説明

存在確認システム

【課題】使用者の存在を誤判断するのを防ぐ。
【解決手段】屋内に設置され光源13から照射する照明光に問い合わせ信号を重畳して送信する送信装置1と、使用者が携帯し固有の属性情報が割り当てられるとともに問い合わせ信号に対して属性情報を含む応答信号を送信する携帯端末2と、携帯端末2から送信される応答信号を受信する受信装置3と、受信装置3で受信した応答信号に含まれる属性情報に基づいて使用者の存在を判断する判断装置4とを備える。送信装置1から携帯端末2に送信する問い合わせ信号を照明光(可視光)に重畳しているので、問い合わせ信号が屋外に漏れる可能性が極めて低くなり、その結果、屋外にいる使用者を屋内に存在すると誤判断するのを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内に設置された送信装置から問い合わせ信号を送信し、使用者が携帯する携帯端末が問い合わせ信号を受信したときに応答信号を送信し、この応答信号によって使用者の存在を確認する存在確認システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、使用者が携帯する携帯端末と、携帯端末に問い合わせ信号を送信する送信装置と、問い合わせ信号を受信した携帯端末が送信する応答信号を受信する受信装置と、応答信号に含まれる携帯端末の属性情報によって使用者の存在を判断する判断装置とで構成される存在確認システムとして、特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1に記載された従来システムは、使用者が携帯するコードレス電話機の子機と、子機に問い合わせ信号を送信する親機と、発信者識別符号によって使用者の存在を判断する判断部とで構成され、ICカードリーダなどの別段の装置を用いることなく、使用者の在宅管理や機器制御、住宅の施錠管理等を行うことができるようにしたものである。
【特許文献1】特開平6−141093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来システムでは問い合わせ信号が電波を媒体とする無線信号で送信されるために屋内から屋外に問い合わせ信号の電波が漏れる可能性があり、使用者(例えば、高齢者)が屋内(住居内)にいないにもかかわらず、屋内にいると誤判断される可能性があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、使用者の存在を誤判断するのを防ぐことができる存在確認システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、屋内に設置され光源から照射する照明光に問い合わせ信号を重畳して送信する送信装置と、使用者が携帯し固有の属性情報が割り当てられるとともに問い合わせ信号に対して当該属性情報を含む応答信号を送信する携帯端末と、携帯端末から送信される応答信号を受信する受信装置と、受信装置で受信した応答信号に含まれる属性情報に基づいて当該使用者の存在を判断する判断装置とを備えたことを特徴する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、少なくとも照明光の照射範囲内における人の存在を検知する人体検知装置を備え、人体検知装置で人の存在が検知されたときに送信装置が問い合わせ信号を送信することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、判断装置は、人体検知装置で人の存在が検知されてから所定の応答待ち時間が経過するまでに受信装置が応答信号を受信しないときに不審者が侵入したと判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、送信装置から携帯端末に送信する問い合わせ信号を照明光(可視光)に重畳しているので、問い合わせ信号が屋外に漏れる可能性が極めて低くなり、その結果、使用者の存在を誤判断するのを防ぐことができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、人体検知装置で人の存在が検知されたときに送信装置が問い合わせ信号を送信するので、問い合わせ信号を送信するためだけに日中のように明るい時間帯においても照明光を照射する必要がなくなり、その結果、省エネルギ化が図れる。
【0011】
請求項3の発明によれば、人体検知装置で人の存在が検知されてから所定の応答待ち時間が経過するまでに受信装置が応答信号を受信しないときに判断装置で不審者が侵入したと判断するので、利用者の存在確認だけでなく不審者の侵入検知を行うことも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本実施形態の存在確認システムは、図1並びに図2に示すように屋内に設置され光源から照射する照明光に問い合わせ信号を重畳して送信する送信装置1と、使用者が携帯し固有の属性情報が割り当てられるとともに問い合わせ信号に対して当該属性情報を含む応答信号を送信する携帯端末2と、携帯端末2から送信される応答信号を受信する受信装置3と、受信装置3で受信した応答信号に含まれる属性情報に基づいて当該使用者の存在を判断する判断装置4と、少なくとも照明光の照射範囲内における人の存在を検知する人体検知装置5とを備えている。
【0013】
送信装置1は、属性情報のデータを示す問い合わせ信号(H、Lの2値をとる方形パルス信号)を出力する信号源10と、照明光にデータを重畳させる制御回路11と、光源(蛍光灯)13と、光源13を点灯する点灯回路12とを備えている。問い合わせ信号は、H、Lの2値をとる方形パルスとして信号源10から出力される。
【0014】
点灯回路12は、商用電源を整流平滑して直流電力に変換する直流電源回路(図示せず)と、直流電源回路から入力する直流電力を高周波の交流電力に変換するLC共振型のインバータ回路(図示せず)とで構成される。直流電源回路は、ダイオードブリッジからなる全波整流回路と平滑コンデンサの組合せの他、力率改善用の昇圧チョッパ回路と平滑コンデンサの組合せでもよいし、あるいは電池でも構わない。インバータ回路は従来周知のハーフブリッジ式やフルブリッジ式、一石式のインバータ回路であって、直流電源回路を構成する昇圧チョッパ回路とスイッチング素子等の部品を共用する構成であっても構わない。
【0015】
制御回路11は、信号源10から入力する問い合わせ信号をNRZ符号で符号化するとともに符号化した問い合わせ信号でインバータ回路の動作周波数を変調(周波数変調)するものである。すなわち、蛍光灯の点灯時におけるインバータ回路の出力特性がLC共振回路並びに光源13(蛍光灯)を含めた共振系の共振周波数f0にピークを持つ山型の波形となることから、インバータ回路の動作周波数を定格点灯時の周波数f1(>f0)から変調周波数f2(>f1)に上昇させることでインバータ回路から蛍光灯への供給電力(ランプ電流)を減少させて光出力を低下させることができ、従って、問い合わせ信号がHレベルのときにインバータ回路の動作周波数を定格点灯時の周波数f1とし、問い合わせ信号がLレベルのときにインバータ回路の動作周波数を変調周波数f2に切り換えて周波数変調(FSK<周波数シフトキーイング>)することにより、蛍光灯から放射する照明光に問い合わせ信号を重畳することができる。
【0016】
人体検知装置5は従来周知のものであって、焦電素子によって検出領域内で物体から放射される赤外線を検出するとともに当該検出値が所定のしきい値を超えた場合に人体検知信号を出力する。但し、人体検知装置5の構成は焦電型に限定されるものではなく、超音波などを使うものであっても構わない。
【0017】
送信装置1においては、人体検知装置5から出力される人体検知信号を制御回路11で取り込み、人体検知信号が取り込まれたときにだけ制御回路11が問い合わせ信号を照明光に重畳させるように動作する。したがって、問い合わせ信号を送信するためだけに日中のように明るい時間帯においても照明光を照射する必要がなくなるから省エネルギ化が図れる。
【0018】
携帯端末2は、送信装置1によって問い合わせ信号が重畳された照明光を受光して電気信号に変換する光電変換部20と、光電変換部20から出力する電気信号(受信信号)を増幅する増幅回路21と、増幅回路21で増幅された受信信号から問い合わせ信号を復調する復調部22と、固有の属性情報(例えば、固有の識別符号など)を記憶した記憶部23と、復調部22で復調された問い合わせ信号に対して記憶部23に記憶している属性情報を読み出して送信部25に出力する制御部24と、制御部24から受け取った属性情報を送信する送信部25とを備えている。
【0019】
光電変換部20は、照明光の問い合わせ信号が重畳されている周波数成分を透過する光学フィルタと、光学フィルタを透過した周波数成分を電気信号に変換するPINフォトダイオードのような光電変換素子とで構成される。但し、PINフォトダイオードの代わりにフォトトランジスタや増幅器を集積したフォトICを用いてもよい。増幅回路21は汎用のオペアンプIC等で構成される差動増幅回路であるが、オペアンプICの代わりにトランジスタで構成されるものであっても構わない。但し、光電変換部20から出力する受信信号が復調部22で復調処理するのに十分なレベルであれば、増幅回路21を省略してもよい。
【0020】
復調部22は、例えばバンドパスフィルタ(図示せず)と、バンドパスフィルタを通過した受信信号の信号レベルをしきい値と比較する比較回路(図示せず)とで構成される。バンドパスフィルタは、変調周波数f2の2倍の周波数を通過帯域の中心周波数とした汎用のフィルタである。比較回路はコンパレータからなり、変調周波数f2の2倍の周波数成分がバンドパスフィルタを通過したときにHレベルの信号を出力するとともにその他のときにLレベルの信号を出力することで照明器具Tから照射される照明光の受信信号より問い合わせ信号を復調する。
【0021】
制御部24はマイコンを主構成要素とするものであって、復調部22で復調された問い合わせ信号の有効性を判断するとともに、問い合わせ信号が有効と判断した場合に記憶部23に記憶している属性情報を読み出して送信部25に出力する。
【0022】
送信部25は、赤外線を媒体とする無線信号を送信する従来周知のものであって、制御部24から与えられた属性情報を無線信号で送信するものである。
【0023】
受信装置3は、携帯端末2の送信部25から送信される無線信号を受信(受光)するとともに、受信した無線信号に含まれる属性情報を判断装置4に与えるものである。
【0024】
判断装置4はマイコンを主構成要素とし、受信装置3から受け取った属性情報をメモリ(図示せず)に保持している属性情報と照合することで使用者の存在を確認するものである。また、判断装置4は通信インタフェースを具備しており、当該通信インタフェースを介して遠隔地に設置されているセンタサーバ(図示せず)に使用者の存在確認の結果を通知したり、あるいは、屋内に設置されている機器(例えば、エアコンや床暖房装置など)の動作制御や電気錠の施解錠を行うといった用途に存在確認結果を活用することができる。
【0025】
ところで本実施形態においては、図2に示すように室内の天井に配設された照明器具6の器具本体に送信装置1並びに人体検知装置5、受信装置3、判断装置4が内蔵され、光源13から照射する照明光の照射範囲S1と人体検知装置5の検知領域S2とが重なるように設定されている。そして、検知領域S2内に人が存在しないときは人体検知装置5から人体検知信号が出力されないために送信装置1の制御回路11は問い合わせ信号の送信処理を行わないが、携帯端末2を携帯した人が検知領域S2内に進入して人体検知装置5から人体検知信号が出力されると、送信装置1の制御回路11が問い合わせ信号の送信処理を行って問い合わせ信号を照明光に重畳して送信する。携帯端末2では照明光に重畳された問い合わせ信号を受信すると、制御部24が記憶部23から読み出した属性情報を送信部25から無線信号で送信させる。そして、携帯端末2から送信された無線信号が受信装置3で受信され、無線信号に含まれる属性情報が受信装置3から判断装置4に出力されて判断装置4により属性情報に基づく使用者の存在確認が行われるのである。
【0026】
上述のように本実施形態によれば、送信装置1から携帯端末2に送信する問い合わせ信号を照明光(可視光)に重畳しているので、問い合わせ信号が屋外に漏れる可能性が極めて低くなり、その結果、屋外にいる使用者を屋内に存在すると誤判断するのを防ぐことができる。なお、本実施形態では照明光を照射する光源13として蛍光灯を例示したが、蛍光灯以外の放電灯(高輝度放電灯や無電極放電灯など)、白熱灯、あるいは、発光ダイオードのように高周波点灯が可能なものであればよい。なお、人体検知装置5で人の存在が検知されてから所定の応答待ち時間が経過するまでに受信装置3が応答信号を受信しないときは、検知された人が携帯端末2を携帯しない人(=不審者)であると考えられるから、判断装置4で不審者が侵入したと判断して遠隔地に設置されているセンタサーバに通知する等の処置を行うようにすれば、本発明に係る存在確認システムをセキュリティ(防犯)システムとしても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上の動作説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1 送信装置1
2 携帯端末
3 受信装置
4 判断装置
10 信号源
11 制御回路
12 点灯回路
13 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内に設置され光源から照射する照明光に問い合わせ信号を重畳して送信する送信装置と、使用者が携帯し固有の属性情報が割り当てられるとともに問い合わせ信号に対して当該属性情報を含む応答信号を送信する携帯端末と、携帯端末から送信される応答信号を受信する受信装置と、受信装置で受信した応答信号に含まれる属性情報に基づいて当該使用者の存在を判断する判断装置とを備えたことを特徴する存在確認システム。
【請求項2】
少なくとも照明光の照射範囲内における人の存在を検知する人体検知装置を備え、人体検知装置で人の存在が検知されたときに送信装置が問い合わせ信号を送信することを特徴とする請求項1記載の存在確認システム。
【請求項3】
判断装置は、人体検知装置で人の存在が検知されてから所定の応答待ち時間が経過するまでに受信装置が応答信号を受信しないときに不審者が侵入したと判断することを特徴とする請求項2記載の存在確認システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−265044(P2007−265044A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89595(P2006−89595)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】