説明

密封装置

【課題】 移動する圧着バーに当接したフィルム部材が固定の圧着バーまで引っ張られて移動させられても、フィルム部材に生じる張力の分布をできるだけ均一化して、溶着を確実に行なわせるようにする。
【解決手段】 溶着切断機構20を、フィルム部材Fに圧着可能な発熱体23を備えた固定圧着バー21と、固定圧着バー21と共同してフィルム部材Fを挾持する挾持位置X及び所定間隔離間した離間位置Yの2位置に位置させられる可動圧着バー22と、可動圧着バー22を移動駆動する圧着バー駆動部30とを備えて構成し、可動圧着バー22を、圧着バー本体25と、これを支持する支持部材26とで構成し、圧着バー本体25の長手方向中央位置を、支持部材26に対してフィルム部材Fの送出方向に沿う軸線を有した軸部27を中心として回動可能に支持した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミや屎尿等の収容物を樹脂製のフィルムに密封する密封装置に係り、特に、筒状のフィルム部材の前後を溶着して切断して内部に収容物を密封した密封体を作成する密封装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の密封装置としては、例えば、トイレ設備のない場所、例えば病院や介護施設などの個室、一般家庭の寝室、あるいは、工事現場などのようにトイレ設備が常設されていない場所などで用いるのに有用なポータブルトイレが知られている。
これは、例えば、特許文献1(特開平7−223617号公報)などに掲載されており、図18に示すように、収容物Wとしての屎尿を樹脂製のフィルム部材Fに密封するものであり、箱状の基体100と、基体100の上部に設けられ弁座101を形成する開口103を有し屎尿を下方の出口105へ導くロート状のガイド部材102と、ガイド部材102の外周部に設けられ筒状の樹脂製フィルム部材Fを環状にし且つ長手方向に蛇腹状に折り畳んだ状態でガイド部材102の外周に遊嵌させて収容する収容部104と、この収容部104から繰り出されガイド部材102の開口103からガイド部材102の内面を被覆して出口105を通されたフィルム部材Fを処理する処理部110とを備えている。
【0003】
処理部110は、フィルム部材Fを処理して内部に屎尿からなる収容物Wを収容して密封した密封体Mを生成するものであり、機枠111と、機枠111に設けられ筒状の樹脂製フィルム部材Fを長手方向に沿って送出する送出機構112と、機枠111に設けられ送出されるフィルム部材Fを長手方向に直交する方向に沿って溶着して切断する溶着切断機構113とを備えている。送出機構113は、フィルム部材Fの側縁を挾持して下方へ送り出す一対のローラ114の組を備えている。ローラ114の組はフィルム部材Fの両側を挾持し、屎尿を受け入れる空間が形成されるように間隔を隔てて2組(図ではそのうち1組のみ図示)備えられている。
【0004】
溶着切断機構113は、フィルム部材Fの送出方向に直交する方向に互いに近接離間するように移動させられフィルム部材Fに圧着して挾持する挾持位置X及び互いに所定間隔離間した離間位置Yの2位置に位置させられる一対の圧着バー116を備え、圧着バー116の何れか一方に挾持時にフィルム部材Fを溶着する図示外の発熱体(帯状ヒータ)が設けられている。図中符号106は、弁座103を開閉する蓋、107は処理部110の下方に設けられ処理部110で生成された密封体Mを受けて貯留する容器である。
【0005】
そして、この密封装置としてのポータブルトイレを使用するときは、予め、溶着切断機構113によりフィルム部材Fの下流側を溶着し、上流側を開放した状態にしておく。この状態で、弁座103に座して内側に屎尿を落とし込む。これにより、フィルム部材Fの下流側が溶着により封止されているので、屎尿がフィルム部材F内に溜まる。次に、図示外の作動スイッチをオンにして、送出機構112を作動させると、フィルム部材Fを下方へ送り出すとともに、所要の位置で、溶着切断機構113が作動し、一対の圧着バー116が離間位置Yから挾持位置Xに移動させられ、挾持位置Xでフィルム部材Fに圧着して挾持するとともに、発熱体が発熱され、フィルム部材Fの上流側が溶着され切断される。このとき、次に送出されるフィルム部材Fの下流側が同時に溶着されることになる。切断されると収容物Wを密封した密封体Mが生成され、密封体Mは容器107内に落下して貯留される。そして、適時に基体100から容器107を取り出して、密封体Mを廃棄するようにする。
【0006】
【特許文献1】特開平7−223617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の密封装置にあっては、溶着切断機構は、一対の圧着バー116の両方を挾持位置X及び離間位置Yの2位置に互いに近接離間させているので、2つの圧着バー116を同時に作動させる動力源が必要になり、その機構も複雑になるという問題があった。この場合、一方の圧着バーのみを可動にして、他方を固定にし、駆動部を1つにして機構の簡略化を図ることが考えられる。
しかしながら、一方の圧着バーのみ移動させると、この移動する圧着バーに当接したフィルム部材が固定の圧着バーまで引っ張られて移動する距離が長くなり、そのため、フィルム部材に生じる張力の分布が不均一になって、溶着が不十分になる虞があるという問題があった。
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、一方の圧着バーのみを可動にできるようにするとともに、この移動する圧着バーに当接したフィルム部材が固定の圧着バーまで引っ張られて移動させられても、フィルム部材に生じる張力の分布をできるだけ均一化して、溶着を確実に行なわせるようにした密封装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するための本発明の技術的手段は、筒状の樹脂製フィルム部材をその長手方向に沿って送出する送出機構と、該送出されるフィルム部材をその長手方向に直交する方向に沿って溶着して切断する溶着切断機構とを備え、該溶着切断機構により、先に上記フィルム部材の下流側を溶着し、上流側を開放した状態で内部に収容物が入れられた後、該フィルム部材の上流側を溶着して切断し、該収容物を密封した密封体を作成する密封装置において、
上記溶着切断機構を、上記送出されるフィルム部材の一方側に設けられ該フィルム部材に圧着可能な固定圧着バーと、上記送出されるフィルム部材の他方側で移動させられて該フィルム部材に圧着し上記固定圧着バーと共同して上記フィルム部材を挾持する挾持位置及び上記固定圧着バーから所定間隔離間した離間位置の2位置に位置させられる可動圧着バーと、該可動圧着バーを移動駆動する圧着バー駆動部と、上記固定圧着バーに設けられ挾持時に上記フィルム部材を溶着する発熱体とを備えて構成し、
上記可動圧着バーを、圧着バー本体と、該圧着バー本体を支持する支持部材とで構成し、該圧着バー本体の長手方向中央位置を、上記支持部材に対して上記フィルム部材の送出方向に沿う軸線を有した軸部を中心として回動可能に支持した構成としている。
【0009】
これにより、収容物を収容した密封体を作成するときは、先に溶着切断機構によりフィルム部材の下流側を溶着し、上流側を開放した状態にしておく。この状態で、収容物をフィルム部材内部に収容し、その後、再び、溶着切断機構によりフィルム部材の上流側を溶着して切断する。この場合、送出機構によりフィルム部材を下方へ送り出すとともに、所要の位置で、溶着切断機構を作動させる。溶着切断機構においては、圧着バー駆動部により可動圧着バーは離間位置から挾持位置に移動させられ、挾持位置でフィルム部材に圧着してこれを挾持する。この状態で、固定圧着バーの発熱体が発熱され、フィルム部材が溶着され切断され、収容物を密封した密封体が生成される。次に、圧着バー駆動部により可動圧着バーは挾持位置から離間位置に移動して元位置に復帰する。
【0010】
この可動圧着バーの離間位置から挾持位置への移動において、可動圧着バーにはフィルム部材が当接し、この当接したフィルム部材が固定圧着バーまで引っ張られて移動させられるが、可動圧着バーは、圧着バー本体の長手方向中央位置が支持部材に対して軸部を中心として回動可能に支持されているので、揺動することから、フィルム部材に生じる張力の分布が均一化され、そのため、固定圧着バーに挾持されて溶着された際、溶着が確実に行なわれる。また、可動圧着バーのみ移動させるので、圧着バー駆動部を簡略化できる。
【0011】
そして、必要に応じ、上記支持部材に、上記圧着バー本体の回動範囲を規定するストッパを設けた構成としている。回動が規定されるので、圧着バー本体が大きくぐらつく事態が防止される。
【0012】
また、必要に応じ、上記可動圧着バーが上記挾持位置に位置するまでの間、該可動圧着バーに当接するフィルム部材を、上記送出機構によって僅かずつ送出して、該フィルム部材に生じる張力を調整する張力調整手段を設けた構成としている。これにより、可動圧着バーの移動過程においては、フィルム部材が当接して、固定圧着バー側に引っ張られるようになることから、そのままでは、フィルム部材に生じる張力が大きくなって、フィルム部材が伸びるなどする不具合が生じ、また溶着へも悪影響を与えるが、張力調整手段により、送出機構を作動してフィルム部材を僅かずつ送出するので、フィルム部材に生じる張力が大きくなる事態が防止され、フィルム部材が伸びて、その後の溶着へ悪影響を与える事態が防止される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の密封装置によれば、可動圧着バーのみ移動させるので、圧着バー駆動部を簡略化できる。また、可動圧着バーの移動において、フィルム部材が固定圧着バーまで引っ張られて移動させられるが、可動圧着バーは、圧着バー本体の長手方向中央位置が支持部材に対して軸部を中心として回動可能に支持されているので、揺動することから、フィルム部材に生じる張力の分布が均一化され、そのため、溶着を確実に行なうことができる。また、張力調整手段により、可動圧着バーが挾持位置に位置するまでの間、フィルム部材を僅かずつ送出する場合には、フィルム部材に生じる張力が大きくなる事態が防止され、フィルム部材が伸びて、その後の溶着へ悪影響を与える事態を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る密封装置について詳細に説明する。本実施の形態に係る密封装置は、例えば、トイレ設備のない場所、例えば病院や介護施設などの個室、一般家庭の寝室、あるいは、工事現場などのようにトイレ設備が常設されていない場所などで用いるのに有用なポータブルトイレである。
【0015】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る密封装置Tとしてのポータブルトイレは、収容物Wとしての屎尿を樹脂製のフィルム部材Fに密封して密封体Mを作成するものであり、箱状の基体1と、基体1の上部に設けられる弁座2と、弁座2の下部に設けられ開口3aを有し屎尿を下方の出口3bへ導くロート状のガイド部材3と、ガイド部材3の外周部に設けられ筒状の樹脂製フィルム部材Fを環状にし且つ長手方向に蛇腹状に折り畳んだ状態でガイド部材3の外周に遊嵌させて収容する収容部4と、この収容部4から繰り出されガイド部材3の開口3aからガイド部材3の内面を被覆して出口3bを通されたフィルム部材Fを処理する処理部Sとを備えている。図1中、符号5は弁座2を開閉する蓋、6は処理部Sの下方に設けられた容器である。容器6は、処理部Sで生成された密封体Mを受けて貯留するとともに、適時に基体1から引き出されて貯留した密封体Mを取り出すことができるようになっている。
【0016】
処理部Sは、図1乃至図11に示すように、フィルム部材Fを処理して内部に屎尿からなる収容物Wを収容して密封した密封体Mを生成するものであり、機枠10と、機枠10に設けられ筒状の樹脂製フィルム部材Fを長手方向に沿って送出する送出機構11と、機枠10に設けられ送出されるフィルム部材Fを長手方向に直交する方向に沿って溶着して切断する溶着切断機構20とを備えている。
図1乃至図3、図5乃至図7に示すように、送出機構11は、フィルム部材Fの側縁を挾持して下方へ送り出す一対のローラ12の組を備えている。ローラ12の組はフィルム部材Fの両側を挾持し、屎尿を受け入れる空間が形成されるように間隔を隔てて2組備えられている。各ローラ12は電動のフィードモータ13(シンクロナスモータ)によって伝動機構(図示せず)を介して回転させられる。
【0017】
溶着切断機構20は、フィルム部材Fの送出方向に直交する方向に少なくとも何れか一方が移動させられてフィルム部材Fに圧着してこれを挾持する一対の圧着バー21,22を備えている。実施の形態では、送出されるフィルム部材Fの一方側に設けられフィルム部材Fに圧着可能な固定圧着バー21と、送出されるフィルム部材Fの他方側で移動させられてフィルム部材Fに圧着し固定圧着バー21と共同してフィルム部材Fを挾持する挾持位置X及び固定圧着バー21から所定間隔離間した離間位置Yの2位置に位置させられる可動圧着バー22とを備えている。図2乃至図4に示すように、固定圧着バー21には挾持時にフィルム部材Fを溶着する発熱体23(帯状電熱ヒータ)が付設されている。また、固定圧着バー21の圧着面の中央には、挾持時に溶着されたフィルム部材Fの溶着部位Faに没入して溶着部位Faを上下に分離して切断するための凸条24が突設されている。発熱体23及び凸条24は、フッ素樹脂などの耐熱性樹脂でコーティングされている。
【0018】
一方、可動圧着バー22は、図2乃至図4及び図10に示すように、圧着バー本体25と、圧着バー本体25を支持する支持部材26とで構成されている。圧着バー本体25は、圧着面を形成する耐熱性ゴムで形成された断面矩形状の棒状の圧着部材25aと、この圧着部材25aがその背面側で取り付けられる取付部材25bとで構成されている。図4に示すように、取付部材25bの長手方向中央は、支持部材26に対してフィルム部材Fの送出方向に沿う軸線を有した軸部27を中心として回動可能に支持されており、これにより、この圧着バー本体25は、中央の軸部27を中心にして支持部材22に対して揺動可能に支持されることになる。また、図4に示すように、支持部材26の左右には、圧着バー本体25の左右端部が当接してその回動範囲を規定するストッパ26aが設けられている。回動が規定されるので、圧着バー本体25が大きくぐらつく事態が防止される。更に、図10に示すように、支持部材26の左右端部には支持部材26が保持される保持部材28が設けられており、この保持部材28は、機枠10に設けられたロッドからなるレール29に摺動可能に支持され、これにより可動圧着バー22は移動可能になっている。
【0019】
また、可動圧着バーを移動駆動する圧着バー駆動部30が設けられている。圧着バー駆動部30は、図2,図3及び図10に示すように、機枠10の固定圧着バー21側に設けられ可動圧着バー22を離間位置Yから挾持位置X側へ牽引する牽引機構31と、機枠10の可動圧着バー22側に設けられ可動圧着バー22を牽引機構31の牽引力に抗して引張するワイヤ32を備えこのワイヤ32を引張状態で出し入れするシンクロナスモータからなる電動の駆動モータ33とを備えて構成されている。牽引機構31は、一端が可動圧着バー22の両端部に対応して左右一対設けられており、一端が可動圧着バー22に固定され他端側が本体に巻回され、巻回側に戻るトルクが一定で、可動圧着バー22の位置によって変化しないコンストンスプリング34を備えて構成されている。この場合、巻回側に戻るトルクが一定なので、可動圧着バー22を安定して移動させることができる。駆動モータ33は、機枠10の外側に固定されており、ワイヤ32を巻回するリール35を回転させる。そして、ワイヤ32を巻くときは、牽引機構31の牽引力に抗して可動圧着バー22を引張して離間位置Yに移動させ、ワイヤ32を繰り出すときは牽引機構31のコンストンスプリング34の牽引力により可動圧着バー22を引張して挾持位置Xに移動させる。また、駆動モータ33の停止制御により可動圧着バー22を適宜の位置で停止させることもできる。この結果、比較的簡易な機構で、ワイヤを出し入れする電動モータを用いるとともに、ワイヤ切断時の機器の安全を確保して、1つの圧着バーの移動をさせることで溶着切断機構の機能を実現させることができるようになる。
【0020】
また、本装置においては、挾持位置Xにおいて移動する可動圧着バー22に対してフィルム部材Fの溶着部位Faより下流側を保持し、可動圧着バー22が挾持位置Xから離間位置Yに至る際、固定圧着バー21から溶着部位Faを引き剥がすようにした引き剥がし手段40が設けられている。
引き剥がし手段40は、固定圧着バー21側であってこの固定圧着バー21の直下に設けられ、可動圧着バー22と同方向に移動可能に支持されるとともに挾持位置Xにおいて可動圧着バー22と共同してフィルム部材Fの溶着部位Faより下流側を挾持する押えバー41と、押えバー41を可動圧着バー22が挾持位置Xから離間位置Yに至る途中までの間、押えバー41を可動圧着バー22と同動させる同動機構42とを備えて構成されている。押えバー41は、図9に示すように、固定圧着バー21に対して摺動可能に支持されて移動可能になっているとともに、スプリング43により、常時、可動圧着バー22の離間位置Y側への移動方向とは反対方向(可動圧着バー22の挾持位置X側への移動方向と同方向)へ付勢されており、可動圧着バー22と同動しないときは、固定圧着バー21の直下に位置できるようにしている。
【0021】
同動機構42は、図5乃至図9に示すように、可動圧着バー22及び押えバー41の何れか一方(実施の形態では可動圧着バー22)に設けられた係合部44と、可動圧着バー22及び押えバー41の何れか他方(実施の形態では押えバー41)に設けられ挾持位置Xにおいて係合部に係合し離間位置Yに至る途中で係合が解除される被係合部46とを備えて構成されている。
詳しくは、係合部44は、可動圧着バー22の移動方向に直交する方向に軸線を有したピン(44と表記)で構成され、被係合部46は、基端側が可動圧着バー22の移動方向に直交する方向に軸線を有した回動軸45を中心に回動可能に設けられ先端側にピン44に係合するフック部46aを有したフック部材(46と表記)で構成されている。また、押えバー41には、図9に示すように、フック部材46を係合方向に付勢するスプリング47が設けられている。フック部材46の先端は、可動圧着バー22の挾持位置Xへの移動時にピン44に相対的に押圧されてフック部材46が非係合方向に回動させられるように傾斜形成されている。また、押えバー41には、フック部材46の非係合時にフック部材46を係合した回動位置と同じ位置に位置決めするストッパ48が設けられている。更に、機枠10には、可動圧着バー22が離間位置Yに至る途中でフック部材46に設けた突起46bに係止しスプリング47の付勢力に抗してフック部材46を非係合方向に回動させてフック部46の係合を解除させる係止部材49が設けられている。
また、後述の制御部により、圧着バー駆動部30は、可動圧着バー22と押えバー41との挾持が解除される前に、可動圧着バー22の移動を一時的に停止させて、フィルム部材Fを冷却させるようにするように制御される。
【0022】
更に、本装置においては、図2,図3及び図10に示すように、可動圧着バー22が離間位置Yから挾持位置Xに移動する際、所定位置で固定圧着バー21の圧着面を露出させ、可動圧着バー22が挾持位置Xから離間位置Yに移動する際、所定位置で固定圧着バー21の圧着面を覆うシャッタ機構50を備えている。このシャッタ機構50は、固定圧着バー21の圧着面を覆う覆い位置Q及び固定圧着バー21の圧着面を露出させる露出位置Rの2位置に移動可能なシャッタ51と、シャッタ51を移動駆動するシャッタ駆動部52とを備えている。シャッタ51は、図2及び図3に示すように、板状で多数の通気孔を有したシャッタ本体51aとこのシャッタ本体51aから延びる脚部51bを備えて形成され、脚部51bは固定圧着バー21と平行に設けられた回動軸53に支持されており、この回動軸53の回動により覆い位置Q及び露出位置Rの2位置に移動可能になっている。シャッタ駆動部52は、電動モータ54(ステッピングモータ)と、電動モータ54の回転を回動軸53に伝動するギヤ列からなる伝動機構55とを備えて構成されている。シャッタ駆動部52の電動モータ54は、後述の制御部により制御され、この電動モータ54の制御により、シャッタ51は、可動圧着バー22が離間位置Yから中間位置に位置した後、覆い位置Qから露出位置Rに位置させられ、可動圧着バー22が挾持位置Xから離間位置Yに移動して離間位置Yに近づいたとき、露出位置Rから覆い位置Qに位置させられる。
【0023】
また、図2,図3及び図10に示すように、可動圧着バー22が離間位置Yから挾持位置Xに移動する途中の所定位置でシャッタ51の回動を許容し、可動圧着バー22が挾持位置Xから離間位置Yに移動する途中の所定位置でシャッタ51の回動を不能にするロック機構60が設けられている。
このロック機構60は、シャッタ51側に設けられた係合部61と、係合部61に係合する係合位置及び係合部61から外れる非係合位置に移動可能に機枠10に設けられるとともに可動圧着バー22の移動に連動させて移動させられる被係合部62とを備えて構成されている。
【0024】
詳しくは、係合部61は、可動圧着バー22の移動方向に直交する方向に軸線を有したピン(61と表記)で構成され、アーム65を介してシャッタ51の回動軸53に固定されている。被係合部62は、可動圧着バー22の移動方向にスライド移動可能に機枠10に設けられ先端側にピン61に係合するフック部62aを有したフック部材(62と表記)で構成されている。そして、フック部材62を係合方向に付勢するスプリング63が機枠10とフック部材62との間に架設され、可動圧着バー22には、可動圧着バー22が挾持位置Xに至る途中でフック部材62に係止しスプリング63の付勢力に抗してフック部材63を非係合方向に押圧する係止部材64が設けられている。
【0025】
また、実施の形態においては、図2,図3,図4(b)及び図11に示すように、圧着バー駆動部30の駆動モータ33において、万一ワイヤ32が切断したとき、可動圧着バー22の移動を停止させる停止機構70が設けられている。この停止機構70は、可動圧着バー22の長手方向に沿って回動可能に設けられた回動軸71の両端に設けられ回動軸71の回動により可動圧着バー22から突出する突出位置J及び可動圧着バー22側へ引っ込んで可動圧着バー22に係止して一体化する引っ込み位置Kの2位置に移動可能なレバー72と、回動軸71に巻回されレバー72を突出位置J側に付勢するスプリング73と、レバー72の基端側に延設されワイヤ32の先端が取り付けられるとともにワイヤ32の引張力によりスプリング73の付勢力に抗するモーメントを付与してレバー72を引っ込み位置Kに位置させるワイヤ取付部74と、機枠10に設けられ突出位置Jに位置したレバー72が衝止可能な衝止部材75とを備えて構成されている。
【0026】
更に、本装置は、図示外の制御部を備えている。制御部は、上記の送出機構11のフィードモータ13、溶着切断機構20における圧着バー駆動部30の駆動モータ33、シャッタ機構50におけるシャッタ駆動部52の電動モータ54を、所要のタイミングで駆動停止させるよう制御する。制御部は、図示外の作動スイッチのオン信号に基づいて、各モータに所定の1サイクルの作動を行なわせる。また、図10に示すように、機枠10には、可動圧着バー22の移動位置を検知する複数の位置センサ81,82,83が設けられており、制御部は、この位置センサ81,82,83の検知に基づいて、特に、駆動モータ33及び電動モータ54を制御する。駆動モータ33の制御により、可動圧着バー22は、図10に示すように、上記の離間位置Y(ホームポジション)、中間位置P(ミドルポジション)、固定圧着バー21との当接位置(エンドポジション)、当接位置から更に固定圧着バー21側に押し込み移動する上記の挾持位置Xの各位置に位置させられる。電動モータ54は、可動圧着バー22が離間位置Yから中間位置Pに位置した後、シャッタ51が覆い位置Qから露出位置Rに位置するよう駆動制御され、可動圧着バー22が挾持位置Xから離間位置Yに移動して離間位置Yに近づいたとき、シャッタ51が露出位置Rから覆い位置Qに位置するよう駆動制御される。
【0027】
更にまた、制御部は、可動圧着バー22の移動過程で当接するフィルム部材Fを、固定圧着バー21に圧着させるまでの間、送出機構11のフィードモータ13を作動してフィルム部材Fを僅かずつ送出して、フィルム部材Fに生じる張力を調整する張力調整手段を備えている。詳しくは、張力調整手段は、可動圧着バー22が離間位置Yから中間位置Pに移動する間に、フィルム部材Fの僅かな送りを、2回行ない、更に、中間位置Pから挾持位置Xに移動する間に、フィルム部材Fの僅かな送りを、1回行なう(フローチャート図の「フィルム挟み同期動作」)。
また、制御部は、可動圧着バー22が挾持位置Xから離間位置Yに至る過程の中間位置Pにおいて、可動圧着バー22と押えバー41との挾持が解除される前に、可動圧着バー22の移動を一時的に停止させて、フィルム部材Fを冷却させるように、圧着バー駆動部30の駆動モータ33を制御する機能を備えている。
更に、制御部は、可動圧着バー22が挾持位置Xから離間位置Yに至る過程の中間位置Pにおいて、可動圧着バー22と押えバー41との挾持が解除される前に、送出機構11によりフィルム部材Fを送出方向とは逆方向に僅かに戻し、密封体Mより上側に位置する溶着部位Faを可動圧着バー22から引き剥がすように、送出機構11のフィードモータ13を逆転制御する機能を備えている。
【0028】
従って、この実施の形態に係る密封装置Tとしてのポータブルトイレを使用するときは、以下のようになる。密封装置Tにおいては、フィルム部材Fを本装置に装着した際、予め、送出機構11によりフィルム部材Fを所要の長さ分送出し、溶着切断機構20によりフィルム部材Fの下流側を溶着し、上流側を開放した状態にしておく。尚、この際の、溶着切断機構20の作動は後述の作動と同様に行なわれるので、ここでは、特に説明しない。
そして、この状態で、弁座2に座して内側に屎尿を落とし込む。これにより、フィルム部材Fの下流側が溶着により封止されているので、屎尿がフィルム部材F内に溜まる。次に、屎尿の落とし込みが終わったならば、図示外の作動スイッチをオンにする。これにより、処理部Sによる処理が行なわれる。
【0029】
詳しくは、図12乃至図17に示す制御部による制御のフローチャートを用いて説明する。先ず、基本動作を説明すると、図12に示すように、作動スイッチがオンになると、作動スイッチのオンになった回数をカウントし、送出機構11を作動させてフィルム部材Fを所定長さ下方へ送り出す。そして、所要の位置で、溶着切断機構20が作動し、先ず、可動圧着バー22が離間位置Yから挾持位置Xへ移動する「フィルム挟み動作(S100)」が行なわれ、また、これと同時に、「フィルム挟み同期動作(S200)」が行なわれる。可動圧着バー22が離間位置Yから挾持位置Xに位置すると、フィルム部材Fの溶着,切断を行なう「シール動作(S300)」が行なわれる。溶着終了後は、可動圧着バー22が挾持位置Xから離間位置Yに移動するが、先ず、引き剥がし手段40による「フィルム引き剥がし動作(S400)」が行なわれ、それから、可動圧着バー22を離間位置Yにむけて更に移動させる「ホームポジション戻し動作(S500)」が行なわれる。その後、異物検知状態を解除して、次に備える。尚、本実施の形態では、可動圧着バー22と固定圧着バー21との間に異物等が挟まったことを検出するため、機枠10にマイクロスイッチ(図示せず)を設けておき、このスイッチが作動すると「異物アリ」と判断して、作動を停止するとともに警告ランプなどを点灯して警告するようにしている。異物検知は、作動スイッチがオンになるごとに行なわれる。
【0030】
次に、各基本動作について詳しく説明する。
(1)「フィルム挟み動作(S100)」
図13に示すフローチャートを用い、先ず、図5(A1),図8(a)に示すように、可動圧着バー22が離間位置Y(ホームポジション)にある状態(S101)では、図示外のセンサによりシャッタ51が覆い位置Q(シャッタホームポジション)にあることを確認し(S101)、シャッタ51が覆い位置Qにないときは(S101NO)、覆い位置Qに位置させるよう駆動する(S102)。
それから、図5(A2)に示すように、送出機構11のフィードモータ13を作動させて、フィルム部材Fを下方へ送り出すとともに、所要の位置で停止させておく。また、溶着切断機構20の駆動モータ33を作動させて、可動圧着バー22を離間位置Yから挾持位置Xへ向けて移動させる(S103)。このとき、図10(B1)に示すように、位置センサ81が、可動圧着バー22が離間位置Yの近傍を移動したことを確認し(S104)、移動が正常であることを確認して移動を続行する(S105)。
【0031】
そして、図10(B1)に示すように、位置センサ82が、可動圧着バー22が中間位置P(ミドルポジション)に位置したことを検知すると(S106)、可動圧着バー22は停止させられる(S107)。この位置では、再び図示外のセンサによりシャッタ51が正規に覆い位置Qにあることが確認され(S108)、シャッタ51が覆い位置Qにないときは(S108NO)、覆い位置Qに位置させるよう駆動する(S109)。また、後述の張力調整手段の「フィルム挟み同期動作」のための「同期フィード3回目開始フラグ」をオンにする(S110)。
【0032】
この可動圧着バー22の中間位置Pにおいては、図5(A3),図10(B2)に示すように、シャッタ駆動部52がシャッタ51を覆い位置Qから露出位置Rに開くよう移動(シャッタオープン)させる(S111)。
シャッタ機構50の作動について詳しく説明すると、図10(B2)に示すように、先ず、可動圧着バー22が中間位置Pに位置するやや手前において、ロック機構60のロックが解除され、シャッタ51の回動が許容される。即ち、可動圧着バー22に設けられた係止部材64が、フック部材62に係止し、これによりフック部材62が可動圧着バー22と同動することから、フック部材62がスプリング63の付勢力に抗してピン61との非係合方向に移動させられる。それから、可動圧着バー22が中間位置Pに位置すると、図5(A3),図10(B2)に示すように、シャッタ駆動部52の電動モータ54を作動させて、伝動機構65を介して回動軸53を回動させ、シャッタ51を覆い位置Qから露出位置Rに移動させる。そのため、必要時以外には、発熱体23を設けた固定圧着バー21が露出しないようになるとともに、発熱体23を設けた固定圧着バー21は移動しないので、誤って手を触れてしまう事態が抑制され、より安全の向上が図られる。また、ロック機構60により、シャッタ51の回動がロックされるので、シャッタ駆動部52が万一誤作動などによりシャッタ51を不必要時に開くような事態が防止され、確実に安全が図られるようになる。
【0033】
シャッタ51が露出位置Rに位置すると、再び、可動圧着バー22を中間位置Pから挾持位置Xへ向けて移動させる(S112)。図6(A4),図10(B3)に示すように、位置センサ83により、可動圧着バー22が固定圧着バー21との当接位置(エンドポジション)に至ったことが検知されると(S113)、可動圧着バー22はこの当接位置から更に固定圧着バー21側に押し込み移動させられて挾持位置Xに位置させられる(S114)。これにより、フィルム部材Fが可動圧着バー22及び固定圧着バー21により挾持される。
【0034】
また、可動圧着バー22が挾持位置Xへ至ると、引き剥がし手段40の同動機構42において、図6(A4)、図8(a)〜(c)に示すように、押えバー41側のフック部材46がピン44に係合する。この場合、可動圧着バー22の挾持位置X側への移動により、図8(b)に示すように、ピン44がフック部材46の傾斜形成された先端に当接し、これにより、フック部材46がスプリング47の付勢力に抗してピン44に相対的に押圧され非係合方向に回動させられ、図8(c)に示すように、その後、フック部材46がピン44を乗り越えると、再び、スプリング47の付勢力によりフック部材46が係合方向に回動させられ、ピン44に係合する。これにより、可動圧着バー22と押えバー41とが共同してフィルム部材Fの溶着部位Faより下流側を挾持するようになる。
【0035】
(2)「フィルム挟み同期動作(S200)」
また、可動圧着バー22が離間位置Yから中間位置Pを経て挾持位置Xへ至る間においては、送出機構11のフィードモータ13が作動してフィルム部材Fを僅かずつ送出する「フィルム挟み同期動作」が行なわれる。次に、この「フィルム挟み同期動作」について説明する。
図14に示すフローチャートを用い、図10(B1)に示すように、位置センサ81が、可動圧着バー22が離間位置Yの近傍を移動したことを確認すると(S201)、送出機構11のフィードモータ13を待機状態にし(同期フィード待ち1、S202)、所定時間経過したらフィードモータ13を作動させて、フィルム部材Fを下方へ僅かに送り出す(同期フィード1、S203)、次にまた、フィードモータ13を待機状態にし(同期フィード待ち2、S204)、所定時間経過したらフィードモータ13を作動させて、フィルム部材Fを下方へ僅かに送り出す(同期フィード2、S205)。そして、制御部は、前述した「同期フィード3回目開始フラグ」の状態を見ており(S206)、「同期フィード3回目開始フラグ」がオンすると(S206YES)、これをリセットして(S207)、フィードモータ13を待機状態にし(同期フィード待ち3、S208)、所定時間経過したらフィードモータ13を作動させて、フィルム部材Fを下方へ僅かに送り出す(同期フィード3、S209)。これにより、可動圧着バー22の移動過程においては、フィルム部材Fが当接して、固定圧着バー21側に引っ張られるようになることから、そのままでは、フィルム部材Fに生じる張力が大きくなって、フィルム部材Fが伸びるなどする不具合が生じ、また溶着へも悪影響を与えるが、図5(A3)及び図6(A4)に示すように、張力調整手段により、送出機構11のフィードモータ13を作動してフィルム部材Fを僅かずつ送出するので、フィルム部材Fに生じる張力が大きくなる事態が防止され、また、可動圧着バー21は、圧着バー本体25の長手方向中央位置が支持部材26に対して軸部27を中心として回動可能に支持されているので、揺動することから、この点でも、フィルム部材Fに生じる張力の分布が均一化され、フィルム部材Fが伸びて、その後の溶着へ悪影響を与える事態が防止される。
【0036】
(3)「シール動作(S300)」
可動圧着バー22が離間位置Yから挾持位置Xに位置すると、フィルム部材Fの溶着,切断が行なわれる。即ち、図15に示すフローチャートを用い、本装置を電源に接続したときに、発熱体23の動作確認を行なうが、ここで、再び発熱体23による発熱を行なう前に、発熱体23の動作確認と温度確認を行っている。先ず、本装置を電源に接続したときに、発熱体23の動作確認を行ったか否かを確認し(S301)、行なっていないときは(S301NO)、発熱体23の動作確認を行なう(S302)。また、発熱体23があまりに加熱されているときは、更なる加熱は無意味になるので、図示外の温度センサにより所定温度まで下がっていることを確認する(S303)。適正温度のときは(S303YES)、発熱体23の温度を記録し(S304)、発熱体23に通電して発熱させる(S305)。そして、フィルム部材Fの溶着温度になったら(S306)、フィードバックにより温度保持を行い(S307)、所要時間保持したならば、発熱体23への通電を停止する(S308)。これにより、フィルム部材Fの溶着切断が行なわれるが、可動圧着バー21は、圧着バー本体25の長手方向中央位置が支持部材26に対して軸部27を中心として回動可能に支持されているので、揺動することから、フィルム部材Fは、これに生じる張力の分布が均一化されて圧着されており、そのため、溶着が確実に行なわれる。そして、通電を停止後は、次の「フィルム引き剥がし動作」に移る監視を行なう(S306)。この監視は、フィルム部材Fの溶着部位Faがあまりに溶融していると引き剥がしに支障がでるので、ある程度、溶着部位Faが固化した適正温度になることを検出して行なっている。これにより、フィルム部材Fが溶着されて切断され、収容物Wを密封した密封体Mが生成される。また、このとき、次に送出されるフィルム部材Fの下流側が同時に溶着されることになる。
【0037】
(4)「フィルム引き剥がし動作(S400)」
上記の「フィルム引き剥がし動作」に移る監視の結果、適正温度であると判断したとき(S309YES)は、「フィルム引き剥がし動作」を行なう。
これは、可動圧着バー22を挾持位置Xから中間位置Pに移動させることで実現される。詳しくは、図16に示すフローチャートを用い、駆動モータ33を作動させて、可動圧着バー22を離間位置Yから中間位置Pへ向けて移動させる(S401)。位置センサ82が、可動圧着バー22が中間位置P(ミドルポジション)に位置したことを検知すると(S402)、可動圧着バー22は停止させられる(S403)。
この可動圧着バー22の離間位置Yから中間位置Pへの移動の際、図6(A5)に示すように、引き剥がし手段40により溶着部位Faが固定圧着バー21から引き剥がされる。詳しくは、図8(d)に示すように、引き剥がし手段40の同動機構42において、押えバー41側のフック部材46がピン44に係合しているので、可動圧着バー22と押えバー41とが共同してフィルム部材Fの溶着部位Faより下流側を挾持した状態になっており、そのため、密封体Mは離脱せずに可動圧着バー22に保持されていることから、可動圧着バー22が挾持位置Xから中間位置Pへ移動すると、フィルム部材Fが中間位置P側へ移動し、これにより、フィルム部材Fの溶着部位Faが固定圧着バー21から引き剥がされる。この際、溶着部位Faの切断個所があっても薄くくっついているので、切断部より上側の溶着部位も同動する。この場合、可動圧着バー22の移動により、溶着部位Faが発熱体23から離間して露出して冷却されるようになる。このため、フィルム部材Fの溶着部位Faが発熱体23のある固定圧着バー21から引き剥がされるので、冷却過程で固定圧着バー21に溶着部位Faが付着する事態が防止され、溶着部位Faが確実に固まり、そのため、密封性が向上させられる。
【0038】
次に、図6(A5)、図8(d)に示すように、可動圧着バー22の中間位置Pにおいては、可動圧着バー22は所定時間停止させられる(S404)。これにより、フィルム部材Fの溶着部位Faが冷却される。圧着部位の冷却を確実に行なうことができるので、より一層、密封性を向上させることができる。
それから、送出機構11のフィードモータ13を逆転させて、フィルム部材Fを送出方向とは逆方向に僅かに戻す(S405)。これにより、密封体Mより上側に位置する次に収容物Wを収容するフィルム部材Fにとっての下流側の溶着部位Faが、切断線を境にして一方の圧着バーから引き剥がされるので、その後、密封体Mを確実に離脱させることができる。
【0039】
(5)「ホームポジション戻し動作(S500)」
その後、図6(A6)、図7(A7)に示すように、図17に示すフローチャートを用い、可動圧着バー22を離間位置Yに戻すようにする(S501)。これにより、密封体Mが可動圧着バー22から離脱する。詳しくは、図6(A6)、図8(e)に示すように、可動圧着バー22が中間位置Pから離間位置Y側に移動すると、引き剥がし手段40の同動機構42において、フック部材46に設けた突起46bが、機枠10に設けた係止部材49に当接し、これにより、フック部材46は、スプリング47の付勢力に抗してピン45の非係合方向に回動させられ、フック部46の係合が解除される。この解除により、図7(A7)、図8(f)に示すように、押えバー41は、スプリング43により固定圧着バー21の直下に復帰する。また、押えバー41が可動圧着バー22から離間するので、可動圧着バー22と押えバー41とが共同して挾持していたフィルム部材Fの溶着部位Faより下流側が解放されることになり、そのため、密封体Mは自重により可動圧着バー22から離脱し、落下して容易に容器6内に収容される。
【0040】
それから、可動圧着バー22が所定位置まで移動すると(S502)、シャッタ機構50がシャッタ51を露出位置Rから覆い位置Qへ閉じるよう移動(シャッタクローズ)させる(S503)。この場合、図7(A7)に示すように、図10も参照し、シャッタ駆動部52の電動モータ54を作動させて、伝動機構55を介して回動軸53を回動させ、シャッタ51を露出位置Rから覆い位置Qに移動させる。そして、更に可動圧着バー22が移動すると(S504)、ロック機構60によりシャッタ51がロックされ、シャッタ51の回動が不能になる。即ち、可動圧着バー22に設けられた係止部材64が、フック部材62から離間するので、フック部材62がスプリング63の付勢力によりピン61との係合方向に移動させられ、可動圧着バー22がより遠ざかると、フック部材62がピン61に係合する。そのため、必要時以外には、発熱体23を設けた固定圧着バー21が露出しないようになるとともに、発熱体23を設けた固定圧着バー21は移動しないので、誤って手を触れてしまう事態が抑制され、より安全の向上が図られる。また、ロック機構60により、シャッタ51の回動がロックされるので、シャッタ駆動部52が万一誤作動などによりシャッタ51を不必要時に開くような事態が防止され、確実に安全が図られるようになる。
【0041】
それから、可動圧着バー22が更に移動して、位置センサ81が離間位置Yに位置したことを検知すると、図7(A8)に示すように、駆動モータ33が停止されて、可動圧着バー22が停止させられる(S506)。この離間位置Yにおいては、再度位置確認が行なわれ(S507)、周知の手段により収容部4に収容されたフィルム部材Fの残量を検知し(S508)、残量が収容物Wを収容できない量であるときは、送出機構11により残量を全部排出し(S509)、次の、新たなフィルム部材Fの装着を促し、残量が収容物Wを収容できる量であるときは、送出機構11により所定量送出して(S510)、次に備えるようにする。以上のようにして、1回の排泄ごとに、屎尿(排泄物)を密封体Mにパッケージして、容器内に貯留することができ、衛生的に処理することができる。
【0042】
次に、本装置において、図11に示すように、圧着バー駆動部30の駆動モータ33において、万一ワイヤ32が切断したときについて説明する。図11(C1)に示すように、駆動モータ33は、常時は、ワイヤ32の先端は停止機構70のレバー72のワイヤ取付部74に取り付けられているので、レバー72はスプリング73の付勢力に抗して引っ張られて引っ込み位置Kに位置しており、そのため、ワイヤ32を巻くときは、牽引機構31の牽引力に抗して可動圧着バー22を引張して離間位置Yに移動させ、ワイヤ32を繰り出すときは牽引機構31のコンストンスプリング34の牽引力により可動圧着バー22を引張して挾持位置Xに移動させる。
【0043】
そして、図11(C2)に示すように、ワイヤ32の巻取状態において、万一、ワイヤ32が切断した場合には、停止機構70のレバー72をワイヤ32で引っ張ることができなくなるので、レバー72がスプリング73の付勢力により回動して突出位置Jに位置させられる。また、ワイヤ32が切断すると、牽引機構31のコンストンスプリング34の牽引力のみが可動圧着バー22に作用するので、可動圧着バー22は、挾持位置X側に引っ張られて移動し、シャッタ51あるいは固定圧着バー21に衝突しようとする。しかしながら、図11(C3)に示すように可動圧着バー22からはレバー72が突出位置Jにあって突出しているので、その移動過程で機枠10に設けられた衝止部材75にレバー72が衝止し、これにより、可動圧着バー22が停止させられる。そのため、可動圧着バー22が、シャッタ51や固定圧着バー21に衝突して、破損してしまう事態が防止され、より安全が図られる。
【0044】
尚、上記実施の形態では、本発明をポータブルトイレに適用したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、台所等のゴミ、各所での廃棄物、あるいはまた、食品や衣料品などの各種物品を密封するための装置に本発明を適用してよく、要するに、密封される収容物Wの種類によって、本発明が限定されることはないことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係る密封装置の全体を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る密封装置の処理部を下から見た斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る密封装置の処理部を下から見た別の斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る密封装置の固定圧着バー及び可動圧着バーを示し、(a)は平面図、(b)は可動圧着バーの側面断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る密封装置の処理部の断面図であり、密封体作成時の工程を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る密封装置の処理部の断面図であり、密封体作成時の工程を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る密封装置の処理部の断面図であり、密封体作成時の工程を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る密封装置の処理部において、引き剥がし手段をその作用とともに示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る密封装置の処理部において、引き剥がし手段の押えバーの構成を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る密封装置の処理部において、シャッタ機構の構成をその作用とともに示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る密封装置の処理部において、停止機構の構成をその作用とともに示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る密封装置の基本制御を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態に係る密封装置において、「フィルム挟み動作」の制御手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態に係る密封装置において、「フィルム挟み同期動作」の制御手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態に係る密封装置において、「シール動作」の制御手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態に係る密封装置において、「フィルム引き剥がし動作」の制御手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態に係る密封装置において、「可動圧着バーの戻し動作」の制御手順を示すフローチャートである。
【図18】従来の密封装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0046】
T 密封装置
W 収容物
F フィルム部材
Fa 溶着部位
M 密封体
1 基体
2 弁座
3 ガイド部材
3a 開口
3b 出口
4 収容部
5 蓋
6 容器
S 処理部
10 機枠
11 送出機構
12 ローラ
13 フィードモータ
20 溶着切断機構
21 固定圧着バー
22 可動圧着バー
X 挾持位置
Y 離間位置
23 発熱体
24 凸条
25 圧着バー本体
25a 圧着部材
25b 取付部材
26 支持部材
27 軸部
28 保持部材
29 レール
30 圧着バー駆動部
31 牽引機構
32 ワイヤ
33 駆動モータ
34 コンストンスプリング
35 リール
40 引き剥がし手段
41 押えバー
42 同動機構
43 スプリング
44 ピン(係合部)
45 回動軸
46 フック部材(被係合部)
47 スプリング
48 ストッパ
49 係止部材
50 シャッタ機構
51 シャッタ
52 シャッタ駆動部
53 回動軸
Q 覆い位置
R 露出位置
54 電動モータ
55 伝動機構
60 ロック機構
61 ピン(係合部)
62 フック部材(被係合部)
63 スプリング
64 係止部材
70 停止機構
71 回動軸
72 レバー
73 スプリング
74 ワイヤ取付部
75 衝止部材
81,82,83 位置センサ
P 中間位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の樹脂製フィルム部材をその長手方向に沿って送出する送出機構と、該送出されるフィルム部材をその長手方向に直交する方向に沿って溶着して切断する溶着切断機構とを備え、該溶着切断機構により、先に上記フィルム部材の下流側を溶着し、上流側を開放した状態で内部に収容物が入れられた後、該フィルム部材の上流側を溶着して切断し、該収容物を密封した密封体を作成する密封装置において、
上記溶着切断機構を、上記送出されるフィルム部材の一方側に設けられ該フィルム部材に圧着可能な固定圧着バーと、上記送出されるフィルム部材の他方側で移動させられて該フィルム部材に圧着し上記固定圧着バーと共同して上記フィルム部材を挾持する挾持位置及び上記固定圧着バーから所定間隔離間した離間位置の2位置に位置させられる可動圧着バーと、該可動圧着バーを移動駆動する圧着バー駆動部と、上記固定圧着バーに設けられ挾持時に上記フィルム部材を溶着する発熱体とを備えて構成し、
上記可動圧着バーを、圧着バー本体と、該圧着バー本体を支持する支持部材とで構成し、該圧着バー本体の長手方向中央位置を、上記支持部材に対して上記フィルム部材の送出方向に沿う軸線を有した軸部を中心として回動可能に支持したことを特徴とする密封装置。
【請求項2】
上記支持部材に、上記圧着バー本体の回動範囲を規定するストッパを設けたことを特徴とする請求項1記載の密封装置。
【請求項3】
上記可動圧着バーが上記挾持位置に位置するまでの間、該可動圧着バーに当接するフィルム部材を、上記送出機構によって僅かずつ送出して、該フィルム部材に生じる張力を調整する張力調整手段を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の密封装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−286409(P2009−286409A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138223(P2008−138223)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000146663)株式会社新興製作所 (60)
【出願人】(391046610)日本セイフティー株式会社 (25)
【Fターム(参考)】