説明

定流量制御装置

【課題】 比較的安価、簡単かつコンパクトな構成でありながら、加工容易で生産性に優れ、微少流量を定量制御する場合であっても、目詰まり等の発生を抑制してメンテナンスフリーとしつつ、高精度に定量制御を行うことができる定流量制御装置を提供する。
【解決手段】 定流量装置100においては、上流側の流体通路110から第一室120へ流入した流体は、開口部152を介して絞り部150内に配設されている絞り要素200へ流入する。絞り要素200では、パイプ状部材240〜242の順番で流体を通過させて所定に減圧した後、第二室側部材154の下端壁156に設けられている連通路157を介して、記第二室140へ流体を流出する。その後、流体は、一定流量になるように所定の絞り効果をもった弁座170Aと弁体150Aとの間隙を通過して、出口通路170延いては下流側の流体通路110へ流出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定流量制御装置に関し、詳しくは使用環境等の変化による影響を受け難いと共に、微少流量でも高精度に安定して流体の流量を制御することができる定流量制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体の流量を制御する場合は、絞り部(或いは絞り要素)としてのオリフィスの上流側にガバナー等の減圧手段を配設し、当該減圧手段によりオリフィス入口の流体圧を略一定に調整することで、オリフィスを通過する流体の流量を一定に制御するようにしていた。
【0003】
しかしながら、このようなガバナー等の減圧手段を使用する流量制御装置においては、コストが著しく上昇すると共に装置が大型化するなどの問題があった。
【0004】
このため、従来より、種々の流量制御装置が提案されているが、例えば、特許文献1には、以下のような定流量弁が記載されている。
すなわち、特許文献1に記載されている定流量弁は、流体通路1に介装され、図6に示すように、流体通路1の上流側より流体が流入する第一室2と、流体通路1の下流側と連通される第二室4と、前記第一室2と前記第二室4とを画成するダイヤフラム3と、前記ダイヤフラム3をバイパスして前記第一室2と前記第二室4とを連通するオリフィス5と、を含んで構成されている。
【0005】
更に、前記定流量弁においては、前記ダイヤフラム3には弁体3Aが略一体的に取り付けられ、当該弁体3Aと、該弁体3Aに対応して、前記第二室4と下流側の流体通路1とを連通する出口通路7の入口部に設けられる弁座7Aと、の相対位置の変化により流路面積を所定に制御可能に構成されると共に、前記第一室2と前記第二室4との圧力差に抗するように、当該ダイヤフラム3或いは前記弁体3Aを所定に付勢する弾性部材としてコイルスプリング6が配設されている。
【0006】
このような構成を有する定流量弁においては、上流側の流体通路1から第一室2へ流入した流体は、オリフィス5で減圧されて第二室4へ流入し、一定流量となるように所定の絞り効果をもった弁座7Aと弁体3Aとの間隙を通過して、出口通路7延いては下流側の流体通路1へ流出する。
【0007】
そして、かかる定流量弁は、以下のように作用して当該定流量弁を通過する流体の流量を所定流量に制御する。
すなわち、上流側の流体通路1から第一室2への流体の流入流量と、弁座7Aと弁体3Aとの間を通過して流出する流出流量と、が等しい状態から、例えば、第一室2へ流入する流体の圧力が上昇して第二室4の流体の圧力との圧力差が設定差圧より大きくなると、ダイヤフラム3及び弁体3Aはコイルスプリング6の弾性力に抗して閉弁方向(図6において下方)へ移動される。その結果、弁座7Aと弁体3Aとの間隙が小さくなって、第一室2へ流入する流体の圧力と、第二室4の流体の圧力と、の圧力差が一定に保たれることにより、流体の圧力の上昇に伴って当該間隙を通過する流体の通過流量が増加するのを抑制して、前記流出流量を一定に維持するように機能する。
【0008】
この逆に、第一室2へ流入する流体の圧力が低下すると、ダイヤフラム3及び弁体3Aは開弁方向(図6において上方)へ移動する。その結果、弁座7Aと弁体3Aとの間隙が大きくなって、第一室2へ流入する流体の圧力と、第二室4の流体の圧力と、の圧力差が一定に保たれることにより、流体の圧力の低下に伴って当該間隙を通過する流体の通過流量が減少するのを抑制して、前記流出流量を一定に維持するように機能する。
【特許文献1】特開平5−99354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、上述したような従来の定流量弁における流量と、絞り部(或いは絞り要素)であるオリフィス径(オリフィスの有効断面積)と、の関係について、図5に示す模式図を参照しつつ説明する。
【0010】
図5に示したように、第一室2の流体圧をP、第二室4の流体圧をP、弁座7Aを通過した流体の圧力をP、ダイヤフラム3の有効受圧面積をA、コイルスプリングのバネ荷重をF、オリフィス5の有効断面積をS、出口通路7(弁座7A)の有効断面積をAとすると、以下の関係式が成り立つことが一般に知られている。
【0011】
・A=P・(A−A)+P・A+F
(P−P)・A=F−(P−P)・A
−P=ΔPとすると、

ΔP=P−P=(F−(P−P)・A)/A

= F/A−A/A・(P−P
となる。
【0012】
ここで、AがAに比べて十分に小さい場合、A/A項は無視することができる。更に、Fは、微小変位の場合に、F/A=constと言える。
よって、
ΔP≒F/A=const となる。
従って、流量Q=kS(ΔP)1/2=const k:比例定数
流量Q ∝ S(ΔP)1/2 ∝ S を得る。
【0013】
すなわち、流量Qは定流量(const)であり、オリフィス5の有効断面積Sに比例する関係にある。従って、微少流量を定量制御する場合、オリフィス5の有効断面積Sは微小となることが理解される。
【0014】
このため、特許文献1に記載されるような従来の定流量弁を利用して、微少流量を制御しようとした場合には、オリフィス5の有効断面積が非常に小さなものとなり、例えば、毎分1ミリリットルレベルの流量を制御する場合には、ダイヤフラム有効径およびコイルスプリングのバネ荷重を略同一とすると、より小径のオリフィスを採用しなければならない場合があり(例えばダイヤフラム有効径をφ30mm程度のサイズで設計した場合、安定した流量制御を達成するためには一定以上のコイルスプリングのバネ荷重を必要とするため、毎分1ミリリットルレベルの流量に制御する場合には、φ0.1mm以下といった小径のオリフィスの採用が必要になる)、かかる場合にはスケール、スライム、異物、塵等により目詰まり等が発生し易く、例えば定期的なメンテナンスが必要となるなど信頼性に劣るといった惧れがある。
【0015】
また、このような小径のオリフィスは、加工が困難であると共に、加工精度に流量が敏感に反応するため歩留まりも悪く、生産性に劣るといった問題がある。
【0016】
本発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、比較的安価、簡単かつコンパクトな構成でありながら、加工容易で生産性に優れ、微少流量を定量制御する場合であっても、目詰まり等の発生を抑制してメンテナンスフリーとしつつ、高精度に定量制御を行うことができ、以って生産性、信頼性の確保と定流量制御の高精度化との両立を図ることができる定流量制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明に係る定流量制御装置は、
流体通路に介装され、当該流体通路を流れる流体の流量を所定流量に制御する定流量制御装置であって、
上流側流体通路から流体が流入される第一室と、
下流側流体通路に連通される第二室と、
前記第一室と前記二室とを画成するダイヤフラムと、
前記第一室と前記第二室とを連通し、前記第一室と前記第二室との間に圧力差を生じさせる絞り部と、
前記ダイヤフラムに一体的に取り付けられる弁体と、
前記第二室と下流側流体通路とを連通する通路に臨んで設けられ、前記弁体に対応して設けられる弁座と、
前記ダイヤフラム或いは前記弁体の少なくとも一方を所定の弾性力で付勢する弾性部材と、
を含んで構成されると共に、
絞り部を通過する流体の流量は絞り部の有効断面積に比例するという関係に従わず、前記絞り部の有効断面積を所定以上に維持しつつ前記所定流量に制御可能に、前記絞り部が構成されたことを特徴とする。
【0018】
前記絞り部は、前記絞り部の流体の流れ方向長さを調整することにより、前記絞り部の有効断面積を所定以上に維持しつつ前記所定流量に制御可能に構成されることを特徴とすることができる。
【0019】
前記絞り部は、流体が流入されるパイプ状部材を含んで構成されることができる。
【0020】
前記絞り部は、
流体が流入されるパイプ状部材と、
該パイプ状部材から流出する流体を収容する容器と、
該容器から流体を流出する別のパイプ状部材と、
を少なくとも一組含んで構成されることを特徴とすることができる。
【0021】
前記絞り部は、
複数のパイプ状部材と
複数のパイプ状部材のうちの一本を当該パイプ状部材の長手方向において貫通して収容する第一貫通収容部と、残りのパイプ状部材のうちの2本をこれらパイプ状部材の長手方向において貫通しない範囲で同時に収容する少なくとも一つの第一非貫通収容部と、を有する第一部材と、
前記第一部材に対向して設けられ、前記第一貫通収容部に収容されているパイプ状部材或いは前記第一非貫通収容部の一つに収容されるパイプ状部材のうちの一本と前記第一非貫通収容部の他の一つに収容されるパイプ状部材のうちの一本とをこれらパイプ状部材の長手方向において貫通しない範囲で同時に収容する少なくとも一つの第二非貫通収容部と、前記第二非貫通収容部に収容されず前記第一非貫通収容部に収容されているパイプ状部材を当該パイプ状部材の長手方向において貫通して収容する第二貫通収容部と、を有する第二部材と、
を含んで構成され、
前記第一貫通収容部に収容されているパイプ状部材から流入した流体が、前記第二非貫通収容部と、前記第二非貫通収容部に収容されるパイプ状部材と、第一非貫通収容部と、前記第一非貫通収容部に収容されるパイプ状部材と、を順に通過して、前記第二貫通収容部に収容されているパイプ状部材から流出するように構成されることができる。
【0022】
前記絞り部は、パイプ状部材が連続した状態で折り返される或は巻回される構成を有することができる。
【0023】
前記絞り部は、前記絞り部の流体の流れ方向に所定間隔をもって並ぶ複数のオリフィスを含んで構成されることにより、前記絞り部の有効断面積を所定以上に維持しつつ前記所定流量に制御可能に構成されたことを特徴とすることができる。
【0024】
前記複数のオリフィスは、流体の流れ方向に所定間隔をもって並ぶ仕切り板に設けた開口であることを特徴とすることができる。
また、前記複数のオリフィスは、隣接する開口が流体の流れ方向から見たときに所定にオフセットして配設されることを特徴とすることができる。
【0025】
本発明は、流体の温度が変化した場合に、前記第一室と前記第二室との間の圧力差を変更して前記所定流量に制御することができるように、前記ダイヤフラム或いは前記弁体の少なくとも一方に作用する付勢力を変更する温度補償手段を備えて構成されることができる。
また、本発明は、流体の温度が変化した場合に、当該変化に従って前記第一室と前記第二室との圧力差を変更して前記所定流量を変更するように、前記ダイヤフラム或いは前記弁体の少なくとも一方に作用する付勢力を変更する流量変更手段を備えて構成されることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、比較的安価、簡単かつコンパクトな構成でありながら、加工容易で生産性に優れ、微少流量を定量制御する場合であっても、目詰まり等の発生を抑制してメンテナンスフリーとしつつ、高精度に定量制御を行うことができ、以って生産性、信頼性の確保と定流量制御の高精度化との両立を図ることができる定流量制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明に係る定流量制御装置の実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
以下の実施の形態に係る定流量制御装置の流量制御の対象物である流体は、非圧縮性流体、圧縮性流体のいずれにも適用可能である。また、水道水、純水等の液体は勿論、気体にも適用可能である。
【0028】
本発明の第一の実施の形態に係る定流量制御装置(定流量弁)100は、図1に示すように、流体通路110に介装され、該流体通路110の上流側より流体が流入される第一室120と、流体通路110の下流側と連通する第二室140と、前記第一室120と前記第二室140とを画成するダイヤフラム130と、前記ダイヤフラム130に一体的に設けられ前記第一室120と前記第二室140とを連通する絞り部150と、を含んで構成されている。
【0029】
前記絞り部150の前記第二室140側における外部形状は、弁体150Aとしての形状を有している。
前記第二室140と下流側の流体通路110とを連通する出口通路170の入口部には、当該弁体150Aに対応する弁座170Aが設けられており、当該弁座170Aに対する前記弁体150Aの相対位置の変化により流路面積を所定に制御可能に構成されている。
【0030】
また、前記第一室120と前記第二室140との圧力差ΔPに抗するように(前記ダイヤフラム130延いては前記弁体150Aの変位に抗するように)、当該ダイヤフラム130延いては前記弁体150Aを所定に付勢する弾性部材としてコイルスプリング160及びコイルスプリング180が配設されている。
【0031】
ここで、本実施の形態に係る絞り部150について詳細に説明する。
既述したように、この種の定流量弁を利用して微少流量を制御しようとした場合には、絞り部であるオリフィスの有効断面積が非常に小さなものとなり、スケール、スライム、異物、塵等により目詰まり等が発生し易く、例えば定期的なメンテナンス等が必要となるといった惧れがある。また、このような小径のオリフィスは、加工が困難であると共に、加工精度に流量が敏感に反応するため歩留まりも悪く、生産性に劣るといった問題がある。
【0032】
このため、本発明者等は、目詰まり等を発生させることなく定流量制御を高精度に達成しつつ同時に生産性も確保することができる定流量制御装置を提供すべく、種々の調査及び研究実験を繰り返した結果、以下の知見を得た。
すなわち、本発明者等は、第一室120、ダイヤフラム130、第二室140、第一室120と第二室140とを連通する絞り部150を備える種類の定流量制御装置であっても、目詰まり等を発生させることなく定流量制御を高精度に達成しつつ同時に生産性も確保することができる絞り部の構造を見い出した。
具体的には、本発明は、その根拠を「ハーゲン−ポアズイユの法則」に求めている。
つまり、
流量Q=(πr/8η)×(ΔP/L)
r:管の内径、η:流体の粘度、ΔP:圧力損失、L:流れ方向の長さ
なる関係に基づけば、同じ流量Qを得る場合、η及びΔPが変わらないとすれば、L(流れ方向の長さ)を大きくすることで、r(管の内径)を大きくすることができ、以って目詰まり等を発生させることなく定流量制御を高精度に達成しつつ同時に生産性も確保することができる定流量制御装置に適した絞り部を提供可能であるという知見を得た。
【0033】
かかる知見に基づいて、本実施の形態に係る絞り部150は、流体の流れ方向の長さLを長くする構成が採用されている。
詳細には、本実施の形態に係る絞り部150は、図1に示したように、第一室120側には、ダイヤフラム130の略中央部に取り付けられ開口部152を有する円板状部材151が配設されている。そして、この円板状部材151のダイヤフラム130を挟んで反対側(すなわち、第二室120側)には、前記コイルスプリング160の内側を図中下方に延伸し、先端部に弁体150Aを有する第二室側部材154が配設されている。
【0034】
前記第二室側部材154には、図1において上方が開口され下端側が下端壁156によって閉じられた内筒部(空間)155と、前記下端壁156の一部に開口され前記第二室140と連通する連通路157と、が設けられると共に、図1において下方に向かって延伸するように下端壁156から前記弁体150Aが所定に突出して配設されている。
【0035】
そして、前記内筒部155には図2に示すような絞り要素200が挿入され、当該絞り要素200は、図1に示したように、前記円板状部材151と前記第二室側部材154とがアッセンブリされたときに、前記円板状部材151の凹部153と、前記第二室側部材154の内筒部155と、に収容され、例えば、図1において上下方向から押圧されることで固定されるようになっている。
【0036】
なお、本実施の形態に係る絞り要素200は、図2の(A)にその斜視図で示すように、第一部材210と、例えば、ゴム、ウレタン、シリコン等の樹脂系材料からなるシール部材220と、前記第一部材210の前記シール部材220を挟んで反対側に配設される第二部材230と、を含んで構成される。
【0037】
前記シール部材220には、図2の(B)に示すように、オリフィスとして機能するパイプ状部材240、241、242が、例えば、使用流体が水である場合は、前記シール部材220とパイプ状部材240、241、242との間に所定の水密性をもって挿通されて保持される。ただし、シール部材220は、使用流体に応じた所定のシール性(水密性、油密性、或いは気密性など)を達成できる場合には金属製等とすることも可能である。
【0038】
前記第一部材210は、例えば、金属材料、或はプラスチック等の樹脂系材料からなる中実(ソリッド)の円柱部材に、入口側通路211が上面210Aから下面210Bまで貫通して形成されると共に、凹部212が下面210B側から開口され上面210Aを貫通しない所定の深さ(例えば、パイプ状部材241、242が底突き等しない深さ:図1、図2(A)参照)をもって形成されている。
【0039】
そして、図2の(A)に示したように、入口側通路211にはパイプ状部材240が挿入される。
前記凹部212は、所定間隔で前記シール部材220に保持されているパイプ状部材241、242を同時に挿入可能に、パイプ状部材241、242の挿入方向と略直交する平面で切断した断面形状が例えば長円状に形成されている。
【0040】
一方、前記第二部材230は、前記第一部材210と同様に、例えば、金属材料、或はプラスチック等の樹脂系材料からなる中実(ソリッド)の円柱部材を用いて形成されており、凹部231が上面230A側から所定深さ(例えば、パイプ状部材240、241が底突き等しない深さ:図1、図2(A)参照)をもって下面230Bを貫通することなく形成され、出口側通路232が上面230Aから下面230Bまで貫通して形成されている。
【0041】
そして、前記凹部231は、所定間隔で前記シール部材220に保持されているパイプ状部材240、241を同時に挿入可能に、パイプ状部材240、241の挿入方向と略直交する平面で切断した断面形状が例えば長円状に形成されており、出口側通路232にはパイプ状部材242が挿入されるようになっている。
【0042】
すなわち、本実施の形態に係る絞り要素200は、第一部材210と、シール部材220と、第二部材230と、を、図2の(A)及び図1に示すようにアッセンブリして使用されるが、当該絞り要素200においては、第一室120内の流体が、前記円板状部材151の開口部152を介して、図2(A)で矢印で示すように、前記第一部材210に形成されている入口側通路211延いてはパイプ状部材240に流入する。
【0043】
その後、流体はパイプ状部材240を通って、前記第二部材230に形成されている凹部231に流入する。更に、流体は凹部231に臨んで配設されているパイプ状部材241に流入し、前記第一部材210に形成されている凹部212に流入することになる。
【0044】
そして、凹部212に流入した流体は、凹部212に臨んで配設されているパイプ状部材242に流入し、当該パイプ状部材242を通って前記第二部材230に形成されている出口側通路232から流出されることになる。
【0045】
ここで、図1の全体構成図に戻って、本実施の形態に係る定流量制御装置100の流量制御の対象物である流体の全体的な流れについて説明する。
本実施の形態に係る定流量制御装置100においては、上流側の流体通路110から第一室120へ流入した流体は、開口部152を通って絞り要素200の入口側通路211へ流入する。その後、絞り要素200では、前述したように、パイプ状部材240、241、242の順番で流体を通過させて所定に減圧した後、出口側通路232から流体を流出する。この絞り要素200を通過した流体は、前記内筒部155へ流出した後、前記第二室側部材154の下端壁156に設けられている連通路157を介して、前記第二室140へ流出される。そして、流体は、一定流量になるように所定の絞り効果をもった弁座170Aと弁体150Aとの間隙を通過して、出口通路170延いては下流側の流体通路110へ流出されることになる。
【0046】
また、本実施の形態に係る定流量制御装置100における一定流量になるような所定の絞り効果は、以下のように作用して、当該定流量制御装置100を通過する流体の流量を所定流量(目標流量)に制御する。
すなわち、上流側の流体通路110から第一室120への流体の流入流量と、弁座170Aと弁体150Aとの間を通過して流出する流出流量と、が等しい状態から、例えば、第一室120へ流入する流体の圧力が上昇して、第二室140との圧力差が設定差圧より高くなると、ダイヤフラム130及び弁体150Aはコイルスプリング160(及びコイルスプリング180(当該コイルスプリング180については後述する))の弾性力に抗して閉弁方向(図1において下方)へ移動される。その結果、弁座170Aと弁体150Aとの間隙が小さくなって、第一室120へ流入する流体の圧力と、第二室140の流体の圧力と、の圧力差が一定に保たれることにより、流体の圧力の上昇に伴って当該間隙を通過する流体の通過流量が増加するのを抑制して、前記流出流量を一定に維持するように機能する。
【0047】
この逆に、第一室120へ流入する流体の圧力が低下すると、ダイヤフラム130及び弁体150Aは開弁方向(図1において上方)へ移動する。その結果、弁座170Aと弁体150Aとの間隙が大きくなって、流体の圧力の低下に伴って当該間隙を通過する流体の通過流量が減少するのを抑制して、前記流出流量を一定に維持するように機能する。
【0048】
このように、本実施の形態に係る定流量制御装置100によれば、絞り要素200において、パイプ状部材240、241、242を設け、流体をこれらを順番に通過させることで、流体が通過する絞り要素200における流体の流れ方向長さを稼ぐことができるようにしたので、同一の流量に制御をする場合に、図6に示すような従来の定流量弁に比べて、絞り部150の絞り要素200の有効断面積を大きくすることができる。
【0049】
このため、本実施の形態に係る定流量制御装置100によれば、微少流量に制御する場合、オリフィス径が小さく、スケール、スライム、異物、塵等により目詰まり等が発生し易く、例えば定期的なメンテナンスが必要になるなどといった惧れを効果的に抑制することができる。なお、目詰まり等に対しては、絞り要素200内流路における流体の流れ方向に略直交する平面で切断した断面の断面形状は円形状であることが、異物等とのクリアランスの点で有利であるが、これに限定されるものではない。また、従来の小径のオリフィスを用いた定流量弁では、特に純水の場合、細菌等が混入すると増殖してオリフィスを詰まらせてしまうなどの惧れもあるが、このような惧れも効果的に抑制することができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、絞り部(或いは絞り要素)の径を大きくできるので、加工を容易なものとすることができると共に、例えば、小径で短尺な従来の絞り部としてのオリフィスに比べ大径で長尺な絞り部(或いは絞り要素)は加工精度に対する流量変化が鈍化されるため歩留まり性も良く、生産性や製品品質等の向上を図ることができると共に、延いては低コスト化を促進することができる。
【0051】
特に、毎分100ミリリットルレベル以下といった微少流量を目標制御流量とするような場合には、ダイヤフラムを同一サイズとすると、従来の定流量弁ではオリフィス径が微小になり過ぎて上記欠点が顕著になるため、このような微少流量を目標制御流量とするような領域において本発明は極めて有益なものとなる。例えば、従来の定流量弁ではオリフィス径をφ0.1mm以下となるような場合でも、本実施の形態によれば、ダイヤフラムを従来の定流量弁と同一サイズとしても、絞り要素の内径をφ0.1mmより大きく、例えばφ0.4mm程度まで広げることができる(後述する他の実施の形態においても同様)。
【0052】
ところで、本実施の形態では、絞り要素200を、3本のパイプ状部材240、241、242と、一のパイプ状部材から他のパイプ状部材に流体を送るための通路(容器)を、前記第一部材220及び第二部材230にそれぞれ設けた凹部211、231と、シール部材220と、で形成する構成としたので、絞り部を長尺化しつつ絞り部の小型・短小化を図れると共に、加工や加工精度の維持が難しい小径の絞り要素の曲げ加工等を必要としないため、生産性や製品の信頼性等を高いレベルで維持することができると共に、低コスト化を促進することができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、絞り要素200を、3本のパイプ状部材240、241、242に分割して説明したが、これに限定されるものではなく、2本のパイプ状部材に分割する場合にも適用でき、更には絞り要素200の流体の流れ方向長さをより一層長くしたい場合や軸方向においてより小型化を図りたいような場合には、4本以上のパイプ状部材を配設し、これらに対応するように凹部212、231を少なくとも一つ以上設けるように構成することもできるものである。
【0054】
ところで、本実施の形態では、コイルスプリング180が、コイルスプリング160のダイヤフラム130を挟んで反対側に配設され、ダイヤフラム130延いては弁体150Aに対して前記コイルスプリング160とは逆方向から所定に弾性力を付与するようになっている。
【0055】
当該コイルスプリング180は、温度に応じて横弾性係数(ばね常数)が変化する形状記憶合金で形成されており、本発明に係る温度補償手段として、以下のように機能する。
すなわち、制御の対象物である流体の温度が変化すると流体の粘度が変化するため、流体の絞り部に対する通過特性が変化し、以って制御流量が変化してしまうといった惧れがあるが、このような温度変化に起因する制御精度の低下を防止するために、コイルスプリング180は配設されている。
【0056】
つまり、コイルスプリング180を備えていない場合には、例えば、流体が液体の場合、第一室120へ流入する流体の温度が上昇すると、流体の粘性が上昇するため、絞り要素200を流体は通過し易くなって、弁座170Aと弁体150Aとの間隙を通過する流体の通過流量が増加することになる。
【0057】
しかし、コイルスプリング180は前記温度上昇分だけ横弾性係数(ばね常数)が大きくなるように作用して、流体の粘度変化による流量変化を補正する分だけΔPを補正すべく、コイルスプリング160の弾性力に抗してダイヤフラム130及び弁体150Aを図中下方へ押し下げることになる。これにより、流体の温度上昇に伴って当該間隙を通過する流体の通過流量が増加するのを抑制して、前記流出流量を一定に維持するように機能する。
【0058】
この逆に、第一室120へ流入する流体(液体)の温度が低下すると、流体の粘性が増加するため、絞り要素200を流体は通過し難くなって、弁座170Aと弁体150Aとの間隙を通過する流体の通過流量が減少することになる。
【0059】
しかし、コイルスプリング180は前記温度低下分だけ横弾性係数(ばね常数)が小さくなるように作用して、流体の粘度変化による流量変化を補正する分だけΔPを補正すべく、ダイヤフラム130及び弁体150Aを図1中上方へ移動させることになる。これにより、流体の温度低下に伴って当該間隙を通過する流体の通過流量が低下するのを抑制して、前記流出流量を一定に維持するように機能する。
なお、流体が気体の場合には、液体の場合とは逆で、気体の温度が上昇するほど気体の粘度は高くなり、気体の温度が低下するほど気体の粘度が低くなるため、温度に対する弁体150Aの動きは、上述した液体の場合と逆になる。ただし、流体の粘度変化による流量変化を補正する分だけΔPを補正するように弁体150を移動させることで、流出流量を一定に維持するように機能する点では同じである。
【0060】
従って、温度補償用のコイルスプリング180を備えた本実施の形態に係る定流量制御装置100によれば、制御の対象物である流体の温度に変化が生じた場合でも、高精度に定流量制御を行うことができることになる。
ところで、上記では、流体の温度に変化が生じた場合においても温度変化前と同じ所定流量に流量を制御できるようにした場合について説明したが、温度に応じて横弾性係数(ばね常数)が変化する形状記憶合金で形成されたコイルスプリングを用いて、温度変化に応じて前記所定流量を変更させるような制御を行わせることも可能である。
すわなち、流体の温度変化に応じて、所定流量が得られるΔPとなるように、コイルスプリングの横弾性係数(ばね常数)の変化を利用して弁体150を移動させるように構成すれば、温度変化前の目標流量に対して、温度変化に伴うΔPの変化分に応じた流量を付加すること或いは減ずることができ、従って温度変化後の新たな目標流量に流量を制御することができることになる。かかる場合における、温度に応じて横弾性係数(ばね常数)が変化する形状記憶合金で形成されたコイルスプリングは、本発明に係る流量変更手段に相当することになる。
【0061】
なお、ここでは、形状記憶合金を用いて温度補償或いは流量変更を行うものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、コイルスプリング180のスプリングシート部等を図1中上下方向に可動な構成とし、当該スプリングシート部を温度に応じて作動するワックスペレット型のアクチュエータやバイメタル等を用いて図中上下方向に移動させる構成などとして温度補償或いは流量変更させることも可能である。
【0062】
次に、本発明の第二の実施の形態について説明する。
第二の実施の形態は、第一の実施の形態において説明した定流量制御装置100に対して、絞り部150に備えられる絞り要素の構成が異なっている。
従って、当該構成が異なる絞り要素について詳細に説明することとして、第一の実施の形態と同様の要素については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0063】
第二の実施の形態では、第一の実施の形態に係る絞り要素200の代わりに、図3に示すような長尺のパイプを複数回巻回して形成したコイル状の絞り要素(キャピラリオリフィス)300を用いている。符号301は、絞り要素300を収容し、前記絞り部150の内筒部155に収容される収容部材である。
【0064】
なお、本実施の形態においても、「ハーゲン−ポアズイユの法則」に基づいて、絞り部の流体の流れ方向長さLを長くすることで、絞り部の有効断面積Sを大きくする、という思想を利用している点では、第一の実施の形態と同様である。
【0065】
かかる長尺のコイル状の絞り要素300を備えた第二の実施の形態によれば、第一の実施の形態と同様に、従来の定流量弁に対して流体が通過する絞り要素の流体の流れ方向長さを長くできるので、同一の流量に制御をする場合に、従来の定流量弁と比べて、絞り要素の有効断面積を大きくすることができる。このため、微少流量に制御する場合、オリフィス径が小さく、スケール、スライム、異物、塵等により目詰まり等が発生し易く、例えば定期的なメンテナンスが必要になるなどといった惧れを効果的に抑制することができる。また、従来の小径のオリフィスを用いた定流量弁では、特に純水の場合、細菌等が混入すると増殖してオリフィスを詰まらせてしまうなどの惧れもあるが、このような惧れも効果的に抑制することができる。
【0066】
続けて、本発明の第三の実施の形態について説明する。
第三の実施の形態は、第一の実施の形態において説明した定流量制御装置100に対して、絞り部150に備えられる絞り要素の構成が異なっている。
従って、当該構成が異なる絞り要素について詳細に説明することとして、第一の実施の形態と同様の要素については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0067】
すなわち、第三の実施の形態では、第一の実施の形態に係る絞り要素200の代わりに、図4に示すような多段オリフィス400を用いている。
なお、本実施の形態においては、流体がオリフィスを通過するときに圧力(延いてはエネルギ)を損失することを利用し、オリフィスを多段に設けることでその圧力(エネルギ)損失を大きなものとすることで、同一流量であれば、各オリフィスの有効断面積Sを大きくすることができる、という特性を利用している。
【0068】
詳細には、本実施の形態に係る多段オリフィス400は、図4に示すように、円筒部401の軸方向に並んで複数段の仕切り板402を配設して構成されている。
そして、図4中最上段の仕切り板402には、上流側の流体通路110から第一室120へ流入した流体を、開口部152を介してオリフィス400内に導くための導入口403が当該仕切り板402の外周部近傍に開口されている。
また、図4中上から2段目の仕切り板402には、開口部404が、前記導入口403の開口位置と軸方向から見たときに完全に重複しないように、前記導入口403の開口位置に対して周方向に所定のズレをもって開口されている。
更に、図中上から3段目の仕切り板402には、開口部405が、前記開口部404の開口位置と軸方向から見たときに完全に重複しないように、前記開口部404の開口位置に対して周方向に所定のズレをもって開口されている。
【0069】
すなわち、開口部404〜411は、隣り合う開口部同士が、軸方向から見たときに完全に重複しないように、隣接する開口部の開口位置に対して所定のズレ(オフセット)をもって開口される。
なお、図中最下段の仕切り板402には、上流側の開口部411から流入した流体を、内筒部155へ流出させ第二室側部材154の下端壁156に設けられている連通路157を介して第二室140へ流出させるための導出口412が、当該仕切り板402の外周部近傍に開口されている。かかる導出口412は、隣接する開口部411と軸方向から見たときに完全に重複しないように、開口部411の開口位置に対して周方向に所定のズレをもって開口される。
【0070】
このように、導入口403、開口部404〜411、導出口412は、隣接するもの同士が軸方向から見たときに完全に重複しないように所定のズレ(オフセット)をもって開口されているが、これはこのように互い違いに配設することにより、これらを同一直線上で完全に重複するように配設する場合に比べ、より一層圧力損失を大きくすることができ、各オリフィスの有効断面積Sをより大きくすることができるためである。
【0071】
なお、要求度合いに応じて、多段オリフィスの段数を変更可能であることは勿論であるし、各開口部の一部或は全部を互い違いに配設せず同一直線上で重複するように配設することも可能である。また、全部或いは一部の開口の大きさや形状を異ならせることもできるものである。
【0072】
かかる多段オリフィス400を備えた第三の実施の形態によれば、第一の実施の形態と同様に、同一の流量に制御をする場合に、従来の定流量弁と比べて、オリフィスの有効断面積を大きくすることができる。このため、微少流量に制御する場合、オリフィス径が小さく、スケール、スライム、異物、塵等により目詰まり等が発生し易く、例えば定期的なメンテナンスが必要になるなどといった惧れを効果的に抑制することができる。また、従来の小径のオリフィスを用いた定流量弁では、特に純水の場合、細菌等が混入すると増殖してオリフィスを詰まらせてしまうなどの惧れもあるが、このような惧れも効果的に抑制することができる。
【0073】
ところで、上記の実施の形態においては、弾性部材としてコイルスプリング160を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、ダイヤフラムの中心軸の複数の放射方向に板バネ形状のものを所定間隔で配設したり、ゴムなどを利用することができる。また、コイルスプリング180も、コイルスプリング160と同様で、温度変化に従って反りや長さなどが変化する板バネ形状のもの等を用いることができるものである。
【0074】
また、前記第一部材210に設けられる凹部212、前記第二部材230に設けられる凹部231は、例えば、フライス加工等による機械加工、放電加工、或いは鋳造、ダイキャスト、射出成形等の成形加工などにより形成することができるが、第一部材210や第二部材230の凹部212や凹部231に相当する部分を機械加工等により貫通し、その後、凹部212や凹部231の形状となるように蓋部材等でその貫通箇所を閉じるようにして形成することもできるものである。
【0075】
なお、以上で説明した実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、比較的安価、簡単かつコンパクトな構成でありながら、加工容易で生産性に優れ、微少流量を定量制御する場合であっても、目詰まり等の発生を抑制してメンテナンスフリーとしつつ、高精度に定量制御を行うことができ、以って生産性、信頼性の確保と定流量制御の高精度化との両立を図ることができ、浄水システム、浴室サウナ装置、気体溶解装置、純水提供装置、水質調査装置、半導体製造装置、燃料電池システム等に利用される流体を所定流量に制御する定流量制御装置として有益である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る定流量制御装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】同上実施の形態に係るオリフィスの構成例を示す斜視図である。
【図3】本発明の第二の実施の形態に係るオリフィスの構成例を示す図である。
【図4】本発明の第三の実施の形態に係るオリフィスの構成例を示す図である。
【図5】定流量弁における流量とオリフィス径との関係について説明するための模式図である。
【図6】従来の定流量弁の構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0078】
100 定流量制御装置
110 流体通路
120 第一室
130 ダイヤフラム
140 第二室
150 絞り部
150A 弁体
160 コイルスプリング
170A 弁座
180 温度補償用コイルスプリング(温度補償手段)
200 絞り要素
210 第一部材
211 入口側通路
212 凹部
220 シール部材
230 第二部材
231 凹部
232 出口側通路
240〜242 パイプ状部材
300 コイル状のオリフィス(キャピラリオリフィス)
400 多段オリフィス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体通路に介装され、当該流体通路を流れる流体の流量を所定流量に制御する定流量制御装置であって、
上流側流体通路から流体が流入される第一室と、
下流側流体通路に連通される第二室と、
前記第一室と前記二室とを画成するダイヤフラムと、
前記第一室と前記第二室とを連通し、前記第一室と前記第二室との間に圧力差を生じさせる絞り部と、
前記ダイヤフラムに一体的に取り付けられる弁体と、
前記第二室と下流側流体通路とを連通する通路に臨んで設けられ、前記弁体に対応して設けられる弁座と、
前記ダイヤフラム或いは前記弁体の少なくとも一方を所定の弾性力で付勢する弾性部材と、
を含んで構成されると共に、
絞り部を通過する流体の流量は絞り部の有効断面積に比例するという関係に従わず、前記絞り部の有効断面積を所定以上に維持しつつ前記所定流量に制御可能に、前記絞り部が構成されたことを特徴とする定流量制御装置。
【請求項2】
前記絞り部が、前記絞り部の流体の流れ方向長さを調整することにより、前記絞り部の有効断面積を所定以上に維持しつつ前記所定流量に制御可能に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の定流量制御装置。
【請求項3】
前記絞り部が、流体が流入されるパイプ状部材を含んで構成されることを特徴とする請求項2に記載の定流量制御装置。
【請求項4】
前記絞り部は、
流体が流入されるパイプ状部材と、
該パイプ状部材から流出する流体を収容する容器と、
該容器から流体を流出する別のパイプ状部材と、
を少なくとも一組含んで構成されることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一つに記載の定流量制御装置。
【請求項5】
前記絞り部は、
複数のパイプ状部材と
複数のパイプ状部材のうちの一本を当該パイプ状部材の長手方向において貫通して収容する第一貫通収容部と、残りのパイプ状部材のうちの2本をこれらパイプ状部材の長手方向において貫通しない範囲で同時に収容する少なくとも一つの第一非貫通収容部と、を有する第一部材と、
前記第一部材に対向して設けられ、前記第一貫通収容部に収容されているパイプ状部材或いは前記第一非貫通収容部の一つに収容されるパイプ状部材のうちの一本と前記第一非貫通収容部の他の一つに収容されるパイプ状部材のうちの一本とをこれらパイプ状部材の長手方向において貫通しない範囲で同時に収容する少なくとも一つの第二非貫通収容部と、前記第二非貫通収容部に収容されず前記第一非貫通収容部に収容されているパイプ状部材を当該パイプ状部材の長手方向において貫通して収容する第二貫通収容部と、を有する第二部材と、
を含んで構成され、
前記第一貫通収容部に収容されているパイプ状部材から流入した流体が、前記第二非貫通収容部と、前記第二非貫通収容部に収容されるパイプ状部材と、第一非貫通収容部と、前記第一非貫通収容部に収容されるパイプ状部材と、を順に通過して、前記第二貫通収容部に収容されているパイプ状部材から流出するように構成されることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の定流量制御装置。
【請求項6】
前記絞り部は、パイプ状部材が連続した状態で折り返される或は巻回される構成を有することを特徴とする請求項3に記載の定流量制御装置。
【請求項7】
前記絞り部が、前記絞り部の流体の流れ方向に所定間隔をもって並ぶ複数の絞り部を含んで構成されることにより、前記絞り部の有効断面積を所定以上に維持しつつ前記所定流量に制御可能に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の定流量制御装置。
【請求項8】
前記複数の絞り部は、流体の流れ方向に所定間隔をもって並ぶ仕切り板に設けた開口であることを特徴とする請求項7に記載の定流量制御装置。
【請求項9】
隣接する開口が、流体の流れ方向から見たときに所定にオフセットして配設されることを特徴とする請求項8に記載の定流量制御装置。
【請求項10】
流体の温度が変化した場合に、前記第一室と前記第二室との間の圧力差を変更して前記所定流量に制御することができるように、前記ダイヤフラム或いは前記弁体の少なくとも一方に作用する付勢力を変更する温度補償手段を備えて構成したことを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか一つに記載の定流量制御装置。
【請求項11】
流体の温度が変化した場合に、当該変化に従って前記第一室と前記第二室との間の圧力差を変更して前記所定流量を変更するように、前記ダイヤフラム或いは前記弁体の少なくとも一方に作用する付勢力を変更する流量変更手段を備えて構成したことを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか一つに記載の定流量制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−232196(P2008−232196A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69377(P2007−69377)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(391026287)富士精工株式会社 (25)
【Fターム(参考)】