説明

射出成形製品の検査方法及び検査装置

【課題】CCDカメラにて射出成形製品の1つ1つを撮像してその良否を検査するに際して、検査を速い速度で速やかに行い得て検査能力を高めることのできる射出成形製品の検査方法を提供する。
【解決手段】多数個同時に射出成形したゴム製品32を型開き後に成形型28に露出状態に保持させ、その状態でCCDカメラ64を成形型28に対し相対移動させて、各ゴム製品32の1つ1つを撮像し、その良否を判定する検査方法において、成形型28に対するCCDカメラ64の位置決めを、光電センサ66にて撮像すべき対象ゴム製品32の位置を間接的に検出することにより行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は射出成形製品の欠陥の有無を判別して良否を判定する射出成形製品の検査方法及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、射出成形製品の検査方法として下記特許文献1に開示のものがある。
この特許文献1に開示の検査方法は、以下のような内容を解決課題としている。
即ち射出成形製品は射出成形後において製品に欠肉が生じていないか、バリが過多に残っていないか或いはその他の欠陥が生じていないかなど外観検査する必要がある。
【0003】
その検査の方法として、(イ)同時に成形された多数の製品を成形型から脱型したのち、作業者が目視にて外観検査する方法、(ロ)或いは脱型された製品をパーツフィーダ等を用いて再度配列させたのち、自動検査装置にて各製品の外観上の欠陥の有無を判別し良否判定する方法が従来用いられていたが、前者の(イ)の人手による目視検査の場合処理能力が低く、検査のために多くの人手及び工数を必要とする問題がある外、多量の製品を目視検査している間に場合によって欠陥を見逃してしまうといった恐れがあり、検査品質が不安定である問題があるとともに、検査のために多大なコストを要してしまう問題がある。
【0004】
他方後者の(ロ)の検査方法の場合、成形型から脱型してバラバラになった各製品を、パーツフィーダ等により整列させる機構を必要とし、その整列させる機構及びパーツフィーダ等のためにコストがかかるとともに、整列搬送する際に搬送路上でトラブルが生じるとそこで一旦検査が止まってしまう問題があり、更にまたこの整列機構,自動検査装置等を用いた検査においても処理能力が制約され、製品を多量に処理するには多くの設備を必要として、従ってこの方法もまた多大なコストを要するといった問題があった。
【0005】
そこで特許文献1の検査方法では、射出成形後において製品を成形型に露出状態に保持させておき、その状態で撮像装置を用いて製品の1つ1つを撮像し、その撮像結果を画像処理によって予め記憶させてある良品の撮像結果と比較し、製品の欠肉やバリの発生過多等の欠陥を判別し良否を判定するようにしている。
この特許文献1の検査方法によれば、射出成形製品を成形型から脱型せずに外観検査を行うことができ、且つ作業者による目視観察に比べて検査能力を大幅に高めることができ、また検査のためのコストを低減することができるとともに検査品質を高めることができる。
【0006】
ところでこの検査方法を実施するに当っては、撮像装置を成形型に沿って相対移動させつつ、撮像装置の照準が撮像対象製品の1つ1つに正しく合う位置に位置決めした上で、撮像を行う必要がある。
その位置決めのための手段として一般に行われるのは撮像装置或いは成形型、通常は成形型をロボットにて移動させ、そして各製品の1つ1つが正しく撮像装置の照準に合う位置に位置決めさせるために、ロボットにティーチングを施してロボットに動きを覚えさせておくやり方である。
【0007】
しかしながら射出成形製品が小さいものである場合、1つの成形型に極めて多数、例えば1000個程度の製品が保持されており、従ってその1つ1つに対して撮像装置が相対的に位置決めされるようにロボットの動きを覚えさせるためにはティーチング作業に多大な手間と時間がかかり、しかも製品の形状や種類、配置パターンが異なるごとに、それ専用にティーチングを行わなければならない。
またこのようなティーチングによる場合にはロボットの動きが遅く、1つの製品の検査から次の製品の検査までの時間が長くなって、全体として製品の検査に要する時間が長くなってしまい、ひいては検査能力を十分に高くすることができないといった問題がある。
【0008】
【特許文献1】特開2003−276069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上のような事情を背景とし、撮像装置にて射出成形製品の1つ1つを撮像してその良否を検査するに際して、検査を速い速度で速やかに行い得て、検査能力を高めることのできる射出成形製品の検査方法及び検査装置を提供することを目的としてなされたものである。
また本発明は別の目的は、検査の精度をより高くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
而して請求項1は射出成形製品の検査方法に関するもので、複数個同時に射出成形した製品を型開き後に成形型に露出状態に保持させ、その状態で該成形型に対向させた撮像装置を該成形型に対し相対移動させて、該製品の1つ1つに照準を合わせる位置に位置決めし、各製品ごとに撮像を行って画像処理により製品の良否を判定する射出成形製品の検査方法において、前記成形型に対する前記撮像装置の相対的な位置決めを、位置検出センサにて各撮像対象製品の位置を直接又は間接に検出することにより行うことを特徴とする。
【0011】
請求項2の方法は、請求項1において、前記位置検出センサにて検知される複数の被検知部を有し、且つそれら被検知部が前記成形型にて保持されている製品と同じ並びのピッチで同一パターンに配置された基準型を用意して、該基準型を該成形型とは別の箇所に設置し、該基準型に対して前記位置検出センサを相対移動させて、前記製品に各対応した被検知部の1つ1つを該位置検出センサにより検知することで、前記撮像装置を前記各撮像対象製品に照準を合わせる位置に位置決めし、撮像を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項3の方法は、請求項2において、前記被検知部が前記基準型に形成された貫通の孔であることを特徴とする。
【0013】
請求項4の方法は、請求項2,3の何れかにおいて、前記撮像装置及び基準型が位置固定に設けられ、前記成形型及び位置検出センサが移動するものとなしてあることを特徴とする。
【0014】
請求項5は検査装置に関するもので、複数個同時に射出成形した製品を型開き後に成形型に露出状態に保持させ、その状態で成形型に対向させた撮像装置を該成形型に対し相対移動させて、該製品の1つ1つに照準を合わせる位置に位置決めし、各製品ごとに撮像を行って画像処理により製品の良否を判定する射出成形装置の検査装置において、各撮像対象製品の位置を直接又は間接に検出することにより、前記撮像装置を撮像対象製品に対して照準を合わせる位置に位置決めする位置検出センサを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項6のものは、請求項5において、前記位置検出センサにて検知される複数の被検知部を有し、且つそれら被検知部が前記成形型にて保持されている製品と同じ並びのピッチで同一パターンに配置された基準型を有しており、該基準型に対して該位置検出センサを相対移動させて、前記製品に各対応した被検知部の1つ1つを該位置検出センサにより検知することで、前記撮像装置を撮像対象製品に照準を合わせる位置に位置決めし、撮像を行うようになしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0016】
以上のように本発明は、成形型に対する撮像装置の位置決め即ち撮像対象製品に対する撮像装置の相対的な位置決めを、位置検出センサにて撮像対象製品の位置を直接又は間接に検出することにより行うもので、本発明によれば、撮像装置の位置決めのためにロボットに予めその動きを覚えさせておくためのティーチングを施しておく必要がなく、そのための手間を削減することができる。
また製品の形状や配置パターンが異なった場合においても改めてそれ専用のティーチングを予め施しておかなくても良く、位置検出センサによる撮像対象製品の直接又は間接の位置検出に基づいて自動的に位置決めを行うことができる。
【0017】
従って本発明によれば、ティーチング作業のために要していたコストを削減することができる。
また位置検出センサによる位置検出に基づいた撮像装置の位置決めでは、1つの製品に対する撮像装置の位置決め及び撮像から、次の製品に対する撮像装置の位置決め及び撮像までの時間間隔を短くすることができ、迅速に多数の射出成形製品に対する撮像を行い得て、検査能力を従来に増して高めることができる(請求項1,請求項5)。
【0018】
本発明では、位置検出センサにて検知される複数の被検知部が成形型にて保持されている製品と同じ並びのピッチで同一パターンに配置された基準型を用意し、その基準型に対して位置検出センサを相対移動させて、製品に対応した被検知部の1つ1つを位置検出センサにより検知することで、撮像装置を撮像対象製品に照準を合わせる位置に位置決めし、撮像を行うようになすことができる(請求項2,請求項6)。
【0019】
位置検出センサを用いた撮像装置の位置決めの手段として、成形型に保持されている射出成形製品の1つ1つを位置検出センサにて直接検知することで位置決めを行うといったことも可能である。
しかしながら成形型には、使用を続けるうちに傷や汚れが付いたりしていることも多く、この場合その傷や汚れを位置検出センサが製品であると誤って検知してしまい、本来の製品ではない箇所を撮像装置が撮像してしまうといった不具合が生じることが判明した。
【0020】
そこでこの請求項2及び請求項6では、このような成形型とは別に製品に対応した複数の被検知部を有する基準型を用意し、そしてその基準型の各被検知部を位置検出センサにより検知することによって、撮像装置における撮像位置を位置決めするようになしたもので、このようにすれば、成形型に付いている傷や汚れによる影響を排除して、正しく各製品だけを撮像装置にて撮像することができるようになる。
そしてこのことによって、撮像装置が製品でない箇所を誤って撮像することによるトラブルやライン停止を防止でき、検査品質を更に高めることができるとともに、検査能力をより一層高めることが可能となる。
【0021】
この場合において上記被検知部は、基準型に形成した貫通の孔と成しておくことができる(請求項3)。
被検知部をこのような貫通の孔としておくことで、被検知部に対する位置検出センサによる検知を正確且つ容易なものとなすことができる。
【0022】
また本発明では、撮像装置及び基準型を位置固定に設けておき、成形型及び位置検出センサを移動するものとなしておくことができる(請求項4)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、縦型射出成形装置の全体構成を示したもので、同図に示しているようにこの縦型射出成形装置は、射出装置10と成形装置12とを有している。
射出装置10は、射出ポット14とリボン状の成形材料(ここではゴム材料)をスクリューの回転により可塑化し流動化させて、射出ポット14内に押し出す押出機16と、射出ポット14内に充填されたゴム材料を図中下向きの前進移動によって射出ポット14から射出するプランジャ18と、その駆動シリンダ20とを有している。
射出装置10は、プランジャ18を下向きに前進移動させて、射出ポット14内のゴムを下方の金型からなる型セット24に向けて射出する。
【0024】
成形装置12は、型締装置22と型セット24とを有している。
尚図1において25は型締装置22における油圧装置である。
型セット24は、各成形型としての上型26と薄板状をなす中型28と下型30とを有しており、図2(B)に示しているようにゴム製品(射出成形製品)32を成形するためのキャビティ34を有している。
【0025】
ここでキャビティ34は、その大部分が中型28に形成されている。
またゴム製品32は小サイズのもので型セット24、実質的には中型28に極めて多数のキャビティ34が形成されている。
ここで中型28には成形キャビティ34が全体で約1000個程度設けられている。
図1に示しているように、下型30の下側には熱板36が設けられており、更にその下側に断熱板38が設けられ、その下側に第1スライド板40が設けられている。
尚42は成形位置において上下に移動し、中型28と下型30とを熱板36,断熱板38等とともに上昇させ又は下降させる可動板である。
【0026】
上記第1スライド板40は後方(図中左方)に延び出しており、その端部上に熱板36に埋設されたヒータに繋がる配線をまとめて収容する配線ボックス44が設けられ、更にその上側に配線ボックス44の蓋を兼ねた第2スライド板46が設けられている。
第2スライド板46は配線ボックス44から更に図中左方に延び出している。
【0027】
本実施形態においてこれら第1スライド板40,配線ボックス44,第2スライド板46全体がスライド部材47を構成している。
これら第1スライド板40,配線ボックス44,第2スライド板46にて構成されたスライド部材47は、進退シリンダ48にて図1中左右方向に前進及び後退運動させられる。
一方成形装置12の前部(図1中右部)にはテーブル50が設けられていて、そのテーブル50に、型セット24における中型28と下型30とを分離するための型分離装置52が設けられている。
【0028】
この型分離装置52は昇降シリンダ54と、これにより昇降駆動される昇降ロッド56と、その上端に設けられた昇降部材58とを図1の紙面と直角方向の左右両側に一対有している。
これら昇降部材58の上側には更に爪部材60が設けられており、かかる爪部材60が昇降部材58と一体に昇降運動させられる。
この爪部材60は、自身の上昇運動によって中型28を持ち上げて下型30から分離させる。
【0029】
この縦型射出成形装置では、図1の型締装置22にて型セット24を型締状態に保持し、その状態でプランジャ18を駆動シリンダ20により図中下向きに突き出すことで、射出ポット14内に充填されている流動状態のゴム材料が、型セット24のキャビティ34に注入される。
そしてその状態で所定時間保持されることで、キャビティ34に注入されたゴム材料が加硫されゴム製品32となる。
【0030】
その後型セット24における中型28と下型30とが下降せしめられ、そしてその下降端においてスライド部材47が図1中左から右向きに前進させられて、スライド部材47詳しくは第1スライド板40上に載置されている中型28と下型30とが、ともにテーブル50上に持ち来たされる。
即ち中型28と下型30とが成形位置から型分離位置へと移動せしめられる。
【0031】
中型28は型分離位置において昇降シリンダ54による昇降ロッド56の上昇、更にこれに伴う爪部材60の上昇により上方に持ち上げられ、下型30から分離される。
このとき加硫成形されたゴム製品32が中型28に保持されて一体に持ち上げられる。
【0032】
図3に、上記のようにして射出成形されたゴム製品32に対する検査方法が検査装置とともに示してある。
図3において62はロボットハンド(以下ロボットと略す)で、成形後において中型28が各キャビティ34にゴム製品32を保持した状態で成形エリアから検査エリアへと持ち来される。
【0033】
この実施形態の検査装置は、中型28の両側の各面にそれぞれ対向する状態に設けられた撮像装置としての一対のCCDカメラ64と、位置検出センサとしての光電センサ66と、光電センサ66と協働して中型28に保持されている多数のゴム製品32の1つ1つに対してCCDカメラ64の照準を合わせる位置に中型28を位置決めする基準型68とを有している。
ここで一対のCCDカメラ64のそれぞれは、中型28の各面に露出しているゴム製品32の端面を撮像して、欠肉やバリ過多等の欠陥を判定する。
【0034】
この実施形態において、一対のCCDカメラ64及び基準型68は位置固定に設けられており、また一方光電センサ66はロボットハンド62に取り付けられていて、中型28と一体に移動させられる。
本実施形態では、基準型68もまた中型28と同様に金属プレートにて構成されている。
【0035】
上記光電センサ66は反射型の光電センサであり、投光部から基準型68に向けて光を投光し、その反射光を受光してその受光光量の大小、詳しくは受光光量がしきい値より多いか少ないかによって被検知部を検知する。
基準型68にはその被検知部としての孔70が基準型68を板厚方向に貫通する方向に設けられている。
ここで孔70は、中型28におけるキャビティ34、即ちゴム製品32に対応した数で基準型68に設けられている。
尚中型28におけるキャビティ34はゴム製品32に対応した複雑形状をなしているが、この基準型68における孔70は、同一内径で板厚方向に延びるストレート形状をなしている。
【0036】
更に被検知部としての多数の孔70は、中型28におけるキャビティ34、即ちゴム製品32の並びのピッチと等しいピッチで且つ同一パターンで配置されている。
但し基準型68の各孔70は、中型28の各対応するゴム製品32とは点対称となる位置に配置されている。
つまり基準型68における各孔70の配置パターンは、中型28におけるキャビティ34即ちそこに保持されているゴム製品32の配置パターンに対し、上下及び左右が逆転した配置パターンとされている。
【0037】
詳しくは、図2に示す中型28の所定位置のゴム製品32-Kに対して、図4に示す基準型68の対応する孔70-Kが点対称の位置、即ちゴム製品32-K用の孔70-Kの基準型68の中心に対する位置関係が、中型28におけるゴム製品32-Kの中型28の中心に対する位置関係とは上下及び左右に逆転した位置関係となるように配置されており、また同様にゴム製品32-L,32-M,32-Nに対し、それぞれ対応する孔70-L,70-M,70-Nが上下及び左右に逆転した位置関係となるように配置されている。
【0038】
この結果として本実施形態では、図3及び図6(I)に示しているように例えばCCDカメラ64による撮像の照準が中型28のゴム製品32-Kに合っているとき、即ちCCDカメラ64がゴム製品32-Kに正しく向き合っているとき、光電センサ66はゴム製品32-Kに対応した基準型68の孔70-Kを検知する状態となる。
即ち光電センサ66が孔70-Kを検知した位置に中型28が位置決めされることによって、ゴム製品32-Kに対しCCDカメラ64が正しく向き合い、その照準をゴム製品72-Kに向けて合わせた状態となる。
光電センサ66の位置がそのように予め選ばれている。
【0039】
この状態から、図3中の矢印及び図6(II)に示すようにロボット62がゴム製品32-Lに対してCCDカメラ64が向き合う位置まで中型28を下降すると、このとき光電センサ66は基準型68の対応する孔70-Lに正しく向き合う位置まで中型28と一体に下降する。
換言すれば光電センサ66が孔70-Lを検知し、そしてその位置に中型28を位置決めすることで、ゴム製品32-Lが一対のCCDカメラ64による照準位置に位置することとなる。
【0040】
また同様に、図3及び図7(III)中矢印で示すように中型28がロボット62によって水平方向に位置移動させられ、ゴム製品32-Mが一対のCCDカメラ64による照準位置に位置したときには、光電センサ66が中型28と一体移動することによってゴム製品32-Mに対応した孔70-Mを検知する状態となり、従って光電センサ66による孔70-Mの検知によって、ゴム製品32-MがCCDカメラ64による照準位置に正しく位置させられる。
その後における孔70-Mから孔70-Nへの光電センサ66による検知の移動、またこれに対応するゴム製品32-Mから32-NへのCCDカメラ64による照準位置の移動も同様である(図7(IV)参照)。
【0041】
つまりこの実施形態では、撮像対象となるゴム製品32に対応した孔70を光電センサ66が検知する位置に中型28を位置決めすることによって、一対のCCDカメラ64の照準がその撮像対象としてのゴム製品32に合った状態となる。
【0042】
但し実際には光電センサ66は、図5(A)に示しているように基準型68に設けられている多数の孔70-1,70-2,70-3・・・と順番に検知して行き、それぞれに対応した位置において中型28を位置決めして行く。
そして各位置決めした位置において一対のCCDカメラ64が図5(B)に示しているようにゴム製品32-1から32-2,32-3へと順番に撮像して行き、そして撮像結果を予め記憶させてある良品の撮像結果と比較してその良否を判定する。
【0043】
以上のような本実施形態によれば、CCDカメラ64による撮像位置の位置決めのために、ロボット62に予めその動きを覚えさせておくためのティーチングを施しておく必要がなく、そのための手間を削減することができる。
【0044】
また製品の形状や配置パターンが異なった場合においても、改めてそれ専用のティーチングを予めロボット62に施しておかなくても良く、光電センサ66によるゴム製品32の間接的な位置の検出に基づいて、自動的にCCDカメラ64の撮像位置を位置決めすることができる。
従ってこの実施形態によれば、ロボット62へのティーチングに要するコストを削減することができる。
【0045】
また光電センサ66による位置検出に基づく撮像位置の位置決めでは、1つのゴム製品32に対する撮像位置の位置決め及び撮像から次のゴム製品32に対するCCDカメラ64の位置決め及び撮像までの時間間隔を短くすることができ、迅速に多数のゴム製品32に対する撮像を行い得て、検査能力を従来に増して高めることができる。
【0046】
また本実施形態では、CCDカメラ64によるゴム製品32の撮像のための位置決め用として、中型28に保持されているゴム製品32自体を用いず、これとは別に用意した基準型68を用いて位置決めをなすようにしているため、次のような利点が得られる。
即ち図8の比較例図に示しているように、光電センサ66にて直接に中型28に保持されているゴム製品32を検知することによって、中型28の位置をCCDカメラ64による撮像位置に位置決めするといったことも可能であるが、この場合、中型28は使用を続けるうちに傷や汚れが付いたりすることが多く、その傷や汚れを光電センサ66が製品であると誤って検知してしまい、その結果CCDカメラ64が、本来のゴム製品32ではない箇所を撮像してしまって、誤った判定を行ってしまうことが生じる。
【0047】
これに対して本実施形態では、CCDカメラ64による撮像の位置決め用として基準型68を用いているためこうした不具合を生じず、中型28に付いている傷や汚れによる影響を排除して、正しく各ゴム製品32だけを撮像することができる。
そしてこのことによって、CCDカメラ64がゴム製品32でない箇所を誤って撮像することにより発生するライントラブルやライン停止を生ずるのを防止でき、検査品質を更に高めることができるとともに検査能力をより一層高めることが可能となる。
【0048】
尚基準型68に中型28と同様のキャビティ34を形成して、そこにゴム製品32を保持させておき、そのゴム製品32を光電センサ66により検知することで、中型28の位置決めをなすようにすることも可能である。
但しこの場合には光電センサ66が、基準型68の金属色とゴム製品32の黒色とを色で識別することによって位置の検出を行うこととなり、この場合色の識別による検知であるため検知精度が不十分である問題がある。
これに対してこの実施形態では、基準型68に設けた貫通の孔70を光電センサ66にて検知するようになしているため、検知精度を高めることができ、且つ被検知部としての孔70の検知を容易に行うことができる利点が得られる。
【0049】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】射出成形装置を示す図である。
【図2】図1における中型をゴム製品を保持した状態で示した図である。
【図3】本発明の実施形態の検査方法を検査装置とともに示した図である。
【図4】図3の基準型を示した図である。
【図5】同実施形態の検査方法の説明図である。
【図6】同検査方法を別の観点から示した説明図である。
【図7】図6に続く説明図である。
【図8】同実施形態の利点を説明するために示した比較例図である。
【符号の説明】
【0051】
28 成形型(中型)
32 ゴム製品
64 CCDカメラ(撮像装置)
66 光電センサ(位置検出センサ)
68 基準型
70 孔(被検知部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個同時に射出成形した製品を型開き後に成形型に露出状態に保持させ、その状態で該成形型に対向させた撮像装置を該成形型に対し相対移動させて、該製品の1つ1つに照準を合わせる位置に位置決めし、各製品ごとに撮像を行って画像処理により製品の良否を判定する射出成形製品の検査方法において、
前記成形型に対する前記撮像装置の相対的な位置決めを、位置検出センサにて各撮像対象製品の位置を直接又は間接に検出することにより行うことを特徴とする射出成形製品の検査方法。
【請求項2】
請求項1において、前記位置検出センサにて検知される複数の被検知部を有し、且つそれら被検知部が前記成形型にて保持されている製品と同じ並びのピッチで同一パターンに配置された基準型を用意して、該基準型を該成形型とは別の箇所に設置し、該基準型に対して前記位置検出センサを相対移動させて、前記製品に各対応した被検知部の1つ1つを該位置検出センサにより検知することで、前記撮像装置を前記各撮像対象製品に照準を合わせる位置に位置決めし、撮像を行うことを特徴とする射出成形製品の検査方法。
【請求項3】
請求項2において、前記被検知部が前記基準型に形成された貫通の孔であることを特徴とする射出成形製品の検査方法。
【請求項4】
請求項2,3の何れかにおいて、前記撮像装置及び基準型が位置固定に設けられ、前記成形型及び位置検出センサが移動するものとなしてあることを特徴とする射出成形製品の検査方法。
【請求項5】
複数個同時に射出成形した製品を型開き後に成形型に露出状態に保持させ、その状態で成形型に対向させた撮像装置を該成形型に対し相対移動させて、該製品の1つ1つに照準を合わせる位置に位置決めし、各製品ごとに撮像を行って画像処理により製品の良否を判定する射出成形装置の検査装置において、
各撮像対象製品の位置を直接又は間接に検出することにより、前記撮像装置を撮像対象製品に対して照準を合わせる位置に位置決めする位置検出センサを備えたことを特徴とする射出成形製品の検査装置。
【請求項6】
請求項5において、前記位置検出センサにて検知される複数の被検知部を有し、且つそれら被検知部が前記成形型にて保持されている製品と同じ並びのピッチで同一パターンに配置された基準型を有しており、該基準型に対して該位置検出センサを相対移動させて、前記製品に各対応した被検知部の1つ1つを該位置検出センサにより検知することで、前記撮像装置を撮像対象製品に照準を合わせる位置に位置決めし、撮像を行うようになしてあることを特徴とする射出成形製品の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−196400(P2007−196400A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−14493(P2006−14493)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000177058)三友工業株式会社 (27)
【出願人】(599022317)株式会社TRIサイタマ (2)
【Fターム(参考)】