説明

定着装置

【課題】本発明の課題は、多種多様な幅や厚みを有する被加熱体に応じて発熱部を制御することが可能である定着装置を提供することにある。
【解決手段】必要な回路に電力を供給する制御装置と、前記制御装置より供給される電力により発熱する発熱体を備えた定着装置であって、前記発熱体が少なくともポリイミドを含んでなる独立した複数の発熱部からなり、それぞれの発熱部に被加熱体の大きさに応じて制御装置より個別に備えられた発熱部の電極へ電力を供給されることで、被加熱体の大きさに応じて発熱する範囲を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体が少なくともポリイミドを含んでなる独立した複数の発熱部からなり、それぞれの発熱部に被加熱体の大きさに応じて制御装置より個別に備えられた発熱部の電極へ電力を供給されることを特徴とする定着装置に関する。さらに詳しくは、被加熱体の大きさに応じて発熱する発熱部を制御することにより、発熱体の不要部分への電気供給が抑えられる定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置、例えば複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ、或いはこれ等の機能を備えたMFPと呼ばれる複合機では、感光体上に形成された画像の静電潜像をトナーで現像し、これを記録媒体に転写した後、定着装置により定着処理して画像を固定し、画像の記録を行っている。
【0003】
このような画像形成装置で使用する定着装置には、従来は、内面に熱源としてハロゲンランプを配置した金属ローラを使用するヒートローラ方式の定着装置が使用されてきた。
【0004】
特許文献1では、ハロゲンランプは、電気エネルギを一旦光エネルギに変換し、さらに熱エネルギに変換するため、熱変換効率が低いため、ヒートローラの芯金の外周に電気エネルギを直接熱エネルギに変換可能な抵抗発熱体を形成する技術が提案されている。
【0005】
さらに、特許文献2では、回転しない半円筒体の内面にシートヒーターを配置した半円筒体のヒートプレートを使用した定着装置が提案されている。これは、半円筒体のヒートプレートの外周面に定着ベルトを巻き掛けて加熱するように構成した定着ベルト方式の定着装置で、ヒートプレートの熱容量を低減できるのでエネルギの節減が可能となる。しかし、ヒートプレートと定着ローラとの間に定着ベルトが巻き掛けられ、定着ベルトに張力が加えられるから、ヒートプレートと定着ベルトとの間の摩擦力が大きくなり、定着ベルトの摺動性が悪くなるという不都合がある。
【0006】
また、特許文献3にはヒーター発熱体に分岐電極を設けることにより一部のみを発熱させることのできるヒーターが開示されている。このヒーターは幅の広い被加熱体を通した場合にはヒーター全体が発熱し、幅の狭い被加熱体を通した場合にはヒーターの一部のみを発熱させることができ、被加熱体非通過部分の過昇温を防ぐ事ができ生産性を落とさず印刷する事が可能となり、更には部位毎に任意の電力を供給することができるため転写材の厚みの違いに対応することが可能である。しかし、開示されるヒーターでは、多種の幅の被加熱体に対応するために分岐数を多くするにはヒーターの面積を大きくせざるをえず、それはすなわち定着装置の大型化及びそれに伴う熱容量の増加を招き、電源投入後印刷可能な温度まで定着装置を加熱するのに必要な時間が長くなる。ゆえに常に印刷可能な状態にするには予めヒーターを予熱しておく必要があり多くの電力を消費し省エネ性の観点から好ましくない。ゆえに多く分割することは困難で現実的には3種類以上の被加熱体に対応するのが困難であることが考えられる。
【0007】
また、特許文献4には温度上昇に伴い抵抗値が上昇する特性を有する発熱抵抗体を用いたヒーターが開示されている。このヒーターでは温度の上昇に伴う抵抗上昇によって電流が低減し発熱量が低下することで、被加熱体非通過部分の過昇温を防ぐことができる。しかし、多種の幅の被加熱体に対応することが可能であるが、一方ヒーター自体に特定の温度で働く温度制御機構があり、被加熱体の厚みに対応した温度制御が不可能である欠点がある。更には被加熱体の通過しない部分においても温度制御機構が働く温度までは発熱するため、被加熱体の通過しない部分も温めることとなり、無駄な電力を消費し省エネ性の観点から好ましくない。
【0008】
さらに、特許文献5には並列に配した抵抗線のそれぞれに温度スイッチを設けたヒーターが開示されている。このヒーターでは温度の上昇によって温度スイッチが切れ電流が遮断されるためヒーターの過昇温を防ぐことができるが、特許文献4同様に被加熱体の通過しない部分においても温度制御機構が働く温度までは発熱するため、被加熱体の通過しない部分も温めることとなり、無駄な電力を消費し省エネ性の観点から好ましくない。
【0009】
さらに、特許文献6では、発熱体に直接給電を制御するための給電スイッチを設けることで、必要な部分に電気を流す定着装置が開示されている。この定着装置を用いることで必要な部分に電気を供給し、発熱体を加熱することができるが、発熱部を複数設けて制御するためには、発熱体自体を大きくしなければならない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平07−140828号公報
【特許文献2】特開2001−343849号公報
【特許文献3】特開平3−194879号公報
【特許文献4】特開2000−58232号公報
【特許文献5】特開2009−245729号公報
【特許文献6】特開平6−332338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の背景に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、多種多様な幅や厚みを有する被加熱体に応じて発熱部を制御することが可能である定着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1局面に係る定着装置は、必要な回路に電力を供給する制御装置と、前記制御装置より供給される電力により発熱する発熱体を備えた定着装置であって、前記発熱体が少なくともポリイミドを含んでなる独立した複数の発熱部からなり、それぞれの発熱部に被加熱体の大きさに応じて制御装置より個別に備えられた発熱部の電極へ電力を供給される。本発明の定着装置に用いられる電力を供給する制御装置と発熱体は図1に示すように設けられる。以下、本発明の定着装置に備えられる電力を供給する制御装置と、独立した複数の発熱部からなる発熱体について詳述する。
【0013】
(1)電力を供給する制御装置
本発明に用いられる電力を供給する制御装置は、被加熱体の大きさに応じて必要な回路に電力を供給する。被加熱体の大きさに関する情報は、手動で被加熱体の大きさに関する情報を入力しても良く、検知装置等で読み取っても良い。
【0014】
(2)独立した複数の発熱部からなる発熱体
本発明に用いられる発熱体は、独立した複数の発熱部からなり、前記発熱部は少なくともポリイミドを含んでなる。発熱部がポリイミドを含んでなることにより、耐熱性に優れ、フレキシブル性を有することから、発熱体が湾曲した形状等でも使用することができる。
【0015】
また、前述した発熱部が方形形状であることが好ましい。発熱部が方形形状であることが好ましい。方形形状であれば、発熱部の発熱を均一に制御しやすくなる。
【0016】
また、発熱体の発熱部が発熱部の重心が直線状になるように配列されていることが好ましい。発熱部の重心が直線状になるように配列される事で、被加熱体に対して効率よく加熱することができる。ただし、被加熱体の形状などに応じて発熱部の重心が直線状になるように配置されなくてもよく、例えば発熱部の重心がジグザグ状に配列されても良い。
【0017】
さらに、発熱部が発熱部の重心を軸にほぼ均等な角度ずつ周方向に回転しても良い。発熱部の重心を軸に均等な角度ずつ回転させることで、発熱部間にある隙間による定着ベルトの温度ばらつきを抑えることができる。
【0018】
発熱部の重心を軸に発熱部を回転させる場合、発熱部の形状が同一形状であることが好ましい。発熱部の形状が同一形状であれば、均等に発熱部を設けることが出来るため、より発熱体を均一に発熱させることができる。また、均等に発熱部を設けられた場合は、発熱部がd≦sinθ(lcosθ−wsinθ)且つ0°<θ<90°、d>0を満たすように配置されていることが好ましい。前述したdは隣り合う発熱部の距離を、θは発熱部の重心を軸に回転させた角度、lは方形の一方向に向かい合う辺の長さ、wは方形の残りの向かい合う辺の長さを示し、前記発熱部は隣り合う発熱部と接触しないことが好ましい。
【0019】
本発明の第2局面に係る定着装置は、前述した発熱部の少なくとも一方の面上に絶縁層を設けたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の第3局面に係る定着装置は、前述した絶縁層の少なくとも一方の面に伝熱部材を設けたことを特徴とする。絶縁層の少なくとも一方の面に伝熱部材を設けることで熱伝導性が良いため、発熱体全体の温度を均一にすることができる。伝熱部材としては、ステンレス、アルミ、ニッケル、銅等の金属材、アルミナ、窒化アルミ、窒化硼素、窒化けい素等のセラミック材、黒鉛等が挙げられるが、熱伝導性の高い材料であることが好ましい。
【0021】
また、本発明の第4曲面に係る定着装置は、前記発熱部がスクリーン印刷又はメタルマスクにより形成されていることを特徴とする。そのため、発熱部を形成する場合、少なくとも発熱部を形成するポリイミドがポリアミック酸(前駆体溶液)としてペースト状で塗布される。発熱部を形成する方法はスクリーン印刷又はメタルマスクに限定されるわけではなく、ペースト状のポリアミック酸を用いて発熱部を形成できれば良い。また、発熱部は塗布されたペースト状のポリアミック酸を焼成させて形成される。ただし、使用する溶媒やイミド化剤などの条件に応じて焼成しなくても良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明の定着装置を用いることで、被加熱体の大きさに応じて発熱する発熱部を制御することができ、発熱熱の不要部分への電気供給が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施に関わる定着装置の構成を説明する断面図である。
【図2】本発明の実施に関わる定着装置の構成を説明する断面図である。
【図3】本発明の実施に関わる定着装置の構成を説明する断面図である。
【図4】本発明の実施に関わる発熱体の平面図である。
【図5】本発明の実施に関わる発熱体の平面図である。
【図6】本発明の実施に関わる発熱体の平面図である。
【図7】本発明の実施に関わる発熱体の平面図である。
【図8】本発明の実施に関わる発熱体の平面図である。
【図9】本発明の実施に関わる定着装置の制御方法の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下本発明に関わる定着装置に関して説明する。さらに詳しくは、独立した複数の発熱部を有することで、必要な発熱部のみを発熱させることができる発熱体及びそれを備えた定着装置に関して図に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0025】
(1)定着装置の説明
図1から図3には本発明に関わる定着装置の概略構成図の一例を示す。図1に示す定着装置は加圧ローラ1、定着フィルム2及び発熱体4により構成され、発熱体と定着フィルム2の間に伝熱部材3を有することが好ましい。発熱体4と伝熱部材3は積層されており伝熱部材3が定着フィルム2の内面に接し、加圧ローラ1と対向するように圧接して配置されている。加圧ローラ1は図示しない駆動手段により回転駆動し、定着フィルム2は固定されている伝熱部材3に対し摺動しながら回転する。加圧ローラ1は、たとえばその内側から順に芯金、弾性層、離型層が形成された3層構造からなっている。芯金には、たとえば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等の金属あるいはそれらの合金等が用いられる。また、弾性層にはシリコンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性を有するゴム材料が適しており、離型層にはPFAやPTFE、ETFE等のフッ素系材料が適している。定着フィルム2は、ポリイミド等の耐熱性樹脂あるいはステンレス鋼やニッケル等の金属材料からなるシームレスな円筒状の基材の表面に離型層として耐熱性および離型性に優れたPFAやPTFE、ETFE等のフッ素樹脂が形成された構造となっている。また基材と離型層の間に弾性層としてシリコンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性を有するゴム材料を形成しても良い。また基材の内面にPFAやPTFE、ETFE等のフッ素樹脂層を形成してもよい。これによって、伝熱部材3との摺動負荷を低減することができる。
【0026】
プリントが開始されると被加熱体幅情報出力装置16より出力された被加熱体の幅情報が電力供給装置14に入力され、電力供給装置14内で被加熱体の幅情報が処理されその結果を基に独立した複数の発熱部10の所定の部位に電力供給線15を通じて電力が供給され発熱部10が発熱し伝熱部材3、定着フィルム2を通じて被加熱体5上の未定着トナー6を溶融し被加熱体に固着させ画像を固定化する。
【0027】
次に、図2に示す定着装置は加圧ローラ1、定着ベルト8、定着ローラ7及び発熱体4により構成され、発熱体と定着ベルト8の間に伝熱部材3を有することが好ましい。定着ベルト8は定着ローラ7と積層された発熱体4と伝熱部材3との間に張架されており、加圧ローラ1が定着ベルト8を介して定着ローラ7と対向するように圧接して配置されている。加圧ローラ1および定着ローラ7は図示しない駆動手段により回転駆動し定着ベルト8を搬送駆動する。発熱体4より発生した熱は伝熱部材3を通じて定着ベルト8に伝達し、定着ベルト8は回転によって熱を定着ローラと加圧ローラとの間の定着部位に搬送し被加熱体5上の未定着トナー6を溶融し被加熱体に固着させ画像を固定化する。定着ローラ7は、たとえばその内側から順に芯金、弾性層が形成された2層構造からなっている。芯金には、たとえば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等の金属あるいはそれらの合金等が用いられる。また、弾性層にはシリコンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性を有するゴム材料が適している。定着ベルト8は、ポリイミド等の耐熱性樹脂あるいはステンレス鋼やニッケル等の金属材料からなるシームレスな円筒状の基材の表面に弾性層としてシリコンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性を有するゴム材料を形成し、離型層として耐熱性および離型性に優れたPFAやPTFE、ETFE等のフッ素樹脂が形成された構造となっている。また基材の内面にPFAやPTFE、ETFE等のフッ素樹脂層を形成してもよい。これによって、伝熱部材3との摺動負荷を低減することができる。
【0028】
次に、図3に示す定着装置は加圧ローラ1、定着ローラ9及び発熱体4により構成され、発熱体と定着ローラ9の間に伝熱部材3を有することが好ましい。発熱体4と伝熱部材3は積層されており伝熱部材3が定着ローラ9の表面に圧接し、加圧ローラ1が定着ローラ9と対向するように圧接して配置されている。加圧ローラ1および定着ローラ9は図示しない駆動手段により回転駆動する。発熱体4、伝熱部材3と定着ローラ9との間には発熱体4、伝熱部材3を内包する形で自由に回転するシームレスベルトを介しても良い。これによって定着ローラ表面の磨耗を低減することができる。定着ローラ9は、たとえばその内側から順に芯金、弾性層、離型層が形成された3層構造からなっている。芯金には、たとえば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等の金属あるいはそれらの合金等が用いられる。また、弾性層にはシリコンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性を有するゴム材料が適しており、離型層にはPFAやPTFE、ETFE等のフッ素系材料が適している。
【0029】
(2)発熱体
図4から図8に本発明に関する発熱体の構成図の一例を示す。本発明の発熱体の独立した複数の発熱部10は、少なくとも複数の発熱部10が電気的に独立しており、個別に電力を投入して発熱を制御することができるように給電電極11が配されている。また、発熱部の少なくとも一面に絶縁層12が設けられても良く、さらに前記絶縁層12の少なくとも一面に伝熱部材が設けられても良い。さらに、表面には定着フィルム、定着ベルト、定着ローラ等との摺動抵抗を低減するためにまた耐磨耗のために、PFAやPTFE、ETFE等のフッ素系材料によるコーティングを行なっても良い。
【0030】
発熱体4の厚みは0.01mm以上1mm以下が好ましく、更には0.05mm以上0.5mm以下がより好ましい。これ以上薄くなると発熱体に強度が確保できなくなり定着装置内で破損する虞がある。またこれ以上厚くなるとヒーター自体の熱容量が大きくなりすぎ電力投入後温度が上昇するのに時間がかかってしまう。
【0031】
次に、図4から図6に発熱体の発熱部10の形状と配置について説明する。個々の発熱部10の形状は方形であることが好ましく長方形、正方形、菱形、平行四辺形、台形等が挙げられ、特に長方形または正方形であると発熱部内部の電流の流れが均一となり、均一な発熱分布を得られるためより好ましい。また複数の発熱部10の配置についても特には限定しないが、発熱部が被加熱体の通過幅略全体に配されている。発熱部の重心が直線状に配列していると発熱部を効率的に配することができ発熱体の面積を小さくできるので好ましい。また独立した複数の発熱部の形状が同一形状であれば、均等に発熱部を設けることが出来るため、より発熱体を均一に発熱させることができる。
【0032】
図7及び図8には、図4から図6に示した発熱部10以外の形態を示す。図7及び図8に示す発熱体の均等に発熱部10を設けられた場合は、発熱部10がd≦sinθ(lcosθ−wsinθ)且つ0°<θ<90°、d>0を満たすように配置されていることが好ましい。前述したdは隣り合う発熱部10の距離を、θは発熱部10の重心を軸に回転させた角度、lは方形の一方向に向かい合う辺の長さ、wは方形の残りの向かい合う辺の長さを示し、前記発熱部10は隣り合う発熱部10と接触しないことが好ましい。このように配置すると通過する被加熱部材5の通過方向に対して隣接する発熱部がオーバーラップするため均一な定着が可能となる。
【0033】
前記の発熱部は、10は少なくともポリイミドを含んでおりさらには導電材を含んでいることが特に好ましく、その他に絶縁材を含んでいても良く、発熱部10はポリイミドまたはその前駆体からなる溶液及び、導電材を含んでなるペースト状組成物をスクリーン印刷、メタルマスク、又はその他の印刷手段により独立した発熱部10のパターンに印刷され、然る後に乾燥、焼成、硬化などの手段により形成される。ここでポリイミドは芳香族ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸成分とを反応せしめ、熱的または化学的にイミド化してなるものである。
【0034】
本発明の発熱部に用いられるポリイミドの芳香族ジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,4−ジアミノトルエン、3,4’ −ビフェニルジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’ −ビフェニルジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,6−ジアミノトルエン、4,4’−ビフェニルジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,5−ジアミノトルエン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、3,3’−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,5−ジアミノトルエン、3,3’−ヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,3−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス−(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス−(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ジアミノベンゾアニリド、メチレンジアニリン、2,2’ ,−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,3,7−ジアミノ−ジメチルジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンが挙げられ、これらは単独であるいは混合して用いることができ、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルまたは1,4−ジアミノベンゼンを用いると発熱部10の耐熱性を高くすることができるので好ましい。
【0035】
また、本発明の芳香族テトラカルボン酸成分としては、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ピロメリト酸、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,4,3’,4’−ジフェニルスルホキシドテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,4,3’,4’−ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸、3,4,3’,4’−ジフェニル(2,2−イソプロピリデン)テトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホキシドテトラカルボン酸、3,4,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,4,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホントラカルボン酸、2,3,3’,4’−ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸、3,4,3’,4’−ジフェニルスルメタンテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ジフェニル(2,2−イソプロピリデン)テトラカルボン酸、4,4'‐(ヘキサフルオロイソプロピル)フタル酸、ビスフェノール酸およびそのエステル化合物、無水物などが挙げられ、これらは単独であるいは混合して用いることができ、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸を用いると発熱部10の耐熱性を高くすることができるので好ましい。
【0036】
本発明において有用な極性有機溶媒は、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプローラクタム、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、γ−ブチローラクトン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ジエトキシエタン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブなどが挙げられる。好ましい溶媒はN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドである。これらの溶媒を単独で又は混合物として、あるいはトルエン、キシレン、すなわち芳香族炭化水素などの他の溶媒と混合して用いることができる。
【0037】
ここでポリイミド前駆体からなる溶液は熱的または化学的にイミド化してポリイミドとすることができるものであれば特に限定しないが、好ましくは上記芳香族ジアミン成分および芳香族テトラカルボン酸成分の二無水物を上記極性有機溶媒に溶解せしめて反応させ、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液としたものである。または、上記芳香族ジアミン成分および芳香族テトラカルボン酸成分のエステル化合物を上記極性有機溶媒に溶解させポリイミド前駆体溶液としたものである。
【0038】
また、本発明の導電材として、導電性を有する導電フィラーを含んでいる事が望ましく、導電性を有する導電フィラーとしては、特に限定しないが大きさが0.01から100μmで、球状、土塊状、鱗片状、繊維状、ウィスカー状、ストランド状、コイル状、樹枝状の形状のもので、ニッケル、銅、金、銀、白金、パラジウム、タングステン、モリブデン、亜鉛、アルミニウム、クロム、コバルト、ジルコニウム、錫、チタン、鉄、ニオブ、バナジウム、等の金属またはステンレス、ニクロム、ハンダ、黄銅、青銅などの合金、炭化タングステン、炭化タンタル、二ケイ化タングステン、ほう化タングステン、ほう化モリブデン、炭化モリブデン、二けい化モリブデン、炭化チタン、二ほう化チタン、二けい化チタン、窒化チタン、炭化クロム、二ほう化クロム、二けい化クロム、炭化ジルコニウム、二ほう化ジルコニウム、二けい化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、二ほう化ニオブ、二けい化ニオブ、ニほう化タンタル、二けい化タンタル、窒化タンタルなどの金属化合物、黒鉛、膨張黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、気相成長法炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、グラフェン等の炭素組成物、またはガラス、黒鉛、セラミック等のコア材と、前記コア粒子を導電物質でコーティングした導電材よりなる群から選択される少なくとも1つのフィラーであるのが好ましい。
【0039】
また、少なくともポリイミドを含んでなる発熱部10には、絶縁部材がさらに含まれても良い。本発明の絶縁材として絶縁性フィラーを強度向上、熱伝導性向上、ペーストの流動性改善等の為に添加しても良く、特に限定しないが、好ましくは大きさが0.01μmから100μmで、球状、土塊状、鱗片状、繊維状、ストランド状、樹枝状の形状のもので、ガラス繊維、窒化硼素、アルミナ、酸化チタン、タルク、セピオライトなどが挙げられる。
【0040】
また、発熱体の発熱部10の少なくとも一方の面には絶縁層12を配していることが好ましく、伝熱部材3を用いない場合または伝熱部材3が導電性である場合には必須である。絶縁層12としては特に限定しないが耐熱性を有しフレキシブルであることが好ましく、より具体的にはポリイミドの皮膜またはフィルムであることが特に好ましい。発熱部のもう一方の面も絶縁層13を配していることがさらに好ましい。
【0041】
さらに、前記絶縁層12の少なくとも一方の面には伝熱部材3が設けられても良い。伝熱部材3は発熱体4からの熱を効率よく定着フィルム2、定着ベルト8、定着ローラ9等に伝え、さらには発熱体4の急激な温度変化を抑え温度制御を行い易くする。材質は熱伝導の高いステンレス、アルミ、ニッケル、銅等の金属材、アルミナ、窒化アルミ、窒化硼素、窒化けい素等のセラミック材、黒鉛等が挙げられ、その厚みは0.1mmから5mmの範囲が好ましく、強度や熱容量の観点から0.2から2mmの範囲がより好ましい。更に伝熱部材は発熱体を定着フィルム2、定着ベルト8、定着ローラ9等との摺動磨耗から保護する。また伝熱部材3を導電性部材とし、漏電遮断装置と接続することにより発熱体が破損した場合に速やかに漏電電流を検知し電力の供給を遮断することができるので安全性の向上をはかる事ができる。またを定着フィルム2、定着ベルト8、定着ローラ9等との摺動面に摺動抵抗を低減するために、PFAやPTFE、ETFE等のフッ素系材料によるコーティングをおこなっても良い。
【0042】
また、発熱部には電気を供給される給電電極11が設けられており、前記給電電極11は発熱部10より導電性が高ければ特に限定することは無い。好ましい形態としては、ポリイミドまたはその前駆体からなる溶液及び、導電材を含んでなるペースト状組成物、又は有機溶剤に金属ナノ粒子、特に好ましくは銀ナノ粒子、金ナノ粒子、パラジウムナノ粒子、白金ナノ粒子を分散させた導電性インクをスクリーン印刷、メタルマスク、又はその他の印刷手段により給電電極のパターンに印刷され、然る後に乾燥、焼成、硬化などの手段により形成する。またはメッキ、スパッタリング、蒸着、金属箔の接着等によりニッケル、銅、金、銀等の金属膜を形成して給電電極11としても良い。
【0043】
(3)電力制御装置
次に、図9に示す本発明の定着装置の電力制御装置について説明する。被加熱体5の大きさ情報を取得し入力する被加熱体幅情報出力装置16と、被加熱体5の大きさ情報を元にして被加熱体5が通過する部分に相当する位置にある発熱部に選択的に電力を供給することのできる電力供給装置14と、電力供給装置14より電力を送る電力供給線15と独立した複数の発熱部10を備える発熱体4と、を備える。電力供給線15は独立した複数の発熱部10に接続する給電電極11に圧着や半田などでそれぞれ接続される。さらには図示しないが発熱体および、又は定着フィルム2、定着ベルト8、定着ローラ9等の表面に温度センサを設置し温度センサよりの温度情報を電力供給装置14に入力する構成がより好ましい。
【0044】
被加熱体幅情報出力装置16は被加熱部材が供給され印刷が開始される時点において、被加熱体の大きさ情報を取得し、得られた被加熱体の大きさ情報を電力供給装置14に出力する。被加熱体の大きさ情報を取得する方法については特に限定することは無いが、被加熱体導入部に配されたセンサによって検出する、またはユーザーが被加熱体の大きさ情報を入力する、またはこれらの組み合わせにより被加熱体の大きさ情報を取得する方法が挙げられる。
【0045】
電力供給装置14は、被加熱体幅情報出力装置16よりの被加熱体5の大きさ情報を入力し、この情報を処理して被加熱体5の通過時点に於いて定着フィルム2、定着ベルト8、定着ローラ9等の被加熱体5の通過幅の温度が定着に適した温度となるように、電力供給線15および給電電極11を通じて発熱体4の各独立した発熱部10に電力を供給する。または予め全ての発熱部10に電力を供給し定着装置の温度を速やかに定着が開始できる温度まで予熱を行なっておくとウォームアップタイムを短縮できる。続いて被加熱体5の通過が継続している時点に於いては、被加熱体5が持ち出す熱量を補うだけの熱量を供給するように独立した複数の発熱部10のうち被加熱体5が通過する部位の発熱部10に追加の電力を供給する。この際に温度センサよりの温度情報を電力供給装置14に入力し温度情報に基づき定着に適切な温度となるように電力供給を制御することにより、より精度の高い制御が可能となる。
【0046】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0047】
<定着装置>
定着装置としては、図2に示した定着装置を用いた。定着装置は加圧ローラ1、定着ベルト8、定着ローラ7及び発熱体4により構成され、発熱体と定着ベルト8の間に伝熱部材3を有する。定着ベルト8は定着ローラ7と積層された発熱体4と伝熱部材3との間に張架されており、加圧ローラ1が定着ベルト8を介して定着ローラ7と対向するように圧接して配置されている。
【0048】
<発熱体の作成>
図4に使用した発熱体4の平面図を示した。発熱体4は軸線方向の全長が360mmであって、各独立した発熱部10の平面形状は軸線方向5mm、軸線方向に直行する方向に20mmである長方形であり、前述した発熱部10は軸線方向に58併設されており、隣接する発熱部の間には1mmの間隙がある。各発熱部には独立して電力を供給できるように各個に電極11が設けられている。発熱部10および電極11は絶縁層12上に形成されている。発熱部10のすべて、および電極11の一部は絶縁層13で覆われている。各発熱部10の抵抗値は480Ωで100Vの電圧で電力を供給した場合に20.8Wの発熱量が得られる。
【0049】
発熱体4は絶縁層12として厚み50μmのポリイミドフィルム(ユーピレックス−S、宇部興産製)上に、導電性粒子として黒鉛粉末(GR−15、日本黒鉛製)32.4重量部を、ポリイミド前駆体溶液RC5063(アイ.エス.テイ製)200重量部に添加した後3本ロールミルを3回通過させて作成したペーストをスクリーン印刷法にて図4の発熱部10の形状に印刷した後、乾燥炉にて乾燥させた。次いで50重量部のポリイミド前駆体溶液RC5063に銀粉(AgC―A、福田金属箔粉製)47.1重量部を加え15分間攪拌し、次いで、この銀粉含有ポリイミド前駆体溶液に25重量部のN−メチル−ピロリドンに2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン0.022重量部を溶解させた溶液を加え8時間攪拌して得たペーストをスクリーン印刷法にて図4の電極部11の形状に印刷して乾燥させた。次いでポリイミド前駆体溶液RC5063をスクリーン印刷法にて図4の絶縁層13の形状に印刷して乾燥させた後テンターに固定して焼成炉にて6時間かけて400℃まで温度を上げていき、400℃で15分間保持した後冷却して取り出し発熱体4を作成した。
【0050】
伝熱部材3は軸線方向の全長が360mm、厚さ0.3mm、半径15mmの半円筒形状でSUS304材よりなる。伝熱部材3の内面に前述した発熱体4を耐熱性接着剤(SKYBOND800、アイ.エス.テイ製)で接着させた。発熱体4の各電極部11にはそれぞれ電力供給装置14より電力供給線15を接続した。電力供給装置14は被加熱体の幅情報を出力する被加熱体幅情報出力装置16に接続した。被加熱体の幅情報を出力する被加熱体幅情報出力装置16は被加熱体5の幅をセンサにより検出して電力供給装置14に出力する。
【0051】
<制御>
被加熱部材が供給され印刷が開始される時点において、被加熱体の大きさ情報が被加熱体導入部に配されたセンサによって検出され、被加熱体幅情報出力装置16より電力供給装置14に入力される。また発熱体4および定着ベルト8の表面には温度センサが設置されており、検知された温度情報は電力供給装置14に入力される。電力供給装置14は、印刷が開始される時点において、電力供給線15および給電電極11を通じて全ての発熱部10に電力を供給し定着装置の温度を上げ、温度センサよりの温度情報に基づき速やかに定着が開始できる温度に制御する。続いて被加熱体5の通過が開始されると電力供給装置14は、被加熱体5が持ち出す熱量を補うだけの熱量を供給するように独立した複数の発熱部10のうち被加熱体5が通過する部位の発熱部10に追加の電力を供給する。このとき温度センサよりの温度情報に基づき定着に適切な温度となるように電力供給を制御する。
【0052】
以上のように構成された定着装置に対して、まず未定着のトナーを載せたA3サイズの用紙(用紙幅298mm)を1分間に30枚連続通紙した。出力する被加熱体幅情報出力装置16により得られた用紙サイズの情報が電力供給装置14に送られ、その結果電力供給装置14は全ての発熱部10に電力を供給して発熱させた。その結果、良好な定着性能を得られた。この際の用紙1枚定着するのに要した消費電力量は約0.45Whrであった。
【0053】
次いで、未定着のトナーを載せたA4サイズの用紙(用紙幅210mm)を1分間に40枚連続通紙した。出力する被加熱体幅情報出力装置16により得られた用紙サイズの情報が電力供給装置14に送られ、その結電力供給装置14は中央40箇所の発熱部10にのみ電力を供給して発熱させた。その結果、良好な定着性能を得られた。この際の用紙1枚定着するのに要した消費電力量は約0.25Whrであった。
【0054】
次いで、未定着のトナーを載せた葉書(用紙幅100mm)を1分間に40枚連続通紙した。出力する被加熱体幅情報出力装置16により得られた用紙サイズの情報が電力供給装置14に送られ、その結果電力供給装置14は中央20箇所の発熱部10にのみ電力を供給して発熱させた。その結果、良好な定着性能を得られた。この際の用紙1枚定着するのに要した消費電力量は約0.13Whrであった。
【0055】
次いで、未定着のトナーを載せた名刺(用紙幅55mm)を1分間に60枚連続通紙した。被加熱体の幅情報を出力する被加熱体幅情報出力装置16により得られた用紙サイズの情報が電力供給装置14に送られ、その結果電力供給装置14は中央12箇所の発熱部10にのみ電力を供給して発熱させた。その結果、良好な定着性能を得られた。この際の用紙1枚定着するのに要した消費電力量は約0.05Whrであった。
【実施例2】
【0056】
発熱体4の平面形状を図7に示した形状とした以外は実施例1と同様に定着試験を行なった。発熱体4は軸線方向の全長が360mmであって、各独立した発熱部10の平面形状は略軸線方向に並行した辺の長さwが5mm、略軸線方向に直行する方向の辺の長さlが20mmである長方形であり、各発熱部10の重心を軸として回転しておりその回転角θは10°である。隣接する発熱部10の間には1mmの間隙dがあり、d≦sinθ(l*cosθ−w*sinθ)=3.27mmを満たしている。いずれの用紙の場合においても良好な定着性能を得られ、特に画質が良好であった。
【実施例3】
【0057】
発熱体4の平面形状を図7に示した形状とした以外は実施例1と同様に定着試験を行なった。発熱体4は軸線方向の全長が360mmであって、各独立した発熱部10の平面形状は略軸線方向に並行した辺の長さwが3mm、略軸線方向に直行する方向の辺の長さlが20mmである長方形であり、各発熱部10の重心を軸として回転しておりその回転角θは45°である。隣接する発熱部10の間には3mmの間隙dがあり、d≦sinθ(l*cosθ−w*sinθ)=8.5mmを満たしている。いずれの用紙の場合においても良好な定着性能を得られ、特に画質が良好であった。
【実施例4】
【0058】
発熱体4の平面形状を図8に示した形状とした以外は実施例1と同様に定着試験を行なった。発熱体4は軸線方向の全長が360mmであって、各独立した発熱部10の平面形状は軸線方向に並行した辺の長さwが20mm、略軸線方向に直行する方向の辺の長さlが20mmであり、各発熱部10の略軸線方向に直行する方向の辺lが重心を軸として回転しておりその回転角θは10°である。隣接する発熱部10の間には1mmの間隙dがあり、d≦sinθ(l*cosθ−w*sinθ)=6.3mmを満たしている。いずれの用紙の場合においても良好な定着性能を得られ、特に画質が良好であった。
【実施例5】
【0059】
<定着装置>
図1に使用した定着装置を示した。定着装置は加圧ローラ1、定着フィルム2及び発熱体4により構成され、発熱体と定着フィルム2の間に伝熱部材3を有する。発熱体4と伝熱部材3は積層されており伝熱部材3が定着フィルム2の内面に接し、加圧ローラ1と対向するように圧接して配置されている。
【0060】
この定着装置を用い実施例2に示した発熱体及び制御により定着試験を行なった。いずれの用紙の場合においても良好な定着性能を得られた、特に画質が良好であった。
【実施例6】
【0061】
絶縁層12として厚み50μmのポリイミドフィルム(ユーピレックス−S、宇部興産製)上に、導電性粒子として気相成長法炭素繊維(VGCF−H、昭和電工製)12.1重量部を、ポリイミド前駆体溶液RC5063(アイ.エス.テイ製)200重量部に添加した後3本ロールミルを3回通過させて作成したペーストをスクリーン印刷法にて図4の発熱部10の形状に印刷した後、乾燥炉にて乾燥させ以降実施例1と同様に作成した発熱体を用いた以外は実施例1と同様に定着試験を行なった。いずれの用紙の場合においても良好な定着性能を得られた。
【実施例7】
【0062】
絶縁層12として厚み50μmのポリイミドフィルム(ユーピレックス−S、宇部興産製)上に、導電性粒子として炭化タングステン(WC10、アライドマテリアル製)164重量部を、ポリイミド前駆体溶液RC5063(アイ.エス.テイ製)200重量部に添加した後3本ロールミルを3回通過させて作成した発熱ペーストをスクリーン印刷法にて図4の発熱部10の形状に印刷した後、乾燥炉にて乾燥させ以降実施例1と同様に作成した発熱体を用いた以外は実施例1と同様に定着試験を行なった。いずれの用紙の場合においても良好な定着性能を得られた。
【0063】
(比較例1)
発熱体の平面形状を軸方向に長さ350mm、軸方向に直交する方向の長さ20mmの長方形である発熱部を一つ備えた形状とした以外は実施例1の通り各種用紙に対する定着試験を行なった結果、A3サイズの用紙に関しては良好な定着性能を得られたが、A4サイズの用紙、葉書及び名刺に関しては、定着操作中に定着装置内部に高温になる部分が生じたため冷却するため定着操作をとめざるを得ず1分間に5枚程度しか定着させる事ができなかった。用紙1枚定着するのに要した消費電力量はA3サイズの用紙の場合約0.45Whr、A4サイズの用紙の場合約0.6Whr、葉書の場合約0.4Whr、名刺の場合約で0.4Whrあった。葉書および名刺では過熱部の冷却に伴い通紙部も温度が下がり再度定着温度まで加熱する必要があったため消費電力量が増えた。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の定着装置は、電子写真複写機やレーザービームプリンター等に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 加圧ローラ
2 定着フィルム
3 伝熱部材
4 発熱体
5 被加熱体
6 未定着トナー
7 定着ローラ
8 定着ベルト
9 定着ローラ
10 発熱部
11 給電電極
12 絶縁層
13 絶縁層
14 電力供給装置
15 電力供給線
16 被加熱体幅情報出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要な回路に電力を供給する制御装置と、前記制御装置より供給される電力により発熱する発熱体を備えた定着装置であって、
前記発熱体が少なくともポリイミドを含んでなる独立した複数の発熱部からなり、それぞれの発熱部に被加熱体の大きさに応じて制御装置より個別に備えられた発熱部の電極へ電力を供給されることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記独立した複数の発熱部が方形状であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記発熱部がそれぞれの発熱部の重心が直線状に配列してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記発熱部が重心を軸にほぼ均等な角度ずつ同方向へ回転させたことを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記独立した複数の発熱部が同一形状であることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記発熱部がd≦sinθ(lcosθ−wsinθ)を満たすことを特徴とする請求項5に記載の定着装置。(0°<θ<90°、d>0)
d:隣り合う発熱部との距離
θ:重心を軸に回転させた角度
l:方形の一方向に向かい合う辺の長さ
w:方形の残りの向かい合う辺の長さ
【請求項7】
前記発熱部の少なくとも一方の面上に絶縁層を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の定着装置。
【請求項8】
前記絶縁層の少なくとも一方の面上に伝熱部材を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の定着装置。
【請求項9】
前記伝熱部材がステンレス、アルミ、ニッケル、銅、アルミナ、窒化アルミ、窒化硼素、窒化けい素、黒鉛から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
【請求項10】
前記発熱部がスクリーン印刷又はメタルマスクにより形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−252190(P2012−252190A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125213(P2011−125213)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(391059399)株式会社アイ.エス.テイ (102)
【Fターム(参考)】