説明

封入された活性成分を放出する系および方法

【課題】化粧品、パーソナルケア製品、および家庭用品において活性物質を長期間にわたって使用環境へ放出し、放出された活性物質がこれらが放出された環境付近に残存するための系の提供。
【解決手段】1以上の吸油性ポリマー、および1以上の感水性ポリマーを含み、水に反応してトリガーされるコーティングに、1以上の活性成分を封入してなる系。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1以上の、封入されたセンサーマーカー(sensory marker)および活性成分を長時間にわたって放出する系および方法に関する。特に、本発明は、1以上の活性成分およびセンサーマーカー、たとえば芳香剤を封入する、感水性界面活性コーティング、および1以上の吸油性ポリマーに関する。コーティングが水と接触するのに応答して、活性成分は使用環境に放出され、長時間にわたって該環境付近に残留する。系はさらに、化粧品、パーソナルケア製品、および家庭用品中に含まれる活性成分の湿分トリガー放出を提供する。
【背景技術】
【0002】
香料の形態の1以上のセンサーマーカーを組み入れた組成物は、該組成物で処理された物品に心地よい香りを付与する場合をはじめとして、該組成物で処理された物品は消費者にとってより美的に心地よいというように、消費者に知覚される利益を提供する。たとえば、すすぎに投与される布柔軟仕上げ剤において、芳香剤は使用者にさわやかな感覚を与えるので望ましい成分である。しかしながら、組成物が特定の物品(たとえば織物)上に放出される環境(たとえば、織物を含む水性洗濯浴)に送達、移送または残留する香料の量はわずかであることが多い。従って、産業界では長期間持続する貯蔵安定性芳香剤を物品に提供し、使用環境に芳香剤の制御型持続放出を提供する、洗剤製品において使用される有効な香料デリバリー系を長年探究してきた。
【0003】
国際特許公開番号WO/01 40430A1号は、ゼオライト粒子などの多孔性キャリア中にロードされた香料を含むデリバリー系であって、前記のロードされたキャリア粒子を疎水性油でコーティングし、その後、油でコーティングされた香料をロードされたキャリア粒子を、水溶性または水分散可能であって油不溶性の物質、たとえばデンプンまたは加工デンプンで封入することによる系を開示している。該系は、織物が乾燥した後でさえも顕著な香りの利点をデリバリーするために十分な香料を織物に堆積(deposit)させることを要求としている。しかしながら、かかるデリバリー系においてゼオライトを香料キャリアとして使用すると、洗濯され、柔軟処理され、洗浄された物品上に持続的に香料がデリバリーされない結果となる場合が多い。ゼオライトなどの多孔性物質は水と接触すると急速に香料を放出し、かくして物品表面(たとえば、洗浄液またはすすぎ液からの物品の織物表面)上への堆積に際して粒子中に残存する香料の量が減少する。加えて、かかる粒子が乾燥製品(たとえば、粒状洗濯粉末)において用いられる場合、該粒子は典型的には有効期間が限られていることが従来技術において立証されている。多孔性ゼオライトキャリア中にロードされた液体が香料である場合、香料はデリバリー系から蒸発し、ゆっくりと封入剤から大気中または周りの洗濯粉末ベース中へ放出され、香料としての性能は貯蔵に際して失われる。一旦放出されると、乾燥製品において香料が粒子に戻るメカニズムは存在しない。この効果は、たとえば洗浄に際して芳香剤を物品の織物表面にデリバリーし、洗濯された物品の保存中、香りが長期間残ることが望ましい洗濯用途における使用が意図される製品においては不都合である。
【0004】
【特許文献1】国際特許公開番号WO/01 40430A1号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、1以上の封入された活性成分を放出する系であって、活性成分を封入するための、1以上の吸油性ポリマー、および1以上の感水性界面活性ポリマーを含むコーティングを含む系を見出した。成分の放出は、活性成分を封入するコーティングと接触する水に反応してトリガーされる。本発明の系の活性成分および芳香剤のデリバリーは、従来技術におけるデリバリー系に関連する問題を解消するものである。さらに、本発明は、化粧品、パーソナルケア製品、および家庭用品において活性物質を長期間にわたって使用環境へ放出し、放出された活性物質がこれらが放出された環境付近に残存するための系を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は1以上の吸油性ポリマー、および1以上の感水性界面活性ポリマーを含むコーティングを含む組成物から、1以上の活性成分を放出する系を提供し、ここにおいて、活性成分は(a)および(b)の組み合わせを用いて封入され、コーティングが水と接触すると活性成分は放出される。
【0007】
本発明は、1以上の活性成分を組成物から放出する系を調製する方法であって:(a)1以上の吸油性ポリマーを含むナノ粒子中に1以上の活性成分を組み入れる工程;および(b)1以上の前記感水性界面活性ポリマーをトリガー放出コーティング(triggered release coating)として使用して、該ナノ粒子を封入する工程を含む方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書において用いられる場合、「(メタ)アクリル」なる用語は、対応するアクリルまたはメタクリル酸およびその誘導体のいずれかを意味し;同様に、「アルキル(メタ)アクリレート」なる用語は、対応するアクリレートまたはメタクリレートエステルのいずれかを意味する。本明細書において用いられる場合、記載される全てのパーセンテージは特に明記しない限り関連するポリマーまたは組成物の合計重量を基準として重量パーセント(%)で表される。
【0009】
「使用環境」なる用語は、本発明のトリガー放出系を使用して活性成分が放出される、皮膚、毛髪、織物および生地を包含する任意の固体基体を意味する。「水との接触」なる用語は、水分、湿分、蒸気、水溶液および水性分散液の形態の水が、本発明のトリガー放出系と接触することを意味する。
【0010】
本発明に従って有用に使用されるポリマーは、水不溶性疎水性モノマーから調製される水性エマルジョンポリマーであり、米国特許第5,521,266号および欧州特許公開第EP1209213A1号に記載されている。本明細書において用いられる場合、「水溶性」なる用語は、モノマーについて適用される場合は、水100グラムあたり少なくとも1グラム、好ましくは水100グラムあたり少なくとも10グラム、より好ましくは水100グラムあたり少なくとも約50グラムの溶解度を有するモノマーを示す。「疎水性モノマー」とは、米国特許第5,521,266号に記載されているように、乳化重合の条件下で水溶性が低いかまたは非常に低いモノエチレン性不飽和モノマーを意味する。本明細書において用いられる場合、「水溶性が低い」または「水溶性が非常に低い」モノマーとは、25〜50℃での水溶性がそれぞれ200ミリモル/リットル水または50ミリモル/リットル水以下であるモノエチレン性不飽和モノマーを意味し、本発明において用いられる疎水性モノマーは水溶性が低いモノマーである。
【0011】
一態様によると、吸油性ポリマーはターポリマーとして調製され、ここにおいてモノマーAは(メタ)アクリル酸の残基であり、モノマーBは、C−C20アルキル(メタ)アクリレートから選択される残基であり、モノマーCはC−C24アルキル(メタ)アクリレートから選択される残基である。ターポリマーはさらに、開始剤および連鎖移動剤残基をそれぞれ含むことができる。ターポリマーは、比較的高レベル(重量%として)の疎水性モノマーと比較的低レベル(重量%として)の(メタ)アクリル酸またはアクリル酸の形態のイオン性モノマーから調製される。ターポリマーは、80重量%〜98重量%の、C−C24アルキル(メタ)アクリレートの形態の1以上の疎水性モノマーおよび0.01重量%〜20重量%の1以上のイオン性モノマーの組み合わせを含む。
【0012】
別の態様によると、架橋多エチレン性不飽和モノマーが、吸油性ポリマーの製造において用いられる。本明細書において用いられる場合、「多エチレン性」および「マルチエチレン性」なる用語は、複数のエチレン性不飽和基を有するモノマーを意味する。
【0013】
「イオン性モノマー」なる用語は、米国特許第4,880,842号に記載されているように、乳化重合条件下で水溶性であるモノエチレン性不飽和モノマーを意味する。
【0014】
A、BおよびCの重合単位からなる主鎖の重量平均分子量は、完全加水分解後のポリマー生成物に関して測定すると、1,000〜100,000の範囲である。重量平均分子量は、スチレンをスタンダードとしたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定され、重量平均分子量として表される。
【0015】
本発明の吸油性エマルジョンポリマーは、20nm〜1000nmの範囲、たとえば100nm〜600nmの平均粒子直径を有する。本明細書における粒子サイズは、Brookhaven Instruments Corporation(Holtsville NY)製造のBrookhaven BI−90型パーティクルサイザーを使用して測定されるものであり、ポリマー粒子直径は、「有効直径」として記載される。
【0016】
吸油性ポリマーは、米国特許第4,427,836号;第4,469,825号;第4,594,363号;第4,677,003号;第4,910,229号;第4,920,160号;第5,157,084号;第5,521,266号および欧州特許第EP0267726号;EP0331421号、EP0915108号およびEP1209213A1号に記載されているプロセスを包含する、従来の溶液、懸濁および乳化重合プロセスを用いた、疎水性およびイオン性モノマーのフリーラジカル重合により調製される。
【0017】
一態様によると、吸油性ポリマーは乳化重合により調製される。エチレン性不飽和モノマーからポリマー粒子の水性分散液を調製するための乳化重合技術はポリマー技術分野においてよく知られている。1回および多数回ショットバッチ乳化法、ならびに連続乳化重合法を使用することができる。加えて、所望の場合、モノマー混合物を調製し、重合容器に徐々に添加することができる。同様に、たとえば重合容器中に供給されるモノマーの組成を変えることにより、重合容器内のモノマー組成を重合中に変えることができる。一段および多段重合技術のいずれをも使用することができる。シードポリマーエマルジョンを用いてポリマー粒子を調製して、乳化重合により製造される粒子の数を制御することができ、これは当該技術分野において知られている。ポリマー粒子の粒子サイズは当該技術分野において知られているように初期界面活性剤投入量を調節することにより制御することができる。
【0018】
ポリマー粒子の凝集は、重合ミックス中にミセル形成安定化界面活性剤を含有させることにより阻止することができる。一般に、成長するコア粒子は、乳化重合中に1以上の界面活性剤により安定化され、前記界面活性剤のうちの少なくとも一つは非イオン性または両性界面活性剤またはその混合物である。これらのタイプの界面活性剤は乳化重合技術分野においてよく知られている。適当な界面活性剤の多くの例は、毎年発行されている、McCutchen’s Detergents and Emulsifiers(MC Publishing Co.,Glen Rock,N.J.)に記載されている。保護コロイドなどの他の種類の安定剤も使用することができる。
【0019】
好適なアニオン性界面活性剤の例としては、スルホスクシネート、たとえばジ(C−C25)アルキルスルホスクシネート;スルフェート、たとえば高級脂肪族アルコールスルフェート、たとえば、ラウリルスルフェート;スルホネート、たとえば、アリールスルホネート、アルキルスルホネート、およびアルキルアリールスルホネート、たとえばイソプロピルベンゼンスルホネート、イソプロピルナフタレンスルホネートおよびN−メチル−N−パルミトイルタウレート、イソチオネート、たとえばオレイルイソチオネート;などのアンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および低級アルキル第四アンモニウム塩が挙げられる。さらなる例としては、アルキルアリールポリ(エチレンオキシ)エチレンスルフェート、スルホネートおよびホスフェート、たとえばt−オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エチレンスルフェートおよびノニルフェノキシ−ポリ(エチレンオキシ)エチレンホスフェート、(いずれも1〜7のオキシエチレン単位を有する)が挙げられる。
【0020】
好適な非イオン性界面活性剤の例としては、ポリ(オキシアルキレン)アルキルフェノールエーテル、ポリ(オキシアルキレン)アルキルエーテル、脂肪酸のポリ(オキシアルキレン)エステル、ポリエチレンオキシドポリプロピレンオキシドブロックコポリマーなどが挙げられる。
【0021】
好適なカチオン性界面活性剤の例としては、第四アルキルアンモニウムハライド、ホスフェート、アセテート、ニトレート、スルフェート:ポリオキシアルキレンアミン、ポリ(エチレンオキシド)アミン、ポリオキシアルキルアミンオキシド、アルキル脂肪酸の置換イミダゾリン、アルキルベンジルジメチルアンモニウムハライド、およびアルキルピリジニウムハライドが挙げられる。
【0022】
好適な両性界面活性剤の例としては、米国特許第5,312,863号に記載されているようなイミダゾリン誘導化両性化合物が挙げられる。(式中、Rは、直鎖および分岐鎖脂肪酸からなる群から選択され、アルキレン基は8〜20個の炭素原子を有する;R1は、−((CHO)−R’(式中、x=2および3、y=0〜6、R’=H、直鎖および分岐鎖脂肪酸)、および2〜12個の炭素原子を有するアルコールから選択される;R2は分岐鎖、直鎖脂肪族および芳香族カルボン酸、スルホン酸、リン酸からなる群から選択され、アルキレン基は1〜18個の炭素原子を有する)。他のカルボキシベタイン、スルファトベタイン、スルフィトベタイン、スルホベタイン、ホスホニオベタイン、N−アルキルアミノ酸等も好適である。
【0023】
乳化重合において、水性重合媒体が使用される。水性媒体としては水が挙げられ、可溶性無機塩、非反応性水混和性補助溶剤(たとえば低級アルカノールおよびポリオール)、緩衝剤、可溶性および分散可能な重合物質(たとえば保護コロイド)、ならびに増粘剤および懸濁化剤(たとえばポリビニルアルコール、メトキシセルロール、およびヒドロキシエチルセルロース)を含有することができる。
【0024】
本発明のトリガー放出系において有用に用いられる活性成分としては、油、油溶性化合物、水溶性化合物、水不溶性化合物、疎水性化合物、フレーバー、芳香剤、香料、布柔軟仕上げ剤、漂白剤および洗剤が挙げられる。他の好適な活性成分は、化粧品、クリーナー、洗剤、パーソナルケア製品および医薬品において用いられる活性成分である。
【0025】
芳香剤を本発明の制御された系中に含有させることができる。本発明の系中に封入することができる芳香剤は任意の芳香性物質であり、調香師の好みによって選択することができる。一般論としては、かかる芳香性物質は、周囲温度で大気圧より低い蒸気圧により特徴づけられる。本明細書において用いられる高沸点芳香性物質は、ほとんどの場合常温で固体であるが、高沸点液体をも含むことができる。香料およびフレーバー用途に関して、アルデヒド、ケトン、エステルなどの物質をはじめとする様々な化学物質が知られている。さらに一般的には、天然に存在する植物および動物性油および様々な化学成分の複合混合物を含む滲出物(exudate)は、本発明において用いることができる香料としての使用に関して知られている。本発明に関して有用な香料は、組成が比較的単純な単一のアロマ化学物質であってもよいし、あるいは天然および合成化学成分の高度に洗練された複雑な混合物(全て所望の香りをもたらすために選択される)であってもよい。
【0026】
本発明において用いることができる好適な芳香剤としては、たとえば、サンダルウッド油、シベット、パチョリ油などのエキゾチックな物質を含有する木質/土性ベースの高沸点成分が挙げられる。本発明における香料は、軽い花の香りのもの、たとえば、バラエキス、スミレエキスなどの高沸点成分であってもよい。本発明における香料は、ライム、レモン、オレンジなどの所望のフルーツの香りを得るために処方することができる。香料は、織物に施用された場合に心地よい、あるいは望ましい香りを発散させる適当な化学的および物理的性質を有する任意の物質であってもよい。本発明における使用に好適な芳香性物質は、S.Arctander,Perfume Flavors and Chemicals,第IおよびII巻、Aurthor,Montclair,N.J.、およびMerck Index,第8版、Merck&Co.,Inc.,Rahway,N.J.(いずれも本発明の一部として参照される)にさらに完全に記載されている。
【0027】
よく知られているように、香料は通常、それぞれが芳香を有する多くの芳香性物質の混合物からなる。香料中の芳香性物質の数は、典型的には10以上である。香料において使用される芳香性物質は様々で;様々な化学種から得られるものであるが、一般に水不溶性油である。多くの例において、芳香性物質の分子量は150を越えるが、3000を越えない。
【0028】
本発明において用いられる香料としては、従来の芳香性物質の混合物が挙げられる。好適な香料および芳香剤としては:アセチルセドレン、4−アセトキシ−3−ペンチルテトラヒドロピラン、4−アセチル−6−t−ブチル−1,1−ジメチルインダン(「CELESTOLIDE」の商標で入手可能)、5−アセチル−1,1,2,3,3,6−ヘキサメチルインダン(「PHANTOLIDE」の商標で入手可能)、6−アセチル−1−イソプロピル−2,3,3,5−テトラメチルインダン(「TRASEOLIDE」の商標で入手可能)、アルファ−n−アミル桂皮アルデヒド、アミルサリチレート、オーブピン、オーブピンニトリル、オーランション、2−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、2−t−ブチルシクロヘキサノール、3−(p−t−ブチルフェニル)プロパナール、4−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、4−t−ブチル−3,5−ジニトロ−2,6−ジメチルアセトフェノン、4−t−ブチルシクロヘキサノール、ベンゾインシャムレシノイド、ベンジルベンゾエート、ベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、ベンジルサリチレート、ベンジルイソアミルエーテル、ベンジルアルコール、ベルガモット油、ボルニルアセテート、ブチルサリチレート、カルバクロール、シーダーアトラス油、セドリルメチルエーテル、セドリルアセテート、桂皮アルコール、シンナミルプロピオネート、シス−3−ヘキセノール、シス−3−ヘキセニルサリチレート、シトロネラ油、シトロネロール、シトロネロニトリル、シトロネリルアセテート、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、クローブリーフ油、クマリン、9−デセン−1−オール、n−デカナール、n−ドデカナール、デカノール、デシルアセテート、ジエチルフタレート、ジヒドロミルセノール、ジヒドロミルセニルホルメート、ジヒドロミルセニルアセテート、ジヒドロテルピニルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、ジメチルベンジルカルビノール、ジメチルヘプタノール、ジメチルオクタノール、ジミルセトール、ジフェニルオキシド、エチルナフチルエーテル、エチルバニリン、エチレンブラシレート、オイゲノール、ゲラニオール、ゲラニウム油、ゲラノニトリル、ゲラニルニトリル、ゲラニルアセテート、1,1,2,4,4,7−ヘキサメチル−6−アセチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(「TONALID」の商標で入手可能)、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−2−ベンゾピラン(「GALAXOLIDE」の商標で入手可能)、2−n−ヘプチルシクロペンタノン、3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1(3)H−インデン−6−イルプロピオネート(「FLOROCYCLENE」の商標で入手可能)、3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1(3)H−インデン−6−イルアセテート(「JASMACYCLENE」の商標で入手可能)、4−(4’−ヒドロキシ−4’−メチルペンチル)−3−シクロヘキセンカルバルデヒド、アルファ−ヘキシル桂皮アルデヒド、ヘリオトロピン、ヘルコリンD(Hercolyn D)、ヘキシルアルドン、ヘキシル桂皮アルデヒド、ヘキシルサリチレート、ヒドロキシシトロネラール、i−ノニルホルメート、3−イソカンフィルシクロヘキサノール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、4−イソプロピルシクロヘキシルメタノール、インドール、イオノン、イロン、イソアミルサリチレート、イソボルネオール、イソボルニルアセテート、イソブチルサリチレート、イソブチルベンゾエート、イソブチルフェニルアセテート、イソオイゲノール、イソロンギフォラノン、イソメチルイオノン、イソノナノール、イソノニルアセテート、イソプレゴール、ラバンジン油、レモングラス油、リナロール、リナリルアセテート、LRG201、1−メントール、2−メチル−3−(p−イソプロピルフェニル)プロパナール、2−メチル−3−(p−t−ブチルフェニル)プロパナール、3−メチル−2−ペンチル−シクロペンタノン、3−メチル−5−フェニル−ペンタノール、アルファおよびベータメチルナフチルケトン、メチルイオノン、メチルジヒドロジャスモネート、メチルナフチルエーテル、メチル4−プロピルフェニルエーテル、Mousse de chene Yugo、ジャコウアンブレット、ミルテノール、ネロリ油、ノナンジオール−1,3−ジアセテート、ノナノール、ノナノリド−1,4−ノポールアセテート、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−アセチル−ナフタレン(「ISO−E−SUPER」の商標で入手可能)、オクタノール、Oppoponaxレジノイド、オレンジ油、p−t−アミルシクロヘキサノン、p−t−ブチルメチルヒドロ桂皮アルデヒド、2−フェニルエタノール、2−フェニルエチルアセテート、2−フェニルプロパノール、3−フェニルプロパノール、パラ−メンタン−7−オール、パラ−t−ブチルフェニルメチルエーテル、パッチュリ油、ペラルゲン、プチグレン油、フェノキシエチルイソブチレート、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルエチルn−ブチルエーテル、フェニルエチルイソアミルエーテル、フェニルエチルフェニルアセテート、ピメントリーフ油、ローズ−d−オキシド、サンダロン、スチラリルアセテート、1,1,4,4−テトラメチル−6−アセチル−7−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(「VERSALIDE」の商標で入手可能)、3,3,5−トリメチルヘキシルアセテート、3,5,5−トリメチルシクロヘキサノール、テルピネオール、テルピニルアセテート、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロムゴール、テトラヒドロミルセノール、タイム油、トリクロロメチルフェニルカルビニルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、トリシクロデセニルプロピオネート、10−ウンデセン−1−アール、ガンマウンデカラクトン、10−ウンデセン−1−オール、ウンデカノール、バニリン、ベチベロール、ベチベリルアセテート、ベチベート油、前記アルコールのアセテートおよびプロピオネートエステル、芳香族ニトロムスクフレグランス、インダンムスクフレグランス、イソクロマンムスクフレグランスマクロサイクリックケトン、マクロラクトンムスクフレグランスおよびテトラリンムスクフレグランスが挙げられる。芳香剤および香料の他の適当な例は、欧州特許公開第EP1111034A1号に記載されている。
【0029】
香料はしばしば溶媒または希釈剤、たとえば:エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジエチルフタレートおよびトリエチルシトレートを含む。
【0030】
本発明において用いられる香料は、所望により、米国特許第4,303,679号、米国特許第4,663,068号および欧州特許公開第EP0545556A1号に開示されているような消臭特性を有することができる。
【0031】
香料の吸収は、疎水性特性を有する芳香性物質を選択するか、または疎水性油を香料中に混合することにより向上させることができる。香料の吸収を向上させる疎水性油の好適な例としては:ジブチルフタレート、アルカン混合物、たとえばイソパラフィンおよびジ(C−C10アルキル)プロピレングリコールジエステルが挙げられる。
【0032】
本発明の吸油性ポリマーナノ粒子をコーティングするための感水性界面活性ポリマーとしては、水溶性および水分散性の天然および合成ポリマーおよびコポリマー、デンプン誘導体、ポリサッカライド、親水コロイド、天然のガム、タンパク質、およびその混合物が挙げられる。
【0033】
本発明に関して有用な合成感水性ポリマーの例としては、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン無水マレイン酸コポリマー、メチルビニルエーテル無水マレイン酸コポリマー、アクリル酸コポリマー、メタクリル酸およびメタクリレートのアニオン性ポリマー、ジメチル−アミノエチルアンモニウム官能基を有するカチオン性ポリマー、ポリエチレンオキシド、水溶性ポリアミドまたはポリエステルが挙げられる。
【0034】
水溶性ヒドロキシアルキルおよびカルボキシアルキルセルロースの例としては、ヒドロキシエチルおよびカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルおよびカルボキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルおよびカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルカルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルカルボキシプロピルセルロース、ヒドロキシブチルカルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。これらのカルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩、特にナトリウムおよびカリウム誘導体も有用である。
【0035】
本発明の実施において有用なポリビニルアルコールは、ポリビニルアセテートが、約75%から約99%までの程度(加水分解度とも称する)まで加水分解された「ポリビニルアルコール」と称する部分的または完全に加水分解されたポリビニルアセテートである。かかる物質は、米国特許第5,051,222号に記載されているような実施例I〜XIVの任意の手段により調製される。
【0036】
本発明において有用に用いられるポリビニルアルコールは、約14,000ダルトン(Da)の分子量および約83%の加水分解度を有するMowiol(登録商標)3−83、Mowiol(登録商標)3−98およびGehring−Montgomery,Inc.(Warminister Pennsylvania)から商業的に入手可能な16,000ダルトン(Da)の分子量を有する完全に加水分解された(98%)ポリビニルアルコールである。他の好適なポリビニルアルコールは:約15,000〜27,000の分子量および約88%の加水分解度を有するAIRVOL(登録商標)205;15,000〜27,000の分子量および約99%の加水分解度を有し、Air Products&Chemicals,Inc.(Allentown、Pennsylvania)から商業的に入手可能なVINEX(登録商標)1025;約22,000〜26,000Daの分子量および約89%の加水分解度を有し、Du Pont Company,Polymer Products Department(Wilmington,Delaware)から商業的に入手可能なELVANOL(登録商標)51−05;約76%〜約79%の加水分解度を有するALCOTEX(登録商標)78、約86%〜約88%の加水分解度を有するALCOTEX(登録商標)F88/4(Harlow Chemical Co.Ltd.(Templefields,Harlow、Essex,England CM20 2BH)から商業的に入手可能);日本合成株式会社(日本合成化学工業、大阪市北区野崎町9−6)から商業的に入手可能なGOHSENOL(登録商標)GL−03およびGOHSENOL(登録商標)KA−20である。
【0037】
好適なポリサッカライドは、甘くないコロイド状に溶解するタイプのポリサッカライド、たとえば、天然のガム、たとえばアラビアガム、デンプン誘導体、デキストリン化および加水分解デンプンなどである。好適なポリサッカライドは、Capule(登録商標)として商業的に入手可能な水分散性加工デンプン、National Starch and Chemical Company(Bridgewater,New Jersey)から商業的に入手可能なN−Lok(登録商標);Grain Processing Corporation(Muscatine,Iowa)から商業的に入手可能なPure−Cote(商標)である。好ましい態様において、天然のガムは、TIC Gums Inc.(Belcamp,Midland)から商業的に入手可能なアラビアガムである。好適な親水コロイドは、キサンタン、マルトデキストリン、ガラクトマンナンまたはトラガカント、好ましくはマルトデキストリン、たとえばMaltrin(商標)M100、およびMaltrin(商標)M150(Grain Processing Corporation(Muscatine,Iowa)から商業的に入手可能)である。
【0038】
本発明のトリガー放出系は、1以上の感水性界面活性ポリマーでコーティングされた1以上の吸油性ポリマーナノ粒子中に封入された1以上の活性成分を含む。吸油性ポリマーナノ粒子中に封入する前に、活性成分およびセンサーマーカーを固体疎水性物質と混合することにより、センサーマーカーを含む活性成分の吸油性ポリマーナノ粒子からの放出速度をさらに持続させることができる。
【0039】
他の疎水性物質が、本発明のトリガー放出系中に含まれる。センサーマーカーおよび活性成分に加えて吸油性ポリマーナノ粒子中に組み入れられる他の疎水性物質の選択において考慮すべき事項としては、センサーマーカーおよび活性成分に対する良好なバリア特性、低い毒性および刺激性、安定性、完全性、および対象のセンサーマーカーおよび活性剤との適合性が挙げられる。本発明の組成物およびデバイスに好適なワックス物質は、約30℃から約90℃の間の融点を有し、約1〜約10の浸透点(penetration point)を有する不活性非毒性物質である。ワックス物質の例としては、天然ワックス、合成ワックスおよびその混合物が挙げられる。好適なワックスとしてはさらに、天然、再生、または合成食用ワックス、たとえば動物性ワックス、たとえば蜜蝋;植物性ワックス、たとえばカルナウバ、キャンデリラ、サトウキビ、米ぬか、およびベーベリーワックス;鉱物性ワックス、たとえば石油ワックス、たとえばパラフィンおよび微結晶性ワックス;およびこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
当業者に知られている他のワックス物質、および「Industrial Waxes」第IおよびII巻、Bennett F.A.I.C.、Chemical Publishing Company Inc.出版、1975およびMartindale、「The Extra Pharmacopeia」、The Pharmaceutical Press、第28版、pp1063−1072、1982に記載されているような好適な物質を本発明において使用することができる。
【0041】
本発明において使用することができる他の好適な脂肪(疎水性)物質および/またはグリセリド物質としては、これらに限定されるわけではないが、次の種類の脂質が挙げられる:すなわちモノ−、ジ−およびトリグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、コレステロールおよびステロイド誘導体、テルペンおよびビタミンである。本発明において使用することができる固体脂肪物質の例としては、固体水素化ひまし油および植物性油、硬質脂肪、およびその混合物が挙げられる。使用することができる他の脂肪物質としては、合成によって、または天然源からの単離によって生成させることができる食品用グレード純度のトリグリセリドが挙げられる。天然源は、動物性脂肪または植物油、たとえば大豆油を長鎖トリグリセリド(LCT)の供給源として挙げることができる。本発明における使用に好適な他のトリグリセリドは、大部分が中鎖脂肪酸(C10−C18)から構成され、これを中鎖トリグリセリド(MCT)と称する。かかるトリグリセリドの脂肪酸部分は、不飽和または多不飽和であり、様々な脂肪酸物質を有するトリグリセリドの混合物であり得る。使用することができるステロイドは、脂肪物質として、これらに限定されるわけではないが、コレステロール、コレステロールスルフェート、コレステロールヘミスクシネート、6−(5−コレステロール3ベータ−イルオキシ)ヘキシル6−アミノ−6−デオキシ−1−チオ−アルファ−D−ガラクトピラノシド、6−(5−コレステン−3ベータ−イルオキシ)ヘキシル−6−アミノ−6−デオキシ−1−チオ−アルファ−Dマンノピラノシドおよびコレステリル(4’−トリメチル35アンモニオ)ブタノエートが挙げられる。
【0042】
脂肪(疎水性)物質は、脂肪酸およびその誘導体であり、これらに限定されるわけではないが、飽和および不飽和脂肪酸、奇数および偶数の脂肪酸、シスおよびトランス異性体、および脂肪酸誘導体が挙げられ、たとえばアルコール、エステル、無水物、ヒドロキシ脂肪酸およびプロスタグランジンをはじめとする。使用することができる飽和および不飽和脂肪酸は、これらに限定されるわけではないが、直鎖または分岐鎖のいずれかの形態の12〜22個の炭素原子を有する分子が挙げられる。使用することができる飽和脂肪酸の例としては、これらに限定されるわけではないが、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸が挙げられる。使用することができる不飽和脂肪酸の例としては、これらに限定されるわけではないが、ラウリン酸、フィセテリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、およびオレイン酸が挙げられる。使用することができる分岐脂肪酸の例としては、これらに限定されるわけではないが、イソラウリン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、よびイソステアリン酸およびイソプレノイドが挙げられる。脂肪酸誘導体としては、12−(((7’−ジエチルアミノクマリン−3−イル)カルボニル)メチルアミノ)−オクタデカン酸;N−[12−(((7’ジエチルアミノクマリン−3−イル)カルボニル)メチル−アミノ)オクタデカノイル]−2−アミノパルミチン酸、Nスクシニル−ジオレオイルホスファチジルエタノールアミンおよびパルミトイル−ホモシステイン;およびその組み合わせが挙げられる。使用することができるモノ、ジおよびトリグリセリドまたはその誘導体としては、これらに限定されるわけではないが、6〜24個の間の炭素原子を有する脂肪酸または脂肪酸の混合物、ジガラクトシルジグリセリド、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロール;1,2−ジパルミトイル−sn−3スクシニルグリセロール;および1,3−ジパルミトイル−2−スクシニルグリセロールが挙げられる。
【0043】
本発明のトリガー放出系は、界面活性感湿性ポリマーにより取り囲まれ、封入され、コーティングされた、センサーマーカー、および他の様々な活性成分を含む吸油性ポリマーナノ粒子で形成される分散液である。本発明の制御放出系は:(i)必要になるまでの保存中の、活性成分ならびに香料の揮発性構成成分の保護;(ii)芳香剤および他の活性成分の湿分トリガー制御放出;および(iii)長時間にわたる芳香剤および他の活性成分の持続性放出により特徴づけられる。
【0044】
本発明の吸油性ポリマーナノ粒子は、20nm〜1000nmの範囲の平均粒子直径を有する。
【0045】
本発明はさらに、トリガー放出系の調製法であって:
(a)1以上の吸油性ポリマーの分散液中に1以上の活性成分を添加するか;または分散液を疎水性物質の融点より高い温度に加熱する工程;
(b)1以上の疎水性物質を該物質の融点より高い温度まで加熱して溶融物を形成し、センサーマーカーまたは活性成分を該溶融物中に溶解させ、該溶融物を加熱した吸油性ポリマー分散液中に添加する工程;および
(c)均質な分散液が得られるまで吸油性分散液を高剪断均質化の下で混合する工程を含む方法を提供する。
【0046】
吸油性ナノ粒子内に封入された芳香剤、他のセンサーマーカーおよび他の活性成分を含む吸油性分散液を化粧品、パーソナルケア製品、および家庭用品処方物中に組み入れると、湿分に反応した芳香剤の「バースト」が起こることが見いだされた。さらに、該系は長時間にわたって、芳香剤、および活性成分の放出速度を引き延ばすことが見いだされた。
【0047】
本発明のいくつかの態様を次の実施例において詳細に記載する。全ての比、部および百分率は、特に記載しない限り重量により表し、使用した全ての試薬は特に記載しない限り良好な商業的品質のものである。
【0048】
本発明の制御放出系中に封入するための好適な芳香成分は、log10P(Pは芳香成分のn−オクタノール−水分配係数である)の計算値により決定される低い水溶性を有する天然に得られる、または合成で得られる芳香成分である。
【0049】
多くの芳香成分のClogPが報告されている;たとえば、Pomona92データベース(Daylight Chemical Information Systems Inc.(Daylight CIS)、Irvine,Calif.から入手可能)は、多数を含み、オリジナルの文献を引用している。しかしながら、logP値は、最も好都合には「CLOGP」プログラムにより計算され、これもDaylight CISから入手可能である。このプログラムは、Pomona92データベースにおいて入手可能である場合、logP実験値も記載する。「logPの計算値」(ClogP)は、HanschおよびLeoのフラグメント法(A.Leo、Comprehensive Medicinal Chemistry、第4巻、C.Hansch,P.G.Sammens、J.B.TaylorおよびC.A.Ramsden編、295ページ、Pergamon Press、1990(本発明の一部として参照される)参照)により決定される。フラグメント法は、各芳香成分の化学構造に基づき、原子の数および種類、原子結合性および化学結合を考慮に入れる。ClogP値は、最も信頼性が高く、広く用いられるこの物理化学的特性の推定値であり、好ましくは、本発明において有用な芳香成分の選択においてlogP実験値の代わりに用いられる。
【実施例】
【0050】
OAL芳香剤制御放出系の調製
実施例1
50%の固形分を含むOAL分散液(CS−31)50グラムを50グラムのフローラル芳香剤と混合する。30%固形分を含むポリビニルアルコール溶液100グラムをOAL−芳香剤混合物に添加する。調製された最終の封入された芳香剤制御放出系は25%芳香剤を有する。
【0051】
ボディースプレー中への制御放出系の組み入れ
実施例2
実施例1の芳香剤制御放出系を含むアルコール系ボディースプレーの性能(すなわち、発汗により著しい芳香剤「バースト」をもたらす能力および長時間にわたって皮膚上での芳香剤の知覚を延長するための能力)を評価し、同じ芳香剤レベルでニート芳香剤を含む同じ生成物の性能と比較した。ボディースプレーベースはエタノールであった。
【0052】
実施例1の芳香剤制御放出系を用いて1%有効濃度でボディースプレーを調製した。1グラムの芳香剤および99グラムのエタノールをジャー中に秤取することにより対照サンプルを調製した。96グラムのエタノールをジャー中に秤取し、続いて4グラムの実施例1の混合物を添加し、次いで溶液を混合することにより、本発明の制御放出系(実施例1)を含むボディースプレーを調製した。
【0053】
生成物性能の評価−持続的消臭性
実施例3
ボディースプレーサンプルを前腕に適用した。生成物が、長時間持続する芳香剤知覚をもたらすための能力を、該生成物の適用2時間後に評価した。
【0054】
全ての評価点で、本発明の芳香剤制御放出系を含む生成物で処理された皮膚部分は、ニート物質を含む対照サンプルと比較して、高い臭いの強度をもたらすことが判明した。臭気知覚は、本来非常に主観的な判定である。手順に従って、試験されるサンプルを6人の臭気専門家の各試験官に提供し、専門家らは臭いと強度について1(最低)から10(最大)の基準で独立してランク付けする。約2より低い臭気ランキングのサンプルの臭いは、一般大衆にはほとんど分からない。
【0055】
知覚データは次の通りであった:
【表1】

これらの結果から、ニートな芳香剤を含む対照サンプルで処理された前腕は、適用後2時間でまさに臭気強度を有していたことが分かる。封入された芳香剤を含むサンプルで処理された前腕はより高い臭気強度を有していた。したがって、本発明の制御放出系は、長時間にわたって芳香剤の放出速度を持続させる。
【0056】
生成物性能の評価−湿分トリガー制御放出
実施例4
本発明の制御放出系の芳香剤「バースト」をもたらす能力を、生成物の適用1時間後に、該部分に水を噴霧することにより評価した。本発明の制御放出系を含む生成物は、該部分を湿らせることにより著しい芳香剤「バースト」をもたらし、一方、ニートな油を含む対照サンプルは「バースト」を起こさなかった。
【0057】
腋デオドラント製品中への制御放出系の組み入れ
実施例5
実施例1の芳香剤制御放出系を制汗剤ゲル処方物(Happi Magazine Formulary April 2000)中に組み入れた。
【表2】

【0058】
手順
A相成分を組み合わせ、室温で混合して均一にする。B相成分を別の容器に添加し、混合して均一にする。活性塩を混合して、無色透明溶液にする。両相の屈折率を測定する。プロピレングリコールを用いてB相を調節してB相の屈折率を上昇させるか、または水を用いて低下させ、A相の屈折率と一致させる。全体的な透明性のために屈折率は小数第4位まで一致しなければならない。ゆっくりと(300rpm)多翼混合しながらB相をA相中にゆっくりと流し込む。添加速度は、水がエマルジョン表面にたまらないように、撹拌と合わせなければならない。水相の添加が完了した後、撹拌速度を数分で1200rpmまで増大させる。これにより混合物の粘性が形成され、低粘度流動ゲルになる。混合物を低速で均質化する。堅いゲルが得られるまで混合する。ゆっくりと撹拌しながらワックスミクロスフェアを最終生成物に添加する。
【0059】
生成物性能の評価−持続的消臭特性
実施例6
デオドラントサンプルを前腕に適用した。生成物が、長時間持続する芳香剤知覚をもたらす能力を生成物の適用4時間後に評価した。
【0060】
全ての評価点で、本発明の芳香剤制御放出系を含む生成物で処理された皮膚部分は、ニート物質を含む対照サンプルと比較して、より高い臭いの強度をもたらすことが判明した。臭気知覚は、本来非常に主観的な判定である。手順に従って、試験されるサンプルを6人の臭気専門家の各試験官に提供し、専門家らは臭いと強度について1(最低)から10(最大)の基準で独立してランク付けする。約2より低い臭気ランキングのサンプルの臭いは、一般大衆にはほとんど分からない。
【0061】
知覚データは次の通りであった:
【表3】

これらの結果から、ニートな芳香剤を含む対照サンプルで処理された前腕は、適用4時間後にまさに臭気強度を有していたことが分かる。封入された芳香剤を含むサンプルで処理された前腕はより高い臭気強度を有していた。したがって、本発明の制御放出系は、長時間にわたって芳香剤の放出速度を持続させる。
【0062】
生成物性能の評価−湿分トリガー制御放出
実施例7
本発明の制御放出系の、湿分トリガー制御放出または芳香剤「バースト」をもたらす能力を、生成物を前腕に適用後した2時間後に、処理された部分に水を噴霧することにより評価した。本発明の制御放出系を含む生成物は、該部分を湿らせることにより著しい芳香剤「バースト」をもたらし、一方、ニートな油を含む対照サンプルは臭気強度が非常に低かった。
【0063】
ローション中への制御放出系の組み入れ
実施例8
実施例1の芳香剤制御放出系をハンドおよびボディーローション処方物(Happi Magazine Formulary April 2003)中に組み入れた。
【表4】

【0064】
手順
A相成分を混合しながら組み合わせ、分散し、均一になるまで80℃に加熱する。B相成分を添加し、分散するまで混合する。別に、C相成分を適当に混合しながら75℃まで加熱する。C相を混合しながらA/B相に添加する。D相を添加し、周囲温度になるまで混合する。
【0065】
実施例1の芳香剤制御放出系を使用して、2%の有効濃度でローションサンプルを調製した。2グラムの芳香剤および98グラムの調製されたローションベースをジャー中に秤取することにより対照サンプルを調製した。92グラムのエタノールをジャー中に秤取し、続いて8グラムの実施例1の混合物を調製されたボディーローションベース中に混合することにより、本発明の制御放出系(実施例1)を含むボディーローションを調製する。
【0066】
ボディーローションで処理された皮膚上での芳香剤の持続性の評価
実施例9
ボディーローションサンプルを前腕に適用した。生成物が、長時間持続する芳香剤知覚を提供する能力を生成物の適用2時間後に評価した。
【0067】
全ての評価点で、本発明の芳香剤制御放出系を含む生成物で処理された皮膚部分は、ニート物質を含む対照サンプルと比較して、より高い臭いの強度をもたらすことが判明した。臭気知覚は、本来非常に主観的な判定である。手順に従って、試験されるサンプルを6人の臭気専門家の各試験官に提供し、専門家らは臭いと強度について1(最低)から10(最大)の基準で独立してランク付けする。約2より低い臭気ランキングのサンプルの臭いは、一般大衆にはほとんど分からない。
【0068】
知覚データは次の通りであった:
【表5】

これらの結果から、ニートな芳香剤を含む対照サンプルで処理された前腕は、適用2時間後に、より低い臭気強度を有していたことが分かる。封入された芳香剤を含むサンプルで処理された前腕はより高い臭気強度を有していた。したがって、本発明の制御放出系は、長時間にわたって芳香剤の放出速度を持続させる。
【0069】
生成物性能の評価−湿分トリガー制御放出
実施例10
本発明の制御放出系の湿分トリガー放出、または発汗により芳香剤「バースト」をもたらす能力を、生成物の適用3時間後に、該部分に水を噴霧することにより評価した。本発明の制御放出系を含む生成物は、該部分を湿らせることにより著しい芳香剤「バースト」をもたらし、一方、ニートな油を含む対照サンプルは、湿分に対する応答において臭気強度が非常に低かった。
【0070】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸と、C−C20アルキル(メタ)アクリレートから選択される1以上のモノマーと、C−C24アルキル(メタ)アクリレートから選択される1以上のモノマーの重合モノマー単位を含むターポリマーである、1以上の吸油性ポリマーと、
ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン無水マレイン酸コポリマー、メチルビニルエーテル無水マレイン酸コポリマー、アクリル酸コポリマー、メタクリル酸およびメタクリレートのアニオン性ポリマー、ジメチル−アミノエチルアンモニウム官能基を含むカチオン性ポリマー、ポリエチレンオキシド、水溶性ポリアミド、水溶性ポリエステルおよびその組み合わせからなる群から選択される、1以上の感水性界面活性ポリマーを含むコーティングと
を含む組成物から1以上の活性成分を放出するシステムであって;前記活性成分が(a)前記1以上の吸油性ポリマーおよび(b)前記1以上の感水性界面活性ポリマーを含むコーティングの組み合わせを用いて封入され、かつコーティングが水と接触すると前記活性成分が放出されるシステム。
【請求項2】
吸油性ポリマーが、80重量%〜98重量%の1以上のC−C24アルキル(メタ)アクリレートおよび0.01重量%〜20重量%のアクリル酸およびメタクリル酸から選択される1以上のイオン性モノマーから調製されるポリマーを含む請求項1記載のシステム。
【請求項3】
吸油性ポリマーがナノスフェアの形態である請求項1記載のシステム。
【請求項4】
活性成分が:油、油溶性化合物、水溶性化合物、水不溶性化合物、疎水性化合物、フレーバー、芳香剤、香料、布柔軟仕上げ剤、漂白剤、洗剤およびその組み合わせからなる群から選択される請求項1記載のシステム。
【請求項5】
天然ワックス、再生ワックス、合成食用ワックス、動物性ワックス、蜜蝋、植物性ワックス、カルナウバ、キャンデリラ、サトウキビ、米ぬか、ベーベリーワックス、鉱物性ワックス、石油ワックス、パラフィンワックスおよび微結晶性ワックス、脂質、モノ−、ジおよびトリグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、コレステロールおよびステロイド誘導体、テルペン、ビタミン、固体硬化ヒマシ油、植物性油、硬質脂肪、食品用純度のトリグリセリド、動物性脂肪、植物油、大豆油、およびその混合物からなる群から選択される1以上の他の疎水性物質が組み入れられる請求項1記載のシステム。
【請求項6】
請求項1記載のシステムを含む皮膚および毛髪用パーソナルケア製品。
【請求項7】
製品が、シャンプー、リンス、コンディショナー、ローション、クリーム、スプレー、スティック、ボディーウォッシュ、ヘアスタイリング組成物およびヘアトリートメントからなる群から選択される請求項6記載のパーソナルケア製品。
【請求項8】
スプレー製品が、デオドラント、制汗剤、ボディースプレー、足用スプレー、衛生スプレー、生理用ナプキンスプレーまたは下着スプレーである請求項7記載のスプレー製品。
【請求項9】
請求項1記載のシステムを含むファブリックケア製品。
【請求項10】
製品が、液体洗濯洗剤、布柔軟仕上げ剤、ファブリックリフレッシャーおよびその組み合わせからなる群から選択される請求項9記載のファブリックケア製品。
【請求項11】
請求項1記載のシステムを含む家庭用製品。
【請求項12】
製品が、エアフレッシュナー、硬質表面クリーナーおよび食器用洗剤からなる群から選択される請求項11記載の家庭用製品。
【請求項13】
(a)(メタ)アクリル酸と、C−C20アルキル(メタ)アクリレートから選択される1以上のモノマーと、C−C24アルキル(メタ)アクリレートから選択される1以上のモノマーの重合モノマー単位を含むターポリマーである、1以上の吸油性ポリマーを含むナノ粒子中に1以上の活性成分を組み入れる工程;および(b)活性成分の放出をトリガーするコーティングとして1以上の感水性界面活性ポリマー(該感水性界面活性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン無水マレイン酸コポリマー、メチルビニルエーテル無水マレイン酸コポリマー、アクリル酸コポリマー、メタクリル酸およびメタクリレートのアニオン性ポリマー、ジメチル−アミノエチルアンモニウム官能基を含むカチオン性ポリマー、ポリエチレンオキシド、水溶性ポリアミド、水溶性ポリエステルおよびその組み合わせからなる群から選択される)を使用してナノ粒子を封入する工程を含む、組成物から1以上の活性成分を放出するシステムを調製する方法。
【請求項14】
(i)(メタ)アクリル酸と、C−C20アルキル(メタ)アクリレートから選択される1以上のモノマーと、C−C24アルキル(メタ)アクリレートから選択される1以上のモノマーの重合モノマー単位を含むターポリマーである、1以上の吸油性ポリマーの分散液中に1以上の活性成分を添加する工程;
(ii)均質な分散液が得られるまで吸油性分散液を混合する工程;および
(iii)活性成分の放出をトリガーするためのコーティングとして1以上の感水性界面活性ポリマー(該感水性界面活性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン無水マレイン酸コポリマー、メチルビニルエーテル無水マレイン酸コポリマー、アクリル酸コポリマー、メタクリル酸およびメタクリレートのアニオン性ポリマー、ジメチル−アミノエチルアンモニウム官能基を含むカチオン性ポリマー、ポリエチレンオキシド、水溶性ポリアミド、水溶性ポリエステルおよびその組み合わせからなる群から選択される)を使用して、吸油性ポリマーを封入する工程:
を含む、請求項1記載のシステムを調製する方法。
【請求項15】
(i)(メタ)アクリル酸と、C−C20アルキル(メタ)アクリレートから選択される1以上のモノマーと、C−C24アルキル(メタ)アクリレートから選択される1以上のモノマーの重合モノマー単位を含むターポリマーである、1以上の吸油性ポリマーの分散液を疎水性物質の融点より高く加熱する工程;
(ii)1以上の疎水性物質を該物質の融点より高い温度まで加熱して溶融物を形成し、さらに活性成分を該溶融物中に溶解させ、該溶融物を加熱した吸油性ポリマー分散液中に添加する工程;
(iii)吸油性分散液を均質な分散液が得られるまで混合する工程;および
(iv)活性成分の放出をトリガーするためのコーティングとして1以上の感水性界面活性ポリマー(該感水性界面活性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン無水マレイン酸コポリマー、メチルビニルエーテル無水マレイン酸コポリマー、アクリル酸コポリマー、メタクリル酸およびメタクリレートのアニオン性ポリマー、ジメチル−アミノエチルアンモニウム官能基を含むカチオン性ポリマー、ポリエチレンオキシド、水溶性ポリアミド、水溶性ポリエステルおよびその組み合わせからなる群から選択される)を使用して、吸油性ポリマーを封入する工程:
を含む、請求項5記載のシステムを調製する方法。

【公開番号】特開2008−266300(P2008−266300A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−51432(P2008−51432)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【分割の表示】特願2004−357906(P2004−357906)の分割
【原出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【出願人】(504455366)サルボナ,リミテッド・ライアビリティー・カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】Salvona,LLC.
【住所又は居所原語表記】65 Stults Road,Dayton,New Jersey 08810,United States of America
【Fターム(参考)】