説明

定量供給装置

【課題】 被運搬物のブリッジ現象や貯留槽側壁面との摩擦による滞留を防止し、破砕された廃棄物や粉体等の被運搬物を安定して効率良く定量供給することのできる定量供給装置を提供する。
【解決手段】 上部に投入口を有する貯留槽、該貯留槽の下部に設けたベルトコンベヤー、該ベルトコンベヤーの端部下方に設けた排出部を有する定量供給装置において、貯留槽内部の後壁面及び両側壁面を垂直に構成するとともに、両側壁面の間隔を投入口側から排出部側に向けて末広がり状に拡大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕された廃棄物や粉体等を定量供給する装置に関する。本発明の定量供給装置は、例えば紙、木材、プラスチック等の廃棄物を破砕し固形燃料化する装置における定量供給装置として、好適に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙、木材、プラスチック等の廃棄物を破砕機で破砕後、原料ホッパー(貯留槽)に貯留し、スクリューコンベアやベルトコンベヤーにより破砕廃棄物を定量供給して、成形機で混練、圧縮後、押出し成形して固形燃料化する方法が知られている。しかしながら、破砕した廃棄物をスクリューコンベヤーにより貯留槽から成形機に定量供給する場合には、原料となる廃棄物の比重が比較的小さいためにブリッジ(棚吊)現象が生じ、廃棄物が貯留槽からスクリューコンベヤーに落下せず、スクリューコンベヤーが空回りして原料廃棄物が成形機に定量供給されないという問題があった。また、破砕機から破砕廃棄物をベルトコンベヤー等によって直接成形機に供給する場合には、原料廃棄物の供給量が不安定となり、目的とする固形燃料を効率よく生産することが出来ないという問題があった。
【0003】
貯留槽内にベルトコンベヤーを配設した定量供給装置も知られているが(例えば、特許文献1参照)、このような定量供給装置では、貯留槽の内壁面が下方に向けて絞り込まれた斜面として構成されていることから、貯留槽の側壁面とベルトコンベヤーにより運搬される被運搬物との間に摩擦が生じ、ベルトコンベヤーが空回りして被運搬物が安定に定量供給されないという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開平9−165589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこれら従来技術の問題点を解消して、被運搬物のブリッジ現象や貯留槽側壁面との摩擦による滞留を防止し、破砕された廃棄物や粉体等の被運搬物を安定して効率良く定量供給することのできる定量供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は鋭意検討した結果、貯留槽内部の後壁面及び両側壁面を垂直に構成するとともに、両側壁面の間隔を投入口側から排出部側に向けて末広がり状に拡大させることによって、上記課題が解決されることを見出し本発明を完成させたものである。
【0007】
すなわち、本発明は次の1〜4の構成を採用することを特徴とするものである。
1.上部に投入口を有する貯留槽、該貯留槽の下部に設けたベルトコンベヤー、該ベルトコンベヤーの端部下方に設けた排出部を有する定量供給装置において、貯留槽内部の後壁面及び両側壁面を垂直に構成するとともに、両側壁面の間隔を投入口側から排出部側に向けて末広がり状に拡大させたことを特徴とする定量供給装置。
2.排出部の中央部下方に開口を設け、排出部の幅方向全長にわたって両端部から中央部に向けて互いに逆向きの回転刃を有し中央部に回転刃を持たないスクリュー軸を配置したことを特徴とする1に記載の定量供給装置。
3.スクリュー軸の中央部上方に、被運搬物をスクリュー軸の両端部方向に分配する分配板を設けたことを特徴とする2に記載の定量供給装置。
4.分配板をスクリュー軸中央部の回転刃を持たない部分を覆うように、スクリュー軸の両端部方向に傾斜面を有する板状体により構成したことを特徴とする3に記載の定量供給装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明の定量供給装置は、破砕された廃棄物や粉体等の被運搬物のブリッジ現象や貯留槽側壁面との摩擦による滞留を防止し、被運搬物を安定して効率良く定量供給することができる。
特に、排出部に逆向きの回転刃を有し中央部に回転刃を持たないスクリュー軸を配置し、スクリュー軸の中央部上部に被運搬物をスクリュー軸の両端部方向に分配する分配板を設けることによって、被運搬物がスクリュー軸によって均一安定化され、一層安定に定量供給することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
つぎに、図面に基づいて本発明の定量供給装置について説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。
図1〜図3は、本発明を廃棄物の定量供給装置に適用した1例を示す図であり、図1は装置の断面模式図、図2は図1のXX線における断面模式図、また図3は図1のYY線における断面模式図である。
【0010】
この定量供給装置1は、破砕された廃棄物の投入口2、貯留槽3、該貯留槽3の下部でベルト車4、5の間を循環させるベルトコンベヤー6、及びベルトコンベヤー6の一端下方に設けた排出部7を有する。
【0011】
排出部7の中央下方には排出口となる開口8が設けられるとともに、排出部7の幅方向全長にわたって両端部から中央部に向けて互いに逆向きの回転刃11、11を有し、中央部に回転刃を持たないスクリュー軸12が配置され、このスクリュー軸12はモータ13に連結されている。開口8は、破砕された廃棄物を圧縮し、減容固化して固形燃料に成形する成形装置に連結することができる。
【0012】
また、スクリュー軸12の中央部上方には、スクリュー軸12の中央部の回転刃を持たない部分を覆うように分配板15が設けられる。この分配板15は、金属、プラスチック等の剛性材料からなる長方形の板状体を中央部で折り曲げて、スクリュー軸12の両端部方向に傾斜面が形成されるように設置されている。
このような分配板15を設けることによって、ベルトコンベヤー6によって排出部8に送られる破砕された廃棄物9がスクリュー軸12の両端部に分配され、互いに逆向きの回転刃11、11により回転、均一化されながら排出部7の中央部に移送され開口8から排出される。したがって、スクリュー軸12によって破砕された廃棄物9の性状が均一化されるので、廃棄物9を一段と安定して定量供給することが可能となる。
【0013】
この定量供給装置1の貯留槽3では、内部の後壁面21、両側壁面22、23を垂直に構成する。また、両側壁面22、23の間隔Wが、投入口2側から排出部7側に向けて末広がり状に拡大するように構成する(図2参照)。この末広がりの角度等は、適宜選択することができる。
貯留槽3の内壁面をこのように構成することによって、従来の貯留槽の内壁面が下方に向けて絞り込まれた定量供給装置において問題となる、破砕された廃棄物のブリッジ現象や、廃棄物と貯留槽側壁面との摩擦による滞留を防止し、廃棄物を安定に定量供給することが可能となる。
【0014】
貯留槽3の下部に設けるベルトコンベヤー6としては特に制限はなく、通常定量供給装置に用いられるベルトコンベヤーはいずれも使用することができ、定量供給装置に投入される破砕された廃棄物等の性状に応じて選択することができる。
例えば、投入される廃棄物が紙等のように軽量物の場合には、シート状の無端ベルトを使用することができ、比較的重量のある物の場合には、剛性材料からなる多数の板状体をベルトの幅方向に配置して連結したベルトを使用することができる。
【0015】
この定量供給装置1では、排出部7側のベルト車5をモータ14に連結し、投入口側のベルト車4は、装置本体の側壁に回転可能に軸支しているが、これとは逆に、投入口側のベルト車4をモータに連結する等適宜設計変更できることは言うまでもない。また、ベルトコンベヤー6を保持ローラー(図示せず)によって、保持するようにすることもできる。
【0016】
本発明の定量供給装置の寸法や形状は、装置を設置する敷地の広さや、処理量等に合わせて任意に選定することができる。標準的な廃棄物の定量供給装置として使用する場合には、例えば貯留槽3の幅(排出部7側の最大幅)が、150〜300cm、長さが300〜500cmで、高さが150〜300cm程度の直方体状とすることができる。装置を構成する材料としては、鉄、ステンレス鋼等通常の材料が使用される。また、ベルトコンベヤー6やベルト車4、5の寸法は、装置の寸法に合わせて選択することができる。
【0017】
本発明の定量供給装置は、例えば、紙、木材、プラスチック等の廃棄物を破砕し、固形燃料を製造する装置(プラント)に好適に用いられる。図4は、そのような固形燃料製造装置における製造プロセスの1例を示す模式図である。
紙、木材、プラスチック等の廃棄物は、必要により塩素含有プラスチック等の有害物質を発生するおそれのあるものを選別した後に、破砕装置で10〜50mm程度の寸法に破砕される。破砕された廃棄物は、本発明の定量供給装置に送られ、この定量供給装置から成形装置に一定量が安定的に供給されて、成形装置で混練、圧縮後、押出し成形することにより固形燃料化される。
【0018】
成形装置としては、加熱手段を備えた2軸スクリュー式の減容成形機等の公知の装置を使用することができるが、上記の定量供給装置を使用することによって、成形装置には一定量の廃棄物が安定して供給される。したがって、成形装置における操作条件のコントロールがきわめて容易になり、従来の成形温度(ヒーター温度180〜200℃)よりも低温(ヒーター温度120〜150℃)で固形燃料を製造することができるので、消費電力を大幅に減少させてコストダウンを図ることが可能となる。また、低温で成形することによって、プラスチック等の溶融やガス化を防止し、安定した性状を有する固形燃料を得ることができる。
なお、本発明の定量供給装置から、複数の成形装置に破砕された廃棄物を供給する等、適宜改変できることは勿論である。
【0019】
上記の例では、本発明を廃棄物の定量供給装置に適用した例について説明したが、本発明は廃棄物の定量供給装置に限定されるものではなく、他の粉体、粒状体等の定量供給装置として使用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を廃棄物の定量供給装置に適用した1例を示す断面模式図である。
【図2】図1のXX線における断面模式図である。
【図3】図1のYY線における断面模式図である。
【図4】本発明の定量供給装置を使用して、廃棄物から固形燃料を製造するプロセスを示す模式図である。
【符号の説明】
【0021】
1 定量供給装置
2 投入口
3 貯留槽
4、5 ベルト車
6 ベルトコンベヤー
7 排出部
8 開口
9 廃棄物
11 回転刃
12 スクリュー軸
13、14 モータ
15 分配板
21 後壁面
22、23 側壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に投入口を有する貯留槽、該貯留槽の下部に設けたベルトコンベヤー、該ベルトコンベヤーの端部下方に設けた排出部を有する定量供給装置において、貯留槽内部の後壁面及び両側壁面を垂直に構成するとともに、両側壁面の間隔を投入口側から排出部側に向けて末広がり状に拡大させたことを特徴とする定量供給装置。
【請求項2】
排出部の中央部下方に開口を設け、排出部の幅方向全長にわたって両端部から中央部に向けて互いに逆向きの回転刃を有し中央部に回転刃を持たないスクリュー軸を配置したことを特徴とする請求項1に記載の定量供給装置。
【請求項3】
スクリュー軸の中央部上方に、被運搬物をスクリュー軸の両端部方向に分配する分配板を設けたことを特徴とする請求項2に記載の定量供給装置。
【請求項4】
分配板をスクリュー軸中央部の回転刃を持たない部分を覆うように、スクリュー軸の両端部方向に傾斜面を有する板状体により構成したことを特徴とする請求項3に記載の定量供給装置。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−68655(P2006−68655A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−256430(P2004−256430)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(300032282)株式会社タズミ (4)
【Fターム(参考)】