説明

容器グリップ装置

【課題】ボトルを搬送する際に発生するボトルの遠心力傾斜を抑制し、搬送中のボトルの姿勢が安定すると共にボトル受渡し時における把持ミスが生ずることのない容器グリップ装置を提供する。
【解決手段】回転式のボトル搬送装置により搬送されるボトルのボトルネック部Nを把持する容器グリップ装置であって、ボトルネック部に係合する押圧部材11a、11bと、ボトルの環状ネックリング部140に係合する位置決定部材13と、環状ネックリング部上面に係合する傾斜防止フィンガー15とを設けたことを特徴とする。また、押圧部材と位置決定部材とでボトルネック部を把持したときに、力点21、22に垂直方向の差を生ぜしめ、遠心力に抗してボトルを傾斜させないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を把持する開閉式グリップ装置に於いて、ボトル等容器を搬送する際に発生する遠心力傾斜を抑制したボトル等容器のグリップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるPETボトルに代表される樹脂製ボトルや、壜、缶等の容器に飲料水などの液体を充填し、液体が充填された容器の開口部に蓋或いはキャップを装着する処理ラインには、容器に液体を充填する充填機、液体が充填された容器の受け取りや受け渡しをする中間搬送装置、容器の開口部にキャップを締結するキャッピング機または蓋巻締機などが配設されている。
上記の充填機、中間搬送装置、キャッピング機または蓋巻締機等に採用されている容器搬送装置(以下、ボトル搬送装置という)などはいずれも回転体を有し、回転体の周縁には周方向に間隔をおいて複数のグリップ装置が備えられていて、容器(以下、ボトルという)の受渡しを行なうようになっている。
【0003】
上記グリップ装置の各々には容器を把持する把持部材が備えられ、ボトルは、各ボトル搬送装置において、ボトルネック部が把持部材に把持されて吊り下げられた状態で搬送円軌道に沿って搬送され、各搬送装置間でのボトルの受渡しを、各搬送装置が備えた把持部材の開閉動作により行われる。
【0004】
しかし、従来のボトル搬送装置は、ボトルネック部を把持して吊り下げた状態で円軌道搬送されるボトルの下部が遠心力によって外方に振られた状態になり、充填や蓋締め等の処理に不具合が発生したり、ボトルの受け渡し時においてボトル把持ミスが生ずる等の不都合が発生するという問題があった。
特に、充填機によって内溶液を充填した後のボトルを搬送する場合には、ボトルの総重量が大きくなるため遠心力がさらに強く作用し、一層外方に傾斜して搬送される状態になり、ボトル受取り時におけるボトル把持ミスの頻度が増すなどのおそれがあった。
【0005】
このため、樹脂ボトルを安定した姿勢で搬送し、受け渡しをする装置が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1には、樹脂ボトルの円筒部を把持するグリッパーを円周方向に複数有し、各グリッパーの上方に、樹脂ボトルの口部に当接する支持体を設けた樹脂ボトルの搬送処理システムが記載されている。
【特許文献1】特開2000−281184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の搬送処理システムにおけるボトル把持装置は、グリッパーの上方に樹脂ボトルの口部に当接する支持体を設けたもので、グリッパーが把持している円筒部よりも上方の口部を支持体によって半径方向内方側から押圧してボトル傾斜を抑え、ボトルが振れた時にそれ以上振れないように支持している。
しかし、その支持体に当接する樹脂ボトルの口部とのクリアランスは、ボトルの個体差を考えると調整が難しく、また、グリッパー上方の口部付近に充填バルブやキャッピングヘッド等の装置が無く支持体が邪魔にならない空間が得られる場合のみにその使用が限定されてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は上記従来の問題を解決するためになされたもので、ボトルの口部付近の空間専有を必要とせず、その使用が限定されることなく広範囲の装置に適用でき、搬送する際に発生するボトルの遠心力傾斜を抑制し、充填時や蓋締時のボトル傾斜による不良発生やボトル受渡し時における把持不良が生ずることのない容器グリップ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の容器グリップ装置は、容器を把持する開閉式グリップ装置に於いて、容器を把持する把持部材が、容器搬送円軌道の外方から内方へ押圧する押圧部材と、押圧部材に対向し容器位置決めをする位置決定部材とよりなり、容器に作用する把持力の合力が容器中心軸を容器搬送軌道の半径方向に回転させる向きに働くように、対向する押圧部材と位置決定部材の容器に接する位置が容器中心軸方向に異なることを特徴とする。
請求項2に記載の容器グリップ装置は、請求項1において、容器を把持する開閉式グリップ装置に於いて、容器の拡径部または突起部に係合し、前記容器中心軸の回転を規制する係止部材を有することを特徴とする。
請求項3に記載の容器グリップ装置は、請求項2において、前記係止部材が、板バネ等の弾性部材からなる傾斜防止フィンガーであることを特徴とする。
請求項4に記載の容器グリップ装置は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、容器を把持する開閉式グリップ装置に於いて、複数有する把持部材の内、少なくとも1以上が固定されていることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の容器グリップ装置は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、容器を把持する開閉式グリップ装置において、回転式のボトル搬送装置により搬送されるボトルのボトルネック部を把持する容器グリップ装置であって、ボトルネック部に係合し内方へ押圧する押圧部材と、ボトルの環状ネックリング部に係合し押圧部材に対向し容器位置決めをする位置決定部材と、該環状ネックリング部上面に係合する傾斜防止フィンガーとを設けたことを特徴とする。
請求項6に記載の容器グリップ装置は、請求項5において、前記押圧部材はボトルネック部に係合する開閉把持部材であり、前記位置決定部材はボトルの環状ネックリング部に係合する固定把持部材であることを特徴とする。
請求項7に記載の容器グリップ装置は、請求項5又は6において、前記押圧部材間において、それらの基部に形成されたバネ固定部に、コイルバネそれぞれの一端が係止されており、前記押圧部材それぞれの中間部に設けられた回転軸を回動中心として、両押圧部材の先端に設けられた押圧グリップ部を常時閉鎖する方向に付勢され、前記位置決定部材と前記押圧部材の間に形成されたグリップ領域の内に、ボトルネック部を押し込んで把持させるものであることを特徴とする。
請求項8に記載の容器グリップ装置は、請求項5又は6において、
前記押圧部材は、回転軸の端部にカムレバーを嵌着し、該カムレバーを延出させた端部に固定軸を設け、該固定軸と同軸にカムフォロアを回転自在に設けると共に、該カムフォロアと環状カムとを相対的に回転させることにより、前記押圧部材を開閉させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の容器グリップ装置は、容器を把持する開閉式グリップ装置に於いて、主に、回転式のボトル搬送装置により搬送されるボトルのボトルネック部を把持する容器グリップ装置であって、容器に作用する把持力の合力が容器中心軸を容器搬送軌道の半径方向に回転させる向きに働くように、対向する把持部材の容器に接する高さ位置が鉛直方向即ち容器に接する位置が容器中心軸方向に異なることを特徴とする、押圧部材と位置決定部材よりなる把持部材を設け、更に、環状ネックリング部上面のような容器の拡径部または突起部に係合し、前記容器中心軸の回転を規制する係止部材としての傾斜防止フィンガーを設けているので、押圧部材で円筒部を押圧し、位置決定部材で高さ位置の違う環状ネックリング部を支持することで容器中心軸に作用する力点に垂直方向の差を生ぜしめ、ボトルに働く遠心力方向とは逆の内方に容器中心軸を回転させる向きに働く力を発生させ、遠心力によるボトルの傾斜を防ぐことができる。
また、傾斜防止フィンガーにより、搬送装置の回転数が低い時などの遠心力が設定値よりも低い場合でも、把持したボトルが逆に内方に傾斜することを防止し、ボトルを安定した姿勢で搬送できるので、搬送装置間でのボトル受渡し時における把持不良や、ボトル傾斜による充填時の液零れや蓋締時の斜め被り等の製品不良が発生する虞がない。
また、複数有する把持部材の内、位置決定部材を固定することで、そのボトルネック部におけるグリップ機構との密着性や把持位置の正確性を良好にしてボトルを安定に保持できる。
特に、把持部材上方の口部付近の空間にはグリップ装置を構成する部材が存在しないので、充填バルブやキャッピングヘッド等の各種装置と干渉する虞が無く共存することができ、広範囲の装置に適用できる。
さらに、本発明の容器グリップ装置は、ボトルネック部を押圧部材と位置決定部材の間に形成されたグリップ領域内に押し込んで把持させるものであるので、大掛かりなグリップ機構を設ける必要が無くしっかりと把持でき、把持ミスがなく生産効率性に優れている。
また、本発明の容器グリップ装置は、カムにより開閉させることにより、更に大きな遠心力に耐えられるようになり、強固にボトルネック部を把持することができ、把持ミスがなく生産効率性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に従って構成された容器搬送装置の実施の形態について詳細に説明する。
先ず、図7を参照して、容器グリップ装置によって搬送される容器の一例としてボトルの形態について説明する。例えば、搬送されるボトル100としては、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂素材を用いてブロー成形された樹脂ボトルが最も汎用的な搬送対象となるが、ボトル100の開口端190の外周面には雄ねじ110が形成され、雄ねじ110の下端の直下方には径が雄ねじ110のねじ部ねじ内径と略一致する小径の円筒部115が連続して形成され、更にその下方には、環状に拡径された根茎(かぶら)部120が形成されている。
【0011】
更に、根茎(かぶら)部120の下方には小径の円筒部130が形成され、円筒部130の下方には、環状に拡径された環状ネックリング部140が形成されている。環状ネックリング部140の直下方には小径の円筒部150が形成され、円筒部150の下方には胴部160が形成されている。円筒部150の下端から胴部160の上端までは、下方に向かうに従って徐々に直径が拡大されている。
円筒部130と円筒部150の外径は略同径をなし、それぞれの軸方向長さは比較的短い。ボトル100の開口端190から円筒部115の上端までの領域はボトルの口部Kをなし、ボトル100の開口端190から円筒部150の下端までの領域はボトルネック部Nをなす。
【0012】
次に、図8を用いて、容器グリップ装置を用いた搬送装置によって行われるボトル搬送を簡略的に説明する。
ボトル搬送は、供給コンベア30、出口コンベア90間を、入口搬送装置40、充填機50、中間搬送装置60、キャッピング機70、出口搬送装置(出口ターレット)80などの回転搬送装置を用いて行われる。
出口搬送装置(出口ターレット)80を除き、これらの回転搬送装置には、それぞれ回転体が備えられ、回転体の周縁部には周方向に等間隔に複数の容器グリップ装置が備えられている。
【0013】
図8において、供給コンベア30により供給されたボトル100は、入口搬送装置40に設けられている容器グリップ装置により、環状ネックリング部140の直上の円筒部130を把持して吊り下げられ、搬送円軌道に沿って反時計方向に搬送され充填機50に受け渡される。
充填機50において、ボトル100は充填機50に設けられている容器グリップ装置により、環状ネックリング部140の直下の円筒部150を把持され吊り下げられ、搬送円軌道に沿って時計方向に搬送される。その間にボトル100には、図示しない液体充填手段により液体が充填される。液体が充填されたボトル100は、中間搬送装置60に受け渡される。
中間搬送装置60において、中間搬送装置60に設けられている容器グリップ装置により環状ネックリング部140の直上の円筒部130を把持して受け取り、搬送円軌道に沿って反時計方向に搬送し、キャッピング機70に受け渡す。
【0014】
キャッピング機70において、ボトル100は、キャッピング機70に設けられている容器グリップ装置により、環状ネックリング部140の直下の円筒部150を把持して吊り下げられ、搬送円軌道に沿って時計方向に搬送される。その間にボトル100の開口端部には、図示しないキャッピング手段によりキャップを締結して開口端を閉塞する。キャップが締結されたボトル100は、出口搬送装置80に受け渡される。
出口搬送装置80において、ボトル100は、ウエアプレート上をターレットによって搬送円軌道に沿って反時計方向に搬送され、出口コンベア90に搬出される。
出口コンベア90に搬出されたボトル100は、出口コンベア90によって所定の場所に搬送される。
【0015】
次に、本発明の第一の実施の形態による容器グリップ装置について説明する。
図1は本発明の容器グリップ装置の第一の実施の形態を示す平面図、図2は図1におけるA−A断面図、図3は図1におけるB−B断面図である。
また、図5は本実施形態の容器グリップ装置10がボトル充填機50に取り付けられている場合の概略縦断面図、図4はその概略平面図である。
図1、図2、図3において、実施の形態の容器グリップ装置10は、ボトルネック部Nの円筒部150の容器搬送円軌道の外方側面を内方へ押圧する押圧部材11a、11bと、押圧部材11a、11bに対向し環状ネックリング部140の容器搬送円軌道の内方側面および下面を支持し容器位置決めをする位置決定部材13とを備える。対向する押圧部材11a、11bと位置決定部材13の容器ボトル100に接する位置は容器中心軸20方向に異なる。
押圧部材11a、11bの先端側に設けられた押圧グリップ部11c、11dは、円筒部150外周面の搬送円軌道外方側面を押圧把持してボトルをグリップ領域G内に付勢するように係合し、その係合面がグリップ領域Gの中心即ち容器中心軸20に向けて構成されている。
位置決定部材13は、環状ネックリング部140の搬送円軌道内方側面に係合し、その係合面がグリップ領域Gの中心即ち容器中心軸20に向いて構成されている。
なお、グリップ領域Gとは、上記押圧グリップ部11c、11d及び位置決定部材13で囲まれた領域をいい、ボトルのボトルネック部Nが挿入される領域であり、グリップ領域Gの中心は把持されたボトル100の容器中心軸20と一致し、容器搬送円軌道上にある。
さらに、位置決定部材13の上方には、板バネ等の弾性部材で形成された傾斜防止フィンガー15が備えられており、拡径された環状ネックリング部140の縁端部上面に係合するように構成されている。この位置決定部材13は、固定ボルト16によって容器グリップ装置10の基部19に固定されている。
【0016】
即ち、上記押圧部材11a、11bと位置決定部材13は、図3において、ボトルネック部Nを把持したときに、ボトル100における円筒部150の外周面の一部を押圧する押圧部材11b(11a)が生ぜしめる力点21と、環状ネックリング部140の外周部に当接する位置決定部材13が生ぜしめる力点22との間で、両力点の作用点に容器中心軸方向の差23を設けるよう構成し、傾斜防止フィンガー15は、図2において、ボトルの環状ネックリング部140の縁端部下面が位置決定部材13からの上方への離脱を阻止するように構成されている。
【0017】
また、押圧部材11a、11b間においては、それらの基部12に立設されたバネ固定部18a、18bに押圧部材の上部を通過させた圧縮コイルバネ17のそれぞれ一端が係止されており、押圧部材11a、11bそれぞれの中間部に設けられた回転軸14a、14bを回動中心として、両押圧部材の先端に設けられた、円筒部150と当接する押圧グリップ部11c、11dを常時閉鎖する方向に付勢されている。
なお、図1、図2においてコイルバネ17は、基部12に立設されたバネ固定部18a、18bに係止されているが、バネ固定部を立設させずに押圧部材11a、11bの基部に直接係止させることもできる。
【0018】
図4および図5において、充填機50の静止基台101には主駆動軸102が鉛直方向に立設され、回転体51が回転自在に支持されている。回転体51の周縁部には、等間隔に容器グリップ装置10を設け、各グリップ領域Gの中心即ち容器中心軸20の上方には図示しない充填手段が構成されている。
【0019】
次に、図6を併せて参照して、上記のように構成されたボトル充填機50における本実施形態の容器グリップ装置10の動作について説明する。
図6において、円弧L1は入口搬送装置40における容器搬送円軌道の一部領域を、円L2は充填機50における容器搬送円軌道を、円弧L3は中間搬送装置60における容器搬送円軌道を、各々示している。
また、X2は円弧L1と円L2の接点であり入口搬送装置40と充填機50間でのボトル100の受渡位置、X1は充填機50においてその前方、X3はその後方、X4は円L2と円弧L3の接点であり充填機50と中間搬送装置60間でのボトル100の受渡位置を示す。
【0020】
充填機50の回転体51は図6において時計方向(矢印A方向)に回転し、矢印Aの方向に回転移動する容器グリップ装置10が、前方X1から受渡位置X2に達すると、入口ボトル搬送装置40の図示しない容器グリップ装置もボトル100を吊り下げた状態で搬送円軌道L1に沿って矢印Bの回転方向に回転しながら同位置に達する。
このとき、入口搬送装置40の開閉機構を有する図示しないグリップ装置に把持されたボトル100のボトルネック部Nは充填機50の容器グリップ装置10の押圧グリップ部11c、11dと位置決定部材13との間のグリップ領域Gの間に押し込まれ、容器グリップ装置10はボトル100のボトルネック部Nの外周面を把持する。
次いで、入口搬送装置40における開閉機構を有する図示しないグリップ装置のボトル把持力が解除されるとともにボトル100の受渡しが完了し、容器グリップ装置10は上記状態に維持され後方X3方向へ進む。
【0021】
充填機50では、図示しない充填手段によりボトル100内に飲料等の液体が充填される。充填量が規定値に達するまでボトル100の総体重量は増加し、それに伴いボトル100にかかる円軌道搬送による遠心力も増加する。この遠心力は、図2において円弧矢印で示す回転力Xと反対の向き即ちボトルネック部Nに対してボトル底部が容器搬送円軌道外方に振られる向きに発生する。
【0022】
図3において、本実施形態の容器グリップ装置10では、対向する押圧部材11b(11a)と位置決定部材13のボトル100のボトルネック部Nに接する位置が容器中心軸方向に異なるので、ボトルネック部Nを把持したときに、押圧グリップ部11d(11c)による力点21と、位置決定部材13による力点22の各作用点に容器中心軸方向の差23を設けることで、圧縮コイルバネ17による押圧部材11b(11a)の把持力により、図2、図3において容器中心軸20を容器搬送軌道の半径方向に回転させる向きに働く円弧矢印で示す回転力Xを発生し、上記遠心力に抗してボトル100を常に鉛直方向に姿勢を維持しながらグリップ領域G内にボトル100を把持しつづける。
【0023】
尚、図2において、本実施形態の容器グリップ装置10では、傾斜防止フィンガー15が常に環状ネックリング部140の縁端部上面に係合しているので、充填前などのボトル100の総体重量が小さい場合でも、回転力Xにより発生する浮上り力Zに抗する力を発生し、環状ネックリング部140の縁端部下面が位置決定部材13から離れて上方へ離脱することなく、容器中心軸20の回転を規制し、ボトル100が底部を容器搬送円軌道内方に振る向きに傾斜することはない。
【0024】
ボトル充填機50にて飲料等の液体が充填されたボトル100は、図6において、容器グリップ装置10が受渡位置X4に達すると中間搬送装置60の開閉機構を有する図示しない容器グリップ装置によりボトルネック部Nを把持され引き抜かれることで、次の中間搬送装置60へ受渡される。
【0025】
中間搬送装置へ受け渡されたボトル100は、更にキャッピング機70に受け渡され、キャッピング機70において図示しないキャッピング手段によりキャップを締結され開口端を閉塞されて出口搬送装置80に受け渡される。
出口搬送装置80に受け渡されたボトル100は、出口コンベア90に搬出され、所定の場所に搬送される。
【0026】
上記本実施形態の容器グリップ装置10の作用効果を説明する。
本発明によると、図3に示すように、押圧部材11a、11bの押圧グリップ部11c、11dと位置決定部材13とでボトルネック部Nを把持したときにおいて、ボトル100における円筒部150の外周面の一部を押圧する押圧部材11b(11a)が生ぜしめる力点21と、環状ネックリング部140の外周部に当接する位置決定部材13が生ぜしめる力点22との間で、両力点の作用点に垂直方向の差23を設けるよう構成することによって、回転力X方向の戻し力を生ぜしめ、ボトル100が遠心力によって底部が容器搬送円軌道外方に振られる向きに傾斜するのを抑制する。
更に、上記回転力X方向の戻し力で、ボトル100が容器搬送円軌道内方への傾斜が発生しないように、傾斜防止用フィンガー15により環状ネックリング部140上面を抑えてボトル100の姿勢を垂直に保つようにする。
これらにより、前記のようなボトル受渡しの動作において、本発明の容器グリップ装置10を用いることで、ボトル100の受渡し位置においてボトル100は実質的に傾斜状態にない略垂直の姿勢で受け取られ、安定した姿勢で搬送されるので、充填およびキャッピング等も円滑かつ確実に遂行される。
また、傾斜防止フィンガー15が弾性部材で形成されていることにより、ボトル受け渡し時においてボトルネック部Nを把持する際の、環状ネックリング部140の固体寸法差や搬送装置間での寸法調整誤差により発生する衝撃を吸収し、ボトルの動揺や環状ネックリング部140の傷付きを防止することができる。
なお、図2における上記傾斜防止フィンガー15の先端部の三角形状は本実施に形態においての例示であって、凹状部を形成した円弧や矩形などの形状に適宜変更できるものである。
【0027】
以上、本発明による容器グリップ装置の第一の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形あるいは修正が可能である。例えば、上記実施形態において、容器グリップ装置10は、充填機50に備えられているが、入口搬送装置40、中間搬送装置60、キャッピング機70、出口搬送装置80、あるいは図示しない洗浄機や反転機に備えられたものであってもよいし、また、他のボトル搬送装置であってもよい。
【0028】
さらに、以下において説明するように、前記押圧部材11a、11bは、その開閉をコイルバネを用いて行うのではなく、押圧部材11a、11b回転軸24a,24bの端部にカムレバー27を嵌着し、該カムレバー27を延出させた端部に固定軸27bを設け、該固定軸27bと同軸にカムフォロア26を回転自在に設けると共に、該カムフォロア26と環状カム25とを相対的に回転させることにより、前記押圧部材11a、11bを開閉させるようにすることもできる。このカム式容器グリップ装置10Aについて以下に詳細に説明する。
【0029】
図9は、カム式容器グリップ装置10Aの開閉機構を説明する斜視図であり、図10は平面図である。図11は、カム式容器グリップ装置10Aがボトル充填機50に取り付けられている場合の概略縦断面図である。図9〜11において、静止基台101には、環状カム25が主駆動軸102と共通の軸心を有するように固着されている。環状カム25のカム面は、所定の周方向角度位置において主駆動軸102の軸心を中心とする半径が変化して、大径部25aと小径部25bとなるよう形成されている。
前記カムフォロア26は環状カム25の外周面(カム面)と常時圧接されており、環状カム25のカム面に追従して移動させられる。
【0030】
カムフォロア26と当接するカム面が小径部25bとなりカムフォロア26が半径方向内方に変化すると、押圧部材11a、11bの回転軸24bは、カムレバー27により開方向に旋回させられ、他方の回転軸24aも、キアを介して開方向に旋回させられる。
逆に、カムフォロア26と当接するカム面が大径部25aとなり、カムフォロア26が半径方向外方に変化すると、押圧部材11a、11bの回転軸24bは、カムレバー27により閉方向に旋回させられる。
このようにして、カム式容器グリップ装置10Aにおいてもボトルネック部Nを安定して把持することができる。
【0031】
尚、本発明において、容器グリップ装置の把持位置は、上記の説明に限定されるものではなく、ボトルネック部N内の位置であれば、環状ネックリング部140と円筒部150以外の、例えば、根茎(かぶら)部120と円筒部130、雄ねじ110と円筒部115等の他の位置を把持することもできる。
また、上述の実施形態においては、本発明を合成樹脂製ボトルを例に説明したが、ボトルネック部Nに類似した形状を持つ金属製ボトルあるいはガラス製ボトルなどにも適用可能である。更には、ボトルネック部N様の形状に限定することなく、縮径または拡径された部位或いは突起部を持つ金属缶およびその他の容器にも適用可能であり、或いは縮径等されていない缶においてもその蓋巻締部等への適用により、前記両力点の作用点に容器中心軸方向の差23を設けるよう構成することによって実施可能である。
【0032】
また、前述の位置決定部材13は、容器グリップ装置10の基部19に固定することなく、図12に示すように、押圧部材11a、11bと一体的に開閉するものであってもよい。この場合、位置決定部材13は13eと13fとに分割し、各々押圧部材11a、11bと一体的に連動して開閉し、ボトル100の環状ネックリング部140の外周面に係合する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の容器グリップ装置によれば、飲料等容器を円軌道搬送する際に発生する容器の遠心力傾斜を抑制し、搬送中の容器の姿勢が安定すると共に充填時や蓋締時の容器傾斜による不良発生や容器受渡し時における把持不良が生ずることのない容器グリップ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第一の実施形態の容器グリップ装置の概略について説明した平面図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】図1におけるB−B断面図である。
【図4】回転体の周縁部に周方向等間隔に容器グリップ装置を放射状に取り付けた態様を示す概略平面図である。
【図5】第一の実施形態の容器グリップ装置がボトル充填機に取り付けられている場合の概略縦断面図である。
【図6】本実施形態の容器グリップ装置の動作を説明した説明図である。
【図7】搬送される容器の一例としてのボトルの形態についての説明図である。
【図8】容器グリップ装置が用いられるボトル搬送装置の簡略的説明図である。
【図9】他の実施形態によるカム式容器グリップ装置の開閉機構を説明する斜視図である。
【図10】図9の平面図である。
【図11】他の実施形態によるカム式容器グリップ装置の実施態様を示す概略縦断面図である。
【図12】位置決定部材が押圧部材と一体的に開閉するものの実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0035】
10 容器グリップ装置
10A カム式容器グリップ装置
11a、11b 押圧部材
11c、11d 押圧グリップ部
12 基部
13、13e、13f 位置決定部材
14a、14b 回転軸
15 傾斜防止フィンガー
16 固定ボルト
17 圧縮コイルバネ
18a、18b バネ固定部
19 基部
20 容器中心軸
21、22 力点
23 容器中心軸方向の差
24a,24b 回転軸
25 環状カム
25a 大径部
25b 小径部
26 カムフォロア
27 カムレバー
27b 固定軸
30 ボトル供給コンベア
40 入口搬送装置
50 充填機
51 回転体
60 中間搬送装置
70 キャッピング機
80 出口搬送装置(出口ターレット)
90 出口コンベア
100 ボトル
101 静止基台
102 主駆動軸
103 駆動ギヤー
110 雄ねじ
115 円筒部
120 根茎(かぶら)部
130 円筒部
140 環状ネックリング部
150 円筒部
160 胴部
190 開口端
G グリップ領域
K ボトル口部
N ボトルネック部
X1 前方
X2 受渡位置
X3 後方
X4 受渡位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を把持する開閉式グリップ装置に於いて、容器を把持する把持部材が、容器搬送円軌道の外方から内方へ押圧する押圧部材と、押圧部材に対向し容器位置決めをする位置決定部材とよりなり、容器に作用する把持力の合力が容器中心軸を容器搬送軌道の半径方向に回転させる向きに働くように、対向する押圧部材と位置決定部材の容器に接する位置が容器中心軸方向に異なることを特徴とする容器グリップ装置。
【請求項2】
容器を把持する開閉式グリップ装置に於いて、容器の拡径部または突起部に係合し、前記容器中心軸の回転を規制する係止部材を有することを特徴とする請求項1に記載の容器グリップ装置。
【請求項3】
前記係止部材が、板バネ等の弾性部材からなる傾斜防止フィンガーであることを特徴とする請求項2に記載の容器グリップ装置。
【請求項4】
容器を把持する開閉式グリップ装置に於いて、複数有する把持部材の内、少なくとも1以上が固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の容器グリップ装置。
【請求項5】
容器を把持する開閉式グリップ装置に於いて、回転式のボトル搬送装置により搬送されるボトルのボトルネック部を把持する容器グリップ装置であって、ボトルネック部に係合し内方へ押圧する押圧部材と、ボトルの環状ネックリング部に係合し押圧部材に対向し容器位置決めをする位置決定部材と、該環状ネックリング部上面に係合する傾斜防止フィンガーとを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の容器グリップ装置。
【請求項6】
前記押圧部材はボトルネック部に係合する開閉把持部材であり、前記位置決定部材はボトルの環状ネックリング部に係合する固定把持部材である請求項5に記載の容器グリップ装置。
【請求項7】
前記押圧部材間において、それらの基部に形成されたバネ固定部に、コイルバネそれぞれの一端が係止されており、前記押圧部材それぞれの中間部に設けられた回転軸を回動中心として、両押圧部材の先端に設けられた押圧グリップ部を常時閉鎖する方向に付勢され、前記位置決定部材と前記押圧部材の間に形成されたグリップ領域の内に、ボトルネック部を押し込んで把持させるものであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の容器グリップ装置。
【請求項8】
前記押圧部材は、回転軸の端部にカムレバーを嵌着し、該カムレバーを延出させた端部に固定軸を設け、該固定軸と同軸にカムフォロアを回転自在に設けると共に、該カムフォロアと環状カムとを相対的に回転させることにより、前記押圧部材を開閉させるようにしたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の容器グリップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−89059(P2006−89059A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−274526(P2004−274526)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(391035430)東洋食品機械株式会社 (11)
【Fターム(参考)】