説明

孔内異物除去機能付き紡糸口金検査装置

【課題】紡糸口金に穿設された複数個の吐出孔を同時に検査して孔中に残留する異物の有無を多数の吐出孔に対して一度に孔内異物が検出でき、且つ、紡糸口金を傷付けることなく安全に孔内異物を除去することができる機能が付いた紡糸口金検査装置を提供する。
【解決手段】スキャンカメラ1を用いて、紡糸口金Caを走査することにより、高解像度の複数の画像データ群を取得し、これら画像データ群を合成して作成した合成画像データから紡糸口金に穿設された多数の吐出孔群Hのそれぞれに対して孔内異物の存在の有無を画像処理を用いて一度に検出し、孔内異物が検出された吐出孔に関しては、イオンを含んだ圧空を吹き付ける、孔内異物除去機能4付き紡糸口金検査装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリアクリル繊維、ポリオレフィン繊維などを紡出するための紡糸口金に穿設されたポリマーの吐出孔中における異物の残留を自動的に検査し、孔内異物を自動で除去するための装置とその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリアクリル繊維、ポリオレフィン繊維などの紡糸は、紡糸液を紡糸口金に穿孔された吐出孔群から紡出することによって行なわれる。しかしながら、このような紡糸技術においては、吐出孔の孔内が汚れていたり異物が付着したりしていると、紡糸時に糸切れの原因となり紡糸ができなくなるという障害が発生す。
【0003】
このため、吐出孔を清潔に保つことが紡糸技術上の生命線となる。そこで、吐出孔内が清浄に保たれている必要があり、従来は顕微鏡を用い検査員の肉眼によって一孔一孔丹念に孔内の汚れを検査し、異常があれば人手によって、孔内を顕微鏡で観察しながらドリルなどを用いて一孔毎に掃除するのが一般的である。
【0004】
言うまでもなく、このような口金検査と清掃には、人手と時間を要する。また、視覚検査であるため長時間にわたって検査をしつつ孔内を掃除する作業は根気が必要とされ、しかも、目が疲れる仕事である。それ故に、孔内検査と孔内掃除が時として見逃される傾向があり、ヒューマン・エラーが発生する。しかも、それだけでなく、検査員の動員によるコストアップという問題があり、孔内検査および孔内掃除に個人差が生じるという問題もあった。
【0005】
そこで、口金検査を人手に頼ることなく、自動検査装置を行おうとする試みが例えば特許文献1などに提案されている。この従来技術では、一旦洗浄液で口金を洗浄した後に孔内に残留した異物を検出するために、各孔ごとに口金下から光を照射し、吐出孔を通過してくる通過光の光量を求め、孔内異物の有無を判定しようとするものである。つまり、異物が孔内に残留していれば、残留した異物によって投光された光が遮られるために、検出する透過光の面積値が小さくなる原理を利用したものである。
【0006】
更に、口金の孔内異物の残留検査をするだけでなく、孔内異物を除去しようとする試みが特許文献2などに提案されている。この従来技術は紡糸口金に穿孔された孔内に異物が発見されると、異物が発見された吐出孔にドリルを挿入して、孔内に残留した異物をドリルによって除去しようとするものである。
【0007】
しかしながら、紡糸口金に穿孔された吐出孔群は数十個から数千個と非常に多いため、コンピュータを用いた自動検査を行うにしても、一孔ごとの検査では、多大な時間を要する。また、孔内異物を除去するためにドリルを用いると、異なる紡糸口金を検査するたびに異物を除去しようとする吐出孔の径に合わせてドリルを交換する必要がある。
【0008】
また、正確に目的とする吐出孔にドリルを挿入するためには、吐出孔の位置決めを正確に行う必要があるが、アクチュエータの誤動作により位置決め精度が不十分となると、紡糸口金を傷つける恐れもある。したがって、様々な吐出孔径が穿孔された各紡糸口金に対応でき、且つ、紡糸口金を傷付けることなく安全に孔内異物を除去することができる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−267000号公報
【特許文献2】特開平8−113816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上に述べた従来技術が有する諸問題に鑑み、本発明の目的は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリアクリル繊維、ポリオレフィン繊維などを紡出する紡糸口金に穿設された複数個の吐出孔を同時に検査して孔中に残留する異物の有無を多数の吐出孔に対して一度に孔内異物が検出でき、様々な吐出孔径が穿孔された各紡糸口金に対応でき、且つ、紡糸口金を傷付けることなく安全に孔内異物を除去することができる機能が付いた紡糸口金検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ここに、前記課題を解決するための手段として、「多数の吐出孔が穿設された紡糸口金の上部に設けられた照明と対向して設けられたスキャンカメラと、前記スキャンカメラに付設され且つ前記照明から照射されて前記吐出孔を通過した検査光からなる画像を所定の倍率に拡大する拡大レンズと、前記スキャンカメラを走査して前記吐出孔の穿孔領域を少なくとも含む画像データ群を撮影して前記画像データ群を合成して得た合成画像を処理して前記吐出孔に残留する孔内異物を一度に検出する画像処理装置と、前記孔内異物の残留が検出された吐出孔に対して前記紡糸口金に帯電した電荷と逆の電荷を有するイオンを含んだ圧空を噴射する圧空装置と、前記圧空装置を前記孔内異物を検知した吐出孔位置に移動させるアクチュエータとを備えたことを特徴とする、孔内異物除去機能付き紡糸口金検査装置」が提供される。
【0012】
このとき、前記画像処理装置が、前記画像データ群を合成して多数の吐出孔を対象とした少なくとも一つの合成画像データを作成し、前記合成画像データ中に含まれる画素群の明暗の諧調を予め設定した閾諧調値を基準にして「明」と「暗」の何れかの値にそれぞれ振り分ける二値化処理を行い、「明」と判別した画素群が連続した集合体である場合に吐出孔と認識し、認識した前記各吐出孔に対して「明」と判別した画素の集合体の画素数を面積値としてそれぞれ算出し、前記面積値が孔内異物の存在すると判別するための基準として予め設定した画素数からなる面積値よりも小さいと判断されたときに該当する吐出孔に孔内異物が存在すると判別する装置であることが好ましい。
【0013】
更に、前記画像処理装置が、前記画像データ群を合成して多数の吐出孔を対象とした少なくとも一つの合成画像データを作成し、前記合成画像データ中に含まれる画素群の明暗の諧調を予め設定した閾諧調値を基準にして「明」と「暗」の何れかの値にそれぞれ振り分ける二値化処理を行い、前記二値化処理によって得られた吐出孔として認識された画素群の周囲長と、算出された吐出孔の面積値と同じ面積値の円周との比により得られる円形度を算出し、前記円形度が孔内異物が存在すると判別するための基準として予め設定した円形度よりも小さいと判断されたときに該当する吐出孔に孔内異物が存在すると判別する装置であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上に説明した本発明によれば、口金に穿孔された多数の吐出孔群を1孔毎に検査する必要がなく、画像処理によって一度に多数の吐出孔群に対して孔内異物の有無を検査できる。また、孔内異物が検知された吐出孔には異物などに帯電した静電気を除去をするためにイオンを含んだ空気吹付装置により孔内異物が除去できる。このため、吐出孔の孔内異物検査及び掃除が口金を傷付けることなく迅速かつ短時間で可能となる。また、当然のことながら、孔内異物の検査は検査員の肉眼に頼ることなく自動的に行うことができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に使用できる孔内異物の検査装置の実施形態例を表す斜視図である。
【図2】吐出孔内に付着した異物を画像処理によって検出するためのコンピュータで実行可能な異物検出プログラムの実行手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明においては、孔内異物の検査装置を使用して、口金に穿設された円形状吐出孔内に付着した異物を検査し、吐出孔内に付着した異物を除去する。そこで、本発明に好適に使用できる孔内異物の検査装置について、図1を参照しながら説明する。
【0017】
本発明に係る孔内異物の検査装置では、前記紡糸口金(Ca)に穿設された各吐出孔(H)に対して、その下方から照明(3)を照射する。ただし、この照明(3)は、図1に例示したように、検査目標である吐出孔(H)が穿設されている紡糸口金(Ca)を間に挟んで、後述するラインスキャンカメラ(1)と上下方向に対向して設けられている。
【0018】
したがって、下方に設けた照明(3)から照射された光は、紡糸口金(Ca)の各吐出孔(H)を通過した通過光となり、この通過光が拡大レンズ(2)で光学的に拡大され、拡大された映像が上方に設けたラインスキャンカメラ(1)によって正面から撮影されることとなる。このようにして、紡糸口金(Ca)をラインスキャンカメラ(1)と連動させながら移動させて、各吐出孔(H)からの通過光を撮像して、得られた撮像データを画像処理すれば、吐出孔(H)内に残留する異物の有無を自動的に検査できる。
【0019】
ただし、通常、紡糸口金(Ca)には多数の吐出孔(H)が穿設されており、穿設された全ての吐出孔(H)に対して孔内異物を検査する必要がある。しかしながら、ラインスキャンカメラ(1)とこれに対向して設けられた照明(3)だけの組み合わせだけでは、全吐出孔(H)の孔内異物を検査することができない。何故ならば、拡大レンズ(2)を備えたラインスキャンカメラ(1)では、映像を撮影する範囲が限られてしまうために、限られた穿孔領域の映像しか撮影できないからである。なお、当然のことながら、拡大レンズ(2)の画像の拡大倍率は、吐出孔(H)に付着する異物を識別できる値を取るべきである。
【0020】
そこで、本発明に係る孔内異物の検査装置(なお、以下の説明においては、単に「検査装置」と略称する場合もある)では、紡糸口金(Ca)の全ての穿孔領域において撮影がカバーできるように、紡糸口金(Ca)を移動させる機構を備えている。すなわち、本発明の検査装置は、紡糸口金(Ca)を載置する口金取付台(10)を付設した、中空型のロータリーアクチュエータ(6)を備え、この中空型ロータリーアクチュエータ(6)の下方に配設された照明(3)から紡糸口金(Ca)へ向かって検査光を照射するようにしている。すなわち、中空型ロータリーアクチュエータを用い、紡糸口金(Ca)を回転できる構成となっている。
【0021】
また、前記中空型ロータリーアクチュエータ(6)には、一軸方向に摺動できるリニアアクチュエータ(7)が取付けられている。したがって、前記リニアアクチュエータ(7)によって、紡糸口金(Ca)を載置する口金取付台(10)に付設のロータリーアクチュエータ(6)は、直線軸方向と回転軸方向へそれぞれ摺動自在(スライド自在)に駆動される構成となっている。すなわち、直線軸と回転軸の方向に互いにそれぞれ独立して摺動できるアクチュエータ(6)、(7)によって、紡糸口金(Ca)はラインスキャンカメラ(1)の走査方向に沿って二次元的に移動できる構成となっている。
【0022】
なお、本発明の実施形態においては、ラインスキャンカメラを採用しているが、スキャンカメラをラインスキャンカメラとすることが必須というわけではなく、本発明の要旨を満足する限りにおいて、他の実施形態を採用できることは言うまでもない。ただし、この実施形態では、ラインスキャンカメラが有する多数の画素は直線方向、つまり、一次元方向へに配設されており、この画素の直線方向と回転方向へ一定速度で紡糸口金(Ca)を移動させ、所定周期で連続的に画像を撮影し、撮影したこれら画像群を平面画像に合成することによって、画像処理をするための合成画像データを得る。
【0023】
ここで、前記アクチュエータ(6)、(7)の駆動制御は、これらを駆動する各サーボモータ及びステッピングモータに対して接続されたコンピュータ装置(8)によって行なわれる。すなわち、このコンピュータ装置(8)によって各アクチュエータ(6)、(7)を駆動する各サーボモータに対して必要なスライド量に相当する数の駆動用パルスを与えて必要な量だけ各アクチュエータ(6)、(7)をスライドするように制御される。また、これによって、ラインスキャンカメラ(1)の走査周期に合わせて、紡糸口金(Ca)が任意の制御速度で目標とする位置へ移動させる制御が行なわれる。
【0024】
このとき、前記コンピュータ装置(8)は、その詳細については後述するが、ラインスキャンカメラで撮影された画像データ群を合成して合成画像を取得し、この合成画像を画像処理して多数の吐出孔(H)群の中に異物が残留しているかどうかの検出を行なうための画像処理装置を兼ねている。したがって、前記コンピュータ装置(8)は、画像処理に必要な後述するような画像処理を可能とするプログラムを内蔵しており、付属する中央演算処理装置(CPU)によって画像処理プログラムが実行される。なお、コンピュータ装置(8)は、この画像処理プログラムを実行するに当って必要となる周辺機器として、インターフェース手段、このインターフェース手段を介して取り込まれた前記画像データ群を記憶させるための記憶装置、必要なデータを入出力するための入出力手段などを備えていることはいうまでもない。
【0025】
なお、ラインスキャンカメラ(1)、各アクチュエータ(6)、(7)、照明(3)などは、図1に例示したように支持台に取付けられている。このとき、支持台に取付けられている照明(3)について更に付言すると、この照明(3)は、寿命が長く、熱を発生しにくく、吐出孔(H)内において散乱しにくく、しかも、ラインスキャンカメラ3の撮像範囲の全体を照射する必要があるという観点から、高輝度で広範囲を均一に照射し、且つ照明(3)からラインスキャンカメラ(1)及び拡大レンズ(2)に平行な光(なお、以下の説明においては、単に「平行光」と略称する場合もある)を照射する事が可能なLED集光照明を使用することが好ましい。
【0026】
何故ならば、LED集光照明(3)を使用することによって、例えば厚みが数cmほどにもなる紡糸紡糸口金(Ca)に穿設された孔径が1mm以下の吐出孔(H)であったとしても、面状に照射された領域に位置する全ての吐出孔(H)に対して検査光が通過し易く、吐出孔(H)内における散乱こうがないために、吐出孔(H)内を擬似的に3次元で撮影することが可能となるからである。なお、このようなLED集光照明(3)からの透過光を捉えるラインスキャンカメラ(1)として、本発明例では、単焦点の光学式拡大レンズ(2)を装着しており、しかも、ノイズ低減が期待できることから、極めて多くの画素(ピクセル:pixel)からなる所謂「メガピクセル」のラインスキャンカメラ(1)を用いた。
【0027】
このようにして、図1に例示した本発明の検査装置に係る実施形態例では、アクチュエータ(6)、(7)の上に設置された口金取付台(10)に戴置された紡糸口金(Ca)をラインスキャンカメラ(1)の走査方向へラインスキャンカメラ(1)の撮影周期に合わせた速度で必要な距離だけ移動させることができる。そして、これによって、照明(3)から照射された検査光を紡糸口金(Ca)に穿設された吐出孔(H)群を介してラインスキャンカメラ(1)で受光し合成画像データを得ることによって、紡糸口金(Ca)の穿孔領域にある吐出孔(H)の孔内異物の検査が可能となる。
【0028】
勿論、このようにして合成画像データを得るために撮影される検査光は、撮影範囲を個々の吐出孔(H)に限定する訳ではなく、対象となる複数個の吐出孔(H)を通過してきたものである。したがって、このようにして撮影された検査光を捉えた映像からなる合成画像データを一度に画像処理することによって、従来技術のように一孔毎の逐次画像処理による検査ではなく、一群の吐出孔(H)に対して孔内異物の存在の有無を検査することを可能とするのである。
【0029】
以上に説明したように、本発明においては、紡糸口金(Ca)の穿孔領域を複数領域に分割し、これら領域に対して少なくとも一回もしくは複数回にわたってラインスキャンカメラ(1)を走査して移動させて所定の位置で画像を撮影することによって、複数の吐出孔(H)を対象として、これらの吐出孔(H)群を同時に検査するために必要となる合成画像データを得ることを大きな特徴とするものである。
【0030】
したがって、このような画像処理が可能な合成画像データを得るという目標を達成するために、PC(各種アクチュエータコントローラ内蔵)(8)で最適に制御される2台のアクチュエータによってそれぞれ移動自在とされたアクチュエータ(6)、(7)を所定の位置に精度良く位置決め移動することが要求される。そのため、アクチュエータ(6)、(7)の移動量(スライド量)は、紡糸口金(Ca)の穿孔領域の設計寸法に基づいて、その必要となる移動量を予め算出しておいて、PC(8)にプログラムとして記憶させておくことが必要である。
【0031】
このようにすることによって、PC(8)に記憶された情報(アクチュエータ(6)、(7)の移動量など)に基づいて、PC(各種アクチュエータコントローラ)(8)を介して各サーボモータを駆動してアクチュエータ(6)、(7)を正確に位置決め制御することができ、所定の位置で所定の枚数の画像データを得ることができる。
【0032】
このとき同時に、ラインスキャンカメラ(1)の走査周期に合わせてアクチュエータ(6)、(7)の適切なスライド速度をそれぞれ算出して前記PC(8)に記憶させておき、この記憶された情報(スライド速度など)に基づいてPC(各種アクチュエータコントローラ内蔵)(8)によってアクチュエータ(6)、(7)の移動速度も制御する。したがって、これらのPC(各種アクチュエータコントローラ内蔵)(8)、アクチュエータ(6)、(7)などは、ラインスキャンカメラ(1)を走査して画像データを撮影する位置に正確に位置決め制御する「位置決め駆動手段」を構成している。
【0033】
すなわち、アクチュエータ(6)、(7)を駆動するモータに入力するパルス数を前述のようにして算出してPC(各種アクチュエータコントローラ内蔵)(8)に記憶させる。そして、このPC(各種アクチュエータコントローラ内蔵)(8)に記憶された情報に基づいて、このパルス数を必要なタイミングで指令値として各サーボモータに入力し、ラインスキャンカメラ(1)の走査周期に合わせて紡糸口金(Ca)を目標とする速度で目標とする位置へ移動させ、必要な画像データ群を得た上でこれらの画像データ群を合成して合成画像データを得ることができるのである。
【0034】
このようにして、検査目標とする多数個の円形状吐出孔(H)を通過した検査光からなる画像データ群がラインスキャンカメラ(1)の走査によって得られると、これらの画像データ群をPC(各種アクチュエータコントローラ内蔵)(8)に取り込む処理を実行し、合成画像作成処理を行って、合成画像データを得ることができる。そうすると、この合成画像データから紡糸口金(Ca)に穿設された多数個の吐出孔(H)の内壁面に付着した異物の存在判別を一度の画像処理によって行うことができるようになる。
【0035】
したがって、従来技術のように個々の吐出孔(H)に対してそれぞれ得られた個々の画像データに対応して、吐出孔(H)を一個ごとに検査して孔内異物を検出する方法に比較すると、本発明の検査装置は、少ない合成画像データから多数の吐出孔(H)の孔内異物を一度に検査することができるので、より短時間でかつ効率的に孔内異物の検出処理が行えるのである。
【0036】
ただし、孔内異物は、吐出孔(H)の長さ方向(奥行き方向)に沿った何れの位置にも付着する。すなわち、ポリマーが吐出孔(H)に流入する直後の位置に異物が付着することもあれば、ポリマーが吐出孔(H)から流出する直前の位置に付着することもある。このような点を考慮すると、ラインスキャンカメラ(1)で撮影した画像データは、吐出孔(H)の長さ方向(奥行き方向)に沿って焦点を合わせた複数箇所の画像データ群をそれぞれ合成画像データとしたものを用いることが好ましい。そのためには、ラインスキャンカメラ(1)の焦点距離を複数箇所で調整できる機能を付与することが望ましく、紡糸口金(Ca)の全面に対するラインスキャンカメラ(1)の操作は、ラインスキャンカメラ(1)の焦点距離を変更する度に行うことが望ましい。
【0037】
以下、このような多数の吐出孔(H)それぞれの内部に存在する異物の検出処理について、図2を参照しながらより詳細に説明する。なお、図2は、紡糸口金(Ca)に穿設した円形断面を有する多数の吐出孔(H)の内部に付着した異物を画像処理によって検出するための処理手順を簡略化して示したフローチャートである。
【0038】
このフローチャートからも分かるように、第一番目の処理は、照明(3)から投光されて複数の吐出孔(H)を同時に通過してきた光を画像データとして取り込むために、前述のアクチュエータ(6)、(7)によって紡糸口金(Ca)を必要な位置に移動させると共に、例えばメガピクセルのラインスキャンカメラ(1)を走査して画像データ群を撮像することである(ステップS1)。次いで、このようにしてラインスキャンカメラ(1)によって撮影した画像データ群を画像処理装置8に読み込み、合成画像データとして合成して、合成した合成画像データを画像処理するフロー(ステップS2)を実行する。
【0039】
次に、このようにして合成した合成画像データに含まれる全画素に対して、撮影取得画像の諧調数(例えば、256階調)に対応して設定した閾値(例えば、256階調に振り分けた時に、その中間諧調値あるいは判別分析法を用いて得られた諧調値)を基準にして、各画素の明暗を「明」と「暗」とに分別する明暗処理、すなわち、二値化処理を実行する(ステップS3)。
【0040】
この二値化処理(明暗処理)によって得られた二値化後の合成画像データにおいて、「明」と認識された画素群は、貫通孔である吐出孔(H)を遮るものがなく通過してきた光を検出した領域とみなすことができる。それ故に、このような「明」と認識された全画素の集合体から、吐出孔(H)の正確な存在領域を画像処理によって判別することができる。このような原理に基づいて、先ず吐出孔(H)の正確な存在領域を判別し、判別した吐出孔(H)の存在領域内で孔内異物の存在確認処理を行う。
【0041】
具体的には、この明暗処理による吐出孔(H)位置の確認の実施形態例では、「明」と判別された全画素に例えば「1」を割り振り、「暗」と判別された全画素に対して例えば「0」を割り振ることによって二値化を行っており、このとき、「暗」と判別された画素部は、当然のことながら吐出孔(H)が存在しない部分である。
【0042】
前記ステップS3の二値化処理で「明」と判別された個々の吐出孔(H)に係る画素データには、ノイズが混入して吐出孔(H)の存在領域でないにもかかわらず、吐出孔(H)の存在領域とみなしてしまう場合がたまに生じる。そこで、この二値化処理(ステップS3)によって、「“明”:“1”」に振り分けられた全画素データ群から、「“明”:“1”」が連続的に複数個の塊となって存在している箇所を検出する。なお、このような塊を本明細書において「粒子」と呼ぶ。
【0043】
そうすると、前記「粒子」は複数個の「“明”:“1”」の塊からなる連続した集合体であるから、このような集合体である「粒子」を検出すれば、たまたまノイズによって「“明”:“1”」と判断されたものではなく、確実に吐出孔(H)を通過してきた光を検出した画素群であるとみなすことができる。したがって、このようにして認識された個々の「粒子」群は各吐出孔(H)を通過した光に由来する「粒子」であると認識することができるので、この「粒子」が存在するそれぞれの位置を検出することによって、各々の吐出孔(H)の位置を検出できたことになる。
【0044】
このようにして、各吐出孔(H)の存在位置が画像処理によって認識されると、次に、第二番目の処理を行う。この処理は、PC(各種アクチュエータコントローラ内蔵)(8)に取り込んだ複数の画像データに含まれ、かつその存在領域を特定した複数の吐出孔(H)の壁面に付着した異物の検出を行うための処理である。なお、この処理は、孔内異物の存在を正確に検出するために、以下に説明するステップS4に係る「吐出孔内面積判別処理」とステップS5に係る「円周長判別処理」という二つの処理からなっている。
【0045】
[吐出孔内面積判別処理]
先ず、前述のように「“明”:“1”」の塊として検出された各「粒子」データから各吐出孔(H)の面積値を計算する処理を行う。この計算処理は、各「粒子」部分の面積値、つまり、「“明”:“1”」の塊すなわち集合体の広がり(各「粒子」を構成する画素の数)を計算する処理である。なお、この処理によって得られた各「粒子」の画素数は、各吐出孔(H)の面積値と一対一に対応するので、各「粒子」の画素数を各吐出孔(H)の面積値とみなして孔内異物の存在を判別する処理を行う。
【0046】
すなわち、吐出孔(H)内に異物が存在すれば、吐出孔(H)を通過する検査光はこの異物に遮られるので、遮られた検査光を受光する部分に設けられたラインスキャンカメラ(1)の画素部には光が届かないために、それだけ「“明”:“1”」と判断される画素数が減少する。つまり、面積値が小さくなるために、正常と判断できる基準面積値(予め実験などにより求めて設定した値)と比較すれば、容易に孔内異物を検出することができる。しかも、このような処理は、画像データがカバーする穿孔領域に存在する全吐出孔(H)に対して一度に行うことができる。したがって、従来技術のように、一孔ごとに孔内異物を検査する必要がない。
【0047】
このとき、各吐出孔(H)の中心座標を求める処理も同時に行うことが肝要である。なお、この処理は、各粒子を構成する「“明”:“1”」に割り振られた全画素数がn個存在したと仮定し、更に各「粒子」中にある任意の画素のX座標とY座標とを(Xi,Yi)で表すと、任意の「粒子(吐出孔(H))」の中心位置Oiの座標(Xoi,Yoi)は、下記の(3)式のように表すことができることを利用して、その吐出孔(H)の中心座標Oi(Xoi,Yoi)を求める。
【0048】
【数1】

【0049】
なお、以下の実施形態例の説明において、吐出孔(H)の中心座標Oi(Xoi,Yoi)とは、このようにして求めるものとし、このとき求めた全ての吐出孔(H)の中心座標Oi(Xoi,Yoi)は、PC(各種アクチュエータコントローラ内蔵)(8)の記憶手段(図示せず)に記憶しておき、各吐出孔(H)の孔内異物検査を行う際に再び利用する。
【0050】
前述のように、面積値の算出によって孔内異物の存在を検出することができるが、面積値による異物の検出だけに頼っていると、異物が占める面積値が小さい場合、すなわち例えば、異物が細長い形状であったり、微小形状であったりすると、異物が占有する部分の面積値が過小に評価されてしまい、予め設定しておいた基準面積値では異物と判断できない測定誤差の範囲内に含まれてしまうことがある。そうすると、このような細長い形状や微小形状を有する異物が孔内に存在しても検出されないために、その検出精度が悪くなる、という問題が生じる。
【0051】
そこで、このような問題を回避するために、面積値による異物の存在判定で異物なしと判断された場合であっても、見逃される可能性のある、細長い形状あるいは微小形状を有する孔内異物の検出処理として、以下に述べる第2段階の処理(ステップS5)を実施する。本発明においては、以上に説明した各吐出孔(H)内のステップS4に係る「孔内面積判別処理」と共に、ステップS5に係る「円周長判別処理」を行う。そこで、このステップS5に係る「円周長判別処理」について、以下に説明する。
【0052】
[円周長判別処理]
この処理(ステップS5)は、吐出孔(H)の「明」部と「暗」部とを区切る境界線の長さを求める処理であって、次に述べるような諸手順よりなる。なお、本発明では、この“境界線の長さを求める処理”を“円周長判別処理”という。
【0053】
既に述べたように、二値化により「明」と「暗」に分けられた各画素群データから「明」と「暗」との「境界」に位置する画素群を探して「境界」に位置する抽出する。そして、このようにして抽出した境界に位置する画素群から互いに隣接する画素同士をその中心点で次々と順番に結んで行った線分の長さを総和し、総和した線分長を境界線長とする。
【0054】
このようにして境界線長が求められると、例えば、異物が吐出孔(H)壁に付着していると、境界線長の各値は、当然のことながら、異物が付着していない場合よりも大きな値となる。したがって、この境界線長が判別基準値よりも大きくなると孔内異物が存在すると判別することができる。ただし、この判別基準値は、実験などで最適値に予め設定されていることは言うまでもない。このように、基本的には、孔内異物の判別処理として、境界線長だけを用いても、孔内異物を判別することはできる。
【0055】
以上に述べたように、円形度による孔内異物の検出処理(ステップS5)は、異物は吐出孔(H)の壁面に付着するため、このような異物を画像処理によって検出するために、壁面部に付着した異物の輪郭部を取り込む処理によって孔内異物を検出することは、極めて効果的な処理である。なお、この判別方法は、吐出孔(H)のエッジ部が許容範囲に入ることが前提ではあるが、ある程度磨耗した場合にも有効な孔内異物の検出方法となる。
【0056】
このようにして、孔内異物の検査対象とした吐出孔(H)中で孔内異物が見つかると、その吐出孔(H)の位置を各種アクチュエータコントローラ内蔵のコンピュータ装置(8)に記憶させる。そうすると、この孔内異物が検出された吐出孔(H)は、前述のように、設計当初の吐出孔(H)の位置と正確に対応する。そのため、PC(各種アクチュエータコントローラ内蔵)(8)に記憶された孔内異物が検出された特定の吐出孔(H)に関する情報を作業者は、容易に取り出すことができる。そして、コンピュータ装置(8)から取り出した情報に基づいて、孔内異物の存在する特定の吐出孔(H)から異物を取り除くことが容易にできる。
【0057】
以上に説明したように、一つの合成画像データ中に含まれる多数の吐出孔(H)に対して、孔内異物の残留検査が終了すると、次の合成画像データから孔内異物の残留検査を行うために、コンピュータ装置(8)が、次に必要となる画像データ(例えば、前述のように拡大レンズの焦点深度が異なる画像データ)の読み出しを行い、画像処理を実施する。そして、紡糸口金(Ca)の全画像データにおける全吐出孔(H)内の孔内異物検査を終了する。
【0058】
なお、以上の説明において、孔内異物の検査を行うために、紡糸口金(Ca)の穿孔領域の全面に渡って、スキャンカメラ(1)を操作して撮影した画像データ群を一つの合成画像データに合成するケースについて説明した。しかしながら、本発明においては、一つの合成画像データに限定する理由はなく、一つの合成画像データだけを用いるのではなく、この合成画像データを複数に分割した合成画像データを使用するようにしても良い。この場合、特に、一つの合成画像データのデータ量が膨大になる場合に、分割した合成画像データを使用することは極めて有効である。
【0059】
以上に詳細に説明したように、本発明では、二段階の処理によって孔内異物の判別処理を行っているが、第一段階で孔内異物が検出された場合には、その後の第二段階の処理をスキップするようにすることもできる。勿論、孔内異物の検出の有無に関わらず、これらの二つの処理を全て行うようにしてもよい。更には、検出する孔内異物の形状などの条件に合わせて、これらの二つの処理を相互に関連を持たせずに、それぞれ単独で実施するようにしてもよい。
【0060】
以上の一連の動作を全ての吐出孔(H)に対して行うと各吐出孔(H)の孔内異物検査は終了し、検査終了後はアクチュエータ(6)の上に設置された口金取付台(10)に戴置された紡糸口金(Ca)を、装置端に付設した静電除去機能付き圧空装置の上部に移動する。次に、孔内異物除去の処理を行う。この処理は、コンピュータ装置(8)に取り込んだ複数の画像データに含まれ、かつその存在領域を特定した複数の吐出孔(H)の壁面に付着した異物の除去を行うための処理である。
【0061】
前記アクチュエータ(6)の上に設置された口金取付台(10)に戴置された紡糸口金(Ca)を、装置端に付設した静電除去機能付き圧空装置(4)の上部に移動完了後、コンピュータ装置(8)は前記口金検査装置の検査データを基にアクチュエータコントローラを作動させて各種アクチュエータ(6)、(7)を移動させ、先に行なった検査によって判明した不良吐出孔(H)の真下に静電除去機能付き圧空装置(4)を位置させる。その後、圧空制御装置(5)の制御下に電磁弁などの圧空配管の開閉手段を作動させて圧空供給配管をオープンにし、紡糸口金(Ca)の吐出孔(H)にイオンを含んだ圧空を噴射する。
【0062】
本発明の技術的な特徴は、不良吐出孔(H)に帯電した正電荷または負電荷と逆の負電荷又は正電荷をイオンとして含んだ圧空を噴射することにある。このようにすることによって、静電気の力によって吐出孔(H)の壁に固着した異物を制電気力から開放して吹き飛ばすことができる。なお、圧空に含まれるイオンの電荷は、紡糸口金(Ca)の帯電状態を検知し、紡糸口金(Ca)に帯電した電荷を打ち消すようなイオンを含んだ圧空を吹き付けるのが好ましい。なお、前記イオンの発生は、コロナ放電などを用いた周知の静電気除去装置を使用できることは言うまでもない。
【0063】
圧空の吹き付け完了後、コンピュータ装置(8)はアクチュエータコントローラによる制御下で各種アクチュエータ(6)、(7)を移動させ、前記一連の動作を不良吐出孔(H)の全てについて行うことで吐出孔(H)の掃除が完了となる。全ての不良吐出孔(H)の掃除が終了すると再度口金孔検査装置の前記一連の動作で不良吐出孔(H)のみを検査し、3度検査後不良吐出孔(H)が無くならない場合は検査を終了し、全ての作業を完了する。
【0064】
以上に述べたようにして、画像処理されて孔内異物の有無が検査された後のデータは、各吐出孔(H)の位置情報をもとに、記憶装置に記憶しておき、検査後に検査の係りの作業者が目視で確認するようにすることもできる。その際、当然のことながら、目視確認を行いながら、作業者が拡大鏡などを使用しながら針状治具などを用いて孔内異物の除去作業を行い、異物を吐出孔(H)からきれいに除去することもできる。また、本発明によると、合成繊維生産時に使用される紡糸口金(Ca)に穿設された吐出孔(H)内の異物残留検査を容易に行えることで、省力化につながり、または労務費削減につながる。
【符号の説明】
【0065】
1:ラインスキャンカメラ
2:拡大レンズ
3:集束平行光 LED
4:静電除去機能付き圧空装置
5:圧空制御装置
6:ロータリーアクチュエータ
7:リニアアクチュエータ
8:コンピュータ装置
9:モニタ
10:口金取付台
Ca:紡糸口金
H:吐出孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の吐出孔が穿設された紡糸口金の上部に設けられた照明と対向して設けられたスキャンカメラと、
前記スキャンカメラに付設され且つ前記照明から照射されて前記吐出孔を通過した検査光からなる画像を所定の倍率に拡大する拡大レンズと、
前記スキャンカメラを走査して前記吐出孔の穿孔領域を少なくとも含む画像データ群を撮影して前記画像データ群を合成して得た合成画像を処理して前記吐出孔に残留する孔内異物を一度に検出する画像処理装置と、
前記孔内異物の残留が検出された吐出孔に対して前記紡糸口金に帯電した電荷と逆の電荷を有するイオンを含んだ圧空を噴射する圧空装置と、
前記圧空装置を前記孔内異物を検知した吐出孔位置に移動させるアクチュエータとを備えたことを特徴とする、孔内異物除去機能付き紡糸口金検査装置。
【請求項2】
前記画像処理装置が、前記画像データ群を合成して多数の吐出孔を対象とした少なくとも一つの合成画像データを作成し、前記合成画像データ中に含まれる画素群の明暗の諧調を予め設定した閾諧調値を基準にして「明」と「暗」の何れかの値にそれぞれ振り分ける二値化処理を行い、「明」と判別した画素群が連続した集合体である場合に吐出孔と認識し、認識した前記各吐出孔に対して「明」と判別した画素の集合体の画素数を面積値としてそれぞれ算出し、前記面積値が孔内異物の存在すると判別するための基準として予め設定した画素数からなる面積値よりも小さいと判断されたときに該当する吐出孔に孔内異物が存在すると判別する装置であることを特徴とする、請求項1に記載の孔内異物除去機能付き紡糸口金検査装置。
【請求項3】
前記画像処理装置が、前記画像データ群を合成して多数の吐出孔を対象とした少なくとも一つの合成画像データを作成し、前記合成画像データ中に含まれる画素群の明暗の諧調を予め設定した閾諧調値を基準にして「明」と「暗」の何れかの値にそれぞれ振り分ける二値化処理を行い、前記二値化処理によって得られた吐出孔として認識された画素群の周囲長と、算出された吐出孔の面積値と同じ面積値の円周との比により得られる円形度を算出し、前記円形度が孔内異物が存在すると判別するための基準として予め設定した円形度よりも小さいと判断されたときに該当する吐出孔に孔内異物が存在すると判別する装置であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の孔内異物除去機能付き紡糸口金検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−196189(P2010−196189A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40583(P2009−40583)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】