説明

射出成形機

金型装置又は金型支持装置内に配設されたバルブゲートを制御装置により制御することによって、キャビティ毎の成形条件に対応して樹脂を充填することができ、個々の成形品を最適な成形条件で成形することができ、成形精度や品質にばらつきがない成形品を成形することができ、金型装置のコストを低くすることができるようにする。そのため、射出成形機は、金型装置に形成された複数のキャビティと、該キャビティに樹脂を充填する樹脂流路と、前記キャビティのそれぞれに対応する樹脂流路に配設され、該樹脂流路を選択的に開閉する選択手段と、該選択手段を制御する制御装置とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、射出成形機においては、加熱シリンダ内においてスクリュを前進させ、加熱され、溶融させられた樹脂を高圧で射出して金型装置のキャビティに充填(てん)し、該キャビティ内において樹脂を冷却し、固化させることによって成形品を成形するようになっている。そして、前記射出成形機の生産性を向上させるために、一サイクルの成形工程で複数の成形品を成形することができるようにした二個取り又は多数個取りの成形が行われている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0003】
この場合、金型装置に複数のキャビティを形成し、射出された樹脂をスプルー及びランナを通して前記複数のキャビティに配分して充填するようになっている。そのため、一サイクルの成形工程で同時に複数の成形品を成形することができ、射出成形機の生産性を向上させることができる。
【特許文献1】特開平7−171888号公報
【特許文献2】特開平8−118403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の射出成形機においては、成形品の形状が異なれば成形条件も異なるため、複数の形状が異なった成形品を得るためには、射出成形機を複数台並べて、それぞれの形状に適合した成形条件下で成形することが行われた。しかしながら、射出成形機を複数台設置すると、成形工場内において大きなスペースが必要とされる。また、それぞれの射出成形機の成形条件が異なるため、サイクルが早い成形品を工場内にストックさせる必要性が生じるため、さらに大きなスペースを用意しなくてはならない。
【0005】
本発明は前記従来の射出成形機の問題点を解決して、金型装置又は金型支持装置内に配設されたバルブゲートを制御装置により制御することによって、キャビティ毎の成形条件に対応して樹脂を充填することができ、個々の成形品を最適な成形条件で成形することができ、成形精度や品質にばらつきがない成形品を成形することができ、金型装置のコストを低くすることができる射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の射出成形機においては、金型装置に形成された複数のキャビティと、該キャビティに樹脂を充填する樹脂流路と、前記キャビティのそれぞれに対応する樹脂流路に配設され、該樹脂流路を選択的に開閉する選択手段と、該選択手段を制御する制御装置とを有する。
【0007】
本発明の他の射出成形機においては、さらに、前記制御装置は、前記キャビティのそれぞれの成形条件に対応するように前記選択手段を開閉させる。
【0008】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記制御装置は、前記選択手段のそれぞれを開閉させるタイミングを制御して、ショットボリュームの大きなキャビティとショットボリュームの小さなキャビティとにおいて、樹脂の充填又は充填された樹脂の保圧若しくは冷却を同時に完了させる。
【0009】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、樹脂を供給する射出装置を有し、該射出装置は、前記キャビティのすべてに充填する樹脂を一回の計量工程において計量する。
【0010】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、樹脂を供給する射出装置を有し、該射出装置は、前記キャビティのすべてに充填する樹脂を複数回の計量工程において計量する。
【0011】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記金型装置は固定金型、可動金型及び中間金型を備え、前記キャビティは前記中間金型及び固定金型の間と中間金型及び可動金型の間とに形成され、前記制御装置は前記中間金型及び固定金型の型閉、型締及び型開と、中間金型及び可動金型の型閉、型締及び型開とを独立に行わせる。
【0012】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記中間金型及び固定金型の型開と、中間金型及び可動金型の型開とは交互に行われる。
【0013】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、固定金型支持装置と、該固定金型支持装置に対して移動する第1の可動金型支持装置と、前記固定金型支持装置と第1の可動金型支持装置との間に配設され、相対してキャビティを形成する二対の金型のそれぞれ一方が取り付けられる第2の可動金型支持装置とを有する。
【0014】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記固定金型支持装置と第2の可動金型支持装置とにそれぞれ取り付けられた一対の金型から成る第1の金型装置と、前記第1の可動金型支持装置と第2の可動金型支持装置とにそれぞれ取り付けられた一対の金型から成る第2の金型装置とを有し、前記第1の金型装置の型閉、型締及び型開と第2の金型装置の型閉、型締及び型開とを独立して行う。
【0015】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記第2の可動金型支持装置を、第1の可動金型支持装置と独立して移動させる第2の可動金型支持装置用駆動装置を有する。
【0016】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記第2の可動金型支持装置用駆動装置は第2の可動金型支持装置に取り付けられる。
【0017】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記第2の可動金型支持装置用駆動装置は固定金型支持装置又は第1の可動金型支持装置に取り付けられる。
【0018】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記選択手段は前記金型装置内に配設されている。
【0019】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記選択手段は少なくとも固定金型又は中間金型のいずれかに配設されている。
【0020】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記第2の可動金型支持装置は、固定金型支持装置と第1の可動金型支持装置との間に架設されたタイバーに沿って移動する。
【0021】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記第2の可動金型支持装置はフレームに取り付けられたガイド手段に沿って移動する。
【0022】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記第2の可動金型支持装置は、前記キャビティのそれぞれに対応する樹脂流路を選択する選択手段を備える。
【0023】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記選択手段は複数のシャットオフ手段である。
【0024】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記シャットオフ手段は任意のタイミングで制御される。
【0025】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記キャビティのそれぞれの成形条件に対応するように成形品を成形する。
【0026】
本発明の更に他の射出成形機においては、さらに、前記固定金型支持装置及び第1の可動金型支持装置に配設されたエジェクタ装置を有する。
【0027】
本発明の射出成形方法においては、固定金型と中間金型との間に形成された第1のキャビティで第1の成形品を成形し、前記中間金型と可動金型との間に形成された第2のキャビティで前記第1の成形品とは形状が異なる第2の成形品を成形する射出成形方法において、一方のキャビティに前記中間金型内の樹脂流路を通して第1のタイミングで樹脂を充填し、前記中間金型内に配設された選択手段によって樹脂流路を制御して他方のキャビティ空間と連通させ、前記他方のキャビティ内に、前記中間金型内の樹脂流路を通して第2のタイミングで樹脂を充填する。
【0028】
本発明の他の射出成形方法においては、第1の可動金型支持装置と第2の可動金型支持装置との間に配置された第1の金型装置により第1の成形品を成形し、前記第2の可動金型支持装置と固定金型支持装置との間に配置された第2の金型装置により第2の成形品を成形する射出成形方法において、第1の金型装置に成形された第1のキャビティに、前記第2の可動金型支持装置内の樹脂流路を通して第1のタイミングで樹脂を充填し、第2の金型装置に成形された第2のキャビティ内に、前記第2の可動金型支持装置内の樹脂流路を通して第2のタイミングで樹脂を充填する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、金型装置又は金型支持装置内に配設されたバルブゲートを制御装置によって制御するようになっている。そのため、キャビティ毎の成形条件に対応して樹脂を充填することができ、個々の成形品を最適な成形条件で成形することができ、成形精度や品質にばらつきがない成形品を成形することができ、金型装置のコストを低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態における射出成形機の概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における射出成形機の第1の動作シーケンスを示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における射出成形機の第2の動作シーケンスを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における射出成形機の第3の動作シーケンスを示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における射出成形機の第4の動作シーケンスを示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における射出成形機の概略図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における射出成形機のスタック金型装置の変形例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における射出成形機の第1の動作シーケンスを示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における射出成形機の第2の動作シーケンスを示す図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態における射出成形機の概略図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態における射出成形機の第1の動作シーケンスを示す図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態における射出成形機の第2の動作シーケンスを示す図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態における射出成形機の第3の動作シーケンスを示す図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態における射出成形機の第4の動作シーケンスを示す図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態における射出成形機の第5の動作シーケンスを示す図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態における射出成形機の第6の動作シーケンスを示す図である。
【図17】本発明の第4の実施の形態における射出成形機の概略図である。
【図18】本発明の第5の実施の形態における射出成形機の概略図である。
【符号の説明】
【0031】
11、111、211 射出装置
18 制御装置
43 金型装置
44、132、231 固定金型
45、133、234 可動金型
47a、95a、95b、95e、234a 第1キャビティ
47b、95c、95d、95f、231a 第2キャビティ
48、96、240 スプルー
48a、96a、96b、96e 第1ランナ
48b、96c、96d、96f 第2ランナ
49a、97a、97b、97e 第1バルブゲート
49b、97c、97d、97f 第2バルブゲート
53、130、230 タイバー
71、227、228 エジェクタ装置
135 中間金型
212 成形機フレーム
221 固定プラテン
222 第2の可動プラテン
223 第1の可動プラテン
232 固定側中間金型
232a 第2金型内ランナ
233 可動側中間金型
233a 第1金型内ランナ
236 中間部材駆動装置
241 中間ランナ
242 バルブゲート
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
図1は本発明の第1の実施の形態における射出成形機の概略図である。
【0034】
図において、11は射出装置、12は該射出装置11と対向させて配設された型締装置、13は前記射出装置11及び型締装置12を支持する成形機フレーム、14は該成形機フレーム13によって支持されるとともに、射出装置11を支持する射出装置フレーム、81は該射出装置フレーム14の長手方向に配設されたガイド、43は固定金型44及び可動金型45から成る金型装置である。該金型装置43には複数のキャビティとして、第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bが形成されている。
【0035】
そして、前記射出装置フレーム14によってボールねじ軸21が回転自在に支持され、該ボールねじ軸21の一端がモータ22に連結される。また、前記ボールねじ軸21とボールねじナット23とが螺(ら)合させられ、該ボールねじナット23と射出装置11とがスプリング24及びブラケット25を介して連結される。したがって、前記モータ22を正方向及び逆方向に駆動すると、モータ22の回転運動は、ボールねじ軸21とボールねじナット23との組み合わせ、すなわち、ねじ装置91によって直線運動に変換され、該直線運動がブラケット25に伝達される。そして、該ブラケット25が前記ガイド81に沿って矢印Aで示される方向に移動させられ、射出装置11が進退させられる。
【0036】
また、前記ブラケット25には、前方(図における左方)に向けて加熱シリンダ15が固定され、該加熱シリンダ15の前端(図における左端)に射出ノズル16が配設される。そして、前記加熱シリンダ15にホッパ17が配設されるとともに、加熱シリンダ15の内部にはスクリュ26が進退(図における右方向又は左方向に移動)自在に、かつ、回転自在に配設され、該スクリュ26の後端(図における右端)が支持部材82によって支持される。
【0037】
そして、該支持部材82には第1サーボモータ83が取り付けられ、該第1サーボモータ83を駆動することによって発生させられた回転がタイミングベルト84を介して前記スクリュ26に伝達されるようになっている。
【0038】
また、前記射出装置フレーム14には、スクリュ26と平行にボールねじ軸85が回転自在に支持されるとともに、該ボールねじ軸85と第2サーボモータ86とがタイミングベルト87を介して連結される。そして、前記ボールねじ軸85の前端は、支持部材82に固定されたボールねじナット74と螺合させられる。したがって、前記第2サーボモータ86を駆動すると、該第2サーボモータ86の回転運動は、ボールねじ軸85とボールねじナット74との組み合わせ、すなわち、ねじ装置92によって直線運動に変換され、該直線運動が支持部材82に伝達され、そして、該支持部材82は、ガイド81に沿って矢印Bで示される方向に移動させられ、スクリュ26を進退させる。
【0039】
次に、前記構成の射出装置11の動作の概略について説明する。
【0040】
まず、計量工程においては、第1サーボモータ83を駆動し、タイミングベルト84を介してスクリュ26を回転させ、該スクリュ26を所定の位置まで後退(図における右方向に移動)させる。このとき、ホッパ17から供給された樹脂は、加熱シリンダ15内において加熱されて溶融させられ、スクリュ26の後退に伴って該スクリュ26の前方に溜(た)められる。
【0041】
次に、射出工程においては、前記射出ノズル16を固定金型44に押し付け、第2サーボモータ86を駆動し、タイミングベルト87を介してボールねじ軸85を回転させる。
このとき、支持部材82は前記ボールねじ軸85の回転に伴って移動させられ、前記スクリュ26を前進(図における左方向に移動)させるので、該スクリュ26の前方に溜められた樹脂は射出ノズル16から射出され、固定金型44内に形成された樹脂流路としてのスプルー48、並びに、該スプルー48から枝分かれした樹脂流路としての第1ランナ48a及び第2ランナ48bを通って、固定金型44と可動金型45との間に形成された第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bに充填される。なお、前記第1ランナ48a及び第2ランナ48bの途中には、該第1ランナ48a及び第2ランナ48bを選択的に開閉するバルブとしての第1バルブゲート49a及び第2バルブゲート49bが、それぞれ、配設されている。
【0042】
ここで、前記第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bは、形状及び樹脂の充填量、すなわち、ショットボリュームが相違する。図に示される例においては、第1キャビティ47aの容積が第2キャビティ47bの容積よりも大きく、第1キャビティ47aのショットボリュームが第2キャビティ47bのショットボリュームよりも大きくなっている。また、本実施の形態においては、説明の都合上、キャビティが前記第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bの二つである場合についてのみ説明するが、キャビティの数は、複数であれば、三つ以上であってもよく、いくつであってもよい。その場合、ランナはキャビティの数に対応する数に枝分かれし、各ランナの途中に各ランナを開閉するバルブゲートが配設される。
【0043】
次に、前記型締装置12について説明する。
【0044】
該型締装置12は、固定金型支持装置としての固定プラテン51、トグルサポート52、前記固定プラテン51とトグルサポート52との間に架設されたタイバー53、前記固定プラテン51と対向して配設され、前記タイバー53に沿って進退(図における右方向又は左方向に移動)自在に配設された可動プラテン54、及び、該可動プラテン54と前記トグルサポート52との間に配設されたトグル機構56を備える。そして、前記固定プラテン51及び可動プラテン54に、互いに対向させて前記固定金型44及び可動金型45が、それぞれ、取り付けられる。
【0045】
前記トグル機構56は、トグル用サーボモータ66によってクロスヘッド58をトグルサポート52と可動プラテン54との間で進退させることにより、前記可動プラテン54をタイバー53に沿って進退させ、可動金型45を固定金型44に対して接離させて、型閉、型締及び型開を行うようになっている。
【0046】
そのために、前記トグル機構56は、前記クロスヘッド58に対して揺動自在に支持されたトグルレバー61、前記トグルサポート52に対して揺動自在に支持されたトグルレバー62、前記可動プラテン54に対して揺動自在に支持されたトグルアーム63から成り、前記トグルレバー61とトグルレバー62との間及びトグルレバー62とトグルアーム63との間が、それぞれ、リンク結合される。
【0047】
また、ボールねじ軸64が前記トグルサポート52に対して回転自在に支持され、前記ボールねじ軸64と、前記クロスヘッド58に固定されたボールねじナット65とが螺合させられる。そして、前記ボールねじ軸64を回転させるために、前記トグルサポート52の側面に前記トグル用サーボモータ66が取り付けられる。
【0048】
したがって、該トグル用サーボモータ66を駆動すると、該トグル用サーボモータ66の回転運動が、タイミングベルト67を介して前記ボールねじ軸64に伝達され、該ボールねじ軸64とボールねじナット65との組み合わせ、すなわち、ねじ装置93によって直線運動に変換され、該直線運動がクロスヘッド58に伝達され、該クロスヘッド58は
矢印Cで示される方向に進退させられる。すなわち、前記クロスヘッド58を前進 (図における右方向に移動)させると、トグル機構56が伸展して可動プラテン54が前進させられ、型閉及び型締が行われ、前記クロスヘッド58を後退 (図における左方向に移動)させると、トグル機構56が屈曲して可動プラテン54が後退させられ、型開が行われる。
【0049】
また、該可動プラテン54の背面にはエジェクタ装置71が配設され、該エジェクタ装置71は、前記可動金型45を貫通して延び、前端 (図における右端)を第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bに臨ませる図示されないエジェクタピン、該エジェクタピンの後方 (図における左方) に配設された図示されないエジェクタロッド、該エジェクタロッドの後方に配設され、図示されないサーボモータによって回転させられるボールねじ軸72、及び、該ボールねじ軸72と螺合させられるボールねじナット73を有する。
【0050】
したがって、前記サーボモータを駆動すると、該サーボモータの回転運動が、ボールねじ軸72とボールねじナット73との組み合わせ、すなわち、ねじ装置94によって直線運動に変換され、該直線運動が前記エジェクタロッドに伝達され、該エジェクタロッド及びエジェクタピンが矢印Dで示される方向に進退させられる。
【0051】
なお、前記射出成形機は、第1バルブゲート49a、第2バルブゲート49b、トグル用サーボモータ66、第1サーボモータ83及び第2サーボモータ86の動作を制御する制御装置18を有する。該制御装置18は、型締装置12や射出装置11とともに、金型装置43内に配置された選択手段としてのシャットオフ機能を備えるバルブの開閉動作の制御も行う。バルブの開閉動作は、射出成形機の各工程動作と対応して開閉するように制御されている。なお、前記制御装置18は、可動プラテン54や、スクリュ26の動作条件の設定と同様に、バルブの動作条件の設定を入力するための入力部と、射出成形機の動作を監視する表示部などを有するものであってもよい。ここで、金型装置43に近接スイッチなどの検出器を設置することで、バルブの開閉動作の完了を確認することができ、例えば、バルブ閉の完了を検出することができない場合には、異常であると判断して、オペレータへの警告を促す警告表示を表示部に表示することができる。このように、各バルブの動作を検出器にて確認することで、バルブに異常が生じた場合、どのバルブで異常が発生したのかを迅速に把握することができる。
【0052】
次に、前記構成の射出成形機の動作シーケンスについて詳細に説明する。
【0053】
図2は本発明の第1の実施の形態における射出成形機の第1の動作シーケンスを示す図である。
【0054】
本実施の形態において、射出成形機は、第1の動作シーケンスにおいて、図2に示されるように作動する。まず、図2(a)は、第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bにおける成形工程の時間に対応した変化を示すチャートであり、チャートAは第1キャビティ47aにおける成形工程の変化を示し、チャートBは第2キャビティ47bにおける成形工程の変化を示している。前記チャートA及びチャートBは、複数の矢印から成り、一つ一つの矢印が第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bにおける一つ一つの成形工程に対応し、各矢印の長さが各成形工程の時間を表している。そして、各矢印に付与された名称が各矢印が対応する成形工程を示し、矢印の向きは時間の進行方向を示している。
【0055】
したがって、前記チャートA及びチャートBを矢印の向きに辿(たど)ることによって、第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bにおける成形工程の変化を時間の経過に沿って把握することができる。また、前記チャートA及びチャートBに付与された「開
」及び「閉」の印は、第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bに接続された第1ランナ48a及び第2ランナ48bに配設された第1バルブゲート49a及び第2バルブゲート49bが開く時点及び閉じる時点を示している。なお、前述されたように、第1キャビティ47aの容積が第2キャビティ47bの容積よりも大きく、第1キャビティ47aのショットボリュームが第2キャビティ47bのショットボリュームよりも大きくなっている。
【0056】
そして、図2(b)は、射出装置11のスクリュ26の位置の時間に対応した変化を示すものであり、横軸は時間を示し、縦軸はスクリュ26の位置を示している。なお、前記縦軸はスクリュ26が前進するほど、すなわち、射出ノズル16に接近するほど数値が小さくなるように示されている。また、図2(a)及び(b)において、時間を示す横軸のスケールは共通である。
【0057】
まず、金型装置43が型開された状態において、型閉工程が開始されると、型締装置12によって加えられる型締力が上昇し、可動金型45が前進して固定金型44に接近し、最後に可動金型45のパーティング面と固定金型44のパーティング面とが接触して型閉工程が完了する。すると、それまでスクリュ26が回転して溶融された樹脂の計量工程を継続していた射出装置11において、図2(b)に示される時間原点から射出工程が開始され、スクリュ26は回転を停止して前進する。これにより、射出ノズル16から樹脂が射出されスプルー48内に流入する。
【0058】
また、図2(a)のチャートAに示されるように、前記時間原点で第1ランナ48aに配設された第1バルブゲート49aが開くので、スプルー48内に流入した樹脂は、前記第1ランナ48aを通って、第1キャビティ47aに充填される。すなわち、第1キャビティ47aにおいて充填工程が開始される。そして、所定量の樹脂が第1キャビティ47aに充填されると、充填工程が終了し、保圧工程が行われる。該保圧工程においては、前記第1バルブゲート49aが開いているので、スクリュ26によって加えられる圧力が第1キャビティ47aに充填された樹脂にも加えられる。続いて、保圧工程が終了すると前記第1バルブゲート49aが閉じて、冷却工程が行われる。該冷却工程において、第1キャビティ47aに充填された樹脂は、金型装置43によって熱を奪われ冷却される。
【0059】
一方、図2(a)のチャートBに示されるように、前記第1バルブゲート49aが閉じた直後に、第2ランナ48bに配設された第2バルブゲート49bが開くので、スプルー48内に流入した樹脂は、前記第2ランナ48bを通って、第2キャビティ47bに充填される。すなわち、第2キャビティ47bにおいて充填工程が開始される。この場合、図2(b)に示されるように、スクリュ26は再び前進させられる。そして、所定量の樹脂が第2キャビティ47bに充填されると、充填工程が終了し、保圧工程が行われる。なお、第2キャビティ47bの容積が第1キャビティ47aの容積よりも小さいので、短時間で充填が完了し、充填工程に必要な時間が短いことが分かる。前記保圧工程においては、前記第2バルブゲート49bが開いているので、スクリュ26によって加えられる圧力が第2キャビティ47bに充填された樹脂にも加えられる。続いて、保圧工程が終了すると前記第2バルブゲート49bが閉じて、冷却工程が行われる。該冷却工程において、第2キャビティ47bに充填された樹脂は、金型装置43によって熱を奪われ冷却される。なお、前記第2バルブゲート49bが閉じると、射出装置11においてスクリュ26が回転して樹脂の計量工程が開始されるので、図2(b)に示されるように、スクリュ26は後退する。
【0060】
そして、冷却工程において第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bに充填された樹脂が十分に冷却されて、ある程度固化した状態となると、冷却工程が終了し、型開工程が開始される。ここで、チャートA及びチャートBに示されるように、第1キャビティ
47a及び第2キャビティ47bにおいて冷却工程が同時に終了する。そして、型開工程が開始されると、型締装置12によって可動金型45が後退して、該可動金型45のパーティング面が固定金型44のパーティング面から離間する。なお、樹脂が冷却されて成形された成形品は、第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bにおける可動金型45側の面に付着している。
【0061】
続いて、可動金型45のパーティング面と固定金型44のパーティング面との間隔が所定の距離になると、エジェクタ装置71が作動して突出工程が行われる。該突出工程におては、図示されないエジェクタピンの前端が可動金型45側の第1キャビティ47a及び第2キャビティ47b内に突出して、付着している成形品をエジェクトする。なお、エジェクトされた成形品は、落下して収納容器内に収納されるか、又は、可動金型45のパーティング面と固定金型44のパーティング面との間に進入する成形品取り出し装置によって取り出されることによって回収される。そして、再び型閉工程が開始され、前述された動作が繰り返して行われる。
【0062】
このように、第1の動作シーケンスにおいては、第1バルブゲート49a及び第2バルブゲート49bを開閉させるタイミングを制御して、第1キャビティ47aにおける冷却工程の間に、第2キャビティ47bにおいて充填工程と保圧工程とが行われ、かつ、第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bにおいて冷却工程が同時に終了するようになっている。そのため、第1キャビティ47aの容積が第2キャビティ47bの容積よりも大きく、第1キャビティ47aに充填された樹脂を冷却するための時間が第2キャビティ47bに充填された樹脂を冷却するための時間よりも長くても、第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bにおいて、同時に型開工程を開始することができる。すなわち、成形条件としての冷却時間が長い第1キャビティ47aに適した成形を行うことができ、また、成形条件としての冷却時間が短い第2キャビティ47bに適した成形を行うことができる。しかも、冷却工程が長い成形品の成形条件を有効に使うことで、成形条件が相違する第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bにおいてそれぞれ最適な成形を行うことができる。
【0063】
また、第1キャビティ47aにおける充填工程と保圧工程とが終了した後に、第2キャビティ47bにおける充填工程と保圧工程とが行われるので、単位時間当たりの充填樹脂量を増大させるため、スクリュ径を大きくしたり、射出圧力を増大させたりする必要はない。すなわち、射出装置11を大型化したり高性能化したりすることなく、複数の成形品を同時に成形することができる。さらに、単一の金型装置43によって複数種類の成形品を同時に成形することができるので、省スペースで多品種の成形品の成形が可能となる。
【0064】
次に、第2の動作シーケンスについて説明する。なお、前記第1の動作シーケンスと同様の動作については説明を省略する。
【0065】
図3は本発明の第1の実施の形態における射出成形機の第2の動作シーケンスを示す図である。
【0066】
第2の動作シーケンスにおいて、射出成形機は、図3に示されるように作動する。この場合、前記第1の動作シーケンスと同様に、時間原点で、第1ランナ48aに配設された第1バルブゲート49aが開き、第1キャビティ47aにおいて充填工程が開始される。そして、第1キャビティ47aにおける充填工程の途中で、第2ランナ48bに配設された第2バルブゲート49bが開き、第2キャビティ47bにおいて充填工程が開始される。
【0067】
ここで、第2キャビティ47bにおいて充填工程が開始される時点は、第1キャビティ
47aの容積と第2キャビティ47bの容積との差分に相当する樹脂が第1キャビティ47aに充填された時点である。すなわち、第1キャビティ47aのショットボリュームの残量が第2キャビティ47bのショットボリュームと等しくなった時点で、第2キャビティ47bにおいて充填工程が開始される。そのため、第2キャビティ47bにおいて充填工程が開始されると、射出装置11の単位時間当たりの射出樹脂量を増大させる必要があり、スクリュ26の前進速度を増加させるように速度制御が行われ、図2(b)に示されるように、スクリュ26の前進速度も速くされる。
【0068】
そして、図3(a)のチャートA及びチャートBに示されるように、第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bにおいてほぼ同時に充填工程が終了し、保圧工程が行われる。また、第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bにおいてほぼ同時に保圧工程が終了し、第1バルブゲート49a及び第2バルブゲート49bが閉じて、冷却工程が行われる。以降の動作については、前記第1の動作シーケンスと同様であるので、説明を省略する。
【0069】
このように、第2の動作シーケンスにおいては、第1バルブゲート49a及び第2バルブゲート49bを開閉させるタイミングを制御して、第1キャビティ47aにおける充填工程の途中で、第2キャビティ47bにおいて充填工程が開始され、第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bにおいて充填工程がほぼ同時に終了するようになっている。そのため、第1キャビティ47aのショットボリュームが第2キャビティ47bのショットボリュームよりも大きくても、ほぼ同時に充填工程と保圧工程とを終了させ、冷却工程と型開工程とを開始させることができる。すなわち、成形条件としてのショットボリュームが大きい第1キャビティ47aに適した成形を行うことができ、また、成形条件としてのショットボリュームが小さい第2キャビティ47bに適した成形を行うことができる。しかも、単一のキャビティを有する金型装置を使用した場合と同様の通常の成形動作を行うことによって、成形条件が相違する第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bにおいて、それぞれ、最適な成形を行うことができる。
【0070】
また、第1キャビティ47aにおける充填工程の途中から、第2キャビティ47bにおける充填工程を開始させるので、スクリュ26の前進速度を増加させるように速度制御を行うだけでよく、射出装置11を大型化したりすることなく、複数の成形品を同時に成形することができる。さらに、複数種類の成形品を同時に成形することができるので、省スペースで多品種の成形品の成形が可能となる。
【0071】
次に、第3の動作シーケンスについて説明する。なお、前記第1及び第2の動作シーケンスと同様の動作については説明を省略する。
【0072】
図4は本発明の第1の実施の形態における射出成形機の第3の動作シーケンスを示す図である。
【0073】
第3の動作シーケンスにおいて、射出成形機は、図4に示されるように作動する。この場合、型閉工程が完了した後、時間原点で、射出装置11においてスクリュ26が回転して樹脂の計量工程を継続している状態で、第1ランナ48aに配設された第1バルブゲート49aが開くようになっている。なお、前記計量工程においてはスクリュ26を後退させないようにする。そのため、該スクリュ26の回転によって、樹脂が射出ノズル16から押し出されてスプルー48内に流入し、第1ランナ48aを通って、第1キャビティ47aに充填される。
【0074】
そして、第1キャビティ47aの容積と第2キャビティ47bの容積との差分に相当する樹脂が第1キャビティ47aに充填された時点、すなわち、第1キャビティ47aのシ
ョットボリュームの残量が第2キャビティ47bのショットボリュームと等しくなった時点で、充填工程が開始され、前記スクリュ26は回転を停止して前進する。これにより、射出ノズル16から樹脂が射出されスプルー48内に流入する。また、同時に第2ランナ48bに配設された第2バルブゲート49bが開くので、射出ノズル16から射出された樹脂は、前記第1ランナ48a及び第2ランナ48bを通って、第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bに充填される。この場合、スクリュ26の前進速度を制御する速度制御が行われる。
【0075】
そして、図4(a)のチャートA及びチャートBに示されるように、第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bにおいてほぼ同時に充填工程が終了し、保圧工程が行われる。この場合、まず、第2キャビティ47bにおいて保圧工程が終了し、第2バルブゲート49bが閉じて、冷却工程が行われる。続いて、第1キャビティ47aにおいて保圧工程が終了し、第1バルブゲート49aが閉じて、冷却工程が行われる。そして、第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bにおいて冷却工程が同時に終了する。以降の動作については、前記第1及び第2の動作シーケンスと同様であるので、説明を省略する。
【0076】
このように、第3の動作シーケンスにおいては、第1バルブゲート49a及び第2バルブゲート49bを開閉させるタイミングを制御して、計量工程の途中から第1キャビティ47aに樹脂が充填され、第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bにおいて充填工程がほぼ同時に終了するようになっている。そのため、第1キャビティ47aのショットボリュームが第2キャビティ47bのショットボリュームよりも大きくても、ほぼ同時に充填工程を終了させ、型開工程を開始させることができる。この場合、第1キャビティ47aにおける保圧工程を、第2キャビティ47bにおける保圧工程よりも長くすることができる。すなわち、成形条件としてのショットボリュームが大きい第1キャビティ47aに適した成形を行うことができ、また、成形条件としてのショットボリュームが小さい第2キャビティ47bに適した成形を行うことができる。しかも、単一のキャビティを有する金型装置を使用した場合と同様の通常の成形動作を行うことによって、成形条件が相違する第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bにおいて、それぞれ、最適な成形を行うことができる。
【0077】
また、第1キャビティ47aにおける充填工程の途中から、第2キャビティ47bにおける充填工程を開始させるので、スクリュ26の前進速度を増加させるように速度制御を行うだけでよく、射出装置11を大型化したりすることなく、複数の成形品を同時に成形することができる。さらに、複数種類の成形品を同時に成形することができるので、省スペースで多品種の成形品の成形が可能となる。
【0078】
次に、第4の動作シーケンスについて説明する。なお、前記第1〜第3の動作シーケンスと同様の動作については説明を省略する。
【0079】
図5は本発明の第1の実施の形態における射出成形機の第4の動作シーケンスを示す図である。
【0080】
第4の動作シーケンスにおいて、射出成形機は、図5に示されるように作動する。この場合、前記第1の動作シーケンスと同様に、時間原点で、第1ランナ48aに配設された第1バルブゲート49aが開き、第1キャビティ47aにおいて充填工程が開始される。そして、所定量の樹脂が第1キャビティ47aに充填されると、充填工程が終了し、保圧工程が行われる。該保圧工程の間、射出装置11においては、スクリュ26が回転して樹脂の計量工程が行われ、第2キャビティ47bに充填する樹脂の計量が行われる。このとき、背圧と同じ圧力で第1キャビティ47aには保圧がかけられる。
【0081】
そして、前記計量工程が終了すると、第2ランナ48bに配設された第2バルブゲート49bが開き、第2キャビティ47bにおいて充填工程が開始される。また、同時に前記第1バルブゲート49aが閉じて、第1キャビティ47aにおいて冷却工程が開始される。この場合、図5(b)に示されるように、スクリュ26は再び前進させられる。そして、所定量の樹脂が第2キャビティ47bに充填されると、充填工程が終了し、保圧工程が行われる。なお、第2キャビティ47bの容積が第1キャビティ47aの容積よりも小さいので、短時間で充填が完了し、充填工程及び保圧工程に必要な時間が短いことが分かる。続いて、保圧工程が終了すると前記第2バルブゲート49bが閉じて、冷却工程が行われる。
【0082】
そして、チャートA及びチャートBに示されるように、第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bにおいて冷却工程が同時に終了する。以降の動作については、前記第1〜第3の動作シーケンスと同様であるので、説明を省略する。
【0083】
このように、第4の動作シーケンスにおいては、まず、第1キャビティ47aにだけ樹脂を充填し、第1キャビティ47aにおける充填工程が終了すると、射出装置11において計量工程が行われ、第2キャビティ47bに充填する樹脂の計量が行われた後、第2キャビティ47bにだけ樹脂を充填するようになっている。そのため、第1キャビティ47aと第2キャビティ47bとを併せたショットボリュームが射出装置11の能力に比較して大きく、複数回の計量工程を行う必要がある場合でも、一サイクルの成形工程で第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bにおいて成形を行うことができる。したがって、射出成形機のスループットを向上させることができる。しかも、成形条件としての冷却時間が長い第1キャビティ47aに適した成形を行うことができ、また、成形条件としての冷却時間が短い第2キャビティ47bに適した成形を行うことができる。さらに、複数種類の成形品を同時に成形することができるので、省スペースで多品種の成形品の成形が可能となる。
【0084】
このように、本実施の形態においては、固定金型44内に形成された第1ランナ48a及び第2ランナ48bに配設された第1バルブゲート49a及び第2バルブゲート49bを制御装置18によって制御して開閉させることにより、ショットボリュームが相違する第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bのそれぞれの成形条件に対応して樹脂を充填する。
【0085】
そのため、成形条件の相違する第1キャビティ47a及び第2キャビティ47bによって、最適な成形品を最適な成形条件で成形することができる。また、金型装置43の製作が容易となり、金型装置43のコストを低くすることができる。
【0086】
さらに、単一の金型装置43によって複数種類の成形品を同時に成形することができるので、省スペースで多品種の成形品の成形が可能となる。さらに、射出装置11を大型化したり高性能化したりすることなく、複数の成形品を同時に成形することができる。
【0087】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することにより、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0088】
図6は本発明の第2の実施の形態における射出成形機の概略図、図7は本発明の第2の実施の形態における射出成形機のスタック金型装置の変形例を示す図である。
【0089】
図6において、111は射出装置、112は型締装置である。前記射出装置111は、加熱シリンダ114、該加熱シリンダ114内において回転自在に、かつ、進退自在に配
設された図示されないスクリュ、該スクリュを回転させ、かつ、進退させる駆動部115、及び、前記加熱シリンダ114の先端に配設された射出ノズル117を有する。
【0090】
一方、型締装置112は、固定金型支持装置としての固定プラテン121、該固定プラテン121と対向させて配設されたサポートプレート122、前記固定プラテン121に対して進退させられる可動プラテン123、スタック金型装置124、型締装置125、及び、型締シリンダ126から成る。前記固定プラテン121とサポートプレート122との間にはタイバー130が架設され、前記可動プラテン123はタイバー130に沿って進退自在に配設される。そして、型締シリンダ126を駆動し、型締装置125を作動させることによって、可動プラテン123を移動させることができるようになっている。
【0091】
ところで、前記固定プラテン121には固定金型132が取り付けられ、可動プラテン123には可動金型133が取り付けられ、また、固定金型132と可動金型133との間に中間金型135が配設される。該中間金型135と可動金型133との間には複数のキャビティとして、第1キャビティ95a及び95bが形成され、中間金型135と固定金型132との間には複数のキャビティとして、第2キャビティ95c及び95dが形成される。ここで、前記第1キャビティ95a及び95b並びに第2キャビティ95c及び95dは、形状及び樹脂の充填量、すなわち、ショットボリュームが相違する。図6に示される例においては、第1キャビティ95a及び95bの容積が第2キャビティ95c及び95dの容積よりも大きく、第1キャビティ95a及び95bのショットボリュームが第2キャビティ95c及び95dのショットボリュームよりも大きくなっている。なお、第1キャビティ95a及び95bの形状及び樹脂の充填量は同一であり、第2キャビティ95c及び95dの形状及び樹脂の充填量は同一である。また、キャビティの数は、複数であれば、いくつであってもよい。そして、前記固定金型132には中間金型駆動装置165が配設され、該中間金型駆動装置165によって前記中間金型135が進退(図6における右方向又は左方向に移動)させられる。固定金型132に対して十分な設置スペースがないため、型締シリンダ126より小型であるため出力が小さくなるが、固定金型132の外周の複数箇所に配置することで小出力を補うことができる。
【0092】
このようにして、前記可動プラテン123を進退させることによって、可動金型133を中間金型135に対して、また、該中間金型135を固定金型132に対して接離させ、型閉、型締及び型開を行うことができる。そして、前記中間金型135にはシュノーケル142が前記固定プラテン121側に向けて突出させて形成され、前記シュノーケル142内に樹脂流路としてのスプルー96が形成される。また、前記中間金型135内にはスプルー96から枝分かれした樹脂流路としての第1ランナ96a及び96b、並びに、第2ランナ96c及び96dが形成される。前記第1ランナ96a及び96bは第1キャビティ95a及び95bに接続され、前記第2ランナ96c及び96dは第2キャビティ95c及び95dに接続されている。また、前記第1ランナ96a及び96bの途中には、該第1ランナ96a及び96bを開閉するバルブとしての第1バルブゲート97a及び97bが、それぞれ、配設され、前記第2ランナ96c及び96dの途中には、該第2ランナ96c及び96dを開閉するバルブとしての第2バルブゲート97c及び97dが、それぞれ、配設されている。
【0093】
さらに、前記中間金型135には複数の連結棒146が射出装置111側に向けて突出させて形成され、一方、該射出装置111には移動用シリンダ147が配設され、該移動用シリンダ147内のピストン148に前記連結棒146の先端が連結される。したがって、前記移動用シリンダ147に油を給排し、中間金型135と射出装置111との相対的な距離を変えることによって、射出ノズル117をシュノーケル142に対してノズルタッチさせたり、接離させることができる。
【0094】
なお、前記スタック金型装置124は、図7に示されるような構成を有するものであってもよい。この場合、シュノーケル142は、中間金型135の側面から突出し、固定金型132及び固定プラテン121を貫通することなく、前記固定金型132及び固定プラテン121の側方を通過するように形成されている。なお、図7に示される例においては、第1キャビティ及び第2キャビティは95e及び95fの一つずつであり、同様に第1ランナ及び第2ランナも96e及び96fの一つずつであり、第1バルブゲート及び第2バルブゲートも97e及び97fの一つずつである。
【0095】
また、前記射出装置111の下方にはリニアモーションガイド161が配設され、射出装置111をリニアモーションガイド161に沿って進退させることができるようになっている。そのために、射出装置111の下方に脚部155が形成され、該脚部155に前記リニアモーションガイド161に載置される挟持体162が配設される。前記リニアモーションガイド161は上面にわずかに突出する図示されない多数のボールを有し、転がり摩擦によって挟持体162を支持する。
【0096】
したがって、前記可動プラテン123を進退させると、中間金型135が同方向に進退し、連結棒146を介して射出装置111を中間金型135と同方向に同じ量だけ進退させることができる。このように、射出装置111を進退させるために、リニアモーションガイド161を使用しているので、摩擦抵抗を1/20〜1/40にすることができる。特に起動摩擦抵抗を小さくすることができ、しかも、起動摩擦抵抗と動摩擦抵抗との差も小さいので、重量の大きな射出装置111と型締装置112とを連動させるのが容易になる。
【0097】
また、前記射出成形機は図示されない制御装置を有する。該制御装置は、前記第1の実施の形態における制御装置18と同様の構成を有し、第1バルブゲート97a及び97b並びに第2バルブゲート97c及び97dの動作を含む、射出成形機のすべての動作を制御する。
【0098】
次に、本実施の形態における射出成形機の動作シーケンスについて詳細に説明する。
【0099】
図8は本発明の第2の実施の形態における射出成形機の第1の動作シーケンスを示す図である。
【0100】
まず、第1の動作シーケンスについて説明する。ここで、図8は前記第1の実施の形態における図2〜5と同様のものである。なお、チャートCは射出装置111における工程の一部を示している。また、前記第1の実施の形態における第1〜第4の動作シーケンスと同様の動作についても説明を省略する。
【0101】
この場合、時間原点で、第1ランナ96a及び96b又は96eに配設された第1バルブゲート97a及び97b又は97eが開き、第1キャビティ95a及び95b又は95eにおいて充填工程が開始される。そして、所定量の樹脂が前記第1キャビティ95a及び95b又は95eに充填されると、充填工程が終了し、保圧工程が行われ、該保圧工程が終了すると前記第1バルブゲート97a及び97b又は97eが閉じて、冷却工程が行われる。
【0102】
一方、前記第1バルブゲート97a及び97b又は97eが閉じた直後に、射出装置111においては、スクリュが回転して樹脂の計量工程が行われ、第2キャビティ95c及び95d又は95fに充填する樹脂の計量が行われる。そして、前記計量工程が終了すると、第2ランナ96c及び96d又は96fに配設された第2バルブゲート97c及び97d又は97fが開き、前記第2キャビティ95c及び95d又は95fにおいて充填工
程が開始される。この場合、図8(b)に示されるように、スクリュは再び前進させられる。そして、所定量の樹脂が第2キャビティ95c及び95d又は95fに充填されると、充填工程が終了し、保圧工程が行われる。なお、第2キャビティ95c及び95d又は95fの容積が第1キャビティ95a及び95b又は95eの容積よりも小さいので、短時間で充填が完了し、充填工程及び保圧工程に必要な時間が短いことが分かる。続いて、保圧工程が終了すると前記第2バルブゲート97c及び97d又は97fが閉じて、第2キャビティ95c及び95d又は95fにおいて冷却工程が行われる。
【0103】
本実施の形態においては、金型装置がスタック金型装置124なので、中間金型135及び固定金型132の型閉、型締及び型開と、中間金型135及び可動金型133の型閉、型締及び型開とを独立に行うことができる。そこで、第2キャビティ95c及び95d又は95fにおいて保圧工程が終了した時点で、可動金型133のパーティング面を中間金型135のパーティング面から離間させて、第1キャビティ95a及び95b又は95eにおける型開工程が開始される。また、前記第1キャビティ95a及び95b又は95eにおける型開工程が開始された直後には、チャートCに示されるように、射出装置111において第1キャビティ95a及び95b又は95eのための計量工程が開始される。
【0104】
ここで、第2キャビティ95c及び95d又は95fの容積は第1キャビティ95a及び95b又は95eの容積よりも小さいので、第2キャビティ95c及び95d又は95fにおける冷却工程は短時間で終了する。そして、中間金型135のパーティング面を固定金型132のパーティング面から離間させて、第2キャビティ95c及び95d又は95fにおける型開工程が開始される。以降は、第1キャビティ95a及び95b又は95eと第2キャビティ95c及び95d又は95fとにおいて、互いに独立して、型開工程、突出工程及び型閉工程が行われる。
【0105】
このように、第1の動作シーケンスでは、第1キャビティ95a及び95b又は95eにおける冷却工程の間に、第2キャビティ95c及び95d又は95fにおいて充填工程と保圧工程とが行われる。そして、以降は、第1キャビティ95a及び95b又は95eと第2キャビティ95c及び95d又は95fとにおいて、互いに独立して、冷却工程、型開工程、突出工程及び型閉工程が行われる。そのため、成形条件としての冷却時間が長い第1キャビティ95a及び95b又は95eに適した成形を行うことができ、また、成形条件としての冷却時間が短い第2キャビティ95c及び95d又は95fに適した成形を行うことができる。
【0106】
また、射出装置111の可塑化能力に比較して大きく、複数回の計量工程を行う必要がある場合でも、一サイクルの成形工程で第1キャビティ95a及び95b又は95eと第2キャビティ95c及び95d又は95fとにおいて成形することができる。したがって、射出成形機のスループットを向上させることができる。
【0107】
さらに、中間金型135及び固定金型132の型開と、中間金型135及び可動金型133の型開とを交互に行うことができる。なお、中間金型駆動装置165の駆動力は、型締シリンダ126の駆動力よりも小さいが、第2キャビティ95c及び95d又は95fは容積が小さくショットボリュームが小さいので、中間金型135及び固定金型132の型閉、型締及び型開を行うには十分である。
【0108】
次に、第2の動作シーケンスについて説明する。なお、前記第1の動作シーケンスと同様の動作については説明を省略する。
【0109】
図9は本発明の第2の実施の形態における射出成形機の第2の動作シーケンスを示す図である。
【0110】
第2の動作シーケンスにおいて、射出成形機は、図9に示されるように作動する。ここでは、第1キャビティ95a及び95b又は95eの容積、並びに、第2キャビティ95c及び95d又は95fの容積が大きいものとして説明する。この場合、第2キャビティ95c及び95d又は95fにおいて一つ前のサイクルの冷却工程が行われている間に、第1ランナ96a及び96b又は96eに配設された第1バルブゲート97a及び97b又は97eが開き、第1キャビティ95a及び95b又は95eにおいて充填工程が開始される。そして、所定量の樹脂が前記第1キャビティ95a及び95b又は95eに充填されると、充填工程が終了し、保圧工程が行われ、該保圧工程が終了すると前記第1バルブゲート97a及び97b又は97eが閉じて、冷却工程が行われる。
【0111】
一方、前記第1バルブゲート97a及び97b又は97eが閉じた時点で、第2キャビティ95c及び95d又は95fにおいては一つ前のサイクルの突出工程が行われている。また、前記第1バルブゲート97a及び97b又は97eが閉じた直後に、チャートCに示されるように、射出装置111においては、スクリュが回転して第2キャビティ95c及び95d又は95fに充填する樹脂の計量が行われる。そして、前記計量工程が終了すると、第2ランナ96c及び96d又は96fに配設された第2バルブゲート97c及び97d又は97fが開き、前記第2キャビティ95c及び95d又は95fにおいて充填工程が開始される。なお、第2バルブゲート97c及び97d又は97fが開いた時点で、第1キャビティ95a及び95b又は95eにおいては冷却工程が行われている。
【0112】
続いて、第2キャビティ95c及び95d又は95fにおいて、充填工程及び保圧工程が終了すると前記第2バルブゲート97c及び97d又は97fが閉じて、冷却工程が開始される。一方、前記第2バルブゲート97c及び97d又は97fが閉じた時点で、第1キャビティ95a及び95b又は95eにおいては一つ前のサイクルの突出工程が行われている。また、前記第2バルブゲート97c及び97d又は97fが閉じた直後に、チャートCに示されるように、射出装置111においては、スクリュが回転して樹脂の計量工程が行われ、第1キャビティ95a及び95b又は95eに充填する樹脂の計量が行われる。そして、前記計量工程が終了すると、第1ランナ96a及び96b又は96eに配設された第1バルブゲート97a及び97b又は97eが開き、前記第1キャビティ95a及び95b又は95eにおいて次のサイクルの充填工程が開始される。なお、第1バルブゲート97a及び97b又は97eが開いた時点で、第2キャビティ95c及び95d又は95fにおいては冷却工程が行われている。以降は、前述された動作が繰り返され、第1キャビティ95a及び95b又は95eと第2キャビティ95c及び95d又は95fとにおいて、互いに独立して、充填工程、保圧工程、冷却工程、型開工程、突出工程及び型閉工程が行われる。また、第2キャビティ95c及び95d又は95fを型開中に第1キャビティ95a及び95b又は95e内に樹脂を充填させる必要があるため、中間金型135の進退に同期して、射出装置111が進退させられる。ここで、中間金型駆動装置65は、第2キャビティ95c及び95d又は95fを成形するのに必要な型締力を出力することができる。
【0113】
このように、第2の動作シーケンスでは、第1キャビティ95a及び95b又は95eと第2キャビティ95c及び95d又は95fとにおいて、互いに独立して、充填工程、保圧工程、冷却工程、型開工程、突出工程及び型閉工程が行われ、一方の充填工程及び保圧工程が終了し、射出装置111において計量工程が終了すると、他方の充填工程が開始されるようになっている。そのため、成形条件としてのショットボリュームが大きい第1キャビティ95a及び95b又は95e、並びに、第2キャビティ95c及び95d又は95fに適した成形を行うことができる。
【0114】
また、第1キャビティ95a及び95b又は95eと第2キャビティ95c及び95d
又は95fとを併せたショットボリュームが射出装置111の能力に比較して大きく、複数回の計量工程を行う必要がある場合でも、一サイクルの成形工程で第1キャビティ95a及び95b又は95eと第2キャビティ95c及び95d又は95fとにおいて成形することができる。したがって、射出成形機のスループットを向上させることができる。
【0115】
さらに、中間金型135及び固定金型132の型開と、中間金型135及び可動金型133の型開とを独立に行うことができるので、型開のストロークを短くすることができ、射出成形機の全長を短縮することができる。
【0116】
このように、本実施の形態においては、第1バルブゲート97a及び97b又は97eと第2バルブゲート97c及び97d又は97fとを制御して開閉するとともに、中間金型135及び固定金型132の型閉、型締及び型開と、中間金型135及び可動金型133の型閉、型締及び型開とを独立に制御して行うようになっている。そのため、成形条件の相違する第1キャビティ95a及び95b又は95eと第2キャビティ95c及び95d又は95fとによって、最適な成形品を最適な成形条件で成形することができる。
【0117】
また、中間金型135及び固定金型132の型開と、中間金型135及び可動金型133の型開とを交互に行うことができるので、型開のストロークを短くすることができ、射出成形機の全長を短縮することができる。さらに、射出装置111を大型化したり高性能化したりすることなく、複数の成形品を同時に成形することができる。
【0118】
なお、前記第1及び第2の実施の形態においては、可動プラテンが横方向(水平方向)に移動する横置型の射出成形機について説明したが、本発明は、可動プラテンが縦方向(垂直方向)に移動する縦置型の射出成形機にも適用することができる。
【0119】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することにより、その説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0120】
図10は本発明の第3の実施の形態における射出成形機の概略図である。
【0121】
図10において、211は射出装置、220は該射出装置211と対向させて配設された型締装置、212は前記射出装置211及び型締装置220を支持するフレームとしての成形機フレームである。前記射出装置211は、加熱シリンダ214、該加熱シリンダ214内において回転自在に、かつ、進退自在に配設された図示されないスクリュ、該スクリュを回転させ、かつ、進退させる駆動部215、及び、前記加熱シリンダ214の先端に配設された射出ノズル214aを有する。
【0122】
一方、前記型締装置220は、固定金型支持装置としての固定プラテン221、該固定プラテン221と対向させて配設されたサポートプレート229、前記固定プラテン221に対して進退(図10における右方向又は左方向に移動)させられる第1の可動金型支持装置としての第1の可動プラテン223、前記固定プラテン221と第1の可動プラテン223との間に配設された第2の可動金型支持装置としての第2の可動プラテン222、型締装置225及び型締シリンダ226を有する。前記固定プラテン221とサポートプレート229との間にはタイバー230が架設され、前記第1の可動プラテン223及び第2の可動プラテン222はタイバー230に沿って摺(しゅう)動自在に配設される。なお、前記第1の可動プラテン223及び第2の可動プラテン222の下端部にリニアモーションガイド等から成るガイド装置を取り付け、該ガイド装置を成形機フレーム212の上面に取り付けたガイド手段としてのリニアガイドレール等に沿って移動させるよう
にしてもよい。そして、型締シリンダ226を駆動して型締装置225を作動させることによって、第1の可動プラテン223を移動させることができるようになっている。
【0123】
また、前記固定プラテン221には固定金型231が取り付けられ、前記第1の可動プラテン223には金型としての可動金型234が取り付けられ、さらに、前記第2の可動プラテン222の固定プラテン221側には金型としての固定側中間金型232が取り付けられ、前記第2の可動プラテン222の第1の可動プラテン223側には金型としての可動側中間金型233が取り付けられる。そして、該可動側中間金型233と可動金型234との間にはキャビティとしての第1キャビティ234aが形成され、前記固定側中間金型232と固定金型231との間にはキャビティとしての第2キャビティ231aが形成される。ここで、前記第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aは、形状及び樹脂の充填量、すなわち、ショットボリュームが相違する。図10に示される例においては、第1キャビティ234aの容積が第2キャビティ231aの容積よりも大きく、第1キャビティ234aのショットボリュームが第2キャビティ231aのショットボリュームよりも大きくなっている。なお、図10に示される例においては、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aは、それぞれ、複数であるが、単数であってもよいし、いくつであってもよい。また、図10に示される例においては、複数の第1キャビティ234aは、形状及びショットボリュームが等しくなっているが、互いに相違するものであってもよい。同様に、複数の第2キャビティ231aは、形状及びショットボリュームが等しくなっているが、互いに相違するものであってもよい。
【0124】
さらに、前記第1の可動プラテン223の背面にはエジェクタ装置227が配設されている。該エジェクタ装置227は、前記可動金型234を貫通して延び、前端 (図10における右端)を第1キャビティ234aに臨ませる図示されないエジェクタピン、該エジェクタピンの後方 (図10における左方) に配設された図示されないエジェクタロッド、及び、該エジェクタロッドの後方に配設された図示されないエジェクタ駆動装置を有する。そして、該エジェクタ駆動装置を駆動すると、前記エジェクタピンの前端が前記第1キャビティ234a内に突出し、該第1キャビティ234aから成形品をエジェクトする。なお、第2キャビティ231aから成形品をエジェクトするために、前記固定プラテン221にも、前記エジェクタ装置227と同様のエジェクタ装置を配設することができる。
【0125】
そして、前記第2の可動プラテン222には、第2の可動金型支持装置用駆動装置としての複数の中間部材駆動装置236が前記第2の可動プラテン222の外周に取り付けられ、前記中間部材駆動装置236によって前記第2の可動プラテン222が進退(図10における左右方向に移動)させられる。前記中間部材駆動装置236は、例えば、油圧シリンダ、空圧シリンダ等のシリンダ装置から成り、該シリンダ装置のピストンロッドの一端が固定プラテン221に固定されている。これにより、前記中間部材駆動装置236を作動させることによって、第2の可動プラテン222を固定プラテン221に対して移動させることができる。なお、前記中間部材駆動装置236は、固定プラテン221又は第1の可動プラテン223に取り付けられてもよい。このようにして、前記第1の可動プラテン223及び第2の可動プラテン222を進退させることによって、可動金型234を可動側中間金型233に対して、また、固定側中間金型232を固定金型231に対して接離させ、型閉、型締及び型開を行うことができる。中間部材駆動装置236に対して十分な配置スペースがないため、型締シリンダ226より小型であるため出力が小さくなるが、プラテンの外周の複数箇所に配置することで、小出力を補うことができる。
【0126】
なお、前記第2の可動プラテン222にはシュノーケル222aが前記固定プラテン221側に向けて突出させて形成され、前記シュノーケル222a内に樹脂流路としてのスプルー240が形成される。また、前記第2の可動プラテン222内にはスプルー240から枝分かれした樹脂流路としての中間ランナ241が複数本形成される。そして、該中
間ランナ241のうちの何本かは、可動側中間金型233内に形成された樹脂流路としての第1金型内ランナ233a及び固定側中間金型232内に形成された樹脂流路としての第2金型内ランナ232aに接続される。図10に示される例においては、二本の中間ランナ241が第1金型内ランナ233aに接続され、他の二本の中間ランナ241が第2金型内ランナ232aに接続されている。なお、前記第1金型内ランナ233a及び第2金型内ランナ232aは、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aと同数ずつ形成され、それぞれが対応する第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aに接続されている。
【0127】
また、各中間ランナ241の途中には、樹脂流路を選択する選択手段として、前記中間ランナ241をシャットオフするシャットオフ手段としての第1バルブゲート及び第2バルブゲートから成るバルブゲート242が配設されている。そのため、各バルブゲート242を開閉することによって、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aのそれぞれに接続される樹脂流路を流通する樹脂の流れを選択的に制御することができる。なお、第2の可動プラテン222に汎(はん)用性を持たせ、多種類の金型を取り付けることができるようにするために、中間ランナ241は多数本が形成されている。そのため、前記中間ランナ241のうちの何本かは、第1金型内ランナ233aにも第2金型内ランナ232aにも接続されないことがあるが、このような中間ランナ241に配設されたバルブゲート242は閉じた状態が維持される。図10に示される例においては、四本の中間ランナ241は、第1金型内ランナ233aにも第2金型内ランナ232aに接続されておらず、これら四本の中間ランナ241に配設された四つのバルブゲート242は閉じた状態が維持される。
【0128】
さらに、前記第2の可動プラテン222には連結棒238が射出装置211側に向けて突出させて形成され、一方、該射出装置211には二本の射出ユニット用駆動装置237が配設され、該射出ユニット用駆動装置237に前記連結棒238の先端が連結される。前記射出ユニット用駆動装置237は、例えば、油圧シリンダ、空圧シリンダ等のシリンダ装置から成り、該シリンダ装置のピストンロッドの一端が前記連結棒238の先端に連結されている。これにより、前記射出ユニット用駆動装置237を作動させることによって、第2の可動プラテン222と射出装置211との相対的な距離を変えることができ、射出ノズル214aをシュノーケル222aに対してノズルタッチさせたり、接離させることができる。
【0129】
また、前記射出装置211の下方にはリニアモーションガイド等から成るガイド装置217が配設され、射出装置211をガイドロッド、ガイドレール等から成るガイド部材213に沿って進退(図10において左右方向に移動)させることができるようになっている。なお、前記ガイド部材213は、支持部材213aを介して、成形機フレーム212に取り付けられている。これにより、第2の可動プラテン222を進退させると、連結棒238を介して射出装置211を第2の可動プラテン222と同方向に同じ量だけ進退させることができる。また、射出装置211を進退させるために、ガイド装置217を使用しているので、摩擦抵抗を小さくすることができ、重量の大きな射出装置211と型締装置220とを連動させるのが容易になる。
【0130】
また、前記射出成形機は図示されない制御装置を有する。該制御装置は、型締装置220や射出装置とともに、第2の可動プラテン222内に配置されたバルブの開閉動作の制御も行う。バルブの開閉動作は、射出成形機の各工程動作と対応して開閉するように制御されている。なお、前記制御装置は、第1の可動プラテン223や、スクリュの動作条件の設定と同様に、バルブの動作条件の設定を入力するための入力部と、射出成形機の動作を監視する表示部などを有するものであってもよい。ここで、第2の可動プラテン222に近接スイッチなどの検出器を配置することで、バルブの開閉動作の完了を確認すること
ができ、例えば、バルブ閉の完了を検出することができない場合には、異常であると判断して、オペレータへの警告を促す警告表示を表示部に表示することができる。このように、各バルブの動作を検出器にて確認することで、バルブに異常が生じた場合、どのバルブで異常が発生したのかを迅速に把握することができる。
【0131】
次に、本実施の形態における射出成形機の動作シーケンスについて詳細に説明する。
【0132】
図11は本発明の第3の実施の形態における射出成形機の第1の動作シーケンスを示す図である。
【0133】
本実施の形態において、射出成形機は、第1の動作シーケンスにおいて、図11に示されるように作動する。まず、図11(a)は、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおける成形工程の時間に対応した変化を示すチャートであり、チャートAは第1キャビティ234aにおける成形工程の変化を示し、チャートBは第2キャビティ231aにおける成形工程の変化を示している。前記チャートA及びチャートBは、複数の矢印から成り、一つ一つの矢印が第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおける一つ一つの成形工程に対応し、各矢印の長さが各成形工程の時間を表している。そして、各矢印に付与された名称が各矢印が対応する成形工程を示し、矢印の向きは時間の進行方向を示している。
【0134】
したがって、前記チャートA及びチャートBを矢印の向きに辿ることによって、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおける成形工程の変化を時間の経過に沿って把握することができる。また、前記チャートA及びチャートBに付与された「開」及び「閉」の印は、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aに接続された中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が開く時点及び閉じる時点を示している。なお、前述されたように、第1キャビティ234aの容積が第2キャビティ231aの容積よりも大きく、第1キャビティ234aのショットボリュームが第2キャビティ231aのショットボリュームよりも大きくなっている。
【0135】
そして、図11(b)は、射出装置211のスクリュの位置の時間に対応した変化を示すものであり、横軸は時間を示し、縦軸はスクリュの位置を示している。なお、前記縦軸はスクリュが前進するほど、すなわち、射出ノズル214aに接近するほど数値が小さくなるように示されている。また、図11(a)及び(b)において、時間を示す横軸のスケールは共通である。
【0136】
まず、金型装置が型開された状態、すなわち、可動金型234のパーティング面と可動側中間金型233のパーティング面とが離間し、また、固定側中間金型232のパーティング面と固定金型231のパーティング面とが離間した状態において、型閉工程が開始されると、型締装置225及び中間部材駆動装置236が作動して、第1の可動プラテン223及び第2の可動プラテン222が前進する。これにより、固定側中間金型232が前進して固定金型231に接近し、可動金型234が前進して可動側中間金型233に接近する。そして、可動金型234のパーティング面と可動側中間金型233のパーティング面とが接触し、固定側中間金型232のパーティング面と固定金型231のパーティング面とが接触して型閉工程が完了する。
【0137】
なお、計量工程においては、駆動部215がスクリュを回転させ、該スクリュを所定の位置まで後退(図10における右方向に移動)させる。このとき、ホッパ216から供給された樹脂は、加熱シリンダ214内において加熱されて溶融させられ、スクリュの後退に伴ってスクリュの前方に溜められる。また、射出工程においては、射出ユニット用駆動装置237が作動して、射出装置211を第2の可動プラテン222に接近させ、射出ノ
ズル214aをシュノーケル222aに押し付ける。そして、駆動部215がスクリュを前進(図10における左方向に移動)させるので、加熱シリンダ214内でスクリュの前方に溜められた樹脂は射出ノズル214aから射出され、第2の可動プラテン222内に形成されたスプルー240及び中間ランナ241内に流入する。
【0138】
続いて、それまで加熱シリンダ214内でスクリュが回転して、溶融された樹脂の計量工程を継続していた射出装置211において、図11(b)に示される時間原点から射出工程が開始され、スクリュは回転を停止して前進する。これにより、加熱シリンダ214の先端に配設された射出ノズル214aから樹脂が射出されスプルー240及び該スプルー240から枝分かれした中間ランナ241内に流入する。
【0139】
また、図11(a)のチャートAに示される前記時間原点で、つまり、充填開始前あるいは同時に第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が開くので、スプルー240内に流入した樹脂は、前記中間ランナ241を通って、第1キャビティ234aに充填される。すなわち、第1キャビティ234aにおいて充填工程が開始される。そして、所定量の樹脂が第1キャビティ234aに充填されると、充填工程が終了し、保圧工程が行われる。該保圧工程においては、前記バルブゲート242が開いているので、加熱シリンダ214内においてスクリュによって樹脂に加えられる圧力が第1キャビティ234aに充填された樹脂にも加えられる。続いて、保圧工程が終了すると前記バルブゲート242が閉じて、冷却工程が行われる。該冷却工程において、第1キャビティ234aに充填された樹脂は、可動金型234と可動側中間金型233とによって熱を奪われ冷却される。
【0140】
一方、図11(a)のチャートBに示されるように、前記第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が閉じた直後に、第2キャビティ231aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が開くので、スプルー240内に流入した樹脂は、前記中間ランナ241を通って、第2キャビティ231aに充填される。すなわち、第2キャビティ231aにおいて充填工程が開始される。この場合、図11(b)に示されるように、前記スクリュは再び前進させられる。そして、所定量の樹脂が第2キャビティ231aに充填されると、充填工程が終了し、保圧工程が行われる。
【0141】
なお、第2キャビティ231aの容積が第1キャビティ234aの容積よりも小さいので、短時間で充填が完了し、充填工程に必要な時間が短いことが分かる。前記保圧工程においては、前記バルブゲート242が開いているので、加熱シリンダ214内においてスクリュによって加えられる圧力が第2キャビティ231aに充填された樹脂にも加えられる。
【0142】
続いて、保圧工程が終了すると前記バルブゲート242が閉じて、冷却工程が行われる。該冷却工程において、第2キャビティ231aに充填された樹脂は、固定側中間金型232と固定金型231とによって熱を奪われ冷却される。なお、冷却工程が終了すると、中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が閉じ、射出装置211においてスクリュが回転して樹脂の計量工程が開始されるので、図11(b)に示されるように、スクリュは後退する。
【0143】
そして、冷却工程において第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aに充填された樹脂が十分に冷却されてある程度固化した状態となると、冷却工程が終了し、型開工程が開始される。ここで、チャートA及びチャートBに示されるように、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおいて冷却工程が同時に終了する。そして、型開工程が開始されると、型締装置225及び中間部材駆動装置236が作動して、第1の
可動プラテン223及び第2の可動プラテン222が後退する。これにより、可動金型234のパーティング面が可動側中間金型233のパーティング面から離間し、固定側中間金型232のパーティング面が固定金型231のパーティング面から離間する。なお、樹脂が冷却されて成形された成形品は、第1キャビティ234aにおける可動金型234側の面、及び、第2キャビティ231aにおける固定金型231側の面に付着している。
【0144】
続いて、可動金型234のパーティング面と可動側中間金型233のパーティング面との間隔が所定の距離になると、エジェクタ装置227が作動して突出工程が行われる。該突出工程においては、図示されないエジェクタピンの前端が可動金型234側の第1キャビティ234a内に突出して、付着している成形品をエジェクトする。同様に、固定側中間金型232のパーティング面と固定金型231のパーティング面との間隔が所定の距離になると、図示されないエジェクタ装置が作動して突出工程が行われ、固定金型231側の第2キャビティ231a内に付着している成形品をエジェクトする。なお、エジェクトされた成形品は、落下して収納容器内に収納されるか、又は、可動金型234のパーティング面と可動側中間金型233とのパーティング面との間、及び、固定側中間金型232のパーティング面と固定金型231のパーティング面との間に進入する成形品取り出し装置によって取り出されることにより回収される。そして、再び型閉工程が開始され、前述された動作が繰り返して行われる。
【0145】
このように、第1の動作シーケンスにおいては、可動金型234と可動側中間金型233及び固定側中間金型232と固定金型231の型閉及び型開が同時に行われる。そして、第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242、及び、第2キャビティ231aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242を開閉させるタイミングを制御して、第1キャビティ234aにおける冷却工程の間に、第2キャビティ231aにおいて充填工程と保圧工程とが行われ、かつ、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおいて冷却工程が同時に終了するようになっている。
【0146】
そのため、第1キャビティ234aの容積が第2キャビティ231aの容積よりも大きく、第1キャビティ234aに充填された樹脂を冷却するための時間が第2キャビティ231aに充填された樹脂を冷却するための時間よりも長くても、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおいて、同時に型開工程を開始することができる。すなわち、成形条件としての冷却時間が長い第1キャビティ234aに適した成形を行うことができ、また、成形条件としての冷却時間が短い第2キャビティ231aに適した成形を行うことができる。しかも、通常のスタック成形に用いられるような複雑な金型を用いる必要がなく、簡単な構造の金型装置を用いることもでき、さらに、単一のキャビティを有する金型装置を使用した場合と同様の通常の成形動作を行うことによって、成形条件が相違する第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおいて、それぞれ、最適な成形を行うことができる。
【0147】
また、第1キャビティ234aにおける充填工程と保圧工程とが終了した後に、第2キャビティ231aにおける充填工程と保圧工程とが行われるので、単位時間当たりの充填樹脂量を増大させるため、スクリュ径を大きくしたり、射出圧力を増大させたりする必要はない。すなわち、射出装置211を大型化したり高性能化したりすることなく、複数の成形品を同時に成形することができる。さらに、単一の金型装置によって複数種類の成形品を同時に成形することができるので、省スペースで多品種の成形品の成形が可能となる。
【0148】
次に、第2の動作シーケンスについて説明する。なお、前記第1の動作シーケンスと同様の動作については説明を省略する。
【0149】
図12は本発明の第3の実施の形態における射出成形機の第2の動作シーケンスを示す図である。
【0150】
第2の動作シーケンスにおいて、射出成形機は、図12に示されるように作動する。この場合、前記第1の動作シーケンスと同様に、時間原点で、第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が開き、第1キャビティ234aにおいて充填工程が開始される。そして、第1キャビティ234aにおける充填工程の途中で、第2キャビティ231aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が開き、第2キャビティ231aにおいて充填工程が開始される。
【0151】
ここで、第2キャビティ231aにおいて充填工程が開始される時点は、第1キャビティ234aの容積と第2キャビティ231aの容積との差分に相当する樹脂が第1キャビティ234aに充填された時点である。すなわち、第1キャビティ234aのショットボリュームの残量が第2キャビティ231aのショットボリュームと等しくなった時点で、第2キャビティ231aにおいて充填工程が開始される。そのため、第2キャビティ231aにおいて充填工程が開始されると、射出装置211の単位時間当たりの充填樹脂量を増大させる必要があり、スクリュの前進速度を増加させるように速度制御が行われ、図12(b)に示されるように、スクリュの前進速度も速くされる。
【0152】
そして、図12(a)のチャートA及びチャートBに示されるように、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおいてほぼ同時に充填工程が終了し、保圧工程が行われる。また、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおいてほぼ同時になるように、大きいキャビティに合わせて小さいキャビティの保圧も終了するように制御される。保圧工程が終了すると、第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242及び第2キャビティ231aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が閉じて、冷却工程が行われる。以降の動作については、前記第1の動作シーケンスと同様であるので、説明を省略する。ここで、保圧工程は必ずしも同時に終了される必要はなく、キャビティのサイズに応じてバルブゲートを閉じ、冷却工程に移行するように制御してもよい。
【0153】
このように、第2の動作シーケンスにおいては、可動金型234と可動側中間金型233及び固定側中間金型232と固定金型231の型閉及び型開が同時に行われる。そして、第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242、及び、第2キャビティ231aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242を開閉させるタイミングを制御して、第1キャビティ234aにおける充填工程の途中で、第2キャビティ231aにおいて充填工程が開始され、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおいて充填工程がほぼ同時に終了するようになっている。
【0154】
そのため、第1キャビティ234aのショットボリュームが第2キャビティ231aのショットボリュームよりも大きくても、ほぼ同時に充填工程と保圧工程とを終了させ、冷却工程と型開工程とを開始させることができる。すなわち、成形条件としてのショットボリュームが大きい第1キャビティ234aに適した成形を行うことができ、また、成形条件としてのショットボリュームが小さい第2キャビティ231aに適した成形を行うことができる。しかも、単一のキャビティを有する金型装置を使用した場合と同様の通常の成形動作を行うことによって、成形条件が相違する第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおいて、それぞれ、最適な成形を行うことができる。
【0155】
また、第1キャビティ234aにおける充填工程の途中から、第2キャビティ231a
における充填工程を開始させるので、スクリュの前進速度を増加させるように速度制御を行うだけでよく、射出装置211を大型化したり高性能化したりすることなく、複数の成形品を同時に成形することができる。さらに、単一の金型装置によって複数種類の成形品を同時に成形することができるので、省スペースで多品種の成形品の成形が可能となる。
【0156】
次に、第3の動作シーケンスについて説明する。なお、前記第1及び第2の動作シーケンスと同様の動作については説明を省略する。
【0157】
図13は本発明の第3の実施の形態における射出成形機の第3の動作シーケンスを示す図である。
【0158】
第3の動作シーケンスにおいて、射出成形機は、図13に示されるように作動する。この場合、型閉工程が完了した後、図13における時間原点で、第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が開かれた状態でスクリュが回転して計量工程が実行される。なお、前記計量工程においてはスクリュを後退させないようにする。そのため、該スクリュの回転によって、樹脂が射出ノズル214aから押し出されてスプルー240内に流入し、中間ランナ241を通って、第1キャビティ234aに充填される。
【0159】
そして、第1キャビティ234aの容積と第2キャビティ231aの容積との差分に相当する樹脂が第1キャビティ234aに充填された時点、すなわち、第1キャビティ234aのショットボリュームの残量が第2キャビティ231aのショットボリュームと等しくなった時点で、充填工程が開始され、前記スクリュは回転を停止して前進する。これにより、射出ノズル214aから樹脂が射出されスプルー240内に流入する。また、同時に第2キャビティ231aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が開くので、射出ノズル214aから射出された樹脂は、前記中間ランナ241を通って、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aに充填される。この場合、スクリュの前進速度を制御する速度制御が行われる。
【0160】
そして、図13(a)のチャートA及びチャートBに示されるように、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおいてほぼ同時に充填工程が終了し、保圧工程が行われる。この場合、まず、第2キャビティ231aにおいて保圧工程が終了し、前記第2キャビティ231aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が閉じて、冷却工程が行われる。続いて、第1キャビティ234aにおいて保圧工程が終了し、前記第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が閉じて、冷却工程が行われる。そして、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおいて冷却工程が同時に終了する。以降の動作については、前記第1及び第2の動作シーケンスと同様であるので、説明を省略する。
【0161】
このように、第3の動作シーケンスにおいては、可動金型234と可動側中間金型233及び固定側中間金型232と固定金型231の型閉及び型開が同時に行われる。そして、第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242、及び、第2キャビティ231aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242を開閉させるタイミングを制御して、計量工程の途中から第1キャビティ234aに樹脂が充填され、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおいて充填工程がほぼ同時に終了するようになっている。
【0162】
そのため、第1キャビティ234aのショットボリュームが第2キャビティ231aのショットボリュームよりも大きくても、ほぼ同時に充填工程を終了させ、保圧工程を開始させることができる。この場合、第1キャビティ234aにおける保圧工程を、第2キャ
ビティ231aにおける保圧工程よりも長くすることができる。すなわち、成形条件としてのショットボリュームが大きい第1キャビティ234aに適した成形を行うことができ、また、成形条件としてのショットボリュームが小さい第2キャビティ231aに適した成形を行うことができる。しかも、単一のキャビティを有する金型装置を使用した場合と同様の通常の成形動作を行うことによって、成形条件が相違する第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおいて、それぞれ、最適な成形を行うことができる。
【0163】
また、第1キャビティ234aにおける充填工程の途中から、第2キャビティ231aにおける充填工程を開始させるので、スクリュの前進速度を増加させるように速度制御を行うだけでよく、射出装置211を大型化したり高性能化したりすることなく、複数の成形品を同時に成形することができる。しかも、通常のスタック成形に用いられるような複雑な金型を用いる必要がなく、簡単な構造の金型装置を用いることもでき、さらに、単一の金型装置によって複数種類の成形品を同時に成形することができるので、省スペースで多品種の成形品の成形が可能となる。
【0164】
次に、第4の動作シーケンスについて説明する。なお、前記第1〜第3の動作シーケンスと同様の動作については説明を省略する。
【0165】
図14は本発明の第3の実施の形態における射出成形機の第4の動作シーケンスを示す図である。
【0166】
第4の動作シーケンスにおいて、射出成形機は、図14に示されるように作動する。この場合、前記第1の動作シーケンスと同様に、時間原点で、第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が開き、第1キャビティ234aにおいて充填工程が開始される。そして、所定量の樹脂が第1キャビティ234aに充填されると、充填工程が終了し、保圧工程が行われる。該保圧工程の間、射出装置211においては、スクリュが回転して樹脂の計量工程が行われ、第2キャビティ231aに充填する樹脂の計量が行われる。
【0167】
そして、前記計量工程が終了すると、第2キャビティ231aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が開き、第2キャビティ231aにおいて充填工程が開始される。また、同時に前記第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が閉じて、第1キャビティ234aにおいて冷却工程が開始される。この場合、図14(b)に示されるように、スクリュは再び前進させられる。そして、所定量の樹脂が第2キャビティ231aに充填されると、充填工程が終了し、保圧工程が行われる。なお、第2キャビティ231aの容積が第1キャビティ234aの容積よりも小さいので、短時間で充填が完了し、充填工程及び保圧工程に必要な時間が短いことが分かる。続いて、保圧工程が終了すると前記第2キャビティ231aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が閉じて、冷却工程が行われる。
【0168】
そして、チャートA及びチャートBに示されるように、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおいて冷却工程が同時に終了する。以降の動作については、前記第1〜第3の動作シーケンスと同様であるので、説明を省略する。
【0169】
このように、第4の動作シーケンスにおいては、可動金型234と可動側中間金型233及び固定側中間金型232と固定金型231の型閉及び型開が同時に行われる。そして、まず、第1キャビティ234aにだけ樹脂を充填し、第1キャビティ234aにおける充填工程が終了すると、射出装置211において計量工程が行われ、第2キャビティ231aに充填する樹脂の計量が行われた後、第2キャビティ231aにだけ樹脂を充填する
ようになっている。
【0170】
そのため、第1キャビティ234aと第2キャビティ231aとを併せたショットボリュームが射出装置211の能力に比較して大きく、複数回の計量工程を行う必要がある場合でも、一サイクルの成形工程で第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおいて成形を行うことができる。したがって、射出成形機のスループットを向上させることができる。しかも、成形条件としての冷却時間が長い第1キャビティ234aに適した成形を行うことができ、また、成形条件としての冷却時間が短い第2キャビティ231aに適した成形を行うことができる。さらに、単一の金型装置によって複数種類の成形品を同時に成形することができるので、省スペースで多品種の成形品の成形が可能となる。
【0171】
次に、第5の動作シーケンスについて説明する。なお、前記第1〜第4の動作シーケンスと同様の動作については説明を省略する。
【0172】
図15は本発明の第3の実施の形態における射出成形機の第5の動作シーケンスを示す図である。
【0173】
第5の動作シーケンスにおいて、射出成形機は、図15に示されるように作動する。なお、チャートCは射出装置211における工程の一部を示している。この場合、前記第1の動作シーケンスと同様に、時間原点で、第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が開き、第1キャビティ234aにおいて充填工程が開始される。そして、所定量の樹脂が前記第1キャビティ234aに充填されると、充填工程が終了し、保圧工程が行われ、該保圧工程が終了すると前記バルブゲート242が閉じて、冷却工程が行われる。
【0174】
一方、前記第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が閉じた直後に、射出装置211においては、スクリュが回転して樹脂の計量工程が行われ、第2キャビティ231aに充填する樹脂の計量が行われる。そして、前記計量工程が終了すると、第2キャビティ231aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が開き、前記第2キャビティ231aにおいて充填工程が開始される。この場合、図15(b)に示されるように、スクリュは再び前進させられる。そして、所定量の樹脂が第2キャビティ231aに充填されると、充填工程が終了し、保圧工程が行われる。なお、第2キャビティ231aの容積が第1キャビティ234aの容積よりも小さいので、短時間で充填が完了し、充填工程及び保圧工程に必要な時間が短いことが分かる。続いて、保圧工程が終了すると、前記第2キャビティ231aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が閉じて、第2キャビティ231aにおいて冷却工程が行われる。
【0175】
本実施の形態においては、可動金型234及び可動側中間金型233の型閉、型締及び型開と、固定側中間金型232及び固定金型231の型閉、型締及び型開とを独立に行うことができる。そこで、第2キャビティ231aにおいて保圧工程が終了した時点で、型締装置225を作動させ、可動金型234のパーティング面を可動側中間金型233のパーティング面から離間させて、第1キャビティ234aにおける型開工程が開始される。また、前記第1キャビティ234aにおける型開工程が開始された直後には、チャートCに示されるように、射出装置211において第1キャビティ234aのための計量工程が開始される。
【0176】
ここで、第2キャビティ231aの容積は第1キャビティ234aの容積よりも小さいので、第2キャビティ231aにおける冷却工程は短時間で終了する。そして、中間部材駆動装置236を作動させ、固定側中間金型232のパーティング面を固定金型231の
パーティング面から離間させて、第2キャビティ231aにおける型開工程が開始される。以降は、第1キャビティ234aと第2キャビティ231aとにおいて、互いに独立して、型開工程、突出工程及び型閉工程が行われる。
【0177】
このように、第5の動作シーケンスにおいては、可動金型234と可動側中間金型233及び固定側中間金型232と固定金型231の型閉及び型開が相違するタイミングで独立して行われる。そして、第1キャビティ234aにおける冷却工程の間に、第2キャビティ231aにおいて充填工程と保圧工程とが行われる。そして、以降は、第1キャビティ234aと第2キャビティ231aとにおいて、互いに独立して、冷却工程、型開工程、突出工程及び型閉工程が行われる。そのため、成形条件としての冷却時間が長い第1キャビティ234aに適した成形を行うことができ、また、成形条件としての冷却時間が短い第2キャビティ231aに適した成形を行うことができる。
【0178】
また、最初に第1キャビティ234aにだけ樹脂を充填し、第1キャビティ234aにおける充填工程が終了すると、射出装置211において計量工程が行われ、第2キャビティ231aに充填する樹脂の計量が行われた後、第2キャビティ231aにだけ樹脂を充填するようになっている。そのため、第1キャビティ234aと第2キャビティ231aとを併せたショットボリュームが射出装置211の能力に比較して大きく、複数回の計量工程を行う必要がある場合でも、一サイクルの成形工程で第1キャビティ234aと第2キャビティ231aとにおいて成形することができる。したがって、射出成形機のスループットを向上させることができる。
【0179】
さらに、可動金型234及び可動側中間金型233の型開と、固定側中間金型232及び固定金型231の型開とを交互に行うことができる。なお、中間部材駆動装置236の駆動力は、型締シリンダ226の駆動力よりも小さいが、第2キャビティ231aは容積が小さくショットボリュームが小さいので、固定側中間金型232及び固定金型231の型閉、型締及び型開を行うには十分である。
【0180】
次に、第6の動作シーケンスについて説明する。なお、前記第1〜第5の動作シーケンスと同様の動作については説明を省略する。
【0181】
図16は本発明の第3の実施の形態における射出成形機の第6の動作シーケンスを示す図である。
【0182】
第6の動作シーケンスにおいて、射出成形機は、図16に示されるように作動する。ここでは、第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aの容積が大きいものとして説明する。この場合、第2キャビティ231aにおいて一つ前のサイクルの冷却工程が行われている間に、第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が開き、第1キャビティ234aにおいて充填工程が開始される。そして、所定量の樹脂が前記第1キャビティ234aに充填されると、充填工程が終了し、保圧工程が行われ、該保圧工程が終了すると前記バルブゲート242が閉じて、冷却工程が行われる。
【0183】
一方、前記第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が閉じた時点で、第2キャビティ231aにおいては一つ前のサイクルの突出工程が行われている。また、前記第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が閉じた直後に、チャートCに示されるように、射出装置211においては、スクリュが回転して樹脂の計量工程が行われ、第2キャビティ231aに充填する樹脂の計量が行われる。そして、前記計量工程が終了すると、第2キャビティ231aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート2
42が開き、前記第2キャビティ231aにおいて充填工程が開始される。なお、第2キャビティ231aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が開いた時点で、第1キャビティ234aにおいては冷却工程が行われている。
【0184】
続いて、第2キャビティ231aにおいて、充填工程及び保圧工程が終了すると前記バルブゲート242が閉じて、冷却工程が開始される。一方、前記第2キャビティ231aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が閉じた時点で、第1キャビティ234aにおいては突出工程が行われている。また、前記第2キャビティ231aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が閉じた直後に、チャートCに示されるように、射出装置211においては、スクリュが回転して樹脂の計量工程が行われ、第1キャビティ234aに充填する樹脂の計量が行われる。そして、前記計量工程が終了すると、第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が開き、前記第1キャビティ234aにおいて次のサイクルの充填工程が開始される。なお、第1キャビティ234aに接続されている中間ランナ241に配設されたバルブゲート242が開いた時点で、第2キャビティ231aにおいては冷却工程が行われている。以降は、前述された動作が繰り返され、第1キャビティ234aと第2キャビティ231aとにおいて、互いに独立して、充填工程、保圧工程、冷却工程、型開工程、突出工程及び型閉工程が行われる。また、第2キャビティ231aを型開中に第1キャビティ234a内に樹脂を充填させる必要があるため、第2可動プラテン222の進退に同期して、射出ユニット用駆動装置237を駆動制御し、射出装置211を進退させなくてはならない。ここで、中間部材駆動装置236は、第2キャビティ231aを成形するのに必要な型締力を出力することができる。
【0185】
このように、第6の動作シーケンスでは、可動金型234と可動側中間金型233及び固定側中間金型232と固定金型231の型閉及び型開が相違するタイミングで独立して行われる。そして、第1キャビティ234aと第2キャビティ231aとにおいて、互いに独立して、充填工程、保圧工程、冷却工程、型開工程、突出工程及び型閉工程が行われ、一方の充填工程及び保圧工程が終了し、射出装置211において計量工程が終了すると、他方の充填工程が開始されるようになっている。そのため、成形条件としてのショットボリュームが大きい第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aに適した成形を行うことができる。
【0186】
また、第1キャビティ234aと第2キャビティ231aとを併せたショットボリュームが射出装置211の能力に比較して大きく、複数回の計量工程を行う必要がある場合でも、一サイクルの成形工程で第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aにおいて成形することができる。したがって、射出成形機のスループットを向上させることができる。
【0187】
さらに、可動金型234及び可動側中間金型233の型開と、固定側中間金型232及び固定金型231の型開とを独立に行うことができるので、型開のストロークを短くすることができ、射出成形機の全長を短縮することができる。
【0188】
このように、本実施の形態においては、第2の可動プラテン222内に形成された中間ランナ241の途中に配設されたバルブゲート242のそれぞれを制御して開閉することができ、かつ、可動金型234と可動側中間金型233の型閉、型締及び型開と、固定側中間金型232と固定金型231の型閉、型締及び型開とを独立に制御して行うことができるようになっている。そして、ショットボリュームの相違する第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aのそれぞれの成形条件に対応して樹脂を充填する。そのため、成形条件の相違する第1キャビティ234a及び第2キャビティ231aによって、最適な成形品を最適な成形条件で成形することができる。
【0189】
また、可動金型234及び可動側中間金型233の型開と、固定側中間金型232及び固定金型231の型開とをタイミングをずらして行うことができるので、型開のストロークを短くすることができ、射出成形機の全長を短縮することができる。
【0190】
さらに、単一の金型装置によって複数種類の成形品を同時に成形することができるので、省スペースで多品種の成形品の成形が可能となる。さらに、射出装置211を大型化したり高性能化したりすることなく、複数の成形品を同時に成形することができる。
【0191】
さらに、第2の可動プラテン222内に中間ランナ241が多数本形成され、各中間ランナ241の途中に該中間ランナ241を開閉するバルブゲート242が配設されている。そのため、前記第2の可動プラテン222に汎用性を持たせ、多種類の金型を取り付けることができる。また、金型内にバルブゲート242を配設する必要がないので、金型の構成を簡素化することができ、多種類の金型を利用することができる。
【0192】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1〜第3の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することにより、その説明を省略する。また、前記第1〜第3の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0193】
図17は本発明の第4の実施の形態における射出成形機の概略図である。
【0194】
本実施の形態において、型締装置220は、第1の可動プラテン223及び第2の可動プラテン222が縦方向(垂直方向)に移動する縦置型となっている。なお、射出装置211は、前記第3の実施の形態と同様に、加熱シリンダ214内においてスクリュが横方向(水平方向)に移動する横置型となっている。そして、前記型締装置220においては、下から、固定プラテン221、第2の可動プラテン222、第1の可動プラテン223及びサポートプレート229の順に配設され、前記固定プラテン221の背面が成形機フレーム212に固定されている。また、前記固定プラテン221の背面には、第2キャビティ231aから成形品をエジェクトするためのエジェクタ装置228が配設されている。なお、型締装置225、型締シリンダ226、エジェクタ装置227、タイバー230、固定金型231、固定側中間金型232、可動側中間金型233、可動金型234、中間部材駆動装置236等は、前記第3の実施の形態と同様の形態で、前記固定プラテン221、第2の可動プラテン222、第1の可動プラテン223及びサポートプレート229に取り付けられている。また、第1キャビティ234a、第2キャビティ231a、中間ランナ241、バルブゲート242等も前記第3の実施の形態と同様である。
【0195】
なお、前記第2の可動プラテン222はシュノーケル222aを備えておらず、前記第2の可動プラテン222内に形成されたスプルー240は、図17において横方向に延在し、前記第2の可動プラテン222の射出装置211側の側面において開口を備える。そして、樹脂が射出される際には、射出ノズル214aが第2の可動プラテン222の側面におけるスプルー240の開口に押し付けられる、すなわち、ノズルタッチが行われるようになっている。そのため、先端が射出ユニット用駆動装置237に連結された連結棒238は固定プラテン221に取り付けられている。また、前記射出ユニット用駆動装置237は中間部材駆動装置236と連動し、該中間部材駆動装置236によって、第2の可動プラテン222が固定プラテン221に引き寄せられ、固定側中間金型232及び固定金型231が型閉されている状態のときにだけ、射出ユニット用駆動装置237によって、射出装置211が前進してノズルタッチが行われるようになっている。さらに、固定側中間金型232及び固定金型231が厚さの異なるものに交換されると、固定側中間金型232及び固定金型231が型閉されている状態での第2の可動プラテン222の上下方
向の位置が変化するので、第2の可動プラテン222に対応して射出装置211の上下方向の位置を調整するために、ガイド部材213は、支持部材213aに対して、上下方向の位置を調整することができるように取り付けられている。
【0196】
その他の点の構成については、前記第3の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。また、動作シーケンスについても、前記第3の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0197】
このように、本実施の形態においては、型締装置220が縦置型となっているので、射出成形機の全長を短縮することができる。そのため、射出成形機の設置スペースを狭くすることができ、省スペースで多品種の成形品の成形が可能となる。
【0198】
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、第1〜第4の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することにより、その説明を省略する。また、前記第1〜第4の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0199】
図18は本発明の第5の実施の形態における射出成形機の概略図である。
【0200】
本実施の形態において、射出装置211は、加熱シリンダ214内においてスクリュが縦方向に移動する縦置型となっている。なお、型締装置220は、第1の可動プラテン223及び第2の可動プラテン222が横方向に移動する横置型となっている。そして、ガイド部材213は、上下方向に延在し、下端が成形機フレーム212に固定されている。また、射出ユニット用駆動装置217は、ロッドレスシリンダ等から成り、ガイド部材213に沿って上下方向に摺動することによって、射出装置211を上下方向に移動させる。
【0201】
なお、前記型締装置220は、前記第3の実施の形態とほぼ同様であるが、第2の可動プラテン222は、前記第4の実施の形態と同様の構成を有し、固定プラテン221の背面には、前記第4の実施の形態と同様に、第2キャビティ231aから成形品をエジェクトするためのエジェクタ装置228が配設されている。
【0202】
そして、前記第4の実施の形態と同様に、射出ユニット用駆動装置237は中間部材駆動装置236と連動し、該中間部材駆動装置236によって、第2の可動プラテン222が固定プラテン221に引き寄せられ、固定側中間金型232及び固定金型231が型閉されている状態のときにだけ、射出ユニット用駆動装置217によって、射出装置211が前進してノズルタッチが行われるようになっている。
【0203】
さらに、第2の可動プラテン222を固定プラテンとしてフレームの上に固定し、固定プラテン221を移動させて第2の可動プラテンとして進退させてもよい。この場合、第2の可動プラテン222が固定プラテンとしてフレーム上に固定されているため、型開が行われても、ノズルタッチがタッチされた状態に保つことが可能である。
【0204】
その他の点の構成については、前記第3の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。また、動作シーケンスについても、前記第3の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0205】
このように、本実施の形態においては、射出装置211が縦置型となっているので、射出成形機の全長を短縮することができる。そのため、射出成形機の設置スペースを狭くすることができ、省スペースで多品種の成形品の成形が可能となる。なお、本実施の形態に
おいて、前記射出装置211を横置型にすることもできる。
【0206】
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0207】
この発明は、射出成形機に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)金型装置に形成された複数のキャビティと、
(b)該キャビティに樹脂を充填する樹脂流路と、
(c)前記キャビティのそれぞれに対応する樹脂流路に配設され、該樹脂流路を選択的に開閉する選択手段と、
(d)該選択手段を制御する制御装置とを有することを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記キャビティのそれぞれの成形条件に対応するように前記選択手段を開閉させる請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記選択手段のそれぞれを開閉させるタイミングを制御して、ショットボリュームの大きなキャビティとショットボリュームの小さなキャビティとにおいて、樹脂の充填又は充填された樹脂の保圧若しくは冷却を同時に完了させる請求項2に記載の射出成形機。
【請求項4】
(a)樹脂を供給する射出装置を有し、
(b)該射出装置は、前記キャビティのすべてに充填する樹脂を一回の計量工程において計量する請求項1〜3のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項5】
(a)樹脂を供給する射出装置を有し、
(b)該射出装置は、前記キャビティのすべてに充填する樹脂を複数回の計量工程において計量する請求項1〜3のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項6】
(a)前記金型装置は固定金型、可動金型及び中間金型を備え、
(b)前記キャビティは前記中間金型及び固定金型の間と中間金型及び可動金型の間とに形成され、
(c)前記制御装置は前記中間金型及び固定金型の型閉、型締及び型開と、中間金型及び可動金型の型閉、型締及び型開とを独立に行わせる請求項1〜5のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項7】
前記中間金型及び固定金型の型開と、中間金型及び可動金型の型開とは交互に行われる請求項6に記載の射出成形機。
【請求項8】
(a)固定金型支持装置と、
(b)該固定金型支持装置に対して移動する第1の可動金型支持装置と、
(c)前記固定金型支持装置と第1の可動金型支持装置との間に配設され、相対してキャビティを形成する二対の金型のそれぞれ一方が取り付けられる第2の可動金型支持装置とを有する請求項1に記載の射出成形機。
【請求項9】
(a)前記固定金型支持装置と第2の可動金型支持装置とにそれぞれ取り付けられた一対
の金型から成る第1の金型装置と、
(b)前記第1の可動金型支持装置と第2の可動金型支持装置とにそれぞれ取り付けられた一対の金型から成る第2の金型装置とを有し、
(c)前記第1の金型装置の型閉、型締及び型開と第2の金型装置の型閉、型締及び型開とを独立して行う請求項8に記載の射出成形機。
【請求項10】
前記第2の可動金型支持装置を、第1の可動金型支持装置と独立して移動させる第2の可動金型支持装置用駆動装置を有する請求項8又は9に記載の射出成形機。
【請求項11】
前記第2の可動金型支持装置用駆動装置は第2の可動金型支持装置に取り付けられる請求項10に記載の射出成形機。
【請求項12】
前記第2の可動金型支持装置用駆動装置は固定金型支持装置又は第1の可動金型支持装置に取り付けられる請求項10に記載の射出成形機。
【請求項13】
前記選択手段は前記金型装置内に配設されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項14】
前記選択手段は少なくとも固定金型又は中間金型のいずれかに配設されている請求項6又は7に記載の射出成形機。
【請求項15】
前記第2の可動金型支持装置は、固定金型支持装置と第1の可動金型支持装置との間に架設されたタイバーに沿って移動する請求項8〜14のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項16】
前記第2の可動金型支持装置はフレームに取り付けられたガイド手段に沿って移動する請求項8〜14のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項17】
前記第2の可動金型支持装置は、前記キャビティのそれぞれに対応する樹脂流路を選択する選択手段を備える請求項8〜16のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項18】
前記選択手段は複数のシャットオフ手段である請求項17に記載の射出成形機。
【請求項19】
前記シャットオフ手段は任意のタイミングで制御される請求項18に記載の射出成形機。
【請求項20】
前記キャビティのそれぞれの成形条件に対応するように成形品を成形する請求項8〜19のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項21】
前記固定金型支持装置及び第1の可動金型支持装置に配設されたエジェクタ装置を有する請求項8〜20のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項22】
(a)固定金型と中間金型との間に形成された第1のキャビティで第1の成形品を成形し、前記中間金型と可動金型との間に形成された第2のキャビティで前記第1の成形品とは形状が異なる第2の成形品を成形する射出成形方法において、
(b)一方のキャビティに前記中間金型内の樹脂流路を通して第1のタイミングで樹脂を充填し、
(c)前記中間金型内に配設された選択手段によって樹脂流路を制御して他方のキャビティ空間と連通させ、
(d)前記他方のキャビティ内に、前記中間金型内の樹脂流路を通して第2のタイミングで樹脂を充填することを特徴とする射出成形方法。
【請求項23】
(a)第1の可動金型支持装置と第2の可動金型支持装置との間に配置された第1の金型装置により第1の成形品を成形し、前記第2の可動金型支持装置と固定金型支持装置との間に配置された第2の金型装置により第2の成形品を成形する射出成形方法において、
(b)第1の金型装置に成形された第1のキャビティに、前記第2の可動金型支持装置内の樹脂流路を通して第1のタイミングで樹脂を充填し、
(c)第2の金型装置に成形された第2のキャビティ内に、前記第2の可動金型支持装置内の樹脂流路を通して第2のタイミングで樹脂を充填することを特徴とする射出成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【国際公開番号】WO2005/075174
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【発行日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517812(P2005−517812)
【国際出願番号】PCT/JP2005/001960
【国際出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】