説明

実装基板

【課題】実装基板のスルーホールへの電気部品の端子部の挿通状態の確認作業を容易とすると共に、確認作業の誤認定を低減することができる、新規な構造の実装基板を提供する。
【解決手段】プリント基板12に複数のスルーホールを貫設する一方、プリント基板12の一方の面に配置された複数の電気部品14,18の端子部20,22を、複数のスルーホールに挿通してプリント基板12の他方の面に突出させて半田付けすると共に、プリント基板12の他方の面に、端子部20,22が挿通されないスルーホールを識別する特定スルーホール識別表示48を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板に複数の電気部品が実装された実装基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント基板上にリレーやコネクタ等の複数の電気部品が実装された実装基板が知られており、自動車用電気接続箱の内部回路等として広く用いられている。例えば、特開2009−38890号公報(特許文献1)に記載のものがそれである。
【0003】
ところで、このような実装基板では、プリント基板の一方の面(表面)に載置された複数の電気部品の端子部が、プリント基板に貫設されたスルーホールに挿通されて、プリント基板の他方の面(裏面)側に突出されている。そして、これらの端子部がスルーホールに対して半田付けされることにより、各電気部品の端子部がプリント配線へ接続されて導通されている。従って、それら各電気部品の半田付けの状態を確認して接続安定性を確保することが重要となっている。
【0004】
そして、各電気部品の端子部のスルーホールに対する半田付けの状態は、半田付けがされる側の面となる裏面側から、各スルーホールに端子部が挿通されているかどうか、スルーホールへの半田の充填が充分に行われているかどうか、といった事項を目視等により確認することにより行われる。
【0005】
ところが、電気部品の仕様違いにより、電気部品の一部の端子部が設けられておらず、プリント基板にスルーホールが設けられているにもかかわらず、端子部が挿通されない場合がある。一方、特許文献1の図7等に記載されているように、プリント基板の裏面側平面視では、近接状態で設けられた同一又は類似形状の多数のスルーホールと、それらの略中央に突出する各電気部品の端子部の先端部分が確認できるのみであって、電気部品の存在が把握できない。従って、正規に電気部品の端子部が挿通されないスルーホールが存在する場合でも、これが、正規の状態であるのか、或いは端子部の欠損等により端子部がスルーホールに挿通されず接続不良のおそれがある状態であるのか、判別が難しいという問題があった。
【0006】
また、プリント基板を表裏反転しながら、端子部が設けられていない電気部品とそれに対応するスルーホールを特定し端子部の有無を確認する方法では、誤認が生じ易いという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−38890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、実装基板のスルーホールへの電気部品の端子部の挿通状態の確認作業を容易とすると共に、確認作業の誤認定を低減することができる、新規な構造の実装基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様は、複数の電気部品がプリント基板に実装された実装基板において、前記プリント基板には複数のスルーホールが貫設されている一方、前記プリント基板の一方の面に配置された前記複数の電気部品の端子部が、前記複数のスルーホールに挿通され前記プリント基板の他方の面に突出されて半田付けされていると共に、前記プリント基板の他方の面には、前記端子部が挿通されない前記スルーホールを識別する特定スルーホール識別表示が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、プリント基板の他方の面(裏面)側において、複数のスルーホールのうち、電気部品の端子部が挿通されないスルーホールを容易に見分けることができる。これにより、プリント基板の裏面側から半田付けの状態を確認するに際して、そもそも端子部が挿通されないスルーホールであるのか、或いは、端子部の欠損や折れ曲がり等の不良が原因で端子部が挿通されていないのか、が即座に判断でき、端子部の目視検査の作業効率が格段に向上する。なお、特定スルーホール識別表示は、端子部が挿通されないスルーホールの周辺領域を包囲する枠線表示や、周辺領域を着色により塗り潰す表示等、容易に識別されるものが好ましい。また、端子部が挿通されないスルーホールの周辺領域に記号や文字等を付すことにより、特定スルーホールを容易に識別可能にする態様も含まれる。
【0011】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載の実装基板において、前記プリント基板の他方の面には、前記複数のスルーホールを前記電気部品毎に識別する部品単位識別表示が設けられているものである。
【0012】
本態様によれば、特定スルーホール識別表示と部品単位識別表示を組み合わせて採用することにより、端子部の不良か否かの判断と、端子部不良があった場合の該当部品の特定が容易となり、半田不良の目視確認作業の効率化が一層図られる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に従う実装基板によれば、正規の状態において電気部品の端子部が挿通されないスルーホールに特定スルーホール識別表示を設けたことにより、端子が挿通されていないスルーホールが、端子部や部品の欠損等により端子部が挿通されていない状態となっているのか、それとも、正規の状態で端子部が挿通されないスルーホールであるのかを、プリント基板の他方の面(裏面)側から容易に判別することができる。従って、半田付け後等に実施される端子部の目視検査の作業性を有利に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一の実施形態としての実装基板の裏面側の要部を示す斜視図。
【図2】図1に示したプリント基板の裏面側の平面図。
【図3】図1に示した実装基板の裏面側の平面図。
【図4】本発明の第二の実施形態としての実装基板を構成するプリント基板の裏面側の平面図。
【図5】本発明の別の実施形態としての実装基板を構成するプリント基板の裏面側の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
先ず、図1に、本発明の第一の実施形態としての実装基板10の裏面側の要部を示す。実装基板10は、プリント基板12に対して、電気部品としての複数のリレー14や、複数の端子金具16を備えた電気部品としてのコネクタ18が実装されることにより構成されている。これらのコネクタ18やリレー14は、プリント基板12の一方の面としての表面に配置されており、プリント基板12の他方の面としての裏面には、各リレー14の端子部20や、コネクタ18の端子部22がそれぞれ突出されて半田付けされている。
【0017】
リレー14は従来公知のものであり、矩形ブロック形状とされた部品本体24から、複数(本実施形態においては、5つ)の端子部20が突出された構造とされている。
【0018】
コネクタ18を構成する複数の端子金具16は、それぞれ銅合金等で形成された、又は、銅合金等によるメッキ加工を施された矩形ロッド形状の金具とされている。端子金具16の一方の端部は、図示しない別体の雌コネクタと接続される接続部26とされており、他方の端部は、プリント基板12に半田付けされる端子部22とされている。そして、これらの端子金具16が合成樹脂材製の台座プレート28に貫通固定されて支持された構造とされている。
【0019】
図2に、プリント基板12の裏面側の要部を示す。プリント基板12は、紙フェノールやガラスエポキシ等の絶縁性基板に、図示しない銅箔等の導電材料によるプリント配線が設けられた構造とされている。また、プリント基板12には、板厚方向に貫通する複数のスルーホール34,36a〜36lが貫設されている。本実施形態においては、各リレー14が装着される2つのリレー装着部38が、それぞれ5個のスルーホール34を含んで構成されていると共に、コネクタ18が装着されるコネクタ装着部40が、12個のスルーホール36a〜36lを含んで構成されている。なお、各リレー装着部38を構成する5個のスルーホール34は、リレー14の各端子部20の大きさに合わせて寸法がやや異なっているが、コネクタ装着部40を構成するスルーホール36a〜36lは、何れも同一の形状で形成されている。また、各スルーホール34,36a〜36lの周囲には、銅箔からなるランド部42が設けられている。
【0020】
リレー装着部38の各スルーホール34の近傍には、各スルーホール34に挿通されるリレー14の端子部20をそれぞれ識別可能とするための数字からなる回路名44が設けられている。各回路名44は、従来公知のように、例えばシルク印刷によって、白色のシルク印刷塗料を用いて表示されている。
【0021】
コネクタ装着部40の各スルーホール36a〜36lの近傍にも、それぞれ数字又はアルファベットからなる回路名46が設けられている。これらの各回路名46も、リレー装着部38のスルーホール34の回路名44と同様に、白色のシルク印刷塗料を用いたシルク印刷等により表示されている。ここにおいて、コネクタ装着部40のスルーホール36a〜36j,36lに対応する回路名46としては、リレー装着部38と同様に、コネクタ装着部40の各スルーホール36a〜36j,36lに挿通されるコネクタ18の端子部22をそれぞれ識別可能とするための数字が表示されている。一方、スルーホール36kに対応する回路名46としては、「NC」の文字が表示されている。なお、その他のスルーホール36a〜36j,36lの回路名46とは異なり、この「NC」の文字からなるスルーホール36kの回路名46の周囲には、回路名46と同様のシルク印刷によって、回路名46を囲む矩形状の枠線が設けられている。
【0022】
さらに、このようなプリント基板12の裏面においては、図1に示されるように、スルーホール36kがコネクタ18の端子部22が挿通されないスルーホールであることを識別する特定スルーホール識別表示48が設けられている。本実施形態では、特定スルーホール識別表示48は、スルーホール36k及び「NC」の文字からなる回路名46の周囲を、一定の線幅で略矩形状に取り囲む枠線形状の表示とされている。これにより、プリント基板12に形成された複数のスルーホール34,36a〜36lのうち、スルーホール36kのみが特定スルーホール識別表示48で囲まれて、他のスルーホール34,36a〜36j,36lと区別可能とされている。特定スルーホール識別表示48は、好適には、回路名44,46と同様にシルク印刷を用いて形成される。本実施形態における特定スルーホール識別表示48の色としては任意の色が採用可能であるが、回路名44,46と特定スルーホール識別表示48を例えば白色等の同一色で形成することによって、回路名44,46と特定スルーホール識別表示48を同じシルク印刷工程で効率良く形成することができる。
【0023】
このようなプリント基板12に対して、各リレー14やコネクタ18、及び、図示しないその他の公知の電気部品が実装されることにより、実装基板10が構成される。各リレー14及びコネクタ18の実装は、具体的には、例えば、以下のようにして行われる。先ず、各リレー14の5つの端子部20が、プリント基板12の表面側から各リレー装着部38のスルーホール34に挿通される。また、コネクタ18は、先ず各端子金具16が台座プレート28に挿通されてそれぞれ支持された状態とされた後、各端子部22がプリント基板12の表面側からコネクタ装着部40のスルーホール36a〜36j,36lに対してそれぞれ挿通される。なお、スルーホール36kに対しては、コネクタ18の端子部22は挿通されることはなく、スルーホール36kの内部は空の状態のままとされる。そして、このように各リレー14及びコネクタ18の端子部20,22を各スルーホール34,36a〜36j,36lに挿通した状態において、各スルーホール34,36a〜36l及び端子部20,22に対して半田50を用いた半田付けが施される。
【0024】
これにより、図1及び図3に示されるように、各スルーホール34,36a〜36lの内部に半田50が充填されて、プリント基板12のプリント配線と各端子部20,22とが相互に導通される。その結果、各リレー14は、部品本体24が表面側に配置されると共に、端子部20がスルーホール34に挿通されてプリント基板12の裏面側に突出された状態で半田付けされて、各リレー装着部38に装着される。また、コネクタ18は、台座プレート28及び接続部26が表面側に配置されると共に、端子部22がスルーホール36a〜36j,36lに挿通されてプリント基板12の裏面側に突出された状態で半田付けされて、コネクタ装着部40に装着される。なお、このとき、スルーホール36kには、コネクタ18の端子部22は挿通されず、半田50のみが充填される。
【0025】
半田付けが完了すると、実装基板10の裏面側から、半田不良等の確認作業が実施される。即ち、作業者は、各スルーホール34,36a〜36j,36lにおいて半田付けが良好に行われているか否かを確認すると共に、端子部20,22の欠損や折れ曲がり等の不良が生じることなく、各スルーホール34,36a〜36j,36lから、それぞれ正しく端子部20,22が突出されているか否かを確認する。また、特定スルーホール識別表示48が設けられたスルーホール36kに関しては、図1及び図3に示されるように、端子部22が挿通されず、半田50のみが充填された状態となっていることが確認される。
【0026】
ここにおいて、本実施形態に従う実装基板10によれば、端子部22が突出していないスルーホール36kに特定スルーホール識別表示48が設けられていることから、作業者は、スルーホール36kが、部品の欠損や折れ曲がり等によって端子部22が存在しない状態となっているのではなく、正規の仕様によって、端子部22が挿通されていないのだということを容易に認識することができる。即ち、本実施形態に従えば、コネクタ18の仕様違い等によって、電気部品の一部が端子部22等が存在しない状態とされており、その結果、プリント基板12上に端子部22が元々挿通されないスルーホール36kが存在する場合においても、作業者は、それが正規の状態であるのか、或いは端子部22の欠損等により端子部22がスルーホール36kに挿通されず接続不良のおそれがある状態であるのかを、容易に識別することができる。特に、特定スルーホール識別表示48がスルーホール36kの周辺領域を囲む枠線表示とされていることから、作業者の目視による確認が一層容易となって、確認時の作業効率が向上されている。
【0027】
また、本実施形態によれば、特定スルーホール識別表示48がプリント基板12の裏面に設けられていることから、プリント基板12の裏面側からの目視のみによって、スルーホール36kが正規の仕様によって端子部22が挿通されないスルーホールであることを確認することができる。即ち、本実施形態によれば、従来の確認作業のように、複数のスルーホール34,36a〜36lのうち、何れのスルーホールが端子部22の挿通されないスルーホール36kであるのかを判別するために、プリント基板12の表裏を反転させて、表面側のリレー14やコネクタ18と裏面側の端子部20,22との相互関係を確認する作業を不要とすることができる。その結果、作業効率を向上させることができるだけでなく、反転に伴い、作業者が複数のスルーホール34,36a〜36lのうちの何れが特定のスルーホール36kであるかを誤って認識するおそれも解消することができる。また、本実施形態によれば、プリント基板12の裏面側からの目視により行われる半田付け不良等の確認作業と同時に、端子部20,22の欠損の有無の確認作業を実施できることから、確認作業の効率化が図られる。
【0028】
加えて、本実施形態においては、端子部20,22が挿通されるスルーホール34,36a〜36j,36lの回路名44,46が何れも数字によって構成されている一方、端子部20,22が挿通されないスルーホール36kの回路名46のみが、アルファベット表記による「NC」の文字により構成されると共に、文字の周囲を矩形の枠線によって囲われている。本実施形態では、このような差異によっても、端子部20,22が挿通されるスルーホール34,36a〜36j,36lと端子部20,22が挿通されないスルーホール36kとが、より区別し易くされている。なお、本実施形態においては、スルーホール36kとその回路名46とをまとめて囲む枠線によって特定スルーホール識別表示48が構成されているが、特定スルーホール識別表示は、このような回路名46だけを囲む枠線や、スルーホール36kの回路名46の表記を他のスルーホール34,36a〜36j,36lの回路名46とは異なる形態とすることのみによっても構成され得る。
【0029】
さらに、本実施形態によれば、仕様の違いにより、それぞれ端子部20,22の数や位置等が異なる複数種類のリレー14やコネクタ18等の電気部品が実装された複数種類の実装基板10を製造する場合であっても、プリント基板12に形成するスルーホール34,36a〜36lの数及び位置を変更した複数種類のプリント基板12を用意することなく、全ての仕様に対応し得るだけのスルーホール34,36a〜36lを形成した単一種類の共通のプリント基板12を用意すると共に、各仕様毎にそれぞれ異なる位置に特定スルーホール識別表示48を印刷するだけで、確認作業を複雑化させることなく、且つ、低コストに複数種類の実装基板10を製造することができる。
【0030】
次に、図4に、本発明の第二の実施形態としての実装基板を構成する、プリント基板52の要部を示す。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と同様の構造とされた部材および部位には、図中に前記第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、その説明を適宜に省略する。
【0031】
プリント基板52の裏面には、各リレー装着部38及びコネクタ装着部40のスルーホール34,36a〜36lを、プリント基板52に装着されるリレー14及びコネクタ18等の電気部品毎に識別する部品単位識別表示54,56が設けられている。リレー装着部38の部品単位識別表示54は、プリント基板52の表面側に配置される各リレー14の部品本体24の平面視形状と略等しい矩形の枠形状とされており、各リレー装着部38の外周を囲む線とされている。また、コネクタ装着部40の部品単位識別表示56は、プリント基板52の表面側に配置されるコネクタ18の台座プレート28の平面視形状と略等しい矩形の枠形状とされており、コネクタ装着部40の外周を囲む線とされている。
【0032】
すなわち、各リレー装着部38に設けられたそれぞれ5つのスルーホール34が、部品単位識別表示54で囲まれて、部品単位識別表示54の枠内に位置されている。また、コネクタ装着部40に設けられた12個のスルーホール36a〜36lが、部品単位識別表示56で囲まれて、部品単位識別表示56の枠内に位置されている。これにより、プリント基板52に形成された複数のスルーホール34,36a〜36lが、各リレー14及びコネクタ18に対応する単位で部品単位識別表示54,56で囲まれて、それぞれのスルーホール34,36a〜36lが電気部品単位で区別可能とされている。部品単位識別表示54,56は、好適には、回路名44,46や特定スルーホール識別表示48と同じく、シルク印刷を用いて形成される。部品単位識別表示54,56の色としては任意の色が採用可能であるが、部品単位識別表示54,56と、回路名44,46や特定スルーホール識別表示48とを例えば白色等の同一色で形成すれば、これらを同一のシルク印刷工程により効率良く形成することが出来る。
【0033】
このような本実施形態においては、プリント基板52の裏面に、複数のスルーホール34,36a〜36lを、リレー14やコネクタ18等の各電気部品に対応する単位で囲んで表示する部品単位識別表示54,56が形成されていることにより、プリント基板52を裏面から目視した場合でも、多数のスルーホール34,36a〜36lを、各電気部品毎に区別して容易に識別することが出来る。その結果、例えば裏面側から端子部20,22の半田付け不良や端子部20,22の有無を確認する際に、各端子部20,22が何れのリレー14又はコネクタ18に対応したものであるかを容易に特定することができる。さらに、特定スルーホール識別表示48が設けられた端子部20,22が挿通されないスルーホール36kが、何れの電気部品に属しているのかを、容易に特定することが出来る。
【0034】
以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、電気部品がコネクタやリレーに限定されないのは勿論であって、従来からプリント基板に実装される各種の電気部品が任意に採用可能である。
【0035】
また、前記第一及び第二の実施形態においては、特定スルーホール識別表示48は、枠体形状の線とされていたが、特定スルーホール識別表示は、端子部が挿通されないスルーホールを、端子部が挿通されるその他の複数のスルーホールから識別可能とするものであれば、様々な態様が採用可能である。例えば、図5に示されるように、端子部22が挿通されないスルーホール36kの周囲の領域を、シルク印刷等によって白色やその他の色で塗り潰すように着色することにより、特定スルーホール識別表示58を構成してもよい。このような特定スルーホール識別表示58によっても、端子部22が挿通されないスルーホール36kを、その他のスルーホール36a〜36j,36lから明瞭に区別することができる。なお、図5に示す実施形態においては、特定スルーホール識別表示58以外の構成は前記第一の実施形態と同様であることから、図中に前記第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、各部の詳細な説明は省略する。
【0036】
更にまた、前記第二の実施形態においては、部品単位識別表示54,56は、それぞれ枠体形状の線により構成されていたが、部品単位識別表示の具体的な態様も、特に限定されない。例えば、コネクタやリレーの装着位置に対応する領域の全体をシルク印刷等によって塗り潰すように着色することによって、部品単位識別表示を構成してもよい。特に、このような電気部品の装着領域の全体に着色を施す部品単位識別表示が採用される場合には、端子部が挿通されないスルーホールの周辺のみを着色を施さないようにすることにより、特定スルーホール識別表示を構成してもよい。また、部品単位識別表示は、複数色で色分けしても良く、例えば、電気部品の種類毎に部品単位識別表示の色を異ならせるなどしても良い。また、複数の電気部品のうち、端子部が挿通されないスルーホールを備えた電気部品のみに対して、部品単位識別表示を設けるようにしてもよい。
【0037】
また、前記各実施形態においては、複数のスルーホール34,36a〜36lのうち、1つのスルーホール36kのみが、特定スルーホール識別表示48,58が設けられる端子部20,22の挿通されないスルーホールとされていたが、特定スルーホール識別表示が設けられる端子部が挿通されないスルーホールの数や位置等は、特に限定されない。例えば、端子部が挿通されないスルーホールが複数存在する場合は、それぞれのスルーホール毎に特定スルーホール識別表示を設けてもよいし、複数のスルーホールをまとめて枠線等で囲む表示により特定スルーホール識別表示を構成してもよい。なお、仕様の違い等によって、複数の電気部品のうちの何れかの電気部品がプリント基板に全く装着されないような場合には、その電気部品の端子部に対応する全てのスルーホールに対して、特定スルーホール識別表示を設けてもよい。
【0038】
更にまた、前記各実施形態においては、プリント基板12,52の裏面のみに特定スルーホール識別表示48,58が設けられていたが、特定スルーホール識別表示を、表面側にも形成するようにしてもよい。これにより、スルーホールの表面側から端子部を挿入する際にも、電気部品の端子部が、端子部の破損などによって端子部が存在しない状態となっているのか、それとも、仕様の違いにより端子部が存在しない状態となっているのかを、作業者が容易に確認しつつ、挿入作業を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0039】
10:実装基板、12,52:プリント基板、14:リレー(電気部品)、18:コネクタ(電気部品)、20,22:端子部、34,36a〜36l:スルーホール,48,58:特定スルーホール識別表示,50:半田,54,56:部品単位識別表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気部品がプリント基板に実装された実装基板において、
前記プリント基板には複数のスルーホールが貫設されている一方、
前記プリント基板の一方の面に配置された前記複数の電気部品の端子部が、前記複数のスルーホールに挿通され前記プリント基板の他方の面に突出されて半田付けされていると共に、
前記プリント基板の他方の面には、前記端子部が挿通されない前記スルーホールを識別する特定スルーホール識別表示が設けられている
ことを特徴とする実装基板。
【請求項2】
前記プリント基板の他方の面には、前記複数のスルーホールを前記電気部品毎に識別する部品単位識別表示が設けられている請求項1に記載の実装基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−104572(P2012−104572A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250169(P2010−250169)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】