説明

射出成形品

【課題】第14改正 日本薬局方 一般試験 45.プラスチック製医薬品容器試験法 1.ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器の試験項目を満足し、かつ、優れた耐熱性、剛性、射出成形性、透明性を保持する射出成形品の提供。
【解決手段】JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレートが0.5〜100g/10分であるプロピレン系重合体100重量部に対し、一般式(1)で示される造核剤(A)を0.005重量部以上で0.3重量部未満配合し、さらに他の特定の造核剤を配合することを特徴とする射出成形品。
(CONHR …(1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形品に関し、詳しくは優れた耐熱性、剛性、成形性、透明性を有する射出成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
プロピレン系重合体は、その優れた安全衛生性や成形加工性、力学特性、ガスバリヤー性の特徴を生かし、各種の食品容器、キャップ、医療用器具、理化学実験器具、自動車部品、電気部品に使用されている。特に近年、高レベルの安全衛生性が求められる薬剤や薬液の保存容器としてアンプルやバイアルの代替容器用材としての活用が散見されるようになってきており、その用途向け材料開発が行われてきた(例えば、特許文献1参照。)。
これらの保存容器には、蒸気滅菌時の耐熱性、耐失透性、耐添加剤抽出性、水蒸気や酸素のガスバリヤー性が維持されることや、使用添加剤が保存薬剤、薬液に相互作用を及ぼさないことが必要であり、具体的には第14改正 日本薬局方 一般試験 45.プラスチック製医薬品容器試験法 1.ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器の試験項目をすべて満足することが必須要件である。
【0003】
プロピレン系重合体は、剛性や耐熱性、ガスバリヤー性の点ではプロピレン単独重合体が、透明性や耐衝撃性の点ではエチレンとのランダム共重合体が好適であり、状況に応じて適宜選択的に用いられているが、保存容器に用いる場合、プロピレン系重合体のみでは、透明性や剛性の点において十分な性能を発揮させることが困難であるため、造核剤や中和剤を種々組み合わせて、キーとなる性能の最適化が試みられてきた。
【0004】
しかしながら、例えば、ソルビトール系透明造核剤を用いた場合には、耐添加剤抽出性や局方試験を満足せずこれらの用途には不適であり、アルミ系や有機リン酸系合成造核剤を添加したものは、透明性の発現が十分でなかったり、また添加量を増やすと局方試験の強熱残分に満足すべき結果が得られなかった。
局方試験に合格する必要のある医療用途の例としては、薬液をあらかじめ充填してなるプレフィルドシリンジやキット製剤などが挙げられる。
この薬液をあらかじめ充填してなるプレフィルドシリンジをポリプロピレンで製造する事を検討し始めたのは、1980年代半ば頃からで(例えば、特許文献2参照。)、近年、プロピレン系重合体と、特定の核剤とからなる透明な注射筒又は透明な容器に薬剤液を充填してなる製剤(例えば、特許文献3参照。)に関する検討がなされている。
しかしながら、高い透明性があり、局方試験に合格し、薬剤、薬液の保存容器として満足できる耐熱性や剛性などを有する成形品が得られていないのが現状であった。
【特許文献1】特開平1−178541号公報
【特許文献2】特開昭62−194866号公報
【特許文献3】特開平5−222078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、第14改正 日本薬局方 一般試験 45.プラスチック製医薬品容器試験法 1.ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器の試験項目を満足し、かつ、優れた耐熱性、剛性、射出成形性、透明性を保持する射出成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、プロピレン系重合体に対し、特定の造核剤の組み合わせを用いることにより、日本薬局方の試験項目を満足する射出成形品が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレートが0.5〜100g/10分であるプロピレン系重合体100重量部に対し、一般式(1)で示される造核剤(A)を0.005重量部以上で0.3重量部未満配合し、さらに一般式(2)で示される造核剤(B)を0.005〜0.3重量部、一般式(3)で示される造核剤(C)を0.005〜0.15重量部、もしくは一般式(4)で示される造核剤(D)を0.005〜0.15重量部から成る少なくとも1種の造核剤を配合した樹脂組成物を用い、該樹脂組成物を射出成形して得られることを特徴とする射出成形品が提供される。
(CONHR …(1)
[式中、Rは、炭素数2〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数4〜28の飽和若しくは不飽和の脂環族ポリカルボン酸残基、又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表わす。Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、又は炭素数3〜46のシクロアルキル基若しくはシクロアルケニル基を表わす。aは、2〜6の整数を表す。]
【0008】
【化1】

[式中、Rは、直接結合、硫黄又は炭素数1〜9のアルキレン基又はアルキリデン基であり、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、MはNaであり、nはMの価数である。]
【0009】
【化2】

[式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、Mは、周期律表第III族または第IV族の金属原子を示し、Xは、Mが周期律表第III族の金属原子を示す場合には、HO−を示し、Mが周期律表第IV族の金属原子を示す場合には、O=又は(HO)−を示す。]
【0010】
【化3】

[式中、MおよびMは、同一または異なって、カルシウム、ストロンチウム、リチウムおよび一塩基性アルミニウムから選択される少なくとも1種の金属カチオンであり、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、同一または異なって、水素、C−Cアルキル(ここで、いずれか2つのビシナル(隣接炭素に結合)またはジェミナル(同一炭素に結合)アルキル基は、一緒になって6個までの炭素原子を有する炭化水素環を形成してもよい)、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルキレンオキシ、アミンおよびC−Cアルキルアミン、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素および沃素)並びにフェニルからなる群からそれぞれ選択される。]
【0011】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、造核剤(A)が下記一般式(5)で示される少なくとも一種のアミド系化合物であることを特徴とする射出成形品が提供される。
【0012】
【化4】

[式中、Rは、炭素数3〜10の3価の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数4〜10の4価の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数5〜15の3価もしくは4価の飽和脂環族炭化水素基、又は炭素数6〜15の3価もしくは4価の芳香族炭化水素基を表す。Rは、同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。aは、3又は4の整数を表す。]
【0013】
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、造核剤(A)が下記一般式(6)で示される少なくとも一種のアミド系化合物であることを特徴とする射出成形品が提供される。
【0014】
【化5】

[式中、Rは、1,2,3−プロパントリカルボン酸又は1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸から全てのカルボンキシル基を除いて得られる残基を表す。3個又4個のRは、互いに同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。aは、3又は4の整数を表す。]
【0015】
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、樹脂組成物が、プロピレン系重合体100重量部に対し、滑剤を0.001〜0.5重量部配合されたものであることを特徴とする射出成形品が提供される。
【0016】
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、プロピレン系重合体が、アイソタクチックペンタッド分率が0.90以上であるプロピレン単独重合体、またはプロピレンと他のα−オレフィンとのプロピレン系共重合体であることを特徴とする射出成形品が提供される。
【0017】
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、射出成形品が、医療用プロピレン成形品であることを特徴とする射出成形品が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の射出成形品は、合格基準の厳しい第14改正 日本薬局方 一般試験 45.プラスチック製医薬品容器試験法 1.ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器の試験項目を満足し、かつ、耐熱性、剛性、射出成形性、透明性に優れた成形品である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレートが0.5〜100g/10分であるプロピレン系重合体100重量部に対し、前記一般式(1)で示される造核剤(A)を0.005重量部以上で0.3重量部未満配合し、さらに前記一般式(2)で示される造核剤(B)を0.005〜0.3重量部、前記式(3)で示される造核剤(C)を0.005〜0.15重量部、もしくは前記一般式(4)で示される造核剤(D)を0.005〜0.15重量部から成る少なくとも1種の造核剤を配合した樹脂組成物を用い、該樹脂組成物を射出成形して得られる射出成形品である。以下、構成成分、組成物の製造方法、成形体等について詳細に説明する。
【0020】
[1]樹脂組成物の構成成分
1.プロピレン系重合体
本発明のプロピレン樹脂組成物で用いられるプロピレン系重合体は、プロピレン単独重合体であっても、プロピレン系共重合体であっても、あるいはこれらの混合物であってもよい。
プロピレン系共重合体は、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体であり、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもどちらでも良いが、透明性の観点からランダム共重合体が望ましい。共重合に用いられるα−オレフィンは、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンがあげられ、例えばエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等を例示できる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンは一種類でも二種類以上用いてもよい。このうちエチレン、ブテン−1が好適である。より好ましくはエチレンが好適である。また、これらプロピレン系重合体は、二種以上混合して使用してもよい。
【0021】
医療用途では一般的に滅菌処理され、具体的には、高圧蒸気滅菌処理、放射線滅菌処理、エチレンオキサイドガスによる滅菌処理、紫外線滅菌処理などが挙げられる。例えば、121℃で20分間の高圧蒸気滅菌処理される場合は、プロピレン単独重合体やブロック共重合体、またはエチレン含有量が1%未満のランダム共重合体が好ましい。エチレン含有量の多いランダム共重合体を用いると高圧蒸気滅菌処理の際に変形してしまう不具合が発生する。
また、放射線滅菌処理を行う場合は、エチレン含有量の多いランダム共重合体が好ましく、プロピレン単独重合体やブロック共重合体を用いると放射線滅菌処理後の物性低下が著しく好ましくない。また、エチレン含有量の多いランダム共重合体に分子量調整剤として過酸化物を添加した組成物は放射線照射前後にて耐衝撃性が更に良好となる。
【0022】
共重合に用いられるα−オレフィンの含量は、15重量%以下であることが好ましい。α−オレフィンの含量が15重量%を超えると、剛性が低くなり容器等として適さなくなるおそれがある。
ここで、プロピレン及びα−オレフィンは、下記の条件の13C−NMR法によって計測される値である。
装置:日本電子社製 JEOL−GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
【0023】
また、本発明で用いられるプロピレン単独重合体は、アイソタクチックペンタッド分率が0.90以上が好ましく、より好ましくは0.94〜0.98である。アイソタクチックペンタッド分率が0.90未満であると、剛性やバリアー性が満足できないおそれがある。
ここで、アイソタクチックペンタッド分率は、13C−NMRを用いたプロトンデカップリング法で測定する値である。
【0024】
本発明で用いられるプロピレン系重合体は、JIS K7120(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレートが0.5〜100g/10分の範囲のものであり、1〜50g/10分が好ましく、2〜30g/10分がさらに好ましい。メルトフローレートが0.5g/10分未満では、成形加工性の低下をきたし製品として満足できるものが得られ難くなるおそれがある。また、100g/10分を超えると、機械的強度の低下が懸念される。
【0025】
プロピレン系重合体の製造方法としては、特に限定されないが、立体規則性触媒を使用する重合法が好ましい。立体規則性触媒としては、チーグラー触媒やメタロセン触媒などが挙げられる。
【0026】
チーグラー触媒としては、三塩化チタン、四塩化チタン、トリクロロエトキシチタン等のハロゲン化チタン化合物、前記ハロゲン化チタン化合物とハロゲン化マグネシウムに代表されるマグネシウム化合物との接触物等の遷移金属成分とアルキルアルミニウム化合物又はそれらのハロゲン化物、水素化物、アルコキシド等の有機金属成分との2成分系触媒、更にそれらの成分に窒素、炭素、リン、硫黄、酸素、ケイ素等を含む電子供与性化合物を加えた3成分系触媒が挙げられる。
【0027】
メタロセン触媒としては、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。
【0028】
(i)メタロセン化合物としては、例えば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特表平7−504934号、特開平8−85708号の各公報に開示されている。
【0029】
更に、具体的には、メチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−(4−フェニルインデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(4−メチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(3’−t−ブチル−5’−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[4−(1−フェニル−3−メチルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(フルオレニル)t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,(1−ナフチル)−インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(3−フルオロビフェニリル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。上記において、ジルコニウムをチタニウム、ハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物等の混合物を使用することもできる。また、クロリドは他のハロゲン化合物、メチル、イソブチル、ベンジル等の炭化水素基、ジメチルアミド、ジエチルアミド等のアミド基、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシド基、ヒドリド基等に置き換えることが出来る。
これらの内、インデニル基あるいはアズレニル基を珪素あるいはゲルミル基で架橋したメタロセン化合物が好ましい。
【0030】
また、メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては、無機または有機化合物の多孔質化合物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、ゼオライト、SiO、Al、シリカアルミナ、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO、等の無機化合物、多孔質のポリオレフィン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、オレフィン・アクリル酸共重合体等からなる有機化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0031】
(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(たとえば、アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素含有化合物、イオン性化合物、フッ素含有有機化合物等が挙げられる。
【0032】
(iii)有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
【0033】
プロピレン系重合体の製造方法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法や、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。
例えば、スラリー重合法の場合には、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素又は液状モノマー中で行うことができる。重合温度は、通常−80〜150℃であり、好ましくは40〜120℃である。重合圧力は、1〜60気圧が好ましく、また得られるプロピレン系重合体の分子量の調節は、水素もしくは他の公知の分子量調整剤で行うことができる。重合は連続式又はバッチ式反応で行い、その条件は通常用いられている条件でよい。さらに重合反応は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
【0034】
2.造核剤
本発明の射出成形品で用いられる造核剤は、一般式(1)で示される造核剤(A)と一般式(2)〜(4)で示される造核剤(B)〜(D)の少なくとも1種の造核剤を配合したものである。
【0035】
造核剤(A)は、一般式(1)で示されるアミド系化合物であり、中でも、一般式(5)で示されるアミド系化合物が好ましく、一般式(6)で示されるアミド系化合物がより好ましい。
【0036】
(CONHR …(1)
[式中、Rは、炭素数2〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数4〜28の飽和若しくは不飽和の脂環族ポリカルボン酸残基、又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表わす。Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、又は炭素数3〜46のシクロアルキル基若しくはシクロアルケニル基を表わす。aは、2〜6の整数を表す。]
【0037】
【化6】

[式(5)中、Rは、炭素数3〜10の3価の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数4〜10の4価の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数5〜15の3価もしくは4価の飽和脂環族炭化水素基、又は炭素数6〜15の3価もしくは4価の芳香族炭化水素基を表す。Rは、同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。aは、3又は4の整数を表す。]
【0038】
【化7】

[式(6)中、Rは、1,2,3−プロパントリカルボン酸又は1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸から全てのカルボンキシル基を除いて得られる残基を表す。3個又4個のRは、互いに同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。aは、3又は4の整数を表す。]
【0039】
具体的には、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−エチルシクロヘキシルアミド)1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、 1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−n−ブチルシクロヘキシルアミド)1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ペンチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ヘキシルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ヘプチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−オクチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ[4−(2−エチルヘキシル)シクロヘキシルアミド]、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ノニルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−デシルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸[(シクロヘキシルアミド)ジ(2−メチルシクロヘキシルアミド)]、1,2,3−プロパントリカルボン酸[ジ(シクロヘキシルアミド)(2−メチルシクロヘキシルアミド)]、
【0040】
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラシクロヘキシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−エチルシクロヘキシルアミド)1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−n−ブチルシクロヘキシルアミド)1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−ペンチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−ヘキシルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−ヘプチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−オクチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ[4−(2−エチルヘキシル)シクロヘキシルアミド]、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−ノニルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−デシルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸[ジ(シクロヘキシルアミド)ジ(2−メチルシクロヘキシルアミド)]等が挙げられる。
【0041】
上記アミド系化合物の中でも、特に造核作用(核剤効果)の観点から、一般式(5)もしくは(6)におけるRが水素原子又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であるアミド系化合物が好ましい。
具体的には、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−エチルシクロヘキシルアミド)1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、 1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−n−ブチルシクロヘキシルアミド)1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、
【0042】
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(シクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−エチルシクロヘキシルアミド)1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−n−ブチルシクロヘキシルアミド)1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)等が挙げられる。
【0043】
これら好ましいアミド系化合物の中でも、特に透明性・剛性のバランス及び原料入手の容易性の観点から、一般式(5)もしくは(6)におけるRが水素原子又はメチル基であるアミド系化合物が特に好ましい。具体的には、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラシクロヘキシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−メチルシクロヘキシルアミド)などが例示される。
【0044】
又、透明性の改良効果を重視する場合には、一般式(1)、(5)もしくは(6)におけるRが1,2,3−プロパントリカルボン酸から全てのカルボンキシル基を除いて得られる残基であるアミド系化合物が特に好ましい。具体的には、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−メチルシクロヘキシルアミド)などが挙げられる。
【0045】
上記のアミド系化合物は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0046】
本発明に用いられる造核剤(A)の結晶形態は、本発明の効果が得られる限り特に限定されず、六方晶、単斜晶、立方晶等の任意の結晶形態が使用できる。これらの結晶も公知であるか又は公知の方法に従い製造できる。
【0047】
本発明に用いられる造核剤(A)は、実質的に純度100%のものが好ましいが、若干不純物を含むものであってもよい。不純物を含有する場合であっても、当該造核剤(A)の純度は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、特に97重量%以上が推奨される。不純物としては、反応中間体又は未反応体由来のモノアミドジカルボン酸若しくはそのエステル化合物、ジアミドモノカルボン酸若しくはそのエステル化合物、副反応体由来のイミド化合物などが例示される。
【0048】
本発明に用いられる造核剤(A)の製造方法は、特に限定はなく目的の造核剤(A)が得られればよい。例えば、特定の脂肪族ポリカルボン酸成分と特定の脂環式モノアミン成分とから従来公知の方法(例えば、特開平7−242610号公報など)に従って製造することができる。
【0049】
上記脂肪族ポリカルボン酸成分としては、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、該ポリカルボン酸の酸塩化物や無水物、該ポリカルボン酸と炭素数1〜4の低級アルコールとのエステル等の誘導体等が例示される。これら脂肪族ポリカルボン酸成分は、単独で又は2種を混合してアミド化に供することができる。
【0050】
上記脂環式モノアミン成分は、シクロヘキシルアミン及び炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜4)の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されたシクロヘキシルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、単独で又は2種以上を混合してアミド化に供することができる。
具体的には、シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミンのメチルシクロヘキシルアミン、2−エチルシクロヘキシルアミン、2−n−プロピルシクロヘキシルアミン、2−iso−プロピルシクロヘキシルアミン、2−n−ブチルシクロヘキシルアミン、2−iso−ブチルシクロヘキシルアミン、2−sec−ブチルシクロヘキシルアミン、2−tert−ブチルシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
【0051】
上記のアルキル基で置換されたシクロヘキシルアミンは、シス体、トランス体及びこれら立体異性体の混合物のいずれであってもよい。好ましいシス体:トランス体の比率としては、50:50〜0:100の範囲が好ましく、特に35:65〜0:100の範囲が好ましい。
【0052】
本発明に用いられる造核剤(A)の粒径は、本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、溶融プロピレン系重合体に対する溶解速度(又は溶解時間)の観点から、できる限り粒径の小さいものが好ましい。レーザー回折光散乱法で得られる粒径の測定値を採用した場合、造核剤(A)の粒径としては、その最大粒径が200μm以下、好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm、特に10μm以下が推奨される。
【0053】
最大粒径を上記範囲内に調製する方法としては、この分野で公知の粉砕装置を用いる方法が一般的であり、必要に応じて公知の分級装置を用いることもできる。具体的には、粉砕装置として流動層式カウンタージェットミル100AFG(商品名、ホソカワミクロン社製)、超音速ジェットミルPJM−200(商品名、日本ニューマチック社製)、ピンミル等、分級装置として振動篩、乾式分級機(サイクロン、ミクロンセパレーターなど)等が例示される。
【0054】
本発明に用いられる造核剤(A)は、得られる成形品に優れた透明性を与え、得られる成形品からの溶出性が極めて少ないという特性を有し、合格基準の厳しい第14改正日本薬局方試験に合格し得る数少ない造核剤である。
【0055】
本発明の射出成形品に用いられる造核剤(A)の配合量は、プロピレン系重合体100重量部に対し、0.005重量部以上であり0.3重量部未満の範囲で用いられる。0.005重量部未満では十分な効果が得られ難く、0.3重量部以上を用いると、さらなる性能の向上が期待できず不経済であるばかりか第14改正日本薬局方試験の過マンガン酸カリウム還元性物質の項目で不合格となる。0.01〜0.25重量部が好ましく、0.02〜0.2重量部がさらに好ましい。
【0056】
また、本発明の射出成形品においては、一般式(2)〜(4)で示される造核剤(B)〜(D)の少なくても1種類が配合されている。造核剤(B)〜(D)を単独、又は複数併用させることにより透明性や剛性、成形性などをさらに向上させることができる。
【0057】
本発明の射出成形品において、選択的に用いられる造核剤(B)は、下記一般式(2)で示される有機リン酸金属塩化合物である。
【0058】
【化8】

[式(2)中、Rは、直接結合、硫黄又は炭素数1〜9のアルキレン基又はアルキリデン基であり、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、MはNaであり、nはMの価数である。]
【0059】
一般式(2)で表される有機リン酸金属塩化合物の具体例としては、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス−(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス−(4,6−ジメチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス−(4,6−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム(4,4’−ジメチル−6,6’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス−(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−エチルフェニル)フォスフェート、およびこれらの2種以上の混合物を例示することができる。これらのうち特に、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートが好ましい。
この様な造核剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、旭電化工業(株)社製NA−11を挙げることができる。
【0060】
本発明の射出成形品に選択的に用いられる造核剤(B)の配合量は、プロピレン系重合体100重量部に対し、0.005〜0.3重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.2重量部の範囲がより好ましい。0.005重量部未満では効果が得られず、0.3重量部を超える範囲は、更なる効果が得られないばかりか経済的にも好ましくない。
【0061】
本発明の射出成形品において、選択的に用いられる造核剤(C)は、一般式(3)で示される芳香族燐酸エステル類である。
【0062】
【化9】

[式(3)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、Mは、周期律表第III族または第IV族の金属原子を示し、Xは、Mが周期律表第III族の金属原子を示す場合には、HO−を示し、Mが周期律表第IV族の金属原子を示す場合には、O=又は(HO)−を示す。]
【0063】
一般式(3)で表される芳香族燐酸エステル類の具体例としては、例えば、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジメチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジエチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジエチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、およびヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]等が挙げられ、好ましくは、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、およびヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、およびこれらの2種以上の混合物を例示することができる。
【0064】
一般式(3)で表される芳香族燐酸エステル類は、有機アルカリ金属塩と併用させることが効果的である。
該有機アルカリ金属塩とは、アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート及びアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩からなる群より選択される少なくとも一種の有機アルカリ金属塩を示すことができる。
該有機アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
上記アルカリ金属カルボン酸塩を構成するカルボン酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、オクチル酸、イソオクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、メリシン酸、β−ドデシルメルカプト酢酸、β−ドデシルメルカプトプロピオン酸、β−N−ラウリルアミノプロピオン酸、β−N−メチル−ラウロイルアミノプロピオン酸等の脂肪族モノカルボン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸、ナフテン酸、シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペンタンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、シクロペンテンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキセンカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等の脂環式モノ又はポリカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、エチル安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族モノ又はポリカルボン酸等が挙げられる。
【0065】
上記アルカリ金属β−ジケトナートを構成するβ−ジケトン化合物としては、例えば、アセチルアセトン、ピバロイルアセトン、パルミトイルアセトン、ベンゾイルアセトン、ピバロイルベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等が挙げられる。
【0066】
また、上記アルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩を構成するβ−ケト酢酸エステルとしては、例えば、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル、ベンゾイル酢酸エチル、ベンゾイル酢酸ラウリル等が挙げられる。
【0067】
該有機アルカリ金属塩の成分であるアルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート又はアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩は、各々上記アルカリ金属とカルボン酸、β−ジケトン化合物又はβ−ケト酢酸エステルとの塩であり、従来周知の方法で製造することができる。また、これら各アルカリ金属塩化合物の中でも、アルカリ金属の脂肪族モノカルボン酸塩、特に、リチウムの脂肪族カルボン酸塩が好ましく、とりわけ炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸塩が好ましい。
【0068】
この様な造核剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、旭電化工業(株)社製NA−21を挙げることができる。
【0069】
本発明の射出成形品に選択的に用いられる造核剤(C)の配合量は、プロピレン系重合体100重量部に対し、0.005〜0.15重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.1重量部の範囲がより好ましい。0.005重量部未満では効果が得られず、0.15重量部を超える範囲は、更なる効果が得られないばかりか経済的にも好ましくない。
【0070】
本発明の射出成形品において、選択的に用いられる造核剤(D)は、一般式(4)で示される造核剤である。
【0071】
【化10】

[式(4)中、MおよびMは、同一または異なって、カルシウム、ストロンチウム、リチウムおよび一塩基性アルミニウムから選択される少なくとも1種の金属カチオンであり、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、同一または異なって、水素、C−Cアルキル(ここで、いずれか2つのビシナル(隣接炭素に結合)またはジェミナル(同一炭素に結合)アルキル基は、一緒になって6個までの炭素原子を有する炭化水素環を形成してもよい)、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルキレンオキシ、アミンおよびC−Cアルキルアミン、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素および沃素)並びにフェニルからなる群からそれぞれ選択される。]
ここで、「一塩基性アルミニウム」なる用語は周知であり、2つのカルボン酸基が結合した単一カチオンとしてアルミニウムヒドロキシド基を含むことを意図している。さらに、これら可能な塩のそれぞれにおいて、非対称炭素原子の立体配置は、シスまたはトランスのいずれでもよいが、シスが好ましい。
【0072】
一般式(4)で表される造核剤は、凝集等を防止する目的で、他の化合物を混合して用いても差し支えない。
この様な造核剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、メリケン(株)社製ハイパフォームHPN68Lを挙げることができる。ハイパフォームHPN68Lの造核剤成分の構造を下記に示す。
【0073】
【化11】

【0074】
本発明の射出成形品に選択的に用いられる造核剤(D)の配合量は、プロピレン系重合体100重量部に対し、0.005〜0.15重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.1重量部の範囲がより好ましい。0.005重量部未満では効果が得られず、0.15重量部を超える範囲は、局方試験に不合格になる場合がある。
【0075】
本発明の射出成形品には、造核剤(A)〜(D)以外に、他の造核剤として、ソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤および芳香族燐酸エステル類、タルクなど既知の造核剤を本発明の効果を大きく阻害しない範囲で添加することができる。
【0076】
3.中和剤
本発明の射出成形品においては、中和剤を配合することが望ましい。中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの金属脂肪酸塩、ハイドロタルサイト(商品名:協和化学工業(株)の下記一般式(7)で表されるマグネシウムアルミニウム複合水酸化物塩)、ミズカラック(下記一般式(8)で表されるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩)などが挙げられる。特に、プレフィルドシリンジ、キット製剤、輸液バッグなど長期接液する部材として用いる場合には、接触する液体に溶出しないハイドロタルサイトやミズカラックが有利である。
【0077】
Mg1−xAl(OH)(COx/2・mHO …(7)
[式中、xは、0<x≦0.5であり、mは3以下の数である。]
【0078】
[AlLi(OH)X・mHO …(8)
[式中、Xは、無機または有機のアニオンであり、nはアニオン(X)の価数であり、mは3以下である。]
【0079】
本発明の射出成形品に選択的に用いられる中和剤の配合量は、プロピレン系重合体100重量部に対し、0.005〜0.2重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.05重量部の範囲がより好ましい。
【0080】
4.滑剤
本発明の射出成形品においては、滑剤を配合することが望ましい。滑剤としては、既知の滑剤が挙げられるが、ステアリン酸ブチルやシリコーンオイルが好ましく、特にシリコーンオイルが良い。
具体的なシリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルヒドロジエンポリシロキサン、α−ωビス(3−ヒドロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、ポリオキシアルキレン(C〜C)ジメチルポリシロキサン、ポリオルガノ(C〜Cのアルキル基および/またはフェニル基)シロキサンとポリアルキレン(C〜C)グリコールの縮合物などが挙げられる。この中でもジメチルポリシロキサンとメチルフェニルポリシロキサンが好ましい。該滑剤は単独、又は複数用いても構わない。
ジメチルポリシロキサンなどのシリコーンを添加した場合、成形時に発生する傷を防止するだけでなく、シリンダー内やホットランナー内で発生する焼けを防止することができる。
【0081】
本発明の射出成形品に選択的に用いられる滑剤の配合量は、プロピレン系重合体100重量部に対し、0.001〜0.5重量部が好ましく、0.01〜0.15重量部がより好ましく、0.03〜0.1重量部が特に好ましい。0.001重量部未満では効果が期待できず、0.5重量部を超えると更なる効果が期待できないばかりか経済的に好ましくない。
【0082】
5.その他の添加剤
本発明の射出成形品においては、上述した成分に加えて、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている各種酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を配合することができる。
【0083】
具体的には、酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、ジ−ステアリル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ラウリル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート等のチオ系酸化防止剤等が挙げられる。
【0084】
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0085】
光安定剤としては、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジル)エタノール縮合物、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル]〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等の光安定剤を挙げることができる。
【0086】
さらに、放射線処理で変色がなく耐NOxガス変色性が良好な下記一般式(9)や下記一般式(10)で表されるアミン系酸化防止剤、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4 ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−ワン等のラクトン系酸化防止剤、下記一般式(11)等のビタミンE系酸化防止剤を挙げることができる。
【0087】
【化12】

【0088】
【化13】

【0089】
【化14】

【0090】
さらに、その他に、帯電防止剤、スリップ剤、脂肪酸金属塩等の分散剤、ポリエチレン、オレフィン系エラストマー等を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0091】
[2]プロピレン樹脂組成物の製造方法
本発明に用いられるプロピレン樹脂組成物は、プロピレン系重合体と、造核剤(造核剤(A)と造核剤(B)〜(D)の少なくとも1種の混合物)および、必要に応じて他の添加剤とを、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合した後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、プラベンダー、ロール等で190〜260℃の温度範囲で溶融混練することにより得ることができる。
【0092】
[3]射出成形品
本発明の射出成形品は、上記のプロピレン樹脂組成物を、公知の射出成形機により射出成形することにより得られる。
【0093】
本発明の射出成形品としては、食品容器、キャップ、医療用器具、理化学実験器具、自動車部品、電気部品を挙げることができ、中でも、合格基準の厳しい第14改正 日本薬局方 一般試験 45.プラスチック製医薬品容器試験法 1.ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器の試験項目をすべて満足し得ることから、注射筒、医療用器具および医療用容器、薬剤液を充填してなる注射筒および容器などに好適である。
具体的には、ディスポーザブルシリンジ及びその部品、カテーテル・チューブ、輸液バッグ、血液バッグ、真空採血管、手術用不織布、血液用フィルター、血液回路などのディスポーザブル器具や、人工肺、人工肛門などの人工臓器類の部品、ダイアライザー、プレフィルドシリンジ、キット製剤、薬剤容器、試験管、縫合糸、湿布基材、歯科用材料の部品、整形外科用材料の部品、コンタクトレンズのケース、PTP、SP・分包、Pバイアル、目薬容器、薬液容器、液体の長期保存容器、キャップなどを挙げることができる。
なお、射出成形品は、オートクレーブ滅菌、放射線滅菌、EOG滅菌など公知の滅菌処理を行っても良い。
【実施例】
【0094】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの記載により何ら限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例において、用いた物性測定は以下の方法で行い、プロピレン系重合体、造核剤及び他の添加剤(中和剤、滑剤)としては以下のものを使用した。
【0095】
1.試験方法
(1)エチレン濃度:13C−NMRにより組成を検定したエチレン・プロピレンランダムコポリマーを基準物質として733cm−1の特性吸収体を用いる赤外分光法により、ランダムコポリマー中のエチレン含量を測定した。ペレットをプレス成形により約500ミクロンの厚さのフィルムとしたものを用いた。
(2)MFR:JIS K7120、230℃ 2.16Kg荷重に準拠して測定した。
(3)ヘイズ値:厚さ2mmのシート片を用いて、JIS K7105に準拠して測定した。
(4)第14改正 日本薬局方一般試験:45.プラスチック製薬品容器試験法(プラスチック製水性注射剤容器)の1.ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器の項の試験法に従って、透明性、重金属、鉛、カドミウム、強熱残分、泡立ち、PH、過マンガン酸カリウム還元性物質、紫外吸収スペクトル、蒸発残留分を測定した。但し、試料調製は、0.5ミリ厚で表面積1200cmに相当する重量のペレットを秤量し、220℃でプレスしてシート片として、長さ約5センチ、幅約0.5センチの大きさに細断し、水で洗った後、室温で乾燥した。これを内容積約300mlの硬質ガラス製容器に入れ、水200mlを正確に加え、適当な栓で密封した後、高圧蒸気滅菌器を用いて121℃で1時間加熱した後、室温になるまで放置し、この内溶液を試験液とし、別に水につき、同様の方法で空試験液を調製した。
(5)曲げ弾性率:JIS K7203の「硬質プラスチックの曲げ試験方法」に準拠して23℃で測定した。
(6)結晶化温度(ピーク値):JIS K7121の「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して、示差走査型熱量計を用い測定した。この温度が高い程、射出成形において成形時間が短縮でき生産性をあげることができる。
(7)成形性:射出成形によって得られた成形品を目視で観察し、造核剤やその他添加剤が成形時金型に析出・付着し、それが成形品に与える傷の有無と、目標とする寸法精度を維持できているかを基に、次の3段階で評価した。
◎:細かい傷がほとんどなく、寸法精度の良好な成形品が得られる。
○:細かい傷が若干あるが、寸法精度の良好な成形品が得られる。
×:傷が多いか、寸法精度の不良な成形品となる。
(8)荷重たわみ温度(熱変形温度):JIS K7207に準拠して測定した。この温度が高い程、得られた成形品は耐熱性に優れる。
【0096】
2.使用材料
(1)プロピレン系重合体
(i)プロピレン単独重合体(HPP):MFR10g/10分
(ii)エチレン・プロピレンランダム共重合体(RPP):エチレン濃度 2.5重量%、MFR10g/10分
(iii)プロピレン単独重合体(HPP2):MFR0.3g/10分
(iv)プロピレン単独重合体(HPP3):MFR22g/10分
(2)造核剤
(i)1,2,3−プロパントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド):造核剤(A)に相当
(ii)NA−11:有機リン酸金属塩化合物系造核剤(旭電化工業(株)製):造核剤(B)に相当
(iii)ゲルオールMD:ソルビトール系造核剤(新日本理化(株)製):造核剤(A)〜(D)のいずれにも相当しない造核剤
(iv)NA−21:芳香族燐酸エステル類の造核剤(旭電化工業(株)製):造核剤(C)に相当
(v)ハイパフォームHPN68L:ミリケン(株)製:造核剤(D)に相当
(3)中和剤
(i)DHT−4A:ハイドロタルサイト(協和化学工業(株)製)
(ii)ステアリン酸カルシウム
(4)滑剤
(i)シリコーンオイル:Dowcorning360Medical Fluid(シリコン)−100 東レ・ダウコーニング(株)製
(ii)シリコーンオイル:Dowcorning360Medical Fluid(シリコン)−1000 東レ・ダウコーニング(株)製
(iii)ステアリン酸ブチル
(5)過酸化物
(i)パーヘキサ25B 日本油脂製
【0097】
(実施例1)
ホモポリプロピレン(HPP)100重量部に対して、造核剤(A)として、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)を0.10重量部、造核剤(B)として、NA−11を0.10重量部、中和剤としてDHT−4Aを0.03重量部、ホスファイト系酸化防止剤としてアデガスタブ2112(旭電化工業(株)製)を0.1重量部及びヒンダードアミン系紫外線安定剤としてTINUVIN622LD(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)を0.05重量部配合し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、35ミリ径の2軸押出機を用いて溶融混練した。ダイ出口部温度250℃でダイから押し出しペレット化した。得られたペレットを射出成形機により、樹脂温度240℃、射出圧力900kg/cm及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作成した。得られた試験片を用い、物性を測定した。また、得られたペレットを射出成形機により、樹脂温度240℃、射出圧力900kg/cm及び金型温度40℃で射出成形し、成形性評価用の成形品(12cm×12cm×2.5mm板上に、厚み1mmの25mm×20mm×20mmの箱型が3×4並んでいる形状)を作成した。得られた成形品を用い、その成形性を測定した。その結果を表1に示す。
【0098】
(実施例2〜12、比較例1〜16)
プロピレン系重合体、造核剤、中和剤および滑剤を表1に示すもの及び量に代えた以外は、実施例1に準拠して試験片を得、その物性を測定した。その結果を表1及び2に示す。
【0099】
【表1】

【0100】
【表2】

【0101】
表1及び2から明らかなように、実施例1〜12は、本発明の範囲の造核剤(A)と、本発明の範囲の造核剤(B)〜(D)の単独もしくは複数とを併用する事で、透明性、剛性、結晶化温度を向上させる事ができ、第14改正日本薬局方試験に合格することが判る。また、実施例9〜11は、さらに、特定の滑剤を併用する事で、第14改正日本薬局方試験に合格し、さらに射出成形性を向上させる事ができることが判る。
これに対し、比較例1、2は、HPPもしくはRPPに、本発明の範囲の造核剤(A)に相当する1,2,3−プロパントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)を0.20重量部配合し、造核剤(B)〜(D)のいずれも配合されていないもので、透明性、耐熱性および剛性に劣り、結晶化温度の低いことが解る。比較例3、4は、造核剤を全く使用していない為、透明性が著しく悪く、耐熱性および剛性が低い。比較例5〜7は、造核剤として造核剤(B)に相当するNA−11を使用しているが、該造核剤のみでは、透明性が悪く、通常、造核剤の配合量を増せば透明性は向上するものであるが、該造核剤には透明性を向上させる効果はなかった。比較例8、9は、造核剤として、造核剤(C)に相当するNA−21を使用しているが、該造核剤のみでは、透明性が充分とは言えず、良好な透明性を得ようと配合量を増やすと、第14改正日本薬局方試験に不合格となる。比較例10、11は、造核剤として、造核剤(D)に相当するHPN68Lを使用しているが、透明性が悪く、配合量を増しても透明性は改良されないどころか、さらに透明性は悪化し、第14改正日本薬局方試験にも不合格となる。比較例12は、造核剤(A)に相当する1,2,3−プロパントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)を0.30重量部配合したものであるが、この配合量であると第14改正日本薬局方試験が合格しなくなる。比較例13は、造核剤として、造核剤(A)に相当する1,2,3−プロパントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)と造核剤(A)〜(D)のいずれにも相当しない造核剤であるゲルオールMDを併用したものであるが、この造核剤の組み合わせでは、透明性、耐熱性および結晶化温度が向上しないばかりか、第14改正日本薬局方試験に不合格となる。比較例14、15は、エチレン・プロピレンランダム共重合体に対し、造核剤として、造核剤(C)に相当するNA−21、造核剤(D)に相当するHPN68Lを0.20重量部配合したもので、この配合では、第14改正日本薬局方試験は不合格となる。比較例16は本発明の範囲から外れたMFRを有するプロピレン系重合体を使用したもので、該重合体を用いると、本発明で特定する造核剤(A)と造核剤(B)を用いても、射出成形によって射出成形品が得られなくなる。
【0102】
(実施例13、比較例17〜20)
プロピレン系重合体および造核剤を表3に示すもの及び量に代えた以外は、実施例1に準拠して試験片および成形品を得、その物性を測定した。その結果を表3に示す。
【0103】
【表3】

【0104】
表3から明らかなように、実施例13は、本発明の範囲の造核剤(A)と、本発明の範囲の造核剤(B)とを併用する事で、透明性、成形性を向上させる事ができ、第14改正日本薬局方試験に合格することが判る。
これに対し、比較例17は、HPP3に、本発明の範囲の造核剤(A)に相当する1,2,3−プロパントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)を0.15重量部配合し、造核剤(B)〜(D)のいずれも配合されていないもので、透明性に劣ることが解る。比較例18は、造核剤として、造核剤(A)〜(D)のいずれにも相当しない造核剤であるゲルオールMDを用いたものであり、この造核剤では、透明性に優れるものの、第14改正日本薬局方試験に不合格となる。比較例19は、造核剤(A)に相当する1,2,3−プロパントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)を0.60重量部配合したものであるが、この配合量であると、透明性は悪化し、第14改正日本薬局方試験が合格しなくなる。比較例20は、造核剤を全く使用していないため、透明性が著しく悪い。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の射出成形品は、透明性、剛性、耐熱性、射出成形性に優れた成形品を得るのに非常に有用であり、食品容器、キャップ、医療用器具、理化学実験器具、自動車部品、電気部品等に好適である。中でも、合格基準の厳しい第14改正 日本薬局方 一般試験 45.プラスチック製医薬品容器試験法 1.ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器の試験項目をすべて満足し得ることから、注射筒、医療用器具および医療用容器、薬剤液を充填してなる注射筒および容器などに最適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレートが0.5〜100g/10分であるプロピレン系重合体100重量部に対し、一般式(1)で示される造核剤(A)を0.005重量部以上で0.3重量部未満配合し、さらに一般式(2)で示される造核剤(B)を0.005〜0.3重量部、一般式(3)で示される造核剤(C)を0.005〜0.15重量部、もしくは一般式(4)で示される造核剤(D)を0.005〜0.15重量部から成る少なくとも1種の造核剤を配合した樹脂組成物を用い、該樹脂組成物を射出成形して得られることを特徴とする射出成形品。
(CONHR …(1)
[式中、Rは、炭素数2〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数4〜28の飽和若しくは不飽和の脂環族ポリカルボン酸残基、又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表わす。Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、又は炭素数3〜46のシクロアルキル基若しくはシクロアルケニル基を表わす。aは、2〜6の整数を表す。]
【化1】

[式中、Rは、直接結合、硫黄又は炭素数1〜9のアルキレン基又はアルキリデン基であり、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、MはNaであり、nはMの価数である。]
【化2】

[式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、Mは、周期律表第III族または第IV族の金属原子を示し、Xは、Mが周期律表第III族の金属原子を示す場合には、HO−を示し、Mが周期律表第IV族の金属原子を示す場合には、O=又は(HO)−を示す。]
【化3】

[式中、MおよびMは、同一または異なって、カルシウム、ストロンチウム、リチウムおよび一塩基性アルミニウムから選択される少なくとも1種の金属カチオンであり、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、同一または異なって、水素、C−Cアルキル(ここで、いずれか2つのビシナル(隣接炭素に結合)またはジェミナル(同一炭素に結合)アルキル基は、一緒になって6個までの炭素原子を有する炭化水素環を形成してもよい)、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルキレンオキシ、アミンおよびC−Cアルキルアミン、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素および沃素)並びにフェニルからなる群からそれぞれ選択される。]
【請求項2】
造核剤(A)が下記一般式(5)で示される少なくとも一種のアミド系化合物であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形品。
【化4】

[式中、Rは、炭素数3〜10の3価の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数4〜10の4価の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数5〜15の3価もしくは4価の飽和脂環族炭化水素基、又は炭素数6〜15の3価もしくは4価の芳香族炭化水素基を表す。Rは、同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。aは、3又は4の整数を表す。]
【請求項3】
造核剤(A)が下記一般式(6)で示される少なくとも一種のアミド系化合物であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形品。
【化5】

[式中、Rは、1,2,3−プロパントリカルボン酸又は1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸から全てのカルボンキシル基を除いて得られる残基を表す。3個又4個のRは、互いに同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。aは、3又は4の整数を表す。]
【請求項4】
樹脂組成物が、プロピレン系重合体100重量部に対し、滑剤を0.001〜0.5重量部配合されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の射出成形品。
【請求項5】
プロピレン系重合体が、アイソタクチックペンタッド分率が0.90以上であるプロピレン単独重合体、またはプロピレンと他のα−オレフィンとのプロピレン系共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の射出成形品。
【請求項6】
射出成形品が、医療用プロピレン成形品であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の射出成形品。

【公開番号】特開2008−150571(P2008−150571A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115520(P2007−115520)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(596133485)日本ポリプロ株式会社 (577)
【Fターム(参考)】