説明

定置された基板をパルスマグネトロンスパッタにより被覆する方法

本発明は、パルスマグネトロンスパッタのための装置であって、真空形成装置を備えるレシピエントと、2つのマグネトロンスパッタ源と、少なくとも1つの基板ホルダと、電流供給装置とを有し、・前記レシピエントは五角形の横断面を有し、該五角形の横断面は少なくとも1つの直角を含み、・相互に直角の2つの側壁には、それぞれ1つのマグネトロンスパッタ源が取り付けられており、・3つの残りの側壁にはそれぞれ1つの開口部と所属のフランジが設けられており、・マグネトロンスパッタ源に対向する側壁の少なくとも1つの開口部は真空フランジにより密閉されており、・該開口部は基板ホルダを、対向するマグネトロンスパッタ源の中心に対して直接対向するように、またはマグネトロンスパッタ源の中心に対して平行にずらして任意に位置決めするための手段を有し、・基板ホルダには、基板の中心をマグネトロンスパッタ源のターゲット面に対して可変の間隔で任意に位置決めするための手段が設けられており、・マグネトロンスパッタ源に対する電流供給装置には、ユニポーラ電力パルスまたはバイポーラ電力パルスを給電するための手段が設けられており、・前記ユニポーラ電力パルスは1から100kHzの領域の周波数を有し、かつ各マグネトロンスパッタ源において別個に調整可能な電力と、別個に調整可能なデューティ比を有し、・前記バイポーラ電力パルスは1から100kHzの領域の周波数を有し、かつ各極性に対して別個に調整可能な電力と、別個に調整可能なデューティ比を有し、・マグネトロンスパッタ源のターゲットは電流供給装置の各極と、該ターゲットが交互にマグネトロン放電のカソードおよびアノードとして作用するように接続されている、ことを特徴とするパルスマグネトロンスパッタ装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルスマグネトロンスパッタのための装置に関するものであり、有利には多層システム、いわゆるマルチレイヤー構成を位置固定された基板に薄膜技術で析出するための装置に関する。この構成はとりわけ、複数の任意に選択可能な被覆パラメータにより、薄膜技術で研究作業および開発作業を実行するのに適する。
【0002】
マグネトロンスパッタはしばしば、陰極スパッタと称せられ、物理蒸着法(PVD)で最も広く普及している。
【0003】
パルスマグネトロンスパッタでは、マグネトロン放電に約10kHzから350kHzの周波数の直流パルス、正弦波状交流電流またはバイポーラパルスによってネルギー供給される。このようなパルスマグネトロンスパッタが導入されて以来、適用領域はますます拡大しており、電気的に絶縁性の化学化合物を高い析出速度で析出することにまで広がっている。このためには、反応ガス流ないし反応ガス圧をアクティブ制御する活性化プロセス制御が必要である。パルスマグネトロンスパッタはまた、それ自体公知の被覆パラメータに加えて適切なパラメータ、例えば周波数、パルス波形およびデューティ比を設定することにより、析出される層の構造および特性を所望のように調整することができる。ここでデューティ比とは、パルス時間と、パルス休止を含む全体パルス期間との商であると理解されたい。製造パラメータの多数が可変であり、同様にプロセス制御が複雑であることから、パルスマグネトロンスパッタ研究作業および開発作業に先立って、析出プロセスの最適化が必要である。
【0004】
このような研究および開発作業を成功裏に実行することのできる真空被覆装置も多岐の構造にわたって公知である。
【0005】
例えば通常は円形構造であるマグネトロンスパッタ源、基板ホルダおよびパルス電流供給ユニットなどの標準的要素、および1つまたは複数の基板を前処理および加熱するための要素、並びに測定装置は多くの場合、幾何学的に簡単に成形されたレシピエントに、真空形成ユニットおよび制御ユニットと共に配置され、このような研究装置に対するコスト低減を図っている。
【0006】
複数の層からなるか、または複数のマグネトロン源による同時スパッタリングにより製作される層システムを析出するために、1つの定置基板と複数のマグネトロン源からなり、平坦で円形なターゲットまたはプロフィールのあるターゲットを備える構成がしばしば使用される。この構成ではマグネトロン源のターゲット面が実質的に基板中央に配向されている。回転皿を備える構成も普及しており、これにより1つまたは複数の基板を順次連続して、マグネトロン源のそれぞれの上に垂直に案内することができる。とりわけこの2つの普及した構成では、被覆パラメータの変化幅がしばしば不十分である。さらに回転皿を備える構成は比較的大きなレシピエントを必要とし、相応にコストがかかる。
【0007】
研究装置でのマグネトロンスパッタに対する要素の多数の構成が科学文献(例えばThin Solid Films, "Surface Coating Technologies" ,"Vakuum in der Praxis")に記載されている。しかし被覆パラメータを所望のように自由に選択することと、できるだけ投資コストを小さくすることとを十分な程度に両立させるものではない。結果として、しばしばマグネトロンスパッタ装置の技術的フレキシビリティが不足するか、または研究および開発装置により最適化された方法を工業的被覆作業に転用する際にスケーラビリティが不十分となる。とりわけパルスマグネトロンスパッタに基づいた被覆方法を開発する際にはこのような欠点が頻繁に発生し、研究および開発作業の成功を困難にし、障害となる。
【0008】
従って本発明の課題は、技術的コストが小さく、位置固定された基板をパルスマグネトロンスパッタにより被覆する際に高いフレキシビリティと、パルスパラメータおよび層特性の選択に高い自由度が得られるパルスマグネトロンスパッタ装置を提供することである。同様に、個別層の析出が多重層、勾配層、および混合層と同じように可能であるようにする。
【0009】
この課題は、請求項1の構成を備えるパルスマグネトロンスパッタ装置によって解決される。請求項2から5には、本発明の装置の有利な構成が記載されている。
【0010】
本発明の装置は、真空形成装置を備える少なくとも1つのレシピエントと、円形または矩形のターゲットを備える少なくとも2つのマグネトロンスパッタ源と、マグネット装置と、ガス供給およびガス制御システムと、被覆中に1つまたは複数の基板を収容するための少なくとも1つの基板ホルダと、制御ないし調整システムを備える少なくとも1つの電流供給装置と、制御装置とを有する。
【0011】
本発明によればレシピエントは断面に五角形の横断面を有し、この横断面は少なくとも1つの直角を含む。このレシピエントがこの断面に対して平行に、平坦な底部板ないしカバー板により制限され、これらの板に側壁が垂直に起立すると有利である。この場合、レシピエント本体の外側形状は五面プリズムに相応する。5つの側壁が、少なくともそのうちの2つの側壁が相互に平行であるように配置されていると有利である。5つの側壁が3つの直角と2つの鈍角を含むように配置されていると特に有利である。
【0012】
相互に直角の2つの側壁にそれぞれ1つのマグネトロンスパッタ源が取り付けられる。マグネトロンスパッタ源は付加的に、冷却装置、マグネット装置、ガス供給およびガス制御システムを備える矩形または円形のターゲットの他に別個のアノードを有する。3つの残りの側壁のうち、壁に対して平行に延在する少なくとも1つはマグネトロンを支持する。またこの3つの残りの側壁はそれぞれ1つのフランジ開口部を有し、このフランジ開口部は基板ホルダを取り付けるのに適する。マグネトロンを備える壁に対して平行に配置された壁の開口部はフランジにより密閉され、このフランジは基板ホルダをマグネトロンスパッタ源に対向する中心に対して任意に位置決めするための手段を有する。
【0013】
本発明の有利な構成では、相互に直角の2つの大きな側壁にそれぞれ1つのマグネトロン源が配置される。マグネトロンスパッタ源は付加的に、冷却装置、マグネット装置、ガス供給およびガス制御システムを備える矩形または円形のターゲットの他に別個のアノードを有し、この別個のアノードは被覆に対して十分に保護されている。
【0014】
3つの残りの側壁はそれぞれ1つのフランジ開口部を有し、このフランジ開口部は基板ホルダを取り付けるのに適する。このフランジ開口部とマグネトロン源の中心は、レシピエントを通る五角形の横断面を形成する面に配置されている。
【0015】
少なくともマグネトロン源に対向するフランジ開口部は真空フランジによって密閉されており、このフランジ開口部は基板ホルダをマグネトロン源の中心に対して任意に位置決めするための手段を有する。このために重ねて配置され、相互に回転可能な偏心フランジが設けられている。偏心フランジは回転対称な開口部を有し、この開口部の中心はフランジ中央に対してずらされている。これにより基板ホルダの位置は、マグネトロンスパッタ源の中央の面内で、基板の中心が対向するマグネトロンスパッタ源の中心に対してずらされているか、またはそれに直接対向して位置決めされるように調整される。基板ホルダには、ターゲット・基板間隔を調整するための手段が設けられている。この手段は、基板中心を可変の間隔で、例えば50mmから250mmの領域でマグネトロンスパッタ源のターゲット表面の中心に対して任意に位置決めできるように構成されている。
【0016】
本発明によれば、マグネトロンスパッタ源に対する電流供給装置は別個にエネルギーを供給することができる。このエネルギーは1kHzから100kHzの領域の周波数を有し、それぞれ電流強度、電力または電圧が個別に調整可能であり、デューティ比も個別に調整可能である。それぞれの対向電極としてここでは、それぞれ配属された「隠しアノード」が接続される。電流供給ユニットはさらに、択一的にバイポーラ電力パルスを給電するように構成されており、この電力パルスは1kHzから100kHzの周波数を有し、各極性に対して別個に電力が調整可能であり、かつデューティ比も別個に調整可能である。ここで各マグネトロンターゲットは電流供給装置の極と、ターゲットがマグネトロン放電のカソードおよびアノードとして交互に切り替えられるように接続される。本発明によれば、パルスマグネトロンスパッタリング装置はさらに、マグネトロンスパッタ源にユニポーラ電力パルスまたはバイポーラ電力パルスを給電するために切り替える手段を有する。電力パルスのモードとデューティ比を任意に選択できることによって、プラズマからの荷電種ないし高エネルギー種による基板上での成長層の衝撃強度をさらなるパラメータ限界まで調整することができる。これにより層の構造および物理的特性、並びにそれに依存する多数の適用層の特性を所望のように調整し、最適化することができる。
【0017】
本発明により被覆幾何形状を選択することと、基板位置をマグネトロンスパッタ源に対して間隔と角度位置の点で自由に選択できることにより、層および層システムを種々の条件の下で析出するためのスパッタリング装置の使用領域が拡大する。基板位置のマグネトロンスパッタ源に対する偏心パラメータを変化することによって、例えば凝縮プロセスでのプラズマ活性の重要なパラメータを変化することができ、これにより非常に効率的にそれぞれの被覆タスクに対して最適に調整することができ、最適性を求めることができる。
【0018】
可変性は、層材料、成長速度、層を形成する粒子の入射方向、プラズマ二による析出プロセスの活性度、および多数の他のパラメータに関連する。析出条件は時間に依存して制御可能であり、これにより層特性の所定の勾配を調整することができる。特に有利には同時スパッタリングを行い、種々異なる出発材料から新たな材料化合物を、純粋な電気的調整パラメータを厳密に制御して作製する。この構成はさらに多層システム(マルチレイヤー)を析出するのにも特に適する。
【0019】
有利な構成では、各マグネトロンスパッタ源にシャッター絞りが配属されており、このシャッター絞りは有利にはそれぞれの表面に平行な面で、かつレシピエントの長手方向に移動される。これにより、個別層の間の境界面で層特性が跳躍的に変化する多層システムが達成され、しかも個別層における層特性は非常に均質となる。有利には、本発明の装置にマグネトロンの領域で機械的高速シャッター絞りを設け、この絞りを電空的に駆動する。
【0020】
とりわけ研究および開発タスクのために本発明の装置は有利には、少なくとも1つの別の真空フランジを有する。この別の真空フランジによって、プラズマパラメータ、例えばプラズマ電位および/または光学的放射または層特性をインシトゥ測定するための手段、および/またはエネルギー分散型質量分析を行うために、プラズマ診断測定手段を実現するための手段を取り付ける。
【0021】
さらに有利な構成では、基板ホルダを収容するために設けられているが、それぞれの被覆タスクに対しては必要のない側壁の開口部が、エネルギー分散型質量分析計を取り付けるために利用される。この質量分析計により、プロセス最適化を支援するために、調整されたエネルギー供給の種々のパラメータの作用をプラズマ種の形式、密度およびエネルギー分布について測定することができる。
【0022】
基板上での層特性の均質性が重要である場合、本発明の装置には有利には、基板の垂線に対して平行な軸を中心にして基板を回転させる手段が設けられる。
【0023】
等価的で有利な解決手段として、ただ1つの基板を被覆するためにだけ被覆サイクルを設けるのではなく、基板ロックおよび交換装置を基板に対して設け、複数の基板を順次連続して被覆できるようにする。
【0024】
実施例に基づき本発明の装置を詳細に説明する。
【0025】
図1は、マグネトロンスパッタ源の中心を通る面でのレシピエントの断面図である。
【0026】
図2aと図2bは、マグネトロンスパッタ源にユニポーラないしバイポーラ電力パルスの形態でエネルギー供給するためのブロック回路図およびパルスパターンを示す図である。
【0027】
図1:本発明の装置のレシピエント1は側壁2,3,4,5,6並びに底部板とカバー板(図平面に対して平行であり、図示されていない)によって制限され、1つの対称軸だけを備える対称五角形の断面を有する。側壁2と3は相互に、隣接する2つの側壁と共に直角を形成し、側壁4,5はそれぞれ隣接する1つの側壁と共に直角を形成する。従って5つの側壁は、3つの直角と2つの鈍角を含むように配置されている。
【0028】
側壁4と5はそれぞれ隣接する側壁と共に135゜の鈍角を形成する。側壁6は隣接する2つの側壁と共に135゜の鈍角を形成する。レシピエントは、ターボ分子ポンプを備える真空形成システムにより真空にされ、ガス供給システムはアルゴンガスに対する適切な作動圧を調整する。
【0029】
側壁2と3は、それぞれ1つのマグネトロンスパッタ源7ないし8を収容する開口部を有する。各マグネトロン源は、冷却装置9ないし10を備えるターゲットと、1つまたは複数の反応ガス、例えば酸素および窒素に対するガス供給およびガス制御装置と、シールド板11ないし12を有する。シールド板はプラズマ空間をターゲットの周囲で画定する。シールド板の外では2つのマグネトロンスパッタ源がそれぞれ1つの電極13ないし14を支持している。これらの電極は被覆に対して十分に保護されている。このようないわゆる隠しアノードはDE4223505C1およびDE19947932C1/DE19947935A1から公知である。側壁4,5,6にはそれぞれ1つの開口部が設けられており、この開口部は基板ホルダ15を収容するためのものである。この開口部の中心とマグネトロンスパッタ源の中心は、レシピエント横断面に相応する面内にある。この面は実施例では図平面である。
【0030】
開口部はそれぞれ一対の偏心フランジ16,17,18により密閉されている。この偏心フランジは、種々異なる角度位置を以て相互に取り付けることができる。このようにして基板ホルダ15の位置は任意に調整可能である。偏心フランジ16ないし18により、基板ホルダ19の中心をそれぞれ対向するマグネトロンスパッタ源20の中心に対して直接位置決めすることができる。しかし同様に、垂線を100mmまでずらして調整することもできる。
【0031】
側壁16の開口部における位置15に基板ホルダを取り付けることは、ターゲット9と10の同時スパッタリングにより、一般的に異なる2つのターゲット材料の化学化合物からなる混合層を形成すべき場合に最も適する。基板ホルダは蛇腹管21に取り付けられる。これにより基板ホルダ19の中心とマグネトロンスパッタ源20の中心との間隔bを50mmから150mmの間の領域で調整することができる。
【0032】
マグネトロンスパッタ源に対する電流供給装置(ここに図示せず)には、ユニポーラ電力パルスまたは択一的にバイポーラ電力パルスを給電する手段が設けられている。パルス周波数は10kHzから50kHzの間で可変調整することができる。
【0033】
デューティ比は、各モードおよび各ターゲットごとに独立して1:10から10:1までに調整することができる。
【0034】
本発明の装置にはさらに機械的な高速シャッター絞り22と23が設けられており、これらのシャッター絞りは電空的に駆動される。高速シャッター絞りが必要であるのは、これにより先鋭な境界面を備える多層システム、すなわち個別層間を跳躍的に移行する多層システムを析出する装置が使用可能になるからである。基板ホルダを収容するために必要ではない側壁5の開口部は、エネルギー分散型質量分析計24を取り付けるために利用される。この質量分析計により、プロセス最適化を支援するために、調整されたエネルギー供給の種々のパラメータの作用をプラズマ種の形式、密度およびエネルギー分布について測定することができる。
【0035】
図2aには、ユニポーラ電力パルスを給電するためのブロック回路図と、生じたパルスパターンが示されている。2つの直流源31と32が切り替えユニット33と接続されており、2つのマグネトロンスパッタ源に給電する。
【0036】
一方のマグネトロンスパッタ源のターゲットはカソード35を形成し、このマグネトロンスパッタ源の隠し電極は第1のマグネトロン放電のアノード34を形成する。他方のマグネトロンスパッタ源のターゲットはカソード37を形成し、このマグネトロンスパッタ源の隠し電極は第2のマグネトロン放電のアノード36を形成する。
【0037】
電流パルス38と39の所属のパターンは、周波数および振幅に関しても、またデューティ比に関しても被覆タスクに応じて異なって調整される。
【0038】
図2bには、バイポーラ電力パルスの形態でマグネトロンスパッタ源にエネルギー供給するモードに対するブロック回路図とパルスパターンが示されている。同じ2つの直流源31と32、およびパルスモードに対する切り替え装置が集積された切り替えユニット33は、ここではバイポーラエネルギーパルスを、2つのマグネトロンスパッタ源の二重構成に給電する。
【0039】
ターゲットは共通のマグネトロン放電のアノードおよびカソードとして交互に作用し、隠し電極は電気的に電流供給部に接続されない。従って図2bには図示されていない。生じたパルスパターンは、ここでもパルス長と振幅が2つのマグネトロンスパッタ源に対して異なって調整されていることを示している。図2aと図2bの回路による2つのパルスモード間の切り替えはいつでもプログラム制御して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、マグネトロンスパッタ源の中心を通る面でのレシピエントの断面図である。
【図2】図2aと図2bは、マグネトロンスパッタ源にユニポーラないしバイポーラ電力パルスの形態でエネルギー供給するためのブロック回路図およびパルスパターンを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスマグネトロンスパッタのための装置であって、真空形成装置を備えるレシピエントと、2つのマグネトロンスパッタ源と、少なくとも1つの基板ホルダと、電流供給装置とを有し、
・前記レシピエントは五角形の横断面を有し、該五角形の横断面は少なくとも1つの直角を含み、
・相互に直角の2つの側壁には、それぞれ1つのマグネトロンスパッタ源が取り付けられており、
・3つの残りの側壁にはそれぞれ1つの開口部と所属のフランジが設けられており、
・マグネトロンスパッタ源に対向する側壁の少なくとも1つの開口部は真空フランジにより密閉されており、
・該開口部は基板ホルダを、対向するマグネトロンスパッタ源の中心に対して直接対向するように、またはマグネトロンスパッタ源の中心に対して平行にずらして任意に位置決めするための手段を有し、
・基板ホルダには、基板の中心をマグネトロンスパッタ源のターゲット面に対して可変の間隔で任意に位置決めするための手段が設けられており、
・マグネトロンスパッタ源に対する電流供給装置には、ユニポーラ電力パルスまたはバイポーラ電力パルスを給電するための手段が設けられており、
・前記ユニポーラ電力パルスは1から100kHzの領域の周波数を有し、かつ各マグネトロンスパッタ源において別個に調整可能な電力と、別個に調整可能なデューティ比を有し、
・前記バイポーラ電力パルスは1から100kHzの領域の周波数を有し、かつ各極性に対して別個に調整可能な電力と、別個に調整可能なデューティ比を有し、
・マグネトロンスパッタ源のターゲットは電流供給装置の各極と、該ターゲットが交互にマグネトロン放電のカソードおよびアノードとして作用するように接続されている、
ことを特徴とするパルスマグネトロンスパッタ装置。
【請求項2】
請求項1記載のパルスマグネトロンスパッタのための装置であって、有利には位置固定された基板上に所定の層特性を有する多層システムを析出するためのものであり、真空形成装置を備えるレシピエントと、2つのマグネトロンスパッタ源と、少なくとも1つの基板ホルダと、電流供給装置とを有し、
・前記レシピエントは基本幾何形状において対称の五角形横断面を有し、従って4つの面は少なくとも1つの隣接する面に対して直角であり、3つの面は少なくとも1つの隣接する面と135゜の角度を形成し、
・相互に直角の比較的に大きな側壁にはそれぞれ1つのマグネトロンスパッタ源が配置されており、該マグネトロンスパッタ源には被覆に対して十分に保護された、いわゆる隠し電極を備え、
・残りの3つの側壁にはそれぞれ1つの開口部とフランジが設けられており、
・該開口部は、基板ホルダの中心とマグネトロンスパッタ源の中心とが1つの面内になるように該基板ホルダを収容し、
・当該面はレシピエントを通る五角形の横断面を形成し、
・少なくともマグネトロンスパッタ源に対向する開口部は真空フランジにより密閉されており、
・該開口部は、基板ホルダをそれぞれのマグネトロンスパッタ源の中心に対して直接対向するように、またはマグネトロンスパッタ源の中心に対して平行にずらして任意に位置決めするための手段を有し、
・基板ホルダには、基板の中心をマグネトロンスパッタ源のターゲット面に対して可変の間隔で任意に位置決めするための手段が設けられており、
・マグネトロンスパッタ源に対する電流供給装置には、ユニポーラ電力パルスまたはバイポーラ電力パルスを給電するための手段が設けられており、
・前記ユニポーラ電力パルスは1から100kHzの領域の周波数を有し、かつ各マグネトロンスパッタ源において別個に調整可能な電力と、別個に調整可能なデューティ比を有し、
・前記バイポーラ電力パルスは1から100kHzの領域の周波数を有し、かつ各極性に対して別個に調整可能な電力と、別個に調整可能なデューティ比を有し、
・マグネトロンスパッタ源のターゲットは電流供給装置の各極と、該ターゲットが交互にマグネトロン放電のカソードおよびアノードとして作用するように接続されており、
・ユニポーラ電力パルスの給電とバイポーラ電力パルスの給電とはいつでも切り替えることができる、パルスマグネトロンスパッタ装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の装置において、付加的に各マグネトロンスパッタ源にはシャッター絞りが配属されており、
該シャッター絞りはそれぞれのターゲット表面に対して平行な面内を、レシピエントの長手方向に運動することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項記載の装置において、レシピエントの壁には真空フランジが配置されており、
該真空フランジにより、プラズマパラメータまたは層特性をインシトゥ測定するための手段が取り付けられることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項記載の装置において、基板ホルダには、基板の中心点垂線を中心に基板を回転させる手段が設けられていることを特徴とする装置。

【図1】
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【公表番号】特表2006−524291(P2006−524291A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504575(P2006−504575)
【出願日】平成16年3月8日(2004.3.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002332
【国際公開番号】WO2004/094686
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(594102418)フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ (63)
【氏名又は名称原語表記】Fraunhofer−Gesellschaft zur Foerderung der angewandten Forschung e.V.
【住所又は居所原語表記】Hansastrasse 27c, D−80686 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】