説明

容器の製造方法

【課題】従来のカートリッジに比して、空の容器の処理が容易でその処理コストを大幅に削減でき、かつ製造コストも低減でき、しかも使用に際しては押出ガン等の簡便な押出器を用いて従来のカートリッジと同等の作業性および操作性のもとに内容物を押し出すことのできる容器の製造方法を提供すること。
【解決手段】2枚の略矩形のフィルム11a、11bの一端部にフィルム11cを2つ折りの変形六角形の状態で配する工程、
該変形六角形のフィルム11cの全周を略矩形のフィルム11aおよび略矩形のフィルム11bに対して融着する工程、および
該略矩形のフィルム11aおよび略矩形のフィルム11bの縁部において略矩形のフィルム11aと略矩形のフィルム11bとを融着する工程、
を経て製造されることを特徴とする容器の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は押出ガン等の簡便な押出器を用いて内容物を所要量ずつ押し出すのに適した容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塗料は一般に、金属製の缶等の比較的剛性の高い容器に収容され、市販されている。しかしながら、そのような容器によると、塗料の使用前後にもその嵩は一定であり、従って生産前の在庫スペースの確保が難しく、また容器リサイクル法等に基づく処理に要する費用が高くなるという問題があった。また、上記のような容器は透明性を確保することが困難であるために、収容されている塗料の色は別途、印刷された色によって示されることが一般的であり、このため、ユーザーにとって所望の色と購入した塗料の実際の色とが異なるという問題もあった。
【0003】
さらに、上記のような容器に収容された塗料を塗布するに際しては、塗料を一旦、別の容器に移した後で、ローラーやハケ等を用いて塗布することが一般的であり、このように作業性が悪いために、手が汚れたり、塗布後において洗いものが多くなるという問題もあった。
【0004】
作業性を向上させるために、エアーポンプ等の加圧器によって塗料を直接的に、塗料吐出口を設けたローターやハケにチューブ等の塗料輸送管を介して圧送する技術が知られている。このような技術によると作業効率は向上するものの、電源を用い、装置が大掛かりになり、操作性が悪いために、家庭で手軽に塗布を行うことはできなかった。
【0005】
そこで、特開2001−149849号公報では、カートリッジに塗料を収容させ、塗布に際して市販のコーキングガン等の押出ガンを用いる技術が開示されている。詳しくは、図12(A)に示すように、塗料を収容するためのカートリッジ101、該カートリッジ101の一方の端部に接続され、塗料を後述のローラー102に供給するための剛質管103、該剛質管103の先端に回転自在に取り付けられたローラー102、および塗料を圧送するための押出器105からなるカートリッジ式ペイントローラーが記載されている。特にカートリッジ101は、図12(B)に示すように、その一方の端部に開口部108が設けられており、その開口部108には外から押圧されることによってカートリッジの奥方向にカートリッジの内側面を沿ってスライドして進入可能な封止部材104がはめ込まれている。すなわち、カートリッジ101は外からの押圧によって封止部材104がカートリッジ101内でスライドできる程度に剛性の高い材料からなっている。カートリッジ101の他方の端部には突起部が当該カートリッジ101と一体的に形成されており、その外側表面には剛質管103と連結するための雄ネジ107が形成されている。上記突起部の先端はニッパー等の切断手段によって切断されて孔106が開けられ、カートリッジから供給される塗料が通過するための通路をなしている。
【0006】
そのようなカートリッジ式ペイントローラーにおいて、カートリッジ101に収容された塗料は、押出器105によって封止部材104を押圧することによって、剛質管103に押し出され、さらにはローラー102に供給される。ローラー102は供給された塗料を吸収できる構成を有しており、対象物にローラー102を押し当てて当該ローラー102を回転させることにより、塗料がローラー表面に滲み出して塗装できるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記カートリッジ式ペイントローラーに用いられる従来のカートリッジ101は塗布時の作業性および操作性を向上させるものの、塗料の使用前後にもその嵩は一定であり、従って生産前の在庫スペースの確保が難しく、また容器リサイクル法等に基づく処理に要する費用が高くなるという問題が依然としてあった。また、カートリッジ101は、封止部材104の押圧時において当該封止部材104とカートリッジ101の内壁との間から塗料が漏出しないように、封止部材104を気密に装着する必要があり、その製造コストも高いという問題があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、すなわち従来のカートリッジに比して、空の容器の処理が容易でその処理コストを大幅に削減でき、かつ製造コストも低減でき、しかも使用に際しては押出ガン等の簡便な押出器を用いて従来のカートリッジと同等の作業性および操作性のもとに内容物を押し出すことのできる容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、2枚の略矩形のフィルム11a、11bの一端部に変形六角形のフィルム11cを2つ折り状態で配する工程、
該変形六角形のフィルム11cの全周を略矩形のフィルム11aおよび略矩形のフィルム11bに対して融着する工程、および
該略矩形のフィルム11aおよび略矩形のフィルム11bの縁部において略矩形のフィルム11aと略矩形のフィルム11bとを融着する工程、
を経て製造されることを特徴とする容器の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の容器は内容物を密封状態で保管できる。また本発明の容器は、従来のカートリッジと同等の作業性および操作性のもとに内容物である液体を所要量ずつ押し出すことができ、しかも当該液体をほぼ余すことなく押し出すことができる。また、本発明の容器における本体部分は柔軟なパウチであるため、内容物を押し出した後の嵩は、従来のカートリッジを用いる場合と比較して、顕著に小さくなり、処理に要する費用を大幅に削減できる。さらに本発明の容器は構成が簡易であり、特に押出口はパウチと一体的に形成されることを要さず、別途形成され、使用直前にパウチに貼着されるだけでよいため、その製造コストも顕著に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の容器はパウチと押出口からなる。詳しくは、図1に示すようにフィルム状材料を袋状に形成してなるパウチ1と、外周面に雄ねじが形成された筒状部4の一端部に、上記パウチに対して貼着されるフランジ部5が形成されてなる押出口2とからなる。図1は液体を収容した本発明の容器を押出器に装填する直前の状態を示す斜視図である。なお、押出口2は使用直前にパウチ1に貼着するようにしてもよい。
【0012】
図1においてパウチ1は船底形のパウチであり、図2(A)に示すように、2枚の略矩形のフィルム11a、11bの一端部に変形六角形のフィルム11cを配し、そのフィルム11cの全周をフィルム11aまたは11bに対して融着するとともに、フィルム11aおよび11bの縁部においてフィルム11aと11bとを融着したものである。図2(A)におけるB−B断面図を図2(B)に示す。図2(A)および(B)において融着部はMで示されている。
【0013】
パウチ1への液体の充填に際しては、図2(A)のフィルム11a、11bにおけるフィルム11cを配した端部とは逆の端部を未融着のまま残しておき、そこから液体を充填した後、当該端部を融着してパウチ内を密閉すればよい。パウチ内を密閉にした状態では、フィルム11cはほぼ平坦となり、後述する押出口2を容易に貼着できるようになっている。
【0014】
図1および2においてはパウチ1として船底形のパウチについて示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一端側に押出口2を貼着できる柔軟なパウチであれば任意の形態のパウチであってよい。例えば、図2(A)において2枚の略矩形のフィルム11a、11bの両端部に変形六角形のフィルム11cを配すること以外、図2(A)に示す構成と同様の構成のスタンディングパウチ、ならびにチューブ型、封筒型、背貼型、GZ型および変形三方型等の公知の形態のパウチが挙げられる。
【0015】
パウチ1を形成するフィルム状材料は、押出器による押圧によってパウチが容易に変形してパウチ内の内容物が押し出され得る程度の柔軟性を有し、かつパウチ内の内容物の密閉状態での収容を確保できる材料である限り、特に制限されるものではない。そのようなフィルム状材料として、例えば、ポリアミド樹脂フィルム、低密度ポリエチレン樹脂フィルム、高密度ポリエチレン樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂フィルム、ポリビニリデンフロライドのようなフッ素化樹脂フィルム等の未延伸フィルムおよびそれらの延伸フィルム(1軸および2軸延伸フィルム)が挙げられる。これらのフィルムはセラミック等の蒸着層および/またはアルミ箔層を有していてもよい。また上記フィルムは単独で使用されても、2以上のフィルムが積層されてなる積層フィルムとして使用されてもよい。
【0016】
内容物が水性塗料の場合、フィルム状材料は、特に制限されるものではないが、内容物の色視認性の観点から、透明性の高いポリエチレン樹脂系フィルムであることが好ましい。
【0017】
また内容物が油性及び溶剤系塗料、液晶、グリース等の場合、フィルム状材料は、ガスバリア性、水蒸気バリア性および/または耐溶剤性の観点から、アルミ箔層、透明蒸着ポリエチレンテレフタレート樹脂層(ポリエチレンテレフタレート樹脂層にセラミック等を蒸着してなるもの)、透明蒸着ポリアミド樹脂層(ポリアミド層にセラミック等を蒸着してなるもの)、複合延伸ポリアミド樹脂層、複合延伸ポリプロピレン樹脂層、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層、ポリビニリデンフロライド樹脂層等のフッ素化ポリエチレン樹脂層および高密度ポリエチレン樹脂層からなる群から選択される少なくとも1層を含む積層フィルムであることが好ましい。このとき積層フィルムを構成する他の材料としては特に制限されず、例えば、延伸ポリアミド樹脂層、低密度ポリエチレン樹脂層、未延伸ポリプロピレン樹脂層からなる群から選択される少なくとも1層が挙げられる。
【0018】
内容物が油性及び溶剤系塗料、液晶、グリース等の場合の好ましい積層フィルムの具体例として、例えば、(1)アルミ箔層の片側に延伸ポリアミド樹脂層を、他方の側に低密度ポリエチレン樹脂層または未延伸ポリプロピレン樹脂層を積層してなる積層フィルム、(2)透明蒸着ポリエチレンテレフタレート樹脂層または透明蒸着ポリアミド樹脂層の片側に延伸ポリアミド樹脂層を、他方の側に低密度ポリエチレン樹脂層または未延伸ポリプロピレン樹脂層を積層してなる積層フィルム、(3)複合延伸ポリアミド樹脂層の片側に低密度ポリエチレン樹脂層または未延伸ポリプロピレン樹脂層を積層してなる積層フィルム、(4)複合延伸ポリプロピレン樹脂層の片側に低密度ポリエチレン樹脂層または未延伸ポリプロピレン樹脂層を積層してなる積層フィルム、(5)エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層の片側に延伸ポリアミド樹脂層を、他方の側に低密度ポリエチレン樹脂層または未延伸ポリプロピレン樹脂層を積層してなる積層フィルム、(6)アルミ箔層の片側に延伸ポリアミド樹脂層を、他方の側に高密度ポリエチレン樹脂層を積層してなる積層フィルム、(7)ポリビニリデンフロライド樹脂層の片側に低密度ポリエチレン樹脂層を積層してなる積層フィルム等が挙げられる。
【0019】
特に、内容物が油性及び溶剤系塗料である場合には、フィルム状材料は上記具体例の中でも、上記(6)又は(7)の積層フィルムであることがより好ましい。
また内容物が液晶である場合には、フィルム状材料は上記具体例の中でも、上記(2)の積層フィルムであることがより好ましい。
また内容物がグリースである場合には、フィルム状材料は上記具体例の中でも、(1)、(2)、(3)の積層フィルムであることがより好ましい。
【0020】
上記のようなフィルム状材料は、フィルム(積層フィルムを用いる場合は当該積層フィルムを構成する全てのフィルム(層))として無色透明のものを用いることができ、これによって、内容物が特に塗料である場合には、ユーザーが塗料の実際の色を購入時に確認できるという効果が得られる。また、内容物が液晶の場合にも、使用時において外部から液晶の色を判断できるようになるため、液晶の劣化の進行度を容易に確認できるという効果が得られる。
【0021】
本発明の容器の本体部分としてのパウチは上記のような柔軟なフィルム状材料から形成されるため、従来のカートリッジと同等の作業性および操作性のもとに内容物である液体を所要量ずつ押し出すことができ、しかも当該液体をほぼ余すことなく押し出すことができる。また、内容物を押し出した後の嵩は、従来のカートリッジを用いる場合と比較して、顕著に小さくなり、処理に要する費用を大幅に削減できる。
【0022】
押出口2は、パウチ1の一端部に取り付けられてパウチ内の内容物を外部に誘導するためのものであり、一般に樹脂の射出成形体である。詳しくは、図3に示すように、外周面に雄ねじ3が形成された筒状部4の一端部に、上記パウチ1に対して貼着されるフランジ部5が形成された形状を有しており、該フランジ部5において上記パウチ1の一端部に貼着されるようになっている。特に、フランジ部5の表面にはパウチ1に対して貼着されるための接着剤層7が積層されている。筒状部4の外周に刻設されている雄ねじ3は、パウチ1から押し出された内容物を対象物に適用するための後述する適用部材を連結できるようになっている。図3は図1における押出口2の近傍の概略断面図である。図3中、6はパウチ1における押出口2の筒状部4の内側位置を示し、パウチ1は押出口2の貼着後、当該位置で穿孔される。
【0023】
以上のような本発明の容器は構成が簡易であり、特に押出口2はパウチと一体的に形成されることを要さず、別途形成され、使用直前にパウチに貼着してもよいため、製造コストを顕著に低減できる。
【0024】
本発明の容器に収容される液体は流動性を有する液状物であれば特に制限されないが、後述の様々な適用部材を使用可能にすることによって液体の対象物への適用方法のバリエーションを広げる観点から、低粘性または中粘性の液体を用いる。粘性の高すぎる液体を用いると、使用可能な適用部材が制限され、例えば、後述の塗布用ローラー等を使用できない。
【0025】
低粘性または中粘性の液体の具体例として、例えば、塗料、液晶、グリース、オイル類、印刷インク、顔料溶液等が挙げられるが、特に塗料が有効である。
塗料は、対象物の表面に塗布された後、溶媒の蒸発等によって当該表面上に被膜(膜厚は特に制限されない)を形成し得る全ての液状物を包含する概念で用いるものとし、溶媒の少なくとも一成分として水を用いた水性塗料であってもよいし、または溶媒として水を用いない油性及び溶剤系塗料であってもよい。
上記液体の中でも、取り扱いの容易さの観点から、水性塗料が好ましい。
【0026】
本発明の容器を装着可能な押出器の一例として図4の押出ガンが挙げられる。図4は市販の押出ガン8の構造説明図であり、(A)は外観図、(B)は要部断面図である。図4の押出ガンは密閉タイプのものであり、両端が開放したシリンダ21と、その一端側に着脱自在に装着され、かつ小開口部22aが形成された蓋体22と、シリンダ21内に摺動自在に配置されたピストン23と、ピストン23を移動させるトリガー機構24と、ピストン23のロッドおよびトリガー機構24を支持してシリンダ21の他端側を閉塞する支持部材25とを主体として構成されている。26はピストン23のロッドに対して相対的に移動可能に嵌合されたガイドである。シリンダ21を透明なプラスチックにした場合、内部が見え使用量の確認や使用している塗料等の色が分かるというメリットもある。また、目盛をシリンダにつければ使用量がさらに正確にわかる。
【0027】
使用に際しては、まず、パウチ1の一端側のフィルム11cの略中央部に押出口2を、フランジ部5の接着剤層7において貼着する。次いで、押出ガン8の蓋体22を取り外し、上記押出口貼着パウチをシリンダ21内に挿入して蓋体22を装着し、押出口2を小開口部22aから臨ませる。このときの状態を図5に要部断面図として示す。
【0028】
蓋体22を装着した後は、パウチ1における押出口2筒状部4の内側位置を適当な突き棒等で破ることによって穿孔する。パウチ1への穿孔は、図6に示すような、一端が開放したカップ状の蓋体30であって、内周面に押出口2の雄ねじに螺合する雌ねじ30aが形成され、内底面に先端が鋭利な突き刺し棒30bが開放端を越えて突出形成された蓋体30を、押出口2にねじ込むことにより、行っても良い。このような蓋体30は、残った内容物を保存する場合において、後述の適用部材を取り外した後に押出口2に装着することにより、内容物の劣化を防止する蓋としての機能も有する。
【0029】
押出口貼着パウチを押出器に装着して、当該パウチを穿孔した後は、適用部材を押出口2に取り付ける。
【0030】
適用部材は、パウチ1から押出口2を経て押し出される内容物を対象物に適用するためのものである。適用部材はパウチ内に収容されている内容物の用途に依存して決定され、内容物の漏出が起こらないように押出口と連結できる限り、任意の形態の部材であってよい。具体例として、例えば、塗布用ローラー、塗布用ハケ、注出用ノズル、スクリーン印刷用スキージー等が挙げられる。
【0031】
塗布用ローラーは、例えば、図7(A)に示すように、内周面に押出口の雄ねじに螺合する雌ねじが形成された筒状部31、該筒状部31に一端で連結され、押し出された液体を輸送するための硬質輸送管32、および該硬質輸送管32の他端に回転自在に取り付けられ、輸送された液体を対象物に塗布するためのローラー部33からなっている。ローラー部33は輸送されてきた液体を吸収できる構造を有しており、対象物にローラー部33を押し当てて当該ローラーを回転させることにより、内容物がローラー表面に滲み出して塗布できるようになっている。
【0032】
押出器に装着されて穿孔された本発明の容器の押出口に、上記塗布用ローラーを取り付け、トリガー24を操作してピストン23を蓋体22側に移動させると、シリンダ21内でパウチ1は押圧されるので、パウチ1の内容物は押出口2を経て輸送管に所要量ずつ押し出され、さらにはローラー部33に輸送される。ローラー部33に輸送されてきた内容物はローラーに吸収され、当該ローラーは塗布可能となる。
【0033】
塗布用ローラーの別の態様では、図7(B)に示すように、軟質輸送管34とグリップ部35とを、筒状部31と硬質輸送管32との間に介在させたこと以外、図7(A)に示す構成と同様の構成を有していても良い。すなわち当該塗布用ローラーは、内周面に押出口の雄ねじに螺合する雌ねじが形成された筒状部31、該筒状部31に一端で連結され、押し出された液体を輸送するための軟質輸送管34、該軟質輸送管34の他端に取り付けられ、内部において液体の流路を有するグリップ部35、該グリップ部35に一端で連結され、押し出された液体を輸送するための硬質輸送管32、および該硬質輸送管32の他端に回転自在に取り付けられ、輸送された液体を対象物に塗布するためのローラー部33からなっている。このように軟質輸送管が介在する構成をとることによって、操作性がより向上して内容物の適用がより手軽に行えるだけでなく、パウチ1における押出口2の貼着部位にかかる当該適用部材による負荷を軽減することができる。かかる態様においては一方の手で押出器を持ってトリガーを操作し、他方の手でグリップ部を持って塗布を行えばよい。
【0034】
塗布用ハケは、例えば、図8に示すように、内周面に押出口の雄ねじに螺合する雌ねじが形成された筒状部41、該筒状部41に一端で連結され、押し出された液体を輸送するための硬質輸送管42、および該硬質輸送管42の他端に連結され、輸送された液体を対象物に塗布するためのハケ部43からなっている。ハケ部43は、輸送されてきた液体を塗布部44に供給するための流路を、取っ手部45に有している。
【0035】
押出器に装着されて穿孔された本発明の容器の押出口に、上記塗布用ハケを取り付け、トリガー24を操作してピストン23を蓋体22側に移動させると、パウチ1の内容物は押出口2を経て輸送管に所要量ずつ押し出され、さらにはハケ部43に輸送され、当該ハケは塗布可能となる。
【0036】
塗布用ハケの別の態様では、図7(B)に示す塗布用ローラの別の態様においてと同様の理由から、硬質輸送管42の代わりに軟質輸送管を用いること以外、図8に示す構成と同様の構成を有していても良い。すなわち当該塗布用ハケは、内周面に押出口の雄ねじに螺合する雌ねじが形成された筒状部41、該筒状部31に一端で連結され、押し出された液体を輸送するための軟質輸送管、および該軟質輸送管の他端に連結され、輸送された液体を対象物に塗布するためのハケ部43からなっている。かかる態様においては一方の手で押出器を持ってトリガーを操作し、他方の手で取っ手部45を持って塗布を行えばよい。
【0037】
注出用ノズルは、例えば、図9(A)および(B)に示すように、内周面に押出口の雄ねじに螺合する雌ねじが形成された筒状部(51、61)、該筒状部(51、61)に連結され、押し出された液体を所定の部位に注出するためのノズル部(52、62)からなっている。図9(A)はノズル部52がコーン形状を有する注出用ノズルの断面図である。かかるコーン状ノズル部52は先端部が未使用状態において閉じられており、内容物の所望押出径や内容物の注出部位に応じた位置で切断することにより開放される。図9(B)はノズル部62が平形を有する注出用ノズルの外観図である。このような注出用ノズルを内容物の注出部位に応じて適宜選択して用いることにより、内容物を所定の部位に的確に注出できる。
【0038】
このような注出用ノズルの別の態様では、軟質または硬質の輸送管を、筒状部(51、61)とノズル部(52、62)との間に介在させたこと以外、図9(A)および(B)に示す構成と同様の構成を有していても良い。すなわち当該注出用ノズルは、内周面に押出口の雄ねじに螺合する雌ねじが形成された筒状部(51、61)、該筒状部(51、61)に一端で連結され、押し出された液体を輸送するための軟質または硬質の輸送管(図示しない)、該輸送管の他端に連結され、輸送された液体を所定の部位に注出するためのノズル部(52、62)からなっている。このように輸送管が介在する構成をとることによって、内容物を所定の部位に、より的確に注出できる。特に軟質輸送管を介在させると、操作性がより向上して内容物の注出がより手軽に行える。この場合においては一方の手で押出器を持ってトリガーを操作し、他方の手でノズル部を持って注出を行えばよい。
【0039】
また図9(A)および(B)に示す注出用ノズルの別の態様では、当該ノズル(51と52、または61と62)を前述の押出口2と一体化させてもよい。すなわち、前記した態様では、注出用ノズル(51と52、または61と62)と押出口2とは互いに別部材として用いられるが、パウチの押出器への装着時においてノズルと押出口とを一体化させたもの(ノズル付き押出口)を蓋体の小開口部から臨ませることができる限り、ノズル付き押出口を前記押出口2の代わりに用いても良い。この場合、ノズル付き押出口をパウチ1に貼着し、これを押出器に装着した後、パウチを穿孔するに当たっては、ノズルの開放口からドライバ等の長い器具を用いればよい。
【0040】
スクリーン印刷用スキージーは印刷用スクリーンの上に供給されたインクを広く延ばすためのものであり、例えば、図10(A)に示すように、内周面に押出口の雄ねじに螺合する雌ねじが形成された筒状部71、該筒状部71に一端で連結され、押し出された液体を輸送するための軟質輸送管72、および該軟質輸送管72の他端に連結され、輸送された液体を対象物(スクリーン)に薄く拡げるためのスキージー部73からなっている。スキージー部73は、図10(A)〜(C)に示すように、輸送された液体を対象物(スクリーン)に供給するための流路74および吐出口75が形成されている。図10(A)はスクリーン印刷用スキージーの外観図を示し、(B)は(A)におけるX−X断面図であり、(C)は(A)におけるY−Y断面図およびY’−Y’断面図であり、Y−Y断面図とY’−Y’断面図とは共通する。
【0041】
押出器に装着されて穿孔された本発明の容器の押出口に、上記スクリーン印刷用スキージーの筒状部71を取り付け、トリガー24を操作してピストン23を蓋体22側に移動させると、パウチ1の内容物(インク)は押出口2を経て輸送管に所要量ずつ押し出され、さらにはスキージー部73に輸送され、スクリーン印刷時においてインクを別途供給しなくても、連続して印刷可能となる。
【0042】
上記のような各種適用部材を、本発明の容器における押出口に取り付けて、容器内の内容物を対象物に適用すると、最終的にほぼ全ての内容物が押し出され得る。このように内容物を使い切った後には、パウチ1は当初の軸方向に数mm程度の厚みとなり、従来のカートリッジを用いる場合に比して、空き容器の体積は数十分の一となり、その処理費用を大幅に低減させることができる。
【0043】
本発明の容器はパウチ内に内容物を密封状態で保管できる。このためパウチは内容物を密封状態で収容した状態で、図1、3に示される押出口2を付属させて市販されるか、または押出口2および適用部材を付属させて市販される。さらに押出器を付属させて市販されてもよい。押出口2および適用部材は別売りされてもよい。
【0044】
以上の説明では押出器として密閉タイプの押出ガンを用いる場合について説明したが、本発明においては押出器として、密閉タイプの押出ガンのほか、図11に外観図を示すように、半円筒形の押出筒81とその内側で移動するピストン82、およびそのピストン82を移動させるためのトリガー機構83を備えた押出ガンに、半円筒形の押出筒81の上半部の開放部分を閉鎖するための開閉式の蓋体84を設けた構造の押出ガンを採用しても、同等の作用効果を奏することができる。また、以上のような各押出ガンのピストンをネジによって移動させる方式であってもよい。
【0045】
さらに、本発明の容器はその本体部分が可撓性を有するパウチであることから、内容物の押し出しに際しては、以上のような押出ガンに代えて、2本のロールの間にパウチを挟むことによって内容物を押し出す器具や、あるいはパウチを手によって押しても内容物の押し出しが可能であり、押出器具ないしは押出方法については何ら限定されるものではない。
【0046】
なお、上記で説明した雄ねじと雌ねじは逆の関係で構成されていてもよい。すなわち、雄ねじに代えて雌ねじと、雌ねじに代えて雄ねじと読み替えた構成も本発明の態様である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の容器の一例を押出器に装填する直前の状態を示す外観図を示す。
【図2】本発明の容器を構成するパウチの一例の構造説明図であり、(A)は内容物を収容しないパウチの正面図であり、(B)は(A)におけるB−B断面図である。
【図3】図1の容器における押出口近傍の概略断面図である。
【図4】市販の押出ガンの一例の構造説明図であり、(A)は外観図であり、(B)は要部断面図である。
【図5】内容物を収容した本発明の容器を押出ガン内に装填した状態を示す要部断面図である。
【図6】本発明の容器を構成するパウチを穿孔可能で、かつパウチ内に残った内容物を劣化しないように保管するのに適した蓋体の一例の概略断面図である。
【図7】(A)および(B)は適用部材の一例の外観図である。
【図8】適用部材の一例の外観図である。
【図9】(A)は適用部材の一例の断面図であり、(B)は適用部材の一例の外観図である。
【図10】(A)は適用部材の一例の外観図であり、(B)は(A)におけるX−X断面図であり、(C)は(A)におけるY−Y断面図(Y’−Y’断面図)である。
【図11】押出ガンの他の一例の外観図である。
【図12】(A)は塗料を収容する従来のカートリッジを用いたカートリッジ式ペイントローラーの外観図であり、(B)は塗料を収容する従来のカートリッジの構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1:パウチ、2:押出口、3:雄ねじ、4:筒状部、5:フランジ、6:パウチの穿孔位置、7:接着剤層、8:押出ガン、11:フィルム、21:シリンダ、22:蓋体、22a:小開口部、23:ピストン、24:トリガー機構、25:支持部材、26:ガイド、30:蓋体、31:筒状部、32:硬質輸送管、33:ローラー部、34:軟質輸送管、35:グリップ部、41:筒状部、42:輸送管、43:ハケ部、44:塗布部、45:取っ手部、51:筒状部、52:コーン状ノズル部、61:筒状部、62:平形ノズル部、71:筒状部、72:軟質輸送管、73:スキージー部、74:流路、75:吐出口、81:押出筒、82:ピストン、83:トリガー機構、84:蓋体、101:カートリッジ、102:ローラー、103:剛質管、104:封止部材、105:押出器、106:孔、107:雄ねじ、108:開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の略矩形のフィルム11a、11bの一端部にフィルム11cを2つ折りの変形六角形の状態で配する工程、
該変形六角形のフィルム11cの全周を略矩形のフィルム11aおよび略矩形のフィルム11bに対して融着する工程、および
該略矩形のフィルム11aおよび略矩形のフィルム11bの縁部において略矩形のフィルム11aと略矩形のフィルム11bとを融着する工程、
を経て製造されることを特徴とする容器の製造方法。
【請求項2】
2枚の略矩形のフィルム11a、11bの一端部にフィルム11cを2つ折りの変形六角形の状態で配する工程、
該変形六角形のフィルム11cの全周を略矩形のフィルム11aおよび略矩形のフィルム11bに対して融着する工程、および
該略矩形のフィルム11aおよび略矩形のフィルム11bの縁部において略矩形のフィルム11aと略矩形のフィルム11bとを融着する工程、
2枚の略矩形のフィルム11a、11bにおける変形六角形のフィルム11cを配した端部とは逆の未融着端部から液体を充填する工程、および
該未融着端部を融着しパウチ内を密閉する工程、
を経て製造される容器の製造方法。
【請求項3】
2枚の略矩形のフィルム11a、11bの一端部にフィルム11cを2つ折りの変形六角形の状態で配する工程、
該変形六角形のフィルム11cの全周を略矩形のフィルム11aおよび略矩形のフィルム11bに対して融着する工程、および
該略矩形のフィルム11aおよび略矩形のフィルム11bの縁部において略矩形のフィルム11aと略矩形のフィルム11bとを融着する工程、
2枚の略矩形のフィルム11a、11bにおける変形六角形のフィルム11cを配した端部とは逆の未融着端部から液体を充填する工程、
該未融着端部を融着しパウチ内を密閉する工程、および
上記パウチ内密閉により形成された変形六角形フィルム11cの略平坦部に押田口を貼着する工程、
を経て製造される容器の製造方法。
【請求項4】
押出口が、外周面に雄ねじが形成された筒状部の一端部に、パウチに対して貼着されるフランジ部が形成されている、請求項3に記載の容器の製造方法。
【請求項5】
請求項2で製造された容器に、押出口を使用直前に変形六角形フィルム11cの略平坦部に貼着することを特徴とする、請求項2で製造された容器の使用方法。
【請求項6】
押出口が、外周面に雄ねじが形成された筒状部の一端部に、パウチに対して貼着されるフランジ部が形成されている、請求項5に記載の容器の使用方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載の製造方法で製造された容器および押出口を含む、容器セット。
【請求項8】
押出口が、外周面に雄ねじが形成された筒状部の一端部に、パウチに対して貼着されるフランジ部が形成されている、請求項7に記載の容器セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−269406(P2007−269406A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121680(P2007−121680)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【分割の表示】特願2001−354674(P2001−354674)の分割
【原出願日】平成13年11月20日(2001.11.20)
【出願人】(000107000)シャープ化学工業株式会社 (12)
【出願人】(390004709)カイト化学工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】