説明

定着装置及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】定着装置における被加熱体に対する温度検知部のための電線が高温に晒されるのをできるだけ抑制することが可能であり、安全性の向上が図られた定着装置を提供する。
【解決手段】定着装置20は、ヒーター23と、ヒーター23が加熱する熱ローラー21の温度を検知するための温度検知部24と、ヒーター23と熱ローラー21と温度検知部24とを収納するハウジング30と、温度検知部24を設置するためにハウジング30に設けられた検知部設置室31と、温度検知部24に接続された電線25を配線するためにハウジング30の熱ローラー21に対して検知部設置室31を隔てた外側の箇所に設けられた配線室32と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未定着トナーを加熱、加圧して用紙表面に定着するための定着装置に関する。また、この定着装置を搭載した複写機やプリンター、ファクシミリといった画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター、ファクシミリといった画像形成装置においては、転写部で用紙に転写された未定着トナー像を定着させる方法として熱定着方式が広く用いられている。熱定着方式ではローラーやベルトで構成される2個の回転部材を互いに圧接させてニップを形成する。そして、熱定着方式は加熱体を用いて回転部材のうち一方或いは両方を被加熱体として加熱し、ニップに未定着トナー像を担持した用紙を挿通することにより用紙にトナーを定着するものである。熱定着方式の定着装置としては、互いに圧接し合うローラー対を構成する2個のローラーのうち、用紙のトナー像に直接接触するローラーを熱ローラーとし、この熱ローラーにハロゲンランプ等の加熱体を内蔵したものが一般的である。
【0003】
ここで、定着装置では被加熱体の表面温度が意図しない高温に温度上昇するという問題が起こり得ることが懸念されている。被加熱体の表面温度が異常な高温にまで上昇すると、被加熱体が破損したり、被加熱体の周辺の構成部材に悪影響を及ぼしたりする恐れがある。また、ニップに挿通された用紙が焼損してしまう可能性もある。
【0004】
このような問題を解決すべく、被加熱体の表面温度が異常な高温にまで上昇することを防止することが可能な定着装置が提案され、その一例を特許文献1に見ることができる。特許文献1に記載された定着装置は温度センサの一種であるサーモスタットで構成される昇温安全装置によって加熱ローラーの表面温度を監視している。そして、この従来の定着装置は加熱ローラーが過熱状態になる前にサーモスタットを用いてヒーターへの通電を遮断することにより加熱ローラーの表面温度が異常な高温にまで上昇することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−33706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された定着装置はサーモスタットの配線が加熱ローラーに近接する収容凹部に収容されているので、その配線が高温に晒される可能性がある。これにより、配線が焼損する虞があることが懸念され、定着装置の安全性に不安が生じる。したがって、予め配線全体の耐熱性を高めておく必要があり、定着装置が高コスト化する虞がある。
【0007】
また、配線の温度上昇を防止するために配線が収容されている収容凹部に風を送り込むことが考えられる。しかしながら、収容凹部は加熱ローラーに近接しているので風が加熱ローラーに当たる虞がある。これにより、加熱ローラーを定着温度まで上昇させることができなかったり、適温に維持できなかったりする可能性がある。その結果、定着装置として十分な性能を発揮できず、トナー像の定着不良が発生することが懸念される。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、定着装置における被加熱体の温度検知部のための電線が高温に晒されるのをできるだけ抑制することが可能であり、安全性の向上が図られた定着装置を提供することを目的とする。また、このような定着装置を搭載した安全性の向上が図られた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の定着装置は、加熱体と、前記加熱体が加熱する被加熱体の温度を検知するための温度検知部と、前記加熱体と前記被加熱体と前記温度検知部とを収納するハウジングと、前記温度検知部を設置するために前記ハウジングに設けられた検知部設置室と、定着装置で利用される電線を配線するために前記ハウジングの前記被加熱体に対して前記検知部設置室を隔てた外側の箇所に設けられた配線室と、を備えることとした。
【0010】
この構成によれば、電線を配線するため配線室が被加熱体に対して検知部設置室を隔てた箇所に設けられているので、電線の多くは検知部設置室の分だけ被加熱体から離間することになる。したがって、電線の多くは被加熱体が発する熱の影響を受け難くなり、高温に晒されることが抑制される。さらに、電線の温度上昇を防止するために配線室に風を送り込んだ場合でも、被加熱体の箇所に風が流れ込むことが抑制される。
【0011】
また、上記構成の定着装置において、前記配線室は、前記ハウジングの外周に隣接して設けられていることとした。
【0012】
この構成によれば、ハウジングの外面からの放熱が期待できるので、配線室、すなわち電線の温度上昇が一層抑制される。
【0013】
また、上記構成の定着装置において、前記配線室は、前記ハウジングに関する外側が外側壁で覆われ、前記外側壁から延びて前記被加熱体との間の箇所に設けられて前記外側壁との間に前記電線の配線空間を形成する隔離壁を備えることとした。
【0014】
この構成によれば、配線室の被加熱体との間の箇所に隔離壁が設けられているので、この隔離壁が被加熱体の熱に対する断熱部材となる。したがって、電線はさらに熱の影響を受け難くなり、高温に晒されることが抑制される。
【0015】
また、上記構成の定着装置において、前記配線室は、前記隔離壁の前記外側壁から延びた先端側と前記外側壁内面との間に設けられて前記電線の前記配線空間からの脱離を阻止するための複数のガイド片を備えることとした。
【0016】
この構成によれば、複数のガイド片が電線の配線空間からの脱離を阻止しているので、電線を配線室内に留めておく作用が得られる。したがって、電線の温度上昇がさらに抑制される。
【0017】
また、上記構成の定着装置において、前記複数のガイド片は、隣り合う2個の前記ガイド片のうち、一方の前記ガイド片が前記隔離壁の前記先端側から前記外側壁内面に向かって延び、他方の前記ガイド片が前記外側壁内面から前記隔離壁に向かって延びるとともに互いに略平行をなして延び、前記一方のガイド片の先端部が前記他方のガイド片の先端部より根元側に存在することとした。
【0018】
この構成によれば、電線が延びる方向から見ると、隔離壁と外側壁との双方から延びるガイド片の互いの先端部分が重なっているので、電線はこの重なった箇所に引っ掛かって配線室からさらに脱離し難くなる。したがって、電線を配線室内に留めておく作用が高められ、電線の温度上昇が一層抑制される。
【0019】
また、上記構成の定着装置において、前記複数のガイド片は、前記配線空間側の一面が略同一平面内に存在することとした。
【0020】
この構成によれば、配線室内において電線が真っ直ぐ延びるように配線できる。したがって、電線は配線室からさらに脱離し難くなり、電線が常時折れ曲げられることにより生じる虞のある電線の損耗の阻止も期待できる。
【0021】
また本発明では、上記構成の定着装置を画像形成装置に搭載することとした。
【0022】
この構成によれば、画像形成装置の定着装置において、被加熱体の温度検知部の電線は被加熱体が発する熱の影響を受け難くなり、高温に晒されることが抑制される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の構成によれば、定着装置における被加熱体に対する温度検知部のための電線が高温に晒されるのをできるだけ抑制することが可能であり、安全性の向上が図られた定着装置を提供することができる。また、このような定着装置を搭載した安全性の向上が図られた画像形成装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る定着装置を搭載した画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。
【図2】図1に示す定着装置の垂直断面正面図である。
【図3】図1に示す画像形成装置の定着装置の斜視図である。
【図4】図3に示す定着装置の部分拡大斜視図である。
【図5】図3に示す定着装置の部分上面図である。
【図6】図2に示す定着装置の垂直断面部分拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図1〜図6に基づき説明する。
【0026】
最初に、本発明の実施形態に係る定着装置を搭載した画像形成装置について、図1を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。図1中の、実線矢印は用紙の搬送経路及び搬送方向を、一点鎖線矢印はレーザ光Lを示す。
【0027】
図1に示すように、画像形成装置1の本体2の内部下方には給紙カセット3が配置されている。給紙カセット3はその内部に印刷前のカットペーパーなどの用紙Pを積載して収容している。そして、この用紙Pは図1において給紙カセット3の左上方に向け、1枚ずつ分離されて送り出される。給紙カセット3は本体2の正面側から水平に引き出すことが可能である。
【0028】
本体2の内部であって給紙カセット3の左方には用紙搬送部4が備えられている。用紙搬送部4は本体2の左側面に沿って略垂直に形設されている。そして、用紙搬送部4は給紙カセット3から送り出された用紙Pを受け取り、本体2の左側面に沿って垂直上方に転写部5まで搬送する。
【0029】
一方、画像形成装置1の本体2の上面には原稿搬送装置6が、その下方の本体2内には画像読取部7が搭載されている。利用者が原稿の複写を行う場合には、文字や図形、模様などの画像が描かれた原稿を原稿搬送装置6に積載したり、画像読取部7上面の図示しないコンタクトガラス上に載置したりする。原稿搬送装置6では1枚ずつ分離して原稿が送り出され、画像読取部7によってその画像が読み取られる。コンタクトガラス上の原稿に対しては画像読取部7内で光を走査させることによって画像が読み取られる。
【0030】
原稿画像の読み取りや印刷の開始は本体2の上部であって画像読取部7の正面側に備えられた操作パネル8を用いて実行される。操作パネル8は、例えば利用者による印刷に使用する用紙Pの種類やサイズ、拡大縮小、両面印刷の有無といった印刷条件などの設定を受け付けたり、注意事項やエラーメッセージなどを利用者に対して報知したりする。
【0031】
原稿の画像データの情報は給紙カセット3の上方であって、本体2の中央部に配置された露光部9に送られる。露光部9により、画像データに基づいて制御されたレーザ光Lが画像形成部10に向かって照射される。
【0032】
用紙搬送部4の上方であって露光部9の左方には画像形成部10及び転写部5が備えられている。画像形成部10では露光部9によって照射されたレーザ光Lにより原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。トナーは露光部9の上方に備えられたトナーコンテナー11から画像形成部10に補給される。画像形成部10で形成されたトナー像は用紙搬送部4によって同期をとって送られてきた印刷前の用紙Pに転写部5にて転写される。
【0033】
転写部5の上方には定着装置20が備えられている。転写部5にて未定着トナー像を担持した用紙Pは定着装置20へと送られ、熱ローラー21と加圧ローラー22とによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
【0034】
定着装置20の上方には用紙案内部12が備えられている。定着装置20から排出された用紙Pは両面印刷を行わない場合、用紙案内部12から画像形成装置1の上部胴内に設けられた胴内用紙排出部13に排出される。
【0035】
用紙案内部12から胴内用紙排出部13に向かって用紙Pが排出されるその排出口部分はスイッチバック部14としての機能を果たす。両面印刷を行う場合にはこのスイッチバック部14において定着装置20から排出された用紙Pの搬送方向が切り替えられる。そして、用紙Pは用紙案内部12を通過し、定着装置20の左方及び転写部5の左方に設けられた両面印刷用用紙搬送路15を通して下方に送られ、再度用紙搬送部4を経て転写部5へと送られる。
【0036】
続いて、定着装置20の詳細な構成について、図1に加えて、図2〜図6を用いて説明する。図2は定着装置の垂直断面正面図、図3は定着装置の斜視図、図4は定着装置の部分拡大斜視図、図5は定着装置の部分上面図、図6は定着装置の垂直断面部分拡大正面図である。なお、図2以下の定着装置は加圧ローラーの描画を省略している。
【0037】
定着装置20は、図1〜図3に示すようにそのハウジング30の内側に熱ローラー21と、加圧ローラー22とを備えている。熱ローラー21と加圧ローラー22とは所定の圧力で互いに圧接せしめられ、用紙搬送方向に所定幅の定着ニップを形成する。この定着ニップを、未定着トナーを担持した用紙Pが通過する。
【0038】
熱ローラー21は図示しない駆動手段により回転駆動せしめられる。加圧ローラー22は熱ローラー21に接触していることにより、熱ローラー21の回転に従って回転する。通常の定着動作では、用紙Pを図1及び図2において下方から上方に搬送しつつ用紙Pの表面の未定着トナーを定着するように、熱ローラー21は時計方向に、加圧ローラー22は反時計方向に回転する。
【0039】
熱ローラー21は、例えば直径が40mmのアルミ管からなる芯材の表面に弾性部材層を構成するシリコンゴムを備えている。弾性部材層の表面には、例えばPFA(テトラフルオロエチレン−パー−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素系樹脂といった離型層を密着して設け、平滑性とトナーの離型性を高めている。
【0040】
加圧ローラー22は、例えばステンレス鋼からなる芯金の外側に弾性部材層を構成するスポンジシリコンゴムを備えている。
【0041】
また、熱ローラー21の近傍には、図2〜図5に示すように加熱体であるヒーター23と、温度検知部24とが備えられている。
【0042】
ヒーター23は例えばハロゲンランプなどで構成され、被加熱体である熱ローラー21の内側に配置されている。ヒーター23は熱ローラー21を内側から加熱する加熱体である。ヒーター23は熱ローラー21の軸線方向に延びる棒状をなし、上下方向に並べて例えば2本備えられている。ヒーター23から発せられた熱は熱ローラー21の芯材や弾性部材層を伝達して表面に到達し、この熱ローラー21表面の熱により用紙Pが担持する未定着トナーを溶融する。
【0043】
温度検知部24は熱ローラー21の外側であって、熱ローラー21の軸線方向の略中央部と一端近傍との2箇所に配置されている。温度検知部24は熱ローラー21の表面温度を検知してヒーター23による加熱を制御するための機能部材、例えばサーモスタットで構成され、熱ローラー21表面から所定の距離を隔てて配置されている。温度検知部24であるサーモスタットはヒーター23とその電源(図示せず)との間で電気的に直列接続されている。サーモスタットにはバイメタルが使用され、熱ローラー21の表面温度が異常温度に到達するとバイメタルが変形して内部スイッチがOFFとなり、ヒーター23への通電が強制的に遮断される。
【0044】
ハウジング30には温度検知部24であるサーモスタットを設置するための検知部設置室31が設けられている。検知部設置室31はハウジング30における熱ローラー21に隣接した空間に設けられている。検知部設置室31は温度検知部24が熱ローラー21に向かって連通する開口部31aを備えている。そして、温度検知部24が有する端子部24aと、その端子部24aに接続されたハーネスなどの電線25の一部とが検知部設置室31内に収納されている。
【0045】
さらに、ハウジング30は温度検知部24に接続されたハーネスなどの電線25を配線するための配線室32を備えている。なお、本実施形態では配線室32に収納される電線が温度検知部24に接続された電線25であるとして説明しているが、定着装置20で利用される他の電線が配線室32に収納されることもある。そして、配線室32に収納された電線が熱ローラー21の両端間の領域全体にわたって配線室32の外部に出没しない場合もある。
【0046】
配線室32は、図2、図5及び図6に示すようにハウジング30の熱ローラー21に対して検知部設置室31を隔てた外側の箇所に設けられ、熱ローラー21の軸線方向に延びている。これにより、電線25の検知部設置室31内に配線された部分を除くその多くは検知部設置室31の分だけ熱ローラー21から離間することになる。したがって、電線25のその多くは熱ローラー21が発する熱の影響を受け難くなり、高温に晒されることが抑制される。さらに、電線25の温度上昇を防止するために配線室32に風を送り込んだ場合でも、熱ローラー21の箇所に風が流れ込むことを抑制することが可能である。
【0047】
そして、配線室32はハウジング30の外周に隣接して設けられている。これにより、ハウジング30の外面からの放熱が期待できるので、配線室32、すなわち電線25の温度上昇が一層抑制される。
【0048】
配線室32は、図6に示すようにハウジング30に関する外側が外側壁32aで覆われ、その内側に隔離壁32bを備えている。外側壁32aは配線室32の図6における右方から下方にかけて、電線25が延びる方向、すなわち図6の紙面に垂直をなす方向から見てL字型をなすように形成されている。隔離壁32bは配線室32の図6における下方の外側壁32aから上方に延びて熱ローラー21との間の箇所に設けられ、外側壁32aとの間に電線25の配線空間Sを形成している。これにより、配線空間Sは電線25が延びる方向に関する断面形状が矩形をなしている。このように、配線室32の被加熱体である熱ローラー21との間の箇所に隔離壁32bが設けられているので、この隔離壁32bが熱ローラー21の熱に対する断熱部材となる。したがって、電線25はさらに熱の影響を受け難くなり、高温に晒されることが抑制される。
【0049】
また、配線室32は電線25の配線空間Sからの脱離を阻止するための複数のガイド片32cを備えている。ガイド片32cは、図4〜図6に示すように隔離壁32bの外側壁32aから延びた先端側32dと外側壁32a内面との間に設けられている。ガイド片32cは配線室32の壁面から突出する矩形断面の棒状をなし、その先端が配線空間Sに向かって湾曲している。電線25を配線室32の配線空間Sに収納するときには、図6に実線矢印で示したようにガイド片32cの先端とその先の配線室32の壁面との間に電線25を通して収納する。このような構成の複数のガイド片32cが電線25の配線空間Sからの脱離を阻止しているので、電線25を配線室32内に留めておく作用が得られる。したがって、電線25の温度上昇がさらに抑制される。
【0050】
そして、隣り合う2個の前記ガイド片32cのうち、一方のガイド片32cが隔離壁32bの先端側32dから隔離壁32bに対向する外側壁32a内面に向かって延び、他方のガイド片32cがその外側壁32a内面から隔離壁32bに向かって延びている。また、それらガイド片32cは互いに略平行をなして延び、一方のガイド片32cの先端部が他方のガイド片32cの先端部より根元側に存在している。これにより、図6に示すように電線25が延びる方向から見ると、隔離壁32bと外側壁32aとの双方から延びるガイド片32cの互いの先端部分が重なっているので、電線25はこの重なった箇所に引っ掛かって配線室32からさらに脱離し難くなる。したがって、電線25を配線室32内に留めておく作用が高められ、電線25の温度上昇が一層抑制される。
【0051】
また、複数のガイド片32cは、図6に示すように配線空間S側の一面32eがそれぞれ電線25が延びる方向、すなわち図6の紙面に垂直をなす方向に沿った略同一平面内に存在することとした。これにより、配線室32内において電線25が真っ直ぐ延びるように配線できる。したがって、電線25は配線室32からさらに脱離し難くなり、電線25が常時折れ曲げられることにより生じる虞のある電線25の損耗の阻止も期待できる。
【0052】
上記実施形態の構成によれば、定着装置20における熱ローラー21に対する温度検知部24のための電線25が高温に晒されるのをできるだけ抑制することが可能であり、安全性の向上が図られた定着装置20を提供することができる。また、このような定着装置20を搭載した安全性の向上が図られた画像形成装置1を提供することが可能である。
【0053】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0054】
例えば、上記実施形態では、温度検知部24としてサーモスタットを例として掲げて説明したが、温度検知部24はサーモスタットに限定されるわけではなく、熱ローラー21の表面温度を検知してヒーター23による加熱を制御するためのものであれば他の機能部材で構成しても構わない。温度検知部24は、例えば温度センサであるサーミスタで構成しても良い。
【0055】
また、本発明の上記実施形態では、画像形成装置1としてブラックトナーのみを使用したモノクロ印刷用の画像形成装置を例に掲げて説明したが、発明の適用対象となる画像形成装置はこのような機種に限定されるわけではなく、中間転写ベルトを備え、複数色を重ね合わせて画像形成することが可能なタンデム方式、或いはロータリー方式のカラー印刷用画像形成装置などであっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、熱ローラーの周囲に電線を配線する必要がある定着装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成装置
20 定着装置
21 熱ローラー
22 加圧ローラー
23 ヒーター
24 温度検知部
25 電線
30 ハウジング
31 検知部設置室
32 配線室
32a 外側壁
32b 隔離壁
32c ガイド片
32d (隔離壁の)先端側
32e (ガイド片の)一面
S 配線空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱体と、
前記加熱体が加熱する被加熱体の温度を検知するための温度検知部と、
前記加熱体と前記被加熱体と前記温度検知部とを収納するハウジングと、
前記温度検知部を設置するために前記ハウジングに設けられた検知部設置室と、
定着装置で利用される電線を配線するために前記ハウジングの前記被加熱体に対して前記検知部設置室を隔てた外側の箇所に設けられた配線室と、
を備えることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記配線室は、前記ハウジングの外周に隣接して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記配線室は、前記ハウジングに関する外側が外側壁で覆われ、前記外側壁から延びて前記被加熱体との間の箇所に設けられて前記外側壁との間に前記電線の配線空間を形成する隔離壁を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記配線室は、前記隔離壁の前記外側壁から延びた先端側と前記外側壁内面との間に設けられて前記電線の前記配線空間からの脱離を阻止するための複数のガイド片を備えることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記複数のガイド片は、隣り合う2個の前記ガイド片のうち、一方の前記ガイド片が前記隔離壁の前記先端側から前記外側壁内面に向かって延び、他方の前記ガイド片が前記外側壁内面から前記隔離壁に向かって延びるとともに互いに略平行をなして延び、前記一方のガイド片の先端部が前記他方のガイド片の先端部より根元側に存在することを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記複数のガイド片は、前記配線空間側の一面が略同一平面内に存在することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の定着装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の定着装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−168326(P2012−168326A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28749(P2011−28749)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】