孤立交流電圧系統を有する設備のための駆動システム
孤立交流電圧系統(7)を有する設備のための、特に船舶又は海上プラットホームのための駆動システム(1)は、電動機としも発電機としも動作可能である駆動用3相交流電動機(8)と、中間回路電圧(UZ)を有する直流電流中間回路(5)を備えた電力変換装置(2)とを備えている。この駆動システム(1)では、孤立交流電圧系統における望ましくない又は許容できない電圧上昇および/または周波数上昇を回避することができなければならない。このために駆動システムは、本発明によれば、駆動用3相交流電動機(8)が発電機動作時に発生して電動機側変換器(4)を介して中間回路(5)に与える電気エネルギーの少なくとも一部を吸収するために中間回路(5)内に配置されたエネルギー吸収装置(20)を有する。このエネルギー吸収装置(20)は、好ましくは少なくとも1つの抵抗器からなる少なくとも1つのエネルギー吸収器(21)を含む。少なくとも1つのエネルギー吸収器(21)はエネルギー吸収装置(20)によって少なくとも中間回路電圧(UZ)の極性に依存して作動可能である。エネルギー吸収装置(20)は駆動用3相交流電動機(8)の電気制動出力の吸収に関して可変に構成されていると好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による孤立交流電圧系統を有する設備、特に船舶又は海上プラットホームのための駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
直流電流中間回路を有する電力変換装置(「負荷転流形インバータ」(LCI)とも言う)は、頻繁に使用される比較的簡単な駆動システム用の電力変換回路である。このような電力変換装置は系統側変換器と電動機側変換器とを含む。系統側変換器は入力側を交流電圧系統に、出力側を直流電流中間回路に接続されている。電動機側変換器は入力側を直流電流中間回路に、出力側を駆動用3相交流電動機に接続されている。できるだけ理想的に平滑された一定の中間回路電流が流れるように、直流電流中間回路内には一般に、中間回路電流のためのエネルギー蓄積器として用いられるリアクトルが接続されている。
【0003】
この種の電力変換装置は、大出力の同期機を備えた駆動装置に非常に頻繁に使用され、両回転方向における駆動用3相交流電動機の4象限動作(即ち、電動機動作および発電機動作)のための簡単な可能性を提供する。
【0004】
電動機動作時には(即ち、「力行」時には)、駆動用3相交流電動機が電力変換装置を介して電気エネルギーを交流電圧系統から摂取する。その際に系統側変換器が整流器動作にて作用し、電動機側変換器がインバータ動作にて作用する。
【0005】
発電機動作時には(即ち、「制動」時には)、駆動用3相交流電動機が電気エネルギーを発生し、これを電力変換装置を介して交流電圧系統に引き渡す。その際に系統側変換器がインバータ動作にて作用し、電動機側変換器が整流器動作にて作用する。
【0006】
直流電流中間回路を有する電力変換装置は、特に同期機との組み合わせで、電気式船舶駆動装置(推進用主駆動装置)のために非常に頻繁に使用される。これは、とりわけ1桁又は2桁のメガワット範囲の大きな駆動出力の場合に当てはまる。
【0007】
船舶駆動装置において、特に固定翼を有するプロペラ(「固定プロペラ」)が使用される場合には、プロペラにブレーキをかけてプロペラ回転方向を反転することを可能にするために、4象限もしくは2象限での発電機動作が放棄できない。その理由は、移動する船が、流れる水を通過するいわゆる「移動負荷」であるということにある。
【0008】
直流電流中間回路を有する電力変換装置を備えた船舶駆動装置の場合、発電機動作時に自由になるエネルギーが通常は電力変換装置を介して系統に回生される。船の制動過程では、このエネルギーが2桁又は3桁のメガジュール範囲にあり、制動時間が一般に約10〜60秒の範囲にある。
【0009】
船内電気系統が小さないわゆる「ホテル負荷」だけを持つ船、即ち電気式主駆動設備が遥かに大きな電気負荷である船にとっては、船内電気系統へのエネルギー回生が、しばしば望ましくないか、又は必要な出力でもって実行できないか、少なくともいずれか一方である。何故ならば、この場合に船内電気系統の電圧に関して、エネルギー回生によって望ましくない又は許容できない電圧上昇および/または周波数上昇が発生するからである。この問題は原則的に孤立交流電圧系統において発生し得る。何故ならば、まさに孤立系統においては電気負荷の個数およびそれにともなう回生エネルギーに対する系統の受容能力がしばしば限定されているからである。
【0010】
まだ出願公開されていない本出願人による特許文献1に記載されている解決策においては、船の交流電圧系統の電圧における望ましくない又は許容されない電圧上昇および/または周波数上昇が、一時的にその系統に投入される制動抵抗器において回生エネルギーを熱に変換することによって回避される。従って、制動抵抗器によって付加的な負荷が船内電気系統に接続されるが、しかし船内電気系統への本来のエネルギー回生自体は妨げられない。この場合には制動抵抗器をその都度投入および遮断することにより、電力収支の跳躍的な変化が発生し、それによって発電機制御の動特性に対する要求が高くなる。
【0011】
直流電流中間回路の代わりに直流電圧中間回路を有する電力変換装置を備えた駆動システムに関しては、直流電圧中間回路内に配置されている制動抵抗器を備えた回路が既に知られている。一般に、このような解決策は、系統側変換器がダイオード整流器として実施され、従って交流電圧系統へのエネルギー回生を行なうことができない場合に使用される。しかし、この種の解決策は、直流電圧中間回路と直流電流中間回路との間における本質的な機能的相違のために、直流電流中間回路を有する電力変換装置に容易には転用できない。
【0012】
特許文献2から、駆動用3相交流電動機が電力変換装置の介在なしに直接に系統に接続されている船舶駆動システムが知られている。電動機は発電機動作時に切換器により系統から電気的に分離され、制動抵抗器に接続される。
【0013】
特許文献3から、同様に駆動用3相交流電動機が電力変換装置の介在なしに直接に系統に接続されている船舶駆動システムが知られている。互いに影響を及ぼさない複数の3相巻線系および励磁巻線系を備えた電動機が使用される。制動のために使用される3相巻線系は電動機動作時に不動作であり、即ち当該巻線系には電動機動作時に電圧が誘起されない。制動のために適切な励磁電流の供給によってこの3相巻線系に電圧が誘起され、それによって当該3相巻線系に接続されている制動抵抗器を通して駆動装置にブレーキをかける電流が流れ得る。
【0014】
従って、両解決策は、交流電圧系統において直接的に運転される船舶駆動用3交流相電動機にブレーキをかけるための異なる可能性を示している。従って、両解決策は、電力変換装置により給電される、特に電流中間回路を有する電力変換装置により給電される駆動用3相交流電動機に容易には転用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】欧州特許出願第07022733.1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第749817号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第870725号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
これから出発して、本発明の課題は、請求項1の前文による駆動システムについて、孤立交流電圧系統における望ましくない又は許容できない電圧上昇および/または周波数上昇を回避できる可能性を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この課題の解決は、請求項1の特徴事項を有する駆動システムによって達成される。有利な実施態様はそれぞれ従属請求項の対象である。
【0018】
本発明は、既に孤立交流電圧系統自体へのエネルギー回生が少なくとも部分的に回避されるならば、船内電気系統における望ましくない又は許容できない電圧上昇および/または周波数上昇が回避可能であるという考えから出発している。系統側変換器および電動機側変換器は、それらの制御および調節を介して、確かにエネルギーが系統へ回生されないように動作させることができるが、しかしその際に、発電機動作時に発生するエネルギー(船の場合にはプロペラのブレーキ時に物理的に条件付けられて発生する制動エネルギー)が他の方法で減衰させられなければならない。
【0019】
それゆえに、本発明によれば、駆動システムが、中間回路内に配置されたエネルギー吸収装置を有し、このエネルギー吸収装置は、駆動用3相交流電動機が発電機動作時に発生して電動機側変換器を介して中間回路に与える電気エネルギーの少なくとも一部を吸収するための少なくとも1つのエネルギー吸収器を含む。エネルギー吸収器は、好ましくは、電気エネルギーを熱に変換する少なくとも1つの抵抗器からなる。しかし、発電機動作時に発生した電気エネルギーを適切なエネルギー蓄積器、例えば大電力コンデンサ又はフライホイールに中間蓄積して設備内で他に利用することが考えられ得る。エネルギー吸収装置が複数のエネルギー吸収器を含む場合、これらが例えば互いに並列および/または直列に接続されるとよい。
【0020】
従って、回生されるエネルギーは、少なくとも部分的に既に変換器の中間回路において吸収されるので、そのエネルギーは先ずは系統に全く達し得ない。回生されるエネルギーは、その全部が中間回路において吸収可能であるか、又は、しかし系統に接続されている負荷における発電機動作時に状況次第で存在するエネルギー吸収能力に依存した分担分を吸収可能である。
【0021】
本発明によれば、少なくとも1つのエネルギー吸収器がエネルギー吸収装置によって少なくとも中間回路電圧の極性に依存して作動可能である。このような作動状態は、例えば中間回路へのエネルギー吸収器の投入時に存在し得る。
【0022】
考察の基礎をなしているのは、駆動用3相交流電動機の電動機動作時に直流電流中間回路において変換される電力PZには、一般に、
PZ,motorisch=UZ・IZ>0 (式1)
が当てはまらなければならないことである。
【0023】
従って、発電機動作時に中間回路における電力PZには、
PZ,generatorisch=UZ・IZ<0 (式2)
が当てはまらなければならない。
【0024】
直流電流中間回路を有する電力変換装置の主たる特徴は、中間回路電流IZの電流方向が原理的な制約により反転できないことにある。従って、電動機動作であるか又は発電機動作であるかに関係なく、電流の符号は変化しない(ここでは、+1とする)。それゆえ、数学的に表現するならば、
Sign[IZ,motorisch]=Sign[IZ,generatorisch]=一定=+1 (式3)
となる。
【0025】
それゆえ、発電機動作時の中間回路電力を負にすること、即ち零より小さくすることを可能にするためには、中間回路電圧UZの極性が発電機動作に関しては逆にならなければならない。即ち、
電動機動作: Sign[UZ,motorisch]=+1 (式4)
発電機動作: Sign[UZ,generatorisch]=−1 (式5)
である。
【0026】
従って、中間回路電圧の極性は駆動用3相交流電動機の動作様式に関する指標であり、エネルギー吸収器を発電機動作時には動作させ電動機動作時には動作させないようにするために的確に利用することができる。
【0027】
発電機動作時に存在する中間回路電圧の極性の場合にエネルギー吸収器を作動させることは、エネルギー吸収装置がエネルギー吸収器に直列に接続されたダイオードを含むことによって格別に簡単に実現できる。このダイオードの極性は、そのダイオードが、発電機動作時に存在する中間回路電圧の極性の場合に導通状態となり、電動機動作時に存在する中間回路電圧の極性の場合には阻止状態となるように定められている。複数のエネルギー吸収器が直列接続される場合、この直列接続回路に直列接続された唯一のダイオード、従って全てのエネルギー吸収器に共通なダイオードで十分である。複数のエネルギー吸収器が並列接続される場合、この並列接続回路全体に直列接続された共通のダイオードで十分である。しかし、各エネルギー吸収器のためにそれぞれ1つの専用のダイオードが存在してもよい。
【0028】
代替として、エネルギー吸収装置は、ダイオードの代わりに、エネルギー吸収器に直列接続された可制御のパワーエレクトロニクス半導体スイッチを含むことができる。この半導体スイッチの極性は、その半導体スイッチが、発電機動作時に存在する中間回路電圧の極性の場合に導通状態に切換可能であり、電動機動作時に存在する中間回路電圧の極性の場合には阻止状態となるように定められている。それゆえ、エネルギー吸収器は的確に中間回路に投入することができ、それによって回生エネルギーが中間回路において吸収されるもしくは系統に供給される時点、従って割合を能動的に制御することができる。このためにパワーエレクトロニクス半導体スイッチは逆方向阻止形パワー半導体素子、特にサイリスタとして構成されていると好ましい。複数のエネルギー吸収器が直列接続されている場合、同様に、この直列接続回路に直列接続された唯一の半導体スイッチ、つまりエネルギー吸収器の全てに共通な半導体スイッチで十分である。複数のエネルギー吸収器が並列接続されている場合、この並列接続回路に直列接続された1つの共通な半導体スイッチで十分である。しかし、各エネルギー吸収器のために、各エネルギー吸収器に直列接続されたそれぞれ専用の1つの半導体スイッチが存在していてもよい。
【0029】
格別に有利な実施態様によれば、エネルギー吸収装置が駆動用3相交流電動機の電気制動出力の吸収に関して可変に構成されている。電気制動出力の吸収は駆動用3相交流電動機の状況に応じて要求される制動トルクの高さに依存して調整可能であるとよい。
【0030】
電気制動出力の吸収を変化させるためには、エネルギー吸収装置が、エネルギー吸収器の少なくとも一部について、各エネルギー吸収器に直列又は並列に接続されたそれぞれ1つのスイッチを含むとよい。これによって、複数のエネルギー吸収器、好ましくは複数の抵抗器の投入および/または切離しが可能であり、それゆえ駆動用3相交流電動機の発電機動作時にエネルギーおよび電力吸収およびそれにともなう駆動用3相交流電動機の制動トルクを段階的に変化させることができる。エネルギー吸収装置は、例えば、並列接続された複数のエネルギー吸収器と該エネルギー吸収器のそれぞれに直列に接続されたスイッチとを含むか、又は直列接続された複数のエネルギー吸収器と該エネルギー吸収器のそれぞれに並列に接続されたスイッチとを含むとよい。
【0031】
1つ又は複数のスイッチがパワーエレクトロニクス半導体スイッチとして構成されていると好ましい。この場合に遮断可能な半導体スイッチを使用することができ、あるいは遮断可能でない半導体スイッチを使用することもできる。半導体スイッチが阻止電圧を受け入れ得ない場合、この半導体スイッチにこの阻止電圧を受け入れ得るダイオードを直列接続すると好ましい。
【0032】
パワーエレクトロニクス半導体スイッチが逆方向阻止形パワー半導体素子、特にサイリスタとして構成されている場合、少なくとも1つのエネルギー吸収器に直列接続されたダイオードを省略することができる。何故ならば、逆方向阻止形パワー半導体素子が同時にダイオードの機能を引き受けるからである。
【0033】
代替又は補足として、駆動用3相交流電動機の電気制動出力の吸収を変化させるために、少なくとも1つのエネルギー吸収器が連続的に変化可能な抵抗器として構成されているとよい。これによって駆動用3相交流電動機の電気制動出力の吸収およびこれにともなう駆動用3相交流電動機の制動トルクを無段階に変化させることができる。
【0034】
格別に有利な実施態様によれば、駆動システムは、駆動用3相交流電動機の所望の目標制動トルクと駆動システムの実際値とに依存してエネルギー吸収装置によって駆動用3相交流電動機の電気制動出力の吸収を制御および/または調節するための監視および制御装置を含む。これらの実際値は、例えば、
中間回路電圧の極性および/または
中間回路電圧の高さおよび/または
中間回路電流および/または
電動機回転数および/または
電動機電圧および/または
電動機電流
の値である。
【0035】
本発明は、駆動用3相交流電動機が1桁または複数桁のメガワット範囲の出力を有する場合に、格別に有利に使用することができる。
【0036】
エネルギー吸収装置によって吸収されたエネルギーは、別方面に、例えば室内空気、暖房水、雑用水を加熱するために使用してもよい。更に、追加又は代替として、特に高出力範囲の駆動装置の場合に、このエネルギーが蓄積されると格別に有利であることが判明した。これは、例えば電気的なエネルギー蓄積装置(例えばコンデンサ)、電気化学的なエネルギー蓄積装置(例えば蓄電池)、機械的なエネルギー蓄積装置(フライホイール蓄積装置)又は熱的蓄積装置(例えば温水蓄積装置)において行なうことができる。このためには、少なくとも1つのエネルギー吸収器を、電気抵抗器として構成する代わりに、エネルギー蓄積装置として、特に大電力コンデンサバッテリー又は電気化学的バッテリー(蓄電池)又はフライホイール蓄積装置として構成するとよい。
【0037】
以下において本発明ならびに従属請求項の特徴による本発明の他の有利な実施態様を図中の実施例に基づいて更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は従来技術から公知の第1の駆動システムを示す。
【図2】図2は従来技術から公知の第2の駆動システムを示す。
【図3】図3は船舶駆動装置の4つの回転数−トルク象限についての回転数−トルク特性曲線図を簡略して示す。
【図4】図4は電動機動作時および発電機動作時の中間回路電圧の表示を有する図2の駆動システムを示す。
【図5】図5は本発明による駆動システムの第1の実施例を示す。
【図6】図6は本発明による駆動システムの第2の実施例を示す。
【図7】図7は本発明による駆動システムの第3の実施例を示す。
【図8】図8は本発明による駆動システムの第4の実施例を示す。
【図9】図9は本発明による駆動システムの第5の実施例を示す。
【図10】図10は本発明による駆動システムの第6の実施例を示す。
【図11】図11は本発明による駆動システムの第7の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1に示された従来技術から公知の船舶駆動システム1は直流電流中間回路形電力変換装置2を含み、この電力変換装置2はここでも系統側変換器3と電動機側変換器4とを含む。系統側変換器3は、入力側を変圧器6を介して交流電圧系統7に、出力側を直流電流中間回路5に接続されている。電動機側変換器4は、入力側を直流電流中間回路5に、出力側を駆動用3相交流電動機8に接続されている。変換器3および4はそれぞれ多数の変換器弁を含み、これらの変換器弁はパワーエレクトロニクス半導体スイッチとして構成されている。
【0040】
直流電流中間回路5は2つの導体9,10を含み、導体9中には直流平滑リアクトル11が接続され、この直流平滑リアクトル11は中間回路電流IZのためのエネルギー蓄積器として用いられ、従って(リアクトル11のインダクタンスが無限に大きい)理想的な場合に理想的に平滑された一定の中間回路電流IZが流れる。この場合に中間回路電流IZの電流方向は原理的な制約によって反転することができない。何故ならば、その電流方向は系統側および電動機側変換器3,4内における一般にサイリスタである半導体スイッチによって不変に予め定められているからである。
【0041】
図2に示されているように、大電力用の系統側変換器3は、高調波−系統反作用を低減するために、しばしば12パルス(又は更に高いパルス数)の接続構成で実施される。電動機側変換器4は、たいてい6パルスのみの接続構成で実施される。更に、非常に大きい電力の場合か冗長性が要求される場合かの少なくともいずれか一方の場合には、複数の電力変換装置の使用によって、電動機の給電が複数の3相巻線系により行なわれる(図示されていない)。
【0042】
両変換器3,4の調節および制御は、いわゆる「変換器近傍の制御および調節」によって、設定された電動機目標トルクに依存して行なわれるのが普通である。目標トルクの設定は、一般に、上位に置かれた回転数調節系によって行なわれる。必要な制御および調節の構成要素も図示されていない。
【0043】
3相交流電動機は、例えば、船舶の推進用主駆動装置として使用される1桁又は2桁のメガワット範囲の出力を有する同期機である。
【0044】
船舶駆動装置としての前述の用途に関しては、回転数−トルク線図の4つの象限が図3に示されているように極めて簡略化された形で描くことができる(いわゆる「ロビンソン曲線」の簡略図)。特に、固定翼を有するプロペラ(「固定プロペラ」)が使用される場合、プロペラにブレーキをかけてプロペラ回転方向を反転することを可能にするために、象限IVもしくはIIにおける発電機動作が放棄できない。その理由は、移動する船が、流れる水を通過するいわゆる「移動負荷」であることにある。該当する曲線部分が図3に実線で示され、参照符号12を付されている。
【0045】
図4は、図2の駆動システムの場合について、3相交流電動機8の電動機動作および発電機動作に関する中間回路電圧UZの異なる極性を示す。参照符号13で示された矢印は電動機動作時における中間回路電圧UZの極性を示し、その逆に向けられた参照符号14で示された矢印は発電機動作時における中間回路電圧UZの極性を示す。
【0046】
図5に示されている本発明による駆動システム1は、図2に示された駆動システムと同じ構成要素を有すると共に、付加的に直流電流中間回路5内に配置されたエネルギー吸収装置20を有する。エネルギー吸収装置20は直流電流中間回路5の両導体9,10間に接続されている。エネルギー吸収装置20は、駆動用3相交流電動機8が発電機動作時に発生して電動機側変換器4を介して中間回路5に与える電気エネルギーを受け入れるエネルギー吸収器としての電気抵抗器21を含む。エネルギー吸収装置20は、もちろん、エネルギー吸収器として、唯一の抵抗器21のみの代わりに、直列および/または並列に接続された複数の抵抗器又はエネルギー蓄積装置も含み得る。
【0047】
図5に示された例において、電気抵抗器21は、船舶のブレーキ過程において3相駆動機8が発電機動作中に発生する全エネルギーを電気抵抗器21によって吸収できるように設計されている。
【0048】
更にエネルギー吸収装置20は抵抗器21に直列に接続されたダイオード22を含んでいる。このダイオード22の極性は、そのダイオード22が、発電機動作時に存在する矢印14で示された中間回路電圧UZの極性の際に導通状態となり、電動機動作時に存在する矢印13で示された中間回路電圧UZの極性の際に阻止状態となるように定められている。電流は、ダイオード22が導通している場合にだけ、即ち制動動作(発電機動作)に対応する中間回路電圧UZが印加されている場合にだけ、抵抗器21を通して流れる。これは、図5において導体9が負電位、導体10が正電位を有する場合である。図5において、電動機動作については中間回路電流IZ、即ち駆動電流の方向が点線15で示され、発電機動作については中間回路電流IZ、即ち制動電流の方向が破線16で示されている。
【0049】
制動動作時に系統側変換器3は不動作状態にされ、この不動作状態ではこの変換器の弁の点弧パルスが阻止されるので、中間回路5から変換器3を介して系統7へ回生電力が流れ得ない。
【0050】
図6に示されている駆動システム1の場合、エネルギー吸収装置20が付加的に抵抗器21およびダイオード22に接続されたスイッチ23を含み、従って「制動抵抗器による制動」の機能を必要な場合に投入し、あるいは切り離すことができる。抵抗器21(および場合によっては電気接続線)の寄生インダクタンスに蓄積されるエネルギーが制動電流の遮断時にスイッチ23の許容できない高い負担を生じないようにするために、抵抗器21に並列にいわゆるフリーホイールダイオード24を接続するのも得策である。
【0051】
図7に示されている駆動システム1の場合、エネルギー吸収装置20は、互いに並列接続された複数の抵抗器21を含み、各抵抗器21はそれぞれ1つの直列接続されたスイッチ23を備えている。付加的に各抵抗器21にはそれぞれ1つのフリーホイールダイオード24が並列接続されている。従って、駆動用3相交流電動機8の発電機動作時に、これらの抵抗器21の投入又は切離しによって、制動出力の吸収を段階的に変化させ、従って状況に応じて必要とされる制動トルクに適合させることができる。この解決策の利点は、それぞれの有効な制動抵抗を実際の電動機回転数に適合させ得ることにある。さもなければ、変化できない制動抵抗により、制動時に電動機に誘起され回転数低下にともなって低下する電動機電圧が、同様に低下する制動電流、従って小さくなる制動トルクを生じさせることになる。
【0052】
図8に示されているように、エネルギー吸収装置20は、直列接続された複数の抵抗器21を有してもよい。この場合に、それらの抵抗器21のうちの幾つか又は全てが、それぞれ1つの並列接続されたスイッチ23を含み、各スイッチ23は該当抵抗器21を橋絡するために用いられる。付加的に各抵抗器21にはそれぞれ1つのフリーホイールダイオード24が並列接続されている。スイッチ23の開閉によって単一の又は複数の抵抗器21を橋絡することができるので、制動出力の吸収を同様に必要な制動トルクに依存して制御および/または調節することができる。
【0053】
図7もしくは図8に示されている有効な制動抵抗の変化又は制御のための、従って駆動用3相交流電動機8の制動出力の吸収の変化又は制御のための可能性は、択一的に又は(図示していないが)互いに組み合わせて使用することができる。
【0054】
1つ又は複数のスイッチ23は、遮断可能である又は遮断可能でないパワーエレクトロニクス半導体スイッチ(以下、パワー半導体スイッチと呼ぶ)として構成することができる。図9は、このために図6の実施例の場合について、有利な態様でスイッチ23の構成を、IGBTからなる遮断可能な可制御パワー半導体スイッチ25として示す。
【0055】
パワー半導体スイッチとして逆方向阻止形パワー半導体スイッチを使用する場合、エネルギー吸収を作動させるために、抵抗器に直列接続していたダイオードが省略できる。図10は、このために図6の実施例の場合について、ダイオード22の代わりに、抵抗器21に直列接続された逆方向阻止形の可制御パワー半導体スイッチが使用されることを示し、図10では、この逆方向阻止形の可制御パワー半導体スイッチがサイリスタ26として示されている。
【0056】
従って、逆方向阻止形パワー半導体スイッチはこの使用に非常に適している。何故ならば、逆方向阻止形パワー半導体スイッチは阻止電圧もブロッキング電圧も受け入れることができ、即ちこのようなパワー半導体スイッチ26は図6および図7に示されているようなダイオード22の機能も引き受けることができるからである。
【0057】
逆方向阻止形パワー半導体スイッチ(図10ではサイリスタ26)の極性は、このパワー半導体スイッチ(サイリスタ26)が、発電機動作時に存在する中間回路電圧の極性の場合には導通状態に切換可能であり、電動機動作時に存在する中間回路電圧UZの極性の場合には阻止状態になるように定められている。
【0058】
サイリスタは遮断可能なパワーエレクトロニクス素子ではないので、サイリスタ26が一旦制御(「点弧」)された後は、電流が零通過するに到るまでの間、制動電流が抵抗器21を通して流れる。電流が零通過するのは、抵抗器21において発生する制動エネルギーが殆ど完全に減衰する場合か、又は電力変換装置2が再び電動機動作に移行させられることによってサイリスタ26がその際に生じる中間回路電圧UZの際に再び阻止状態となる場合である。
【0059】
スイッチ23としての遮断可能な可制御パワー半導体スイッチ(例えばIGBT、IGCT)および遮断可能でない可制御パワー半導体スイッチ(例えば、サイリスタ)は択一的に、又は互いに組み合わせて(図示せず)使用される。
【0060】
更に、図11に示されているように、駆動システムが次のように構成されている監視および制御装置27を含んでいるならば更に格別に有利である。即ち、監視および制御装置27は、エネルギー吸収装置20による駆動用3相交流電動機8の電気制動出力の吸収を、駆動用3相交流電動機8の所望の目標制動トルクMBr*と駆動システム1の実際値とに依存して制御および/または調節することができるように構成されている。監視および制御装置27は、このために中間回路電圧UZの極性、中間回路電圧UZの高さ、中間回路電流IZ、電動機回転数nおよび電動機電圧UMのうちの少なくとも1つを検出して評価し、それからスイッチ23のための制御信号を発生するので、要求に即したおよび/または駆動システム1の動作点に依存した有効制動出力の変化もしくは調整を、例えば、(図7および図8に関連して説明した)制動抵抗器21の投入および/または切離しによって行なうことができる。
【0061】
スイッチ23については、遮断可能である又は遮断可能でないパワー半導体スイッチを、例えば模範的に図9および図10に図示したように使用するならば格別に有利である。
【0062】
エネルギー吸収装置20は、制動出力の吸収の図示された段階的変更のほかに、エネルギー吸収器として無段階に変化可能なエネルギー吸収器、例えば無段階可変抵抗器を使用することによって、無段階にて実施することもできる。
【符号の説明】
【0063】
1 駆動システム
2 直流電流中間回路形電力変換装置
3 系統側変換器
4 電動機側変換器
5 直流電流中間回路
6 変圧器
7 交流電圧系統
8 駆動用3相交流電動機
9 導体
10 導体
11 直流平滑リアクトル
20 エネルギー吸収装置
21 電気抵抗器
22 ダイオード
23 スイッチ
24 フリーホイールダイオード
25 遮断可能である可制御パワー半導体スイッチ(IGBT)
26 遮断可能でない可制御パワー半導体スイッチ(サイリスタ)
27 監視および制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による孤立交流電圧系統を有する設備、特に船舶又は海上プラットホームのための駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
直流電流中間回路を有する電力変換装置(「負荷転流形インバータ」(LCI)とも言う)は、頻繁に使用される比較的簡単な駆動システム用の電力変換回路である。このような電力変換装置は系統側変換器と電動機側変換器とを含む。系統側変換器は入力側を交流電圧系統に、出力側を直流電流中間回路に接続されている。電動機側変換器は入力側を直流電流中間回路に、出力側を駆動用3相交流電動機に接続されている。できるだけ理想的に平滑された一定の中間回路電流が流れるように、直流電流中間回路内には一般に、中間回路電流のためのエネルギー蓄積器として用いられるリアクトルが接続されている。
【0003】
この種の電力変換装置は、大出力の同期機を備えた駆動装置に非常に頻繁に使用され、両回転方向における駆動用3相交流電動機の4象限動作(即ち、電動機動作および発電機動作)のための簡単な可能性を提供する。
【0004】
電動機動作時には(即ち、「力行」時には)、駆動用3相交流電動機が電力変換装置を介して電気エネルギーを交流電圧系統から摂取する。その際に系統側変換器が整流器動作にて作用し、電動機側変換器がインバータ動作にて作用する。
【0005】
発電機動作時には(即ち、「制動」時には)、駆動用3相交流電動機が電気エネルギーを発生し、これを電力変換装置を介して交流電圧系統に引き渡す。その際に系統側変換器がインバータ動作にて作用し、電動機側変換器が整流器動作にて作用する。
【0006】
直流電流中間回路を有する電力変換装置は、特に同期機との組み合わせで、電気式船舶駆動装置(推進用主駆動装置)のために非常に頻繁に使用される。これは、とりわけ1桁又は2桁のメガワット範囲の大きな駆動出力の場合に当てはまる。
【0007】
船舶駆動装置において、特に固定翼を有するプロペラ(「固定プロペラ」)が使用される場合には、プロペラにブレーキをかけてプロペラ回転方向を反転することを可能にするために、4象限もしくは2象限での発電機動作が放棄できない。その理由は、移動する船が、流れる水を通過するいわゆる「移動負荷」であるということにある。
【0008】
直流電流中間回路を有する電力変換装置を備えた船舶駆動装置の場合、発電機動作時に自由になるエネルギーが通常は電力変換装置を介して系統に回生される。船の制動過程では、このエネルギーが2桁又は3桁のメガジュール範囲にあり、制動時間が一般に約10〜60秒の範囲にある。
【0009】
船内電気系統が小さないわゆる「ホテル負荷」だけを持つ船、即ち電気式主駆動設備が遥かに大きな電気負荷である船にとっては、船内電気系統へのエネルギー回生が、しばしば望ましくないか、又は必要な出力でもって実行できないか、少なくともいずれか一方である。何故ならば、この場合に船内電気系統の電圧に関して、エネルギー回生によって望ましくない又は許容できない電圧上昇および/または周波数上昇が発生するからである。この問題は原則的に孤立交流電圧系統において発生し得る。何故ならば、まさに孤立系統においては電気負荷の個数およびそれにともなう回生エネルギーに対する系統の受容能力がしばしば限定されているからである。
【0010】
まだ出願公開されていない本出願人による特許文献1に記載されている解決策においては、船の交流電圧系統の電圧における望ましくない又は許容されない電圧上昇および/または周波数上昇が、一時的にその系統に投入される制動抵抗器において回生エネルギーを熱に変換することによって回避される。従って、制動抵抗器によって付加的な負荷が船内電気系統に接続されるが、しかし船内電気系統への本来のエネルギー回生自体は妨げられない。この場合には制動抵抗器をその都度投入および遮断することにより、電力収支の跳躍的な変化が発生し、それによって発電機制御の動特性に対する要求が高くなる。
【0011】
直流電流中間回路の代わりに直流電圧中間回路を有する電力変換装置を備えた駆動システムに関しては、直流電圧中間回路内に配置されている制動抵抗器を備えた回路が既に知られている。一般に、このような解決策は、系統側変換器がダイオード整流器として実施され、従って交流電圧系統へのエネルギー回生を行なうことができない場合に使用される。しかし、この種の解決策は、直流電圧中間回路と直流電流中間回路との間における本質的な機能的相違のために、直流電流中間回路を有する電力変換装置に容易には転用できない。
【0012】
特許文献2から、駆動用3相交流電動機が電力変換装置の介在なしに直接に系統に接続されている船舶駆動システムが知られている。電動機は発電機動作時に切換器により系統から電気的に分離され、制動抵抗器に接続される。
【0013】
特許文献3から、同様に駆動用3相交流電動機が電力変換装置の介在なしに直接に系統に接続されている船舶駆動システムが知られている。互いに影響を及ぼさない複数の3相巻線系および励磁巻線系を備えた電動機が使用される。制動のために使用される3相巻線系は電動機動作時に不動作であり、即ち当該巻線系には電動機動作時に電圧が誘起されない。制動のために適切な励磁電流の供給によってこの3相巻線系に電圧が誘起され、それによって当該3相巻線系に接続されている制動抵抗器を通して駆動装置にブレーキをかける電流が流れ得る。
【0014】
従って、両解決策は、交流電圧系統において直接的に運転される船舶駆動用3交流相電動機にブレーキをかけるための異なる可能性を示している。従って、両解決策は、電力変換装置により給電される、特に電流中間回路を有する電力変換装置により給電される駆動用3相交流電動機に容易には転用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】欧州特許出願第07022733.1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第749817号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第870725号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
これから出発して、本発明の課題は、請求項1の前文による駆動システムについて、孤立交流電圧系統における望ましくない又は許容できない電圧上昇および/または周波数上昇を回避できる可能性を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この課題の解決は、請求項1の特徴事項を有する駆動システムによって達成される。有利な実施態様はそれぞれ従属請求項の対象である。
【0018】
本発明は、既に孤立交流電圧系統自体へのエネルギー回生が少なくとも部分的に回避されるならば、船内電気系統における望ましくない又は許容できない電圧上昇および/または周波数上昇が回避可能であるという考えから出発している。系統側変換器および電動機側変換器は、それらの制御および調節を介して、確かにエネルギーが系統へ回生されないように動作させることができるが、しかしその際に、発電機動作時に発生するエネルギー(船の場合にはプロペラのブレーキ時に物理的に条件付けられて発生する制動エネルギー)が他の方法で減衰させられなければならない。
【0019】
それゆえに、本発明によれば、駆動システムが、中間回路内に配置されたエネルギー吸収装置を有し、このエネルギー吸収装置は、駆動用3相交流電動機が発電機動作時に発生して電動機側変換器を介して中間回路に与える電気エネルギーの少なくとも一部を吸収するための少なくとも1つのエネルギー吸収器を含む。エネルギー吸収器は、好ましくは、電気エネルギーを熱に変換する少なくとも1つの抵抗器からなる。しかし、発電機動作時に発生した電気エネルギーを適切なエネルギー蓄積器、例えば大電力コンデンサ又はフライホイールに中間蓄積して設備内で他に利用することが考えられ得る。エネルギー吸収装置が複数のエネルギー吸収器を含む場合、これらが例えば互いに並列および/または直列に接続されるとよい。
【0020】
従って、回生されるエネルギーは、少なくとも部分的に既に変換器の中間回路において吸収されるので、そのエネルギーは先ずは系統に全く達し得ない。回生されるエネルギーは、その全部が中間回路において吸収可能であるか、又は、しかし系統に接続されている負荷における発電機動作時に状況次第で存在するエネルギー吸収能力に依存した分担分を吸収可能である。
【0021】
本発明によれば、少なくとも1つのエネルギー吸収器がエネルギー吸収装置によって少なくとも中間回路電圧の極性に依存して作動可能である。このような作動状態は、例えば中間回路へのエネルギー吸収器の投入時に存在し得る。
【0022】
考察の基礎をなしているのは、駆動用3相交流電動機の電動機動作時に直流電流中間回路において変換される電力PZには、一般に、
PZ,motorisch=UZ・IZ>0 (式1)
が当てはまらなければならないことである。
【0023】
従って、発電機動作時に中間回路における電力PZには、
PZ,generatorisch=UZ・IZ<0 (式2)
が当てはまらなければならない。
【0024】
直流電流中間回路を有する電力変換装置の主たる特徴は、中間回路電流IZの電流方向が原理的な制約により反転できないことにある。従って、電動機動作であるか又は発電機動作であるかに関係なく、電流の符号は変化しない(ここでは、+1とする)。それゆえ、数学的に表現するならば、
Sign[IZ,motorisch]=Sign[IZ,generatorisch]=一定=+1 (式3)
となる。
【0025】
それゆえ、発電機動作時の中間回路電力を負にすること、即ち零より小さくすることを可能にするためには、中間回路電圧UZの極性が発電機動作に関しては逆にならなければならない。即ち、
電動機動作: Sign[UZ,motorisch]=+1 (式4)
発電機動作: Sign[UZ,generatorisch]=−1 (式5)
である。
【0026】
従って、中間回路電圧の極性は駆動用3相交流電動機の動作様式に関する指標であり、エネルギー吸収器を発電機動作時には動作させ電動機動作時には動作させないようにするために的確に利用することができる。
【0027】
発電機動作時に存在する中間回路電圧の極性の場合にエネルギー吸収器を作動させることは、エネルギー吸収装置がエネルギー吸収器に直列に接続されたダイオードを含むことによって格別に簡単に実現できる。このダイオードの極性は、そのダイオードが、発電機動作時に存在する中間回路電圧の極性の場合に導通状態となり、電動機動作時に存在する中間回路電圧の極性の場合には阻止状態となるように定められている。複数のエネルギー吸収器が直列接続される場合、この直列接続回路に直列接続された唯一のダイオード、従って全てのエネルギー吸収器に共通なダイオードで十分である。複数のエネルギー吸収器が並列接続される場合、この並列接続回路全体に直列接続された共通のダイオードで十分である。しかし、各エネルギー吸収器のためにそれぞれ1つの専用のダイオードが存在してもよい。
【0028】
代替として、エネルギー吸収装置は、ダイオードの代わりに、エネルギー吸収器に直列接続された可制御のパワーエレクトロニクス半導体スイッチを含むことができる。この半導体スイッチの極性は、その半導体スイッチが、発電機動作時に存在する中間回路電圧の極性の場合に導通状態に切換可能であり、電動機動作時に存在する中間回路電圧の極性の場合には阻止状態となるように定められている。それゆえ、エネルギー吸収器は的確に中間回路に投入することができ、それによって回生エネルギーが中間回路において吸収されるもしくは系統に供給される時点、従って割合を能動的に制御することができる。このためにパワーエレクトロニクス半導体スイッチは逆方向阻止形パワー半導体素子、特にサイリスタとして構成されていると好ましい。複数のエネルギー吸収器が直列接続されている場合、同様に、この直列接続回路に直列接続された唯一の半導体スイッチ、つまりエネルギー吸収器の全てに共通な半導体スイッチで十分である。複数のエネルギー吸収器が並列接続されている場合、この並列接続回路に直列接続された1つの共通な半導体スイッチで十分である。しかし、各エネルギー吸収器のために、各エネルギー吸収器に直列接続されたそれぞれ専用の1つの半導体スイッチが存在していてもよい。
【0029】
格別に有利な実施態様によれば、エネルギー吸収装置が駆動用3相交流電動機の電気制動出力の吸収に関して可変に構成されている。電気制動出力の吸収は駆動用3相交流電動機の状況に応じて要求される制動トルクの高さに依存して調整可能であるとよい。
【0030】
電気制動出力の吸収を変化させるためには、エネルギー吸収装置が、エネルギー吸収器の少なくとも一部について、各エネルギー吸収器に直列又は並列に接続されたそれぞれ1つのスイッチを含むとよい。これによって、複数のエネルギー吸収器、好ましくは複数の抵抗器の投入および/または切離しが可能であり、それゆえ駆動用3相交流電動機の発電機動作時にエネルギーおよび電力吸収およびそれにともなう駆動用3相交流電動機の制動トルクを段階的に変化させることができる。エネルギー吸収装置は、例えば、並列接続された複数のエネルギー吸収器と該エネルギー吸収器のそれぞれに直列に接続されたスイッチとを含むか、又は直列接続された複数のエネルギー吸収器と該エネルギー吸収器のそれぞれに並列に接続されたスイッチとを含むとよい。
【0031】
1つ又は複数のスイッチがパワーエレクトロニクス半導体スイッチとして構成されていると好ましい。この場合に遮断可能な半導体スイッチを使用することができ、あるいは遮断可能でない半導体スイッチを使用することもできる。半導体スイッチが阻止電圧を受け入れ得ない場合、この半導体スイッチにこの阻止電圧を受け入れ得るダイオードを直列接続すると好ましい。
【0032】
パワーエレクトロニクス半導体スイッチが逆方向阻止形パワー半導体素子、特にサイリスタとして構成されている場合、少なくとも1つのエネルギー吸収器に直列接続されたダイオードを省略することができる。何故ならば、逆方向阻止形パワー半導体素子が同時にダイオードの機能を引き受けるからである。
【0033】
代替又は補足として、駆動用3相交流電動機の電気制動出力の吸収を変化させるために、少なくとも1つのエネルギー吸収器が連続的に変化可能な抵抗器として構成されているとよい。これによって駆動用3相交流電動機の電気制動出力の吸収およびこれにともなう駆動用3相交流電動機の制動トルクを無段階に変化させることができる。
【0034】
格別に有利な実施態様によれば、駆動システムは、駆動用3相交流電動機の所望の目標制動トルクと駆動システムの実際値とに依存してエネルギー吸収装置によって駆動用3相交流電動機の電気制動出力の吸収を制御および/または調節するための監視および制御装置を含む。これらの実際値は、例えば、
中間回路電圧の極性および/または
中間回路電圧の高さおよび/または
中間回路電流および/または
電動機回転数および/または
電動機電圧および/または
電動機電流
の値である。
【0035】
本発明は、駆動用3相交流電動機が1桁または複数桁のメガワット範囲の出力を有する場合に、格別に有利に使用することができる。
【0036】
エネルギー吸収装置によって吸収されたエネルギーは、別方面に、例えば室内空気、暖房水、雑用水を加熱するために使用してもよい。更に、追加又は代替として、特に高出力範囲の駆動装置の場合に、このエネルギーが蓄積されると格別に有利であることが判明した。これは、例えば電気的なエネルギー蓄積装置(例えばコンデンサ)、電気化学的なエネルギー蓄積装置(例えば蓄電池)、機械的なエネルギー蓄積装置(フライホイール蓄積装置)又は熱的蓄積装置(例えば温水蓄積装置)において行なうことができる。このためには、少なくとも1つのエネルギー吸収器を、電気抵抗器として構成する代わりに、エネルギー蓄積装置として、特に大電力コンデンサバッテリー又は電気化学的バッテリー(蓄電池)又はフライホイール蓄積装置として構成するとよい。
【0037】
以下において本発明ならびに従属請求項の特徴による本発明の他の有利な実施態様を図中の実施例に基づいて更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は従来技術から公知の第1の駆動システムを示す。
【図2】図2は従来技術から公知の第2の駆動システムを示す。
【図3】図3は船舶駆動装置の4つの回転数−トルク象限についての回転数−トルク特性曲線図を簡略して示す。
【図4】図4は電動機動作時および発電機動作時の中間回路電圧の表示を有する図2の駆動システムを示す。
【図5】図5は本発明による駆動システムの第1の実施例を示す。
【図6】図6は本発明による駆動システムの第2の実施例を示す。
【図7】図7は本発明による駆動システムの第3の実施例を示す。
【図8】図8は本発明による駆動システムの第4の実施例を示す。
【図9】図9は本発明による駆動システムの第5の実施例を示す。
【図10】図10は本発明による駆動システムの第6の実施例を示す。
【図11】図11は本発明による駆動システムの第7の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1に示された従来技術から公知の船舶駆動システム1は直流電流中間回路形電力変換装置2を含み、この電力変換装置2はここでも系統側変換器3と電動機側変換器4とを含む。系統側変換器3は、入力側を変圧器6を介して交流電圧系統7に、出力側を直流電流中間回路5に接続されている。電動機側変換器4は、入力側を直流電流中間回路5に、出力側を駆動用3相交流電動機8に接続されている。変換器3および4はそれぞれ多数の変換器弁を含み、これらの変換器弁はパワーエレクトロニクス半導体スイッチとして構成されている。
【0040】
直流電流中間回路5は2つの導体9,10を含み、導体9中には直流平滑リアクトル11が接続され、この直流平滑リアクトル11は中間回路電流IZのためのエネルギー蓄積器として用いられ、従って(リアクトル11のインダクタンスが無限に大きい)理想的な場合に理想的に平滑された一定の中間回路電流IZが流れる。この場合に中間回路電流IZの電流方向は原理的な制約によって反転することができない。何故ならば、その電流方向は系統側および電動機側変換器3,4内における一般にサイリスタである半導体スイッチによって不変に予め定められているからである。
【0041】
図2に示されているように、大電力用の系統側変換器3は、高調波−系統反作用を低減するために、しばしば12パルス(又は更に高いパルス数)の接続構成で実施される。電動機側変換器4は、たいてい6パルスのみの接続構成で実施される。更に、非常に大きい電力の場合か冗長性が要求される場合かの少なくともいずれか一方の場合には、複数の電力変換装置の使用によって、電動機の給電が複数の3相巻線系により行なわれる(図示されていない)。
【0042】
両変換器3,4の調節および制御は、いわゆる「変換器近傍の制御および調節」によって、設定された電動機目標トルクに依存して行なわれるのが普通である。目標トルクの設定は、一般に、上位に置かれた回転数調節系によって行なわれる。必要な制御および調節の構成要素も図示されていない。
【0043】
3相交流電動機は、例えば、船舶の推進用主駆動装置として使用される1桁又は2桁のメガワット範囲の出力を有する同期機である。
【0044】
船舶駆動装置としての前述の用途に関しては、回転数−トルク線図の4つの象限が図3に示されているように極めて簡略化された形で描くことができる(いわゆる「ロビンソン曲線」の簡略図)。特に、固定翼を有するプロペラ(「固定プロペラ」)が使用される場合、プロペラにブレーキをかけてプロペラ回転方向を反転することを可能にするために、象限IVもしくはIIにおける発電機動作が放棄できない。その理由は、移動する船が、流れる水を通過するいわゆる「移動負荷」であることにある。該当する曲線部分が図3に実線で示され、参照符号12を付されている。
【0045】
図4は、図2の駆動システムの場合について、3相交流電動機8の電動機動作および発電機動作に関する中間回路電圧UZの異なる極性を示す。参照符号13で示された矢印は電動機動作時における中間回路電圧UZの極性を示し、その逆に向けられた参照符号14で示された矢印は発電機動作時における中間回路電圧UZの極性を示す。
【0046】
図5に示されている本発明による駆動システム1は、図2に示された駆動システムと同じ構成要素を有すると共に、付加的に直流電流中間回路5内に配置されたエネルギー吸収装置20を有する。エネルギー吸収装置20は直流電流中間回路5の両導体9,10間に接続されている。エネルギー吸収装置20は、駆動用3相交流電動機8が発電機動作時に発生して電動機側変換器4を介して中間回路5に与える電気エネルギーを受け入れるエネルギー吸収器としての電気抵抗器21を含む。エネルギー吸収装置20は、もちろん、エネルギー吸収器として、唯一の抵抗器21のみの代わりに、直列および/または並列に接続された複数の抵抗器又はエネルギー蓄積装置も含み得る。
【0047】
図5に示された例において、電気抵抗器21は、船舶のブレーキ過程において3相駆動機8が発電機動作中に発生する全エネルギーを電気抵抗器21によって吸収できるように設計されている。
【0048】
更にエネルギー吸収装置20は抵抗器21に直列に接続されたダイオード22を含んでいる。このダイオード22の極性は、そのダイオード22が、発電機動作時に存在する矢印14で示された中間回路電圧UZの極性の際に導通状態となり、電動機動作時に存在する矢印13で示された中間回路電圧UZの極性の際に阻止状態となるように定められている。電流は、ダイオード22が導通している場合にだけ、即ち制動動作(発電機動作)に対応する中間回路電圧UZが印加されている場合にだけ、抵抗器21を通して流れる。これは、図5において導体9が負電位、導体10が正電位を有する場合である。図5において、電動機動作については中間回路電流IZ、即ち駆動電流の方向が点線15で示され、発電機動作については中間回路電流IZ、即ち制動電流の方向が破線16で示されている。
【0049】
制動動作時に系統側変換器3は不動作状態にされ、この不動作状態ではこの変換器の弁の点弧パルスが阻止されるので、中間回路5から変換器3を介して系統7へ回生電力が流れ得ない。
【0050】
図6に示されている駆動システム1の場合、エネルギー吸収装置20が付加的に抵抗器21およびダイオード22に接続されたスイッチ23を含み、従って「制動抵抗器による制動」の機能を必要な場合に投入し、あるいは切り離すことができる。抵抗器21(および場合によっては電気接続線)の寄生インダクタンスに蓄積されるエネルギーが制動電流の遮断時にスイッチ23の許容できない高い負担を生じないようにするために、抵抗器21に並列にいわゆるフリーホイールダイオード24を接続するのも得策である。
【0051】
図7に示されている駆動システム1の場合、エネルギー吸収装置20は、互いに並列接続された複数の抵抗器21を含み、各抵抗器21はそれぞれ1つの直列接続されたスイッチ23を備えている。付加的に各抵抗器21にはそれぞれ1つのフリーホイールダイオード24が並列接続されている。従って、駆動用3相交流電動機8の発電機動作時に、これらの抵抗器21の投入又は切離しによって、制動出力の吸収を段階的に変化させ、従って状況に応じて必要とされる制動トルクに適合させることができる。この解決策の利点は、それぞれの有効な制動抵抗を実際の電動機回転数に適合させ得ることにある。さもなければ、変化できない制動抵抗により、制動時に電動機に誘起され回転数低下にともなって低下する電動機電圧が、同様に低下する制動電流、従って小さくなる制動トルクを生じさせることになる。
【0052】
図8に示されているように、エネルギー吸収装置20は、直列接続された複数の抵抗器21を有してもよい。この場合に、それらの抵抗器21のうちの幾つか又は全てが、それぞれ1つの並列接続されたスイッチ23を含み、各スイッチ23は該当抵抗器21を橋絡するために用いられる。付加的に各抵抗器21にはそれぞれ1つのフリーホイールダイオード24が並列接続されている。スイッチ23の開閉によって単一の又は複数の抵抗器21を橋絡することができるので、制動出力の吸収を同様に必要な制動トルクに依存して制御および/または調節することができる。
【0053】
図7もしくは図8に示されている有効な制動抵抗の変化又は制御のための、従って駆動用3相交流電動機8の制動出力の吸収の変化又は制御のための可能性は、択一的に又は(図示していないが)互いに組み合わせて使用することができる。
【0054】
1つ又は複数のスイッチ23は、遮断可能である又は遮断可能でないパワーエレクトロニクス半導体スイッチ(以下、パワー半導体スイッチと呼ぶ)として構成することができる。図9は、このために図6の実施例の場合について、有利な態様でスイッチ23の構成を、IGBTからなる遮断可能な可制御パワー半導体スイッチ25として示す。
【0055】
パワー半導体スイッチとして逆方向阻止形パワー半導体スイッチを使用する場合、エネルギー吸収を作動させるために、抵抗器に直列接続していたダイオードが省略できる。図10は、このために図6の実施例の場合について、ダイオード22の代わりに、抵抗器21に直列接続された逆方向阻止形の可制御パワー半導体スイッチが使用されることを示し、図10では、この逆方向阻止形の可制御パワー半導体スイッチがサイリスタ26として示されている。
【0056】
従って、逆方向阻止形パワー半導体スイッチはこの使用に非常に適している。何故ならば、逆方向阻止形パワー半導体スイッチは阻止電圧もブロッキング電圧も受け入れることができ、即ちこのようなパワー半導体スイッチ26は図6および図7に示されているようなダイオード22の機能も引き受けることができるからである。
【0057】
逆方向阻止形パワー半導体スイッチ(図10ではサイリスタ26)の極性は、このパワー半導体スイッチ(サイリスタ26)が、発電機動作時に存在する中間回路電圧の極性の場合には導通状態に切換可能であり、電動機動作時に存在する中間回路電圧UZの極性の場合には阻止状態になるように定められている。
【0058】
サイリスタは遮断可能なパワーエレクトロニクス素子ではないので、サイリスタ26が一旦制御(「点弧」)された後は、電流が零通過するに到るまでの間、制動電流が抵抗器21を通して流れる。電流が零通過するのは、抵抗器21において発生する制動エネルギーが殆ど完全に減衰する場合か、又は電力変換装置2が再び電動機動作に移行させられることによってサイリスタ26がその際に生じる中間回路電圧UZの際に再び阻止状態となる場合である。
【0059】
スイッチ23としての遮断可能な可制御パワー半導体スイッチ(例えばIGBT、IGCT)および遮断可能でない可制御パワー半導体スイッチ(例えば、サイリスタ)は択一的に、又は互いに組み合わせて(図示せず)使用される。
【0060】
更に、図11に示されているように、駆動システムが次のように構成されている監視および制御装置27を含んでいるならば更に格別に有利である。即ち、監視および制御装置27は、エネルギー吸収装置20による駆動用3相交流電動機8の電気制動出力の吸収を、駆動用3相交流電動機8の所望の目標制動トルクMBr*と駆動システム1の実際値とに依存して制御および/または調節することができるように構成されている。監視および制御装置27は、このために中間回路電圧UZの極性、中間回路電圧UZの高さ、中間回路電流IZ、電動機回転数nおよび電動機電圧UMのうちの少なくとも1つを検出して評価し、それからスイッチ23のための制御信号を発生するので、要求に即したおよび/または駆動システム1の動作点に依存した有効制動出力の変化もしくは調整を、例えば、(図7および図8に関連して説明した)制動抵抗器21の投入および/または切離しによって行なうことができる。
【0061】
スイッチ23については、遮断可能である又は遮断可能でないパワー半導体スイッチを、例えば模範的に図9および図10に図示したように使用するならば格別に有利である。
【0062】
エネルギー吸収装置20は、制動出力の吸収の図示された段階的変更のほかに、エネルギー吸収器として無段階に変化可能なエネルギー吸収器、例えば無段階可変抵抗器を使用することによって、無段階にて実施することもできる。
【符号の説明】
【0063】
1 駆動システム
2 直流電流中間回路形電力変換装置
3 系統側変換器
4 電動機側変換器
5 直流電流中間回路
6 変圧器
7 交流電圧系統
8 駆動用3相交流電動機
9 導体
10 導体
11 直流平滑リアクトル
20 エネルギー吸収装置
21 電気抵抗器
22 ダイオード
23 スイッチ
24 フリーホイールダイオード
25 遮断可能である可制御パワー半導体スイッチ(IGBT)
26 遮断可能でない可制御パワー半導体スイッチ(サイリスタ)
27 監視および制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
孤立交流電圧系統(7)を有する設備のための、特に船舶又は海上プラットホームのための駆動システム(1)であって、
電動機としても発電機としても動作可能である駆動用3相交流電動機(8)と、
中間回路電圧(UZ)を有する直流電流中間回路(5)を備えた電力変換装置(2)とを備え、
電力変換装置(2)が系統側変換器(3)と電動機側変換器(4)とを含み、系統側変換器(3)が入力側を孤立交流電圧系統(7)に接続可能であり、出力側を直流電流中間回路(5)に接続され、電動機側変換器(4)が入力側を直流電流中間回路(5)に、出力側を駆動用3相交流電動機(8)に接続され、
駆動用3相交流電動機(8)が電動機動作時に電力変換装置(2)を介して電気エネルギーを孤立交流電圧系統(7)から摂取し、発電機動作時に電気エネルギーを発生して電動機側変換器(4)を介して中間回路(5)に与える駆動システム(1)において、
駆動用3相交流電動機(8)が発電機動作時に発生して電動機側変換器(4)を介して中間回路(5)に与える電気エネルギーの少なくとも一部を吸収するために、少なくとも1つのエネルギー吸収器(21)、好ましくは少なくとも1つの抵抗器からなるエネルギー吸収器(21)を有するエネルギー吸収装置(20)が中間回路(5)内に配置され、少なくとも1つのエネルギー吸収器(21)がエネルギー吸収装置(20)によって少なくとも中間回路電圧(UZ)の極性に依存して作動可能であることを特徴とする駆動システム(1)。
【請求項2】
エネルギー吸収装置(20)が、少なくとも1つのエネルギー吸収器(21)を作動させるために、そのエネルギー吸収器(21)に直列に接続されたダイオード(22)を含み、このダイオード(22)の極性は、そのダイオード(22)が、発電機動作時に存在する中間回路電圧(UZ)の極性の場合に導通状態にあり、電動機動作時に存在する中間回路電圧(UZ)の極性の場合に阻止状態にあるように定められていることを特徴とする請求項1記載の駆動システム(1)。
【請求項3】
エネルギー吸収装置(20)が、少なくとも1つのエネルギー吸収器(21)を作動させるために、そのエネルギー吸収器(21)に直列に接続された可制御パワーエレクトロニクス半導体スイッチ(26)を含み、この半導体スイッチ(26)の極性は、該半導体スイッチ(26)が、発電機動作時に存在する中間回路電圧(UZ)の極性の場合に導通状態に切換可能であり、電動機動作時に存在する中間回路電圧(UZ)の場合に阻止状態になるように定められていることを特徴とする請求項1記載の駆動システム(1)。
【請求項4】
エネルギー吸収装置(20)が駆動用3相交流電動機(8)の電気制動出力の吸収に関して可変に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載の駆動システム(1)。
【請求項5】
エネルギー吸収装置(20)が、駆動用3相交流電動機(8)の電気制動出力の吸収を変化させるために、エネルギー吸収器(21)の少なくとも一部分について、各エネルギー吸収器(21)に対して直列又は並列に接続されたそれぞれ1つのスイッチ(23)を含むことを特徴とする請求項4記載の駆動システム(1)。
【請求項6】
1つ又は複数のスイッチ(23)がパワーエレクトロニクス半導体スイッチとして構成されていることを特徴とする請求項5記載の駆動システム(1)。
【請求項7】
パワーエレクトロニクス半導体スイッチ(26)が、逆方向阻止形パワー半導体素子、特にサイリスタとして構成されていることを特徴とする請求項3又は6記載の駆動システム(1)。
【請求項8】
駆動用3相交流電動機(8)の電気制動出力の吸収を変化させるために、エネルギー吸収器の少なくとも1つが連続的に変化可能な抵抗器として構成されていることを特徴とする請求項4乃至7の1つに記載の駆動システム(1)。
【請求項9】
駆動用3相交流電動機(8)の所望の目標制動トルク(MBr*)と駆動システム(1)の実際値とに依存してエネルギー吸収装置(20)によって駆動用3相交流電動機(8)の制動出力の吸収を制御および/または調節するための監視および制御装置(27)が設けられていることを特徴とする請求項4乃至8の1つに記載の駆動システム(1)。
【請求項10】
駆動用3相交流電動機(8)が1桁または複数桁のメガワット範囲の出力を有することを特徴とする請求項1乃至9の1つに記載の駆動システム(1)。
【請求項11】
少なくとも1つのエネルギー吸収器(21)がエネルギー蓄積装置として、特に大電力コンデンサバッテリー又は電気化学的バッテリー(蓄電池)又はフライホイール蓄積装置として構成されていることを特徴とする請求項1乃至10の1つに記載の駆動システム(1)。
【請求項1】
孤立交流電圧系統(7)を有する設備のための、特に船舶又は海上プラットホームのための駆動システム(1)であって、
電動機としても発電機としても動作可能である駆動用3相交流電動機(8)と、
中間回路電圧(UZ)を有する直流電流中間回路(5)を備えた電力変換装置(2)とを備え、
電力変換装置(2)が系統側変換器(3)と電動機側変換器(4)とを含み、系統側変換器(3)が入力側を孤立交流電圧系統(7)に接続可能であり、出力側を直流電流中間回路(5)に接続され、電動機側変換器(4)が入力側を直流電流中間回路(5)に、出力側を駆動用3相交流電動機(8)に接続され、
駆動用3相交流電動機(8)が電動機動作時に電力変換装置(2)を介して電気エネルギーを孤立交流電圧系統(7)から摂取し、発電機動作時に電気エネルギーを発生して電動機側変換器(4)を介して中間回路(5)に与える駆動システム(1)において、
駆動用3相交流電動機(8)が発電機動作時に発生して電動機側変換器(4)を介して中間回路(5)に与える電気エネルギーの少なくとも一部を吸収するために、少なくとも1つのエネルギー吸収器(21)、好ましくは少なくとも1つの抵抗器からなるエネルギー吸収器(21)を有するエネルギー吸収装置(20)が中間回路(5)内に配置され、少なくとも1つのエネルギー吸収器(21)がエネルギー吸収装置(20)によって少なくとも中間回路電圧(UZ)の極性に依存して作動可能であることを特徴とする駆動システム(1)。
【請求項2】
エネルギー吸収装置(20)が、少なくとも1つのエネルギー吸収器(21)を作動させるために、そのエネルギー吸収器(21)に直列に接続されたダイオード(22)を含み、このダイオード(22)の極性は、そのダイオード(22)が、発電機動作時に存在する中間回路電圧(UZ)の極性の場合に導通状態にあり、電動機動作時に存在する中間回路電圧(UZ)の極性の場合に阻止状態にあるように定められていることを特徴とする請求項1記載の駆動システム(1)。
【請求項3】
エネルギー吸収装置(20)が、少なくとも1つのエネルギー吸収器(21)を作動させるために、そのエネルギー吸収器(21)に直列に接続された可制御パワーエレクトロニクス半導体スイッチ(26)を含み、この半導体スイッチ(26)の極性は、該半導体スイッチ(26)が、発電機動作時に存在する中間回路電圧(UZ)の極性の場合に導通状態に切換可能であり、電動機動作時に存在する中間回路電圧(UZ)の場合に阻止状態になるように定められていることを特徴とする請求項1記載の駆動システム(1)。
【請求項4】
エネルギー吸収装置(20)が駆動用3相交流電動機(8)の電気制動出力の吸収に関して可変に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載の駆動システム(1)。
【請求項5】
エネルギー吸収装置(20)が、駆動用3相交流電動機(8)の電気制動出力の吸収を変化させるために、エネルギー吸収器(21)の少なくとも一部分について、各エネルギー吸収器(21)に対して直列又は並列に接続されたそれぞれ1つのスイッチ(23)を含むことを特徴とする請求項4記載の駆動システム(1)。
【請求項6】
1つ又は複数のスイッチ(23)がパワーエレクトロニクス半導体スイッチとして構成されていることを特徴とする請求項5記載の駆動システム(1)。
【請求項7】
パワーエレクトロニクス半導体スイッチ(26)が、逆方向阻止形パワー半導体素子、特にサイリスタとして構成されていることを特徴とする請求項3又は6記載の駆動システム(1)。
【請求項8】
駆動用3相交流電動機(8)の電気制動出力の吸収を変化させるために、エネルギー吸収器の少なくとも1つが連続的に変化可能な抵抗器として構成されていることを特徴とする請求項4乃至7の1つに記載の駆動システム(1)。
【請求項9】
駆動用3相交流電動機(8)の所望の目標制動トルク(MBr*)と駆動システム(1)の実際値とに依存してエネルギー吸収装置(20)によって駆動用3相交流電動機(8)の制動出力の吸収を制御および/または調節するための監視および制御装置(27)が設けられていることを特徴とする請求項4乃至8の1つに記載の駆動システム(1)。
【請求項10】
駆動用3相交流電動機(8)が1桁または複数桁のメガワット範囲の出力を有することを特徴とする請求項1乃至9の1つに記載の駆動システム(1)。
【請求項11】
少なくとも1つのエネルギー吸収器(21)がエネルギー蓄積装置として、特に大電力コンデンサバッテリー又は電気化学的バッテリー(蓄電池)又はフライホイール蓄積装置として構成されていることを特徴とする請求項1乃至10の1つに記載の駆動システム(1)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−523816(P2012−523816A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505126(P2012−505126)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054568
【国際公開番号】WO2010/118975
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054568
【国際公開番号】WO2010/118975
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
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