説明

封止材用透光性樹脂、該透光性樹脂を含む封止材および電子素子

【課題】透光性、耐熱性および粘着性(ベタツキ)を顕著に改善することができる封止材用透光性樹脂、該透光性樹脂を含む封止材および電子素子を提供する。
【解決手段】本発明による封止材用透光性樹脂は、末端にケイ素原子に結合した水素原子(Si−H)を有する第1ポリシロキサン、および末端にケイ素原子に結合したアルケニル基(Si−Vi)を有する第2ポリシロキサンを含み、前記ケイ素原子に結合したアルケニル基(Si−Vi)の数(nVi)に対する前記ケイ素原子に結合した水素(Si−H)の数(n)の割合(n/nVi)は、1〜1.2である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止材用透光性樹脂、それを含む封止材および電子素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(light emitting diode、LED)、有機発光装置(organic light emitting diode device、OLED device)および光ルミネッセンス(photoluminescence、PL)性表示装置などの発光素子は、家庭用家電製品、照明装置、表示装置および各種自動化機器などの多様な分野で応用されている。
【0003】
これら発光素子は、発光体を用いて青色、赤色および緑色のような発光物質の固有の色を表示することができ、互いに異なる色を表示する発光体を組み合わせて白色を表示することも可能である。
【0004】
このような発光素子は、一般にパッケージング(packaging)または密封(encapsulation)された構造で製造される。そして、このようなパッケージングまたは密封構造は、発光体から放出された光を外部に透過させることができる透光性樹脂からなる封止材によって形成される。
【0005】
このような透光性樹脂(封止材)は、光が透過する位置にあるため、透光性樹脂の光の透過度(透光性)および耐熱性などの特性が、封止材が実装される発光素子等の電子素子の光効率に影響を与える。したがって、耐熱性および耐光性が比較的低いエポキシ系封止材の代用として、シロキサン系封止材が提案されている(たとえば、特許文献1および特許文献2)。
【0006】
また、封止材は、発光体を覆う構造で形成されるため、発光素子の表面に位置する。したがって、封止材の製造工程中に封止材が露出し、その粘着性(ベタツキ)に起因して隣接する封止材と互いに接着することがある。その結果、製造工程において生産性が低下するという不都合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−341101号公報
【特許文献2】特開2007−270004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電子素子の光効率をさらに向上させるため、透光性樹脂からなる封止材の透光性及び耐熱性をさらに向上させる技術が求められている。また、製造工程における生産性の向上のため、封止材の粘着性を改善する技術が求められている。
【0009】
したがって、本発明の目的は、透光性樹脂の物理的特性、特に、透光性および耐熱性を改善して電子素子の光効率の低下を防止すると共に、生産性を高めることができる封止材用透光性樹脂を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、前記透光性樹脂を含む封止材を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、前記封止材を含む電子素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の技術的課題を解決するために、本発明によれば、末端にケイ素原子に結合した水素原子(Si−H)を有する第1ポリシロキサン、および末端にケイ素原子に結合したアルケニル基(Si−Vi)を有する第2ポリシロキサンを含み、前記ケイ素原子に結合したアルケニル基(Si−Vi)の数(nVi)に対する前記ケイ素原子に結合した水素(Si−H)の数(n)の割合(n/nVi)は、1〜1.2である封止材用透光性樹脂が提供される。
【0013】
前記ケイ素原子に結合したアルケニル基(Si−Vi)の数(nVi)に対する前記ケイ素原子に結合した水素原子(Si−H)の数(n)の割合(n/nVi)は、1.05〜1.15であると好ましい。
【0014】
前記第1ポリシロキサンは、下記の化学式1で表されるものであると好ましい。
【0015】
【化1】

【0016】
前記化学式1において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換のC1〜C30アルキル基、置換または非置換のC3〜C30シクロアルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基、置換または非置換のC7〜C30アリールアルキル基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキル基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC2〜C30アルキニル基、置換または非置換のC1〜C30アルコキシ基、置換または非置換のC1〜C30カルボニル基、ヒドロキシ基またはこれらの組み合わせであり、0<M1<1、0<D1<1、0≦T1<1、0≦Q1<1であり、M1+D1+T1+Q1=1であり、前記化学式1に存在するR〜Rのうちの少なくとも一つは、水素原子である。
【0017】
前記第2ポリシロキサンは、下記の化学式2で表されるものであると好適である。
【0018】
【化2】

【0019】
前記化学式2において、R〜R12は、それぞれ独立して、置換または非置換のC1〜C30アルキル基、置換または非置換のC3〜C30シクロアルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基、置換または非置換のC7〜C30アリールアルキル基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキル基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC2〜C30アルケニル基、置換または非置換のC2〜C30アルキニル基、置換または非置換のC1〜C30アルコキシ基、置換または非置換のC1〜C30カルボニル基、ヒドロキシ基またはこれらの組み合わせであり、0<M2<1、0<D2<1、0<T2<1、0≦Q2<1であり、M2+D2+T2+Q2=1であり、前記化学式2に存在するR〜R12のうちの少なくとも一つは、置換または非置換のC2〜C30アルケニル基である。
【0020】
前記第1ポリシロキサンの含有量は、前記封止材用透光性樹脂中に含まれるポリシロキサンの総重量に対して50重量%よりも少なく、前記第2ポリシロキサンの含有量は、前記封止材用透光性樹脂中に含まれるポリシロキサンの総重量に対して50重量%よりも多いものであるとよい。
【0021】
前記透光性樹脂は、ヒドロシリル化触媒をさらに含んでいてもよい。
【0022】
さらに本発明によれば、上述した封止材用透光性樹脂を硬化することにより得られた封止材が提供される。
【0023】
前記封止材は、入射光の波長が450nmのとき、光透過率(T)が80〜100%であると好ましい。
【0024】
前記封止材は、120℃で500時間加熱した後の光透過率と、前記加熱を行う前の光透過率の差(△T)が15%よりも小さいものであると好適である。
【0025】
前記封止材は、180℃で150時間加熱した後の光透過率と、前記加熱を行う前の光透過率の差(△T)が15%よりも小さいものであると好ましい。
【0026】
前記封止材は、ボールタック方式により測定した粘着性が100kgfよりも小さいものであると好ましい。
【0027】
さらに本発明によれば、前記封止材を含む電子素子が提供される。
【0028】
前記電子素子には、発光ダイオード、有機発光装置、光ルミネッセンス性表示装置または太陽電池が含まれうる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、良好な透光性を維持すると共に、耐熱性および粘着性(ベタツキ)を顕著に改善することができる封止材用透光性樹脂、該透光性樹脂を含む封止材および電子素子が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、当業者が容易に実施することができるように詳細に説明する。しかしながら、本発明は多様な形態で実現することができ、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0031】
本明細書において「置換」とは、別途の定義がない限り、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、アルキル基、C2〜C20のアルケニル基、C2〜C20アルキニル基、C6〜C30アリール基、C7〜C30のアリールアルキル基、C1〜C30アルコキシ基、C1〜C20のヘテロアルキル基、C3〜C20のヘテロアリールアルキル基、C3〜C30シクロアルキル基、C3〜C15のシクロアルケニル基、C6〜C15のシクロアルキニル基、C3〜C30ヘテロシクロアルキル基およびこれらの組み合わせから選択された置換基で置換されたものを意味する。
【0032】
また、本明細書において「ヘテロ」は、別途の定義がない限り、N、O、SおよびPから選択されたヘテロ原子を1〜3個含有したものを意味する。
【0033】
さらに、本明細書において「これらの組み合わせ」とは、別途の定義がない限り、封止材用透光性樹脂に複数の部分構造が含まれる場合において、当該複数の部分構造が互いに異なる構造であってもよいことを意味する。例えば、封止材用透光性樹脂に[化学式1]で表される部分構造が2つ含まれる場合において、2つの[化学式1]で表される部分構造における対応する置換基(例えば、R同士等)は、それぞれ同じものであっても、互いに異なるものであってもよい。
【0034】
さらにまた、本明細書において「〜」で示される数値範囲は、「〜」の前に記載された数値以上であり、且つ「〜」の後に記載された数値以下であることを示す。
【0035】
以下、一実施形態による封止材用透光性樹脂について説明する。
【0036】
本発明において、封止材用透光性樹脂は、一種類のポリシロキサンを含み、そのポリシロキサンがケイ素原子に結合した水素原子およびケイ素原子に結合したアルケニル基の両方を含んでいる態様であってもよい。また、封止材用透光性樹脂が少なくとも二種類のポリシロキサンを含み、それぞれのポリシロキサンがケイ素原子に結合した水素原子、およびケイ素原子に結合したアルケニル基を独立して有していてもよい。すなわち、一実施形態において、封止材用透光性樹脂は、末端にケイ素原子に結合した水素原子(Si−H)を有すると共にケイ素原子に結合したアルケニル基(Si−Vi)を有さない第1ポリシロキサン、およびケイ素原子に結合したアルケニル基(Si−Vi)を有すると共にケイ素原子に結合した水素原子(Si−H)を有さない第2ポリシロキサンを含む態様であってもよい。
【0037】
前記第1ポリシロキサンは、下記の化学式1で表される構造を有していると好ましい。
【0038】
【化3】

【0039】
前記化学式1において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1〜C30アルキル基、置換または非置換のC3〜C30シクロアルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基、置換または非置換のC7〜C30アリールアルキル基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキル基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC2〜C30アルキニル基、置換または非置換のC1〜C30アルコキシ基、置換または非置換のC1〜C30カルボニル基、ヒドロキシ基またはこれらの組み合わせであり、0<M1<1、0<D1<1、0≦T1<1、0≦Q1<1であり、M1+D1+T1+Q1=1であり、前記化学式1に存在するR〜Rのうちの少なくとも一つは、水素である。なお、前記M1、D1、T1およびQ1は、それぞれモル比である。また、本明細書中の式では、ポリオルガノシロキサンに関する慣例の記載方法を用いており、分数の下付き文字は酸素原子がそれぞれ2つのケイ素原子に結合していることを示す。なお、「化学式1に存在するR〜Rのうち少なくとも1つは水素である」とは、例えば、T1,Q1=0であるとき、化学式1中にはR〜Rしか存在しないため、R〜Rのうちの少なくとも1つは水素であることを示す。
【0040】
〜Rの具体例としては、特に制限されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基などのアリールアルキル基;−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CHなどのヘテロアルキル基;オキシラニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基などのヘテロシクロアルキル基;プロパルギル基などのアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンゾイルオキシ基などのカルボニル基が挙げられる。これらのうち、好ましくは、メチル基、フェニル基である。
【0041】
前記第2ポリシロキサンは、下記の化学式2で表される構造を有していると好ましい。
【0042】
【化4】

【0043】
前記化学式2において、R〜R12は、それぞれ独立して、置換または非置換のC1〜C30アルキル基、置換または非置換のC3〜C30シクロアルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基、置換または非置換のC7〜C30アリールアルキル基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキル基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC2〜C30アルケニル基、置換または非置換のC2〜C30アルキニル基、置換または非置換のC1〜C30アルコキシ基、置換または非置換のC1〜C30カルボニル基、ヒドロキシ基またはこれらの組み合わせであり、0<M2<1、0<D2<1、0<T2<1、0≦Q2<1であり、M2+D2+T2+Q2=1であり、前記化学式2に存在するR〜R12のうちの少なくとも一つは、置換または非置換のC2〜C30アルケニル基である。なお、前記M2、D2、T2およびQ2は、それぞれモル比である。また、本明細書中の式では、ポリオルガノシロキサンに関する慣例の記載方法を用いており、分数の下付き文字は酸素原子がそれぞれ2つのケイ素原子に結合していることを示す。なお、「化学式2に存在するR〜R12のうち少なくとも1つは水素である」とは、例えば、T2,Q2=0であるとき、化学式2中にはR〜R12しか存在しないため、R〜R11のうちの少なくとも1つは水素であることを示す。
【0044】
〜R12の具体例としては、特に制限されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基などのアリールアルキル基;−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CHなどのヘテロアルキル基;オキシラニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基などのヘテロシクロアルキル基;ビニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、ウンデセニル基などのアルケニル基;プロパルギル基などのアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンゾイルオキシ基などのカルボニル基が挙げられる。これらのうち、好ましくは、メチル基、フェニル基またはビニル基である。
【0045】
ここで、末端に位置するケイ素原子に結合した水素(Si−H)を有する第1ポリシロキサンとケイ素原子に結合したアルケニル基(Si−Vi)を有する第2ポリシロキサンとを共に含むことによって、封止材用透光性樹脂の架橋結合および硬化度を調節することができる。
【0046】
この時、前記封止材用透光性樹脂は、前記ケイ素原子に結合したアルケニル基(Si−Vi)の数(nVi)に対する前記ケイ素原子に結合された水素原子(Si−H)の数(n)の割合(n/nVi)は、1〜1.2であるとよい。前記範囲内で前記ケイ素原子に結合したアルケニル基(Si−Vi)の数(nVi)に対する前記ケイ素原子に結合された水素原子(n)の数(n)の割合(n/nVi)は、1.05〜1.15であるとさらに好適であり、その中でも1.10であるとよい。
【0047】
なお、ケイ素原子に結合した水素原子の数(n)およびケイ素原子に結合したアルケニル基の数(nVi)は、シロキサンのH−NMRを測定し、それぞれケイ素原子に結合した水素原子、ケイ素原子に結合したアルケニル基に帰属されるプロトン(H)の積分値によって求めることができる。
【0048】
ケイ素原子に結合した水素(Si−H)の数(n)と前記ケイ素原子に結合したアルケニル基(Si−Vi)の数(nVi)との割合(n/nVi)が前記範囲に含まれることによって、硬化された透光性樹脂の透光性を良好に維持しながらも耐熱性および粘着性を改善することができる。
【0049】
具体的に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si−H)の数(n)と前記ケイ素原子に結合したアルケニル基(Si−Vi)の数(nVi)との割合(n/nVi)が前記範囲で含まれた封止材用透光性樹脂は、硬化させた後、波長が450nmの入射光を基準としたときに、光透過率(transmittance、T)が80〜100%であり、高温(具体的には、120℃〜180℃)で長時間(具体的には、150〜500時間)加熱されたときにも、加熱前後における前記光透過率の差(△T)が15%よりも小さいものを得ることができる。つまり、封止材用透光性樹脂は、耐熱性が確保され、高温で長時間露出されたときにも黄変などにより光透過率が顕著に低下することを防止することができる。
【0050】
また、ケイ素原子に結合された水素原子(Si−H)の数(n)と前記ケイ素原子に結合したアルケニル基(Si−Vi)の数(nVi)との割合(n/nVi)が前記範囲で含まれた透光性樹脂は、硬化させた後の粘着性(tackiness)について、ボールタック方式により測定した粘着性が100kgfよりも小さいものを得ることができる。ここで、粘着性(ベタツキ)は、硬化された封止材用透光性樹脂の表面での粘着程度を意味し、粘着性が強い場合、封止材用透光性樹脂を硬化して封止材を製造する封止材生産段階において、隣接した封止材と互いに接着しやすくなるため、生産効率が低下し、生産性が低下することがある。
【0051】
本発明によれば、末端にケイ素原子に結合した水素原子(Si−H)を有する第1ポリシロキサンと末端にケイ素原子に結合したアルケニル基(Si−Vi)を有する第2ポリシロキサンを含む封止材用透光性樹脂において、前記ケイ素原子に結合されたアルケニル基(Si−Vi)の数(nVi)に対する、前記ケイ素原子に結合された水素原子(Si−H)の数(n)の割合(n/nVi)が前記範囲(すなわち、1〜1.2、より好ましくは、1.05〜1.15)内となるように調製されることによって、封止材用透光性樹脂の透光性を良好に保持するとともに、耐熱性および粘着性が顕著に改善されることを確認した。
【0052】
前記第1ポリシロキサンの重量平均分子量は、100〜10、000g/molであると好ましく、その中でも100〜3、000g/molであるとよく、最も好ましくは750〜2、500g/molである。
【0053】
前記第1ポリシロキサンは、封止材用透光性樹脂中に含まれるポリシロキサンの総重量に対して50重量%よりも少ないと好ましく、より好ましくは1〜35重量%の範囲であり、更に好ましくは12〜18重量%の範囲であり、最も好ましくは14〜15.5重量%の範囲である。
【0054】
前記第2ポリシロキサンの重量平均分子量は、1、000〜100、000g/molであると好ましく、その中でも1、000〜20、000g/molであるとさらに好適である。
【0055】
前記第2ポリシロキサンは、封止材用透光性樹脂中に含まれるポリシロキサンの総重量に対して50重量%よりも多いと好ましく、より好ましくは65〜99重量%の範囲であり、更に好ましくは81〜88重量%の範囲であり、最も好ましくは84.5〜86重量%の範囲である。
【0056】
前記封止材用透光性樹脂は、炭素−炭素二重結合を有するシロキサン化合物と、ケイ素−水素結合を有するシロキサン化合物とのヒドロシリル化触媒をさらに含んでいてもよい。前記ヒドロシリル化触媒は、前記第1ポリシロキサンおよび前記第2ポリシロキサンのヒドロシリル化反応を促進させることができ、例えば、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウムまたはこれらの組み合わせを中心金属として含む触媒である。具体的には、特に制限されないが、例えば、Speier触媒(塩化白金酸;HPtCl)、塩化白金酸と1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメトキシジシロキサンとの反応によって得られるカールシュテット(Karstedt)触媒(PS−CS−1.8CS,PS−CS−2.0CS)が挙げられる。
【0057】
前記ヒドロシリル化触媒は、触媒に含まれる金属量が、透光性樹脂組成物の総量に対して0.1ppm〜1000ppmの範囲で含まれていると好適である。
【0058】
また、前記封止材用透光性樹脂は触媒抑制剤をさらに含んでいてもよく、前記触媒抑制剤の含有量は、前記封止材用透光性樹脂の総重量に対して0.001〜1重量%の範囲であると好ましい。
【0059】
前記透光性樹脂組成物は、上述した成分以外に接着増進剤(adhesion promoter)をさらに含むことができ、接着増進剤は、例えば、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0060】
前記封止材用透光性樹脂は、硬化されて電子素子の封止材として使用することができる。硬化方法としては、例えば、基板上に封止材用透光性樹脂を0.01〜3mmの厚さでコーティングした後、100〜300℃で1〜10時間、加熱して反応させて硬化させる方法を用いることができる。
【0061】
ここで、電子素子は、例えば、発光ダイオード、有機発光装置、光ルミネッセンス性表示装置または太陽電池を含んでもよいが、これに限定されない。
【0062】
前記封止材用透光性樹脂により形成された封止材は、高透過率を有しながらも高温で長時間露出したときに、黄変したり劣化したりすることを防止して耐熱性を確保することができる。さらに、前記封止材用透光性樹脂により形成された封止材は、粘着性が少なく、生産効率を改善することができる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例を通じて上述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0064】
[封止材用透光性樹脂の製造]
(合成例1:第1ポリシロキサンの製造)
水とトルエンを5:5重量比で混合した混合溶媒1kgを3口フラスコに投入した後、23℃に維持しながら、ジフェニルジクロロシラン(diphenyldichlorosilane)とテトラメチルジシロキサン(tetramethyldisiloxane)を40:60モル比で混合して、50℃で3時間加熱しながら縮重合反応を行った。続いて、室温で冷却した後、水層を除去してトルエンに溶解した高分子溶液を調製した。得られた高分子溶液を水で洗浄して、反応副産物である塩素を除去した。続いて、中性の高分子溶液を減圧蒸留し、トルエンを除去して液体ポリシロキサンを得た。
【0065】
得られたポリシロキサンをゲル透過クロマトグラフィー(gel permeation chromatography)を使用して分子量を測定した結果、ポリスチレン換算分子量が750g/molであり、H−NMR、Si−NMRおよび元素分析器を使用して化学式Aの構造を確認した。ここで、Meはメチル基、Phはフェニル基、Hは水素原子、Siはケイ素原子である。
【0066】
【化5】

【0067】
(合成例2:第2ポリシロキサンの製造)
水とトルエンを5:5重量比で混合した混合溶媒1kgを3口フラスコに投入した後、23℃に維持しながら、フェニルトリクロロシラン(phenyltrichlorosilane)、フェニルメチルジクロロシラン(phenylmethyldichlorosilane)およびビニルジメチルクロロシラン(vinyldimethylchlorosilane)を27:55:18モル比で混合して、90℃で3時間加熱還流しながら縮重合反応を行った。続いて、室温で冷却した後、水層を除去してトルエンに溶解された高分子溶液を製造した。得られた高分子溶液を水で洗浄して、反応副産物である塩素を除去した。続いて、中性の高分子溶液を減圧蒸留し、トルエンを除去して液体ポリシロキサンを得た。
【0068】
得られたポリシロキサンをゲル透過クロマトグラフィー(gel permeation chromatography)を使用して分子量を測定した結果、ポリスチレン換算分子量が2,500g/molであり、H−NMR、Si−NMRおよび元素分析器を使用して化学式Bの構造を確認した。ここで、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基、Siはケイ素原子である。
【0069】
【化6】

【0070】
(実施例1)
上記(合成例1)のように合成して得られた、水素を含む第1ポリシロキサン13.6重量%および上記(合成例2)のように合成して得られた、末端にビニル基を含む第2ポリシロキサン86.4重量%を混合した後、Ptの含量が2ppmになるようにPS−CS−2.0CS(unicore社製造)を添加した。触媒抑制剤として、TCI社製surfynol(登録商標)を0.002重量%で添加した。ここで、ケイ素−水素結合(Si−H)の数(n)およびケイ素−アルケニル基結合(Si−Vi)の数(nVi)の割合(n/nVi)は、1.00であった。
【0071】
続いて、基板上に混合した溶液を1mm厚さにコーティングした後、150℃で2時間加熱して硬化し、硬化物試料片を形成した。
【0072】
(実施例2)
上記(合成例1)のように合成して得られた、末端に水素を含む第1ポリシロキサン14.2重量%部および上記(合成例2)のように合成して得られた、末端にビニル基を含む第2ポリシロキサン85.8重量%を混合した後、Ptの含量が2ppmになるようにPS−CS−2.0CS(unicore社製造)を添加した。触媒抑制剤として、TCI社製surfynol(登録商標)を0.002重量%で添加した。ここで、ケイ素−水素結合(Si−H)の数(n)およびケイ素−アルケニル基結合(Si−Vi)の数(nVi)の割合(n/nVi)は、1.05であった。
【0073】
続いて、基板上に混合した溶液を1mm厚さにコーティングした後、150℃で2時間加熱して硬化し、硬化物試料片を形成した。
【0074】
(実施例3)
上記(合成例1)のように合成して得られた、末端に水素を含む第1ポリシロキサン14.8重量%および上記(合成例2)のように合成して得られた、末端にビニル基を含む第2ポリシロキサン85.2重量%を混合した後、Ptの含量が2ppmになるようにPS−CS−2.0CS(unicore社製造)を添加した。触媒抑制剤として、TCI社製surfynol(登録商標)を0.002重量%で添加した。ここで、ケイ素−水素結合(Si−H)の数(n)およびケイ素−アルケニル基結合(Si−Vi)の数(nVi)の割合(n/nVi)は、1.10であった。
【0075】
続いて、基板上に混合した溶液を1mm厚さにコーティングした後、150℃で2時間加熱して硬化し、硬化物試料片を形成した。
【0076】
(実施例4)
上記(合成例1)のように合成して得られた、末端に水素を含む第1ポリシロキサン15.3重量%および上記(合成例2)のように合成して得られた、末端にビニル基を含む第2ポリシロキサン84.7重量%を混合した後、Ptの含量が2ppmになるようにPS−CS−2.0CS(unicore社製造)を添加した。触媒抑制剤として、TCI社製surfynol(登録商標)を0.002重量%で添加した。ここで、ケイ素−水素結合(Si−H)の数(n)およびケイ素−アルケニル基結合(Si−Vi)の数(nVi)の割合(n/nVi)は、1.15であった。
【0077】
続いて、基板上に混合した溶液を1mm厚さにコーティングした後、150℃で2時間加熱して硬化し、硬化物試料片を形成した。
【0078】
(実施例5)
上記(合成例1)のように合成して得られた、末端に水素を含む第1ポリシロキサン15.9重量%および上記(合成例2)のように合成して得られた、末端にビニル基を含む第2ポリシロキサン84.1重量%を混合した後、Ptの含量が2ppmになるようにPS−CS−2.0CS(unicore社製造)を添加した。ここで、ケイ素−水素結合(Si−H)の数(n)およびケイ素−アルケニル基結合(Si−Vi)の数(nVi)の割合(n/nVi)は、1.20であった。
【0079】
続いて、基板上に混合した溶液を1mm厚さにコーティングした後、150℃で2時間加熱して硬化し、硬化物試料片を形成した。
【0080】
(比較例1)
上記(合成例1)のように合成して得られた、前記化学式Aで表される第1ポリシロキサン11.2重量%および上記(合成例2)のように合成して得られた、前記化学式Bで表される第2ポリシロキサン88.8重量%を混合した後、ヒドロシリル化触媒であるPt−CS2.0(unicore社製)を、反応溶液中のPt濃度が2ppmになるように添加した。触媒抑制剤として、TCI社製surfynol(登録商標)を0.002重量%で添加した。ここで、ケイ素−水素結合(Si−H)およびケイ素−アルケニル基結合(Si−Vi)の比率(Si−H/Si−Vi)は、0.8であった。
【0081】
続いて、基板上に混合した溶液を1mm厚さにコーティングした後、150℃で2時間加熱して硬化し、硬化物試料片を形成した。
【0082】
(比較例2)
上記(合成例1)のように合成して得られた、末端に水素を含む第1ポリシロキサン19.1重量%および上記(合成例2)のように合成して得られた、末端にビニル基を含む第2ポリシロキサン80.9重量%を混合した後、Ptの含量が2ppmになるようにPS−CS−2.0CS(unicore社製造)を添加した。ここで、ケイ素−水素結合(Si−H)の数(n)およびケイ素−アルケニル基結合(Si−Vi)の数(nVi)の割合(n/nVi)は、15.00であった。
【0083】
続いて、基板上に混合した溶液を1mm厚さにコーティングした後、150℃で2時間加熱して硬化し、硬化物試料片を形成した。
【0084】
[封止材用透光性樹脂の評価]
(評価−1:耐熱性試験1)
実施例1〜5および比較例1、2による硬化された封止材用透過性樹脂の初期光透過率および加熱後の光透過率を測定し、耐熱性を評価した。
【0085】
初期光透過率は、前記硬化された封止材用透光性樹脂をUV−spectrophotometer(UV−3600、株式会社島津製作所製)を使用して、測定波長を450nmとして測定した。
【0086】
耐熱性は、前記硬化された封止材用透光性樹脂を10mm厚さのセル(cell)に入れて120℃で500時間加熱後、同様の方法で光透過度率を測定し、初期光透過率と比較することにより評価した。
【0087】
その結果について表1を参照して説明する。
【0088】
【表1】

【0089】
表1を参照すれば、実施例1〜5による封止材用透光性樹脂は、初期透過率と120℃で500時間加熱した後の透過率との差異が15%以内であることが分かる。また、実施例1〜5による封止材用透光性樹脂は、加熱前後においていずれも透過率が80%以上(すなわち、80〜100%)であることが示されている。したがって、n/nViが1.00〜1.20の範囲であるとき(さらに、第1ポリシロキサンの含有量が封止材用透光性樹脂中に含まれるポリシロキサンの総重量に対して50重量%よりも少なく、第2ポリシロキサンの含有量が封止材用透光性樹脂中に含まれるポリシロキサンの総重量に対して50重量%よりも多く調製されているとき)、良好な耐熱性を得ることができる。
【0090】
また、前記実施例の中で実施例2、3および4による封止材用透光性樹脂は、120℃で500時間加熱した前後における透過率の差(減少分、ΔT)が7%以下であり、加熱の前後で透過率が大きく変化せず、耐熱性の点でより優れていることが分かる。したがって、n/nViが1.05〜1.15の範囲である時、特に高い耐熱性を得ることができる。
【0091】
さらに、実施例3(すなわち、n/nVi=1.10)による封止材用透光性樹脂は、透過率の差(減少分、ΔT)が1.3%であり、本実施例中、耐熱性が最も優れていることが分かる。
【0092】
これに対して、比較例1、2による封止材用透光性樹脂は、120℃で500時間加熱した後、光透過率が20%以上の減少を示すことが分かる。
【0093】
これらの結果から実施例1〜5による封止材用透光性樹脂は、十分な透過率を維持するとともに、耐熱性が改善されたことを確認した。
【0094】
(評価−2:耐熱性試験2)
実施例1〜5および比較例1、2による硬化された封止材用透過性樹脂を、上記(評価−1)よりも高い温度条件で耐熱性を再度評価した。
【0095】
初期光透過率は、上記(評価−1)で測定した通りである。
【0096】
耐熱性は、前記硬化された封止材用透光性樹脂を180℃で150時間加熱後、同様の方法で光透過率を測定し、初期光透過率と比較することにより評価した。
【0097】
その結果について表2を参照して説明する。
【0098】
【表2】

【0099】
表2を参照すれば、実施例1〜5による透光性樹脂は、初期透過率と180℃で150時間加熱した後の透過率との差異が15%以内であることが分かる。また、実施例1〜5による封止材用透光性樹脂は、加熱前後においていずれも透過率が80%以上(すなわち、80〜100%)であることが示されている。したがって、n/nViが1.00〜1.20の範囲であるとき(さらに、第1ポリシロキサンの含有量が封止材用透光性樹脂中に含まれるポリシロキサンの総重量に対して50重量%よりも少なく、第2ポリシロキサンの含有量が封止材用透光性樹脂中に含まれるポリシロキサンの総重量に対して50重量%よりも多く調製されているとき)、良好な耐熱性を得ることができる。
【0100】
また、前記実施例の中で実施例2、3および4による透光性樹脂は、透過度減少率が7%以下であり、加熱の前後で透過率が大きく変化せず、耐熱性の点でより優れていることが分かる。したがって、n/nViが1.05〜1.15の範囲である時、特に高い耐熱性を得ることができる。
【0101】
さらに、実施例3(すなわち、n/nVi=1.10)による封止材用透光性樹脂は、透過率の差(減少分、ΔT)が1.9%であり、本実施例中、耐熱性が最も優れていることが分かる。
【0102】
これに対して、比較例1、2による封止材用透光性樹脂は、180℃で150時間加熱した後、光透過率が20%以上の減少を示すことが分かる。
【0103】
これらの結果から実施例1〜5による封止材用透光性樹脂は、十分な透過率を維持するとともに、耐熱性が改善されたことを確認した。
【0104】
(評価−3:粘着性試験)
実施例1〜5および比較例1、2による硬化された透過性樹脂の粘着性(ベタツキ・タック性)を測定した。
粘着性は、TopTac 2000A(YEONJIN社製)を使用し、硬化された封止材用透光性樹脂に対し、一定の荷重を加えた後、封止材用透光性樹脂を引きはがす際の力の大きさ(ピーク値)を測定することにより評価した。TopTac 2000Aはボール(ball)が測定対象となる試料片(通常は粘着剤または接着剤)に一定の荷重を加えた後、引きはがす際に得られる力を測定するボールタック(Ball Tack)方式で測定対象の粘着性を測定するものであり、具体的な試験条件は以下の通りである。
【0105】
機器:TopTac 2000A
試験治具:1inch Half Ball、SS、圧縮加重:300.00gf
試験速度:目標変位10.00mm
下降 0.08mm/sec
Dwell 300gf、10sec
上昇:0.1mm/sec
その結果について、表3を参照して説明する。
【0106】
【表3】

【0107】
表3を参照すれば、実施例1〜5による硬化された封止材用透光性樹脂は、上記条件で測定したとき、粘着性が100kgf以下であって、比較例1、2よりも粘着性が低く、良好であることが分かる。したがって、n/nViが1.00〜1.20の範囲であるとき(さらに、第1ポリシロキサンの含有量が封止材用透光性樹脂中に含まれるポリシロキサンの総重量に対して50重量%よりも少なく、第2ポリシロキサンの含有量が封止材用透光性樹脂中に含まれるポリシロキサンの総重量に対して50重量%よりも多く調製されているとき)、封止材用透光性樹脂の粘着性を著しく低下させることができる。
【0108】
また、前記実施例の中で実施例2、3および4による透光性樹脂は、粘着性が顕著に低いことが分かる。したがって、n/nViが1.05〜1.15の範囲である時、特に粘着性の低い封止材用透光性樹脂を得ることができる。
【0109】
さらに、実施例3(すなわち、n/nVi=1.10)による透光性樹脂は、粘着性が21kgfであり、本実施例中、粘着性が最も低いことが分かる。
【0110】
これに対して、比較例1による透光性樹脂は、粘着性が100kgfよりも大きく、非常に高い粘着性を有していることが分かる。
【0111】
これらの結果から実施例1〜5による封止材用透光性樹脂は、粘着性が顕著に改善されたことを確認した。
【0112】
上記結果から、第1ポリシロキサンと第2ポリシロキサンのケイ素−水素結合(Si−H)の数(n)およびケイ素−アルケニル基結合(Si−Vi)の数(nVi)の割合(n/nVi)が所定の範囲となるように調製することによって、良好な透光性を維持すると共に、耐熱性および粘着性を顕著に改善することができる。
【0113】
以上で本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した、当業者による多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端にケイ素原子に結合した水素原子(Si−H)を有する第1ポリシロキサン、および
末端にケイ素原子に結合したアルケニル基(Si−Vi)を有する第2ポリシロキサン
を含み、
前記ケイ素原子に結合したアルケニル基(Si−Vi)の数(nVi)に対する前記ケイ素原子に結合した水素(Si−H)の数(n)の割合(n/nVi)は、1〜1.2である封止材用透光性樹脂。
【請求項2】
前記ケイ素原子に結合したアルケニル基(Si−Vi)の数(nVi)に対する前記ケイ素原子に結合した水素原子(Si−H)の数(n)の割合(n/nVi)は、1.05〜1.15である、請求項1に記載の封止材用透光性樹脂。
【請求項3】
前記第1ポリシロキサンは、下記の化学式1で表される、請求項1または2に記載の封止材用透光性樹脂:
【化1】

前記化学式1において、
〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換のC1〜C30アルキル基、置換または非置換のC3〜C30シクロアルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基、置換または非置換のC7〜C30アリールアルキル基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキル基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC2〜C30アルキニル基、置換または非置換のC1〜C30アルコキシ基、置換または非置換のC1〜C30カルボニル基、ヒドロキシ基またはこれらの組み合わせであり、
0<M1<1、0<D1<1、0≦T1<1、0≦Q1<1であり、
M1+D1+T1+Q1=1であり、
前記化学式1に存在するR〜Rのうちの少なくとも一つは、水素原子である。
【請求項4】
前記第2ポリシロキサンは、下記の化学式2で表される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の封止材用透光性樹脂:
【化2】

前記化学式2において、
〜R12は、それぞれ独立して、置換または非置換のC1〜C30アルキル基、置換または非置換のC3〜C30シクロアルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基、置換または非置換のC7〜C30アリールアルキル基、置換または非置換のC1〜C30ヘテロアルキル基、置換または非置換のC2〜C30ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC2〜C30アルケニル基、置換または非置換のC2〜C30アルキニル基、置換または非置換のC1〜C30アルコキシ基、置換または非置換のC1〜C30カルボニル基、ヒドロキシ基またはこれらの組み合わせであり、
0<M2<1、0<D2<1、0<T2<1、0≦Q2<1であり、
M2+D2+T2+Q2=1であり、
前記化学式2に存在するR〜R12のうちの少なくとも一つは、置換または非置換のC2〜C30アルケニル基である。
【請求項5】
前記第1ポリシロキサンの含有量は、前記封止材用透光性樹脂中に含まれるポリシロキサンの総重量に対して50重量%よりも少なく、
前記第2ポリシロキサンの含有量は、前記封止材用透光性樹脂中に含まれるポリシロキサンの総重量に対して50重量%よりも多い、請求項1〜4のいずれか一項に記載の封止材用透光性樹脂。
【請求項6】
ヒドロシリル化触媒をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の封止材用透光性樹脂。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の封止材用透光性樹脂を硬化することにより得られた、封止材。
【請求項8】
入射光の波長が450nmのとき、光透過率(T)が80〜100%である、請求項7に記載の封止材。
【請求項9】
120℃で500時間加熱した後の光透過率と、前記加熱を行う前の光透過率の差(△T)が15%よりも小さい、請求項7または8に記載の封止材。
【請求項10】
180℃で150時間加熱した後の光透過率と、前記加熱を行う前の光の透過率の差(△T)が15%よりも小さい、請求項7または8に記載の封止材。
【請求項11】
ボールタック方式により測定した粘着性が100kgfよりも小さい、請求項7〜10のいずれか一項に記載の封止材。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれか一項に記載の封止材を含む、電子素子。
【請求項13】
発光ダイオード、有機発光装置、光ルミネッセンス性表示装置または太陽電池を含む、請求項12に記載の電子素子。

【公開番号】特開2012−140622(P2012−140622A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−289577(P2011−289577)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】