説明

封書作製装置

【課題】複雑な装置構成を必要とせずにノズルの吐出不良が確認できる。
【解決手段】インクジェット方式によりノズルからインク滴を吐出する複数のインクジェットヘッドからなる印刷手段を有する印刷部10と、印刷部10で画像形成された内容物を同じく印刷部10で画像形成された封筒に封入封緘して封書を作製する封入封緘部20とを備えた封書作製装置1において、インクジェットヘッドの全てのノズルの吐出状態を確認する少なくとも各ヘッドの数に対応したノズルチェックパターンを封筒の外面の地紋パターンと同じ領域に印刷制御する制御部3を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物に所定の印刷を行う印刷部と、印刷された内容物を封筒に封入封緘する封入封緘部とを備えた封書作製装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、用紙に所望の印刷をして内容物を作成する印刷部と、作成した内容物を封筒に封入封緘する封入封緘部とを備えた封書作製装置が知られている。そして、作成される封書として、例えば請求書や見積書等の帳票類は、その性格上、文字の印字品質が信頼性を決める大きな要因となる。
【0003】
そのため、この種の内容物は、作業者の目視によって印字品質を確認するのが一般的であるが、大量の封書を作成するような場合、内容物全てを人手によって確認するのは人件費等のコストが嵩む他、多大な時間を要するという問題があった。
【0004】
そこで、このような封筒へ封入される内容物確認の効率化を図るべく、下記特許文献1の装置では、印刷された印刷対象ワークを撮像するカメラと、印刷対象の撮像により得られた画像を画像処理する画像処理装置と、印刷データを記憶しておくとともに、画像処理結果として記憶している印刷データとを比較し、印刷状態が良好であるか否かを判断する上位計算機とを備え、オペレータによる印刷状態の監視の手間を省いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−261898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される装置では、印刷した内容物を自動で識別する機能を備えており人手と時間を要さずに内容物の確認を行うことができるが、画像判断に必要なカメラ等の撮像機器や取得した画像処理等を行う処理プログラムを組み込む必要があり、装置が大型化するとともに装置単価が高額になるという問題があった。
【0007】
また、内容物の印刷状態を確認する手法として、印刷部を構成するインクジェットへッドの吐出状態を確認するためのノズルチェックパターンを封筒に印刷することも可能であるが、封筒の美観を損ねてしまうという問題があった。さらに、内容物の透視を防止するため、封筒の広範囲に亘って地紋パターンを印刷するが、地紋パターンの印刷領域は文字印刷用の領域として利用できないため、より有効に地紋パターンの印刷領域を利用したいという要望があった。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、イニシャルコストを抑え、且つ簡易的な構成で内容物の印字品質を確認することのできる封書作製装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するため、請求項1記載の封書作製装置は、インクジェット方式によりノズルからインク滴を吐出するインクジェットヘッドをインク色毎に有する印刷部と、
該印刷部で画像形成された内容物を同じく前記印刷部で画像形成された封筒に封入封緘して封書を作製する封入封緘部とを備えた封書作製装置において、
前記インクジェットヘッドのノズルの吐出状態を確認するノズルチェックパターンを前記封筒の外面の地紋パターンと同じ領域に印刷制御する制御部を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の封書作製装置は、請求項1記載の封書作製装置において、前記制御部は、前記封筒の外面に予め印刷された地紋パターンの妨げとならないように前記ノズルチェックパターンのインク色の組合せを示すノズルチェックパターンデータを作成し、当該ノズルチェックパターンデータに基づき前記地紋パターンの印刷領域に前記ノズルチェックパターンを印刷制御することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の封書作製装置は、請求項1記載の封書作製装置において、前記制御部は、地紋パターンの図柄を示す地紋パターンデータに前記ノズルチェックパターンの色の組合せを示すノズルチェックパターンデータを合成処理し、この合成したパターン合成データに基づき前記地紋パターンと前記ノズルチェックパターンとを同じ領域に印刷制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る請求項1の封書作製装置によれば、地紋パターンの印刷領域を有効利用して封筒の美観を損ねることなく印刷されたノズルチェックパターンを視認するだけで内容物の印字品質の確認を行うことができ、且つ装置構成が大掛かりになることなくイニシャルコストを抑えることができる。
【0013】
さらに、請求項2記載の封書作製装置は、封筒の外面に予め印刷された地紋パターンの妨げとならないようにノズルチェックパターンのインク色の組合せを示すノズルチェックパターンデータを作成し、当該ノズルチェックパターンデータに基づき地紋パターンの印刷領域にノズルチェックパターンを印刷制御しているため、印刷済みの地紋パターンにノズルチェックパターンが溶け込み視覚的に違和感がなく意匠性を高めるよう印刷することができる。
【0014】
また、請求項3記載の封書作製装置は、地紋パターンにノズルチェックパターンを溶け込ませるように印刷する際、地紋パターンデータに対しノズルチェックパターンデータを合成処理し、この合成したパターン合成データに基づき地紋パターン及びノズルチェックパターンを封筒の同じ領域に印刷するため、地紋パターンの印刷領域にノズルチェックパターンが溶け込んだ状態で印刷され、視覚的に違和感なく意匠性の高い封筒を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る封書作製装置が搭載される封書作製装置の構成を示す概略構成図である。
【図2】封筒用紙に予め印刷された地紋パターンに対し7種類のノズルチェックパターンを印刷した際の実施例を示す説明図である。
【図3】無地の封筒用紙に地紋パターンの機能を持たせた4種類のノズルチェックパターンを地紋パターンの印刷領域に印刷した際の実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。また、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者などによりなされる実施可能な他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれる。
【0017】
[1.装置概要]
まず、本発明に係る封書作製装置について説明する。
図1に示すように、封書作製装置1は、作製すべき封書毎に処理を行う。すなわち、封筒形状に折り加工される封筒用紙と、枚葉状の用紙である内容物に対し、共通の印刷部10を用いて適切な順序で必要な印刷を施す。次に、印刷後の封筒用紙及び内容物を封入封緘部20に送り込み、それぞれ別系統の搬送経路で搬送しながら、封筒用紙については、封筒の形態となるように封筒用紙を折るとともに、内容物にも必要に応じて折りを施す。そして、最終的に両者を封入封緘手段で合流させ、内容物を封筒に封入封緘して装置の上部に完成した封書として揃えて排出する。
なお、各部に図示される矢印は、用紙、封筒用紙及び折り工程により形成された封筒の搬送方向を示している。
【0018】
印刷部10の構成としては、封筒及び内容物となる用紙を印刷して排出する装置であり、各部を収納する筐体の内部又は側面等に、複数種類の用紙(内容物となる枚葉状の用紙や封筒用紙)を収納可能な複数の給紙トレイ(P1〜P4)と、導入路11からの用紙を搬送するループ状の搬送路12、シアン(C)、ブラック(K)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドC、K、M、Yからなる印刷手段13と、用紙を封入封緘部20に排出する第1の排出路14と、用紙をループ外に排出する第2の排出路15と、搬送路12を搬送されてきた用紙を受け入れた後に逆行させて搬送路12に戻して用紙の上下を反転させるスイッチバック路16とを備えている。
【0019】
封入封緘部20の構成としては、印刷部10の第1の排出路14から送られた封筒用紙や内容物となる用紙を受け入れて封筒用紙に内容物を封入して封緘する装置であり、印刷部10の第1の排出路14から斜め下方に延設される封筒用紙を第1の折り手段に搬送する案内路である第1の搬送経路21と、その前段から分岐して斜め下方に延設される内容物の用紙を第2の折り手段に搬送する案内路である第2の搬送経路22と、第1の搬送経路21の終端に設けられ、封筒用紙を折って封筒の形態を作製する第1の折り手段23(主折りローラA’、用紙搬送ローラD’及び第1折りローラB’で構成)と、第2の搬送経路22の終端に設けられ、用紙を折り畳むための第2の折り手段24(主折りローラA、第1折りローラB、第2折りローラC及び用紙搬送ローラDで構成)と、第1の搬送経路21と第2の搬送経路22の合流点にあり封筒用紙に必要に応じてさらに折りを与える第3の折り手段であるとともに、折られた封筒用紙に内容物を整合させた後にさらに折りを加えることにより、内容物を封筒内に包み込ませる封入処理、さらにこの封筒を封緘する封緘処理を行う封入封緘手段25(主折りローラA”、用紙搬送ローラD”、第1及び第2折りローラB”,C”で構成)と、封筒用紙の再湿糊に水を付けて接着力を発揮させ、封筒用紙を接着して封筒にするための接着手段である加水手段26と、内容物封入後の封筒における圧着領域(感圧接着剤塗布箇所)を上下から挟持して圧力を加えて感圧接着を行う圧着ローラ27と、筐体の上面に設けられ、圧着ローラ27から斜め上前方に向けて傾斜して延設された上昇経路を通じて封入封緘が完了して完成した封書を順次積み上げる排出台28と、封書を排出台28へ搬送する排出搬送部29とを備えている。
【0020】
また、封書作製装置1の印刷部10には、封書作製装置1の各部を駆動制御するのに必要な駆動制御情報等を記憶する印刷部10及び封入封緘部20共通の記憶部2と、封書作製装置1の駆動に必要な駆動情報や封書作成に関する各種制御情報を記憶する印刷部10及び封入封緘部20共通の制御部3とを備えている。
【0021】
[2.印刷部のシステム構成及び処理動作]
次に、本発明の主要部分となる印刷部10のシステム構成及び封筒に印刷する地紋パターンとノズルチェックパターンの印刷処理について説明する。
【0022】
本明細書における「地紋パターン」とは封筒に封入される内容物や封筒内面に記載された個人情報、秘匿したい情報等を用紙表面からだけでなく裏面からも見えないよう完全に秘匿するため封筒又は封筒用紙の所定箇所に印刷される透視防止用のパターンである。
また、「ノズルチェックパターン」とは印刷手段を構成する各印字ヘッドのノズルに目詰まりがあるか否かを確認するため少なくとも搭載された各ヘッドに応じた色(本例では、C、M、Y、Kの4色を使用しているので4色)が印刷されたパターンである。
なお、ノズルチェックパターンは、例えば背景が白色のときにイエローが見えにくいなど、視認により性格にノズルの不吐出が確認できない場合があるため、C、M、Y、Kの4色の他にC+Y、Y+M、M+Cを加えた計7色でパターンを構成することが好ましい。
【0023】
また、地紋パターンは、その性質上内容物の内容及び封筒内部の情報の透視を防止する必要があるため、封筒用紙における裏面側の圧着領域部分を除くほぼ全面に渡る大きさで地紋パターンを印刷され、その色や図柄等は特に限定されない。また、ノズルチェックパターンは、その性質上各ヘッドに形成された全てのノズルの吐出不良を確認する必要があるため、封筒用紙外面に印刷された地紋パターンの印刷領域において各色のパターンがそれぞれ用紙幅全体に印刷される。
【0024】
<システム構成>
印刷部10は、封書作製装置1を駆動する際の各種制御情報の他に封筒に対して地紋パターンやノズルチェックパターンの印刷に関する制御情報を記憶する記憶部2と、封筒の所定箇所に地紋パターン及びノズルチェックパターンを印刷する際の制御を行う制御部3とを備える周知のインクジェットプリンタで構成され、封筒用紙の外面に地紋とノズルチェックパターンとを印字する構成である。
【0025】
なお、印刷部10には、上記構成の他に、各種用紙を積載する給紙トレイや給紙ローラを含む給紙手段、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のインクジェットへッドで構成される印刷手段、コピー時に原稿を読み取る原稿読取手段等の構成を備えているが、何れも一般的な構成であるため、その説明を省略する。
【0026】
記憶部2は、例えば磁気的、光学的記憶媒体若しくはROM、RAM等の半導体メモリで構成され、封書作製装置1を駆動するのに必要な各種駆動情報を記憶している。また、記憶部2は、使用する封筒用紙のサイズ情報と、地紋パターンやノズルチェックパターンを封筒用紙のどの領域に印刷するかを示す印刷領域情報と、地紋パターンの図柄(文字も含む)パターンを示す地紋パターンデータ、ノズルチェックパターンの色の組合せ(少なくとも各ヘッドに対応した数)を示すノズルチェックパターンデータ、封筒用紙に地紋パターンが既に印刷されているか否かを判別するための地紋パターン印刷有無情報とを印刷制御情報として記憶している。
【0027】
また、記憶部2は、地紋パターンにノズルチェックパターンを溶け込ませるように印刷するときに選択された各パターンデータを合成処理したパターン合成データを印刷制御情報として記憶している。
【0028】
さらに、記憶部2は、予め印刷された地紋パターンにノズルチェックパターンを溶け込ませて視覚的に違和感がなく意匠性を高めるよう印刷を行うため、封筒用紙に印刷された地紋パターンの図柄を把握するための印刷済み地紋パターンデータを印刷制御情報として記憶している。
【0029】
なお、上述した各印刷制御情報は、予め設定された情報として記憶されていてもよいが、印刷ジョブを行う毎にネットワーク接続されるPCや印刷部の操作パネル等において随時設定された情報を記憶する構成でもよい。
【0030】
制御部3は、例えばCPUやROM、RAMなどで構成された各種制御処理や演算処理を行うマイクロコンピュータであり、封書作製装置1を構成する各部の駆動制御を行っている。また、制御部3は、記憶部2に記憶された印刷制御情報に基づき、封筒に対して地紋パターンやノズルチェックパターンの印刷制御を行っている。
【0031】
ここで、封筒用紙に対する地紋パターン及びノズルチェックパターンの印刷例を実施例1、2としてそれぞれ説明する。
【0032】
(実施例1)
実施例1は、図2に示すように、封筒用紙に印刷される地紋パターンの印刷領域に単にノズルチェックパターンとして各ヘッドに対応した数(C、M、Y、Kの4色)にC+Y、Y+M、M+Cを加えた計7色のパターンをベタ印刷した例である。印刷制御としては、予め設定された印刷制御情報に基づき封筒用紙の同じ領域内に地紋パターンとノズルチェックパターンとを印刷している。これにより、地紋パターンの印刷領域にノズルチェックパターンが印刷されることで、内容物を封入封緘した封書の状態であってもノズルの不吐出による印刷不良を目視により容易に確認することができる。
【0033】
また、封筒用紙に地紋パターンが既に印刷されている場合は、単に地紋パターンの印刷領域内でノズルチェックパターンの印刷箇所を指定し、地紋パターン上に重ねてノズルチェックパターンを印刷することで図2と同様の状態となる。
【0034】
(実施例2)
実施例2では、図3に示すように、封筒の意匠性を考慮して封筒用紙に地紋パターンに溶け込むようにノズルチェックパターンとして各ヘッドに対応した数(C、M、Y、Kの4色)を印刷した例である。印刷制御としては、予め設定された印刷制御情報に基づき地紋パターンにノズルチェックパターンが溶け込むよう地紋パターンデータに対しノズルチェックパターンデータを合成処理し、この合成したパターン合成データに基づき地紋パターンとノズルチェックパターンとを同じ領域に印刷している。これにより、背景となる地紋パターンにノズルチェックパターンが溶け込んでいるため、視覚的に違和感がなく意匠性を高めることができる。
【0035】
合成データの合成方法としては、地紋パターンの図柄部分の一部にノズルチェックパターンを印刷するよう地紋パターンデータに対しノズルチェックパターンデータに応じた各色のノズルチェックパターンを合成処理する方法、地紋パターンの背景にノズルチェックパターンを印刷するよう地紋パターンデータに対しノズルチェックパターンデータに応じた各色のノズルチェックパターンを合成処理する方法とがある。なお、図3は地紋パターンの背景にノズルチェックパターンを印刷するよう地紋パターンにおける図柄の間にノズルチェックパターンを印刷した例である。
【0036】
また、封筒用紙に地紋パターンが既に印刷されている場合は、封筒の意匠性を考慮して、予め設定された印刷制御情報における印刷済み地紋パターンデータに基づき、地紋パターンが印刷された領域における地紋パターンの妨げとならない箇所(例えば地紋パターンを構成する図柄と図柄の間や、地紋パターンを形成する図柄上)にノズルチェックパターンを印刷することもできる。すなわち、印刷済み地紋パターンデータに対しノズルチェックパターンデータを地紋パターンの妨げにならないように合成処理し、この合成したパターン合成データに基づき地紋パターンの印刷領域にノズルチェックパターンを印刷している。
【0037】
さらに、上記実施例の他、地紋パターンの印刷領域の一部にノズルチェックパターンを地紋パターンとして機能する図柄で印刷することもできる。このときの印刷制御としては、予め設定された印刷制御情報に基づき、地紋パターンデータに対し地紋パターンとして機能するようノズルチェックパターンデータを合成処理し、この合成したパターン合成データに地紋パターンデータに基づき地紋パターンの印刷領域の一部が地紋パターンとして機能するノズルチェックパターンとなるよう印刷している。これにより、地紋パターンの一部がノズルチェックパターンとして機能するため、視覚的に違和感なく意匠性を高めることができる。また、ノズルチェックパターンが地紋パターンとして機能する図柄であれば地紋パターンと異なる図柄であってもよい。
【0038】
<処理動作>
次に、本例の封書作製装置1における一連の処理動作について説明する。ここでは、上述した実施例1、2の印刷制御に基づく地紋パターン及びノズルチェックパターンの印刷処理動作についてのみ説明し、その前段及び後段に行われる内容物の印刷処理や封入封緘処理に関する処理内容に関しては周知の技術であるため、その説明を省略する。
【0039】
(実施例1における処理動作)
実施例1に基づく処理動作としては、まずユーザがPC又は装置の操作パネルを用いて作製したい封書に印刷する地紋パターン及びノズルチェックパターン関する印刷条件となる印刷制御情報の設定(封筒用紙のサイズ設定、封筒用紙に印刷する地紋パターンとノズルチェックパターンの選択設定、地紋パターンやノズルチェックパターンの印刷領域の設定、封筒用紙に地紋パターンが印刷されているか否かの設定)を行う。そして、これら設定した印刷制御情報を記憶部2に記憶させる。
【0040】
印刷制御情報が設定されると封書作製処理を開始し、内容物と封筒用紙の印刷処理を行う。このとき、設定された印刷制御情報に基づき封筒用紙における同じ領域に地紋パターンとノズルチェックパターンを印刷する。そして、印刷処理が施された内容物と封筒用紙を封入封緘部20に搬送し、封入封緘部20において内容物を封入封緘して封書を作製する。
【0041】
(実施例2における処理動作)
実施例2に基づく処理動作としては、まずユーザがPC又は装置の操作パネルを用いて作製したい封書に印刷する地紋パターン及びノズルチェックパターン関する印刷条件となる印刷制御情報の設定(封筒のサイズ設定、封筒用紙に印刷する地紋パターンとノズルチェックパターンの選択設定、地紋パターンやノズルチェックパターンの印刷領域の設定、封筒用紙に地紋パターンが印刷されているか否かの設定)を行う。また、地紋パターンにノズルチェックパターンが溶け込むよう地紋パターンデータに対しノズルチェックパターンデータを合成処理したパターン合成データも印刷制御情報として設定する。そして、これら設定した印刷制御情報を記憶部2に記憶させる。
【0042】
印刷制御情報が設定されると封書作製処理を開始し、内容物と封筒用紙の印刷処理を行う。このとき、合成したパターン合成データに基づき封筒用紙の同じ領域内に地紋パターンとノズルチェックパターンとを印刷する。そして、印刷処理が施された内容物と封筒用紙を封入封緘部20に搬送し、封入封緘部20において内容物を封入封緘して封書を作製する。
【0043】
以上説明したように、上述した封書作製装置1は、封書作成する際に使用する封筒用紙のサイズ情報と、地紋パターンやノズルチェックパターンを封筒用紙のどの領域に印刷するかを示す印刷領域情報と、地紋パターンの種類を示す地紋パターンデータ、ノズルチェックパターンの色の組合せ(少なくとも各ヘッドに対応した数)を示すノズルチェックパターンデータ、封筒に地紋パターンが既に印刷されているか否かを判別するための地紋パターン印刷有無情報とを印刷制御情報として設定する。そして、設定した印刷制御情報に基づき封筒用紙における同じ領域内に地紋パターンとノズルチェックパターンとを印刷するよう制御している。
【0044】
これにより、地紋パターンの印刷領域を有効利用して封筒の美観を損ねることなく印刷されたノズルチェックパターンを視認するだけで内容物の印字品質の確認を行うことができ、且つ装置構成が大掛かりになることなくイニシャルコストを抑えることができる。
【0045】
また、封筒用紙に予め地紋パターンが印刷されているような場合であっても、印刷された地紋パターンの図柄を把握するための印刷済み地紋パターンデータに地紋パターンの妨げとならないようノズルチェックパターンデータを合成処理したパターン合成データに基づき地紋パターンの印刷領域にノズルチェックパターンを印刷することで、印刷済みの地紋パターンにノズルチェックパターンを溶け込ませて視覚的に違和感がなく意匠性を高めるよう印刷することができる。
【0046】
さらに、地紋パターンにノズルチェックパターンを溶け込ませるように地紋パターンデータにノズルチェックパターンデータを合成処理したパターン合成データに基づき地紋パターン及びノズルチェックパターンの印刷制御することで、地紋パターンの印刷領域にノズルチェックパターンが溶け込んだ状態で印刷され、視覚的に違和感なく意匠性の高い封筒を作成することができる。
【0047】
ところで、上述した形態では、印刷部10において所定箇所に印刷を施した封筒用紙に封入封緘部20で折り加工を施して作成した封筒に内容物を封入封緘する装置例であるが、これに限定されることはなく、予め作成された既製の封筒を用いることもできる。この場合、印刷部10に封筒搬入用の給送トレイを設置し、そこから搬入した封筒の指定領域に地紋パターンやノズルチェックパターンを印刷することで、上述した形態と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…封書作製装置
2…記憶部
3…制御部
10…印刷部
11…導入路
12…搬送路
13…印刷手段
14…第1の排出路
15…第2の排出路
16…スイッチバック路
20…封入封緘部
21…第1の搬送経路
22…第2の搬送経路
23…第1の折り手段
24…第2の折り手段
25…封入封緘手段
26…加水手段
27…圧着ローラ
28…排出台
29…排出搬送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式によりノズルからインク滴を吐出するインクジェットヘッドをインク色毎に有する印刷部と、
該印刷部で画像形成された内容物を同じく前記印刷部で画像形成された封筒に封入封緘して封書を作製する封入封緘部とを備えた封書作製装置において、
前記インクジェットヘッドのノズルの吐出状態を確認するノズルチェックパターンを前記封筒の外面の地紋パターンと同じ領域に印刷制御する制御部を備えたことを特徴とする封書作製装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記封筒の外面に予め印刷された地紋パターンの妨げとならないように前記ノズルチェックパターンのインク色の組合せを示すノズルチェックパターンデータを作成し、当該ノズルチェックパターンデータに基づき前記地紋パターンの印刷領域に前記ノズルチェックパターンを印刷制御することを特徴とする請求項1記載の封書作製装置。
【請求項3】
前記制御部は、地紋パターンの図柄を示す地紋パターンデータに前記ノズルチェックパターンの色の組合せを示すノズルチェックパターンデータを合成処理し、この合成したパターン合成データに基づき前記地紋パターンと前記ノズルチェックパターンとを同じ領域に印刷制御することを特徴とする請求項1記載の封書作製装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−179725(P2012−179725A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42202(P2011−42202)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】