説明

容器蓋用密封剤組成物、容器蓋用密封部材、および容器蓋

【課題】作業条件や環境に影響されずに柔軟かつ平坦なシール面を持つ硬化体を得ることができ、取り扱い作業性や密封性にも優れた容器蓋用密封剤組成物、容器蓋用密封部材、および容器蓋を提供する。
【解決手段】有機イソシアネート化合物、ポリオール、およびアミンからなる一液型ウレタンエラストマー形成用成分と、組成物の硬化体の硬度を調整するための高分子中空微粒子と、高分子中空微粒子の組成物中における浮遊分離を防止するための浮遊分離防止剤とを含有することを特徴とする容器蓋用密封剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器蓋用密封剤組成物、容器蓋用密封部材、および容器蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、容器蓋用密封剤組成物(シーリングコンパウンド)としては、加熱硬化型の塩化ビニル系プラスチゾルや一液型ウレタンエラストマーが用いられている(特許文献1、2参照)。
【0003】
ペール缶やドラム缶などの大型缶においては全体に強度が要求され、密封剤組成物に関してもシーリングの確実性や衝撃に対する強度が要求され、さらに鉱油などに対する耐油性が要求される。そのため大型缶用の容器蓋には強い力で締め付けることができるカシメ方式の容器蓋が多い。
【0004】
塩化ビニル系プラスチゾルや一液型ウレタン系エラストマーを密封剤組成物として用いる場合、密封剤組成物の硬化体である密封部材(ガスケット)のシール面が瓶口リム部または缶本体の天部(丸められた頂部)に食い込み易くなるようにして密封性を確保するために、密封剤組成物に発泡剤を配合し、加熱硬化時に発泡剤の加熱分解により窒素ガスや炭酸ガスを発生させ、柔らかいガスケットが形成されるように配慮されている。特に大型缶の場合にはこの傾向が強い。
【0005】
また、従来の加熱分解型の発泡剤に代わるものとして、少量の液状炭化水素を内包させた熱可塑性高分子微小球殻を発泡剤として用いることが提案されている(特許文献3参照)。この技術では、塩化ビニル系プラスチゾルやウレタンエラストマーに液状炭化水素内包の熱可塑性高分子微小球殻を含有させて密封剤組成物とし、その加熱硬化の際に殻内部のガス圧が増すと共に熱可塑性高分子の殻が軟化することで熱可塑性高分子微小球殻の体積が劇的に膨張(数十倍)して中空球状粒子となることで発泡剤としての働きをする。
【特許文献1】特開2002−60727号公報
【特許文献2】特開2002−265778号公報
【特許文献3】特開2003−205963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、密封剤組成物がライニング塗布される容器蓋本体の頂部内面側周辺部(塗布溝)は、浅い鍋底型(凹型)であり、塗布された密封剤組成物は塗布溝の中心部分で最も厚く(多く)なり、そして円周方向内側および外側に行くに従って薄く(少なく)なって行く。この状態で密封剤組成物を加熱硬化させると、発泡剤が加熱分解または熱膨張して膨らむが、このとき加熱前は比較的平坦であった密封剤組成物の表面が塗布膜厚の多い中心部分では大きく膨らみ、そして中心部分から外側に向かって塗布膜厚が薄くなるに従い膨張量も減少する。そのため、硬化体のガスケット表面は山型(凸型)となる。
【0007】
このようにガスケット表面が山型(凸型)になると、容器蓋のスタック性(積み重ね)が劣り、またスタック蓋のセパレート性(蓋切り)も悪くなるという問題点があった。また、山型(凸型)のガスケット表面は、クリンプされる缶本体頂部への被覆面積が平坦なガスケット表面に比べて少なく、従って密封性に劣る傾向がある。
【0008】
さらに、塩化ビニル系プラスチゾルや一液性ウレタンエラストマーコンパウンドなどの密封剤組成物を容器蓋に吐工(ライニング)する際には、回転する容器蓋へ加圧した密封剤組成物をノズルより吐出させて1〜数回の重ね塗りを行う。この場合、塗り始めと塗り終わりには塗布膜厚の差(段差)が発生し、これを発泡させると段差が一層拡大してしまうという問題点があった。
【0009】
また、発泡剤の加熱分解または膨張により発生する気泡量は加熱温度および加熱時間に影響されるので、加熱温度および加熱時間が変動すると硬化体であるガスケットの硬度、圧縮永久歪み、比重などの物性が変化する。工場などの量産に用いられる焼き付け乾燥加熱炉は、加熱炉自体の温度バラツキや、外部環境、特に温度の変化の影響、ライントラブル発生による加熱硬化条件への影響を受け、発泡不足や過発泡などの異常を来たすこともある。
【0010】
また従来、塩化ビニル系プラスチゾルや一液性ウレタンエラストマーコンパウンドなどの密封剤組成物の密封性を確保するために、可塑剤を多く配合することによりガスケットの柔軟性を高めることも行われているが、可塑剤を大量に用いた場合、貯蔵性、作業性を確保するための粘度の確保が難しいことや、鉱油などに対する浸出性が増大するなどの問題点があった。
【0011】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、作業条件や環境に影響されずに柔軟かつ平坦なシール面を持つ硬化体を得ることができ、取り扱い作業性や密封性にも優れた容器蓋用密封剤組成物、容器蓋用密封部材、および容器蓋を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
【0013】
第1:有機イソシアネート化合物、ポリオール、およびアミンからなる一液型ウレタンエラストマー形成用成分と、組成物の硬化体の硬度を調整するための高分子中空微粒子と、高分子中空微粒子の組成物中における浮遊分離を防止するための浮遊分離防止剤とを含有することを特徴とする容器蓋用密封剤組成物。
【0014】
第2:高分子中空微粒子は、高分子からなる中空球状体の外側表面に不活性無機粉体が被覆されたものであることを特徴とする上記第1の容器蓋用密封剤組成物。
【0015】
第3:中空球状体はメチルメタクリレート、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種のモノマーを原料とする単独重合体または共重合体からなることを特徴とする上記第2の容器蓋用密封剤組成物。
【0016】
第4:高分子中空微粒子の平均粒径が40〜140μmであることを特徴とする上記第2または第3の容器蓋用密封剤組成物。
【0017】
第5:浮遊分離防止剤は、グリセリン脂肪酸トリエステルおよび高級脂肪酸アミドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記第1から第4のいずれかの容器蓋用密封剤組成物。
【0018】
第6:高分子中空微粒子の配合量が一液型ウレタンエラストマー形成用成分100質量部に対して3〜20質量部、浮遊分離防止剤の配合量が一液型ウレタンエラストマー形成用成分100質量部に対して0.1〜2.0質量部であることを特徴とする上記第1から第5のいずれかの容器蓋用密封剤組成物。
【0019】
第7:一液型ウレタンエラストマー形成用成分100質量部に対して50質量部以下の無機充填材を含有することを特徴とする上記第1から第6のいずれかの容器蓋用密封剤組成物。
【0020】
第8:一液型ウレタンエラストマー形成用成分100質量部に対して60質量部以下の可塑剤を含有することを特徴とする上記第1から第7のいずれかの容器蓋用密封剤組成物。
【0021】
第9:一液型ウレタンエラストマー形成用成分100質量部に対して1質量部以下の硬化促進剤を含有することを特徴とする上記第1から第8のいずれかの容器蓋用密封剤組成物。
【0022】
第10:有機イソシアネート化合物と、ポリオールおよびアミンの合計との割合が当量比(有機イソシアネート化合物:ポリオールおよびアミン)で1:0.8〜1:1.2であり、ポリオールとアミンとの割合が当量比(ポリオール:アミン)で25:75〜75:25であることを特徴とする上記第1から第9のいずれかの容器蓋用密封剤組成物。
【0023】
第11:有機イソシアネート化合物は80℃以下で液状のブロック化有機イソシアネート化合物であることを特徴とする上記第1から第10のいずれかの容器蓋用密封剤組成物。
【0024】
第12:上記第1から第11のいずれかの容器蓋用密封剤組成物を容器蓋の密封部に塗布して加熱硬化したものであることを特徴とする容器蓋用密封部材。
【0025】
第13:JIS A 硬度が10〜40、引張り強度(JIS K6251)が0.2〜30MPa、圧縮永久歪み(JIS 7312)が0.1〜60%であることを特徴とする上記第12の容器蓋用密封部材。
【0026】
第14:上記第12または第13の容器蓋用密封部材が容器蓋の密封部に設けられていることを特徴とする容器蓋。
【0027】
第15:容器が大型缶、インク缶、栄太楼(登録商標)飴缶、18Lクリンプ蓋缶、または中小型缶であることを特徴とする上記第14の容器蓋。
【発明の効果】
【0028】
本発明の容器蓋用密封剤組成物によれば、有機イソシアネート化合物、ポリオール、およびアミンからなる一液型ウレタンエラストマー形成用成分を用いているので実用レベルの復元性と強度を両立した物性の硬化体を得ることができ、そして組成物の硬化体の硬度を調整するための高分子中空微粒子を配合しているので、作業条件や環境に影響されずに柔軟かつ平坦なシール面を持つ硬化体を得ることができる。すなわち従来の発泡剤を用いた場合のように硬化体表面が山型(凸型)となることがなく、蓋切り性などの取り扱い作業性や密封性にも優れたものとなる。
【0029】
さらに本発明では、高分子からなる中空球状体の外側表面に不活性無機粉体を被覆して高分子中空微粒子の真比重を増加させると共に、浮遊分離防止剤を配合しているので、高分子中空微粒子の組成物中における浮遊分離を十分に防止することができる。
【0030】
本発明の容器蓋用密封部材によれば、上記の容器蓋用密封剤組成物を用いているので、実用レベルの復元性と強度を両立した物性を備えており、さらにシール面が平坦で柔軟性を有しているので、これを用いた容器蓋は容器本体との密封性に優れ、さらに蓋切り性などの取り扱い作業性にも優れている。
【0031】
本発明の容器蓋によれば、上記の容器蓋用密封部材を備えているので、容器本体との密封性に優れ、さらに蓋切り性などの取り扱い作業性にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0033】
本発明の容器蓋用密封剤組成物には、有機イソシアネート化合物、ポリオール、およびアミンからなる一液型ウレタンエラストマー形成用成分が配合される。一液型ウレタン系エラストマーコンパウンドである本発明の容器蓋用密封剤組成物は、塩化ビニル系プラスチゾルのように主成分として可塑剤を多量に配合する必要がないため鉱油などの容器にも適しており、二液型ポリウレタン組成物に比べて設備上の問題も少なく、特に大型缶用の容器蓋に適している。
【0034】
本発明に用いられる有機イソシアネート化合物の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、これらのポリイソシアネートと活性水素含有化合物との反応によって得られるイソシアネート基末端プレポリマーなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、イソシアネート基末端プレポリマーを用いることが好ましい。
【0035】
イソシアネート基末端プレポリマーとして、好ましくは、2,4−および2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、あるいはジフェニルメタンジイソシアネートと、エーテル系ポリオール、例えばプロピレンオキサイドを主体とするポリオキシアルキレンポリオールとを反応させて得られるものが用いられる。
【0036】
イソシアネート基末端プレポリマーの原料の活性水素含有ポリオールとしては、例えば平均分子量500〜10000のものを用いることができる。
【0037】
イソシアネート基末端プレポリマーのブロック化剤としては、ε−カプロラクタム、MEKオキシムなどを用いることができる。
【0038】
有機イソシアネート化合物は、ゾル吐工作業上の適正粘度を確保する点から、80℃以下で液状のものが好ましい。
【0039】
本発明に用いられるポリオールの具体例としては、アジペート系ポリオール、ラクトン系ポリオール、エーテル系ポリオールなどを挙げることができ、例えば上記のポリイソシアネート基末端プレポリマーの合成に用いる活性水素含有ポリオールを用いることができる。エーテル系ポリオールの代表的なものであるポリオキシアルキレンポリオールは高分子ポリオールであるが、その他、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、グリセリン、ジグリセリン等の数平均分子量500未満の低分子ポリオールも使用できる。これらのポリオールは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
本発明に用いられるアミンの具体例としては、3,3’−ジメチル−4,4’−アミノジシクロヘキシルメタン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、イソホロンジアミン等の平均官能基数2以上で数平均分子量500未満の活性水素含有化合物、およびポリオキシアルキレンポリアミン等の数平均分子量が500以上の高分子アミンなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
有機イソシアネート化合物と、ポリオールおよびアミンの合計との割合は、当量比(有機イソシアネート化合物:ポリオールおよびアミン)で好ましくは1:0.8〜1:1.2である。当量比を当該範囲内とすることで、硬化不良を有効に防止することができる。
【0042】
ポリオールとアミンとの割合は、当量比(ポリオール:アミン)で好ましくは25:75〜75:25である。当量比を当該範囲内とすることで、実用レベルの復元性と強度を両立した物性の硬化体を得ることができる。ポリオールを単独で用いた場合、エラストマーの復元性は向上するが、破断し易く、強度が弱くなる。一方、アミンを単独で用いた場合、圧縮・引張りなどの強度は強いが、復元性が低下する。従って、実用レベルの復元性と強度を両立した物性の硬化体を得るためには、ポリオールおよびアミンを併用することが重要である。
【0043】
本発明の容器蓋用密封剤組成物には、高分子中空微粒子が配合される。高分子中空微粒子は、高分子からなる中空球状体を有し、この中空球状体の表面が不活性無機粉体により被覆された構造を有している。
【0044】
中空球状体を構成する高分子の具体例としては、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種のモノマーを原料とする単独重合体または共重合体などが挙げられる。
【0045】
中空球状体の表面を被覆する不活性無機粉体の具体例としては、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどが挙げられる。
【0046】
本発明では、中空球状体の表面を不活性無機粉体で被覆することにより、高分子中空微粒子の真比重(見かけ比重)を、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1〜0.25、さらに好ましくは0.13〜0.20とする。不活性無機粉体を被覆して高分子中空微粒子の真比重を増加させることにより、取り扱い作業性を良くし、容器蓋用密封剤組成物中およびその硬化体のエラストマー中での浮遊分散を低減させることができる。なお、不活性無機粉体を被覆しない高分子中空微粒子を用いると、真比重が小さく超軽量であるため貯蔵時または加熱硬化による粘度低下時に浮遊分離が起こり易く、高分子中空微粒子の均一分散を維持することが難しくなり、加熱硬化により均一な発泡ガスケットを得ること極めて困難になる。
【0047】
高分子中空微粒子の平均粒径は、好ましくは40〜140μm、より好ましくは60〜110μmである。平均粒径が小さ過ぎると硬化物であるガスケットの柔軟性が低下し、平均粒径が大き過ぎるとライニング作業時にノズル詰まりを生じる場合がある。
【0048】
容器蓋用密封剤組成物における高分子中空微粒子の配合量は、一液型ウレタンエラストマー形成用成分100質量部に対して好ましくは3〜20質量部、より好ましくは5〜15質量部である。当該配合量が少な過ぎると柔軟性が低下して実用レベルでの柔らかさが得られなくなり、当該配合量が多過ぎると粘度が高くなり、硬化物の皮膜が切れ易くなる。
【0049】
本発明の容器蓋用密封剤組成物には、高分子中空微粒子と共に、浮遊分離防止剤が配合される。本発明では高分子中空微粒子に不活性無機粉体を被覆して真比重を増加させているものの、なお非常に軽いために容器蓋用密封剤組成物の貯蔵中あるいは硬化時の粘度低減時に高分子中空微粒子が浮遊分離し易く、これにより高分子中空微粒子の分散が不均一になり硬化物のガスケットは偏肉し、物性・品質のバラツキが発生する。
【0050】
しかし本発明では、高分子中空微粒子に不活性無機粉体を被覆して真比重を増加させると共に、浮遊分離防止剤を配合することで、高分子中空微粒子の浮遊分離を十分に防止することができる。
【0051】
浮遊分離防止剤の具体例としては、水添食用油脂、アマニ油、水添ヒマシ油等のグリセリン脂肪酸トリエステル、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビス脂肪酸アミド等の高級脂肪酸アミドなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
浮遊分離防止剤の配合量は、一液型ウレタンエラストマー形成用成分100質量部に対して好ましくは0.1〜2.0質量である。当該配合量が少な過ぎると高分子中空微粒子の浮遊分離を防止することができず、当該配合量が多過ぎると容器蓋用密封剤組成物の粘度が高くなりライニング作業などの取り扱いが困難になる。
【0053】
本発明の容器蓋用密封剤組成物には、上記の必須成分と共に、本発明の効果を損なわない範囲内において各種の添加剤を配合することができる。このような添加剤の具体例としては、無機充填材、可塑剤、硬化促進剤、ガスケットの着色を目的とした染料や顔料、ガスケットの保形性や曲げ強度の向上を目的としたガラス繊維等の無機繊維、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、電気絶縁性向上剤、防かび剤などが挙げられる。
【0054】
無機充填材は、容器蓋用密封剤組成物の流動性の確保、ガスケットの補強、コストの低減などを目的として配合され、その具体例としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、クレー、珪藻土、シリカ、タルクなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】
無機充填材は、粘度、沈降分離、ライニング作業性(ノズル詰まり防止)などの点からは平均粒径が数μm〜40μmのものが好ましい。
【0056】
無機充填材の配合量は、一液型ウレタンエラストマー形成用成分100質量部に対して好ましくは50質量部以下である。当該配合量が多過ぎると容器蓋用密封剤組成物の粘度が高くなりライニング適性が損なわれ、またガスケットも硬くて脆いものとなる。
【0057】
可塑剤は、主に容器蓋用密封剤組成物のライニング作業性を確保するための粘度調整用や硬化物であるガスケットの硬度調整用として配合され、その具体例としては、プロセスオイル等のゴム用可塑剤、汎用の塩化ビニル用可塑剤、食用植物油、液状ゴムなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0058】
可塑剤の配合量は、一液型ウレタンエラストマー形成用成分100質量部に対して好ましくは60質量部以下である。当該配合量が多過ぎると耐内容物性(特に耐油性)が低下し実用レベルのものが得られなくなる。
【0059】
硬化促進剤は、適正硬化温度領域を低温側に拡大する目的で配合するものであり、好ましくは金属石鹸類が用いられ、特に好ましくはステアリン酸亜鉛が用いられる。
【0060】
硬化促進剤の配合量は、一液型ウレタンエラストマー形成用成分100質量部に対して好ましくは1質量部以下である。当該配合量が多過ぎると硬化促進作用が過剰になり硬化体の劣化が起こる場合がある。
【0061】
本発明の容器蓋用密封剤組成物(シーリングコンパウンド)は、常法に従って容器蓋の密封部に塗布して加熱硬化することで当該密封部に容器蓋用密封部材(ガスケット)を形成することができる。
【0062】
例えば、回転する容器蓋へ加圧した密封剤組成物をノズルより吐出させて1〜数回の重ね塗りを行うことで、密封剤組成物を容器蓋に吐工(ライニング)し、次いで、焼き付け乾燥加熱炉などを用いて加熱硬化することで容器蓋用密封部材を形成することができる。
【0063】
具体例をペール缶蓋の場合で示すと、ポンピングユニットで50℃前後に加温した容器蓋用密封剤組成物を2kg/cm2前後で循環圧送し、回転している蓋に3φのノズルより約23g吐出して2回転塗布を行う。次いでこの蓋を205℃に設定したコンベアー搬送方式熱風乾燥炉の加熱帯を3分間で通過させて硬化する。
【0064】
発泡剤を用いた従来の密封剤組成物では、加熱硬化時に発泡させるため硬化前後の体積、比重、形状などの諸物性が大きく変化し、一例としては、体積は2倍、比重は1/2、シール面形状は凸型になる。また、加熱硬化条件などのバラツキの影響も受け易い。これに対して高分子中空微粒子を用いた本発明の密封剤組成物では、硬化前後の体積、比重、形状などの変化はほとんどなく、例えば、液比重が0.80、ガスケット比重が0.78でありシール面形状が凸凹なく平坦なものを得ることができる。従って硬化条件などのバラツキの影響を受けることがない。
【0065】
容器蓋用密封部材は、JIS A 硬度が好ましくは10〜40、引張り強度(JIS K6251)が好ましくは0.2〜30MPa、圧縮永久歪み(JIS 7312)が好ましくは0.1〜60%である。本発明の容器蓋用密封剤組成物を用いることで、これらの物性を当該範囲内とすることができる。このような物性を満足することで、密封部材のシール面が巻き締めされる瓶口リム部または缶本体の天部(丸められた頂部)に食い込み易くなり、被覆表面積を拡大して漏洩を防ぎ(密封性を確保し)、かつ、密封部材に一定の反発弾性を持たせて密封部の密着性を確保することができる。
【0066】
密封部材のJIS A 硬度が低過ぎると、密封部材が容器口部に食い込み過ぎて開栓が困難となり易く、JIS A 硬度が高過ぎると、密封部材の容器口部への食い込みが不十分となり、シール面積が小さくなって密封不良となり易い。
【0067】
引張り強度が低過ぎると、密封部材の力学強度が不足して蓋の開閉や容器の積圧により密封部材が千切れて密封性能を損なう場合があり、引張り強度が高過ぎると、密封部材の容器口部への食い込みが不十分となり、シール面積が小さくなって密封不良となり易い。
【0068】
圧縮永久歪みが小さ過ぎると、密封部材の容器口部への食い込みが不十分となり、シール面積が小さくなって密封不良となり易く、圧縮永久歪みが大き過ぎると、容器内の減圧や容器の積圧により密封部材がクリープ変形を起こし、最終的に密封部材は容器口部に沿って千切れてしまい、耐久性が劣るものとなる。
【0069】
上記の密封部材が容器蓋の密封部に設けられている本発明の容器蓋は、例えば、ペール缶やドラム缶等の大型缶、インク缶、栄太楼(登録商標)飴缶、18Lクリンプ蓋缶、および真空対応缶等の中小型缶に用いることができる。
【実施例】
【0070】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0071】
なお、以下において高分子中空微粒子の平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置で測定した体積50%の粒径値で示す。
<実施例1>
ブロックイソシアネートプレポリマー(TDI系、潜在イソシアネート平均官能基数=2、潜在イソシアネート基含有量=0.9mmol/g)100質量部、ポリオール(ポリエーテル系、水素基含有量=13.7mmol/g、分子量300)4.2質量部、アミン(アミン化合物、官能基数2、分子量238)4.5質量部、ステアリン酸亜鉛0.5質量部、高分子中空微粒子(松本油脂製薬(株)製、MFL100CA、ポリアクリロニトリルを主成分とする高分子からなる中空球状体の外側表面に炭酸カルシウム粉体が被覆されたもの、平均粒径 90〜110μm、真比重 0.13±0.03)10質量部、水添ひまし油(楠本化成(株)製)0.5質量部、炭酸カルシウム(白石カルシウム製ホワイトンSSB)25質量部、エポキシ化大豆油((株)ADEKA製)50質量部を攪拌機で混合攪拌して容器蓋用密封剤組成物(シーリングコンパウンド)を作製し真空脱泡した。
【0072】
得られた密封剤組成物について下記の評価を行った。
[粘度(流動性)]
東京計器(株)製B型回転粘度計を用いて50℃での粘度測定(20rpm)を行った。密封剤組成物の貯蔵安定性やライニング作業適正を考慮し、次の基準に基づき評価を行った。
A:B型回転粘度が10000mPa・s以下
B:B型回転粘度が10000mPa・s超
[硬度]
JISK 6301に基づくタイプAゴム硬度計を用いて25℃での硬度を測定し、次の基準に基づき評価を行った。
A:JISA硬度が10〜40
C:JISA硬度が10未満または40超
[平滑性]
300φのペール缶用蓋に密封剤組成物を22g塗布し熱風循環型乾燥炉で200℃×3分30秒の焼き付けを行って形成した密封部材(ガスケット)について、次の基準に基づき平滑性の評価を行った。
A:ガスケットのシール面が凸型に膨らまずほとんど平坦である。
C:ガスケットのシール面が凸型に膨出している。
[蓋切り性]
300φのペール缶用蓋に密封剤組成物を22g塗布し熱風循環型乾燥炉で200℃×3分30秒の焼き付けを行って形成した密封部材(ガスケット)について、次の基準に基づき蓋切り性の評価を行った。
A:積み重ねた2枚の蓋同士をほとんど抵抗なく回転させることができる。
C:積み重ねた2枚の蓋同士を回転させた際に、ガスケット表面と蓋外面とが接触することにより摩擦が発生して回転に抵抗がある。
[貯蔵安定性]
密封剤組成物を50℃の恒温室に1週間保存し、次の基準に基づき貯蔵安定性の評価を行った。
A:高分子中空微粒子の浮遊分離またはその他の配合物の分離が認められなかった。
B:高分子中空微粒子の浮遊分離またはその他の配合物の分離がやや認められた。
C:高分子中空微粒子の浮遊分離およびその他の配合物の分離が明らかに認められた。
[引張り強度]
東洋精機(株)製引張試験器を用いてJIS K7312に基づき引張り強度(MPa)を測定し、次の基準に基づき評価を行った。
A:0.2〜30MPa
B:0.2MPa未満または30MPa超
[伸び率]
JISK7312に基づき伸び率(%)を測定し、次の基準に基づき評価を行った。
A:150%以上
B:150%未満
[圧縮永久歪み]
JISK7312に基づき圧縮永久歪み(%)を測定し、次の基準に基づき評価を行った。
A:60%以下
B:60%超
[密封性]
密封剤組成物をライニング塗布してガスケットを設けた蓋を有するペール缶に、モーターオイルを充填してクリンプし、倒置(蓋下側)して冷暗所に各10缶貯蔵して、1缶当たり250kg程度の重さが掛かるように設置し3ヶ月間後に漏れの有無を調査した。そして次の基準に基づき密封性の評価を行った。
A:ペール缶からのオイル漏洩はなく、異常は認められない。
B:ペール缶からのオイル漏洩が発生し、あるいは密封部にニジミの発生が認められる。
<実施例2>
実施例1において、高分子中空微粒子を3質量部、炭酸カルシウムを10質量部、エポキシ化大豆油を20質量部配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
<実施例3>
実施例1において、高分子中空微粒子としてMFL100CAに代えてMFL60CA(松本油脂製薬(株)製、ポリアクリロニトリルを主成分とする高分子からなる中空球状体の外側表面に炭酸カルシウム粉体が被覆されたもの、平均粒径 50〜70μm、真比重 0.12±0.03)を20質量部、エポキシ化大豆油を60質量部配合し、炭酸カルシウムを配合しなかった以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
<実施例4>
実施例1において、高分子中空微粒子としてMFL100CAに代えてMFL60CAを2質量部配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
<実施例5>
実施例1において、高分子中空微粒子としてMFL100CAを5質量部、MFL60CAを5質量部配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
<実施例6>
実施例1において、ポリオールを1.8質量部、アミンを8.5質量部配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
<実施例7>
実施例1において、ポリオールを5.2質量部、アミンを2.9質量部配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
<実施例8>
実施例1において、ポリオールを1.4質量部、アミンを9質量部配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
<実施例9>
実施例1において、ポリオールを5.5質量部、アミンを2.3質量部配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
<実施例10>
実施例1において、アミンを11.3質量部配合し、ポリオールを配合しなかった以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
<実施例11>
実施例1において、ポリオールを7質量部配合し、アミンを配合しなかった以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
<実施例12>
実施例1において、水添ひまし油を3質量部配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
<実施例13>
実施例1において、高分子中空微粒子としてMFL100CAに代えて092DE120d30(エクスパンセル社製、メタクリロニトリルとアクリロニトリルの共重合体を主成分とする高分子からなる中空球状体、平均粒径 100〜140μm、真比重 0.03±0.003)を8質量部配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
<実施例14>
実施例1において、水添ひまし油に代えてオレイン酸アミドを0.5質量部配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
<比較例1>
実施例1において、高分子中空微粒子MFL100CAに代えて熱膨張型発泡剤A(エクスパンセル社製092DUI120)を3質量部配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
<比較例2>
実施例1において、高分子中空微粒子MFL100CAの配合量を5質量部とし、熱膨張型発泡剤Aを1.5質量部配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
<比較例3>
実施例1において、高分子中空微粒子MFL100CAに代えて熱分解型発泡剤ADCA(アゾジカルバン酸アミド、大塚化学(株)製)を0.2質量部配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
<比較例4>
実施例1において、水添ひまし油を配合せず、それ以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
<比較例5>
実施例1において、高分子中空微粒子MFL100CAに代えて熱膨張型発泡剤B(F−50D、松本油脂製薬(株)製)を3質量部配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて容器蓋用密封剤組成物を調製した。この容器蓋用密封剤組成物について実施例1と同様の評価を行った。
【0073】
実施例1〜14の結果を表1に、比較例1〜5の結果を表2に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
表1より、高分子からなる中空球状体の外側表面に不活性無機粉体が被覆された高分子中空微粒子を配合し、さらに水添ひまし油などの浮遊分離防止剤を配合した実施例1〜14では、ガスケットの硬度、平滑性、蓋切り性、貯蔵安定性が良好であり、特に有機イソシアネート化合物、ポリオール、およびアミンからなる一液型ウレタンエラストマー形成用成分を特定の当量比で配合した実施例1〜7、12〜14ではエラストマーの強度と復元性も良好であった。
【0077】
一方、表2より、高分子中空微粒子に代えて従来の熱膨張型発泡剤を用いた比較例1、5、そして高分子中空微粒子に代えて従来の熱分解型発泡剤を用いた比較例3では、シール面が凸形状となり平滑性が低下し、蓋切り性も低下した。高分子中空微粒子と共に熱膨張型発泡剤を用いた比較例2も同様であった。
【0078】
また、浮遊分離防止剤を配合しなかった比較例4では、高分子中空微粒子の浮遊分散が見られ、貯蔵安定性が大きく低下した。
<実施例15>
実施例1および比較例1の容器蓋用密封剤組成物を用いて密封性の評価を行った。56φアルミ製カシメ(クリンプ)蓋に、実施例1または比較例1の容器蓋用密封剤組成物を0.6g塗布し、200℃×3分加熱硬化させたものを試験蓋とし、実施例1または比較例1の容器蓋用密封剤組成物のそれぞれについて試験蓋を10個づつ作製した。なお、試験蓋の硬化体の比重およびJIS A硬度は、実施例1と比較例1の容器蓋用密封剤組成物を用いた場合のそれぞれについて同じであり比重が0.7、JIS A硬度が20であった。
【0079】
180mlワンカップ瓶に、(株)平和製作所製クリンパーを用いて試験蓋を40kg加重でクリンプした。これにキャンテスターで内圧を加え、漏洩時の圧力を測定し、次の基準に基づき密封性の評価を行った。
A:0.7kg/cm2以上の耐圧性を有していた。
B:0.4kg/cm2以上0.7kg/cm2未満の圧力で漏洩した。
C:0.4kg/cm2未満の圧力で漏洩した。
【0080】
評価結果を表3に示す。
【0081】
【表3】

【0082】
表3より、高分子中空微粒子を用いた実施例1の容器蓋用密封剤組成物では、熱膨張型発泡剤Aを用いた比較例1の容器蓋用密封剤組成物に比べて、試験蓋の密封性が大きく向上した。これは、実施例1の容器蓋用密封剤組成物を用いた場合には硬化体(ガスケット)の表面が平坦になり、クリンプされる180mlワンカップ瓶への被覆面積が大きくなり、一方、比較例1の容器蓋用密封剤組成物を用いた場合には塗布始めと塗布終わりの重なり部分(ラップ部分)の塗布厚みが加熱硬化時に厚くなり段差が生じ、さらに硬化体の表面が山型(凸型)になり、クリンプされる180mlワンカップ瓶への被覆面積が小さくなって、密封性が低下したものと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機イソシアネート化合物、ポリオール、およびアミンからなる一液型ウレタンエラストマー形成用成分と、組成物の硬化体の硬度を調整するための高分子中空微粒子と、高分子中空微粒子の組成物中における浮遊分離を防止するための浮遊分離防止剤とを含有することを特徴とする容器蓋用密封剤組成物。
【請求項2】
高分子中空微粒子は、高分子からなる中空球状体の外側表面に不活性無機粉体が被覆されたものであることを特徴とする請求項1に記載の容器蓋用密封剤組成物。
【請求項3】
中空球状体はメチルメタクリレート、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種のモノマーを原料とする単独重合体または共重合体からなることを特徴とする請求項2に記載の容器蓋用密封剤組成物。
【請求項4】
高分子中空微粒子の平均粒径が40〜140μmであることを特徴とする請求項2または3に記載の容器蓋用密封剤組成物。
【請求項5】
浮遊分離防止剤は、グリセリン脂肪酸トリエステルおよび高級脂肪酸アミドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の容器蓋用密封剤組成物。
【請求項6】
高分子中空微粒子の配合量が一液型ウレタンエラストマー形成用成分100質量部に対して3〜20質量部、浮遊分離防止剤の配合量が一液型ウレタンエラストマー形成用成分100質量部に対して0.1〜2.0質量部であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の容器蓋用密封剤組成物。
【請求項7】
一液型ウレタンエラストマー形成用成分100質量部に対して50質量部以下の無機充填材を含有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の容器蓋用密封剤組成物。
【請求項8】
一液型ウレタンエラストマー形成用成分100質量部に対して60質量部以下の可塑剤を含有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の容器蓋用密封剤組成物。
【請求項9】
一液型ウレタンエラストマー形成用成分100質量部に対して1質量部以下の硬化促進剤を含有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の容器蓋用密封剤組成物。
【請求項10】
有機イソシアネート化合物と、ポリオールおよびアミンの合計との割合が当量比(有機イソシアネート化合物:ポリオールおよびアミン)で1:0.8〜1:1.2であり、ポリオールとアミンとの割合が当量比(ポリオール:アミン)で25:75〜75:25であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の容器蓋用密封剤組成物。
【請求項11】
有機イソシアネート化合物は80℃以下で液状のブロック化有機イソシアネート化合物であることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の容器蓋用密封剤組成物。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の容器蓋用密封剤組成物を容器蓋の密封部に塗布して加熱硬化したものであることを特徴とする容器蓋用密封部材。
【請求項13】
JIS A 硬度が10〜40、引張り強度(JIS K6251)が0.2〜30MPa、圧縮永久歪み(JIS7312)が0.1〜60%であることを特徴とする請求項12に記載の容器蓋用密封部材。
【請求項14】
請求項12または13に記載の容器蓋用密封部材が容器蓋の密封部に設けられていることを特徴とする容器蓋。
【請求項15】
容器が大型缶、インク缶、栄太楼(登録商標)飴缶、18Lクリンプ蓋缶、または中小型缶であることを特徴とする請求項14に記載の容器蓋。

【公開番号】特開2010−70240(P2010−70240A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241577(P2008−241577)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(595044661)株式会社日本化学研究所 (14)
【Fターム(参考)】