説明

定量升

【課題】 簡易で低廉な装置構成ながらも良好な作業環境を維持できると共に、計量時に生じる余剰分の粉粒体を手軽にかつ効率よく再利用することのできる定量升を提供する。
【解決手段】 各種粉粒体を貯留する貯留ホッパ5下端部の粉粒体供給シュート6周縁部と、その下位に配設した上部側を先細り構造としたケーシング本体2上端の粉粒体投入口3周縁部とを可撓性部材から成るカバー体8で連結すると共に、このカバー体8には伸張・弛緩手段12を備える。そして、粉粒体計量時には、カバー体8を弛緩させた状態で定量升1内にやや過剰量の粉粒体を供給してオーバーフローさせるように充填して容積計量する一方、オーバーフロー分の粉粒体は粉粒体投入口3周囲のカバー体8にて捕集して貯留し、次回の粉粒体計量前にカバー体8を伸張させてカバー体8に貯留した粉粒体を定量升1内に投入させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種粉粒体を充填させることにより一定容積の粉粒体を計量する定量升に関する。
【背景技術】
【0002】
植生土や肥料等の各種粉粒体を一定量ずつ袋体等に詰め込んでパッケージングを行うような場合、粉粒体を一定量ずつ計量する方法としては、例えば、ロードセル等を使用する重量計量や、定量升を使用する容積計量等が採用される。このうち、ロードセル等を使用する重量計量方法では、装置構成が複雑となってコストがどうしても高くなり、小規模な施設等においては採用しづらい場合が考えられる。一方、定量升を使用する容積計量方法では、装置構成がシンプルでコストを低廉に抑えることができ、例え小規模な施設等においても比較的採用しやすいと考えられる。
【0003】
前記定量升は、所望の容積を有した略箱体状のものであって、例えば、主体となる中空状のケーシング本体の上端を解放面として粉粒体投入口とする一方、下端部には粉粒体排出用の排出ゲートを開閉自在に備えて構成され、この定量升を植生土や肥料等の各種粉粒体を貯留する貯留ホッパの下位に配置し、貯留ホッパより供給される粉粒体を充填させるというごく簡易な操作により、一定容積の粉粒体を短時間にて繰り返し計量できるようにしたものである。
【0004】
ところで、前記定量升にて粉粒体の容積計量を行う場合、例えば、特許文献1にも従来技術として記載されているように、やや過剰量の粉粒体をオーバーフローさせるように供給して定量升一杯に充填した後に、定量升上端の粉粒体投入口上部に盛られる余剰分の粉粒体をスクレーパにて掻き落とすようにしている。
【特許文献1】特開平1−173836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の定量升においては、計量の度にオーバーフローさせ、かつスクレーパにて掻き落とす粉粒体が定量升の周囲に散乱、或いは粉粒体の粒度によっては飛散することになり、作業環境面において必ずしも好ましいものではなかった。また、定量升の周囲に散乱した粉粒体を回収して再利用する場合、人力であれば非常に作業効率が悪い上、作業者に掛かる負担も大きいものとなる一方、回収コンベヤ等を備えて自動化すれば作業効率の向上は望める反面、多額の設備コストを強いられることが予想される。
【0006】
本発明は上記の点に鑑み、簡易で低廉な装置構成ながらも良好な作業環境を維持できると共に、計量時に生じる余剰分の粉粒体を手軽にかつ効率よく再利用することのできる定量升を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載の定量升では、各種粉粒体を貯留する貯留ホッパの下位に配設し、貯留ホッパより供給される粉粒体を充填させることにより一定容積の粉粒体を計量する定量升であって、上端を解放面として粉粒体投入口とした中空状のケーシング本体を備え、該ケーシング本体の下端部には粉粒体排出用の排出ゲートを開閉自在に備えると共に、前記粉粒体投入口の周縁部と、貯留ホッパ下端部の粉粒体供給シュートの周縁部とを可撓性部材から成るカバー体にて連結し、該カバー体にはカバー体の伸張・弛緩手段を備え、粉粒体計量時には、前記カバー体を弛緩させた状態で定量升内にやや過剰量の粉粒体を供給してオーバーフローさせるように充填して容積計量する一方、オーバーフロー分の粉粒体は粉粒体投入口周囲のカバー体にて捕集して貯留し、次回の粉粒体計量前にカバー体を伸張させてカバー体に貯留したオーバーフロー分の粉粒体を定量升内に投入させるように構成したこと特徴としている。
【0008】
また、請求項2記載の定量升では、前記ケーシング本体の上部側を上端に向かって漸次縮小するように先細り構造としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る請求項1記載の定量升によれば、各種粉粒体を貯留する貯留ホッパの下位に配設し、貯留ホッパより供給される粉粒体を充填させることにより一定容積の粉粒体を計量する定量升であって、上端を解放面として粉粒体投入口とした中空状のケーシング本体を備え、該ケーシング本体の下端部には粉粒体排出用の排出ゲートを開閉自在に備えると共に、前記粉粒体投入口の周縁部と、貯留ホッパ下端部の粉粒体供給シュートの周縁部とを可撓性部材から成るカバー体にて連結し、該カバー体にはカバー体の伸張・弛緩手段を備え、粉粒体計量時には、前記カバー体を弛緩させた状態で定量升内にやや過剰量の粉粒体を供給してオーバーフローさせるように充填して容積計量する一方、オーバーフロー分の粉粒体は粉粒体投入口周囲のカバー体にて捕集して貯留し、次回の粉粒体計量前にカバー体を伸張させてカバー体に貯留したオーバーフロー分の粉粒体を定量升内に投入させるように構成したので、簡易で低廉な装置構成ながらも、計量時における定量升周囲への粉粒体の散乱を防げて良好な作業環境を維持できると共に、計量時に生じる余剰分の粉粒体は次回計量時に手軽にかつ効率よく再利用することができて好適である。
【0010】
また、請求項2記載の定量升によれば、前記ケーシング本体の上部側を上端に向かって漸次縮小するように先細り構造としたので、計量時に粉粒体投入口上部に盛られる余剰分の粉粒体の量を抑えることができ、簡易で低廉な装置構成のまま計量精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の定量升にあっては、中空状のケーシング本体の上部側を上端に向かって漸次縮小するように先細り構造とし、その上端を解放面として粉粒体投入口とする一方、ケーシング本体の下端部には粉粒体排出用の排出ゲートを備える。そして、このケーシング本体を、例えば、植生土や肥料等の各種粉粒体を貯留する貯留ホッパの下位に配設し、ケーシング本体上端の粉粒体投入口周縁部と、貯留ホッパ下端部の粉粒体供給シュート周縁部とを可撓性部材である、例えばろ布製のカバー体で覆うようにして連結すると共に、該カバー体にはカバー体の伸張・弛緩手段として、シリンダーの伸縮動作に応じてカバー体の上縁部を粉粒体供給シュート周壁に沿わせて上下動させることによりカバー体を伸張・弛緩させるように構成したものを備えている。
【0012】
そして、上記構成の定量升にて粉粒体を計量するときには、先ず、前記カバー体を弛緩状態とした上で、貯留ホッパより定量升内に定量升の容積量よりもやや過剰量の粉粒体を供給し、粉粒体投入口上部よりオーバーフローさせるように充填して容積計量を行う一方、このオーバーフローしてこぼれ落ちる分の粉粒体は粉粒体投入口周囲に配したカバー体にて残らず捕集して一時的に貯留させる。このとき、ケーシング本体の上部側は先細り構造としているため、粉粒体の安息角に応じて形成されて粉粒体投入口上部に山状に盛られる粉粒体の量を抑えられ、例えば、スクレーパ等の掻き落とし機構の無い簡易な装置構成のものでも比較的精度よく計量することが可能となり、十分実用に耐えうるものとすることができる。そして、次回の粉粒体の計量前に弛緩状態のカバー体を伸張させ、カバー体に貯留している前回計量時にオーバーフローした分の粉粒体を定量升内に流し込んで投入させた後、カバー体を再び弛緩状態に戻した上で、前回同様に貯留ホッパより粉粒体を供給して容積計量を行う。
【0013】
このように、本発明の定量升は、ごく簡易で低廉な装置構成ながらも、計量時における定量升周囲への粉粒体の散乱・飛散等を確実に防げて作業環境を良好な状態に維持できると共に、計量時のオーバーフローや掻き落とし等によって生じる余剰分の粉粒体は次回計量時に手軽にかつ効率よく再利用することができて好適である。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】
図中の1は粉粒体を充填させることにより一定容積の粉粒体を計量する定量升であって、鋼製の中空状のケーシング本体2を主体とし、該ケーシング本体2の上部側を、図に示すように、上端に向かって漸次縮小するように先細り構造としていると共に、その上端部を解放面として粉粒体投入口3を形成している一方、ケーシング本体2の下端部には粉粒体排出用の排出ゲート4を開閉自在に備えている。
【0016】
前記定量升1の上位には植生土や肥料等の各種粉粒体Aを貯留する貯留ホッパ5を配設しており、該貯留ホッパ5の下端部には貯留している粉粒体Aを払い出して定量升1へ供給する粉粒体供給シュート6を備え、その先端開口部を定量升1上端の粉粒体投入口3へ臨ませていると共に、前記先端開口部には供給ゲート7を開閉自在に備えている。
【0017】
8はケーシング本体2上端の粉粒体投入口3の周縁部と、貯留ホッパ5下端部の粉粒体供給シュート6の周縁部とを連結する、例えば、ろ布やゴム板などの可撓性部材から成るカバー体であって、該カバー体8の下端部は粉粒体投入口3周縁部に固着している一方、カバー体8の上端部は粉粒体供給シュート6の壁面に沿って摺動する複数の摺動材9に固着し、粉粒体投入口3の周囲をカバー体8にて囲って覆うようにしている。
【0018】
前記各摺動材9は、粉粒体供給シュート6の周壁部に備えた複数のシリンダー10のピストンロッド11先端にそれぞれ固着しており、図に示すように、ピストンロッド11の伸縮動作に応じて粉粒体供給シュート6の壁面に沿って上下方向へ摺動するようにしている。そして、ピストンロッド11を伸長してカバー体8上端部を下降させると、それに応じてカバー体8を弛緩状態とさせることができる一方、ピストンロッド11を縮小してカバー体8上端部を上昇させると、それに応じてカバー体8を伸張状態とさせることができ、このようにしてカバー体8の伸張・弛緩手段12を構成している。
【0019】
そして、以上のように構成した定量升1にて貯留ホッパ5内の植生土や肥料等の粉粒体Aを計量するときには、図2に示すように、先ず、貯留ホッパ5の粉粒体供給シュート6周壁部に備えた各シリンダー10のピストンロッド11を伸長させてカバー体8を弛緩状態としておく(a)。次いで、粉粒体供給シュート6下端部の供給ゲート7を解放して貯留ホッパ5内の粉粒体Aを払い出し、粉粒体投入口3を介して定量升1のケーシング本体2内へ供給・充填させて容積計量を行う(b)。
【0020】
このとき、ケーシング本体2上端の粉粒体投入口3上部より若干量の粉粒体Aがオーバーフローするように、定量升1の容積量よりもやや過剰量の粉粒体Aを供給し、ケーシング本体2の隅々まで粉粒体Aを確実に充填させるようにするのであるが、本実施例においてはケーシング本体2の上部側を、図に示すように、先細り構造としているため、粉粒体Aの安息角に応じて形成されて粉粒体投入口3上部に山状に盛られる粉粒体A’の量を極力抑えることができ、例えば、本実施例のように、スクレーパ等の掻き落とし機構の無い簡易な装置構成のものでも実用上支障のない程度の精度で計量できるように図っている。なお、例えば、定量升の容積量が小さく、ケーシング本体の径も元々小さいような場合には、本実施例のようにケーシング本体の上部側を先細り構造としなくても、粉粒体投入口上部に山状に盛られる粉粒体の量はそれほど多くはならず、実用上問題ない程度の計量を行うことができる。また、オーバーフローによって粉粒体投入口3周囲にこぼれ落ちる分の粉粒体A”は、粉粒体投入口3周囲に配した弛緩状態のカバー体8にて残らず捕集して一時的に貯留させる。
【0021】
こうして粉粒体Aの容積計量を終えると、ケーシング本体2下端部の排出ゲート4を解放してケーシング本体2に充填した粉粒体Aを払い出し、その下位に適宜用意した袋体B等に詰め込んでいく(c)。そして、ケーシング本体2内の全ての粉粒体Aの払い出しが済めば、排出ゲート4を閉鎖して次回の粉粒体Aの計量に備える一方、シリンダー10のピストンロッド11を縮小させて弛緩状態にあるカバー体8を伸張させ、カバー体8にて貯留している前回計量時のオーバーフロー分の粉粒体A”を、粉粒体投入口3を介してケーシング本体2内に流し込むようにして投入させる(d)。そして、この若干量の粉粒体A”をケーシング本体2内に貯留させた状態にて、シリンダー10のピストンロッド11を伸長させてカバー体8を再び弛緩状態に戻し、前回と同様に、貯留ホッパ5より粉粒体Aを供給して容積計量を行う。
【0022】
このように、本発明の定量升は、ごく簡易で低廉な装置構成ながらも、計量時における定量升周囲への粉粒体の散乱・飛散等をカバー体にて確実に防止でき、作業環境を良好な状態に維持できると共に、計量時のオーバーフローや掻き落とし等によって生じる余剰分の粉粒体は次回計量時に手軽にかつ効率よく再利用することができ、粉粒体を無駄なく使用できる上、作業者の負担も大幅に減じることができる。
【0023】
なお、本実施例においては、装置構成の簡易化を図るため、ケーシング本体上端の粉粒体投入口上部に盛られる粉粒体を掻き落とすスクレーパ等を備えていないものを記載しているが、スクレーパ等を備えるようにすれば、若干の装置コストを要するものの容積計量の精度がより一層向上して好適である。この場合、スクレーパにて掻き落とされる粉粒体は、オーバーフローによってこぼれ落ちる粉粒体と同様に弛緩状態のカバー体にて残らず捕集されるため何ら支障はない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る、定量升の一実施例を示す一部切り欠き斜視図である。
【図2】定量升の計量手順を示す説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1…定量升 2…ケーシング本体
3…粉粒体投入口 4…排出ゲート
5…貯留ホッパ 6…粉粒体供給シュート
7…供給ゲート 8…カバー体
12…伸張・弛緩手段
A、A’、A”…粉粒体 B…袋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種粉粒体を貯留する貯留ホッパの下位に配設し、貯留ホッパより供給される粉粒体を充填させることにより一定容積の粉粒体を計量する定量升であって、上端を解放面として粉粒体投入口とした中空状のケーシング本体を備え、該ケーシング本体の下端部には粉粒体排出用の排出ゲートを開閉自在に備えると共に、前記粉粒体投入口の周縁部と、貯留ホッパ下端部の粉粒体供給シュートの周縁部とを可撓性部材から成るカバー体にて連結し、該カバー体にはカバー体の伸張・弛緩手段を備え、粉粒体計量時には、前記カバー体を弛緩させた状態で定量升内にやや過剰量の粉粒体を供給してオーバーフローさせるように充填して容積計量する一方、オーバーフロー分の粉粒体は粉粒体投入口周囲のカバー体にて捕集して貯留し、次回の粉粒体計量前にカバー体を伸張させてカバー体に貯留したオーバーフロー分の粉粒体を定量升内に投入させるように構成したことを特徴とする定量升。
【請求項2】
前記ケーシング本体の上部側を上端に向かって漸次縮小するように先細り構造としたことを特徴とする請求項1記載の定量升。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−157696(P2008−157696A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345146(P2006−345146)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】