説明

導光シートスイッチユニット

【課題】 導光板の発光素子に対応した箇所の一部がスポット的に発光するのを防止し、シートスイッチ上を明るく且つ均一に照明することができる導光シートスイッチユニットを提供することである。
【解決手段】 基板21と、この基板21上に配置されるシートスイッチ22と、このシートスイッチ22上を覆うようにして前記基板21上に載置される導光板23と、この導光板23の外周部の一端に向けて配置される発光素子24とを備えた導光シートスイッチユニット20において、前記導光板23は、前記発光素子24と対向する外周部に厚肉状の入光部23bが形成され、この入光部23bの下面を遮光部材33を介して前記基板21上に接合した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の操作入力部を構成する導光シートスイッチユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機や携帯情報端末機等の薄型の電子機器の操作入力部には、照明機能を備えた導光式のシートスイッチを用いて構成されているものが多い。このような導光シートスイッチは、基板上に載置される複数のキースイッチからなるシートスイッチと、このシートスイッチの上に配置される導光板と、この導光板の一端に配置される光源(発光素子)とによってユニット構成されている(特許文献1,2参照)。
【0003】
図5は導光機能を備えたシートスイッチユニットの断面構造の一例を示したものである。この導光シートスイッチユニット10は、基板11上に配置されたシートスイッチ12と、このシートスイッチ12上を覆う導光板13と、この導光板13の外周部に向けて載置される発光素子14とを備えている。前記シートスイッチ12は、固定接点16や配線パターンが形成されたベース部15と、前記固定接点16の上に配置される可動接点17と、この可動接点17を前記ベース部15上に固定するためのシート材(図示せず)とで構成されている。
【0004】
前記導光板13は、シートスイッチ12を覆う導光本体部13a及びこの導光本体部13aを前記基板11上に支持するための外周部13bによって一体形成されている。そして、この外周部13bの一端に向けて配置された発光素子14から発せられる光を前記導光本体部13aに導くことによって、シートスイッチ12全体を均一に照明する。
【特許文献1】特開平10−340612号公報
【特許文献2】特開2001−84822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構造の導光シートスイッチユニット10にあっては、発光素子14と対向する導光板13の外周部13bが最も強い光を受けるため、この部分がスポット的に発光してしまい、導光本体部13aとの輝度差が大きくなる。また、前記導光板13は、導光本体部13aの上面を押圧することによって下方に配置されているシートスイッチ12の可動接点17を押圧するため、撓み変形によって、基板11とこの基板11上に載置されている前記外周部13bの底面との間に隙間が生じやすくなる。このため、押圧操作をする度に、前記発光素子14から発せられる光がシートスイッチ12側に入射して、この部分がスポット的に発光するといった問題もある。このように、一部にスポット的な発光現象が生じると、導光本体部13aの隅々まで光が行き渡らず全体的な輝度の低下や発光ムラを引き起こす原因となる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、導光板の発光素子に対応した箇所の一部がスポット的に発光するのを防止し、シートスイッチ上を明るく且つ均一に照明することができる導光シートスイッチユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の導光シートスイッチユニットは、基板と、この基板上に配置されるシートスイッチと、このシートスイッチ上を覆うようにして前記基板上に載置される導光板と、この導光板の外周部の一端に向けて配置される発光素子とを備えた導光シートスイッチユニットにおいて、前記導光板は、前記発光素子と対向する外周部に厚肉状の入光部が形成され、この入光部の下面が遮光部材を介して前記基板上に接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の導光シートスイッチユニットは、発光素子と対向する導光板の外周部が遮光部材を介して基板に接合されているため、前記発光素子の正面から発せられる強い光を吸収し、この部分におけるスポット的な発光を抑えることができる。また、前記遮光部材によって、導光板と基板とが密着するので、発光素子から発せられる光が直接シートスイッチ内に侵入するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面に基づいて本発明に係る導光シートスイッチユニットの実施形態を詳細に説明する。図1及び図2に示すように、本発明の導光シートスイッチユニット20は、基板21と、この基板21上に配置されるシートスイッチ22と、このシートスイッチ22上に載置される導光板23と、この導光板23の一端に配置される発光素子24とによって構成されている。
【0010】
前記基板21は、シートスイッチ22及び発光素子24が配置可能なスペースを有した四角形状のエポキシ樹脂やBTレジンあるいはフレキシブル基板であり、表面に前記シートスイッチ22や発光素子24を接続するための電極や配線パターンが形成されている。
【0011】
前記シートスイッチ22は、図3に示すように、シート状のベース部25上に固定接点26及び可動接点27からなるキースイッチ22aが複数配置され、前記可動接点27を被覆する薄いシート材28によって、ベース部25上に固定されている。
【0012】
前記ベース部25は、例えば、携帯電話機の操作パネルのシートスイッチとして形成される場合は、その操作パネルと略同様な形状及び大きさに形成され、数字キーやアルファベットキー、その他のファンクションキー等が配置される箇所に合わせて固定接点26が複数設けられる。可動接点27は、適度なクリック感を得るために薄い金属材によるドーム型に形成され、前記各固定接点26に対応してその上方に被さるように配置されている。
【0013】
発光素子24は、側面発光型の発光ダイオードが使用され、その発光面を導光板23の外周部の一側面に向けた状態で前記基板21の一端に配置される。発光素子24の配置箇所や配置数は、シートスイッチ22の形状や大きさ、キースイッチの配列数に応じて適宜設定されるが、例えば、携帯電話機のような数字キーやファンクションキーなどが配置されるような四角形状のシートスイッチであれば、少なくともいずれか一の辺に数個等間隔で配置される。
【0014】
導光板23は、透明若しくは半透明の薄板部材であり、シートスイッチ22と略同じ形状及び平面サイズを有する導光本体部23aと、端部が厚肉状に形成された入光部23bとによって一体成形されている。前記導光本体部23aは、例えば、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ポリカーボネート樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂など導光性の高い材料が用いられる。厚みは特に限定されるものではないが、導光効率及び撓み変形性を考慮して0.05mm〜0.2mmの範囲で形成するのが望ましい。
【0015】
入光部23bは、図2に示したように、前記導光本体部23aの端部からなだらかに傾斜するように厚肉形成されている。この入光部23bは、前記発光素子24の発光方向と対向する受光面30と、基板21上に載置される載置面31と、この載置面の内側端部から導光本体部23aの裏面側に向けてテーパ状に傾斜する傾斜面32とを有している。前記受光面30は、図1及び図4に示したように、発光素子24の発光方向に沿った円弧面に形成され、キースイッチ22aと略同じ高さに相当する厚みを有している。これによって、導光本体部23aの裏面がシート材28で被覆された可動接点27の上部に接するか、僅かに離間するように保持される。入光部23bの載置面31は、基板21上に載置されて固定する面であり、前記発光素子24と対向する方向に対しては、遮光部材33を挟んで基板21上に接合固定される。なお、この遮光部材33を挟まない発光素子24の正面を除いた箇所は、透明な接着剤を介して基板21上に固定されている。傾斜面32は、載置面31の内側端部から導光本体部23aの裏面に向けて広がるように、テーパ状に傾斜形成されている。この傾斜面32は、前記シートスイッチ22の端部を避けるようにして、前記載置面31の内側端部から約45度前後の傾斜角で導光本体部23aの裏面に繋がっている。このような傾斜角を設けることで、受光面30で受けた光を有効且つ効率的に導光本体部23aに向けて導くことができる。
【0016】
前記遮光部材33は、表裏両面に接着面を有する黒色系の両面粘着テープが用いられる。この両面粘着テープを適宜の大きさにカットしたものを前記基板21上の発光素子24と対向した位置に貼り付けた後、前記両面粘着テープの上面に導光板23の載置面31を載置して密着させる。この遮光部材33の貼着範囲に応じてスポット的な発光を調整することができる。通常は図2(a)に示したように、対向する発光素子24の正面と略同じ幅で、載置面31の長さ分あれば十分であるが、図2(b)に示したように、前記載置面31の内側端部から傾斜面32の下側までかかるように基板21上に沿って延ばすことによって、遮光範囲を広くすることができる。このように、前記遮光部材33を導光板23の内部までに貼着範囲を拡張することで、発光素子24の輝度や導光板23のサイズに応じてスポット的な発光現象が生じないように微調整することができる。また、前記遮光部材33を受光面30から発光素子24に向けてはみ出すようにして形成することで、受光面30における光の入射量及びスポット的な発光量を調整することもできる。
【0017】
また、図1に示したように、前記導光板23を配置した上から前記遮光部材33及び発光素子24を覆うようにT字状の上面遮光部材34を載置して被覆する。この上面遮光部材34を配置することで、発光素子24から上方へ発せられる光を抑え、スポット的な発光を防止し、導光本体部23aへの導光効率を向上させることができる。
【0018】
次に、図2に基づいて、上記構成による導光シートスイッチユニット20の導光作用について説明する。発光素子24には、基板21に設けられているコネクタ(図示せず)を介して外部から電流が供給される。ここで、前記発光素子24の発光面24aから放射状に出射した光は、正面に対向する受光面30から入光部23b内に入射する。この入光部23b内では、前記受光面30で受けた光を集光させ、この光を前記傾斜面32に沿って導光本体部23aに導くことができる。
【0019】
前記入光部23bの発光素子24の正面に位置する受光面30には、発光素子24から発せられる光を最も強く受けるが、載置面31が遮光部材33を介して基板21上に接合されているため、受けた光の一部を吸収して余分な照り返しを低減させ、スポット的な強い発光を抑えることができる。また、前記遮光部材33によって、基板21上に載置面31が密着されているため、導光本体部23aを通した押圧操作を頻繁に行った場合であっても発光素子24から発せられる光がシートスイッチ22に漏れることがないので、シートスイッチ22の端部で発生するスポット発光も防止することが可能である。
【0020】
本実施形態は、図4に示したように、発光素子24を基板21の一端に2個配置した場合の構成であるが、発光素子の数や配置位置が異なる場合であっても、それぞれの発光素子と対向する範囲の入光部の載置面に遮光部材を設けることによって、スポット的な発光作用を緩和させてシートスイッチ全体を均等な明るさで照明することができる。
【0021】
また、前記遮光部材33は両面テープに限定されず、前記入光部の載置面31又は、この載置面31が載置される基板21に直接黒色インク等を塗布あるいは印刷することによる遮光性塗膜によって形成することもできる。また、前記黒色インク等は、光の反射の状態に応じて濃淡を調整したり、形成する領域を調整したりすることで、発光素子から発せられる光の強さに応じたスポット的な発光作用を低減させることが可能である。なお、前記遮光性塗膜は、黒色インクに限らず、黒色系の粉末材などを使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る導光シートスイッチユニットの分解斜視図である。
【図2】上記導光シートスイッチユニットの断面図である。
【図3】シートスイッチの構造を示す断面図である。
【図4】上記導光シートスイッチユニットの平面図である。
【図5】従来の導光シートスイッチユニットの断面図である。
【符号の説明】
【0023】
10 導光シートスイッチユニット
11 基板
12 シートスイッチ
13 導光板
13a 導光本体部
13b 外周部
14 発光素子
15 ベース部
16 固定接点
17 可動接点
20 導光シートスイッチユニット
21 基板
22 シートスイッチ
22a キースイッチ
23 導光板
23a 導光本体部
23b 入光部
24 発光素子
25 ベース部
26 固定接点
27 可動接点
28 シート材
30 受光面
31 載置面
32 傾斜面
33 遮光部材
34 上面遮光部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、この基板上に配置されるシートスイッチと、このシートスイッチ上を覆うようにして前記基板上に載置される導光板と、この導光板の外周部の一端に向けて配置される発光素子とを備えた導光シートスイッチユニットにおいて、
前記導光板は、前記発光素子と対向する外周部に厚肉状の入光部が形成され、この入光部の下面が遮光部材を介して前記基板上に接合されていることを特徴とする導光シートスイッチユニット。
【請求項2】
前記導光板は、前記入光部の下面から前記シートスイッチが配置されている方向に傾斜して延びる傾斜面と、この傾斜面から前記シートスイッチの上方を覆うようにして延びる平板状の導光本体部とを有する請求項1記載の導光シートスイッチユニット。
【請求項3】
前記遮光部材は、表裏両面に接着面を有する黒色系の粘着テープからなり、表面側の接着面に前記入光部の下面が接着され、裏面側の接着面が基板に接着されている請求項1記載の導光シートスイッチユニット。
【請求項4】
前記遮光部材は、前記導光板の入光部の下面から前記傾斜面の下方位置まで基板上に沿って延びている請求項2記載の導光シートスイッチユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−34008(P2010−34008A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197721(P2008−197721)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【Fターム(参考)】