説明

定着装置及び画像形成装置

【課題】消費エネルギーを低下させることができる定着装置及び画像形成装置を得る。
【解決手段】定着装置100は、輻射熱Hを放出する加熱ロール104と、加圧ベルト106と、加熱ロール104及び加圧ベルト106を回転可能に収容する筐体102と、を有し、筐体102に比べて反射率が高く加熱ロール104に向けて輻射熱Hを反射するシート部材144が、筐体102の内側に設けられている。ここで、加熱ロール104から放出された輻射熱Hは、ハウジング102Aの内側のシート部材144で反射されて加熱ロール104へ伝わる。これにより、加熱ロール104によるエネルギー利用効率が上がるので、定着装置100の消費エネルギーを低下させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の画像形成装置は、定着装置の上側に取り付けられた上部カバーに隣接する部位の内側下方に、ダクト、ファン及びガイドカバーからなる排風装置を設けて、定着装置からの輻射熱の上部カバーへの伝導を減少させている。
【0003】
特許文献2の画像形成装置は、定着装置とクリーニング装置が対向して配置されており、定着装置の外側にある隔壁面に反射膜を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−221867号
【特許文献2】特開2005−195907号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、消費エネルギーを低下させることができる定着装置及び画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る定着装置は、輻射熱を放出する加熱回転体と、前記加熱回転体とで記録媒体を挟んで加圧する加圧回転体と、前記加熱回転体及び前記加圧回転体を回転可能に収容する筐体と、を有し、前記筐体に比べて反射率が高く前記加熱回転体に向けて輻射熱を反射する反射面が当該筐体の内側に設けられている。
【0007】
本発明の請求項2に係る定着装置は、前記反射面は、前記加熱回転体の外周面と対向する部位に配置されている。
【0008】
本発明の請求項3に係る定着装置は、前記加熱回転体の内部には、該加熱回転体を加熱する熱源が設けられ、前記加熱回転体の軸方向端部が開放され、前記反射面は、前記加熱回転体の軸方向端部と対向する部位に配置されている。
【0009】
本発明の請求項4に係る定着装置は、前記筐体が樹脂製である。
【0010】
本発明の請求項5に係る画像形成装置は、潜像を保持する潜像保持体と、前記潜像を現像剤で現像して現像剤像とする現像部と、前記現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、転写されて前記筐体内に搬送されてきた記録媒体上の現像剤像を前記筐体内で前記加熱回転体及び前記加圧回転体で挟んで記録媒体に定着する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の定着装置と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明は、筐体の内側に輻射熱を反射する反射面が設けられていない構成に比べて、消費エネルギーを低下させることができる。
【0012】
請求項2の発明は、加熱回転体の外周面と対向する部位に反射面が配置されていない構成に比べて、加熱回転体からの輻射熱を有効に利用することができる。
【0013】
請求項3の発明は、加熱回転体の軸方向端部と対向する部位に反射面が配置されていない構成に比べて、加熱回転体からの輻射熱を有効に利用することができる。
【0014】
請求項4の発明は、筐体が金属製の構成に比べて、筐体に吸収される輻射熱の量を抑制することができる。
【0015】
請求項5の発明は、筐体の内側に輻射熱を反射する反射面が設けられていない定着装置を有する構成に比べて、消費エネルギーを低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る感光体ユニットの要部の構成図である。
【図3】(A)本発明の実施形態に係る定着装置の縦断面図である。(B)本発明の実施形態に係る定着装置の筐体の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る定着装置を加熱ロール側から見た説明図である。
【図5】(A)本発明の実施形態に係る定着装置の筐体の内側の反射面で輻射熱を反射する状態を示す模式図である。(B)本発明の実施形態に係る加熱回転体の軸方向端部と対向する部位に配置された反射面で輻射熱を反射する状態を示す模式図である。
【図6】(A)本発明の他の実施例に係る定着装置の縦断面図である。(B)本発明の他の実施例に係る定着装置の筐体の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る定着装置及び画像形成装置の一例について説明する。
【0018】
図1には、実施形態の一例としての画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、装置本体としての筐体12を有しており、筐体12は、画像形成装置10の前面を形成するフロントカバー14と、側面を形成するサイドカバー16と、上面を形成するトップカバー18とを含んで構成されている。なお、以後の説明では、フロントカバー14を正面視して、画像形成装置10の後面から前面に向かう方向を矢印X方向、底面から上面に向かう方向(鉛直方向)を矢印Y方向、左側面から右側面に向かう方向を矢印Z方向と記載する。
【0019】
フロントカバー14は、矢印Z方向に見て画像形成装置10の前面及び上面に跨ってL字状に形成されている。また、フロントカバー14は、手差し給紙部22が矢印X方向に開放可能に設けられており、フロントカバー14における手差し給紙部22の上方には、操作パネル(図示省略)が設けられている。この操作パネルは、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20に接続されている。一方、トップカバー18には、画像形成後の記録用紙Pが排出される排紙部26が設けられている。
【0020】
筐体12の内部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各トナー色に対応する感光体ユニット30Y、30M、30C、30Kが設けられている(以下、色毎に区別せず総称するときは、感光体ユニット30とする)。
【0021】
感光体ユニット30は、箱状のユニット本体34を有しており、ユニット本体34内には、円柱状に形成され、トナー(現像剤)で現像剤像とされる潜像を外周面で保持する潜像保持体の一例としての感光体32が設けられている。感光体32は、矢印Z方向を軸方向とする回転軸32A(図2参照)を備えており、回転軸32Aは、ユニット本体34の一部を構成する側板(図示省略)に回転可能に支持されている。
【0022】
一方、筐体12の内部には、各感光体ユニット30Y、30M、30C、30Kに隣接して、現像部の一例としての現像器36Y、36M、36C、36Kが設けられている(以下、色毎に区別せず総称するときは、現像器36とする)。
【0023】
図2に示すように、各現像器36には、筐体12内に装填されたトナーカートリッジ(図示省略)からトナーが供給されることによって、トナー及びキャリア(現像剤)が充填されており、現像器36の内部に設けられた螺旋状の搬送部材42の回転により現像剤が循環搬送されるようになっている。さらに、各現像器36Kには、内部に複数の磁極から成る磁性部材(図示省略)を備えた現像スリーブ38が回転可能に設けられている。現像スリーブ38は、外周面に形成された現像剤層を回転により感光体32と対向する位置に搬送し、感光体32の外周面に形成された潜像(静電潜像)に応じたトナーを付着させて現像を行い、トナー画像(現像剤像)を形成するようになっている。
【0024】
また、感光体32の回転方向(矢印R方向)で現像スリーブ38よりも上流側であり、且つ感光体32の外周面と接触する位置には、感光体32の外周面(表面)を帯電する帯電ロール44が回転可能に設けられている。帯電ロール44は、電源(図示省略)から通電されるようになっており、内側が接地されている感光体32との電位差により、感光体32の外周面をトナーと同極性に帯電させる。なお、帯電ロール44の外周面で感光体32とは反対側には、帯電ロール44の外周面を清掃するクリーニングロール46が回転可能に設けられている。
【0025】
さらに、感光体32の回転方向で後述する一次転写ロール64よりも下流側には、トナー画像転写後の感光体32の外周面を清掃するクリーニングユニット47が設けられている。クリーニングユニット47は、先端が感光体32の外周面と接触するクリーニングブレード49を備えており、クリーニングブレード49で掻き取られたトナーが貯留されるようになっている。加えて、感光体32の回転方向で一次転写ロール64よりも下流側で且つクリーニングブレード49よりも上流側の位置には、一次転写後の感光体32の外周面をクリーニングが可能な程度に除電する除電ランプ59が設けられている。
【0026】
一方、図1に示すように、筐体12の内部で感光体ユニット30及び現像器36の下方には、露光ユニット48が設けられている。露光ユニット48は、一例として、半導体レーザで構成された光源、ポリゴンミラー、及び反射ミラーなどの光学部品(いずれも図示省略)を有している。そして、露光ユニット48では、光源から射出されるレーザ光LB(レーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−K)を帯電ロール44(図2参照)で帯電された各感光体32の表面に走査しながら照射することで、感光体32の表面に画像情報に応じた静電潜像を形成するようになっている。なお、感光体32に静電潜像を形成する光源としては、半導体レーザに限らず、LEDなどの発光素子を配列して、画像情報に基づいて発光させてもよい。
【0027】
また、各トナー色に対応した4つの感光体32の上側には、中間転写ユニット50が設けられている。中間転写ユニット50は、後述する駆動ロール54、従動ロール56、張力付与ロール58、及び搬送ロール62と、これらのロールを回転可能に支持するハウジング(図示省略)と、これらのロールによって矢印A方向に周回移動可能に支持された転写手段の一例としての中間転写ベルト52と、を含んで構成されている。
【0028】
中間転写ベルト52は、無端状であり、制御部20により回転駆動される駆動ロール54と、従動回転する従動ロール56と、中間転写ベルト52に張力を付与するための張力付与ロール58と、中間転写ベルト52の裏面に接触して従動回転する複数の搬送ロール62とに巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト52は、駆動ロール54が回転することにより、矢印A方向(図示の反時計回り方向)に周回移動するようになっている。また、中間転写ベルト52は、各感光体32の回転方向で各現像器36よりも下流側であり且つ各感光体32の上側に配置されており、各感光体32の外周面に形成されたトナー画像が重ねて転写されるようになっている。
【0029】
中間転写ベルト52を挟んで各感光体32とは反対側には、各感光体32の外周面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト52に一次転写させる転写手段の一例としての一次転写ロール64が設けられている。一次転写ロール64は、中間転写ベルト52の裏面に接触しており、電源(図示省略)から通電されることにより、接地されている感光体32との電位差で感光体32の外周面のトナー画像を中間転写ベルト52に一次転写するようになっている。そして、中間転写ベルト52は、感光体ユニット30Y、30M、30C、30Kの順でそれぞれの感光体32の外周面に接触することにより、Y、M、C、Kの各色のトナー像が転写されて重ねられる。
【0030】
さらに、中間転写ベルト52を挟んで駆動ロール54の反対側には、中間転写ベルト52の外周面に重ねられたトナー画像を、搬送されてきた記録用紙Pに二次転写させる転写手段の一例としての二次転写ロール66が設けられている。二次転写ロール66は、電源(図示省略)から通電されることにより、接地されている駆動ロール54との電位差で中間転写ベルト52の外周面のトナー画像を記録用紙Pに二次転写するようになっている。
【0031】
また、中間転写ベルト52が巻き掛けられている搬送ロール62のうちの1つと対向して、クリーニング部65が設けられている。クリーニング部65は、中間転写ベルト52の外周面と接触するクリーニングブレード67を有しており、中間転写ベルト52は、クリーニングブレード67に接触しながらクリーニングブレード67と搬送ロール62との間を通過することにより、表面に付着しているトナーが除去されて回収されるようになっている。
【0032】
一方、筐体12の下部には、記録用紙Pが収容された給紙ユニット68が設けられている。また、筐体12内には、記録用紙Pが搬送される搬送路70が、給紙ユニット68から排紙部26まで設けられている。そして、給紙ユニット68の矢印X方向の端部上方には、収容された記録用紙Pを搬送路70に送り出す送り出しロール72が設けられており、搬送路70における送り出しロール72よりも下流側には、記録用紙Pを1枚ずつ搬送する一対の搬送ロール74が設けられている。
【0033】
さらに、搬送路70における記録用紙Pの搬送方向で搬送ロール74よりも下流側には、記録用紙Pを一旦停止させると共に決められたタイミングで二次転写位置へ送り出す位置合せロール76が設けられている。なお、二次転写位置とは、搬送路70上で中間転写ベルト52と二次転写ロール66とが接触している位置である。また、搬送路70における二次転写ロール66よりも下流側には、二次転写ロール66によってトナー画像が転写された記録用紙Pにトナー画像を定着させる定着装置100が設けられている。なお、定着装置100の詳細については後述する。
【0034】
そして、搬送路70における記録用紙Pの搬送方向で定着装置100よりも下流側には、記録用紙Pを排紙部26に排出する一対の排紙ロール88が回転可能に設けられている。また、搬送路70には、記録用紙Pの両面に画像形成を行うために記録用紙Pが搬送及び反転される両面搬送路71が接続されている。
【0035】
両面搬送路71は、複数の搬送ロール92が設けられており、上端が排紙ロール88側に接続され、下端が位置合せロール76の上流側(手前側)に接続されている。さらに、手差し給紙部22から位置合せロール76の上流側まで、記録用紙Pが搬送される手差し搬送路73が設けられている。手差し搬送路73には、一対の給紙ロール94が設けられている。
【0036】
ここで、記録用紙Pの両面に画像が形成される場合には、搬送路70を搬送され表面に画像が形成された記録用紙Pの先端部を、排紙ロール88によって筐体12から外側へ突出させる。続いて、この記録用紙Pの後端部を排紙ロール88で挟んだ状態で、排紙ロール88を逆回転させると共に切換えガイド(図示省略)を操作することにより、記録用紙Pを両面搬送路71で搬送して、位置合せロール76へ戻す。そして、裏面の画像形成を行った後、排紙部26へ記録用紙Pを排紙する。
【0037】
一方、画像形成装置10において、フロントカバー14の下端部にはシャフト95が設けられている。そして、画像形成装置10では、このシャフト95を軸にフロントカバー14を回転移動させることで、フロントカバー14が矢印X方向側へ開かれるようになっている。また、トップカバー18における排紙部26とは反対側の端部(図示の左端部)にはヒンジ部96が設けられており、ヒンジ部96でトップカバー18を回転移動させることで、トップカバー18が矢印Y方向へ開かれるようになっている。
【0038】
画像形成装置10では、フロントカバー14が開かれると記録用紙Pの搬送路70が開放され、搬送不良が生じた記録用紙Pを取り出すことが可能となる。また、画像形成装置10では、フロントカバー14を開くことにより定着装置100が開放され、定着装置100のメンテナンスが可能となっている。
【0039】
さらに、画像形成装置10では、ヒンジ部96でトップカバー18を矢印Y方向に回転させることにより、中間転写ユニット50がトップカバー18と共に移動して、トップカバー18が開放されるようになっている。そして、トップカバー18の開放により、各感光体ユニット30及び各現像器36が露出し、部材交換などのメンテナンスが行える構成となっている。
【0040】
次に、画像形成装置10における画像形成工程について説明する。
【0041】
図1に示すように、画像形成装置10が作動すると、画像処理装置(図示省略)又は外部から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像データが露光ユニット48に順次出力される。
【0042】
続いて、図2に示すように、各感光体ユニット30では、感光体32が回転すると共に、帯電ロール44によって感光体32の外周面が帯電される。そして、露光ユニット48(図1参照)から画像データに応じて出射されたレーザ光LBは、帯電ロール44により帯電された感光体32の外周面(表面)を露光する。これにより、感光体32の外周面には、各色の画像データに対応した静電潜像が形成される。さらに、感光体32の外周面に形成された静電潜像は、現像器36によって各色に対応したトナー画像として現像される。そして、各感光体32の外周面のトナー画像は、各一次転写ロール64によって中間転写ベルト52に順次(Y、M、C、Kの順に)転写され、重ねられる。
【0043】
一方、図1に示すように、給紙ユニット68から送り出され、搬送路70を搬送されてきた記録用紙Pは、位置合せロール76により、中間転写ベルト52への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて、二次転写位置(二次転写ロール66)に搬送される。そして、中間転写ベルト52上に多重転写されたトナー画像は、二次転写位置に搬送されてきた記録用紙P上に二次転写ロール66によって二次転写される。
【0044】
続いて、トナー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置100に向けて搬送される。そして、定着装置100では、記録用紙P上のトナー画像が加熱ロール104及び加圧ベルト106によって加熱、加圧されることで、記録用紙Pに定着される。さらに、トナー画像が定着された記録用紙Pは、一例として、排紙部26に排出される。
【0045】
なお、記録用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置100で表面に画像定着を行った後、排紙ロール88を逆回転させて記録用紙Pの先端と後端を入れ替えると共に、記録用紙Pを両面搬送路71に送り込む。そして、位置合せロール76の上流側から再び搬送路70に送り込んで、記録用紙Pの裏面の画像形成及び定着を行う。
【0046】
次に、定着装置100について説明する。
【0047】
図3(A)に示すように、定着装置100は、筐体102を有している。筐体102は、加熱回転体の一例としての加熱ロール104を回転可能に支持すると共に覆うハウジング102Aと、加圧回転体の一例としての加圧ベルト106を回転可能に支持すると共に覆うカバー部材102Bとを含んで構成されている。ハウジング102Aとカバー部材102Bは、矢印X方向に間隔をあけて配置されており、この間隔が記録用紙Pの搬送路70となっている。
【0048】
加熱ロール104は、一例として、矢印Z方向を軸方向とすると共に矢印Z方向の両端部が開放された円筒状の部材であり、鉄で構成された薄肉円筒状の基材の外周面にシリコンゴムからなる弾性層及びフッ素樹脂を含む離型層が重ねて形成された多層構造となっている。また、加熱ロール104の内側には矢印Z方向を軸方向として、熱源の一例としてのハロゲンランプ108、109が加熱ロール104の内周面と間隔をあけて設けられている。
【0049】
ハロゲンランプ108は、一例として、矢印Z方向における長さが記録用紙PのA4の最大幅よりも長くなっており、両端部が後述する支持部材122、123によって支持されている。また、ハロゲンランプ108は、制御部20(図1参照)からの指示で給電が行われることにより発熱して、加熱ロール104を加熱するようになっている。
【0050】
ハロゲンランプ109は、一例として、矢印Z方向における長さが記録用紙PのA3の最大幅よりも長くなっている。即ち、ハロゲンランプ109の矢印Z方向における加熱ロール104の加熱領域の幅は、ハロゲンランプ108の矢印Z方向における加熱ロール104の加熱領域の幅よりも広くなっている。そして、ハロゲンランプ109は、両端部が後述する支持部材122、123によって支持されている。また、ハロゲンランプ109は、制御部20(図1参照)からの指示で給電が行われることにより発熱して、加熱ロール104を加熱するようになっている。
【0051】
なお、ハロゲンランプ108、109は、前述のように、矢印Z方向における加熱ロール104の加熱領域の幅が異なるが、図4では、矢印Z方向におけるこれらの全長(加熱領域の幅とは異なる)が等しいものとして図示している。また、加熱ロール104の矢印Z方向の端部には、温度センサ(図示省略)が設けられており、この温度センサで検知された温度情報に基づいて、ハロゲンランプ108、109の点灯又は消灯が行われるようになっている。
【0052】
ここで、画像形成装置10(図1参照)において、一例として、記録用紙Pのサイズに関わらず、通常時は、加熱領域の幅の広いハロゲンランプ109を用いて加熱ロール104の加熱を行う。そして、制御部20(図1参照)は、前述の端部の温度センサ(図示省略)で検知された温度が設定温度よりも上昇してきた場合は、ハロゲンランプ109を消灯させてハロゲンランプ108を点灯させる。続いて、加熱ロール104の端部の温度が下がった後、ハロゲンランプ108を消灯させると共にハロゲンランプ109を点灯させる。
【0053】
図4に示すように、定着装置100の筐体102内には、側板112、113が矢印Z方向に間隔をあけて矢印Y方向に直立して設けられており、側板112、113には、加熱ロール104の矢印Z方向の両端部を回転可能に支持するベアリング114、115が設けられている。そして、ベアリング114、115内に加熱ロール104の両端部が挿入されている。また、矢印Z方向における加熱ロール104の一方の端部(図示の左端部)には、駆動ギヤ116が設けられている。
【0054】
駆動ギヤ116は、矢印Z方向に貫通した貫通孔116A(図5(B)参照)内に加熱ロール104が挿入されており、加熱ロール104の外周面に形成された孔部(図示省略)と、貫通孔116A内から内側へ突出した突出部(図示省略)とを係合させることにより、加熱ロール104に取付けられている。また、駆動ギヤ116の歯部は、モータ(図示省略)からの駆動力を伝達する伝達ギヤ117の歯部と噛み合っている。
【0055】
さらに、筐体102内には、加熱ロール104の軸方向(矢印Z方向)両端部と対向する部位に、ブラケット(図示省略)で固定された樹脂製の支持部材122、123が設けられている。支持部材122、123は、それぞれ矢印Y方向に間隔をあけて矢印Z方向に貫通した2つの貫通孔124A、124Bが形成されており、貫通孔124Aにハロゲンランプ108の端部が挿入され、貫通孔124Bにハロゲンランプ109の端部が挿入されることにより、ハロゲンランプ108、109の両端部を支持している。
【0056】
加圧ベルト106は、一例として、矢印Z方向を軸方向とすると共に矢印Z方向の両端部が開放された無端状のベルト部材であり、ポリイミドで構成された薄肉円筒状の基材の外周面にシリコンゴムからなる弾性層及びフッ素樹脂を含む離型層が重ねて形成された多層構造となっている。また、加圧ベルト106の両端部は導電性樹脂で閉じられており、側板112、113に設けられたベアリング(図示省略)により回転可能に支持されている。
【0057】
図3(A)に示すように、加圧ベルト106の内側には、矢印Z方向の両端部が支持されたホルダ126が設けられている。ホルダ126の矢印X方向の一方の端面(加熱ロール104とは反対側の端面)には、オイルを含浸させたフェルト部材128が取付けられており、フェルト部材128の一部は、加圧ベルト106の内周面と接触して、潤滑剤としてのオイルを供給している。また、ホルダ126の矢印Y方向の一方の端面には、加圧ベルト106を断面円形状に保持するための樹脂製の張力付与部材132が設けられている。
【0058】
さらに、ホルダ126の矢印X方向の他方の端面(加熱ロール104側の端面)には、加熱ロール104と加圧ベルト106との接触領域(ニップ部N)の出口側(下流側)の圧力を上げるための液晶ポリマーからなる保持部材134が取付けられており、保持部材134と加圧ベルト106との間には、保持部材134に取付けられた加圧パッド136が設けられている。そして、加圧ベルト106は、バネなど(図示省略)の付勢力によって加熱ロール104の外周面に接触すると共に加圧パッド136により加圧して、加熱ロール104との接触領域(ニップ部N)を形成している。
【0059】
次に、ハウジング102Aについて説明する。
【0060】
図3(A)に示すように、ハウジング102Aは、樹脂製であり、X−Y断面が「コ」字状で加熱ロール104の外周面と対向配置された対向部材142が設けられている。対向部材142は、樹脂製であり、部分的に板金(図示省略)で補強された構成となっている。なお、補強用の板金はハウジング102A及び対向部材142に含めるものとする。
【0061】
図3(A)及び図3(B)に示すように、対向部材142の内側で加熱ロール104の外周面と対向する部位には、反射面の一例としてのアルミ製のシート部材144が貼り付けられている。また、図4に示すように、支持部材122、123における加熱ロール104と対向する側面には、反射面の一例としてのアルミ製のシート部材146が貼り付けられている。本実施形態では、シート部材144、146は、ハウジング102及び対向部材142に比べて輻射熱Hの反射率が高く設定されている。
【0062】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0063】
図5(A)に示すように、定着装置100では、ハロゲンランプ108、109の点灯により加熱ロール104が加熱され、加熱ロール104の外周面から輻射熱Hが放出される。そして、放出された輻射熱Hは、シート部材144により反射され、加熱ロール104へ伝わり、加熱ロール104の加熱に利用される。これにより、加熱ロール104の温度保持時間が長くなり、ハロゲンランプ108、109の再点灯が抑制され、加熱ロール104の加熱におけるエネルギー利用効率が上がるので、消費エネルギーの低下が抑制される。
【0064】
さらに、図5(B)に示すように、定着装置100では、ハロゲンランプ108、109の点灯により加熱ロール104が加熱され、加熱ロール104の軸方向端部から輻射熱Hが放出される。そして、放出された輻射熱Hは、シート部材146により加熱ロール104の内側へ向けて反射され、加熱ロール104の内側へ伝わり、加熱ロール104の加熱に利用される。これにより、加熱ロール104の温度保持時間が長くなり、ハロゲンランプ108、109の再点灯が抑制され、加熱ロール104の加熱におけるエネルギー利用効率が上がるので、消費エネルギーの低下が抑制される。
【0065】
また、図5(A)、(B)に示すように、本実施形態では、樹脂製で熱抵抗が板金よりも高い(熱容量が板金よりも大きい)対向部材142及び支持部材122にシート部材144、146を貼り付けているので、加熱ロール104からシート部材144、146に伝わった輻射熱Hが、対向部材142及び支持部材122自体を温めることに消費されにくくなる。これにより、ハウジング102Aの温度上昇が抑制され、定着装置100の外側にある画像形成装置10(図1参照)の各部の温度上昇も抑制される。
【0066】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0067】
カバー部材102Bの内側にシート部材144を設けて、加圧ベルト106の温度が低下するのを抑制するようにしてもよい。また、ハロゲンランプ108、109に換えて、加熱ロール104を外側から加熱する外部加熱ロールを用いてもよい。さらに、反射面としては、アルミ製の部材を研磨して用いてもよい。加えて、支持部材122、123の片方のみにシート部材146を設けてもよい。そして、筐体102の内側全体に反射面を形成してもよい。
【0068】
図6(A)、(B)には、他の実施例として、定着装置100の樹脂製の対向部材142及びシート部材144に換えて、板金152を設けた構成が示されている。そして、板金152の加熱ロール104と対向する対向面152Aには、無電解ニッケルメッキが施されている。このように、板金にメッキ処理を施して反射面としてもよく、あるいは、メッキ処理の代わりに蒸着処理してもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 画像形成装置
32 感光体(潜像保持体の一例)
36 現像器(現像部の一例)
52 中間転写ベルト(転写手段の一例)
64 一次転写ロール(転写手段の一例)
66 二次転写ロール(転写手段の一例)
100 定着装置
102 筐体
104 加熱ロール(加熱回転体の一例)
106 加圧ベルト(加圧回転体の一例)
108 ハロゲンランプ(熱源の一例)
109 ハロゲンランプ(熱源の一例)
144 シート部材(反射面の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輻射熱を放出する加熱回転体と、
前記加熱回転体とで記録媒体を挟んで加圧する加圧回転体と、
前記加熱回転体及び前記加圧回転体を回転可能に収容する筐体と、
を有し、
前記筐体に比べて反射率が高く前記加熱回転体に向けて輻射熱を反射する反射面が当該筐体の内側に設けられている定着装置。
【請求項2】
前記反射面は、前記加熱回転体の外周面と対向する部位に配置されている請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記加熱回転体の内部には、該加熱回転体を加熱する熱源が設けられ、
前記加熱回転体の軸方向端部が開放され、
前記反射面は、前記加熱回転体の軸方向端部と対向する部位に配置されている請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記筐体が樹脂製である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項5】
潜像を保持する潜像保持体と、
前記潜像を現像剤で現像して現像剤像とする現像部と、
前記現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、
転写されて前記筐体内に搬送されてきた記録媒体上の現像剤像を前記筐体内で前記加熱回転体及び前記加圧回転体で挟んで記録媒体に定着する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の定着装置と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−15661(P2013−15661A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148115(P2011−148115)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】