説明

対象物の少なくとも一部を細かく再現したものを再構成する再構成ユニット

再構成ユニットは、対象物の構造情報を表すデータセットのシーケンスを受信する。再構成ユニットはまた、データセットのシーケンスに含まれるデータセットに関連するスケジューリング情報を受信する。そして、データセットのシーケンス及びスケジューリング情報を用いることにより、対象物の粗い再構成のシーケンスが再構成される。その後、粗い再構成の各々にそれぞれのモデルを適応化させることによって、対象物の適応化モデルのシーケンスが生成される。そして、各適応化モデルの所定部分の動きが決定され、この所定部分の動きが最小である適応化モデルに対応する特定のデータセットが、データセットのシーケンスから選択される。最後に、再構成ユニットは、この特定のデータセットを用いて、対象物の少なくとも一部分を細かく再現したものを再構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の少なくとも一部を細かく再現したものを再構成する再構成ユニットと、それに対応する方法、検査装置、コンピュータ可読媒体及びプログラムとに関する。具体的には、本発明は、断層撮影装置によって検出されたデータ上で再現が実行される、対象物の少なくとも一部を細かく再現したものを再構成する再構成ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
対象物の再構成のためにコンピュータ断層撮影(CT)を配備することは、人体内の対象物をスキャンし、該対象物を再現したものを再構成することを狙いとする。非侵襲的な対象物スキャン法は、診断目的で対象物についての情報を取得するための一般的な手法である。
【0003】
通常、対象物の画像が生成される。画像は分析され、対象物の内部構造の異常が検出され得る。ヒトの心臓の情報を取得するためにCTスキャンが頻繁に用いられ、例えば冠動脈の石灰化が検出され得る。
【0004】
心臓は常に運動しているので、再構成された像は、スキャンが行われたときの、あるいは投影データが選択されて心臓の画像が再構成されたときの、心サイクルの位相点に応じてぼやけることがある。位相点は、RR間隔とも称される心サイクル間隔のうちの、投影データが選択あるいは測定される中心を決定する。
【0005】
CTに基づく非侵襲性の冠動脈造影法の主な問題の1つとして、レトロスペクティブゲーティングによる心臓再構成に適用可能な位相点を自動的に決定することが残されている。適用可能な位相点を決定することにより、対象物の再構成画像の品質を向上させることができる。第1段階として適用可能な位相点を見出すため、モデルに基づく手法が使用され、それに続いて、画像処理に基づく方法が使用されてきた。
【0006】
画像に基づく手法は非特許文献1から知られている。モデルに基づく手法は非特許文献2から知られている。更なる情報は特許文献1にて見出し得る。
【非特許文献1】R.Manzke等、「Automatic phase determination for retrospectively gated cardiac CT」、2004年12月、Medical Physics、第31巻、第12号
【非特許文献2】Vembar等、「A dynamic approach to identifying desired physiological phases for cardiac imaging using multislice spiral CT」、2003年7月、Medical Physics、第30巻、第7号
【特許文献1】米国特許第6628743号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、対象物の効率的な再構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の典型的な一実施形態に従って、対象物の少なくとも一部分を細かく再現したものを再構成する再構成ユニットが提供される。再構成ユニットは、対象物の構造情報を表すデータセットのシーケンスを受信するように適応される。並行して、データセットのシーケンスに含まれるデータセットに関連するスケジューリング情報が受信される。そして、データセットのシーケンス及びスケジューリング情報を組み合わせることによって、対象物の粗い再構成のシーケンスが再構成される。その後、粗い再構成の各々にそれぞれのモデル、特に基本モデル、を適応化させることによって、対象物の適応化モデルのシーケンスが生成される。適応化モデルを用いて、各適応化モデルの所定部分の動きが決定される。そして、データセットのシーケンスのうちの、上記所定部分の動きが最小である適応化モデルに対応する特定のデータセットが選択される。最後に、上記特定のデータセットを用いて、対象物の少なくとも関心部分を細かく再現したものが再構成される。
【0009】
本発明の更なる典型的な一実施形態に従って、対象物の少なくとも一部分を細かく再現したものを再構成する方法が提供される。当該方法は、対象物の構造情報を表すデータセットのシーケンスを受信する段階を有する。当該方法はまた、データセットのシーケンスに含まれるデータセットに関連するスケジューリング情報を受信する段階を有する。そして、データセットのシーケンス及びスケジューリング情報を用いることによって、対象物の粗い再構成のシーケンスの再構成が実行される。その後、粗い再構成の各々にそれぞれのモデルを適応化させることによって、対象物の適応化モデルのシーケンスが生成される。そして、適応化モデルの各々の所定部分の動きが決定され、データセットのシーケンスのうちの、上記所定部分の動きが最小である適応化モデルに対応する特定のデータセットが選択される。当該方法は、最後に、上記特定のデータセットを用いて、対象物の少なくとも上記一部分を細かく再現したものを再構成する段階を有する。
【0010】
本発明の更なる典型的な一実施形態に従って、対象物の少なくとも一部分を細かく再現したものを再構成する検査装置が提供される。検査装置は上述の再構成ユニットを有する。検査装置は更に検出器ユニット及び時間スケジューリングユニットを有し、検出器ユニットは再構成ユニットに接続される。さらに、時間スケジューリングユニットは再構成ユニットに接続され、検出器ユニットは、対象物に関する構造情報を含むデータセットを提供するように適応される。時間スケジューリングユニットは、データセットに関するスケジューリング情報を提供するように適応される。
【0011】
本発明の典型的な他の一実施形態に従って、対象物の少なくとも一部分を細かく再現したものを再構成するためのコンピュータプログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能媒体が提供される。このコンピュータプログラムはプロセッサによって実行されるとき、上述の方法を実行するように適応されている。
【0012】
本発明の更なる典型的な一実施形態に従って、対象物の少なくとも一部分を細かく再現したものを再構成するためのプログラムが提供される。このプログラムはプロセッサによって実行されるとき、上述の方法を実行するように適応されている。
【0013】
これに関連して、対象物を連続的にスキャンし、その後、収集された情報を分析する処理を表現するために、レトロスペクティブゲーティングが用いられる。対象物のスキャンが行われる間に、データセットのシーケンスが生成される。これらのデータセットは、対象物の投影のデジタル化された情報を表し得る。投影データセットには、対象物の構造情報、特に、対象物の内部領域の構造情報が含まれる。複数のデータセットを収集した後、対象物の再現を再構成するための特定のデータセットを選択することができる。
【0014】
続いて、本発明の基本概念をより詳細に説明する。
【0015】
再構成ユニットはデータセットのシーケンスを受信するように適応され、データセット群は対象物の構造情報を表す。さらに、再構成ユニットは、データセットのシーケンスに含まれるデータセットに関連するスケジューリング情報を受信し得る。スケジューリング情報は、データセット群を収集する処理と並行して収集され得る。各データセットは対応するスケジューリング情報を有し、故に、データセットのシーケンスに属するデータセット群の順序が与えられる。スケジューリング情報は、データセット群をスケジューリング情報に関連付けるタイムスケールとして見てもよい。従って、各データセットは、該データセットが記録された時点を決定するタイミング情報又は時点情報を有し得る。
【0016】
データセットのシーケンス及びスケジューリング情報を用いることによって、対象物の粗い再構成のシーケンスを再構成することが可能である。この組み合わせは、スキャンされた対象物の運動又は動きを再構成することを可能にし得る。動きに関する情報は、その結果生じるモデルの粗い再構成群を比較することによって入手し得る。粗い再構成を用いることは計算結果を早く提供し、モデルの、そして特にはモデルの特定要素の、数学的比較のような自動化処理が可能となり得る。
【0017】
粗い再構成すなわち粗く再現したものは、細かい再構成すなわち細かく再現したものより少ない情報を使用する。故に、細かく再現したものは対象物のより詳細な情報を示し得る。
【0018】
処理のこの段階では既に、データセットの全ての利用可能な情報を使用すること、故に、粗い再構成を再構成することに代えて、細かい再構成を再構成することも可能である。その場合、処理性能は低下するかもしないが、より少ないランドマークすなわち部分が観察あるいは検出されてもよく、小さい部分の動きが最小となる位相が検出されてもよい。細かく再現されたものは、粗く再現されたものに代えて使用され得るものであり、高い分解能を有する画像となり得る。
【0019】
粗い再構成の一例は、低分解能の2次元断面図、又は低分解能の3次元画像である。2次元の図又は画像において、画素(ピクセル)群は対象物の異なる部分構造を特徴付けるために使用され得る。故に、画素群は異なる部分構造を特徴付けるグレースケール値又はカラー値をもたらす。3次元画像は異なる部分構造間を区別するためボクセルを使用し得る。低分解能の3次元画像は、例えば64ボクセル又は128ボクセルの空間分解能を有していてもよい。
【0020】
これらの画像は異なる時点で記録されてもよい。時間分解能は、実質的に1秒とし得る定められた期間内に20から50個の3次元画像とし得る。期間はまた、周期の逆数であるサンプリング速度によって表現されてもよい。
【0021】
粗い再構成はコンピュータが生成した画像であるので、自動画像処理手法によって粗い再構成内の異なる部分構造群を検出することが可能であり得る。従って、再構成ユニットを用いて粗い再構成を処理することが可能である。再構成ユニットは、例えば、相異なる構造間の境界を選定するためにフィルタ処理を用いてもよい。
【0022】
故に、再構成ユニットは、対象物の粗い再構成内の異なる部分構造を自動的に区別し、認識することも可能である。換言すると、現実の物理的な対象物、特に、物理的な対象物の内部構造、を表現するものの部分群は、機械が読み取り可能なフォーマットに変換され得る。
【0023】
粗い再構成の構造情報が機械読み取り可能フォーマットであることにより、再構成ユニットは、粗い再構成の各々にそれぞれの基本モデルを適応化させることによって、対象物の適応化モデルのシーケンスを自動的に生成することができる。具体的には、再構成ユニットは、基本モデルを粗い再構成の検出された部分構造に適応化させることが可能である。
【0024】
モデルはメッシュモデルとしてもよい。メッシュモデルは、対象物の構造を再構築するための複数のライン及びエッジを有し得る。興味対象の構造を再構築するため、メッシュモデルは興味対象の構造に関する先験的な知見を用いてもよい。換言すると、対象物の基本構造又は対象物の内部構造は前もって知られていることがあり、この知見を用いる基本メッシュモデルが提供され得る。そして、興味対象の個別の形態を再構成するため、基本モデルは、興味対象の画像であり得る粗い再構成に含まれる認識された構造に適応化される必要がある。
【0025】
モデルのエッジ及びラインは、このようなモデルを実質的に変形可能なものにし得る。エッジの数が多いほど、モデルの細かさ又は分解能が高くなる。メッシュモデルは変形可能であるので、物理的な対象物の粗い再構成の検出された構造又は部分構造に適応化され得る。この適応化では、粗い再構成群に含まれる関連する点群を発見するための具体的な点であるランドマークが配置される。これらランドマークは、心臓の場合、既知の動脈又は既知の心室としてもよい。
【0026】
単一のモデルを粗い再構成のシーケンスに適応化させた後、すなわち、適応化モデルのシーケンスを生成した後、メッシュモデルの一部分の動きが決定される。この動きは、適応化モデルのシーケンス内のモデルの既知の特定箇所の位置を追跡することによって決定され得る。特定箇所の一例はメッシュモデルのエッジである。
【0027】
その部分の動きの大きさを決定するために、関心箇所の動きベクトル場が生成されてもよい。動きベクトル場とは、複数の動きベクトルである。各動きベクトルは対象物の関連部分に対応し、該関連部分の動きの大きさを指し示す。
【0028】
この部分は、物理的な対象物内の関連部分又は領域に相当するので、前もって選定されてもよい。
【0029】
動きに関して決定された情報を用いることは、データセットのシーケンスから、所定部分の動きが最小の適応化モデルに対応する特定のデータセットを選択することを可能にし得る。該データセットは、適応化モデルから該データセットまで後方追跡することによって決定されてもよい。後方追跡が可能であるのは、データセットのシーケンスがスケジューリング情報に結び付けられているためである。
【0030】
動きが最小の該データセットが発見されると、該データセットを用いて、対象物の少なくとも一部の細かい再構成を再構成することが可能となる。粗い再構成ではデータセット内の利用可能な情報の全てが用いられるわけではないので、細かく再現したものを再構成する場合には、更なる利用可能情報がデータセット内に存在し得る。該データセットからの更なる情報を用いることにより、再現の細かさが高められ得る。すなわち、この更なる情報により、高い分解能を有する画像を再構成することが可能となり得る。
【0031】
換言すると、対象物のレトロスペクティブゲーティング再構成法を用いることにより、複数の投影すなわちスキャナデータセットが作り出される。振動する対象物をスキャンと、アーチファクトすなわち不鮮明な再構成構造が生成される。対象物が不規則に振動する場合、複数のデータセットは、動きが大きい位相、位相点又は時点に対応するデータセットと、動きが最小の位相、位相点又は時点に対応するデータセットとを含み得る。
【0032】
対象物の関心部分の活動が最小の位相点に対応するデータセットを見出すことは、対象物の関心部分の鮮明な再現を可能にし得る。鮮明度は、対象物の関心部分の動きが最小あるいは殆どない位相点に対応するデータセットを用いることによって増大され得る。鮮明度は更に、対象物を再構成するために、データセット内の利用可能な情報を全て用いることによって増大され得る。これにより、高分解能の鮮明な画像、又は高分解能の細かい再現がもたらされ得る。
【0033】
高い分解能を実現することは、より多数のボクセル又は画素によって領域が表現されることを意味する。故に、対象物の関心部分の更なる細部が視覚化され得る。従って、不鮮明な画像内では通常は見ることができない構造を視認できるようになる。故に、対象物の微細構造も見られ得る。例え、モデルが微細構造の近傍又は下に位置する他の粗い構造に適応化されていたとしても、微細構造は見られ得る。
【0034】
続いて、再構成ユニットの更なる典型的な実施形態を説明する。これらの実施形態は、対象物の少なくとも一部を細かく再現したものを再構成する方法、検査装置、コンピュータ読み取り可能媒体、及びプログラムにも適用される。
【0035】
本発明の更なる典型的な一実施形態に従って、再構成ユニットは心臓構造を再構成するように適応される。
【0036】
心臓の構造を再構成するように適応された再構成ユニットは、心臓又はその部分を細かく再現したものを再構成することを可能にする。このような再現は選択された部分に限られないので、その他の構造が再構成されることも可能であり得る。故に、そのような再現上には小さい冠動脈が現れ得る。
【0037】
心臓構造を再構成するように適応された再構成ユニット内に、心臓のモデルが恒久的に保管される。何故なら、この再構成ユニットは、心臓に関する分析に使用されるだけであり、また、心臓構造を再構成することに関して最適化されるからである。
【0038】
本発明の他の典型的な一実施形態に従って、それぞれのモデルは、メッシュ及び心臓モデルから成るグループから選択された少なくとも1つである。
【0039】
特定のメッシュ又は心臓モデルを用いることにより、心臓の生体構造の異なる部分構造又は異なる区画の認識が可能にされる。故に、検出及び再構成処理は加速され得る。
【0040】
本発明の更なる典型的な一実施形態に従って、上述のそれぞれのモデルは適応可能な形状を有する。
【0041】
このモデルにより更に多くの形状が提供され、更に良好な再構成が行われ得る。モデルの可能な限り多くの情報を用いることにより、心臓の生体構造の一層と良好で鮮明な細かい再現がもたらされ得る。
【0042】
本発明の更なる典型的な一実施形態に従って、細かく再現されたものは、対象物の一部分の、細かいメッシュ、細かいサブメッシュ、高分解能コンピュータ画像、ベクトルグラフィックス、高分解能2次元画像、高分解能3次元画像、冠状断面図、及び矢状断面図を含むグループから選択された少なくとも1つである。
【0043】
様々な再現が、物理的な対象物を表すためにコンピュータシステムにて使用され得る典型的な再現を提供し得る。異なる再現は、同一のデータセットの異なる表現であり得る。これら異なる表現は、対象物又は心臓構造の関心部分の異なる見え方を提供するために選択的に切り替えられてもよい。
【0044】
本発明の更なる典型的な一実施形態に従って、再構成ユニットは、時点のシーケンスであるスケジューリング情報を処理するように適応される。
【0045】
時点は特定の事象に対応するものとし得る。時点のシーケンスは、サンプリング点を列挙する順序付けられたリストであってもよい。特別な時点で記録された関連データセットに対応する、時点の順序付けられたリストを有することにより、特定のデータセットを該データセットが対応する時点に関連付けることが可能になる。データセットと関連時点との関係についてのこの情報は、後方追跡のときに、細かい再現のための関連データセットを見出すために使用され得る。
【0046】
本発明の更なる典型的な一実施形態に従って、再構成ユニットは、位相点のシーケンスであるスケジューリング情報を処理するように適応される。
【0047】
位相は、心サイクルの一部である規則的に繰り返されるインターバルであってもよい。心サイクルは位相点のシーケンス及び位相のシーケンスである。位相点は、データセットを心臓位相の定められた時点に関連付けることを可能にし得る。
【0048】
本発明の更なる典型的な一実施形態に従って、位相点は心臓位相の位相点である。
【0049】
本発明の他の典型的な一実施形態に従って、再構成ユニットはECG(心電図)記録からスケジューリング情報を受信するように適応される。ECG記録は、心臓の経時的な活動を表すプロットである。大きい活動は大きい振幅によって表される。小さい活動はプロット内で小さい振幅によって表される。故に、プロット上で心サイクルの明確な位相を見てとれる。
【0050】
ECGはデータセットのサンプリングと並行して記録され得る。データセットがサンプリングされるとき時間が記録されるので、データセットは心サイクルの位相に関連付けられることができる。この関連付けは、データセットのシーケンス及びスケジューリング情報に共通の時点によって為され得る。
【0051】
更なる典型的な一実施形態に従って、再構成ユニットは、CT投影データセットのシーケンスであるデータシーケンスを処理するように適応される。コンピュータ断層撮影(CT)は、単一の回転軸の周りで撮られた一連の2次元X線画像から、デジタル処理を用いて、検査中の対象物(興味対象)の内部構造の3次元画像を生成するプロセスである。CT画像の再構成は、適当なアルゴリズムを適用することによって行われる。
【0052】
1つのX線画像が記録される時点ごとに、1つのデータセットが生成される。生成されたデータセットは、対象物に対する方向又は角度についての情報と、それに対応する、人体すなわち対象物を通過したX線の減衰とを含む。
【0053】
他の典型的な一実施形態に従って、再構成ユニットは、適応化モデルの各位置にて、該モデルの所定部分に属する動きベクトルの組を生成することによって、特定のデータセットを選択するように適応される。動きベクトルの組が生成されると、適応化モデルの所定部分の動きベクトルの組の絶対的な長さが決定される。
【0054】
適応化モデルのシーケンスから、最小の動きを有する関心部分を提供する少なくとも1つの適応化モデルを選択することが可能である。適応化モデルはデータセットの粗い再構成に適応化されているので、関連データセットが決定され得る。この決定は、粗く再現されたものが心サイクルの位相点に関連付けられ、ひいては心サイクルの該位相点が決定されることにより可能である。この位相点は、良好な診断画像品質を達成するために心臓のレトロスペクティブゲーティング再構成法にて使用される位相点であり得る。
【0055】
続いて、方法の更なる典型的な実施形態を説明する。この実施形態は、対象物の少なくとも一部を細かく再現したものを再構成する再構成ユニット、検査装置、コンピュータ読み取り可能媒体、及びプログラムにも適用される。
【0056】
本発明の他の典型的な一実施形態に従って、当該方法は、対象物の一部分を冠動脈の近傍の構造として選択する段階を有する。
【0057】
冠動脈は、対象物の一部分を粗く再現したものの中で直接的に検出・視認可能でなくてもよい。冠動脈は、故に、モデルの部分でなくてもよい。
【0058】
しかしながら、1つ若しくは複数の冠動脈、又は別の微細構造を視覚化するため、冠動脈又は微細構造の近傍又は下に位置することが知られている対象物の一部が、鮮明に再現されるように選択され得る。冠動脈は、間接的且つ自動的に、対象物の鮮明な再現上で視認され得る。
【0059】
続いて、検査装置の更なる典型的な実施形態を説明する。これらの実施形態は、対象物の少なくとも一部を細かく再現したものを再構成する再構成ユニット、方法、コンピュータ読み取り可能媒体、及びプログラムにも適用される。
【0060】
本発明の他の典型的な一実施形態に従って、検査装置はメモリユニットを有し、メモリユニットはデータセットのシーケンス及びスケジューリング情報を記憶するように適応される。
【0061】
情報を記憶することにより、対象物に関する情報を収集し、情報の収集後に情報を分析することが可能になる。故に、後方追跡が可能である。
【0062】
本発明の他の典型的な一実施形態に従って、検査装置はグラフィカル・ユーザインターフェースを有する。
【0063】
グラフィカル・ユーザインターフェースは、検査装置によって計算された情報を表示するように適応されてもよい。細かく再現したものは、図形情報のリストの図形表示であってもよい。グラフィカル・ユーザインターフェースはこの図形情報を、ユーザが視認可能な画像に変換し得る。グラフィカル・ユーザインターフェースはまた、対象物を細かく再現したものの様々な見え方を選択するための選択肢を提供してもよい。
【0064】
グラフィカル・ユーザインターフェースはまた、特に再構成ユニットを制御するために、検査装置にコマンドを送信することを可能にしてもよい。細かく再現したものを再構成する処理の全体が、グラフィカル・ユーザインターフェースを介して制御可能であってもよい。
【0065】
本発明の他の典型的な一実施形態に従って、検査装置は、材料試験装置、手荷物検査装置、医療用装置、コンピュータ断層撮影装置、コヒーレント散乱型コンピュータ断層撮影装置、陽電子放出型コンピュータ断層撮影装置、単一光子放出型コンピュータ断層撮影装置、超音波装置、電子ビーム断層撮影装置、磁気共鳴装置、及び介入型3次元回転式X線装置から成るグループから選択された少なくとも1つである。
【0066】
このような検査装置を用いることにより、対象物の内部構造に関する情報が提供される。
【0067】
本発明の典型的な実施形態の要旨として、良好な診断画像品質を達成するよう、高い分解能で再現したものを再構成することを可能にする位相点が、自動的に決定される。この高分解能で再現したものを実現するため、モデルが粗い再構成に適応化され、一連の適応化モデルが再構成される。この連続的な適応化モデル群から、動きが最小の領域が決定され得る。高分解能で再現したものの品質を向上させるため、好ましくは、単に対象物全体の全体的な動き情報を用いるよりも良好な結果をもたらすよう、モデルの一部のみが選定される。
【0068】
また、再構成処理が関心構造とは異なる構造を使用する場合、関心構造の近傍の構造に焦点を合わせるために、関心構造の位置に関する知見が使用され得る。これらの相異なる構造は似通った動き特性を有し得るので、近傍構造を再構成することに良好な時点は、関心構造を再構成することにも良好であり得る。
【0069】
故に、関心構造は、再構成に使用されるモデルの部分でない場合であっても、視認可能にされ得る。
【0070】
本発明のこれら及び更なる態様は、以下にて説明される実施形態を参照することにより明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
以下、図面を参照して、本発明の典型的な実施形態を説明する。図面中の説明図は概略的なものである。相異なる図において、類似又は同一の要素には同一の参照符号を用いる。
【0072】
図1は、本発明に従ったコンピュータ断層撮影スキャナシステムの典型的な一実施形態を示している。
【0073】
図1に示されたコンピュータ断層撮影装置100は円錐(コーン)ビームによるCTスキャナである。しかしながら、本発明は扇(ファン)ビーム形状を用いて実施されてもよい。図1に示されたCTスキャナはガントリー101を有し、ガントリー101は回転軸102の周りを回転可能である。ガントリー101はモータ103によって駆動される。参照符号104は、例えばX線源などの放射線源を指し示しており、この放射線源は本発明の一態様に従って多色又は単色の放射線を放射する。
【0074】
参照符号105は、放射線源から放射された放射線ビームを円錐状の放射線ビーム106に整形する開口系を指し示している。円錐ビーム106は、ガントリー101の中心、すなわちCTスキャナの検査領域、に配置された興味対象107を貫通し、さらには検出器108に突き当たるように向けられる。検出器108は、図1から理解され得るように、検出器108の表面が円錐ビーム106で覆われるように、放射線源104に対向してガントリー101に配置されている。図1に示された検出器108は複数の検出素子123を有しており、各検出素子123は、興味対象107によって散乱され、あるいは興味対象107を貫通したX線を検出することが可能である。
【0075】
興味対象107のスキャン中、放射線源104、開口系105及び検出器108はガントリー101とともに、矢印116で指し示される向きに回転させられる。放射線源104、開口系105及び検出器108を備えるガントリー101の回転のため、モータ103はモータ制御ユニット117に接続されており、モータ制御ユニット117は制御ユニット118(これは、計算ユニット、決定ユニット、又は再構成ユニットとも呼ばれる)に接続されている。
【0076】
図1において、興味対象107は処置台119上に配置されたヒトである。ヒト107の心臓130のスキャン中、ガントリー101はヒト107の周りを回転し、処置台119はヒト107をガントリー101の回転軸102に平行な方向に移動させる。これにより、心臓130は螺旋状のスキャン経路に沿ってスキャンされる。処置台119はまた、単一の断層を測定するように、スキャン中に停止されてもよい。なお、説明される何れの場合においても、回転軸102に平行な方向への移動が存在せず回転軸102の周りのガントリー101の回転のみが存在する円形スキャンを実行することが可能である。
【0077】
また、心臓130を通過することによって減衰されたX線が検出器108により検出される間に、ヒト107の心臓130の心電図を測定する心電図(ECG)装置135が設けられている。検出器108によって検出されたデータセットは、インターフェース又は入力端子142を介して制御ユニット118に伝送される。測定された心電図に関するデータは、インターフェース又は入力端子140を介して制御ユニット118に伝送される。
【0078】
さらに、強調しておくが、図1に示された円錐ビーム構成に代えて、本発明は扇ビーム構成によって実施されることもできる。主の扇ビームを生成するため、開口系105はスリットコリメータとして構成されていてもよい。
【0079】
検出器108は制御ユニット118に接続されている。制御ユニット118は、データセットのシーケンスの形態をした検出結果、すなわち、検出器108の検出素子123からの出力を受け取り、これらの出力に基づいてスキャン結果を決定する。さらに、制御ユニット118はモータ制御ユニット117と信号伝達し、モータ103を用いてガントリー101の動作を調整するとともに、モータ120を用いて処置台119の動作を調整する。
【0080】
制御ユニット118は検出器108の出力すなわちデータセットから画像を再構成するように適応され得る。制御ユニット118によって作成された再構成画像すなわち細かく再現したものは、ディスプレー又はグラフィカル・ユーザインターフェース121へと出力され得る。
【0081】
グラフィカル・ユーザインターフェース121はインターフェース又は出力端子144に接続される。出力144は再構成ユニット118との双方向通信を提供する。故に、情報を表示すること、及び制御信号を再構成ユニットに送ることが可能である。
【0082】
グラフィカル・ユーザインターフェース121に代えて、あるいは加えて、デジタル画像ともし得る再構成画像は、記憶装置(図1には図示せず)又はデータ通信ネットワークに提供されてもよい。データ通信ネットワークは、ATM(非同期転送モード)又はイーサネット(登録商標)に基づくネットワークであってもよく、また、遠隔医療応用を提供してもよい。
【0083】
制御ユニット118は、検出器108の検出素子123から読み出された出力を処理するデータプロセッサによって実現されてもよい。
【0084】
図1に示されたコンピュータ断層撮影装置は、心臓130の複数サイクルの心臓コンピュータ断層撮影データを捕捉する。換言すると、ガントリー101が回転し且つ処置台119が直線的に移動されるとき、X線源104及び検出器108によって、心臓130に対する螺旋スキャンが実行される。この螺旋スキャンの間、心臓130は何度も鼓動し得る。これらの鼓動中に、複数の心臓コンピュータ断層撮影データが収集される。同時に、心電図ユニット135によって心電図が測定される。これらのデータを収集した後、データは制御ユニット118に転送され、測定データは遡及的に(レトロスペクティブに)分析され得る。
【0085】
測定データ、すなわち、心臓コンピュータ断層撮影データ及び心電図データは、再構成ユニット118によって処理される。再構成ユニット118はグラフィカル・ユーザインターフェース(GUI)121を介して更に制御されてもよい。この遡及的分析は、レトロスペクティブゲーティングを用いるヘリカル心臓コーンビーム再構成法に基づく。しかしながら、本発明は、このような特定のデータ収集・再構成に限定されるものではない。
【0086】
再構成ユニット118は、空間的に異なる心内構造の位相点をモデルを用いて自動的に計算するため、心臓130を通過する減衰X線によって検出された複数サイクルの心臓コンピュータ断層撮影データを、以下のようにして分析するように適応されている。データセットのシーケンスを検出器108から受信する。このデータセットは心臓130の構造情報を表す。並行して、再構成ユニット118は、データセットのシーケンスに含まれるデータセットに関するスケジューリング情報をECG135から受信する。そして、データセットのシーケンス及びスケジューリング情報を用いることによって、心臓130の粗い再構成のシーケンスが再構成される。
【0087】
それぞれのモデルを粗い再構成の各々に適応させることによって、心臓130の適応化モデルのシーケンスが生成される。そして、各適応化モデルの所定部分の動きが決定され、データセットのシーケンスのうちの特定のデータセットが選択される。この特定のデータセットは、該所定部分の動きが最小である適応化モデルに対応するものである。そして、対象物の少なくとも該部分の細かい再現が、該特定のデータセットを用いて再構成され、グラフィカル・ユーザインターフェース121上で表示されるか、ネットワークを介して遠隔のグラフィカル・ユーザインターフェースに送信されるかする。
【0088】
換言すると、これが意味するのは、患者及び生体構造選択的な最適位相点を完全に自動的に決定する自動的手法が記述されているということである。
【0089】
心臓CT投影データセットをECG135記録と並行して収集した後、低い空間分解能での心臓ボリューム全体の直接的な4D再構成が実行される。このデータセットは、例えば、64又は128個のボクセルと、心サイクル内の20から50個の異なる位相とから成っていてもよい。4D再構成とは、3D画像を第4次元としてのスケジューリング情報と結合させる再構成である。
【0090】
その後、適応的な形状の心臓の主区画から成る心臓モデルが、上記の位相群の1つにフィッティングされ、完全な4Dデータセットを介して伝搬される。全ての異なる位相に関して、形状が低分解能の画像データに適応される。モデルの記述に使用される点群は心臓の生体構造の異なる区画に割り当てられるので、それらの位置は完全な4Dデータセットを介して追跡されることができる。
【0091】
或る一定の心臓構造の再構成のための最適位相点に関する指標として、モデルのこの部分に属する全ての点の全ての動きベクトルの絶対的な長さが適したものとなり得る。この関数の最小値が最適位相点を供給する。その他の指標も可能である。
【0092】
関心ある心臓構造に関する位相点を計算した後、この位相点は、高い診断画像品質を達成する高分解能での再構成にて使用される。
【0093】
この位相点は、下に位置する構造又は冠動脈に隣接する構造によって決定される、直接的にはモデルの部分ではない冠動脈のような構造にふさわしいものとなり得る。
【0094】
故に、心臓CT再構成の異なる心臓区画群に関する位相点群が決定され得る。異なる冠動脈の区分の患者選択的な位相点の検出が行われ得る。故に、心臓位相の患者個々の特徴を考慮することが可能であり、生体構造選択的に位相点を得ることができる。多量の心臓画像データセットの統計分析から、例えば、右冠動脈及び左冠動脈はRR間隔内の異なる位置で休止位相を有することが分かっている。RR間隔は、ECG記録における或るRインパルスの出現から次のRインパルスまでの期間である。RインパルスはECGプロットにおいて心サイクルの開始を示す。Rインパルスの出現後、通常、心サイクルの10−20%において心臓の最大の動き、すなわち、左心室の圧縮位相が予期される。Rインパルスの近傍では、心房の収縮が完了するので、より小さい動きが予期される。
【0095】
図2は、収縮末期の位相点における低分解能4Dデータセットへの適応化後の3Dモデル表現を示している。図2には、収縮末期の位相点における異なる区画201’、202、203及び204が示されている。メッシュモデル206は、三角形の構造群を構築する複数のエッジ207及びライン208を有する。これらの三角形構造は粗い再構成から取られた関連区画の構造を表す。
【0096】
例えば、区画201’は収縮末期の位相点における左心室を表している。
【0097】
図2には、基準点205’が示されている。基準点205’の動きを追跡することは、メッシュモデル206のうちの基準点205’が属する部分の動きを決定することを可能にする。
【0098】
図3は、拡張末期の位相点における低分解能4Dデータセットへの適応化後の3Dモデル表現を示している。図2と比較すると、左心室205”は図2の左心室205’より大きい容積を有することが見て取れる。また、図3から、基準点205”は移動していることが見て取れる。故に、基準点205’及び205”の軌跡を追跡することと、関連する位相群における動きベクトルの計算とによって、動きが大きい領域が指し示される。従って、収縮末期又は拡張末期の位相点は、対象物130のうちの基準点205’が一部を成す部分を細かく再現することに適用可能でないとしてもよい。
【0099】
図4は、本発明に従った方法の典型的な一実施形態を実行する、本発明に従ったデータ処理装置118すなわち再構成ユニットの典型的な一実施形態を示している。図4に示されたデータ処理装置118は、例えば患者又は荷物品目などの興味対象を描写する画像を格納するメモリ402に接続された中央処理ユニット(CPU)又は画像プロセッサ401を有している。データプロセッサ401は、複数の入力/出力ネットワーク、又は例えばCT装置などの診断装置に接続され得る。データプロセッサ401は更に、データプロセッサ401にて計算あるいは適応された情報又は画像を表示する例えばコンピュータモニター又はグラフィカル・ユーザインターフェースといった表示装置403に接続され得る。操作者又はユーザは、キーボード404、及び/又は図4には示されていないその他の出力装置を介してデータプロセッサ401とやり取りしてもよい。
【0100】
さらに、バスシステム405を介して、画像処理・制御プロセッサ401を、例えば、ECG135及び検出器108に接続することも可能である。
【0101】
図5は、3Dメッシュモデルを冠動脈とともに示している。メッシュモデル503は、例えば患者107の心臓といった興味対象130のモデルである。図5のモデル503は、患者個々の生体構造に適応化されていない基本モデルである。
【0102】
メッシュモデル503はエッジ群207及びライン群208を有する。エッジ群207及びライン群208を設けることにより、このモデルは、コンピュータ読み取り可能且つコンピュータ処理可能なフォーマットを有しており、コンピュータによって該モデルを心臓の画像に適応させることを可能にし得る。区画201、202、203及び204はモデル化され、対応する画像上の関連構造群に適応化され得る。また、区画201及び202の近傍にある冠動脈501及び502が示されている。左心室201は、複数の分岐を供する冠動脈501の下に位置する構造である。区画202は、冠動脈502の下に位置する構造である。左心室201は、図2及び図3においては、左心室が描写される異なる位相を示すため、また、心サイクルの異なる位相における左心室の異なる大きさを示すため、参照符号201’及び202”が付されている。
【0103】
冠動脈501及び502は、粗い再現上では視認できなくてもよい。しかし、関連する区画201及び202を細かく再現することにより、細かい再現上で冠動脈501及び502を視認可能にすることができる。
【0104】
図6は、本発明に従った典型的な一手法のフローチャートを示している。この方法は、段階S1にてデータセットのシーケンスを記録すること、及び、並行してS2にてECG記録の形態でスケジューリング情報を記録することで開始する。
【0105】
そして、段階S3にて、心臓ボリュームのシーケンスの4Dの粗い再構成が、低い空間分解能で実行される。この再構成では、データセットとECGのスケジューリング情報とが組み合わされる。
【0106】
粗い再構成のシーケンスの再構成の後、段階S4にて、モデルが粗い再構成に適応化され、適応化されたモデルのシーケンスが決定される。これらのモデルを用いることは、動きベクトルを決定することを可能にする。
【0107】
段階S5にて、モデルの一部に属する全ての動きベクトルの最短の長さが決定される。最小の動きについてのこの情報を用いて、適切な位相点が決定され得る。
【0108】
段階S5にて計算された位相点は、段階S6にて、その位相点に属する関連データセットを見出すため使用され得る。このデータセットは細かい再構成を構築するために使用される。
【0109】
本発明の典型的な実施形態は、ソフトウェアオプションとして、CTスキャナのコンソール、撮像ワークステーション、又はPACSワークステーションに分配されてもよい。
【0110】
なお、用語“有する”はその他の要素又は段階を排除するものではなく、“或る(a又はan)”は複数であることを排除するものではない。また、相異なる実施形態に関連して説明された要素が組み合わされてもよい。
【0111】
さらに、請求項中の参照符号は請求項の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の典型的な一実施形態に従った検査装置を簡略化して示す図である。
【図2】収縮末期の位相点における低分解能4Dデータセットへの適応化後の3Dモデル表現を示す図である。
【図3】拡張末期の位相点における低分解能4Dデータセットへの適応化後の3Dモデル表現を示す図である。
【図4】本発明に従った方法の典型的な一実施形態を実行する、本発明に従った画像処理装置の典型的な一実施形態を示す図である。
【図5】3Dメッシュモデルを冠動脈とともに示す図である。
【図6】本発明に従った典型的な一手法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の少なくとも一部分を細かく再現したものを再構成する再構成ユニットであって:
前記対象物の構造情報を表すデータセットのシーケンスを受信し;
前記データセットのシーケンスに含まれるデータセットに関連するスケジューリング情報を受信し;
前記データセットのシーケンス及び前記スケジューリング情報を用いることによって、前記対象物の粗い再構成のシーケンスを再構成し;
前記粗い再構成の各々にそれぞれのモデルを適応化させることによって、前記対象物の適応化モデルのシーケンスを生成し;
前記適応化モデルの各々の所定部分の動きを決定し;
前記データセットのシーケンスのうちの、前記所定部分の動きが最小である適応化モデルに対応する特定のデータセットを選択し;
前記特定のデータセットを用いて、前記対象物の少なくとも前記一部分を細かく再現したものを再構成する;
ように適応された再構成ユニット。
【請求項2】
心臓構造を再構成するように適応された請求項1に記載の再構成ユニット。
【請求項3】
前記それぞれのモデルは、メッシュ及び心臓モデルから成るグループから選択された少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の再構成ユニット。
【請求項4】
前記それぞれのモデルは適応可能な形状を有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載の再構成ユニット。
【請求項5】
前記細かく再現したものは、前記対象物の前記一部分の、細かいメッシュ、細かいサブメッシュ、高分解能コンピュータ画像、ベクトルグラフィックス、高分解能2次元画像、高分解能3次元画像、冠状断面図、及び矢状断面図を含むグループから選択された少なくとも1つである、請求項1乃至4の何れか一項に記載の再構成ユニット。
【請求項6】
時点のシーケンスであるスケジューリング情報を処理するように適応された請求項1乃至5の何れか一項に記載の再構成ユニット。
【請求項7】
位相点のシーケンスであるスケジューリング情報を処理するように適応された請求項1乃至6の何れか一項に記載の再構成ユニット。
【請求項8】
前記位相点は心臓位相の位相点である、請求項7に記載の再構成ユニット。
【請求項9】
ECG記録からスケジューリング情報を受信するように適応された請求項1乃至8の何れか一項に記載の再構成ユニット。
【請求項10】
CT投影データセットのシーケンスであるデータセットのシーケンスを処理するように適応された請求項1乃至9の何れか一項に記載の再構成ユニット。
【請求項11】
前記所定部分の動きが最小の前記特定のデータセットを:
前記適応化モデルの各々にて、該モデルの前記所定部分に属する動きベクトルの組を生成し;
前記適応化モデルの前記所定部分の前記動きベクトルの組の絶対的な長さの最小値を決定する;
ことによって選択するように適応された請求項1乃至10の何れか一項に記載の再構成ユニット。
【請求項12】
対象物の少なくとも一部分を細かく再現したものを再構成する方法であって:
前記対象物の構造情報を表すデータセットのシーケンスを受信する段階;
前記データセットのシーケンスに含まれるデータセットに関連するスケジューリング情報を受信する段階;
前記データセットのシーケンス及び前記スケジューリング情報を用いることによって、前記対象物の粗い再構成のシーケンスを再構成する段階;
前記粗い再構成の各々にそれぞれのモデルを適応化させることによって、前記対象物の適応化モデルのシーケンスを生成する段階;
前記適応化モデルの各々の所定部分の動きを決定する段階;
前記データセットのシーケンスのうちの、前記所定部分の動きが最小である適応化モデルに対応する特定のデータセットを選択する段階;
前記特定のデータセットを用いて、前記対象物の少なくとも前記一部分を細かく再現したものを再構成する段階;
を有する方法。
【請求項13】
前記対象物の前記一部分を冠動脈の近傍の構造として選択する段階、を更に有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
対象物の少なくとも一部分を細かく再現したものを再構成する検査装置であって:
請求項1乃至11の何れか一項に記載の再構成ユニット;
検出器ユニット;
時間スケジューリングユニット;
を有し、
前記検出器ユニットは前記再構成ユニットに接続され;
前記時間スケジューリングユニットは前記再構成ユニットに接続され;
前記検出器ユニットは、前記対象物に関する構造情報を含むデータセットを提供するように適応され;
前記時間スケジューリングユニットは、前記データセットに関するスケジューリング情報を提供するように適応されている;
検査装置。
【請求項15】
メモリユニットを更に有し;
前記メモリユニットは、前記データセットのシーケンス及び前記スケジューリング情報を記憶するように適応されている;
請求項14に記載の検査装置。
【請求項16】
グラフィカル・ユーザインターフェースを更に有し;
前記グラフィカル・ユーザインターフェースは、当該検査装置を制御するように適応されている;
請求項14又は15に記載の検査装置。
【請求項17】
材料試験装置、手荷物検査装置、医療用装置、コンピュータ断層撮影装置、コヒーレント散乱型コンピュータ断層撮影装置、陽電子放出型コンピュータ断層撮影装置、単一光子放出型コンピュータ断層撮影装置、超音波装置、電子ビーム断層撮影装置、磁気共鳴装置、及び介入型3次元回転式X線装置から成るグループから選択された少なくとも1つである請求項14乃至16の何れか一項に記載の検査装置。
【請求項18】
対象物の少なくとも一部分を細かく再現したものを再構成するためのコンピュータプログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能媒体であって、前記コンピュータプログラムはプロセッサによって実行されるとき:
前記対象物の構造情報を表すデータセットのシーケンスを受信する段階;
前記データセットのシーケンスに含まれるデータセットに関連するスケジューリング情報を受信する段階;
前記データセットのシーケンス及び前記スケジューリング情報を用いることによって、前記対象物の粗い再構成のシーケンスを再構成する段階;
前記粗い再構成の各々にそれぞれのモデルを適応化させることによって、前記対象物の適応化モデルのシーケンスを生成する段階;
前記適応化モデルの各々の所定部分の動きを決定する段階;
前記データセットのシーケンスのうちの、前記所定部分の動きが最小である適応化モデルに対応する特定のデータセットを選択する段階;
前記特定のデータセットを用いて、前記対象物の少なくとも前記一部分を細かく再現したものを再構成する段階;
を実行するように適応されている、コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項19】
対象物の少なくとも一部分を細かく再現したものを再構成するためのプログラムであって、プロセッサによって実行されるとき:
前記対象物の構造情報を表すデータセットのシーケンスを受信する段階;
前記データセットのシーケンスに含まれるデータセットに関連するスケジューリング情報を受信する段階;
前記データセットのシーケンス及び前記スケジューリング情報を用いることによって、前記対象物の粗い再構成のシーケンスを再構成する段階;
前記粗い再構成の各々にそれぞれのモデルを適応化させることによって、前記対象物の適応化モデルのシーケンスを生成する段階;
前記適応化モデルの各々の所定部分の動きを決定する段階;
前記データセットのシーケンスのうちの、前記所定部分の動きが最小である適応化モデルに対応する特定のデータセットを選択する段階;
前記特定のデータセットを用いて、前記対象物の少なくとも前記一部分を細かく再現したものを再構成する段階;
を実行するように適応されているプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−519801(P2009−519801A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546713(P2008−546713)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/IB2006/054702
【国際公開番号】WO2007/072281
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】