説明

安否確認システムおよび避難経路提示システム

【課題】大地震などの被災者が自宅へ向かって移動している間に自己の安否を家族に知らせ、他の家族の安否を確認できる手段を提供。
【解決手段】携帯電話機102Aの所有者の家族を特定するための連絡先電話番号と、所有者の氏名と、所有者のケガなどの状態に関するステータス情報とをZigBee端末としての携帯電話機102Aから所定の伝送距離まで送信可能である。これらの情報を受信したZigBee基地局142は、場所および日時を加えた安否情報を、専用線で構成された金融機関ネットワーク140に送信する。ゲートウェイ190を介して安否情報を受信した伝言板サーバ230は、受信した安否情報を家族毎に関連付けて記憶するとともに、要求に応じて、他の家族の安否情報を、携帯電話機102Aまで返信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大地震等の災害時における安否確認システムおよび避難経路提示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、大地震などの災害時に生じる、安否確認を求める電話発信による輻輳を抑え、より効率的に安否情報を提供する立場から、一般電話機や携帯電話機を用いて伝言を録音するサービスが存在する(非特許文献1)。これは、家族などの共通の連絡先である電話番号を電話機から入力することにより、自己の伝言を録音したり、家族の残した伝言を聞いたりすることのできるサービスである。
【0003】
また、災害時に家族が互いに安否を確認する手段として災害用ブロードバンド伝言板(Web171)も提供されている(非特許文献2)。このサービスによれば、災害発生時、携帯電話機やパソコンなど、インターネットに接続可能な手段によって伝言板サイトにアクセスし、電話番号等をキーとして伝言情報(テキストや画像等)の登録・参照が可能である。
【非特許文献1】“災害用伝言ダイヤル” 、[online]、NTT西日本、[平成18年11月13日検索]、インターネット<URL:http://www.ntt-west.co.jp/dengon/>
【非特許文献2】“災害用ブロードバンド伝言板(web171)|ご利用方法(登録)”、[online]、NTT西日本、[平成18年11月13日検索]、インターネット<URL:http://www.ntt-west.co.jp/dengon/web171/howto_1.html>
【非特許文献3】“災害時の安否確認をどう解決するか”、[online]、平成9年1月、日本総研、[平成18年11月13日検索]、インターネット<URL:http://www.jri.co.jp/JRR/1997/01/op-safety.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、災害時には、伝言板などの安否登録サービスが稼動していても、ネットワーク損壊や輻輳のため、サービスにアクセスするコミュニケーション手段が失われることが予想される。とりわけ、避難所など、避難途上にある多くの被災者が集まる場所に、安否情報を扱える仕組みがないことは大きな問題であり、避難途上にある者は、自己の安否を家族等に知らせたり家族等の安否を確認したりしたいと最も切望しているときに、それが不可能なのが現状である。
【0005】
コミュニケーション手段が失われる理由について、以下、説明すると、まず、音声チャネルによる安否確認を行う伝言録音サービスは、災害時の電話回線の輻輳によって、それ自体、利用が困難になるおそれがある。
【0006】
また、携帯電話機等によってインターネットに接続して安否を確認する伝言板サービスも、利用不能となる可能性が高い。その第1の理由は通信路や基地局の物理的損壊であり、第2の理由はアクセス集中による輻輳である。
【0007】
とりわけ、人口が集中している時間帯の都心が被災地となった場合には、大勢の被災者が帰宅しようとして混雑状態になることが予想される。そして被災者は自己の安否の通知、および家族の安否の確認を行うものとみられる。その結果、被災地の基地局は、たとえ倒壊などの物理的被害を免れていたとしても、許容量を超えるアクセスが集中し、輻輳状態に陥ってアクセス不能になる可能性が高い。
【0008】
アクセスの集中は基地局に対してだけでなく、伝言板サービスを提供しているWebサーバに対しても生じると考えられる。したがって、インターネットに接続できたとしても、上記Webサーバへの入口で輻輳が生じ、安否情報の登録が困難になるおそれがある。
【0009】
一方、銀行などの金融機関のネットワークは強靭であることが経験的に知られていて(非特許文献3)、しかも金融機関の支店などの拠点は、避難途上の被災者にとって分かりやすい場所にある。そこで、そのネットワークを利用して、被災者の安否情報を入力する手段を提供することが考えられる。
【0010】
しかし、一人一人の安否情報の入力に時間がかかり、被災者が長蛇の列をなすような手段では、実用性がない。また、かかる安否登録手段は、普段は利用されないものでありながら、災害時には誰もが利用可能で、操作も容易でないと、混雑が増すばかりである。
【0011】
また、徒歩での帰宅に慣れていない被災者は、震災等によって通行不能となる可能性の高い経路などの情報に疎いため、適切な避難経路へ誘導する必要がある。
【0012】
本発明は以上のような課題に鑑み、被災者が自宅へ向かって移動している間など、大勢の被災者の安否情報を扱う手段のなかった避難途上において利用でき、予め知りうる、あるいは避難途上でも明示的に分かる拠点に行くことで利用でき、携帯電話機や銀行カードなどの普段から携帯している機器を用いて利用でき、しかも効率的に安否情報をセンスして混雑を招かない安否確認システムを提供し、徒歩で帰宅する避難者を適切な避難経路へ誘導する避難経路提示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による安否確認システムは、上述の課題を解決するために、所有者の個人情報を所定の伝送距離まで無線送信可能な無線端末と、無線端末から個人情報を受信し、受信した個人情報に場所および日時を加えた安否情報を生成する無線基地局と、複数の無線基地局から専用ネットワークを介して到来する安否情報を保存し、保存した安否情報をさらにネットワークを介して送信するゲートウェイと、ゲートウェイから受信した安否情報を記憶する安否情報記憶手段とを含むことを特徴とする。
【0014】
このように無線方式によるため、被災者は基地局の周辺の伝送可能領域まで移動しさえすれば、行列に並ぶことなく、自己の安否情報を登録可能である。また安否情報は、災害時にも強靭なネットワークを用いて送信されるため、システムの信頼性が高い。
【0015】
上記無線端末は、所有者の状態を示すステータス情報を入力させる入力手段を有し、入力されたステータス情報をも、所定の伝送距離まで送信し、無線基地局は、ステータス情報を受信し、受信したステータス情報を安否情報に加えてよい。
【0016】
これにより、被災者が生存していることだけでなく、元気であるか、ケガしているか、などの状態をも登録できる。
【0017】
上記無線端末は、所有者が属する1つ以上のグループ情報をも、所定の伝送距離まで送信し、無線基地局は、1つ以上のグループ情報を受信し、受信した1つ以上のグループ情報を安否情報に加え、安否情報記憶手段は、安否情報をグループ情報毎に関連付けて記憶してよい。
【0018】
これにより、安否情報は、被災者が属する家族や職場などのグループ単位に整理されて記憶されることとなり、安否情報を参照したいとの要求がグループのメンバから到来した場合に、同メンバの安否情報を抽出可能である。
【0019】
上記ゲートウェイまたは無線基地局は、安否情報の登録の受付が正常に行われると、無線端末に返信を行ってよい。これにより、被災者は自己の安否情報が正常に受け付けられたことを確認でき、安心できる。
【0020】
上記無線端末は、返信を受けた後は、所定の時間にわたって、重複する無線送信を無線送信不能としてよい。これにより、被災者が繰り返し安否情報を送信することによる無線基地局以遠の輻輳を防止する。
【0021】
また本発明による安否確認システムは、人の個人情報を入力可能な入力手段と、入力された個人情報を所定の伝送距離まで無線送信可能な無線端末と、無線端末から個人情報を受信し、受信した個人情報に場所および日時を加えた安否情報を生成する無線基地局と、複数の無線基地局から専用ネットワークを介して到来する安否情報を保存し、保存した安否情報をさらにネットワークを介して送信するゲートウェイと、ゲートウェイから受信した安否情報を記憶する安否情報記憶手段とを含むことを特徴とする。
【0022】
これにより、無線端末を有していない他者が近辺にいた場合、当該他者の情報を、代わりに、後述する伝言板サーバに登録してやる機能を、付加してもよい。
【0023】
以上に説明したものに加えて、本発明による安否確認システムは、以下の構成を有してもよい。すなわち、発行元の機関に固有の機関ID、および、機関内でのみ所有者の個人情報に変換可能な個人IDを保持するICタグが添付されたカードと、ICタグから非接触式に機関IDおよび個人IDを読み取り可能であり、読み取った機関IDおよび個人IDを所定の伝送距離まで無線送信可能なカードリーダと、カードリーダから機関IDおよび個人IDを受信し、受信した機関IDおよび個人IDに場所および日時を加えた安否情報を生成する無線基地局と、複数の無線基地局から専用ネットワークを介して到来する安否情報を保存し、保存した安否情報をさらにネットワークを介して送信するゲートウェイと、送信された安否情報に含まれる機関IDに対応する機関に所属していて、安否情報を受信し、受信した安否情報に含まれる個人IDを個人情報に変換した新たな安否情報を作成してさらにネットワークを介して送信する、機関に所属する機関サーバと、機関サーバから受信した安否情報を記憶する安否情報記憶手段とを含むことを特徴とする。
【0024】
このように非接触式で読み取られるカードを用いる場合には、被災者は基地局の周辺の伝送可能領域まで移動し、カードリーダにカードをかざすだけで、スムーズに自己の安否情報を登録可能である。また安否情報は、災害時にも強靭なネットワークを用いて送信されるため、システムの信頼性が高い。
【0025】
また、本発明による安否確認システムは、以下の構成を有してもよい。すなわち、発行元の機関に固有の機関ID、および、機関内で所有者の個人情報に変換可能な個人IDを保持する磁気カードと、磁気カードから接触式に機関IDおよび個人IDを読み取り可能であり、読み取った機関IDおよび個人IDを所定の伝送距離まで無線送信可能なカードリーダと、カードリーダから機関IDおよび個人IDを受信し、受信した機関IDおよび個人IDに場所および日時を加えた安否情報を生成する無線基地局と、複数の無線基地局から専用ネットワークを介して到来する安否情報を保存し、保存した安否情報をさらにネットワークを介して送信するゲートウェイと、送信された安否情報に含まれる機関IDに対応する機関に所属していて、安否情報を受信し、受信した安否情報に含まれる個人IDを個人情報に変換した新たな安否情報を作成してさらにネットワークを介して送信する、機関に所属する機関サーバと、機関サーバから受信した安否情報を記憶する安否情報記憶手段とを含むことを特徴とする。
【0026】
このように接触式で読み取られる磁気カードも、被災者は利用することができる。基地局の周辺の伝送可能領域まで移動し、カードリーダにカードを通せば、非接触式には劣るものの、スムーズに自己の安否情報を登録可能である。
【0027】
上記カードリーダは複数設けられていて、各カードリーダは、カードから情報を読み取ると、カードの所有者の状態を示す、いずれかのステータス情報をも、所定の伝送距離まで送信し、無線基地局は、ステータス情報を受信し、受信したステータス情報を安否情報に加えてよい。
【0028】
このように、入力手段を有しないカードを用いる場合であっても、被災者の状態に応じてカードを読み込ませるカードリーダを異ならせることにより、被災者が生存していることだけでなく、元気であるか、ケガしているか、などの状態をも登録できる。
【0029】
上記ゲートウェイまたは無線基地局は、安否情報の登録の受付が正常に行われると、カードリーダに返信を行ってよい。これにより、被災者は自己の安否情報が正常に受け付けられたことを確認でき、安心できる。
【0030】
上記個人IDはさらに、機関内で所有者が属する1つ以上のグループ情報にも変換可能であり、機関サーバは、安否情報に含まれる個人IDを個人情報およびグループ情報に変換した新たな安否情報を作成してさらにネットワークを介して送信し、安否情報記憶手段は、安否情報をグループ情報毎に関連付けて記憶してよい。
【0031】
これにより、カードを利用する場合においても、安否情報は、被災者が属する家族や職場などのグループ単位に整理されて記憶されることとなり、安否情報を参照したいとの要求がグループのメンバから到来した場合に、同メンバの安否情報を抽出可能である。
【0032】
また、本発明による安否確認システムは、以下の構成を有してもよい。すなわち、安否情報をグループ情報毎に関連付けて記憶する安否情報記憶手段と、所有者が属する1つ以上のグループ情報を所定の伝送距離まで無線送信可能な無線端末と、無線端末から1つ以上のグループ情報を受信する無線基地局と、複数の無線基地局から専用ネットワークを介して到来するグループ情報を保存し、保存したグループ情報をさらにネットワークを介して送信するゲートウェイとを含み、安否情報記憶手段は、ゲートウェイから受信したグループ情報に関連付けて記憶されている安否情報を抽出して無線端末に返信することを特徴とする。
【0033】
このように無線方式によるため、被災者は、基地局の周辺の伝送可能領域まで移動しさえすれば、行列に並ぶことなく、家族や職場など自己の帰属するグループの安否情報を取得可能である。
【0034】
上記ゲートウェイは、グループ情報が到来してから、グループ情報に対応する安否情報が到来するまでの時間を定常的に測定していて、無線端末からのグループ情報が到来すると、定常的に測定していた時間に基づき、無線端末に、安否情報が返信されるまでの予想される時間を通知し、無線端末は、通知された予想される時間、重複する無線送信を不能としてよい。このような再発信ガードを行うことにより、被災者が繰り返し安否情報の取得を試みることによるシステムの輻輳が防止される。それとともに、電力消費の抑止にもつながる。
【0035】
上記無線端末は、安否情報の返信を受けた後は、所定の時間にわたって、重複する無線送信を不能としてよい。これによっても、被災者が繰り返し安否情報の取得を試みることによるシステムの輻輳が防止される。また、同一の者が繰り返しアクセスすることが防止されるため、他の者がサービスを受けられる機会が増え、サービスの公平性に寄与できる。
【0036】
上記ゲートウェイは、安否確認システムの一部として機能している間以外は、専用ネットワークにて提供される別のシステムの一部として機能するとよい。これにより、本発明による安否確認システムは、既存のサービスネットワークに付加することによって実施できる利点がある。
【0037】
本安否確認システムはさらに、ネットワークに接続された、安否情報記憶手段に記憶可能な安否情報を、意味を成すメッセージに構成し、さらにそのメッセージを音声として読み上げるテキスト読み上げ手段と、読み上げられるメッセージを音声として記憶するメッセージ音声記憶手段とを含んでよい。これにより、伝言を音声のまま録音したり聴いたりすることのできる既存の伝言サーバとも、本発明による安否確認システムは連動可能である。
【0038】
上記無線端末は、無線チップを搭載した携帯電話機、デジタルオーディオプレーヤまたは携帯ラジオとしてよい。これにより、本発明による安否確認システムは、多くの人が携帯している機器を用いて利用可能である。
【0039】
上記カードは銀行カードとしてよい。このことによっても、本発明による安否確認システムは、多くの人が携帯している媒体を用いて利用可能である。
【0040】
上記専用ネットワークには、避難路に沿った複数の拠点に予め配置された複数の無線基地局が接続されているとよい。これによれば、無線基地局を、避難途上に適当な間隔で配置でき、避難者にとって利便性が高い。
【0041】
上記の複数の無線基地局は、その位置が明示されているとよい。これによれば、被災者は迷うことなく無線基地局に到達できる。
【0042】
上記専用ネットワークは金融機関のネットワークであるとよい。広範囲に拠点(支店)が配置できるからである。ただし、専用ネットワークで接続された無線基地局を多くの拠点に配置できる事業体であればいかなる事業体のネットワークを利用してもよい。例えばコンビニエンスストアでも、郵便局でも、ファミリーレストランのチェーン店等がこうしたネットワークを提供してもよい。
【0043】
本発明にて用いられる無線通信規格としては、ZigBee(登録商標)を用いてよい。省電力であり、双方向の通信が可能であり、携帯できる機器に実装できるからである。同じ理由で、Bluetooth(登録商標)などの無線規格を用いてもよい。
【0044】
本発明による避難経路提示システムは、避難経路情報を要求する信号を所定の伝送距離まで無線送信可能な無線端末と、周辺の避難経路に関する情報を保持していて、無線端末からの信号を受信し、受信した信号に応じて避難経路に関する情報を無線端末に返信する、専用ネットワークに接続された1つ以上の無線基地局とを含むことを特徴とする。
【0045】
このように無線方式によるため、被災者は、基地局の周辺の伝送可能領域まで移動しさえすれば、行列に並ぶことなく、適切な避難経路に関する情報を取得可能である。
【0046】
また、本発明による安否確認システムは、以下の構成を有してもよい。すなわち、無線端末からの個人情報が、無線基地局およびゲートウェイを経て安否情報に変換され、安否情報は安否情報記憶手段に登録可能であり、安否情報記憶手段に登録された安否情報が、ゲートウェイおよび無線基地局を経て無線端末に提供可能である安否確認システムにおいて、安否情報の登録のみを行うか、あるいは、安否情報の登録および提供の両方を行うか、のいずれかを選択可能であることを特徴とする。
【0047】
これにより、災害の大きさや災害からの時間経過に応じて、いかなるサービスを行うのが適切かを判断できる。災害から間もない頃に、双方向の情報の流れが必要となる安否情報の確認を行うと、システムの輻輳を招くからである。
【0048】
また、無線基地局から無線端末への避難経路情報の提供を行うか否かをさらに選択可能としてもよい。これも、なるべく不要なトラフィックを少なくし、システムの輻輳を防止するためである。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、自己の安否登録、家族の安否確認および、避難経路確認をするための拠点が避難路の途上にあるため、被災者は自宅へ向かって移動している間など、避難途上においてこれらのサービスを受けることができる。また、予め知っている銀行支店や、避難途上で容易に見つけられる銀行支店へ行けばよいため、被災者は迷うことがない。
【0050】
さらに、本発明による安否確認システムおよび避難経路提示システムは、携帯電話機、デジタルオーディオプレーヤ、銀行カードなどの普段から携帯されている機器に広く実装できるため、世の中へ新しく導入することが比較的容易と考えられるし、特定の事業者による通信手段に依存することもない。しかも無線方式や非接触式を用い、短いテキスト情報をやりとりするだけであるため、一般的に行われているウェブコンテンツによる情報提供のようなダウンロード情報量が軽減され、またサーバへの負荷を軽減することが期待される。さらに、利用時の操作も簡単であるため、利用時に混雑することなく、スムーズに利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
次に添付図面を参照して、本発明による安否確認システムおよび避難経路提示システムの実施形態を詳細に説明する。図中、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。また、同様の要素は同一の参照符号によって表示する。
【0052】
図1は、本発明による安否確認システムの実施形態を示す概念図である。安否確認システム100は、ZigBee端末である携帯電話機102Aおよび携帯ラジオ104を含む。これらのほか、ZigBee端末としては、デジタルオーディオプレーヤ(MP3プレーヤ)やPHS(Personal Handy-phone System)などの、表示画面やボタン操作のできる携帯用機器を使用することが望ましい。かかる入出力が可能な端末を用いれば、自己の安否情報を登録できるだけでなく、家族等の安否情報も取得できるからである。
【0053】
また、上述のような、既に多くの人が携帯している機器を端末として用いるため、本発明による安否確認システム100は、利用者層を拡大させやすいと考えられる。
【0054】
ZigBee端末の構成は共通であるため、以下、携帯電話機102Aの構成を代表として説明する。図2は図1に示す携帯電話機102Aのブロック図である。携帯電話機102Aは、無線チップであるZigBeeチップ106を搭載している。このチップ106により、10〜75m程度の所定の伝送距離まで、後述のROM(Read Only Memory)114に保存されている情報を送信可能である。
【0055】
なお、本発明に適用可能な無線通信規格は、本実施例で用いるるZigBee(登録商標)に限られない。ZigBeeと同様に省電力であり、双方向の通信が可能であり、携帯できる機器に実装できれば、例えばBluetooth(登録商標)などの他の無線規格を用いてもよい。
【0056】
携帯電話機102Aはさらに、自己の状態(元気かケガをしているか、などのステータス情報)等を入力するための入力インターフェース108と、入力インターフェース108の一部であり自己の安否情報を後述の伝言板サーバ230に登録する際に押すアライブボタン110と、携帯電話機の操作時に被災者に各種情報を提示する表示部112と、予め携帯電話機102Aの所有者の情報等を記録しておくROM(Read Only Memory)114とを含む。ROM114に予め記録しておく所有者の情報は、携帯電話機102Aの購入後、初めて使用するときに、所有者に入力させればよい。
【0057】
ROM114には、携帯電話機102Aの所有者が属する家族などのグループに固有のグループ情報が含まれていて、本実施形態では、これは連絡先電話番号116(以下「連絡先116」と略称)である。本実施形態では連絡先116は所有者の連絡先電話番号であるが、複数のメンバから成るグループを特定できる情報であれば、いかなる情報であってもよい。
【0058】
またROM114には、携帯電話機102Aの所有者を識別するための氏名118(個人情報)が含まれている。氏名118は、グループ内で個人を識別できるものであれば、生年月日でも携帯電話機102A自体の携帯電話番号でもよい。
【0059】
携帯電話機102Aは、ROM114に記録されている各種情報に加えて、所有者の健康状態を表すステータス情報をも、ZigBeeチップ106を介して伝送可能である。所有者がアライブボタン110を押すことにより、携帯電話機102A全体を制御するコントローラ122は、表示部112に、ステータス情報の入力を促すメッセージを表示することが可能である。例えば、「元気」「ケガしているが元気」「動けない」などの複数の候補から、自己の状態(ステータス情報)を選択させることとしてよい。
【0060】
なお、本実施形態では、当然ながら、携帯電話機102Aの所有者の情報が送信されることとなるが、かかる安否確認システム100に対応した携帯電話機を有していない他者が近辺にいた場合、当該他者の情報を、代わりに、後述する伝言板サーバ230に登録してやる機能を、付加してもよい。
【0061】
その場合は、アライブボタン110を押すと、まず、自己の情報を登録するのか、他者の情報を登録するのか、を回答させるメッセージを、携帯電話機102Aの表示部112に表示させればよい。ただし、自己の情報は予めROM114に記録されているため、入力に手間がかからないが、他人の情報は、逐一、入力インターフェース108を用いて入力してやる必要があることは、言うまでもない。
【0062】
図1に示すように、安否確認システム100は、銀行カードなどの磁気カード130を含んでよい。磁気カード130は、普段、銀行のATM(Automated Teller Machine)131A、131Bで使用可能なキャッシュカード、クレジットカード等のプラスチックカードとしてよい。磁気カード130は、磁気カードリーダ133A、133Bにて、磁気カードリーダに通すことによってその情報が読み取られる。
【0063】
磁気カードリーダ133A、133BもZigBeeチップ(図示は省略)を有する無線通信端末であり、読み取った情報を所定の伝送距離まで無線送信可能である。
【0064】
磁気カード130には、銀行名など、発行元の機関に固有の機関IDと、当該機関にてカードの所有者を識別可能な、個人情報そのものである、例えば銀行口座番号を個人IDとして格納しておくことができる。磁気カード130には入力手段がないため、ステータス情報は入力できないが、複数設けられた磁気カードリーダ133A、133Bは、予め、元気な人用、ケガをしている人用、などと区別されている。磁気カードリーダ133A、133Bは、カード130から情報を読み取ると、読み取った情報とともに、割り当てられたいずれかのステータス情報をも、所定の伝送距離まで送信する。
【0065】
このように、入力手段を有しない磁気カード130を用いる場合であっても、被災者の状態に応じてカードを読み込ませる磁気カードリーダ133A、133Bを異ならせることにより、被災者が生存していることだけでなく、元気であるか、ケガしているか、などの状態をも登録できる。
【0066】
また、安否確認システム100は、RFIDカード135を含んでよい。図3は図1に示すRFIDカード135のブロック図である。図3に示すように、RFIDカード135は、銀行カード等に、RFID(Radio Frequency Identification)タグ(ICタグ)132を添付したものである。RFIDタグ132はプリセット不能なタイプであり、予め、銀行名など、RFIDカード135の発行元の機関に固有の機関ID134、および、機関内でのみ所有者の個人情報に変換可能な個人ID136を保持する。
【0067】
RFIDタグ132に格納された情報は、非接触式のRFIDカードリーダ137A、137Bによって、読み取り可能である。したがって、RFIDカード135には、磁気カード130と異なり、銀行口座番号などの個人情報そのものである個人IDは、直接に保持されていず、カード発行元の機関でしか個人情報に変換できない個人ID136が保持されている。これは、RFIDタグ132が仮に口座番号などの個人情報そのものである個人IDを直接に保持していれば、非接触式の読み取り手段によって、たちまち個人情報が盗まれてしまうためである。
【0068】
一方、上記のように個人ID136としておけば、これが盗用されても、せいぜい、本人になりかわって安否登録ができるという程度の価値しかなく、個人情報の漏洩は防止される。
【0069】
RFIDカードリーダ137A、137Bも、ZigBeeチップ139A、139Bを有する無線通信端末であり、読み取った機関ID134および個人IDを所定の伝送距離まで無線送信可能である。なお、RFIDカードリーダ137A、137Bが複数設けられているのは、磁気カードリーダ133A、133Bと同様に、異なるステータス情報を発信可能とするためである。例えばRFIDカードリーダ137Aを、元気な人の安否登録用、RFIDカードリーダ137Bを、ケガを負った人の安否登録用としてよい。
【0070】
図1に示すように、安否確認システム100は、銀行などの金融機関が設けている専用線で構成されたネットワーク140を利用していて、このネットワーク140に接続されたZigBee基地局142を含む。なお、災害に対して強靭な専用線等で接続されたネットワークを有していて、広範囲に拠点がある事業体であれば、金融機関に限らず、郵便局、コンビニエンスストア、レストランのチェーン店等でもよい。これらの店舗は被災者にとって分かりやすいという利点もある。
【0071】
図1にはZigBee基地局142が1つしか示していないが、こうした事業体の拠点に、適切な間隔でZigBee基地局を複数設けることが望ましい。避難途上の被災者が各地域でサービスを受けることができ、避難者にとって利便性が高いからである。
【0072】
図4は図1に示すZigBee基地局142のブロック図である。ZigBee基地局142は、ZigBeeチップ144を含み、これを用いて、伝送距離内に存在するZigBee端末である携帯電話機102A、携帯ラジオ104から、図2に示した連絡先116、氏名118、およびステータス情報を受信可能である。一方、磁気カードリーダ133A、133Bからは、銀行名、銀行口座番号、およびステータス情報を受信可能であり、RFIDカードリーダ137A、137Bからは、図3に示した機関ID134、個人ID136、およびステータス情報を受信可能である。
【0073】
ZigBee基地局142は、ZigBeeチップ144に加えて、時計などの日時検出部146と、ZigBee基地局142自体が設置されている場所148を記憶している記憶部150とを含む。
【0074】
記憶部150はさらに、周辺の避難経路情報151を保持している。この避難経路情報151は簡単なテキスト情報としてよく、例えば震災時に倒壊しそうな建物や橋などの情報をあらかじめ保持しておいてよい。あるいは、震災時に、後述のゲートウェイ190から到来する情報に基づき、実際に通れなくなった経路などの情報を保持してもよい。
【0075】
またZigBee基地局142はモード設定手段152を含み、これは、後述するゲートウェイ190からの指示によって、1ウェイモードまたは2ウェイモードを設定する手段である。
【0076】
ここで1ウェイモードとは、ZigBee端末の所有者の安否情報を、後述する伝言板サーバ230に登録する、一方向のサービスのみを提供するモードである。すなわち、1ウェイモードのときは、家族等の安否情報の提供はなされない。
【0077】
一方、2ウェイモードとは、所有者の属する家族等のグループの安否情報も、伝言板サーバ230から返信される双方向の登録・確認サービスを提供するモードである。
【0078】
これらのモードは、ZigBee基地局142の設置場所148に応じて、後述するゲートウェイが指示するものである。例えば震災発生から間もない頃は、安否確認システム100に利用者が殺到すると考えられるため、1ウェイモードとしてシステム100のサービスを利用できない者が発生しないようにし、震災からある程度時間が経過したら、2ウェイモードとするなどの運用が考えられる。また、損害の程度に応じて、地域毎に、基地局のモードを変更してもよい。
【0079】
またZigBee基地局142のコントローラ154は、携帯電話機102Aから受信した連絡先116、氏名118、ステータス情報に、場所148および日時146を加えた安否情報200Aを生成する。また、RFIDカードリーダ137A、137Bから受信した機関ID134、個人ID136、ステータス情報に、場所148および日時146を加えた安否情報200Bを生成する。これら安否情報200A、200Bは、専用線インターフェース156を介して、専用線で構成された金融機関ネットワーク140に送信される。
【0080】
図1に示すように、大地震などの災害時には、稼動している電話基地局170Bの近辺に存在する携帯電話機102Bからは通話・通信ともに可能であるかも知れないが、倒壊した電話基地局170Aや輻輳状態にある電話基地局170Cの近辺からは、通話・通信が不可能になるおそれがある。よって、インターネットなどの広域通信網172を経由した伝言板サーバ230までのアクセス経路が失われてしまう。
【0081】
上記のような場合に本発明は威力を発揮する。図5は図1に示す本発明による安否確認システム100の利用方法を示す図である。携帯電話機102A、RFIDカード135をそれぞれ携帯していた被災者174、176は、避難路178の途上にて発見することが容易な、銀行などの金融機関の拠点である金融機関支店180まで近付けばよい。
【0082】
ZigBee基地局142は、被災者が迷うことなく到達できるよう、その位置が明示されているとよく、さらには、それが機能しているか否かが明示されていることが好ましい。例えば遠くからでも視認可能であるよう、看板等にて明示するとよい。
【0083】
図1に示したZigBee基地局142およびRFIDカードリーダ137A、137Bは、この金融機関支店180に配置されているのが望ましい。銀行の有する専用線ネットワーク140は大地震などの被災時にも強靭だからである。
【0084】
本実施形態の伝送可能領域182は、ZigBee基地局142への伝送が可能な領域を示している。被災者174、176がこの伝送可能領域182内に入れば、携帯電話機102AまたはRFIDカードリーダ137A、137BからZigBee基地局142へ確実に情報が送信されることとなる。
【0085】
なお、図5ではRFIDカード135およびRFIDカードリーダ137A、137Bを用いているが、これらに代えて、図1に示した磁気カード130および磁気カードリーダ133A、133Bを用いてもよいし、それら2種類のカードを用いてもよい。
【0086】
ただし磁気カード130は磁気カードリーダ133A、133Bが接触式読み取り方式であるのに対し、RFIDカード135は、RFIDカードリーダ137A、137BにRFIDカード135をかざすだけの非接触式の読み取り方式である。したがって、RFIDカード135を用いる方が、待ち行列が短くなり、利便性に優れると考えられる。
【0087】
しかし、最も有利なのは、伝送可能領域182まで移動しさえすれば、行列141に並ぶことなく自己の安否情報を登録可能な、携帯電話機102Aである。
【0088】
図1に示す金融機関ネットワーク140には、さらに、金融機関ネットワーク140とネットワーク173とを中継していて、ZigBee基地局142から安否情報200A、200Bを受信して広域通信網172に送信可能なゲートウェイ190が接続されている。なお、ゲートウェイ190に接続されているZigBee基地局142は、図1には1つしか示していないが、主要な避難路に存在する金融機関支店に、適切な間隔をおいて、複数設けてよいことは言うまでもない。なお、本実施形態で用いるネットワーク173は、専用線としてよく、IP−VPNなどの仮想私設通信網(Virtual Private Network; VPN)を用いてもよい。
【0089】
図6は図1に示すゲートウェイ190のブロック図である。ゲートウェイ190が有するメッセージキュー192は、ゲートウェイ190が専用線インターフェース194を介して受信した安否情報200A、200Bを一時的に保存するバッファの役目を果たす。多数の被災者が同時期に本システム100を利用すると、後述の伝言板サーバ230に登録すべき情報が多くなりすぎ、一度には登録できないからである。
【0090】
メッセージキュー192に記録された安否情報200A、200Bは、後述の伝言板サーバ230が輻輳しないよう、所定の間隔で、専用線インターフェース206を介してネットワーク173に送信される。
【0091】
なお、ゲートウェイ190は、震災からの経過時間に応じてZigBee基地局142のモードを設定してよい。あるいは、気象庁等(図示しない)からの指示を受けて、ZigBee基地局142のモードを設定してもよい。より具体的には、地震が生じたとき、気象庁が最初に到来する地震波(P波:Primary-Wave)を受信し、各地のZigBee基地局に、震源地等に鑑みたモードを送信してよい。
【0092】
また、本発明による安否確認システム100は、金融機関ネットワーク140にて提供されるATM131A、131B用いた顧客に対する支払いや預け入れサービスに影響を与えることなく、本システム100を導入可能であり、震災などの災害時にも、上記サービスと並行して、あるいは単独で、システム100は運用可能である。このように、本発明による安否確認システム100は、既存のサービスネットワークに付加することによって実施できる利点がある。
【0093】
図6に示すように、携帯電話機102Aからゲートウェイ190に到来する安否情報200Aは、後述の伝言板サーバ230に直接登録できるが、RFIDカード135からの安否情報200Bは、個人ID136を含んでいて、そのままでは伝言板サーバ230に登録できない。
【0094】
そこで、図1に示すように、安否確認システム100は、機関サーバ210を含む。機関サーバ210は、通常、機関ID134によって特定される、RFIDカード135の発行元機関によって設置される。機関サーバ210は、RFIDカード135から得られる安否情報200Bを後述の伝言板サーバ230に入力できる安否情報に変換する装置である。
【0095】
図7は図1に示す機関サーバ210のブロック図である。機関サーバ210は、記憶部212を有し、これは、複数の個人ID136、個人ID136の所有者が属するグループに固有の連絡先電話番号216などのグループ情報、および、グループ内で所有者を識別するための氏名218などの個人情報を対応させて予め記憶している。これらの情報は、RFIDカード135を作成した際に、所有者が、カード発行元の金融機関に登録することによって、予め、機関サーバ210に準備しておくことが可能である。
【0096】
機関サーバ210は、専用線インターフェース220を介して安否情報200Bを受信し、これに含まれる個人ID136に対応する連絡先電話番号216および氏名218を、コントローラ221が記憶部212から抽出する。そして抽出した連絡先電話番号216および氏名218に、既に安否情報200Bに含まれていた場所148および日時146を加えた安否情報200Cを伝言板サーバ230への専用線175に送信する。このようにして、RFIDカード135から到来した安否情報200Bは、後述の伝言板サーバ230に入力できる安否情報200Cに変換される。
【0097】
上記ではRFIDカード135を用いて説明したが、機関サーバ210は、磁気カード130から得られる安否情報も、無論扱うことができる。その場合、安否情報に含まれている個人IDは、RFIDカード135に含まれているもののように、機関サーバ210でなければ連絡先電話番号や氏名といった個人情報に変換できないものではなく、銀行口座番号などの個人情報そのものでよい。
【0098】
図1に示すように、安否確認システム100は、広域通信網172に接続されているとともに、ネットワーク173に接続されている伝言板サーバ230を含む。伝言板サーバ230は、ゲートウェイ190からの安否情報200Aおよび機関サーバ210からの安否情報200Cを受信する。
【0099】
図8は図1に示す伝言板サーバ230のブロック図である。広域通信網172からネットワークインターフェース235を介して到来する伝言登録・取得要求は、災害時には輻輳状態にあると考えられる。そこで本発明では、ネットワーク173から専用線インターフェース231を介して伝言板サーバ230にアクセスして、安否情報の登録・取得を実行する。
【0100】
伝言板サーバ230は安否情報記憶部232を有し、コントローラ233は、受信した安否情報200A、200Cを、連絡先電話番号116毎、すなわち家族などのグループ毎に関連付けて保存する。安否情報は、例えば、『MSG=「氏名」は「何日何時何分」に「場所」にて安否「元気」』というテキスト情報で記録されている。コントローラ233は、受信した安否情報200A、200Cを、上記のテキスト情報にマッピングする。
【0101】
そして、安否情報200A、200Cに含まれている連絡先に応じて、該当する家族(グループ)の安否情報234Aや234Bに格納される。
【0102】
図1に示すように、安否確認システム100はさらに、ネットワーク173に接続された、テキスト読み上げ装置215を含んでよい。テキスト読み上げ装置215は、伝言板サーバ230に記憶可能な安否情報(テキスト情報)を、意味を成すメッセージに構成する機能と、さらにそのメッセージを音声として読み上げる機能とを有する装置である。
【0103】
ここで言う「意味を成すメッセージ」とは、安否情報に含まれている「氏名」「日時」「場所」などのキーワードを、例えば図8に示すように、「『氏名』は『日時』に『場所』にて元気です」という構文に当てはめたものであり、人が聞いて意味が分かるセンテンスになっていればよい。また、テキストの読み上げは、既存のテキスト読み上げソフトウェアを用いればよい。
【0104】
図1に示すように、安否確認システム100はさらに、テキスト読み上げ装置215によって読み上げられるメッセージを音声として記憶する、伝言サーバ235を含んでよい。伝言サーバ235に格納される情報は、図8に示した、伝言板サーバ230情報と同様であり、音声のまま録音されている点のみ、伝言板サーバ230と異なる。
【0105】
これにより、伝言を音声のまま録音したり聴いたりすることのできる既存の伝言サーバ235とも、本発明による安否確認システム100は連動可能である。伝言板サーバ230に記憶可能な安否情報(テキスト情報)には、もとより、伝言サーバ235を利用するための連絡先電話番号116が含まれているから、読み上げ装置215から伝言サーバ235にアクセスし、安否情報(テキスト情報)を読み上げることによって、安否情報を音声として、伝言サーバ235に、連絡先電話番号116毎、すなわち家族などのグループ毎に関連付けて録音することができる。
【0106】
したがって、携帯電話機102Aを用いたテキスト情報のやりとり等に慣れていない人に対しても、本発明によれば、伝言サーバ235に伝言を残すことによって、安否情報を知らせることができる。また、伝言サーバ235に音声として伝言を残した人のメッセージを音声認識し、テキスト情報に変換することによって、携帯電話機102Aで確認するということも、今後、期待される。
【0107】
次に、家族等の安否情報の取得について説明する。ZigBee基地局142が2ウェイモードに設定されているときは、携帯電話機102Aを用いれば、安否情報の登録だけでなく、家族等の安否情報を取得可能である。
【0108】
携帯電話機102Aにて「安否情報の取得」を選択すると、携帯電話機102Aから、2ウェイモードに設定されたZigBee基地局142およびゲートウェイ190を介して、連絡先電話番号116が伝言板サーバ230に送信される。この場合、コントローラ233は、連絡先電話番号116に関連付けて記憶されている他の家族の安否情報234Aを、安否情報記憶部232から抽出して、発信元の携帯電話機102Aに返信する。これにより、2ウェイモードの場合には、被災者は、自己の安否情報を登録できるだけでなく、家族の安否情報も確認できることとなる。
【0109】
なお、伝言板サーバ230は、稼動している電話基地局170Bを利用可能な携帯電話機102Bなど、被災地の外に存在する携帯電話機やパソコンから、広域通信網172を用いて利用することもできることは言うまでもない。
【0110】
図9は、図1に示す安否確認システム100において安否登録を行う場合の動作シーケンス図であり、ここでは携帯電話機102Aを用いた場合の動作を示す。地震が発生すると、地震波(P波:Primary-Wave)を受信した気象庁(図示しない)のサーバから広域通信網172を介してゲートウェイ190に地震発生の一報が届く(ステップS240)。
【0111】
ゲートウェイ190はZigBee基地局142の設置されている場所の被災状況に応じて、基地局の起動・モード指定を送信する(ステップS242)。ZigBee基地局142は起動し、モード設定手段152によって指定された1ウェイモードに設定を行う(ステップS244)。
【0112】
一方、携帯電話機102Aを携帯している被災者は、金融機関支店180に設置されたZigBee基地局142まで移動(ステップS245)し、例えば「この領域内でアライブボタン110を押すべし」との案内が記載された伝送可能領域182に入って、アライブボタン110を押し下げる(ステップS246)。携帯電話機102Aは、まずZigBee基地局142にアクセスして、ZigBeeの16チャネルのうち、安否確認に使用するチャネルを決定する(ステップS248)。
【0113】
チャネルが決定されると、携帯電話機102Aの表示部112には、「安否登録」「避難経路情報」のいずれかを選択させる画面を表示させるとよい。なお現在は1ウェイモードであるため、「安否取得」はできない。被災者が「安否登録」を選択すると(ステップS247)、ステータス情報の入力を促すメッセージが表示される。被災者は、「元気」「ケガしているが元気」「動けない」などの複数の候補から、自己のステータス情報を選択する。携帯電話機102Aからは、連絡先・氏名・ステータス情報がZigBee基地局142に送信される(ステップS252)。
【0114】
ZigBee基地局142は受信したこれらの情報を安否情報としてゲートウェイ190に送信する(ステップS254)。
【0115】
安否情報を受信したゲートウェイ190は、それを一時的にメッセージキュー192に保存すると、安否情報の登録の受付が正常に行われたとして、伝言板サーバ230への登録前であっても、携帯電話機102Aに登録受付完了の返信を行う(ステップS260)。これにより、被災者は、自己の安否情報が正常に受け付けられたことを早期に確認でき、安心できる。また、早期に登録受付完了を通知しないと、被災者は携帯電話機102Aを持ったまま伝送可能領域182を出てしまうかも知れず、出てしまった場合、それ以後、携帯電話機102Aに対して通知を行うことはできないからである。
【0116】
なお、安否情報の保存および携帯電話機102Aへの返信は、ZigBee基地局142が行ってもよい。これによれば、より早期に登録受付完了を通知可能である。
【0117】
ゲートウェイ190は、メッセージキュー192に保存した安否情報を、伝言板サーバ230が輻輳しないよう、所定の間隔で、伝言板サーバ230に送信する(ステップS258)。伝言板サーバは安否情報の登録を行う(ステップS262)。
【0118】
一方、携帯電話機102Aは、登録受付完了の返信(ステップS260)を受けた後は、所定の時間にわたって、重複する無線送信、すなわち、ステップS252にて既に行った、連絡先・氏名・ステータス情報の無線送信を不能としてよい。このような再発信ガード(ステップS266)を行うことにより、被災者が繰り返し安否情報を送信することによるZigBee基地局142の輻輳を防止する。
【0119】
以上、携帯電話機102Aを用いた安否登録シーケンスについて説明した。RFIDカード135を用いる場合のシーケンスは図示を省略するが、ゲートウェイ190が受信した安否情報を、さらに機関サーバ210によって、個人情報を含む新たな安否情報に変換してから伝言板サーバ2230に与える点以外は、図9に示すものと同様である。
【0120】
図10は、図1に示す安否確認システム100において磁気カード130またはRFIDカード135を用いて安否登録を行う場合の動作シーケンス図である。図9と異なる点のみ、以下、説明する。
【0121】
磁気カード130またはRFIDカード135を用いる場合、まず、自己の状態に応じてカードリーダを選択し、「元気」「ケガしているが元気」「動けない」などのなかから、自己の状態に適合するカードリーダを選択する(ステップS446)。
【0122】
そして、選択したカードリーダにカードを読み込ませる(ステップS449)。カードから読み込まれる情報は機関IDと個人IDであり、これは、機関サーバ210の記憶装置212を利用して、連絡先電話番号や氏名といった個人情報に変換され、伝言板サーバ230に安否情報として渡される(ステップS258)。その他の動作は、図9と同様である。
【0123】
なお、登録受付完了の返信(ステップS260)は、磁気カードリーダ133A、133B、またはRFIDカードリーダ137A、137Bに対して行うこともできる。この場合は、登録受付完了を受信すると、カードリーダに設けられた緑色のランプが点灯するなどの方法により、被災者に、登録受付完了を通知することができる。
【0124】
そして、カードリーダには、重複する無線送信を不能にする機能(再発信ガード)はない。通常、カードリーダは異なる複数の被災者によって順番に利用されるものだからである。
【0125】
図11は、図1に示す安否確認システム100によって安否確認を行う場合の具体的な動作シーケンスを示す図であり、ここでは携帯電話機102Aを用いた場合の動作を示す。なお、図9と共通する工程については説明を省略する。
【0126】
図11の場合、ZigBee基地局142が2ウェイモードに設定される(ステップS344)までの工程は図9と同様である。アライブボタン110が押し下げられ(ステップS246)チャネルが決定された(ステップS248)後、携帯電話機102Aの表示部112には、「安否登録」「安否取得」「避難経路情報」のいずれかを選択させる画面を表示させるとよい。現在は2ウェイモードであるため、「安否取得」が可能である。被災者が「安否取得」を選択すると(ステップS347)、携帯電話機102Aからは、連絡先がZigBee基地局142に送信され(ステップS352)、さらにゲートウェイ190に転送される(ステップS354)。
【0127】
連絡先を受信したゲートウェイ190は、それを一時的にメッセージキュー192に保存すると、伝言板サーバ230への転送前であっても、携帯電話機102Aに取得受付完了の返信を行う(ステップS360)。これにより、被災者は、自己の安否取得要求が正常に受け付けられたことを早期に確認でき、安心できる。なお、携帯電話機102Aへの返信S360は、ZigBee基地局142が行ってもよい。これによれば、より早期に取得受付完了を通知可能である。
【0128】
また、ゲートウェイ190は、携帯電話機102Aから連絡先電話番号が到来してから、連絡先電話番号に対応する安否情報が伝言板サーバ230から到来するまでの時間を定常的に測定しているとよい。その場合、連絡先電話番号が到来(ステップS354)すると、ゲートウェイ190は、定常的に測定していた時間に基づき、携帯電話機102Aに、安否情報が取得されるまでの予想される時間(平均的な時間、あるいは最近の取得時間)を、ステップS360にて通知できる。これにより、被災者は、家族等の安否情報が取得できるまでの時間を知ることができるため、被災者が繰り返し安否情報の取得を試みることによるシステムの輻輳が防止される。
【0129】
最後に、伝言板サーバ230から携帯電話機102Aへ、家族の安否情報が返信される(ステップS364)。これにより、被災者は避難の途上にて、家族の安否を確認することができる。
【0130】
一方、携帯電話機102Aは、家族の安否情報の返信(ステップS364)を受けた後は、所定の時間にわたって、重複する無線送信、すなわち、ステップS354にて既に行った安否情報取得のための連絡先電話番号の無線送信を不能としてよい。このような再発信ガード(ステップS366)を行うことにより、被災者が繰り返し安否情報の取得を試みることによるシステムの輻輳が防止される。
【0131】
また、携帯電話機102Aは、上記の、安否情報が取得されるまでの予想される時間が通知された時点から、予想される時間、重複する無線送信、すなわち、ステップS354にて既に行った連絡先電話番号の無線送信を不能としてもよい(ステップS350)。これにより、さらにシステムの輻輳が防止される。
【0132】
図12は、本発明による避難経路提示システムの実施形態を示す動作シーケンス図である。なお、図9と共通する工程については説明を省略する。本発明による避難経路提示シsステムでは、アライブボタン110が押し下げられ(ステップS246)チャネルが決定された(ステップS248)後、携帯電話機102Aの表示部112には、「安否登録」「避難経路情報」のいずれかを選択させる画面を表示させる。なお現在は1ウェイモードであるため、「安否取得」はできないが、2ウェイモードに設定しても構わない。
【0133】
被災者が「避難経路情報」を選択すると(ステップS447)、携帯電話機102Aからは、避難経路情報を要求する信号がZigBee基地局142に送信される(ステップS452)。この信号を受信すると、ZigBee基地局142は、予めゲートウェイ190から与えられ(ステップS440)記憶部150に保存されている避難経路情報151を携帯電話機102Aに返信する(ステップS460)。この避難経路情報151は、「某方面は橋陥落にて、xxにて迂回のこと」などの簡単なテキスト情報とするとよい。
【0134】
このように被災者は、ZigBee基地局142の周辺の伝送可能領域まで移動しさえすれば、携帯電話機102Aを利用して、適切な避難経路に関する情報を取得可能である。
【0135】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明は、大地震等の災害時における安否確認システムおよび避難経路提示システムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明による安否確認システムの実施形態を示す概念図である。
【図2】図1に示す携帯電話機のブロック図である。
【図3】図1に示すRFIDカードのブロック図である。
【図4】図1に示すZigBee基地局のブロック図である。
【図5】図1に示す本発明による安否確認システムの利用方法を示す図である。
【図6】図1に示すゲートウェイのブロック図である。
【図7】図1に示す機関サーバのブロック図である。
【図8】図1に示す伝言板サーバのブロック図である。
【図9】図1に示す安否確認システムにおいて携帯電話機を用いて安否登録を行う場合の動作シーケンス図である。
【図10】図1に示す安否確認システムにおいて磁気カードまたはRFIDカードを用いて安否登録を行う場合の動作シーケンス図である。
【図11】図1に示す安否確認システムにおいて携帯電話機を用いて安否確認を行う場合の動作シーケンス図である。
【図12】本発明による避難経路提示システムの実施形態を示す動作シーケンス図である。
【符号の説明】
【0138】
100 安否確認システム
102A、102B 携帯電話機
104 携帯ラジオ
130 磁気カード
133A、133B 磁気カードリーダ
135 RFIDカード
137A、137B RFIDカードリーダ
140 金融機関ネットワーク
142 ZigBee基地局
170A、170B 電話基地局
172 広域通信網
190 ゲートウェイ
210 機関サーバ
215 テキスト読み上げ装置
230 伝言板サーバ
235 伝言サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所有者の個人情報を所定の伝送距離まで無線送信可能な無線端末と、
該無線端末から個人情報を受信し、該受信した個人情報に場所および日時を加えた安否情報を生成する無線基地局と、
複数の無線基地局から専用ネットワークを介して到来する安否情報を保存し、該保存した安否情報をさらにネットワークを介して送信するゲートウェイと、
該ゲートウェイから受信した安否情報を記憶する安否情報記憶手段とを含むことを特徴とする、安否確認システム。
【請求項2】
前記無線端末は、前記所有者の状態を示すステータス情報を入力させる入力手段を有し、該入力されたステータス情報をも、前記所定の伝送距離まで送信し、
前記無線基地局は、前記ステータス情報を受信し、該受信したステータス情報を前記安否情報に加えることを特徴とする、請求項1に記載の安否確認システム。
【請求項3】
前記無線端末は、前記所有者が属する1つ以上のグループ情報をも、前記所定の伝送距離まで送信し、
前記無線基地局は、前記1つ以上のグループ情報を受信し、該受信した1つ以上のグループ情報を前記安否情報に加え、
前記安否情報記憶手段は、前記安否情報をグループ情報毎に関連付けて記憶することを特徴とする、請求項1または2に記載の安否確認システム。
【請求項4】
前記ゲートウェイまたは無線基地局は、前記安否情報の登録の受付が正常に行われると、前記無線端末に返信を行うことを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載の安否確認システム。
【請求項5】
前記無線端末は、前記返信を受けた後は、所定の時間にわたって、重複する無線送信が不能となることを特徴とする、請求項4に記載の安否確認システム。
【請求項6】
人の個人情報を入力可能な入力手段と、
該入力された個人情報を所定の伝送距離まで無線送信可能な無線端末と、
該無線端末から個人情報を受信し、該受信した個人情報に場所および日時を加えた安否情報を生成する無線基地局と、
複数の無線基地局から専用ネットワークを介して到来する安否情報を保存し、該保存した安否情報をさらにネットワークを介して送信するゲートウェイと、
該ゲートウェイから受信した安否情報を記憶する安否情報記憶手段とを含むことを特徴とする、安否確認システム。
【請求項7】
発行元の機関に固有の機関ID、および、該機関内でのみ所有者の個人情報に変換可能な個人IDを保持するICタグが添付されたカードと、
前記ICタグから非接触式に前記機関IDおよび個人IDを読み取り可能であり、該読み取った機関IDおよび個人IDを所定の伝送距離まで無線送信可能なカードリーダと、
該カードリーダから機関IDおよび個人IDを受信し、該受信した機関IDおよび個人IDに場所および日時を加えた安否情報を生成する無線基地局と、
複数の無線基地局から専用ネットワークを介して到来する安否情報を保存し、該保存した安否情報をさらにネットワークを介して送信するゲートウェイと、
該送信された安否情報に含まれる機関IDに対応する機関に所属していて、前記安否情報を受信し、該受信した安否情報に含まれる個人IDを個人情報に変換した新たな安否情報を作成してさらにネットワークを介して送信する、前記機関に所属する機関サーバと、
該機関サーバから受信した安否情報を記憶する安否情報記憶手段とを含むことを特徴とする、安否確認システム。
【請求項8】
発行元の機関に固有の機関ID、および、該機関内で所有者の個人情報に変換可能な個人IDを保持する磁気カードと、
前記磁気カードから接触式に前記機関IDおよび個人IDを読み取り可能であり、該読み取った機関IDおよび個人IDを所定の伝送距離まで無線送信可能なカードリーダと、
該カードリーダから機関IDおよび個人IDを受信し、該受信した機関IDおよび個人IDに場所および日時を加えた安否情報を生成する無線基地局と、
複数の無線基地局から専用ネットワークを介して到来する安否情報を保存し、該保存した安否情報をさらにネットワークを介して送信するゲートウェイと、
該送信された安否情報に含まれる機関IDに対応する機関に所属していて、前記安否情報を受信し、該受信した安否情報に含まれる個人IDを個人情報に変換した新たな安否情報を作成してさらにネットワークを介して送信する、前記機関に所属する機関サーバと、
該機関サーバから受信した安否情報を記憶する安否情報記憶手段とを含むことを特徴とする、安否確認システム。
【請求項9】
前記カードリーダは複数設けられていて、各カードリーダは、前記カードから情報を読み取ると、前記カードの所有者の状態を示す、いずれかのステータス情報をも、前記所定の伝送距離まで送信し、
前記無線基地局は、前記ステータス情報を受信し、該受信したステータス情報を前記安否情報に加えることを特徴とする、請求項7または8に記載の安否確認システム。
【請求項10】
前記ゲートウェイまたは無線基地局は、前記安否情報の登録の受付が正常に行われると、前記カードリーダに返信を行うことを特徴とする、請求項7から9までのいずれかに記載の安否確認システム。
【請求項11】
前記個人IDはさらに、前記機関内で所有者が属する1つ以上のグループ情報にも変換可能であり、
前記機関サーバは、前記安否情報に含まれる個人IDを個人情報およびグループ情報に変換した新たな安否情報を作成してさらにネットワークを介して送信し、
前記安否情報記憶手段は、前記安否情報をグループ情報毎に関連付けて記憶することを特徴とする、請求項7から10までのいずれかに記載の安否確認システム。
【請求項12】
安否情報をグループ情報毎に関連付けて記憶する安否情報記憶手段と、
所有者が属する1つ以上のグループ情報を所定の伝送距離まで無線送信可能な無線端末と、
該無線端末から1つ以上のグループ情報を受信する無線基地局と、
複数の無線基地局から専用ネットワークを介して到来するグループ情報を保存し、該保存したグループ情報をさらにネットワークを介して送信するゲートウェイとを含み、
前記安否情報記憶手段は、前記ゲートウェイから受信したグループ情報に関連付けて記憶されている安否情報を抽出して前記無線端末に返信することを特徴とする、安否確認システム。
【請求項13】
前記ゲートウェイは、グループ情報が到来してから、該グループ情報に対応する安否情報が到来するまでの時間を定常的に測定していて、
前記無線端末からのグループ情報が到来すると、前記定常的に測定していた時間に基づき、前記無線端末に、安否情報が返信されるまでの予想される時間を通知し、
前記無線端末は、該通知された予想される時間、重複する無線送信が不能となることを特徴とする、請求項12に記載の安否確認システム。
【請求項14】
前記無線端末は、安否情報の返信を受けた後は、所定の時間にわたって、重複する無線送信が不能となることを特徴とする、請求項12または13に記載の安否確認システム。
【請求項15】
前記専用ネットワークにて提供されるサービスに付加され、該サービスと並行して、あるいは単独で運用可能であることを特徴とする、請求項1から14までのいずれかに記載の安否確認システム。
【請求項16】
該安否確認システムはさらに、前記ネットワークに接続された、
前記安否情報記憶手段に記憶可能な安否情報を、意味を成すメッセージに構成し、さらに該メッセージを音声として読み上げるテキスト読み上げ手段と、
該読み上げられるメッセージを音声として記憶するメッセージ音声記憶手段とを含むことを特徴とする、請求項1から15までのいずれかに記載の安否確認システム。
【請求項17】
前記無線端末は、無線チップを搭載した携帯電話機、デジタルオーディオプレーヤまたは携帯ラジオであることを特徴とする、請求項1から6まで、あるいは12から14までのいずれかに記載の安否確認システム。
【請求項18】
前記カードは銀行カードであることを特徴とする、請求項7から11までのいずれかに記載の安否確認システム。
【請求項19】
前記専用ネットワークには、避難路に沿った複数の拠点に予め配置された前記複数の無線基地局が接続されていることを特徴とする、請求項1から18までのいずれかに記載の安否確認システム。
【請求項20】
前記複数の無線基地局は、その位置が明示されていることを特徴とする請求項1から19までのいずれかに記載の安否確認システム。
【請求項21】
前記専用ネットワークは金融機関のネットワークであることを特徴とする、請求項1から20までのいずれかに記載の安否確認システム。
【請求項22】
無線通信規格としてZigBeeを用いることを特徴とする、請求項1から21までのいずれかに記載の安否確認システム。
【請求項23】
避難経路情報を要求する信号を所定の伝送距離まで無線送信可能な無線端末と、
周辺の避難経路に関する情報を保持していて、前記無線端末からの前記信号を受信し、該受信した信号に応じて前記避難経路に関する情報を前記無線端末に返信する、専用ネットワークに接続された1つ以上の無線基地局とを含むことを特徴とする、避難経路提示システム。
【請求項24】
無線端末からの個人情報が、無線基地局およびゲートウェイを経て安否情報に変換され、該安否情報は安否情報記憶手段に登録可能であり、
前記安否情報記憶手段に登録された安否情報が、前記ゲートウェイおよび無線基地局を経て前記無線端末に提供可能である安否確認システムにおいて、
安否情報の登録のみを行うか、あるいは、安否情報の登録および提供の両方を行うか、のいずれかを選択可能であることを特徴とする、安否確認システム。
【請求項25】
前記無線基地局から無線端末への避難経路情報の提供を行うか否かをさらに選択可能であることを特徴とする、請求項24に記載の安否確認システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−139915(P2008−139915A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322678(P2006−322678)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(502173475)沖コンサルティングソリューションズ株式会社 (12)
【Fターム(参考)】