説明

射出成形機及び射出成形方法

【課題】 バリの発生に関する有用な情報を提供すること。
【解決手段】 本発明は、型締力を検出する型締力センサを備える射出成形機であって、保圧工程完了時の型締力センサの検出値及び/又は冷却工程完了時の型締力センサの検出値を表示出力する表示手段を備えることを特徴とする。表示手段は、好ましくは、保圧工程完了時の型締力センサの検出値及び冷却工程完了時の型締力センサの検出値の双方を表示出力する。また、表示手段は、好ましくは、更に、充填開始時の型締力センサの検出値を表示出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型締力を検出する型締力センサを備える射出成形機及び射出成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、型締力を検出する型締力センサを備える射出成形機において、型締力センサの出力値(型締力の値)と金型停止位置との相関関係を表すグラフを、成形機の操作入力表示装置に表示させる構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。この構成によれば、操作者が、グラフに現れる変曲点を確認することで、金型接触が確実に得られる型締力の値(可動金型が固定金型に接触した位置)を知ることができ、その値に基づいて型締時の設定型締力を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−49674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、型締力を用いたバリ検出は、ピーク型締力で行っていたが、これでは不十分であった。
【0005】
そこで、本発明は、バリの発生に関する有用な情報を提供することができる射出成形機及び射出成形方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一局面によれば、型締力を検出する型締力センサを備える射出成形機であって、
保圧工程完了時の型締力センサの検出値及び/又は冷却工程完了時の型締力センサの検出値を表示出力する表示手段を備えることを特徴とする、射出成形機が提供される。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のその他の一局面によれば、型締力を検出する型締力センサを備える射出成形機における射出成形方法であって、
保圧工程完了時の型締力センサの検出値及び/又は冷却工程完了時の型締力センサの検出値を表示出力する表示段階を備えることを特徴とする、射出成形方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バリの発生に関する有用な情報を提供することができる射出成形機及び射出成形方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例による射出成形機1の要部構成を示す図である。
【図2】型締装置10の一実施例の概略図である。
【図3】本実施例のコントローラ126により実現される射出成形方法の一例の主要処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図3の処理中における主要なパラメータ(型締力等)の時系列を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0011】
図1は、本発明の一実施例による射出成形機1の要部構成を示す図である。射出成形機1は、本例では電動式射出成形機であり、射出用のサーボモータ111を備える。射出用のサーボモータ111の回転はボールネジ112に伝えられる。ボールネジ112の回転により前後進するナット113はプレッシャプレート114に固定されている。プレッシャプレート114は、ベースフレーム(図示せず)に固定されたガイドバー115、116に沿って移動可能である。プレッシャプレート114の前後進運動は、ベアリング117、ロードセル118、射出軸119を介してスクリュ120に伝えられる。スクリュ120は、加熱シリンダ121内に回転可能に、しかも軸方向に移動可能に配置されている。加熱シリンダ121におけるスクリュ120の後部には、樹脂供給用のホッパ122が設けられている。射出軸119には、ベルトやプーリ等の連結部材123を介してスクリュ回転用のサーボモータ124の回転運動が伝達される。すなわち、スクリュ回転用のサーボモータ124により射出軸119が回転駆動されることにより、スクリュ120が回転する。
【0012】
可塑化/計量工程においては、加熱シリンダ121の中をスクリュ120が回転しながら後退することにより、スクリュ120の前部、すなわち加熱シリンダ121のノズル121−1側に溶融樹脂が貯えられる。射出工程においては、スクリュ120の前方に貯えられた溶融樹脂を金型内に充填し、加圧することにより成形が行われる。この時、樹脂を押す力がロードセル118により反力として検出される。つまり、スクリュ前部における樹脂圧力が検出される。検出された圧力は、ロードセル増幅器125により増幅され、制御手段として機能するコントローラ126(制御装置)に入力される。また、保圧工程では、金型内に充填した樹脂が所定の圧力に保たれる。
【0013】
プレッシャプレート114には、スクリュ120の移動量を検出するための位置検出器127が取り付けられている。位置検出器127の検出信号は増幅器128により増幅されてコントローラ126に入力される。この検出信号は、スクリュ120の移動速度を検出するためにも使用されてもよい。
【0014】
サーボモータ111、124にはそれぞれ、回転数を検出するためのエンコーダ131、132が備えられている。エンコーダ131、132で検出された回転数はそれぞれコントローラ126に入力される。
【0015】
コントローラ126は、マイクロコンピュータを中心に構成されており、例えば、CPU、制御プログラム等を格納するROM、演算結果等を格納する読書き可能なRAM、タイマ、カウンタ、入力インターフェイス、及び出力インターフェイス等を有する。
【0016】
コントローラ126には、入力装置135及び表示装置150が接続される。
【0017】
コントローラ126は、表示装置150を介して各種設定情報を表示する。また、後述するように、コントローラ126は、表示装置150を介して、型締力センサ18の出力値を表示する。
【0018】
表示装置150は、入力装置135と同一のユニットに組み込まれてもよいし、PCなどの外部端末により構成されてもよい。また、表示装置150は、入力装置135と共にコントローラ126と同一のユニットに組み込まれてもよい。
【0019】
コントローラ126は、入力装置135を通してオペレータによりあらかじめ設定された各種設定値に応じて複数の各工程に応じた電流(トルク)指令をサーボモータ111,124に送る。例えば、コントローラ126は、サーボモータ124の回転数を制御して可塑化/計量工程を実現する。また、コントローラ126は、サーボモータ111の回転数を制御して射出工程及び保圧工程を実現する。
【0020】
射出成形機1は、型締装置10を備える。図2は型締装置10の一実施例の概略図である。
【0021】
図2において、型締装置10は、フレーム17と、フレーム17に固定された固定プラテン12と、固定プラテン12との間に所定の距離を置いてフレーム17に対して移動可能に配設されたトグルサポート15とを具備する。固定プラテン12とトグルサポート15との間には、複数(例えば、四本)のタイバー16が延在している。
【0022】
可動プラテン13は、固定プラテン12に対向して配設され、タイバー16に沿って進退(図における左右方向に移動)可能に配設される。金型装置11は、固定金型11aと可動金型11bとを含む。固定金型11aは、固定プラテン12における可動プラテン13と対向する金型取付面に取り付けられる。一方、可動金型11bは、可動プラテン13における固定プラテン12と対向する金型取付面に取り付けられる。
【0023】
なお、可動プラテン13の後端 (図における左端)にはエジェクタピン(図示せず)を移動させるための駆動装置が取り付けられてもよい。
【0024】
可動プラテン13とトグルサポート15との間には、トグル式型締装置としてのトグル機構20が取り付けられる。トグルサポート15の後端にはトグル機構20を作動させる型締モータ26が配設される。型締モータ26は、回転運動を往復運動に変換するボールねじ機構等から成る運動方向変換装置(図示せず)を備え、ボールねじ軸25を進退(図における左右方向に移動)させることによって、トグル機構20を作動させることができる。なお、型締モータ26は、サーボモータであることが,好ましく、回転数を検出するエンコーダとしての型開閉位置センサ27を備える。
【0025】
トグル機構20は、ボールねじ軸25に取り付けられたクロスヘッド24、クロスヘッド24に揺動可能に取り付けられた第2トグルレバー23、トグルサポート15に揺動可能に取り付けられた第1トグルレバー21、及び、可動プラテン13に揺動可能に取り付けられたトグルアーム22を有する。第1トグルレバー21と第2トグルレバー23との間、及び、第1トグルレバー21とトグルアーム22との間は、それぞれ、リンク結合される。なお、トグル機構20は、いわゆる、内巻五節点ダブルトグル機構であり、上下が対称の構成を有する。
【0026】
型締モータ26を駆動して、被駆動部材としてのクロスヘッド24を進退させることによって、トグル機構20を作動させることができる。この場合、クロスヘッド24を前進(図における右方向に移動)させると、可動プラテン13が前進させられて型閉が行われる。そして、型締モータ26による推進力にトグル倍率を乗じた型締力が発生させられ、その型締力によって型締が行われる。
【0027】
トグルサポート15の後端(図における左端)には、固定プラテン12に対するトグルサポート15の位置を調整するために、型締位置調整装置35が配設される。トグルサポート15には、タイバー挿通孔(図示せず)が複数、例えば、四つ形成され、タイバー16の図における左端が、それぞれのタイバー挿通孔に挿入される。なお、タイバー16の右端は、固定ナット16aによって固定プラテン12に固定されている。
【0028】
タイバー16は、図における左端の外周にねじが形成されたねじ部36を有し、調整ナット37がそれぞれのタイバー16のねじ部36に螺合される。なお、調整ナット37は、トグルサポート15の後端に回転可能に、かつ、タイバー16の軸方向に移動不能に取り付けられる。また、調整ナット37の外周には被駆動用歯車37aが取り付けられている。
【0029】
トグルサポート15の後端における上方部には、型締位置調整用駆動源としての型厚モータ31が配設される。型厚モータ31の回転軸には、駆動用歯車33が取り付けられている。調整ナット37の被駆動用歯車37a及び駆動用歯車33の周囲には、チェーン、歯付きベルト等の駆動用線状体34が架け回されている。そのため、型厚モータ31を駆動して、駆動用歯車33を回転させると、それぞれのタイバー16のねじ部36に螺合された調整ナット37が同期して回転させられる。これにより、型厚モータ31を所定の方向に所定の回転数だけ回転させて、トグルサポート15を所定の距離だけ進退させることができる。なお、型厚モータ31は、サーボモータであることが好ましく、回転数を検出するエンコーダとしての型締位置センサ32を備える。
【0030】
型厚モータ31の回転を調整ナット37に伝達する手段は、それぞれのタイバー16のねじ部36に螺合された調整ナット37が同期して回転させられるものであれば、いかなるものであってもよい。例えば、駆動用線状体34に代えて、駆動用歯車33及び駆動用歯車33のすべてに噛合う大径の歯車をトグルサポート15の後端に回転可能に配設することとしてもよい。
【0031】
また、タイバー16の任意の一つに型締力センサ18が配設される。型締力センサ18は、タイバー16の歪み(主に、伸び)を検出するセンサ(ロードセル)である。タイバー16には、型締の際に型締力に対応して引張力が加わり、型締力に比例して僅かではあるが伸長する。したがって、タイバー16の伸び量を型締力センサ18により検出することで、金型装置11に実際に印加されている型締力を知ることができる。
【0032】
上述の型締力センサ18、型開閉位置センサ27、型締モータ26及び型厚モータ31はコントローラ126に接続され、型締力センサ18及び型開閉位置センサ27から出力される検出信号はコントローラ126に送られる。コントローラ126は、検出信号に基づいて型締モータ26及び型厚モータ31の動作を制御する。
【0033】
ここで、通常の成形時における型閉工程及び型開工程について説明する。型締モータ26を正方向に駆動させると、ボールねじ軸25が正方向に回転させられ、図1に示されるように、ボールねじ軸25は前進(図1における右方向に移動)させられる。それに伴って、クロスヘッド24が前進させられ、トグル機構20が作動させられると、可動プラテン13が前進させられる(型閉工程)。
【0034】
可動プラテン13に取り付けられた可動金型11bが固定金型11aと接触すると(型閉状態又は型タッチ)、型締工程に移行する。型締工程では、型締モータ26を更に正方向に駆動することで、トグル機構20によって金型装置11に型締力が発生させられる。
【0035】
型開を行なう場合、型締モータ26を逆方向に駆動すると、ボールねじ軸25が逆方向に回転させられる。それに伴って、クロスヘッド24が後退させられ、トグル機構20が作動されると、可動プラテン13が後退させられる。
【0036】
型開工程が完了すると、エジェクタ駆動部(図示せず)が駆動され、可動プラテン13に取り付けられたエジェクタ装置が作動する。これにより、エジェクタピンが突き出され、可動金型11b内の成形品は可動金型11bより突き出される。また、エジェクタ駆動部の駆動と同時に成形品取出機(図示せず)が駆動され、成形品取出機のアームが固定金型11aと可動金型11bとの間に進入し、成形品取出位置で停止する。そして、エジェクタピンの前進により可動金型11bから突き出された成形品は成形品取出機のアームにより把持されて取り出され、射出成形機の外に設けられた搬送手段としてのコンベア装置まで搬送される。
【0037】
図3は、本実施例のコントローラ126により実現される射出成形方法の一例の主要処理の流れを示すフローチャートである。
【0038】
射出成形は、典型的には、金型11a,11bを閉じる型閉工程と、金型11a,11bを締め付ける型締工程と、金型11a,11bのスプルにノズルを押しつけるノズルタッチ工程と、加熱シリンダ121内のスクリュ120を前進させて、スクリュ前方に溜まった溶融材料を金型キャビティ内に射出する射出工程と、その後、気泡、ヒケの発生を抑制するために保持圧力をしばらくかける保圧工程と、金型キャビティ内に充填された溶融材料が冷却されて固まるまでの間の時間に次のサイクルのために、スクリュ120を回転させて、樹脂を溶融しながら加熱シリンダ121の前方にため込む可塑化/計量工程・冷却工程と、固化された成形品を金型から取り出すために、金型11a,11bを開く型開工程と、成形品を金型に設けられたエジェクタピンによって押し出す成形品突出し工程とからなる。
【0039】
図3では、本発明に関連する射出成形の要部の工程について主に説明し、他の工程について簡略化又は省略する。
【0040】
ステップ300では、コントローラ126は、型閉工程に続いて型締工程を実施する。型締工程では、設定型締力が発生するように型締モータ26が制御される。型締工程が終了すると、トグル機構20がロックされ、型締モータ26が作動停止する。
【0041】
ステップ400では、コントローラ126は、射出工程を開始する。
【0042】
ステップ401では、コントローラ126は、射出工程開始時の型締力センサ18の出力値、即ち充填開始時の型締力センサ18の出力値(図4の充填開始型締力F1参照)を記憶する。
【0043】
ステップ402では、コントローラ126は、スクリュ120の前進速度が所定の設定速度となるようにサーボモータ111を制御する。即ち、コントローラ126は、設定速度による速度制御を実施する。設定速度は、入力装置135を通してオペレータによりあらかじめ設定されたものであってよい。設定速度は、充填工程末期に設定速度が低下するように、可変する態様(例えば2段階で可変する態様)で設定されてよい。速度制御は、例えばフィードバック制御の態様であってよい。即ち、コントローラ126は、位置検出器127の検出信号から算出されるスクリュ120の移動速度と設定速度との偏差に応じてサーボモータ111を制御してよい。コントローラ126は、設定速度による速度制御を実施している間、位置検出器127の検出信号に基づいて、スクリュ120の位置を監視する。
【0044】
ステップ404では、コントローラ126は、位置検出器127の検出信号に基づいて、スクリュ120の位置がV/P切換位置に到達したか否かを判定する。V/P切換位置は、入力装置135を通してオペレータによりあらかじめ設定されたものであってよい。スクリュ120の位置がV/P切換位置に到達した場合は、ステップ406に進み、スクリュ120の位置がV/P切換位置に到達していない場合は、ステップ402の処理が繰り返される。
【0045】
ステップ406では、コントローラ126は、保圧工程を開始する。即ち、コントローラ126は、スクリュ120の位置がV/P切換位置に到達した時点にて、射出工程から保圧工程に切り換える。
【0046】
ステップ408では、コントローラ126は、スクリュ前部における樹脂圧力が保圧用設定圧に保たれるようにサーボモータ111を制御する。即ち、コントローラ126は、保圧用設定圧による圧力制御を実施する。保圧工程開始時の保圧用設定圧は、入力装置135を通してオペレータによりあらかじめ設定されたものであってよい。
【0047】
ステップ410では、コントローラ126は、タイマの計時時間(例えばV/P切換時点からの計時時間)に基づいて、設定保圧時間が経過したか否かを判定する。設定保圧時間は、入力装置135を通してオペレータによりあらかじめ設定されたものであってよい。設定保圧時間が経過した場合は、ステップ412に進み、設定保圧時間が経過していない場合は、ステップ408の処理が繰り返される。
【0048】
ステップ412では、コントローラ126は、保圧工程を終了する。
【0049】
ステップ413では、コントローラ126は、保圧工程終了時の型締力センサ18の出力値(図4の保圧完了型締力F3参照)を記憶する。
【0050】
ステップ420では、コントローラ126は、可塑化/計量工程を実施する。
【0051】
ステップ422では、コントローラ126は、冷却工程を実施する。尚、冷却工程は、可塑化/計量工程を含む一連の工程であってよい。
【0052】
ステップ424では、コントローラ126は、タイマの計時時間(例えば保圧工程終了時点からの計時時間)に基づいて、設定冷却時間が経過したか否かを判定する。設定冷却時間は、入力装置135を通してオペレータによりあらかじめ設定されたものであってよい。設定冷却時間が経過した場合は、冷却工程を終了してステップ416に進み、設定冷却時間が経過していない場合は、設定冷却時間の経過待ちとなる。
【0053】
ステップ426では、冷却工程終了時の型締力センサ18の出力値(図4の冷却完了型締力F4参照)を記憶する。
【0054】
ステップ430では、コントローラ126は、上記ステップ401,413及び426にて記憶した型締力センサ18の各出力値(図4の図4の充填開始型締力F1、保圧完了型締力F3、冷却完了型締力F4参照)を、表示装置150に表示出力する。
【0055】
図4は、図3の処理中における主要なパラメータ(型締力等)の時系列を示す図である。図4では、横軸が時間を示し、縦軸がスクリュ120の位置及び速度、充填される樹脂の圧力及び型締力を示す。
【0056】
図4に示す例では、型締力は、充填開始換時点からV/P切換時点まで充填開始型締力F1にて略一定に維持されるが、保圧工程に入ると、徐々に増加し、ピーク型締力F2に到達する。型締力は、ピーク型締力F2から徐々に減少し、保圧工程終了時に保圧完了型締力F3に至る。そして、保圧完了型締力F3から徐々に減少し、冷却完了型締力F4に至る。尚、充填開始型締力F1が十分高く設定されると、消費電力の観点から不利となるが、図4に示すような保圧工程において型締力の増加が低減され、バリの発生に対しては有利となる。
【0057】
射出成形において、保圧完了はゲートシール、冷却完了は成形品冷却固化完了の時点である。このとき、充填開始時の型締力よりも上昇しているということは、その時点でダイバーがのばされている、つまり、金型PL面が微小であるが開いていることを示し、バリ発生の危険がある。
【0058】
以上説明した本実施例の射出成形機1によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
【0059】
上述の如く、本実施例によれば、保圧工程終了時の型締力センサ18の出力値及び冷却工程終了時の型締力センサ18の出力値が表示装置150に表示出力されるので、ユーザ(設計者を含む)は、バリの発生に影響しうる有用な情報を得ることができる。これにより、保圧工程終了時の型締力センサ18の出力値及び冷却工程終了時の型締力センサ18の出力値を考慮して、例えば設定型締力又は充填開始時の型締力センサ18の出力値(図4の充填開始型締力F1参照)を調整することで、消費電力を抑えつつバリの発生の低減を図ることができる。
【0060】
尚、図3に示す実施例では、好ましい実施例として、充填開始型締力F1、保圧完了型締力F3、冷却完了型締力F4の3時点の型締力を表示出力しているが、保圧完了型締力F3又は冷却完了型締力F4のみの1時点の型締力を表示出力してもよい。1時点の型締力のみの表示であっても、従来に比べ、ユーザはバリ発生に影響しうる有用な情報を得ることができ、バリの発生の低減を図ることができる。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 射出成形機
10 型締装置
11 金型装置
11a 固定金型
11b 可動金型
12 固定プラテン
13 可動プラテン
15 トグルサポート
16 タイバー
17 フレーム
18 型締力センサ
19 制御装置
20 トグル機構
26 型締モータ
27 型開閉位置センサ
31 型厚モータ
32 型締位置センサ
111 サーボモータ
112 ボールネジ
113 ナット
114 プレッシャプレート
115,116 ガイドバー
117 ベアリング
118 ロードセル
119 射出軸
120 スクリュ
121 加熱シリンダ
122 ホッパ
123 連結部材
124 サーボモータ
126 コントローラ
127 位置検出器
128 増幅器
131,132 エンコーダ
135 入力装置
150 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型締力を検出する型締力センサを備える射出成形機であって、
保圧工程完了時の型締力センサの検出値及び/又は冷却工程完了時の型締力センサの検出値を表示出力する表示手段を備えることを特徴とする、射出成形機。
【請求項2】
前記表示手段は、更に、充填開始時の型締力センサの検出値を表示出力する、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
型締力を検出する型締力センサを備える射出成形機における射出成形方法であって、
保圧工程完了時の型締力センサの検出値及び/又は冷却工程完了時の型締力センサの検出値を表示出力する表示段階を備えることを特徴とする、射出成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−183705(P2011−183705A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52326(P2010−52326)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】