説明

導光シート及びこれを用いた可動接点体

【課題】主に各種電子機器の操作に使用される導光シート及びこれを用いた可動接点体に関し、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】複数の発光部22の間に形成された略帯状の窪溝部21Aや21Bに、暗色の光吸収部23Aや23Bを形成することによって、窪溝部21Aや21Bに出射した光が、暗色の光吸収部23Aや23Bによって吸収され、他の発光部22への光の混合や漏れを防ぐことができるため、見易く多様な照光が可能な導光シート24、及びこれを用いた可動接点体28を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に使用される導光シート及びこれを用いた可動接点体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器、特に携帯電話等の携帯端末機器においては、周囲が暗い場合でも、押釦や表示シート等の識別や操作が容易に行えるように、発光ダイオードやEL素子等を発光させて操作部の照光を行うものが増えており、これらの機器に用いられる可動接点体やスイッチにも、使い易く多様な照光を行えるものが求められている。
【0003】
このような従来の導光シートや可動接点体について、図13及び図14を用いて説明する。
【0004】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0005】
図13は従来のスイッチの断面図、図14は同平面図であり、同図において、1は光透過性でフィルム状の基材で、この基材1下面の所定箇所には、凹凸状の複数の発光部2が設けられている。
【0006】
そして、こられの発光部2の間には、例えば、発光部2Aと2B、2Cの間には、上下方向に貫通した略帯状で略コの字状の切欠部1Aが、発光部2Cと2Dの間には略帯状で略L字状の切欠部1Bが、各々設けられて導光シート3が形成されている。
【0007】
また、4は光透過性でフィルム状のベースシート、5は略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート4外周の所定箇所が、接着剤(図示せず)によって導光シート3下面に貼付されると共に、複数の可動接点5が発光部2下方のベースシート4下面に貼付されて、可動接点体6が構成されている。
【0008】
さらに、7は上下面に複数の配線パターン(図示せず)が形成された配線基板で、上面には略円形状の中央固定接点8Aと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点8Bから形成された、複数の固定接点8が設けられている。
【0009】
そして、この配線基板7上面に可動接点体6が、各々の可動接点5の外周が外側固定接点8B上に載置され、可動接点5の下面中央が中央固定接点8Aと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【0010】
また、9は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子9Aや9Bが導光シート3側方の配線基板7上面に実装され、基材1の端面に発光面を向けて配置されている。
【0011】
さらに、10は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された遮光部10Aの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部10Bが形成され、この表示部10Bが導光シート3の発光部2上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【0012】
そして、このように構成されたスイッチが、携帯電話等の電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点8Aや外側固定接点8B、複数の発光素子9が配線パターン等を介して、機器の電子回路(図示せず)に接続される。
【0013】
以上の構成において、表示シート10の所定の表示部10Bを下方へ押圧操作すると、導光シート3やベースシート4が撓んで可動接点5の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点5がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点5の下面中央が中央固定接点8Aに接触することによって、中央固定接点8Aと外側固定接点8Bが、可動接点5を介して電気的に接続された状態となる。
【0014】
また、表示シート10への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点5が上方へ弾性反転し、可動接点5の下面中央が中央固定接点8Aから離れて、中央固定接点8Aと外側固定接点8Bが電気的に切断された状態となる。
【0015】
そして、このような固定接点8の電気的接離に応じて、機器の各機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子9に電源が供給されると、複数の発光素子9Aや9Bが発光し、この光が端面から導光シート3内に入射して、基材1内を反射しながら内方へ進む。
【0016】
さらに、この光が基材1下面の複数の発光部2Aや2B、2C、2D等で拡散され反射して、これらの上方の表示シート10の表示部10Bを下方から照光し、複数の表示部10Bが照光されることによって、周囲が暗い場合でも、表示部10Bの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【0017】
つまり、表示シート10を押圧操作することによって導光シート3上面を押圧し、可動接点5を弾性反転させて固定接点8の電気的接離を行うと共に、発光素子9の光を端面から導光シート3内に導入し、複数の発光部2を発光させることによって、表示シート10の複数の表示部10Bを照光するように構成されている。
【0018】
また、複数の発光部2の間に形成された切欠部1Aや1Bによって、例えば、発光素子9Aと9Bの発光色が異なる場合や、発光部2Aの箇所は消灯し、他の発光部2Bや2C、2Dは点灯させた場合等に、切欠部1Aや1Bによって光が遮断されるように形成されている。
【0019】
すなわち、切欠部1Aや1Bを設けることで、発光色の異なる光が導光シート3内で混合され、複数の発光部2が混ざった発光色で照光されることや、消灯しているはずの発光部2Aが他の箇所を照光している光によって、うっすらとではあるが照光されることのないように構成されているものであった。
【0020】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2007−87749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、上記従来の可動接点体6やスイッチにおいては、所定の発光部2の間に、光を遮断するための切欠部1Aや1Bが設けられてはいるが、これらの切欠部1Aや1Bは空隙であり、この端面から出射した光が空隙を通った後、対向する端面から再び導光シート3内に入射することを完全に防ぐことは困難であるため、発光素子9を増やし明るく照光すればするほど、光の混合や漏れが生じ易くなってしまうという課題があった。
【0023】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0025】
本発明の請求項1に記載の発明は、凹凸状の複数の発光部の間に形成された略帯状の窪溝部または切欠部に、暗色の光吸収部を形成して導光シートを構成したものであり、窪溝部や切欠部に出射した光が暗色の光吸収部によって吸収され、他の発光部への光の混合や漏れを防ぐことができるため、見易く多様な照光が可能な導光シートを得ることができるという作用を有する。
【0026】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着して可動接点体を構成したものであり、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能なスイッチを実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0027】
以上のように本発明によれば、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態による可動接点体の断面図
【図2】同平面図
【図3】同断面図
【図4】同スイッチの断面図
【図5】本発明の第2の実施の形態による可動接点体の断面図
【図6】同平面図
【図7】同断面図
【図8】同スイッチの断面図
【図9】本発明の第3の実施の形態による可動接点体の断面図
【図10】同平面図
【図11】同断面図
【図12】同スイッチの断面図
【図13】従来のスイッチの断面図
【図14】同平面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図12を用いて説明する。
【0030】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0031】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0032】
(実施の形態1)
実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1及び2記載の発明について説明する。
【0033】
図1は本発明の第1の実施の形態による可動接点体の断面図、図2は同平面図であり、同図において、21はフィルム状でポリウレタンやシリコーン、スチレン等の可撓性を有する光透過性の基材で、この基材21下面の所定箇所には、凹凸状でポリエステルやエポキシ等の白色や乳白色等の複数の発光部22が、印刷等によってドット状に形成されている。
【0034】
そして、これらの発光部22の間には、例えば、発光部22Aと22B、22Cの間には略帯状で略コの字状の窪溝部21Aが、発光部22Cと22Dの間には略帯状で略L字状の窪溝部21Bが各々設けられると共に、この窪溝部21Aや21Bにはカーボン等を分散したポリエステルやエポキシ等の、暗色の光吸収部23Aや23Bが形成されて、導光シート24が構成されている。
【0035】
また、25は同じくフィルム状のベースシート、5は略ドーム状で銅合金や鋼等の導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート25外周の所定箇所が、アクリルやシリコーン等の接着剤26によって、導光シート24下面に貼付されると共に、複数の可動接点5が発光部22下方のベースシート25下面に貼付されている。
【0036】
さらに、27はポリエチレンテレフタレート等のフィルム状のセパレータで、このセパレータ27がベースシート25下面全面を覆うように貼付され、保管・搬送時に可動接点5下面に塵埃等が付着しないようにして、可動接点体28が構成されている。
【0037】
なお、このような可動接点体28を製作する際には、図3(a)の断面図に示すように、先ず、厚さ200μm前後の平坦なフィルム状の基材21上面に、凹凸状の複数の発光部22、例えば発光部22Aや22Bと、厚さ10〜20μm前後の暗色の光吸収部23Aを、印刷等によって形成する。
【0038】
そして、この後、図3(b)に示すように、上方からポンチ30によって光吸収部23Aを100〜180℃前後、好ましくは120〜160℃前後の温度で、3〜10秒前後加熱加圧して、図3(c)に示すような、光吸収部23Aに覆われた深さ100〜150μm前後の窪溝部21Aを、基材21上面の発光部22Aと22Bの間に形成して導光シート24を製作する。
【0039】
さらに、この導光シート24を上下逆に反転した後、複数の可動接点5が下面に貼付されたベースシート25やセパレータ27を、基材21下面に重ねて貼付して、図1に示したような可動接点体28が完成する。
【0040】
また、図4はこのような可動接点体28を用いたスイッチの断面図であり、同図において、7はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のフィルム状、または紙フェノールやガラス入りエポキシ等の板状の配線基板で、上下面に銅等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、上面には銅やカーボン等によって、略円形状の中央固定接点8Aと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点8Bから形成された、複数の固定接点8が設けられている。
【0041】
そして、この配線基板7上面にセパレータ27を剥離した可動接点体28が、各々の可動接点5の外周が外側固定接点8B上に載置され、可動接点5の下面中央が中央固定接点8Aと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【0042】
また、9は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子9が導光シート24側方の配線基板7上面に実装され、例えば図2に示すように、発光素子9Aが発光部22Aの上側方、発光素子9Bが発光部22Bや22Dの右側方に、基材21端面に発光面を向けて配置されている。
【0043】
さらに、10は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された遮光部10Aの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部10Bが形成され、この表示部10Bが導光シート24の発光部22上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【0044】
そして、このように構成されたスイッチが、携帯電話等の電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点8Aや外側固定接点8B、複数の発光素子9が配線パターン等を介して、機器の電子回路(図示せず)に接続される。
【0045】
以上の構成において、表示シート10の所定の表示部10Bを下方へ押圧操作すると、導光シート24やベースシート25が撓んで可動接点5の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点5がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点5の下面中央が中央固定接点8Aに接触することによって、中央固定接点8Aと外側固定接点8Bが、可動接点5を介して電気的に接続された状態となる。
【0046】
また、表示シート10への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点5が上方へ弾性反転し、可動接点5の下面中央が中央固定接点8Aから離れて、中央固定接点8Aと外側固定接点8Bが電気的に切断された状態となる。
【0047】
そして、このような固定接点8の電気的接離に応じて、機器の各機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子9に電源が供給されると、複数の発光素子9Aや9Bが発光し、この光が端面から導光シート24内に入射して、基材21内を反射しながら内方へ進む。
【0048】
さらに、この光が基材21下面の複数の発光部22Aや22B、22C、22D等で拡散され反射して、これらの上方の表示シート10の表示部10Bを下方から照光し、複数の表示部10Bが照光されることによって、周囲が暗い場合でも、表示部10Bの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【0049】
つまり、表示シート10を押圧操作することによって導光シート24上面を押圧し、可動接点5を弾性反転させて固定接点8の電気的接離を行うと共に、発光素子9の光を端面から導光シート24内に導入し、複数の発光部22を発光させることによって、表示シート10の複数の表示部10Bを照光するように構成されている。
【0050】
なお、このような照光を行う際、例えば図2において、発光素子9Aの発光色が橙色、発光素子9Bの発光色が緑色であった場合には、発光素子9Aの光が入射する発光部22Aは橙色に発光して、この上方の表示部10Bは橙色に照光され、発光素子9Bの光が入射する発光部22Bや22Dは緑色に発光する。
【0051】
そして、この時、発光部22Aと22Bの間には略コの字状の窪溝部21Aが、発光部22Cと22Dの間には略L字状の窪溝部21Bが各々設けられると共に、この窪溝部21Aや21Bには暗色の光吸収部23Aや23Bが形成されているため、この橙色の光と緑色の光が導光シート24内で混合されることがないようになっている。
【0052】
つまり、窪溝部21Aに出射した発光素子9Aの橙色の光は暗色の光吸収部23Aで、窪溝部21Bに出射した発光素子9Bの緑色の光は光吸収部23Bで各々吸収され、発光素子9Aの光が発光部22Bや22Cへ、発光素子9Bの光が発光部22Aや22Cへは出射しないようになっているため、これら複数の発光部22が各々、橙色と緑色の光が混ざった発光色で照光されることのないように構成されている。
【0053】
また、例えば発光素子9Aは消灯し、発光素子9Bのみが点灯している場合でも、発光素子9Bによって発光部22Bと22Dは発光するが、この光は光吸収部23Aや23Bで吸収され遮断されるため、この発光素子9Bの光によって、消灯している発光部22Aが薄明るく発光することのないようになっている。
【0054】
すなわち、複数の発光部22の間の、略帯状の窪溝部21Aや21Bに形成された光吸収部23Aや23Bによって、窪溝部21Aや21Bに出射した光は吸収されて遮断され、他の発光部22へは入射しないため、複数の発光部22の光の混合や漏れを防止し、見易く多様な照光が行えるように構成されている。
【0055】
このように本実施の形態によれば、複数の発光部22の間に形成された略帯状の窪溝部21Aや21Bに、暗色の光吸収部23Aや23Bを形成することによって、窪溝部21Aや21Bに出射した光が、暗色の光吸収部23Aや23Bによって吸収され、他の発光部22への光の混合や漏れを防ぐことができるため、見易く多様な照光が可能な導光シート24、及びこれを用いた可動接点体28を得ることができるものである。
【0056】
(実施の形態2)
実施の形態2を用いて、本発明の他の実施の形態について説明する。
【0057】
なお、実施の形態1の構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0058】
図5は本発明の第2の実施の形態による可動接点体の断面図、図6は同平面図であり、同図において、フィルム状で光透過性の基材21下面の所定箇所に、凹凸状の複数の発光部22が形成されていることは、実施の形態1の場合と同様である。
【0059】
そして、これらの発光部22の間には、例えば、発光部22Aと22B、22Cの間には、上下方向に貫通した略帯状で略コの字状の切欠部21Cが、発光部22Cと22Dの間には略帯状で略L字状の切欠部21Dが各々設けられると共に、この切欠部21Cや21Dには、カーボン等を分散したポリエステルやエポキシ等の暗色の光吸収部23Cや23Dが、切欠部21Cや21Dの端面を覆うように形成されて、導光シート24Aが構成されている。
【0060】
なお、ベースシート25外周の所定箇所が、接着剤26によって導光シート24A下面に貼付されていることや、複数の可動接点5が発光部22下方のベースシート25下面に貼付されていることは実施の形態1の場合と同様であるが、光吸収部23Cや23D下面にはアクリルやシリコーン等の接着層32が形成され、この接着層32によって光吸収部23Cや23Dがベースシート25上面に貼付されている。
【0061】
さらに、このベースシート25下面にはセパレータ27が、ベースシート25下面全面を覆うように貼付され、保管・搬送時に可動接点5下面に塵埃等が付着しないようにして、可動接点体28Aが構成されている。
【0062】
なお、このような可動接点体28Aを製作する際には、図7(a)の断面図に示すように、先ず、フィルム状の基材21下面に、印刷等によって凹凸状の複数の発光部22、例えば発光部22Aや22Bと、上下方向に貫通した切欠部21Cを形成した後、これをベースシート25上面に載置する。
【0063】
また、この上方に粘着力、いわゆるタック性によって、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム状の剥離シート33下面に、微接着力で貼付された光吸収部23Cを配置し、下方へ移動して、図7(b)に示すように、下面に形成された接着層32によって、光吸収部23Cを切欠部21C内のベースシート25上面に貼付した後、剥離シート33から光吸収部23Cを剥離する。
【0064】
なお、この時、光吸収部23Cの幅寸法は、切欠部21Cの幅寸法に対し少し小さく、例えば切欠部21Cの幅寸法が0.5〜1.5mm前後であった場合には、光吸収部23Cの幅寸法は0.3〜1mm前後に形成されている。
【0065】
そして、この後、図7(c)に示すように、上方からポンチ34によって光吸収部23Cを80〜150℃前後、好ましくは100〜120℃前後の温度で、2〜15秒前後加熱加圧して、図7(d)に示すような、押圧され切欠部21C内に広がると共に、接着層32によってベースシート25上面に貼付された光吸収部23Cを形成して、導光シート24Aを製作する。
【0066】
さらに、この導光シート24Aのベースシート25下面に、複数の可動接点5やセパレータ27を重ねて貼付して、図5に示したような可動接点体28Aが完成する。
【0067】
また、図8はこのような可動接点体28Aを用いたスイッチの断面図であり、同図において、複数の配線パターンが形成された配線基板7上面に、セパレータ27を剥離した可動接点体28Aが、各々の可動接点5の外周が複数の固定接点8の外側固定接点8B上に載置されると共に、可動接点5の下面中央が中央固定接点8Aと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されていることは、実施の形態1の場合と同様である。
【0068】
そして、複数の発光素子9が導光シート24A側方の配線基板7上面に実装され、例えば図6に示すように、発光素子9Aが発光部22Aの上側方、発光素子9Bが発光部22Bや22Dの右側方に、基材21端面に発光面を向けて各々配置されると共に、表示シート10の遮光部10Aの所定箇所が文字や記号等の形状にくり抜かれた、複数の表示部10Bが導光シート24Aの発光部22上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【0069】
さらに、このように構成されたスイッチが、携帯電話等の電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点8Aや外側固定接点8B、複数の発光素子9が配線パターン等を介して、機器の電子回路(図示せず)に接続される。
【0070】
以上の構成において、表示シート10の所定の表示部10Bを下方へ押圧操作または押圧力を解除すると、導光シート24Aやベースシート25が撓んで可動接点5の略ドーム状の中央部が押圧され、可動接点5が下方または上方へ弾性反転して、実施の形態1の場合と同様に、可動接点5を介した中央固定接点8Aと外側固定接点8Bの電気的な接続または切断が行われ、これに応じて機器の各機能が切換えられる。
【0071】
また、機器の電子回路から発光素子9に電源が供給されると、実施の形態1の場合と同様に、複数の発光素子9Aや9Bが発光し、この光が端面から導光シート24A内に入射して、基材21内を反射しながら内方へ進み、複数の発光部22Aや22B、22C、22D等で拡散され反射して、これらの上方の表示シート10の表示部10Bを下方から照光することによって、周囲が暗い場合でも、表示部10Bの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【0072】
なお、このような照光を行う際、例えば図6において、発光素子9Aの発光色が橙色、発光素子9Bの発光色が緑色であった場合には、発光素子9Aの光が入射する発光部22Aは橙色に発光して、この上方の表示部10Bは橙色に照光され、発光素子9Bの光が入射する発光部22Bや22Dは緑色に発光する。
【0073】
そして、この時、発光部22Aと22Bの間には略コの字状の切欠部21Cが、発光部22Cと22Dの間には略L字状の切欠部21Dが各々設けられると共に、この切欠部21Cや21D内には暗色の光吸収部23Cや23Dが形成されているため、この橙色の光と緑色の光が導光シート24A内で混合されることがないようになっている。
【0074】
つまり、切欠部21Cに出射した発光素子9Aの橙色の光は暗色の光吸収部23Cで、切欠部21Dに出射した発光素子9Bの緑色の光は光吸収部23Dで各々吸収され、発光素子9Aの光が発光部22Bや22Cへ、発光素子9Bの光が発光部22Aや22Cへは出射しないようになっているため、これら複数の発光部22が各々、橙色と緑色の光が混ざった発光色で照光されることのないように構成されている。
【0075】
また、例えば発光素子9Aは消灯し、発光素子9Bのみが点灯している場合でも、発光素子9Bによって発光部22Bと22Dは発光するが、この光は光吸収部23Cや23Dで吸収され遮断されるため、この発光素子9Bの光によって、消灯している発光部22Aが薄明るく発光することのないようになっている。
【0076】
すなわち、複数の発光部22の間の、略帯状の切欠部21Cや21D内に形成された光吸収部23Cや23Dによって、切欠部21Cや21Dに出射した光は吸収されて遮断され、他の発光部22へは入射しないため、複数の発光部22の光の混合や漏れを防止し、見易く多様な照光が行えるように構成されている。
【0077】
このように本実施の形態によれば、複数の発光部22の間に形成された略帯状の切欠部21Cや21Dに、暗色の光吸収部23Cや23Dを形成することによって、切欠部21Cや21Dに出射した光が、暗色の光吸収部23Cや23Dによって吸収され、他の発光部22への光の混合や漏れを防ぐことができるため、見易く多様な照光が可能な導光シート24A、及びこれを用いた可動接点体28Aを得ることができるものである。
【0078】
(実施の形態3)
実施の形態3を用いて、本発明の他の実施の形態について説明する。
【0079】
なお、実施の形態1や2の構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0080】
図9は本発明の第3の実施の形態による可動接点体の断面図、図10は同平面図であり、同図において、フィルム状で光透過性の基材21下面の所定箇所に、凹凸状の複数の発光部22が形成されていることは、実施の形態1や2の場合と同様である。
【0081】
そして、これらの発光部22の間には、例えば、発光部22Aと22B、22Cの間には、上下方向に貫通した略帯状で略コの字状の切欠部21Cが、発光部22Cと22Dの間には略帯状で略L字状の切欠部21Dが各々設けられると共に、この切欠部21Cや21Dには、カーボン等を分散したポリエステルやエポキシ等の暗色の光吸収部23Eや23Fが、切欠部21Cや21Dの端面や近傍上面を覆うように形成されて、導光シート24Bが構成されている。
【0082】
なお、ベースシート25外周の所定箇所が、接着剤26によって導光シート24B下面に貼付されていることや、複数の可動接点5が発光部22下方のベースシート25下面に貼付されていることは実施の形態1や2の場合と同様であるが、切欠部21Cや21Dの下面近傍には接着層32Aが形成され、この接着層32Aによって切欠部21Cや21D近傍の基材21下面が、ベースシート25上面に貼付されている。
【0083】
さらに、このベースシート25下面にはセパレータ27が、ベースシート25下面全面を覆うように貼付され、保管・搬送時に可動接点5下面に塵埃等が付着しないようにして、可動接点体28Bが構成されている。
【0084】
なお、このような可動接点体28を製作する際には、図11(a)の断面図に示すように、先ず、フィルム状の基材21下面に、印刷等によって凹凸状の複数の発光部22、例えば発光部22Aや22Bと、上下方向に貫通した切欠部21Cを形成した後、これをベースシート25上面に載置すると共に、接着層32Aによって切欠部21Cや21D近傍の基材21下面を、ベースシート25上面に貼付する。
【0085】
また、この上方にポリエチレンテレフタレート等の表面にシリコーン等が塗布された、厚さ20〜50μm前後のフィルム状の剥離シート33A下面に、印刷等によって微接着力で形成された光吸収部23Eを配置し、下方へ移動して、光吸収部23Eで切欠部21Cを覆うように載置する。
【0086】
なお、この剥離シート33A下面の光吸収部23Eは、厚さが10〜50μm前後に形成されると共に、切欠部21Cの幅寸法に対し、例えば切欠部21Cの0.2〜1mm前後の幅寸法よりも、左右方向に0.2mm前後ずつ大きな幅寸法に形成されている。
【0087】
そして、この後、図11(b)に示すように、上方からポンチ35によって100〜150℃前後の温度で、1〜8秒前後加熱加圧して、図11(c)に示すように、切欠部21C内に光吸収部23Eと剥離シート33Aを押圧入し、最後に剥離シート33Aを剥離して、図11(d)に示すような、光吸収部23Eが切欠部21Cの端面や近傍上面を覆うように形成された、導光シート24Bを製作する。
【0088】
さらに、この導光シート24Bのベースシート25下面に、複数の可動接点5やセパレータ27を重ねて貼付して、図9に示したような可動接点体28Bが完成する。
【0089】
また、図12はこのような可動接点体28Bを用いたスイッチの断面図であり、実施の形態1や2の場合と同様に、複数の配線パターンが形成された配線基板7上面に可動接点体28Bが、各々の可動接点5の下面中央が中央固定接点8Aと所定の間隙を空けて対向するように貼付されると共に、複数の発光素子9が導光シート24B側方の配線基板7上面に実装され、表示シート10の複数の表示部10Bが導光シート24Bの発光部22上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【0090】
そして、このように構成されたスイッチが、携帯電話等の電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点8Aや外側固定接点8B、複数の発光素子9が配線パターン等を介して、機器の電子回路(図示せず)に接続される。
【0091】
以上の構成において、表示シート10の所定の表示部10Bを下方へ押圧操作または押圧力を解除すると、導光シート24Bやベースシート25が撓んで可動接点5の略ドーム状の中央部が押圧され、可動接点5が下方または上方へ弾性反転して、実施の形態1や2の場合と同様に、可動接点5を介した中央固定接点8Aと外側固定接点8Bの電気的な接続または切断が行われ、これに応じて機器の各機能が切換えられる。
【0092】
また、機器の電子回路から発光素子9に電源が供給されると、実施の形態1や2の場合と同様に、複数の発光素子9Aや9Bが発光し、この光が端面から導光シート24B内に入射して、基材21内を反射しながら内方へ進み、複数の発光部22Aや22B、22C、22D等で拡散され反射して、これらの上方の表示シート10の表示部10Bを下方から照光する。
【0093】
そして、この時、例えば図10において、発光素子9Aの発光色が橙色、発光素子9Bの発光色が緑色であった場合にも、発光部22Aと22Bの間には略コの字状の切欠部21Cが、発光部22Cと22Dの間には略L字状の切欠部21Dが各々設けられると共に、この切欠部21Cや21D内には暗色の光吸収部23Eや23Fが形成されているため、この橙色の光と緑色の光が導光シート24B内で混合されることがないように構成されている。
【0094】
また、例えば発光素子9Aは消灯し、発光素子9Bのみが点灯している場合でも、発光素子9Bによって発光部22Bと22Dは発光するが、この光は光吸収部23Eや23Fで吸収され遮断されるため、この発光素子9Bの光によって、消灯している発光部22Aや22Cが薄明るく発光することのないようになっている。
【0095】
つまり、各々の発光部を発光させた発光素子9Aや9Bの光は、これらの発光部の間に設けられた切欠部21Cや21Dの端面や近傍上面を覆う、暗色の光吸収部23Eや23Fによって吸収され、複数の発光部22が混ざった発光色で照光されることや、消灯しているはずの発光部が照光されることのないようになっている。
【0096】
このように本実施の形態によれば、複数の発光部22の間に形成された略帯状の切欠部21Cや21Dに、暗色の光吸収部23Eや23Fを形成することによって、切欠部21Cや21Dに出射した光が、暗色の光吸収部23Eや23Fによって吸収され、他の発光部22への光の混合や漏れを防ぐことができるため、見易く多様な照光が可能な導光シート24B、及びこれを用いた可動接点体28Bを得ることができるものである。
【0097】
なお、以上の説明では、可動接点5上方の導光シート24や24A、24Bの基材21下面に、印刷によって複数の発光部22を形成した構成について説明したが、下面ではなく基材21上面に発光部22を形成した構成としても本発明の実施は可能であり、また、印刷以外にも貼付やレーザ加工、プレス加工、成形加工等、様々な方法によって発光部22の形成は可能である。
【0098】
さらに、以上の説明では、下面に複数の可動接点5が貼付されたベースシート25を、導光シート24や24A、24Bの下面に貼付した構成について説明したが、ベースシート25をなくし、導光シート24や24A、24Bの下面に複数の可動接点5を直接貼付した構成とすれば、全体の構成部品数を減らし、可動接点体28や28A、28Bをより簡易で安価なものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明による導光シート及びこれを用いた可動接点体は、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能なものが得られ、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0100】
5 可動接点
7 配線基板
8 固定接点
8A 中央固定接点
8B 外側固定接点
9、9A、9B 発光素子
10 表示シート
10A 遮光部
10B 表示部
21 基材
21A、21B 窪溝部
21C、21D 切欠部
22、22A、22B、22C、22D 発光部
23A、23B、23C、23D、23E、23F 光吸収部
24、24A、24B 導光シート
25 ベースシート
26 接着剤
27 セパレータ
28、28A、28B 可動接点体
30、34、35 ポンチ
32、32A 接着層
33、33A 剥離シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状の基材と、この基材に形成された凹凸状の複数の発光部と、上記発光部の間に形成された略帯状の窪溝部または切欠部からなり、上記窪溝部または切欠部に暗色の光吸収部を形成した導光シート。
【請求項2】
請求項1記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着した可動接点体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−153361(P2010−153361A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−242014(P2009−242014)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】