067】
C10′:シート無し値演算手段
実施例2のシート無し値演算手段C10′は、周期演算手段C10Aと、周期判別手段C10Bと、極値検知手段C10Dと、波形種類判別手段C10Eとを有し、シート無しデータに基づいて、シート無し値V1を演算する。
C10D:極値検知手段
極値検知手段C10Dは、ピンチローラ3がシートSに接触していない場合に、ピンチローラ3の1回転未満のシート無しデータに基づいて、1回転未満のシート無しデータの波形の極値、すなわち、極大値または極小値を検知する。
【0068】
図12は実施例2の波形の種類の説明図であり、図12Aは極大値を中心とした半周期分の波形の説明図、図12Bは極大値から極小値までの半周期分の波形の説明図、図12Cは極小値を中心とした半周期分の波形の説明図、図12Dは極小値から極大値までの半周期分の波形の説明図である。
C10E:波形種類判別手段
波形種類判別手段C10Eは、ピンチローラ3がシートSに接触していない場合に、ピンチローラ3の1回転未満のシート無しデータに基づいて、1回転未満のシート無しデータの波形の種類を判別する。図12において、実施例2の波形種類判別手段C10Eは、図12Aに示す極大値を中心とした半周期分の波形が含まれるか、図12Bに示す極大値から極小値までの半周期分の波形が含まれるか、図12Cに示す極小値を中心とした半周期分の波形が含まれるか、図12Dに示す極小値から極大値までの半周期分の波形が含まれるかを判別する。実施例2では、極値検知手段C10Dにおいて、検知された履歴の時間が古い極値が極大値または極小値であるかと、極値に対して履歴の時間が古い側に1/4周期分の履歴データが存在するか否かを判別することで、波形が図12A〜図12Dのいずれかに該当するかを判別する。すなわち、極値が極大値で、古い側に1/4周期分の履歴データがあれば、図12Aの波形、極値が極大値で古い側に1/4周期分の履歴データが無ければ、図12Bの波形と判別する。そして、極値が極小値で、古い側に1/4周期分の履歴データがあれば、図12Cの波形、極値が極小値で古い側に1/4周期分の履歴データが無ければ、図12Dの波形と判別する。
【0069】
したがって、実施例2のシート無し値演算手段C10′は、ピンチローラ3がシートSに接触していない場合に、ピンチローラ3の1回転未満の履歴データが蓄積された場合には、ピンチローラ3の1回転未満且つ予め設定された期間の一例としての半周期における厚さセンサの出力値の平均と、振幅αとに基づいて、シート無し値V2を演算する。具体的には、波形種類判別手段C10Eで、図12Aに示す波形の場合には、出力値の平均値V1′から振幅αの2/π倍を引いた値、すなわち、V1′−2α/πをシート無し値V1として演算する。また、波形種類判別手段C10Eで、図12Bまたは図12Dに示す波形の場合には、出力値の平均値をシート無し値V1として演算する。さらに、波形種類判別手段C10Eで、図12Cに示す波形の場合には、出力値の平均値V1′に振幅αの2/πを加算した値、すなわち、V1′+αをシート無し値V1として演算する。
【0070】
(実施例2のフローチャートの説明)
次に、本発明の実施例2の画像形成装置Uの処理の流れをフローチャートを使用して説明する。
(実施例2の厚さ検知処理のフローチャートの説明)
図13は本発明の実施例2の厚さ検知処理のフローチャートであり、実施例1の図7に対応する図である。
図13において、実施例2の厚さ検知処理では、実施例1の厚さ検知処理のST26、ST27に替えて、ST41〜ST45が実行される以外は、実施例1と同様であるので、それらの処理については詳細な説明を省略する。
【0071】
図13のST41において、シート無しデータから極値、すなわち、極大値または極小値を検知する。そして、ST42に進む。
ST42において、極値の波形の前側に1/4周期分の履歴データがあるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST43に進み、イエス(Y)の場合はST44に進む。
ST43において、半周期分のシート無しデータから平均値V1′を演算して、演算された平均値V1′をシート無し値V1として記憶する。そして、ST30に進む。
ST44において、シート有りデータから振幅αを演算する。そして、ST45に進む。
ST45において、シート無しデータから平均V1′を演算して、振幅αの2/π倍を、図12Aまたは図12Cに示す波形種類に応じて加減した値を、シート無し値V1として記憶する。そして、ST30に進む。
【0072】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の複写機Uでは、紙間が比較的短く、紙間におけるシート無しの履歴データが、ピンチローラ3の半回転以上1回転未満のデータしか得られない場合に、蓄積されたシート無しデータに基づいて、波形の種類が判別され、波形の種類と振幅αとからシート無し値V1が演算される。したがって、実施例2の媒体厚検出装置1+SN1+SN2においても、紙間が短くなっても、精確なシート無し値V1を算出可能になっている。
【実施例3】
【0073】
図14は実施例3の画像形成装置のコントローラが備えている各機能をブロック図で示した図であり、実施例1の図3に対応する図である。
次に本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1、2の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1、2と相違しているが、他の点では前記実施例1、2と同様に構成される。
図14において、実施例3のコントローラCは、実施例2の移動量検出手段C6、シート無し値演算手段C10′に替えて、移動量検出手段C6″、シート無し値演算手段C10″を有する。
【0074】
C6″:移動量検出手段
移動量検出手段C6″は、情報蓄積判別手段C6Aと、検知開始時間記憶手段C6Bと、検知開始タイマTM2とを有し、ピンチローラ3のシートSの厚さ方向の移動量を検出する。実施例3の移動量検出手段C6″は、厚さセンサSN2の出力信号に基づいて、予め設定された期間だけ、ピンチローラ3のシートSの厚さ方向の移動量を検出する。
C6A:情報蓄積判別手段
情報蓄積判別手段C6Aは、予め設定された期間だけ、厚さセンサSN2の出力信号の履歴データが蓄積されたか否かを判別する。実施例3の情報蓄積判別手段C6Aでは、ジョブ開始時のシートSが無い状態と、シートSがある状態では、厚さセンサSN2の出力信号を、予め設定された期間の一例としての1周期分だけ、履歴データが蓄積されたか否かを判別する。また、紙間のシートSが無い状態では、厚さセンサSN2の出力信号を1/2周期分だけ、履歴データが蓄積されたか否かを判別する。
【0075】
C6B:検知開始時間記憶手段
検知開始時間記憶手段C6Bは、シートSが無い状態における厚さセンサSN2の検知を開始する検知開始時間t2を記憶する。実施例3では、検知開始時間t2の一例として、3/4周期に対応する時間に設定されている。
TM2:検知開始タイマ
検知開始タイマTM2は、検知開始時間t2がセットされ、検知開始時間t2が経過するとタイムアップする。
【0076】
実施例3の極値検知手段C10D″は、シートセンサSN1でのシートSの検出状態が変化、すなわち、シートSが有りから無し、または無しから有りなった後、シート有りデータの履歴データに基づいて、最初に測定される波形の極値または平均値、すなわちシート有り値V2を検知する。
また、実施例3のシート無し値演算手段C10″は、シートセンサSN1でシートSが検出された後、予め設定された測定開始時間が経過した後に、予め設定された1回転未満の期間のピンチローラ3の移動量の平均と、前記振幅とに基づいて、前記シート無し値V1を演算する。なお、実施例3では、最初に極値検知手段C10D″が検知されるまでの時間に検知開始時間t2が加算された時間が前記測定開始時間となっている。
【0077】
(実施例3のフローチャートの説明)
次に、本発明の実施例2の画像形成装置Uの処理の流れをフローチャートを使用して説明する。
(実施例3の通過検知処理のフローチャートの説明)
図15は本発明の実施例3の通過検知処理のフローチャートであり、実施例1の図6に対応する図である。
図15において、実施例3の通過検知処理では、実施例1の通過検知処理のST3、ST7に替えて、ST3″およびST7″が実行される。
ST3″において、シート有無フラグFLを「0」として、ST4に進む。
ST7″において、シート有無フラグFLを「1」として、ST8に進む。
【0078】
(実施例3の厚さ検知処理のフローチャートの説明)
図16は本発明の実施例3の厚さ検知処理のフローチャートである。
図16のST51において、ジョブが開始されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST52に進み、ノー(N)の場合はST51を繰り返す。
ST52において、シート有無フラグFLが「0」であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST53に進み、ノー(N)の場合はST52を繰り返す。
ST53において、シート無しデータの蓄積を開始する。そして、ST54に進む。
ST54において、1周期分のシート無しデータが蓄積されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST55に進み、ノー(N)の場合はST54を繰り返す。
【0079】
ST55において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST56に進む。
(1)1周期分のシート無しデータから平均値を演算し、シート無し値V1として記憶する。
(2)シート無しデータの蓄積を終了する。
ST56において、シート有無フラグFLが「1」になったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST57に進み、ノー(N)の場合はST56を繰り返す。
ST57において、シート有りデータの蓄積を開始する。そして、ST58に進む。
ST58において、1周期分のシート有りデータが蓄積されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST59に進む、ノー(N)の場合はST58を繰り返す。
【0080】
ST59において、次の処理(1)〜(4)を実行して、ST60に進む。
(1)1周期分のシート有りデータから平均値を演算し、シート有り値V2として記憶する。
(2)1周期分のシート有りデータから振幅αを演算する。
(3)(シート有り値V2)−(シート無し値V1)から、シートSの厚さを検知する。
(4)シート有りデータの蓄積を終了する。
ST60において、シートセンサSN1がシートSの後端を検知したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST61に進み、ノー(N)の場合はST60を繰り返す。
【0081】
ST61において、シート有りデータの極値(極大値または極小値)または平均値(シート有り値V2)を検知したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST62に進み、ノー(N)の場合はST61を繰り返す。
ST62において、検知開始タイマTM2に検知開始時間t2をセットする。そして、ST63に進む。
ST63において、検知開始タイマTM2がタイムアップしたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST64に進み、ノー(N)の場合はST63を繰り返す。
ST64において、シート無しデータの蓄積を開始する。そして、ST65に進む。
【0082】
ST65において、1/2周期分のシート無しデータが蓄積されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST66に進み、ノー(N)の場合はST65を繰り返す。
ST66において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST67に進む。
(1)1/2周期分のシート無しデータから平均値を演算し、シート無しデータが蓄積された半周期分の波形の種類と、振幅αから、実施例2のST43、ST45と同様の処理により、シート無し値V1を演算し、記憶する。
(2)シート無しデータの蓄積を終了する。
ST67において、ジョブが終了したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST56に戻り、イエス(Y)の場合はST51に戻る。
【0083】
図17は実施例3の一例のタイムチャートであり、実施例1の図9に対応する図である。
(実施例3の作用)
図17において、前記構成を備えた実施例3の複写機Uでは、紙間が比較的短く、ピンチローラ3の半回転以上1回転未満のデータしか得られない場合に、上流側のシートセンサSN1がシートSの後端を検出してから、極値または平均値から3/4周期後の平均値または極値から半周期分のシート無しデータが蓄積される。そして、蓄積されたシート無しデータに基づいて、波形の種類が判別され、波形の種類と振幅αとからシート無し値V1が演算される。したがって、実施例3の媒体厚検出装置1+SN1+SN2においても、紙間が短くなっても、精確なシート無し値V1を算出可能になっている。
【0084】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H06)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置Uの一例として複写機による構成を例示したが、これに限定されず、プリンタ、FAX、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。また、電子写真方式の画像形成装置に限定されず、インクジェット記録方式やサーマルヘッド方式などをはじめリソグラフ等の印刷機等任意の画像形成方式の画像形成装置に適用可能である。また、単色現像の画像形成装置に限定されず、多色、いわゆるカラーの画像形成装置により構成することも可能である。
【0085】
(H02)前記実施例2、3において、半周期の波形の種類と、振幅αからシート無し値V1を算出したが、半周期に限定されず、例えば、1/4周期分の波形の種類と、振幅αとからシート無し値V1を算出する構成とすることも可能である。
(H03)前記実施例において、媒体厚検出装置1+SN1+SN2は、捌きローラRsの下流側に配置する構成を例示したが、搬送路上であれば、設計や仕様等に応じて、設置する位置は適宜変更可能である。
(H04)前記実施例において、厚さセンサSN2をピンチローラ3の従動軸3aに接触するアクチュエータの回転角を検出するセンサにより構成したが、この構成に限定されず、従来公知の任意の構成とすることが可能であり、例えば、特許文献5に記載されているホール素子を使用することも可能である。
【0086】
(H05)前記実施例1、2において、厚さセンサSN2の上流側にシートセンサSN1を設ける構成を例示したが、この構成に限定されず、例えば、シートセンサSN1を省略して、厚さセンサSN2の出力値が、予め設定された閾値以上変動した場合にシートSが到達したと判別することも可能である。
(H06)前記実施例において、駆動ローラ2とピンチローラ3との組み合わせを例示したが、この構成に限定されず、例えば、無端帯状部材の一例としての駆動ベルトとピンチローラといった組み合わせとすることも可能である。なお、実施例では、駆動ローラ2の偏心の影響が無いものとみなして制御を行ったが、駆動ローラ2に偏心がある場合には、駆動ローラ2の偏心とピンチローラ3の偏心とが合成された合成波形に基づいて、制御を実行することが可能である。なお、実施例では、駆動ローラ2とピンチローラ3とを同径にすると、周期が同じになるため、実用上の問題は発生しにくい。また、駆動ローラ2の軸受けに金属製ベアリングを使用してたりして、駆動ローラ2の偏心がピンチローラ3の偏心に対した問題にならない程度まで小さくすることが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1+SN1+SN2…媒体厚検出装置、
2…駆動部材、
3…接触回転体、
C6,C6″…移動量検出手段、
C8…媒体有り移動量演算手段、
C10,C10′,C10″…媒体無し移動量演算手段、
C10C…補完情報導出手段、
C12…媒体厚検知手段、
C21…振幅導出手段、
S…媒体、
SH1…搬送路、
SN1…媒体検出部材、
U…画像形成装置、
U1b…画像記録部、
V1…媒体無し移動量、
V2…媒体有り移動量、
α…振幅。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の搬送路に配置され且つ回転駆動する駆動部材と、
前記駆動部材に対向して配置されて搬送される媒体に接触可能、且つ、接触時に前記媒体の厚さに応じて媒体の厚さ方向に移動可能な接触回転体と、
前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量を検出する移動量検出手段と、
前記接触回転体が前記媒体に接触している場合に、前記接触回転体の1回転以上の期間における前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、媒体が有る場合の移動量である媒体有り移動量を演算する媒体有り移動量演算手段と、
前記接触回転体が前記媒体に接触していない場合に、前記接触回転体の1回転未満の期間における前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量の履歴情報と、前記媒体有り時の1回転以上の期間における履歴情報に基づいて導出された補正情報と、に基づいて、媒体が無い場合の移動量である媒体無し移動量を演算する媒体無し移動量演算手段と、
前記媒体有り移動量演算手段で演算された媒体有り移動量と、前記媒体無し移動量演算手段で演算された媒体無し移動量と、に基づいて、媒体の厚さを検知する媒体厚検知手段と、
を備えたことを特徴とする媒体厚検出装置。
【請求項2】
前記接触回転体が媒体に接触していない場合における前記接触回転体の1回転未満の期間に連続し且つ直前の前記接触回転体が媒体に接触している期間の履歴情報と、前記媒体有り移動量と、に基づいて、前記接触回転体が媒体に接触していない1回転未満の期間と1回転分の期間との差を補完する補完情報により構成された前記補正情報を導出する補完情報導出手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体厚検出装置。
【請求項3】
前記接触回転体が前記媒体に接触している場合に、前記接触回転体の1回転以上の期間における前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、移動量の波形の媒体有り移動量に対する振幅により構成された補正情報を導出する振幅導出手段と、
前記接触回転体が前記媒体に接触していない場合に、前記接触回転体の1回転未満且つ予め設定された期間における前記移動量の平均と、前記振幅とに基づいて、前記媒体無し移動量を演算する前記媒体無し移動量演算手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体厚検出装置。
【請求項4】
前記接触回転体が前記媒体に接触している場合に、前記接触回転体の1回転以上の期間における前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、移動量の波形の媒体有り移動量に対する振幅により構成された補正情報を導出する振幅導出手段と、
前記接触回転体に対して、媒体の搬送方向上流側に配置された媒体検出部材と、
前記媒体検出部材での媒体の検出状態が変化した後、予め設定された測定開始時間が経過した後に、予め設定された1回転未満の期間の前記接触回転体の移動量の平均と、前記振幅とに基づいて、前記媒体無し移動量を演算する前記媒体無し移動量演算手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体厚検出装置。
【請求項5】
媒体が搬送される搬送路と、
前記搬送路上に配置された請求項1ないし4のいずれかに記載の媒体厚検出装置と、
前記媒体に画像を記録する画像記録部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
媒体の搬送路に配置され且つ回転駆動する駆動部材と、
前記駆動部材に対向して配置されて搬送される媒体に接触可能、且つ、接触時に前記媒体の厚さに応じて媒体の厚さ方向に移動可能な接触回転体と、
前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量を検出する移動量検出手段と、
前記接触回転体が前記媒体に接触している場合に、前記接触回転体の1回転以上の期間における前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、媒体が有る場合の移動量である媒体有り移動量を演算する媒体有り移動量演算手段と、
前記接触回転体が前記媒体に接触していない場合に、前記接触回転体の1回転未満の期間における前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量の履歴情報と、前記媒体有り時の1回転以上の期間における履歴情報に基づいて導出された補正情報と、に基づいて、媒体が無い場合の移動量である媒体無し移動量を演算する媒体無し移動量演算手段と、
前記媒体有り移動量演算手段で演算された媒体有り移動量と、前記媒体無し移動量演算手段で演算された媒体無し移動量と、に基づいて、媒体の厚さを検知する媒体厚検知手段と、
を備えたことを特徴とする媒体厚検出装置。
【請求項2】
前記接触回転体が媒体に接触していない場合における前記接触回転体の1回転未満の期間に連続し且つ直前の前記接触回転体が媒体に接触している期間の履歴情報と、前記媒体有り移動量と、に基づいて、前記接触回転体が媒体に接触していない1回転未満の期間と1回転分の期間との差を補完する補完情報により構成された前記補正情報を導出する補完情報導出手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体厚検出装置。
【請求項3】
前記接触回転体が前記媒体に接触している場合に、前記接触回転体の1回転以上の期間における前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、移動量の波形の媒体有り移動量に対する振幅により構成された補正情報を導出する振幅導出手段と、
前記接触回転体が前記媒体に接触していない場合に、前記接触回転体の1回転未満且つ予め設定された期間における前記移動量の平均と、前記振幅とに基づいて、前記媒体無し移動量を演算する前記媒体無し移動量演算手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体厚検出装置。
【請求項4】
前記接触回転体が前記媒体に接触している場合に、前記接触回転体の1回転以上の期間における前記接触回転体の前記厚さ方向の移動量の履歴情報に基づいて、移動量の波形の媒体有り移動量に対する振幅により構成された補正情報を導出する振幅導出手段と、
前記接触回転体に対して、媒体の搬送方向上流側に配置された媒体検出部材と、
前記媒体検出部材での媒体の検出状態が変化した後、予め設定された測定開始時間が経過した後に、予め設定された1回転未満の期間の前記接触回転体の移動量の平均と、前記振幅とに基づいて、前記媒体無し移動量を演算する前記媒体無し移動量演算手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体厚検出装置。
【請求項5】
媒体が搬送される搬送路と、
前記搬送路上に配置された請求項1ないし4のいずれかに記載の媒体厚検出装置と、
前記媒体に画像を記録する画像記録部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−37585(P2011−37585A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186507(P2009−186507)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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