説明

導管を閉塞させるための方法及び装置

本発明は、導管を閉塞させるための組成物、又は、導管を開放するための手段を配送するためのシステム、方法及び装置を含む。埋め込み可能な閉塞材料が、予め形成されて配送され、又は、配送されて現場で硬化し得る。この材料は、組織内部成長を補助する再吸収可能な材料であり得る。この成長した組織が、最終的に閉塞材料の替わりとなり、適切な位置に配置された元の材料は、ほとんど又は全く残らない。デリバリーシステムは、閉塞材料を身体導管内に配置することを可能にするために配置される。閉塞された身体導管の再開通のためのデリバリーシステムの使用、方法及び装置も本発明に含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導管を閉塞させるための方法及び装置に関する。特に、本発明は、導管の閉塞をもたらす組成物を配送するための、また、このような閉塞導管を後に再び開放するための方法及び装置に関する。
【0002】
(発明の背景)
医療及び研究の分野において、身体の管又は導管内の物質の通過、流れ、又は移動を、閉塞又は封鎖を生じさせることにより停止させることが望まれ、又は必要とされる多くの臨床的状況がある。後に閉塞が再び開放されることが望ましい場合がしばしばある。不都合なことに、多くの閉塞技術が、しばしば有害であり、又は、有害である可能性があり、患者のニーズ又は要望の変化に適応するように可逆的ではない。
【0003】
身体の管の可逆的(解除可能)な閉塞を必要とする1つの分野は、受精のコントロールである。最近50年間にわたり、世界は最高の人口増加率を経験し、歴史上最大の年間人口増加が記録されている。女性は世界の人口の50%より多くを占め、家族の健康、栄養及び福祉において重要な役割を担っている。女性の健康管理における注意及び改革を必要とする最も重要な分野は避妊の分野であり、この分野において、妊娠出産可能な年齢の女性が、現在、最適でない選択に直面している。
【0004】
過去20年間にわたり、世界のあらゆる地域のカップルが、子供を産むタイミング及び子供の数を調整する手段として、避妊を益々頻繁に選択するようになってきた。しかし、より少数の先進諸国で、まだかなりの数の女性が、生殖をコントロールすることを望んではいるが、現在は避妊方法を使用していない。世界中の多くの政府が、人口過剰をコントロールするために、避妊方法を使用させる政策を用いて介入している。2000年には、安全で有効な避妊の手段を123,000,000人の女性が用いていないと推定された。従って、適切な避妊システムの可能性は、世界人口に広く密接に関係している。
【0005】
今日、利用可能な幾つかの避妊手段がある。しかし、現在利用可能な手段には、関連する特定の制限がある。幾つかの避妊手段は、外科的介入、例えば、女性の避妊のための卵管結紮術、及び、男性の不妊のための精管切除術を含み、これらの手術の両方が侵襲的であり、また、不可逆的であるとみなされている。女性が利用可能な他の手段は、ホルモンの避妊薬であり、これは、多くの女性にとって適切でなく、又は安全でない。さらなる手段は、重大な副作用をもたらすことがある子宮内避妊器具を含む。理想的な避妊システムは、即効性があり、可逆的、非ホルモン、非外科手術的で、配送が容易な、診療所での解決をもたらすようなシステムであり、麻酔、患者の薬剤服用、及び、特別な設備を必要とせず、また、異物を所定位置に長期間残さない。現在の手段のいずれもが、これらの条件を満たしていない。
【0006】
最も広く用いられている永久的な避妊方法は、卵管結紮術又は女性の外科的避妊である。卵管結紮術に関しては、多数の重大な欠点がある。処置が永久的で侵襲的であり、全身麻酔を必要とし、長い回復時間を要し、卵管結紮後症候群をもたらすことがある。卵管結紮後症候群は、外科医が卵管を閉鎖しているときに卵巣に続く血管を偶発的に損傷又は破壊した場合に生じ、異常出血、記憶喪失、混乱、気分変動および性衝動の欠如といった閉経後の症状を引き起こす。また、最近の研究は、ホルモン性及び非ホルモン性の、受胎調節の全ての方法のうち、卵管避妊術が、機能性卵巣嚢胞の発現に最も大きく関与していることを発見した。さらに、卵管結紮術を受ける女性が後悔を示し、又は元に戻すことを希望することが頻繁にある。卵管結紮を元に戻すことは、試みても困難で、費用高であり、成功しないことが多い。
【0007】
これと対極的な方法として、非外科的避妊で最も広く利用された方法は、ホルモン薬剤(例えば、注入ホルモン又は経口避妊薬)の投与である。この避妊の方法は、ホルモンが投与され、又は、経口避妊薬が特定の投薬計画に従って服用される限りにおいてのみ有効である。この避妊方法は、広く用いられてはいるが、全ての女性に適しているわけでも安全でもない。さらに、経口避妊薬の毎日の服用を順守しないことによる高い失敗率が、予定外の妊娠をもたらす。
【0008】
現在利用可能な可逆的な1つの避妊器具は、子宮内避妊器具(IUD)である。世界の約85,000,000〜100,000,000人の女性がこの方法を利用し、可逆性の重要性を実証している。しかし、IUDに関する健康上のリスクの可能性、及び、長期間にわたり異物を所定位置に入れておくことに患者が抵抗を感じることを考えて、この方法を用いる女性が米国にて1,000,000人未満となり、多くの製造業者がこれらの装置の販売を中止した。健康上のリスクは、装置の除去を必要とする予定外の排出を含み、これは、過剰な痛み、又は出血、骨盤内炎症性疾患、永続的な不妊性、子宮外妊娠、流産、及び、死亡による。
【0009】
避妊のための現在利用可能な組成物および方法が、当分野において重要な進歩を示しているが、妊娠を予防するための、安全で効率的な可逆性の非外科手術的装置、組成物、及び方法を提供するために、さらなる改良が望ましいであろう。これらの装置、組成物、及び方法が、麻酔も患者の毎日の投薬の順守も必要としない、即効性の、非ホルモン、非外科的で、配送が容易な、診療所で行われる解決法を提供するならば、有益であろう。また、これらの装置、組成物、及び方法が、避妊処置を行うための特別な設備を必要とせず、また、異物を長期間にわたって所定位置に残しておく必要がないならば、より有益であろう。また、これらの装置、組成物、及び方法が、元に戻すこと(解除)に適しているならば、さらに有益であろう。理想的な避妊システムのこれらの利点の幾つか又は全てが、本発明のこれらの装置、システム、組成物及び方法によりもたらされる。
【0010】
(要約)
本発明は、導管を閉塞させるための組成物を配送するための方法、システム及び装置を含む。特に、本発明は、ヒト又は他の動物の導管を閉塞させるための方法、システム及び装置を含む。本発明の装置は、導管を閉塞させる材料を含む組成物を配送するために用いられる。導管は、天然に生じている導管、例えば、身体内の管又は血管であり得る。或いは、導管は、身体内に導入された導管、例えば、医療装置であり、又は外科的手段により導入された導管であり得る。閉塞材料は永久的な埋め込み材料であることができ、又は、身体により分解され、若しくは再吸収されて、閉塞を維持するための組織内部成長を可能にする材料であり得る。
【0011】
本発明は、また、閉塞を解除する(reversing)ためのデリバリーシステム、方法及び装置を含む。閉塞は、導管を閉塞させている埋め込み材料又は組織内部成長を除去することにより、又は、閉塞を貫通するチャネルを形成することにより、又は、閉塞の周辺に新しいチャネルを形成することにより解除され得る。
【0012】
本発明の一態様は、卵管を閉塞させ、また、閉塞を解除するためのデリバリーシステム、方法及び装置を含む。この態様の一実施形態は、デリバリー装置の除去及び再挿入、又は、実質的な再配置を行わずに閉塞材料を両方の卵管に配送するための、デリバリー装置システムの挿入を含む。このような装置は、処置を受ける各人の解剖学的構造を予め視覚化することにより、その人に合った寸法につくられ得る。埋め込まれる閉塞材料は、永久的な材料であることができ、又は、身体により分解され、若しくは再吸収されて、組織の内部成長に替わり得る。このような閉塞の解除は、閉塞材料を除去することができる装置を含む。別の実施形態において、導管閉塞の解除は、閉塞材料又は内部成長組織を貫通する、又はその周辺を通るチャネルを形成することができる装置を含む。導管閉塞の解除は、さらに、再開放されたチャネルを維持するための装置、例えばステントを配置することを含み得る。再開放された導管を維持するこれらの方法も、デリバリー装置を用いても行われる。
【0013】
(詳細な説明)
本発明は、導管を閉塞させるためのデリバリーシステム、方法及び装置を含み、また、導管内の閉塞を解除するための方法、システム及び装置を含む。本発明は、身体内の導管を、デリバリー装置を用いて閉塞材料を配置することにより閉塞させるためのデリバリーシステム及び方法を含む。本発明の一態様は、導管を永久的に閉塞させることを含む。別の態様において、本発明は、導管を可逆的に閉塞させることを含む。本発明のさらに別の態様は、雌の哺乳類の卵管を閉塞させるための方法、デリバリーシステム及び組成物と、このような閉塞を再開放するための方法及びシステムとを含む。本発明のさらなる態様は、雄の哺乳類の輸精管を閉塞させるための方法、デリバリーシステム及び組成物と、このような閉塞を再開放するための方法及びシステムとを含む。本発明の方法、システム及び組成物は、非外科手術的な、診療所で行われる可逆的な避妊を可能にする実施形態にて用いられ得る。
【0014】
本発明は、導管、特に、ヒト又は他の動物の身体に見られる導管を閉塞させるための方法を含む。このような導管は、身体内に天然に存在し得る。又は、病気、損傷、医療装置の配置、若しくは外科的手段により存在し得る。
【0015】
本文中に用いられるように、用語「導管」(conduit)は、生体システム内のガス、流体又は固体を運ぶ任意の管、管路又は通路(天然でも、又は人工でも)を意味するものとする。
【0016】
本文中に用いられるように、用語「閉塞させる」(occlude)は、導管内を通るガス、流体又は固体の輸送を部分的又は完全に閉塞させることを示す。本文中に用いられるように、用語「閉塞」(occlusion)は、導管内の閉塞を示し、このような閉塞が、導管内を通るガス、流体又は固体の輸送の部分的な制限又は完全な遮断をもたらす。本文中に用いられるように、用語「閉塞材料」(occlusive material)は、導管内に閉塞をもたらすことにより導管を閉塞させることができる組成物を示す。本文中に用いられるように、「閉塞材料」は、導管内に配置又は挿入される初期組成物、及び、導管の適切な位置に配置され、導管を通る流れを遮断する組成物(組成物の物理的、生物学的、又は化学的性質が変更されても、又はされなくても)を意味する。用語の意味は、文中でのその用語の使用から決定されることができる。「閉塞組成物」と「閉塞材料」(occlusive compositions, occlusion compositions, occlusive materials, occlusion materials)は、本文中で互換的に用いられる用語である。
【0017】
本文中に用いられるように、閉塞材料は、本発明のデリバリーシステムを用いて導管の所望の部位に配置されることができる、天然の、若しくは人工の任意の組成物、又は、天然の組成物と人工の組成物の任意の組合せを含む。本発明の閉塞材料は、流体、半固体、ゲル、固体及びこれらを組み合わせた材料を含み得る。閉塞材料は、さらに、導管を閉塞させる形状又は寸法を有する、予め形成された材料を含むことができ、又は、導管を閉塞させる形態若しくは形状又は寸法を成す材料であり得る。閉塞材料は、さらに、導管内の所望の部位にて現場(in situ)で硬化する組成物を含み得る。閉塞組成物は、さらに、現場でポリマー化する材料を含むことができ、ポリマー化は、導管内の目的の部位にて、又は、その部位に配置される前に開始され得る。閉塞組成物は、さらに、上記の材料の任意の2つ以上の組合せを含み得る。本文中に開示されているのは、閉塞組成物として用いるのに適した例示的な組成物及び材料である。
【0018】
本文中に用いられるように、「硬化」(cure)は、閉塞材料の物理的性質、若しくは化学的性質、又は、物理的性質及び化学的性質が、閉塞材料を導管内の所望の部位に配置又は挿入した後に変化することを意味する。
【0019】
本文中に用いられるように、非侵襲的可視化又は画像化は、電離放射線の使用も、直接的視覚化(例えば、子宮鏡検査法による)も必要としない画像化の全ての形態を示す。非侵襲的画像化の例は、超音波又は磁気共鳴画像化の全ての形態を含み、これらは、この定義付けの範囲内に組み込まれる。
【0020】
本文中に用いられるように、用語「デリバリーシステム」(delivery system)は、閉塞材料を配送するために必要な全ての構成要素、又は、閉塞を開放するために必要な全ての構成要素を含み、また、イントロデューサ、デリバリー装置又はカテーテル、これらの組合せ、閉塞手段又は閉塞を開放するための手段、及び、デリバリーシステムを完全に機能させるために必要な他の任意の構成要素を含み得る。
【0021】
概して、本発明の方法は、導管を閉塞させることができる組成物を配送するデリバリーシステムの管理を含む。デリバリーシステムは、閉塞組成物を所望の部位に配送することができる装置を含む。本文中に、哺乳類の生殖器官の導管を閉塞させるための例示的な方法、デリバリーシステム、及び組成物を開示する。このような方法及び組成物は、ヒト又は他の動物の他の生理学的システム及び生物学的部位に用いられることができ、このような生物学的部位のためのデリバリーシステムが本発明により考えられる。
【0022】
本発明は、また、閉塞された導管を開放(概して、再開放)するための方法を含む。この方法は、閉塞を除去する(閉塞組成物を除去することを含む)ための手段、又は、1以上の閉塞領域を貫通し、又はその周辺を通る開口若しくはチャネルを形成するための手段を含む。除去する手段は、限定はしないが、閉塞組成物の物理的な取り出し、物理的、化学的、又は生物学的手段を用いた、閉塞組成物の破壊、1以上の閉塞領域の開通、及び、以前に閉塞された領域の機能を回復するための新しい導管(例えば、ステント又はバイパス材料)の設置を含む。本文中に、哺乳類の生殖器官の導管の閉塞を除去して生殖機能を回復するための例示的な方法、デリバリーシステム、及び組成物を開示する。このような回復方法及び組成物は、ヒト又は他の動物の他の生理学的システム及び生物学的部位に用いられることができ、このような生物学的部位のためのデリバリーシステムが本発明により考えられる。
【0023】
本発明の一態様は、哺乳類の雌のための避妊の方法を含み、この方法は、再吸収可能な組成物を、ターゲット部位に(例えば、子宮の角状部から各卵管内に)配送するデリバリーシステムの超音波可視化を用い、組成物は各卵管内に閉塞を形成することができる。
【0024】
さらなる態様は、閉塞材料を埋め込むためにデリバリーシステムを用いることを含む。一態様は、装置を可視化及び位置決めするために、また、超音波可視性の組成物が用いられる場合に組成物の配置をモニタリング及び確認するために超音波を用いる方法を含む。この方法は、装置の挿入を含み、これは、イントロデューサのシャフトを、頸部を通して、非外傷性先端が子宮底に接触するまで(接触は、超音波などの非侵襲的可視化により、又は、手術医の感覚により決定される)挿入することを含む。先端が適切に配置されたならば、随意に、手術医は、デリバリー装置を安定させることを補助する部材(本文中に、「デリバリー装置安定器」と称される)を係合させ得る。例えば、この部材は、深さ止め(depth stop)であり、すなわち、先端が適切な位置にあり、イントロデューサシャフトがこれ以上深く挿入されるべきでないことを示す部材であり得る。また、この部材は、限定はしないが、他のデリバリー装置安定器、例えば、図4及び図5に示したような安定器、又は、安定化を補助する2つ以上の部材を含む。イントロデューサが適切な位置に配置されたならば、2つのダブルルーメンバルーンカテーテルの各々が、イントロデューサチャネルを通して挿入される。この挿入は、各カテーテルがイントロデューサのシャフト内のチャネルから出て、カテーテル先端が子宮角内に配置される(超音波により確認される)まで続けられる。
【0025】
本発明のさらなる態様は、各カテーテルに以下のステップが行われる方法を含む。カテーテルの近位端、すなわち、カテーテルの一端(ハンドルの付近にあり、且つカテーテルのデリバリー端から遠い方の端部)にて、バルーン膨張媒体を収容しているカートリッジをバルーンフィッティングに接続し、ストップコックを開き、膨張媒体を、カテーテルのデリバリー端に配置されたバルーンを膨張させるために配送する。次いで、ストップコックを閉じて、カートリッジを、フィッティングとの接続から外す。次いで、カテーテルの近位端にて、閉塞組成物を収容しているカートリッジをデリバリーカテーテルのフィッティングに接続し、カテーテルを通して材料を配送し、そして、カテーテルのデリバリー端(デリバリー部位又はその付近に配置されている)から出す。閉塞材料は、ターゲット部位に直接配送されることができ、又は、デリバリー部位からターゲット部位の位置に移動し得る。そして、閉塞材料は硬化して閉塞を形成する。閉塞材料が少なくとも部分的に硬化して閉塞を形成したならば、バルーンは収縮される。各カテーテルが、イントロデューサシャフト内に収容されるまで引っ込められ、又は、イントロデューサから完全に除去される。必要であれば、デリバリー装置安定器の係合を外す。次いで、デリバリーシステムを患者から引き出し、閉塞だけが適切な位置に残される。閉塞材料は、2つの卵管に、順次、又は連続的に配送され得る。装置は、閉塞組成物を2つの離れた部位に配送するように設計されており、この配送は、処置が完了するまで装置(イントロデューサを含む)の再配置が最小限であり、又は行われず、且つ装置が取り出されずに行われる。デリバリーカテーテルの一方又は両方が、イントロデューサ内に、装置全体の再配置及び除去を行わずに引き込まれ得る。
【0026】
本発明のさらに別の態様は、閉塞組成物を卵管に埋め込むためのデリバリーシステムを含み、このシステムは、2つのチャネルを有するイントロデューサを含むデリバリー装置と、1以上のデリバリー装置安定器(随意に)と、ハンドルとして機能し得るハウジング手段(必要であれば)と、バルーン膨張媒体及び閉塞組成物の1以上の容器を取り付けるための手段と、閉塞組成物を配送するための2つのカテーテルとを含む。カテーテルは、端部構造物(バルーン又は他の類似の機能を有する部材)を含むことができ、この端部構造物は、カテーテルを適切な位置に保持することができ、閉塞材料がターゲット部位から漏出することを防止し、又は、これらの両方の機能を果たす。閉塞組成物は、配送前に混合されることができ、次いで、容器から、カテーテルを通して、1以上のターゲット部位に配送され得る。
【0027】
本発明の一態様は、デリバリーシステムを含み、このデリバリーシステムは、イントロデューサと、各々が異なる機能又は設計を有し得る1以上のカテーテルと、1以上のカートリッジ部品とを含み、各カートリッジは、異なる設計を有し、且つ、異なる材料を収容し得る。
【0028】
ここで図1を参照すると、イントロデューサの例示的な実施形態が示されており、このイントロデューサは、以下の従部品を含む。従部品は、子宮頸部への非外傷性挿入のための形状を有するイントロデューサ先端(1);イントロデューサシャフト(3)(概して、本質的に円筒状であり得る構造物であり、イントロデューサシャフトの2つのカテーテルチャネル(2)を含む。カテーテルチャネル(2)は、シャフトの内部長に沿って延在し、且つ、カテーテルをシャフト内に挿入するための開口、及び、カテーテルをシャフトから出すための開口を有する);デリバリー装置安定器(4)(この例においては、シャフトに沿ったマーキングに基づいて測定され得る、入口点に対する先端の位置を表示し、さらに、イントロデューサを適切な位置に保持するように機能し得る);操作者が把持するための、人間工学に基づく設計を有するハンドル(5);及び、1対のカテーテル挿入穴(6)(このカテーテル挿入穴(6)を通して、デリバリーカテーテルをイントロデューサに挿入し、且つイントロデューサシャフトのカテーテルチャネル(2)にガイドすることができる)である。この例に示されているデリバリー装置安定器(4)は、深さ止め(depth stop)である。
【0029】
図1Bは、閉塞材料を配送するためのデリバリーカテーテルを示す。このカテーテルは、以下の従部品を含む。従部品は、閉塞材料がターゲット部位に配送されるときに通される、カテーテルのデリバリー端(7);カテーテルを適切な位置に保持し、且つ、閉塞材料がターゲットから漏出することを防止し得るバルーン(8);カテーテルのシャフト(9)(この図においては、カテーテルのデリバリー端が、イントロデューサシャフトから子宮角状部へ移動することを補助するように設計された、予め形成されたカーブを特徴とし、且つ、2つのルーメンを含む。ルーメンの一方はバルーンの膨張のためのルーメンであり、他方は閉塞材料の配送のためのルーメンである);カテーテルルーメンの分岐部(10);配送されるべき流動可能な材料(例えば閉塞材料)を収容しているカートリッジに接続されるフィッティング(11);及び、ストップコック付フィッティング(12)(配送されるべき流動可能な材料(例えば、バルーンの膨張及び収縮のための膨張媒体)を収容しているカートリッジに接続される)である。本発明の一態様は、ダブルルーメンデリバリーカテーテルであるデリバリーカテーテルを含む。デリバリーカテーテルが、カテーテルの分野で知られている多数の特徴及び設計を含み得ること、及び、デリバリーシステムの機能として有用であろうことを理解されたい。本発明の一実施形態において、1以上のカテーテルが、中空のイントロデューサシャフト内に配置される。本発明のカテーテルは、シングルルーメンカテーテル、若しくはデュアルルーメンカテーテル、又は、本発明にて機能するであろう他のカテーテルであり得る。本発明の一態様は、設置後のバルーン膨張媒体の漏出を防止するために用いられるストップコックを含む。他の装置、例えば、弁又はダイヤフラム(セルフシールダイヤフラムを含む)も、同じ機能をもたらすことができ、本発明のバルーンの膨張を達成及び維持することに有用であり得ることが理解されよう。
【0030】
図1Cは、流動可能な材料(16)を収容し得るカートリッジ(14)を示し、カートリッジ部品は、以下の特徴物を含む。すなわち、デリバリーカテーテルのフィッティング(11)又はストップコック付きフィッティング(12)に、必要に応じて係合するカートリッジ先端(15);カートリッジバレル(17);カートリッジバレル(17)に、流動可能な材料の逆流を防止するためのシールを形成するように嵌合するプランジャ(18)(このプランジャが、操作者が流動可能な材料を配送することを可能にする);及び、流動可能な材料(16)(この流動可能な材料は、閉塞材料又は膨張媒体を含み得る)である。
【0031】
ここで、図2A〜図2Cを参照する。これらの図において、図1に示した例示的なデリバリーシステムを、哺乳類の両方の卵管に閉塞をもたらすために配備及び使用するための方法の例示的な一実施形態が概略的に示されている。全ての配備において全てのステップが実行される必要は無いことを理解されたい。また、図2に示された方法が行われる対象物の性能、有効性、又は快適さを増大するための追加のステップが、当業者により必要に応じて決定され、追加され得ることを理解されたい。
【0032】
図2Aにおいて、操作者は、イントロデューサハンドル(5)を掴み、イントロデューサシャフト(3)を、頸部(子宮頸部)(20)を通して、非外傷性先端(1)が子宮底(19)に接触するまで挿入する。この接触は、触覚、非侵襲的可視化(例えば超音波)により、又は、触覚と非侵襲的可視化の組合せにより判断される。非外傷性先端(1)が適切に配置されたならば、イントロデューサシャフトのカテーテルチャネル(2)を、チャネルの開口が子宮角(24)に対して向けられるように配置する。非外傷性先端(1)を子宮底(19)に接触させた後、デリバリー装置安定器(4)を適切な位置に移動させる。一実施形態において、デリバリー装置安定器(4)は、操作者がイントロデューサシャフトの固定位置を、処置中ずっと維持し(例えば子宮の穿孔を防止するために)、また、シャフトカテーテルチャネル(2)の位置を維持することを保証するように機能する部品又は構造物を含み得る。別の実施形態において、デリバリー装置安定器(4)は、デリバリー装置に深さ止め機構をもたらすための部品又は構造物を含み得る。さらに別の実施形態において、デリバリー装置安定器は、デリバリー装置に深さ止め機構及び安定化をもたらすための部品又は構造物を含む。
【0033】
図2Bは、現場で硬化する流動可能な閉塞材料を挿入するためのデリバリーシステムが使用されている様子を示す。イントロデューサが適切な位置にあり、操作者は、2つのダブルルーメンカテーテルの各々を、カテーテル挿入穴(6)を通して、イントロデューサシャフトのカテーテルチャネル内を、各カテーテルがイントロデューサシャフトのカテーテルチャネル(2)から出るまで移動させ、カテーテルのデリバリー端(7)を子宮角(24)内に配置する。この配置は、操作者の触感、非侵襲的画像化(例えば、超音波)、又は、感触と画像化との組合せにより判断されて行われる。ダブルルーメンカテーテルの例示的な一実施形態が図1Bに記載されている。カテーテルのデリバリー端(7)が子宮角(24)内に配置されたならば、カテーテルの位置は、ロック機構により維持され得る。ロック機構は、ハンドルに、カテーテル挿入穴(6)にて、若しくはその付近にて、又はハンドル内の別の位置にて取り付けられ得る。或いは、カテーテルの位置は、ハンドルから独立している機構により維持され得る。この機構も、カテーテルが移動しないように、且つ、デリバリー端がターゲット位置に維持されるように、カテーテルを把持し、固定し、保持し、又は他の方法で安定させる。本発明の別の態様において、以下に記載するバルーンの膨張は、カテーテルの位置を維持するために十分であり、追加のロック機構を必要としないであろう。次いで、バルーン膨張媒体(22)(予め調製され、又は、混合が必要であれば混合されている)を収容しているカートリッジ(14)を、ストップコックを有するフィッティング(12)に嵌め込み、ストップコックを開き、膨張媒体(22)を、バルーン(8)の膨張を行うために配送する。膨張媒体は、バルーン(8)の膨張に適した任意の流動可能な又は液体の材料を含み得る。これらの材料は、バルーン(8)の材料と化学的に適合しており、且つ、膨張媒体が子宮腔又は卵管に入った場合にも生物学的に適合可能であり得る。例示的な膨張媒体は、限定はしないが、空気及び無菌等張食塩水液を含む。バルーン(8)の膨張後、ストップコックを閉鎖し、カートリッジをフィッティング(12)から外す。この手順は、対側部位のバルーンを膨張させるために繰り返される。バルーンは、2つのカートリッジを用いて同時に膨張されてもよい。次いで、流動可能な閉塞材料(23)を収容しているカートリッジ(14)を、デリバリーカテーテルのフィッティング(11)に連結し、プランジャ(18)をカートリッジのバレル(17)に押し込み、これにより、流動可能な閉塞材料(23)をカテーテル内に配送し、カテーテルを通してカテーテルのデリバリー端(7)からターゲット位置(例えば、閉塞材料が現場で硬化する場所)に向って放出させる。図2Bに示されているように、閉塞材料がターゲット領域に分与されており、現場での硬化が既に開始し、閉塞(25)を形成している。
【0034】
図2Cは、処置の完了時の装置の状態を示す。流動可能な閉塞組成物が、硬化の開始から、実質的に硬化して閉塞(25)を形成するまでの適切な硬化段階に達したならば、操作者は、膨張媒体カートリッジを用いて各バルーンを収縮させ、膨張媒体をカートリッジ内に引き戻す。各カテーテルは、イントロデューサシャフト(3)内に収容されるまで引き戻され、又は、図2Cに示されているように、イントロデューサから完全に取り出される。必要であれば、デリバリー装置安定器(4)の係合が外される。次いで、デリバリー装置が患者から引き出され、閉塞が適切な位置に残される。
【0035】
図2A〜図2Cに示した例示的な方法は、両方のバルーンを膨張させ、両方のカテーテルを通して閉塞材料を配送し、両方のバルーンを収縮させ、次いでカテーテルを引き出すという一連の手順をたどるが、全てのアクション(手順)を1つのデリバリーカテーテルにより最初に完了し、次いで第2のデリバリーカテーテルに関する全てのアクションを完了することも、本発明において同等に考えられ、これは操作者の選択に任せられる。さらに、この例示的な方法が、子宮角(24)内に配置された2つのデリバリーカテーテルの各々から閉塞材料(23)を連続的に分与すること(図2Bに記載されているように)、或いは、両方のデリバリーカテーテルを通して閉塞材料(23)を同時に分与することを含み得ることが理解されよう。
【0036】
デリバリーシステムは、デリバリーシステムのさらなる例示的な実施形態を示した図3A〜図3Cに記載されているような、使い勝手の良い特徴物を含み得る。図3Aは、デリバリーカテーテルが伸展された状態の、デリバリー装置の外面図を示す。デリバリー装置は以下の部品を含む。すなわち、イントロデューサシャフトの非外傷性先端(1);バルーン(8)(図面には膨張されている状態が記載されている);デリバリーカテーテルのデリバリー端(7);2つのイントロデューサシャフトカテーテルチャネル(2)を含むイントロデューサシャフト(3)(カテーテルチャネル(2)は、シャフトの内部長に沿って延在し、且つ、カテーテルをシャフト内に挿入するための開口、及び、カテーテルをシャフトから出すための開口を有する);デリバリー装置安定器(4)(処置中ずっと正しい配置を補助する);人間工学に基づいて設計されたハンドル(5);デリバリーカテーテルを適切な位置に移動させるために操作者により用いられるスライドグリップ(26)(グリップは、カテーテル先端を伸展させ、また引き込むための上下移動と、カテーテル先端を回転させるための左右移動との両方を有し、所望の配置が達成されたならば、グリップの位置は適切な位置にロックされて、カテーテルのさらなる移動を防止することができる);デュアルルーメンデリバリーカテーテルのシャフト(27);流動可能な閉塞組成物(23)を収容している閉塞材料アンプル(28);及び、デリバリープランジャ(29)である。
【0037】
図3Bは、デリバリー装置が配送のためのターゲット部位付近にあるときの拡大図を示す。番号が付されている部品は、図3Aに示した部品と同じである。
【0038】
図3Cは、図3Aに記載したデリバリー装置の内部の様相を示し、デリバリー装置は、以下のものを含む。すなわち、イントロデューサシャフト(3)(イントロデューサシャフトの内部に、2つのデュアルルーメンデリバリーカテーテル(27)が配置されている);遠位側の分岐ハウジング(30)(各デュアルルーメンカテーテルが、遠位側の分岐ハウジング(30)により、2つのスライドグリップ(26)の一方に向けられ、操作者が各カテーテルを個々に操作することを可能にしている);スライドグリップ(26)からデリバリープランジャ(29)にほぼ向って延在する各カテーテルシャフト(2つのカテーテルシャフトは、各々、閉塞材料分岐ハウジング(31)に取り付けられ、ハウジング(31)は、流動可能な閉塞材料(23)を2つのデリバリーカテーテルの各々に向けさせるチャネルを有する);及び、デリバリーカテーテル内に材料を入れることを開始するためにプランジャ(29)が押し込まれたときに閉塞材料アンプル(28)に穿孔することができる部品(32)である。図3A〜図3Cは、バルーンの膨張及び収縮の機構を示していないが、デリバリーシステムがこのようなシステムを含み得ることが理解されよう。このようなバルーン膨張機構の一実施形態を本発明に記載するが、この機構の他の実施形態も本発明に用いられ得る。デリバリーシステムのこの実施形態を用いる方法は、図1A〜図1Cに記載された、又は、本文中に主張されるデリバリーシステムを用いる方法と同様であり得る。例えば、このシステムは、デリバリーカテーテルがイントロデューサ内に収容された状態でデリバリー装置を経頸管的に挿入することを含み、各デリバリーカテーテルは適切な位置に移動され、バルーンが膨張され、材料が配送され、次いでシステムが引き抜かれる。
【0039】
図4に、デリバリー装置安定器(4)のさらなる例示的な実施形態が示されており、これらのデリバリー装置安定器(4)は、図1に示した安定器と類似の機能、又は追加の機能をもたらし、この機能は、デリバリーシステムを頸部に固定すること、又は、本発明のデリバリーシステムの使用中にデリバリー装置を適切な位置に保持することを可能にする。これらの安定器は、本文中に記載されるデリバリー装置の部品として用いられることができ、又は、シャフトを有する任意の経頸管的装置又は器具(例えば、子宮鏡及び子宮カニューレを含む)を所定位置に保持するために有用であり得る。
【0040】
図4A〜図4Cは、イントロデューサシャフト上でスライド可能なデリバリー装置安定器の一実施形態を用いる方法を示す。
【0041】
図4Aは、子宮頸管に嵌り込み、そして適切な位置で固定されるように膨張するデリバリー装置安定器(4)の一例を示す。非外傷性先端(1)が子宮底(19)にて適切な位置に配置されたならば、デリバリー装置安定器を用いることができる。図示されているように、子宮頸管(33)は、イントロデューサシャフト(3)を挿入したときのシャフトの移動を可能にする、イントロデューサシャフト(3)よりも大きい内径を有する。頸部(20)は、デリバリー装置安定器(4)が、潰れた又は収縮した状態で子宮頸管内に入ることを可能にするための十分に大きい開口を有する。図4Bに示されているように、デリバリー装置安定器(4)は、イントロデューサシャフトの非外傷性先端(1)が子宮底(19)の頂部に配置されて、イントロデューサシャフト(3)が適切な位置に保持されているときに、子宮頸管内に経頸管的に移動される。デリバリー装置安定器(4)の、潰れた状態の膨張可能な部分が子宮頸管内に配置され、より幅広のベース部(頸部に入ることを防止するための十分な寸法を有する)が、子宮外口に接して配置される。図4Cは、デリバリー装置安定器(4)が子宮管内にあり、デリバリー装置安定器(4)の膨張可能な部分が膨張又は拡張されている様子を示す。デリバリー装置安定器(4)の膨張部は、膨張時にデリバリー装置安定器を適切な位置に保持し、イントロデューサシャフト(3)の余剰の動きを防止する。図4B及び図4Cには、デリバリー装置安定器が子宮頸管内に留まっている様子が示されているが、この固定機構が、内子宮口まで、又は内子宮口を通過して延在し、固定機構の長さの任意の部分が固定を増強するために膨張するように設計されることも考えられる。
【0042】
図4Dは、膨張可能な部分を有するデリバリー装置安定器(4)の例示的な一実施形態を詳細に示す。この例において、デリバリー装置安定器機構は、イントロデューサシャフト上をスライドし得る。止め部が中空のコア(36)を有し、中空コア(36)は、止め部がイントロデューサシャフトに取り付けられることを可能にする、適切な位置決めのためにスライドするように設計されている膨張可能な部分(34)が膨張可能でない部分(37)に取り付けられており、膨張可能でない部分(37)は、頸部内に入り込むことを防止するための十分な寸法を有するベース部(35)に取り付けられている。膨張可能な部分(34)は、適切な位置に保持されるように、1以上の気体又は流体、固体又は半固体材料から成る膨張媒体により膨張されるバルーンであり得る。膨張可能部(34)は、また、機械的装置、例えば、膨張を行うように機械的に作動される螺旋状の又は真っ直ぐなワイヤ部材であってもよい。膨張可能部(34)は、挿入後に膨張されることができ、又は、挿入前に部分的に又は十分に膨張された状態で挿入され、頸部への挿入後に、必要に応じてさらに膨張され得る。当業者に知られている、膨張可能部を設けるための任意の手段が、本発明により実際に用いられる。
【0043】
図4Eは、予め形成された内側部分を有する、デリバリー装置安定器の例示的な一実施形態を示す。デリバリー装置安定器は、イントロデューサシャフトに取り付けられるための、及び、イントロデューサに対してスライド可能に移動するための、中空のコア(36)を有する。安定器は、頸部に嵌り込む部分(38)、及び、頸部の外側に留まるベース部(35)を含む。頸部内部に嵌り込む部分(38)は、子宮頸管内に、又は子宮頸管を通って固定され、又は詰め込まれて運動を制限するような形状に造られる。この形状は、丸味を帯びた形状、楔状、又は、子宮頸管に止まり嵌めすることを可能にする他の任意の幾何学的形状であり得る。頸部内部に嵌り込む部分(38)は、外側部分(35)とは異なる材料からつくられることができ、又は、材料を組み合わせてつくられ得る。剛性の材料が用いられ得るが、可撓性の、圧縮可能な材料、若しくは、適切な位置で膨張する(例えば膨潤により)材料、或いはこれらの幾つかを組み合せた材料が好ましいであろう。デリバリー装置安定器機構は、デリバリー装置安定器機構が頸部に押し通されているときに潰れ、又は圧縮され、次いで、ターゲット位置に配置されたときに再び膨張するように設計され、また、材料が選択され得る。
【0044】
図4Fは、シャフト上に嵌めるための中空のコア(36)を有する、デリバリー装置安定器機構の例示的な一実施形態を示す。このデリバリー装置安定器は、子宮頸管内に又は子宮頸管を通って嵌り込む部分(38)、及び、頸部の外形寸法に適応するカップ形状を有するベース部(35)を有する。図4Gは、図4Fに示した例示的なデリバリー装置安定器機構の配置を示しており、カップ形状を有するベース部が頸部の外側湾曲に適応し、内側部分(38)が頸部内に嵌っている様子を示す。内側部分(38)の形状は丸味を帯びた形状、楔状、又は、子宮頸管内に止まり嵌めすることを可能にする他の任意の幾何学的形状であり得る。頸部内部に嵌り込む部分(38)は、外側部分(35)とは異なる材料からつくられることができ、又は、材料を組み合わせてつくられ得る。剛性の材料が用いられ得るが、可撓性の、圧縮可能な材料、若しくは、適切な位置で膨張する(例えば膨潤により)材料、或いはこれらの特性の幾つかを組み合せた材料が用いられ得る。適切な固定、安定性又はこれらの両方を保証するために、内側部分(38)又はベース部(35)のいずれかが、必要に応じて、単独で、又は組み合わせて用いられ得る。図4に記載した例示的な実施形態が、図1に示されているような深さ止めの機能をデリバリー装置安定器(4)の設計に組み込むことも考えられ得る。
【0045】
図5A及び図5Bは、頸部クランプと称されるデリバリー装置安定器の例示的な実施形態の配置を示す。本発明の一態様において、頸部クランプは、追加のデリバリー装置安定器を組み込まないデリバリーシステムにて用いられ得る。本発明のさらなる態様において、頸部クランプは、1以上の追加のデリバリー装置安定器(深さ止めを含み得る)も用いるデリバリーシステムにて用いられ得る。図5A及び図5Bは、頸部クランプ(39)が、ハンドル(5)に取り付けられたイントロデューサシャフト(3)に装着されている様子を示す。イントロデューサシャフト(3)は、シャフトの先端(1)が子宮底(19)に配置されるように配置されている。図5A及び図5Bに示されているように、頸部クランプは、非外傷性先端(1)の挿入位置をマークし、且つ維持する深さ止め機能を組み込んだデリバリー装置安定器(4)と組み合せて用いられる。頸部クランプ(39)は、図5Aに示されているように、閉じた、又は折り畳まれた状態で腟(40)に挿入される。頸部クランプ(39)は、前縁が頸部(20)に近づくまでイントロデューサシャフト(3)上を前進され、頸部(20)に近づいた位置にて、図5Bに示されているように展開されて頸部(20)に取り付けられる。頸部(20)に取り付けられた頸部クランプ(39)は、イントロデューサシャフトを安定させるように機能する。
【0046】
図5Cは、頸部クランプの例示的な実施形態を示す。この実施形態において、把持アーム(42)が、力により作動されるまで折り畳まれた状態に維持される。頸部クランプは、クランプがシャフト上を移動することを可能にする中空のコア(36)を有し、頸部に取り付けられるように作動される把持アーム(42)を含む。この実施形態において、3本の把持アームが示されている。他の実施形態は、2本、4本、5本、又はそれより多数の把持アームを有する装置を含む。把持アームは、アーム(41)の先端が、頸部クランプが取り付けられているイントロデューサシャフトに近接するように配置される。図5Cに示されているように、タブ(43)が設けられており、タブ(43)は、装置の操作者により押し握られたときにアーム(42)及び先端(41)を外側に移動させ、頸部クランプを開かせる。クランプ(39)を頸部(20)上に配置し、タブ(43)を解放すると、これによりクランプが頸部に固定され、又は取り付けられる。クランプは、タブ(43)を押してアーム(42)を外側に移動させ、先端(41)を頸部との係合から外すことにより解除される。装置のさらなる実施形態は、クランプ(39)をシャフト(3)に対して移動させるための機構、及び、アーム(42)の移動を制御するための機構を含むことができ、これらの機構は、デリバリー装置のハンドル(5)に組み込まれ得る。
【0047】
図5Dは、頸部クランプのさらなる実施形態を示す。この実施形態において、把持アーム(42)は、力により作動されるまで開放状態に維持され得る。この実施形態においては4本の把持アームが示されている。他の実施形態は、2本、3本、5本、又はそれより多数の把持アームを有する装置を含む。中空のコア(36)を有する圧縮部材(44)がクランプ(45)のシャフトに対してスライドし、圧縮力をアーム(42)に加え、アーム(42)を、閉じた、又は折り畳まれた位置に変形又は移動させる。この実施形態を頸部(20)に取付けるために、圧縮部材(44)が前進され、これにより、アーム(42)を、図5Aに示されているような折り畳まれた状態に圧縮させる。クランプ(39)が頸部(20)付近の適切な位置に配置されたとき、圧縮部材(44)を後退させ、アームを開かせる。次いて圧縮部材(44)を前進させると、クランプ(39)のアームが、変形又は移動されることにより閉じられ、これにより、先端(41)を頸部(19)と接触させる。圧縮部材(44)は、機械的手段、例えば、ねじ、ラチェット、スライダ又は他の機構により前進又は後退され得る。装置のさらなる実施形態は、クランプ(39)がシャフト(3)に対して移動するための機構、及び、デリバリーシステムのハンドル(5)に組み込まれた、圧縮部材(44)の移動を制御するための機構を含み得る。
【0048】
頸部クランプ(39)のアームの先端(41)は、さらに1以上の把持歯を含むことができ、或いは、頸部(20)に、よりしっかりと、又はより快適に取り付けられるための他の形状又は機構を含み得る。先端(41)とアーム(43)は、必要に応じて、同じ材料又は異なる材料からつくられ得る。例えば、先端は、圧縮可能で且つ頸部に快適な材料を組み込むことができ、また、より快適さが高められ、又は改良されたグリッピングをもたらすために、頸部と接触したときに形状を変えるように設計され得る。本発明の一態様は、先端(41)が頸部(20)と、以下のように相互作用することを想定する。すなわち、クリップのグリップ強度が十分に低く、従って、麻酔が最小限でも、又は用いられなくても患者が痛みをほとんど又は全く感じず、しかしなお、イントロデューサの位置を保持し、固定し、且つ/又は安定させる十分なグリップ強度を有する。頸部クランプ(39)は円筒状のチャネルを有し、このチャネルは、クランプがイントロデューサシャフト(3)上に取り付けられ、又はイントロデューサシャフト(3)上をスライドすることを可能にする。
【0049】
図6A〜図6Eは、導管の閉塞を開放又は再開放する装置、又は、閉塞を解除する装置及び方法、特に、閉塞された1以上の卵管を開放又は再開放するための装置及び方法の例示的な実施形態を示す。本文中に論じる例は、1以上の閉塞された卵管を開放することに向けられているが、この記載が本発明の方法を限定するものと全くみなされるべきでない。2つ以上のチャネルを有するイントロデューサシャフト(3)が、卵管の閉塞(25)領域に2つ以上のカテーテル(9)を配送するために用いられ得る。閉塞を開放し、又は閉塞を解除するための材料又は装置が、カテーテル(9)を通して配送され、又はカテーテル(9)に取り付けられ得る。閉塞された卵管は、同時に、又は順次処置され得る。デリバリー装置は、装置の除去及び再挿入、又は実質的な再配置を必要とせずに、2つ以上の導管を開放又は再開放することを可能にする。閉塞導管の再開放を行うために、1以上の解除方法が組み合わせて用いられ得る。本文中に記載される方法及び装置は、卵管の閉塞の再開放のために用いるように記載されるが、閉塞された任意の身体導管の閉塞を再開放するためにも有用であり得ることが理解されるべきである。本文中に用いられるように、用語「開放」及び「再開放」は、両方共、導管内に開放をもたらし、又は閉塞を除去することにより、機能していない導管を再び機能するようにすることを示す。
【0050】
図6Aは、酵素、溶剤、又は他の閉塞分解溶液(46)を、閉塞(25)部位に導入し、これにより、溶液(46)が分解して閉塞(25)を除去する様子を示す。イントロデューサシャフト(3)が適切な位置に配置され、デリバリーカテーテル(9)が、イントロデューサシャフトのカテーテルチャネル(2)を通されてシャフト内を前進している。カテーテルチャネル(2)は、シャフトの内部長に沿って延在し、且つ、カテーテルをシャフトに挿入するための開口、及び、カテーテルがシャフトから出てカテーテルが閉塞(25)に達するための開口を有する。端部構造物(8)(バルーンを含み得る)が、閉塞(25)領域への分解溶液の配送を制限するために係合(例えば膨張)されることができ、また、子宮への逆流を防止し得る。
【0051】
図6Bは、閉塞を解除する方法を示し、この方法は、ガイドワイヤ又は小型のカテーテル(47)を閉塞(25)に通し、それにより卵管の閉塞を除去することによる。イントロデューサシャフト(3)が適切な位置に配置され、1以上のデリバリーカテーテル(9)が、イントロデューサシャフトのカテーテルチャネル(2)を通されてシャフトを通って配置されている。カテーテルチャネル(2)は、シャフトの内部長に沿って延在し、且つ、カテーテルをシャフトに挿入するための開口と、カテーテルがシャフトから出て、カテーテルが卵管の一方又は両方の閉塞(25)に達するための開口とを有する。ガイドワイヤ(48)又は小型カテーテル(47)が、デリバリーカテーテル(9)を通して挿入され、閉塞(25)を横断して前に進められる。閉塞は、除去又はカニューレ挿入され、それにより、卵管を再開放する。小型カテーテルに用いるための材料は、閉塞材料又は組織を横断又は通過する移動を可能にするように、十分に堅い。
【0052】
図6Cに示されているように、バルーン(48)が取り付けられた1以上のカテーテル(9)が、イントロデューサシャフトのカテーテルチャネル(2)を通されてシャフト(3)を通って配置されている。カテーテルチャネル(2)は、シャフトの内部長に沿って延在し、且つ、カテーテルをシャフトに挿入するための開口と、バルーン(48)が閉塞(25)領域内に配置されるようにカテーテルをシャフトから出して前進させるための開口とを有する。バルーンの膨張が閉塞の除去をもたらし得る。バルーンが取り付けられたカテーテルを、イントロデューサシャフト(3)内に直接通過させて閉塞(25)に到達させることができ、或いは、イントロデューサシャフト(3)内を通る、より大きいカテーテール(図示せず)を閉塞(25)領域まで通過させてもよい。また、バルーンは、閉塞除去後の再開放されたチャネルを維持するステント、又は他の構造物の配送を行うために用いられ得る。
【0053】
図6Dは、切断又は創傷清拭する機構を用いて卵管の閉塞を除去する方法を示す。切断機構(49)は、例えば、アテローム切除術(直接的な冠動脈アテローム切除術)、ロトブレーション(経皮経管的回転性アテローム切除術)、又は切断バルーンのための装置を含むことができ、又は、この装置と類似であり得る。1以上のデリバリーカテーテル(9)が、シャフトカテーテルチャネル(2)を通されてイントロデューサシャフト(3)を通過している。カテーテルチャネル(2)は、シャフトの内部長に沿って延在し、且つ、カテーテルをシャフトに挿入するための開口と、カテーテルをシャフトから出して閉塞領域(25)付近に前進させるための開口とを有する。切断装置(49)が、デリバリーカテーテル(9)を通して閉塞領域(25)に前進される。切断装置は、閉塞(25)を除去し、それにより卵管を再開放するために用いられる。
【0054】
図6Eは、エネルギー生成装置(50)を用いることにより閉塞を除去する方法を示す。超音波、高周波数エネルギー、マイクロ波、レーザ、放射線、熱又は他のエネルギー源が用いられ得る。イントロデューサシャフト(3)が配置され、1以上のデリバリーカテーテル(9)が、シャフトカテーテルチャネル(2)を通してイントロデューサシャフト(3)に挿入される。カテーテルチャネル(2)は、シャフトの内部長に沿って延在し、且つ、カテーテルをシャフトに挿入するための開口と、カテーテルをシャフトから出し、それによりカテーテルが閉塞領域(25)に送られる開口とを有する。エネルギー生成装置(50)は、カテーテル又はワイヤに取り付けられ、導入カテーテル(9)内を通されて、閉塞領域(25)内に入る。閉塞領域は、エネルギー源からのエネルギーを受け、このエネルギーが、閉塞材料を除去して閉塞を取り除く。
【0055】
図6Fは、図6A,6B,6C,6D及び6Eに示した方法の1以上が用いられた子宮を示す。処置後、閉塞は再開放又は除去されており、開放された卵管(51)が残っている。
【0056】
本発明のデリバリーシステムは、以下の手段を含む。すなわち、デリバリー装置を身体内に挿入するための手段、閉塞材料をもたらすための手段、(例えば、リザーバ及びポンプ、閉塞材料を含む組成物を現場に配送するための装置)、閉塞材料をポリマー化又は凝固させるための手段(機械的、生物学的又は化学的手段を含む);手順、処置前及び処置後の組成物及び治療方法を可視化するための手段、組織の内部成長又は閉塞材料の崩壊を補助し又は誘発するための手段及び組成物、及び、閉鎖された導管を再開放するための手段である。
【0057】
本発明は、さらに、女性の避妊手術を行うために有用な、卵管を閉塞させるための手段を含む。女性に自然に発生する不妊症の主な原因が、卵巣から子宮に通じる輸卵管の閉塞であることが当分野で良く知られている。自然に発生したこの状態にある女性は、通常、このような閉塞の存在に気づくことさえなく、不妊であることに伴う有害な副次的影響を受けない。さらに、この状態は、しばしば首尾よく解除され、子供を産む能力を回復することがある。自然発生する輸卵管閉塞の観察に基づいて、外的介入による卵管閉塞の創製が、効果的な避妊手術の可能な手段として生まれた。
【0058】
本発明の態様は、デリバリーシステム、1以上の閉塞材料を含む組成物、及び、可逆的避妊手術を目的とした卵管閉塞(より詳細には、哺乳類の雌の卵管の閉塞)のための方法を含む。本発明の一態様において、デリバリー装置が、直接に、又は、イントロデューサシースを通して挿入され、閉塞されることが要求される領域に達するように配置され、この間、操作者は、適切な配置を確実にするために、デリバリー(配送)を非侵襲的に可視化する。装置が適切な位置に配置されたならば、操作者は、閉塞剤を、デリバリーカテーテル内のチャネルを通して滴下し、閉塞を形成する。次いで、デリバリー装置は引き抜かれ、閉塞が適切な位置に残される。時間の経過に従い、閉塞材料内に線維組織が、閉塞材料を再吸収するときに成長し、患者自体の組織から造り出された閉塞を残す。デリバリーシステムは、閉塞を無効にするための作用物(例えば、装置又は組成物)を配送するためにも用いられ得る。閉塞を再開放するための方法を後に記載する。
【0059】
女性の避妊手術を想定して、デリバリーシステムは、経頸管的なイントロデューサシースを含み、シースは、概して、標準的な医療グレードの金属又はプラスチック、例えば、ステンレス鋼、ナイロン、PTFE(ポリテトラフルオルエチレン)、又はポリウレタンからつくられる。これらの材料は、そのままで超音波透過(sonolucent)であり得る。或いは、超音波透過な材料でコーティングすること、又は他の方法で材料を変化させることにより、超音波可視性を増大することが必要な場合もある。シースは、快適な配置を可能にするための非外傷性先端を含むことができ、また、子宮壁への損傷を防止するための適切な柔軟性を有する材料の選択と組み合わされ得る。イントロデューサシャフトは、デリバリーシステムの他の構成部品の挿入を可能にするための十分な直径を有する。このイントロデューサは、カテーテル(例えば、閉塞材料を配送するためのデリバリーカテーテル)を適切な位置にガイドする、1つ、2つ又はそれより多数のチャネルを含み得る。イントロデューサは、周囲組織(例えば、頸部又は子宮)に対するイントロデューサの角度を変化させるための機構を含むことができ、それにより、個々の患者の解剖学的構造(例えば、前傾又は後傾子宮/前屈又は後屈子宮などの個々の相違を含む)に、より良好に適合することを可能にする。イントロデューサの変型が、卵管閉塞の用途以外の用途を可能にし得る。これらの用途は、例えば、卵管疎通性の確認のための造影剤の局所的配送、或いは、卵管の診断、治療若しくは検査のために、他の材料又は装置を卵管に配送し、又は卵管から除去すること(閉塞を再開放するためのシステムの配送を含む)である。イントロデューサシースの1つの態様は、超音波などの非侵襲性技術を用いて可視化できることである。可視化は、正確な配置を誘導し、且つ、装置先端が子宮壁を貫通しないことを保証するために用いられ得る。処置中ずっと正確な配置が維持されることを保証するために、デリバリー装置安定器が含まれ得る。デリバリー装置安定器は、イントロデューサを適切な位置に固定又は保持するための手段、例えば、機構又は装置を含み得る。これらの機構又は装置は、イントロデューサを頸部内に取り付け、若しくは保持し、又は他の方法で装置を所望の位置に維持して、患者に与える危険性を最小限にし、また、操作者に、処置の他の態様を実行するためのより大きい融通性をもたらす。物理的手段、例えば、クランピング、吸引、楔止め、膨張、又は、装置を所望の位置に維持する他の手段を用いて、固定が達成され得る。
【0060】
本発明のデリバリーシステムは、頸部を通して挿入されるための、潰れた、収縮された、又は折り畳まれた形状にされることができる装置を含み、この装置はイントロデューサシースを含み得る。装置は、挿入された後に配置され、単一の又は複数の穴を装置の先端に含む非外傷性先端が、所望の位置(例えば、卵管口又は卵管口付近の子宮の角状部内)に到達することが可能にされる。本発明は、デリバリーカテーテルの少なくとも1つの端部を有する装置を含み、このカテーテル端部は、卵管口又は卵管口付近の子宮角状部内に配置される開口を有する。一実施形態において、デリバリー装置は2つのデリバリーカテーテルを含み、各カテーテルのデリバリー開口が、両方の卵管の口に、同時に、又は順次配置される。別の実施形態において、このような装置は、Y字状、T字状又は矢印形状であり得る。これらの形状を有する2つのデリバリー端が、子宮角内の、卵管口又は卵管口付近に配置される。デリバリーシステムは、既存のカテーテルベースの技術、例えばバルーンカテーテルを利用することができ、また、標準的な材料、例えば、ペバックス(Pebax)、ナイロン、PTFE、ポリウレタン、ビニル、ポリエチレン、イオノマー、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、及び他の材料を組み込み得る。これらの材料はそのままで超音波透過であり得、又は、超音波可視性を高めるために変化され得る(例えば、コーティングにより、又は、材料内に気泡を含むことにより)。本発明の実施形態は、デリバリーシステムの屈曲又は回転を制御するための手段を含むことができ、この手段は、1以上の端部を所望の解剖学的位置に配置することを補助し得る。カテーテルは、先端が子宮角にガイドされることを保証する1以上のカーブを有して設計され得る。このようなカーブは、多数の女性の生殖器に適応するように予め形成されても、又は、一人の女性患者の個人的な解剖学的構造に基づいて選択されてもよい。
【0061】
本発明は、卵管を閉塞させるための、装置の配送を含む方法を含み、この方法は、処置内の非侵襲的な可視化(子宮鏡検査法を使用しない)と、デリバリー装置のデリバリー端を、子宮角内に、両方の卵管の口又はその付近にて配置すること(器具の除去及び再挿入を必要としない)とを組み込んでいる。本発明の実施形態は、患者の大多数に適した寸法につくられたデリバリー装置を含み、また、個々の患者の解剖学的ニーズを満たすように特別に適合させて個人に合わせてつくられたデリバリー装置も含む。先行技術(例えば、米国特許第5,746,769号、第6,145,505号、第6,176,240号、第6,476,070号、第6,538,026号、第6,634,361号、第6,679,266号、及び、第6,684,384号、第5,954,715号、第6,068,626号、第6,309,384号、第6,346,102号、及び6,526,979号)にて教示されているデリバリー装置は、個々の患者の解剖学的構造を考慮せず、直接的な目視のために子宮鏡を用いることを必要とすることがあり、また、各管の連続的なカニューレ挿入を必要とすることがある。これは、装置の再配置、抜き出し及び再挿入を必要とし、処置の技術的困難性を高め、その結果、この処置に固有の失敗のリスクを高くする。
【0062】
本発明の一態様は、個々の患者の解剖学的構造に適応するために、処置前画像化(例えば超音波による)を用いて、配備されるデリバリー装置の長さ及び角度を選択し、調節すること、また、適切なデリバリー装置安定器を選択することを想定している。この処置前画像化は、システムの使用を妨げるような例外を除外するために用いられ、また、適切な寸法のデリバリーシステムを選択するために卵管間の子宮幅を測定するために用いられることができ、又は、2つのデリバリー端の各々の角度又は形状を、各デリバリー端が、その配備時に、子宮角内に卵管口又はその付近にて適切に配置されるように調節するために用いられ得る。画像化は、また、頸管口及び子宮頸管の寸法及び形状を明らかにして、デリバリー装置安定器又はスペーサの寸法及び形状の選択の指針となり得る。或いは、予め決められた寸法のデリバリーシステムのセットの1つが、処置前画像情報に基づいて選択され得る。デリバリー端又は先端の配置(個々の端部の各々又は組合せに関する角度及び長さを含む)を、処置中に、触覚フィードバック、画像、又は、触覚と画像情報の両方に基づいて調節できることも考えられる。他の処置前方法は、エストロゲン/プロゲステロン周期変化をコントロールするために、又は、妊娠中の装置の配置を防止するためにホルモン投薬を用いること、及び、術前投薬(例えば、抗感染薬の投与)又は免疫反応治療を用いることを含む。
【0063】
本発明は、さらに、処置後の方法及び組成物を含む。処置後の方法は、例えば、閉塞材料が時間の経過と共に閉塞をもたらし続けていることを確認することを可能にするための超音波又はX線可視化を含み得る。処置後の方法及び組成物が、さらに、月経による子宮内膜の剥離を防止するためのホルモン剤の使用を含み得ることも考えられ、これは、排出の危険性を、或る期間にわたり最小限にするためであり、例えば、閉塞材料の再吸収及び組織の内部成長を、或る期間可能にするためである。例えば、長時間作用型のホルモン薬剤(例えば、注射用のメドロキシプロゲステロンアセテートのデポー剤)を用いることは、手術前及び手術後の両方のホルモン治療の機能を果たし、患者の薬剤服用順守に依存する必要をなくす。術後の方法及び組成物は、さらに、抗生作用のある、又はステロイド性の組成物を含み得る。
【0064】
本発明の方法は、この方法の1以上のステップを可視化することを含む。装置の挿入、配置、及び、閉塞組成物の解除の可視化が、閉塞材料を設けるための方法に含まれる。閉塞領域、閉塞材料の除去、導管の再開放、及び、導管の機能の回復のテストの可視化が、導管の閉塞を解除するための方法に含まれる。このような可視化方法は当業者に知られている。米国特許第4,731,052号及び第4,824,434号が、内部構造の可視化のために超音波が用いられ得ることを教示している。本発明の組成物及び装置は、適切な患者の選択、並びに装置の配置及び位置特定を保証するための処置中の可視化(例えば超音波による)を可能にし、また、材料の適切な配置、及び閉塞の存在を確認するための施術後のモニタリングを可能にする材料を含む。
【0065】
デリバリー装置が適切に配置されたならば、卵管の閉塞を形成するために、閉塞材料がデリバリー装置を通して導入される。本発明の一態様において、デリバリー装置は、イントロデューサのシャフト内に個々のチャネルを有し、デリバリー端又は先端を、卵管の開口に対して向けさせることができる。本発明の一態様は、装置の引き出し及び再挿入、又は実質的な再配置を必要とせずに、閉塞材料を卵管に、同時に又は順次配送することを可能にする。閉塞材料は、装置が適切な位置に配置されたならば、操作者の手動操作により、又は自動的に配送される。本発明の一態様は、閉塞材料が、非侵襲的画像化、例えば超音波により視覚化可能であることを想定している。材料は、そのままで超音波透過であっても、又は、超音波透過性を高めるために、材料又は泡(例えば、空気又はガスの微小泡)を導入することにより変化されてもよい。これらの微小泡は、デリバリーシステムに取り付けられる前の材料中に存在することができ、又は、デリバリープロセス中に、材料内に、例えばキャビテーションメカニズムを用いて導入され得る。
【0066】
本文中に教示される方法が、少なくとも1つの導管に閉塞材料を1つ(1回)付与することに有効であることが考えられるが、この方法は、少なくとも1つの導管に閉塞材料を少なくとも1つ付与することを含む。この実施形態は、また、1回のデリバリーサイクル中に、少なくとも1つの導管に閉塞材料を1つ以上付与することを含む。例えば、デリバリー装置が子宮内の適切な位置に配置され、装置の少なくとも一端が、閉塞されるべき部位に配置されたならば、閉塞材料は一回付与され、次いで、装置を取り外さずに、さらなる閉塞材料の付与が1回以上行われ得る。或いは、閉塞材料は、閉塞されるべき部位に、複数回の処置により配置され得る。デリバリー装置は、各処置ごとに挿入され、除去されることになる。このような複数回の付与は、装置の挿入と除去を連日行うことができ、又は、装置の挿入と除去を、閉塞材料を付与しない数日間の間隔をあけて行われ得る。このような処置計画は、当業者、例えば処置外科医が考慮する個々の患者のニーズに合わせて立てられ得る。このような処置計画は、各付与にて、同一の、又は異なる閉塞組成物を用い得る。
【0067】
閉塞組成物は、天然の材料、又は合成材料を含む。天然の材料は、動物又は植物内に発見される材料、及び、必ずではないが、これらの材料を用いる生物種内に発見される材料を含む。合成材料は、研究所又は工業環境で人間又は機械によりつくられることができる任意の材料を含む。組成物は、最初にほぼ流体であり、現場でポリマー化して固体材料になる材料を含み得る。組成物は、また、閉塞のための部位に配置されたときに、特性(例えば柔軟性)を変化させ、又は変化させない固体材料を含み得る。組成物は、また、流体と、流体中に分散された、ガス、固体、又はガスと固体の両方との混合物を含み得る。閉塞材料組成物は、1以上のデリバリー端が適切な位置に配置されたときに装置により解放される、予備形成された形状の材料であり得る。また、組成物は、最初は液体又は半固体であり、現場で硬化する閉塞材料を含み得る。本発明の組成物は、固体構造物を含み得る。これらの固体構造物は、例えば、ステント、ロッド、ペレット、ビーズ、及び、部位に形成される閉塞に固体構造をもたらす他の組織充填剤である。本発明の組成物は、また、予備成形構造物(例えば球体又は粒子)を、最初は液体又は半固体であり、現場で硬化して予備成形構造物を閉じ込める材料と組み合わせ得る。
【0068】
本発明の一態様は、液体を含む閉塞組成物を含み、この組成物は、配送前に混合され、又は、予め混合されることを必要としない(例えば、単一液体の組成物)。この組成物は、超音波可視性であり、卵管口を通して卵管口から5cm以内に配送されたときに硬化して機械的閉塞をもたらす。この組成物は、また、約30日〜365日間で少なくとも75%再吸収される。一実施形態において、閉塞組成物は、親水性でなく、環境内に流体があっても膨潤しない。別の態様において、閉塞を形成する閉塞組成物は、組織が閉塞部位内で成長することの開始又は刺激を補助し得る。この場合、閉塞は、閉塞材料の再吸収後に閉塞を維持する組織に変わる。別の態様において、本発明の一実施形態は、機能寿命を有する閉塞材料を用いることを想定する。この機能寿命において、閉塞材料は、或る期間にわたって内腔の物理的閉塞又は詰まりを形成し、或る期間後に、再吸収又は分解されて消失し、代わりに組織の内部成長が生じ、これにより、内腔は、再び開放されて機能する。
【0069】
本発明のさらなる態様において、閉塞材料は、2つの成分液体を含む。これらの液体は、再吸収可能な(吸収性)ポリマー溶液成分と、液体のシアノアクリレート・組織接着成分を含む。再吸収可能なポリマーは、ポリラクチド、ポリグリコリド、若しくはポリカプロラクトンから選択されるポリエステルポリマー、又は、ポリ(ラクチド/グリコリド)酸(PLGA)、若しくは、ポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)(PLCL)から選択されるポリエステルコポリマーである。シアノアクリレート・組織接着成分は、多数の生体適合性のアルキル−、又はアルコキシアルキル−2−シアノアクリレート、例えば、n−ブチル−2−シアノアクリレート、又は、2−メトキシブチル−2−シアノアクリレートである。2つの成分液体は、配送のためにカテーテルに入れられる前に混合される。硬化において、シアノアクリレートはホモポリマー化し、ポリエステルポリマー又はポリエステルコポリマーを閉じ込める。シアノアクリレートは、内腔壁に付着して閉塞を適切な位置に固定する。
【0070】
単一の液体を含む組成物を用いることも考えられる。単一液体の組成物は、液体の組織接着剤(例えばシアノアクリレート)と、再吸収可能なポリエステルからつくられ得るナノ粒子又は微小粒子材料とを含む。本発明の一態様において、粒子は、超音波により視覚化できる。粒子と組織接着剤とは、ターゲット部位に配送される前に結合される。組成物は、組織接着剤のホモポリマー化により硬化し、粒子を閉じ込め、そして、内腔壁への付着により、閉塞を内腔内に固定する。
【0071】
閉塞組成物が再吸収可能な性質であり、閉塞が卵管口に近く、卵管の限られた長さにわたり延在することが、この避妊方法の可逆性を容易にもたらし得る。埋め込まれた閉塞組成物が再吸収されるため、組織の内部成長が生じ、これが閉塞を維持する。こうして形成された、組織による閉塞は、受精のための開放導管をもたらすために再疎通されることができ、これは、外科手術による閉塞領域の除去、及び、閉塞領域を横断するように再び管を通すことを必要としない。
【0072】
本発明の導管閉塞(例えば輸卵管閉塞)を形成するために用いられることができる様々な材料が当分野で知られている。米国再発行特許29,345号は、一部が予め形成され、一部が現場で硬化するシラスティックを用いることを教示している。米国特許第4,185,618号は、組織線維形成の促進材料を所定位置に保持するゲル形成担体物質を教示している。米国特許第4,365,621号、及び第4,509,504号は、不活性で永久的な膨潤材料の使用を記載している。米国特許第6,096,052号は、線維組織の内部成長を補助する、メッシュベースの材料の使用を記載している。米国特許第4,700,701号は、再吸収可能な栓を、瘢痕化反応を含む物理的及び/又は化学的手段と組み合わせて用いることを記載している。米国特許第5,989,580号は、溶解により除去されることができる、生体適合性の非分解性埋め込みポリマーを数種類用いることを組み込んでいる。米国特許第6,605,294号は、卵管を閉塞させるために、少なくとも1つのロッド形状部を有して予備形成された吸収可能なポリマーを用いることを教示している。米国特許第5,894,022号は、分解可能なメッシュを形成し得る組成物を用いることを教示している。米国特許第6,371,975号、第6,458,147号、及び、第6,743,248号は、血管アクセス破裂部位の閉塞のためにポリエチレングリコールとプロテインとの組成物を用いることを教示している。本発明は、本発明のデリバリー装置を用いて導入され得る、導管を閉塞させるための、これら及び他の閉塞組成物を含む。
【0073】
本発明の閉塞組成物の一態様は、初期の機械的閉塞をもたらすことができ、且つ、閉塞の形成に必要な組織内部成長を開始又は補助することができる再吸収可能な材料、及び/又は、硬化中及び組織内部成長の初期段階にて材料の位置を維持する接着組成物を含む。米国特許第4,359,454号、第6,476,070号、及び第6,538,026号は、シアノアクリレートの使用を教示しており、特に、n−メチルシアノアクリレート、又はn−ヘキシルシアノアクリレートを含む組成物を、再吸収可能で且つ瘢痕を促進する材料として教示している。他の特許が、ポリマー化可能なモノマー(例えばシアノアクリレート)のみから成る組成物、又は、他の材料と組み合わせた組成物を教示しており、これらの組成物は、本発明における閉塞剤若しくは接着剤として、及び/又は、永久的接着を形成するための組織内部成長を開始又は補助することができる再吸収な材料として有用であり得る。これらの特許は、米国特許第5,328,687号、第5,350,798号、第6,010,714号、第6,143,352号、第6,174,919号、第6,299, 631号、第6,306,243号、第6,433,096号、第6,455,064号、第6,476,070号、第6,538,026号、第6,579,469号、第6,607,631号、第6,620,846号、及び、第6,723,144号である。
【0074】
本発明のさらなる態様は、固体又は半固体の形態で配送される材料を含む。これらの材料は、閉塞の促進又は形成に有用であり得る材料を、配送又は接着させるために用いられることができ、或いは、これらの材料がそれ自体で独りでに閉塞を形成することにおいて有用であり得る。そして、これらの材料は、再吸収可能又は永久的であり得る。このような材料は、米国特許第6,703,047号に教示されているように、水和して架橋ヒドロゲルを形成する乾燥組成物を含む。米国特許第5,612,052号、第5,714,159号及び第6,413,539号は、体液と接触したときにヒドロゲルを形成する自己溶媒和性のポリエステルコポリマーを教示している。米国特許第4,804,691号は、ジイソシアネートにより架橋された水酸基末端ポリエステルの組成物を教示している。米国特許第6,723,781号は、架橋された脱水ヒドロゲルを教示している。ヒアルロン酸を基材としたヒドロゲルが、米国特許第5,866,554号及び米国特許第6,037,331号に教示されている。2部分から成るヒドロゲルが、米国特許第6,514,534号に教示されている。架橋された生体付着性ポリマーが、米国特許第6,297,337号及び第6,514,535号に教示されている。感温性の生物分解性ポリマーが、米国特許第5,702,717号に教示されている。
【0075】
本発明は、導管内に閉塞を形成する組成物を含み、閉塞材料は身体により再吸収又は生物分解される。再吸収又は生物分解の割合は、少なくとも約20%〜約100%の範囲、少なくとも約20%〜約80%の範囲、少なくとも約20%〜約60%の範囲、少なくとも約30%〜約50%の範囲、少なくとも約30%〜約80%の範囲、約70%〜約100%の範囲、及び、約40%〜約100%の範囲である。このような再吸収は、或る期間にわたって実質的に生じ得る。この期間は、約30日〜365日、約30日〜180日、約30日〜90日、約60日〜365日、約60日〜180日、又は、約90日〜365日である。或る組成物は、約30日〜365日の期間に、少なくとも約20%〜実質的に100%が、身体により再吸収又は生物分解される材料を含む。この材料により形成される最初の機械的閉塞は、その後、部位内に成長する組織により維持される。
【0076】
本発明は、現場で硬化可能な材料を用いることを想定し、これは、材料が、導管の壁に、より詳細には、子宮及び/又は卵管の壁に適合及び接着することを可能にすることにより、排出の危険性を低減する。現場で硬化可能な組成物は、好ましくは、生理学的限界外の温度で流動可能な、且つ生理学的温度では硬化可能な材料を含む。このような材料は、例えば、米国特許第5,469,867号及び第5,826,584号に教示されている。材料を所定位置に配送し、且つ維持することができる、本発明に有用な高粘性液体が、米国特許第5,747,058号、第5,968,542号、及び、第6,413,536号に教示されている。或いは、材料は、米国特許第4,359,454号、第6,476,070号、及び第6,538,026号に記載されているように、組織環境と接触したときに硬化し得る、また、米国特許第5,278,202号及び第5,340,849号に記載されているように、硬化剤と接触したときに硬化し得る。また、溶剤の散逸時に硬化し得る。これは、米国特許第4,938,763号、第5,278,201号、第5,324, 519号、第5,487,897号、第5,599,552号、第5,599,552号、第5,632,727号、第5,702,716号、第5,728,201号、第5,733,950号、第5,736,152号、第5,739,176号,第5,744,153号、第5,759, 563号、第5, 780,044号、第5,792, 469号、第5,888,533号、第5,990,194号、第6,120,789号、第6,130,200号、第6,395,293号、第6,461,631号、第6,528,080号、米国再発行特許37,950号、及び、国際公開公報WO97/42987、WO99/47073及びWO00/24374に記載されている。
【0077】
本発明は、2つ以上の材料の組合せからつくられた組成物(詳細には、異なるメカニズムにより硬化又はポリマー化する材料を含む組成物)を用いて閉塞を形成することを含む。例えば、組成物は、2つの材料の組合せを含むことができ、一方は、活性化剤が存在することにより硬化又はポリマー化し、他方は、この材料が置かれている周囲環境のpHにより、硬化、ポリマー化、又は固化(これらの用語は全て互換性のある用語)する。混合物の成分は、異なる、又は重複する機能を果たし得る。例えば、組織接着成分の主な機能は、埋め込まれた材料の排出を、組織内部成長が生じているときに最小限にすることである。別の成分は、主に、組織成長を開始又は支持する。組織接着成分は、以下の材料を含む材料群から選択され得る。すなわち、特に、シアノアクリレート、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、変性ポリエチレングリコール、トロンビン、コラーゲン、コラーゲンを基材とする接着剤、フィブリン、フィブリン接着剤組成物、ゼラチン−レゾルシノール−ホルムアルデヒド−グルタルアルデヒド(GRFG)接着剤、コラーゲン及び/又はトロンビンと組み合わせた自家血液、架橋アルブミン接着剤、変性グリコサミノグリカン、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を基材とする接着剤、カルボジイミド又はゲネピン(genepin)で架橋されたアルギナート、キトサン及びゼラチンである。組織接着成分は、組成物全体の、約5〜50%、約5%〜25%、約10%〜50%、又は、約10%〜25%である。主に組織内部成長を開始又は支持するために加えられる材料は、固体の、又は溶媒和された再吸収性ポリマー(再吸収可能なポリエステル又はそれらのコポリマーを含む)から成る群から選択され得る。組織内部成長の成分(溶剤の存在を含み、又は除く)は、組成物全体の約20%〜80%、約50%〜80%、約40%〜70%、又は、約50%〜90%含まれ得る。コポリマーが用いられる場合、コポリマー中の各ポリマーの比率は、約25%〜75%となろう。
【0078】
さらなる成分が、混合物全体を安定化させるために、又は、粘性、硬化時間、再吸収のタイムフレーム、可塑性をコントロールするために、又は、材料の可視化を容易にするために含まれ得る。このような成分は、ポリマー化抑制剤及び安定剤を含み得る。これらの抑制剤及び安定剤は、例えば、スルホン酸、乳酸、酢酸、二酸化硫黄、ラクトン、3フッ化ホウ素、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール、ベンゾキノン、2−ヒドロキシベンゾキノン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、有機酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、t−ブチルヒドロキノン、アルキル硫酸、アルキル亜硫酸、3−スルホレン、アルキルスルホン、アルキルスルホキシド、メルカプタン、及び、アルキルスルフィドを含む。前記成分は、また、乳化剤、例えば、ポリビニルアルコールを含む。前記成分は、また、エコー源性剤を含む。この作用剤は、例えば、空気又はガスの微小泡、空気又はガスを閉じ込めた、架橋されたアルブミン(アルブネックス)の微小粒子又は球体、超音波処理されたアルブミン、ゼラチン封入された空気又はガス泡、ナノ粒子、微小粒子、球体、又は、空気又はガスを閉じ込めた、再吸収可能なポリエステル又は他の再吸収可能な材料のマイクロカプセル、空気又はガスを閉じ込めた他の材料の粒子である。前記成分は、また、造影剤、例えば金粒子を含む。前記成分は、また、粘性変更材料を含む。この材料は、例えば、架橋されたシアノアクリレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコール酸コポリマー、ポリカプロラクトン、乳酸−ポリカプロラクトンコポリマー、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアクリル酸アルキル、アクリル酸アルキルと酢酸ビニルとのコポリマー、ポリメタクリ酸アルキル、及び、メタクリ酸アルキルとブタジエンとのコポリマーである。前記成分は、また、可塑剤を含む。可塑剤は、例えば、ジオクチルフタレート、セバシン酸ジメチル、トレシルリン酸、トリ(2−エチルヘキシル)リン酸、トリ(p−クレシル)リン酸、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレート、ジエチルセバケート、アジピン酸ジオクチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸、フタル酸ジブチル、トリオクチルトリメリテート、及び、ジオクチルグルタレートである。組成物は、さらに、着色剤、例えば、染料及び顔料を含み得る。これらの作用剤の総量は、全組成物の約0.1%〜10%、1%〜10%、又は5%〜20%であり得る。
【0079】
異なるメカニズム(組織又は適切な硬化環境(例えば条件)との接触を含む)により硬化する2以上の材料の組合せが、本発明により考えられる。このような条件は、特に、例えば、水性、イオン、温度、若しくはpH、化学的架橋、又は、溶剤散逸である。1以上の機構により硬化する1以上の材料を、予め硬化され、又は予め形成された1以上の粒子、球体、又は他の構造物と組み合わせることも、本発明により考えられる。
【0080】
本発明は、予備成形された固体材料、例えば、粒子、球体、カプセルを、液体又は半固体材料と組み合わせて用いることを考える。予備成形された固体は、分解可能な、又は再吸収可能な材料を含むことができ、また、増大された超音波可視性を有することができ、又は、複合閉塞材料の超音波可視性を高めるように機能し得る。考えられる粒子は、直径の平均寸法が、約100〜2000ナノメートル、約100〜1000ナノメートル、約250〜2000ナノメートル、又は、約500〜2000ナノメートルの範囲のナノ粒子であり得る。また、粒子は、約0.1〜1000マイクロメートル、約0.1〜250マイクロメートル、約1〜500マイクロメートル、約50〜500マイクロメートル、約100〜750マイクロメートル、又は、約250〜1000マイクロメートルの範囲の平均寸法を有する微小粒子であってもよい。液体又は半固体材料は、予備成形された固体のための輸送媒体として働き、現場で硬化し、固体を閉じ込める。粒子は、或る材料でコーティングされることができ、又は、この材料内に包含され得る。この材料は、粒子の、液体又は半固体材料との混和性を増大し、又は、粒子の、液体又は半固体材料の配送前の早期硬化を進める傾向を最小化する。コーティング材料は、含水率が非常に低い粒子構成材料、又は、他のポリマー若しくはコポリマーコーティングを含み得る。これらは、例えば、カプロラクトン、ポリ−β−ヒドロキシブチレート、デルタ−バレロラクトン、及び、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ゼラチン、アルブミン、プロテイン、コラーゲン、ポリ(オルソエステル)、ポリ(アンヒドリド)、ポリ(α−シアノアクリレート)、ポリ(ジヒドロピラン)、ポリ(アセタール)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ジオキシオン)、セルロース、及びでんぷんを含む。以下の特許及び/又は米国特許出願は、超音波造影剤に用いるためのエコー源性な粒子を形成するための製造方法を教示している。これらは、米国特許第5,352,436号;第5,562,099号;第5,487,390号;第5,955,143号;米国特許出願2004/0161384;米国特許出願2004/0258761;及び、米国特許出願2004/0258769である。これらの方法により形成される粒子を本発明に用いることが考えられる。
【0081】
本発明は、また、同一の、若しくは異なる材料を順次付与するための方法を含む。例えば、現場で硬化可能な材料として機能する閉塞材料の組成物を処置部位に配置し、次いで、接着組成物を、別途、硬化可能な材料の前又は後に、埋め込んだ材料を適切な位置に固定するために付与し、こうして、排出の危険性を低下することができる。現場で硬化可能な材料は、卵管の自然環境にて硬化又は凝固し得る。或いは、硬化は、エネルギー源、例えば、光、熱、その他の電磁波、音波、若しくはマイクロ波の存在、又は、硬化のための開始剤、及び/又は促進剤の存在を必要とし得る。追加のエネルギー源が、デリバリー装置、若しくは別の導入媒体により、又は、身体外のエネルギー源によりもたらされ得る。
【0082】
デリバリー装置の端部構造物は、端部を処置部位に維持することを補助し、閉塞材料を配送することを補助し、デリバリー装置を処置部位から除去することを補助し、閉塞の局在化を補助する別の形状、及び、端部として機能するその他の形状及び設計を有し得る。例えば、哺乳類の卵管を閉塞させるために用いられるデリバリー装置は、卵管口又はその付近にて子宮角内に配置される端部を有し、閉塞材料の配送を補助する(例えば、端部を適切な位置に維持することにより)形状を含む端部構造物を有し得る。この端部構造物は、デリバリーシステムの先端の配置をガイドするように、又は、アーム端部を卵管口に固定し、及び/又は、アーム端部で卵管口を覆うように機能することができ、また、ノズル、カップ又はバルーンの形態を有し得る。ノズル、カップ又はバルーンは、現場で硬化可能な材料の組成物が埋め込み部位から漏出することを防止するために有用である。好ましくは、端部構造物は埋め込み可能な材料に付着しないが、吸収性で着脱可能な端部構造物であって、埋め込み可能な材料に付着することができ、且つ、デリバリーシステムの残りの部分を除去した後に適切な位置に残され得る端部構造物を用いることも考えられる。子宮角の形状に適応する構造を有する装置を用い、少なくとも1つの卵管口への局地的配送を維持することが、カニューレを卵管に挿入する必要をなくす。
【0083】
本発明は、女性の避妊のための方法を含み、この方法において、デリバリー装置が卵管内に挿入されず、閉塞材料が子宮角内に、卵管口又はその付近にて挿入され、子宮内膜及び/又は卵管上皮の一部に作用する。閉塞の範囲、例えば、閉塞材料により閉塞される子宮角及び卵管の部分は、配送される材料の硬化時間、粘性及び量を変えることにより制御され得る。本発明は、導管、例えば卵管を、卵管の最小限の部分を閉塞させることにより効率的に閉塞させるための方法を含む。このような閉塞は、導管を、導管の長さの1.0mm未満にわたって、又は、導管の長さの1cm未満にわたって、又は、導管の長さの3cm未満にわたって、又は、導管の長さの5cm未満にわたって閉塞させ得る。例えば、卵管を閉塞させることにおいて、本発明の一実施形態は、卵管の5cm以下が閉塞されるように閉塞材料を付与する方法を含む。卵管のこの長さを閉塞させることにおいて、閉塞のターゲットにされる卵管の解剖学的領域は、子宮壁内の領域(中間部分)、及び、卵管峡部の子宮側部分を含む。本発明は、凝固(固化)した閉塞材料の長さ、幅、又は深さに依存することはなく、凝固される閉塞材料の範囲は、後に閉塞を解除することが要求されるかどうかに依存する。閉塞を行う時に、もし閉塞の解除が想定されているならば、最少量の閉塞を形成することができ、これにより、閉塞の解除及び導管の開放を、より容易にすることを可能にする。
【0084】
閉塞材料の配送の1つの方法において、デリバリーシステムのルーメン内に発生される圧力が、閉塞材料を、デリバリー装置(少なくとも1つのデリバリー端における少なくとも1つの開口を含む)内で押し通し、装置から押し出して、閉塞されるべき領域に到達させる。閉塞材料が配送されたならば、デリバリー装置は、全体又はその一部が患者から取り出される(端部構造物が着脱可能で、適切な位置に残されるように設計された再吸収可能な材料からつくられてもよい)。例えば、閉塞材料が処置部位に配送され、又は、閉塞材料が現場で硬化するならば、デリバリー装置は、1以上の部品として、潰され、再び折り畳まれ、再びシースに入れられ、又は直接、患者から取り出され得る。
【0085】
本発明の組成物は閉塞材料を含み、また、他の機能をもたらすことができる1以上の作用剤をさらに含み得る。これらの作用剤は、限定はしないが、例えば、閉塞材料のための硬化可能な担体であり、物質を制御下で解放することを可能にし、閉塞材料が線維化を生じる能力、又は避妊抑制能力を増大する。キナクリンが良好に定着して、卵管上皮の瘢痕を形成し、卵管閉塞を生じさせる。少量のキナクリン又は他の硬化剤(例えばテトラサイクリン)を閉塞材料と組み合わせて投与することが、線維組織閉塞の形成を補助し得る。本発明の組成物は、線維組織成長促進剤(例えば、当業者に知られている成長因子、又は炎症誘発性試薬)を含む。米国特許第3,803,308号は、銅又は亜鉛塩を単独で子宮に滴下することが、避妊を抑制することを教示している。現在用いられている銅製の子宮内器具(避妊リング)は、この概念を組み込んでいる。本発明は、閉塞材料に加えて銅塩又は他の金属元素も含む組成物を含む。組織の内部成長期間中の妊娠のリスクをさらに抑制するために、閉塞材料にホルモン避妊薬を含むことが考えられる。
【0086】
本発明は、閉塞を開始し、又は完全に形成するために、エネルギー配送装置を用いる方法を含む。このような方法は、組織成長の形成、及び/又は閉塞材料の生物分解を補助するための、閉塞材料の配置部位での活動を含む。このような活動は、限定はしないが、焼灼方法、双極性凝固電流、組織損傷電流を生じるための高周波発生器の使用、並びに、レーザ、光、マイクロ波、及び高周波エネルギーの使用を含む。このような活動をもたらすための装置が、米国特許第4,700,701;第5,095,917号、第5,474,089号;第5,954,715号、及び、第6,485,486号に教示されている。
【0087】
本発明は、また、閉塞部位における少なくとも1つの閉塞を除去するためのデリバリーシステム、デリバリー方法、及びデリバリー装置を含む。本文中に用いられるように、用語「閉塞部位を解除する」(reversing the occluded site)は、導管を再び輸送可能にすることを意味する。導管を再び輸送可能にすることは、限定はしないが、元の閉塞材料を除去して、閉塞されていた部位を通る新しい内腔を形成すること、例えば、閉塞部位における閉塞材料又は内部成長組織を貫通するチャネルを形成すること、又は閉塞部位を迂回する経路を得ることを含む。本発明の方法は、1以上の導管内に、永久的な栓を、同時に又は順次配置する装置を配送することを含む。このような栓は、本発明の装置が、後になってこの栓を除去するために用いられることができるように構成される。このような栓の構造が、米国再発行特許29,345号に教示されている。このような栓は、身体の活動によって再吸収可能でなく、且つ、生物分解可能でなく、従って、栓を導管内に固定するための手段を組み込んでいる。閉塞は、閉塞材料の破壊により導管から除去され得る。例えば、閉塞材料を粉砕するために、結石破砕法に用いられる衝撃波と類似の衝撃波を用いることができ、閉塞材料は導管から排出される。化学的又は生物学的方法、例えば、溶剤又は酵素の滴下を、閉塞を崩壊させるために用いることができる。本発明の除去装置は、内部に閉塞材料を有する一方又は両方の卵管に作用するように用いられることができ、これは、栓の物理的除去、閉塞部位を再疎通させる材料の供給、又は、閉塞部位を貫通し、又はその周辺を通る新しいチャネルを機械的に形成することにより行われる。この装置は、また、新しいチャネルが開放された状態に維持されることを保証するためのステント又は他の装置を配送し得る。米国特許第4,983,177号;第5,989,580号;第4,664,112号、及び他の特許が、閉塞部位を解除することができる方法を教示している。卵管の閉塞を解除するための方法において、本発明は、各卵管における閉塞を、非侵襲的可視化の下で、且つ、両方の卵管の閉塞が解除されるまでデリバリー装置の除去及び再挿入又は再配置を実質的に必要とせずに解除することができるシステム、方法及び装置を考える。一度の処置につき一方の卵管を開放することが望ましいこともあり得るが、非侵襲的可視化の下で、且つ、器具の引き出し及び再挿入を行わずに両方の卵管に達することができることは、先行技術よりも有利であることを示す。
【0088】
部分的に又は完全に再吸収可能な材料が、導管の閉塞を生じさせるために用いられる本発明の一態様において、適切な位置に残される永久的な異物は最小限であり、又は、無い。卵管閉塞において、閉塞は、卵管口又はその付近に配置され、非外科手術的アクセスを簡単にする。血管又は他の身体通路の閉塞を除去するための作業ヘッドを有するカテーテルをデリバリー装置と共に用いることができる。このような管の閉塞を解除するための方法が、閉塞材料の導入のために用いられたシステムと類似のカテーテルベースのデリバリーシステムの使用を組み込んでいる。本発明のこの態様において、デリバリー装置のチャネルが、管の閉塞部を再疎通させる、堅い、若しくは切断用のカテーテル、又は、溶出溶媒(例えば酵素又は溶剤)の滴下のためのカテーテルを挿入するために用いられる。開放を維持するためのステント又は他の装置も、デリバリー装置を通して配置され得る。
【0089】
概して、本発明は、ヒト又は動物の身体内の少なくとも1つの導管を閉塞させるための方法を含む。この方法は、閉塞材料を含む有効量の組成物を配送することができるデリバリーシステムを設けることを含み、このデリバリーシステムは、少なくとも2つのカテーテルをもたらすための少なくとも1つのイントロデューサシャフトを含むデリバリー装置と、デリバリー端上の端部構造物、及び近位端上の取付け手段を各々が含む2つのカテーテルと、閉塞材料を含む組成物と、閉塞材料を含む前記組成物を、カテーテル内に、及びカテーテルを通してもたらすための手段とを含む。前記方法は、さらに、閉塞材料を含む有効量の組成物を、ターゲット部位又はその付近に、前記閉塞材料が導管の内腔を閉塞させるように配送することを含む。前記方法は、さらに、導管を、導管の内腔内にて、閉塞材料を含む組成物により閉塞させることを含む。配送組成物をもたらすための手段は、限定はしないが、材料をカテーテル内に押し込むためのシリンジ及び圧力システム、ポンプ、プランジャを有する容器、又は、流動可能な材料をカテーテル又は管を通して移動させるための他の方法及び装置を含む。この方法は、導管が本発明の方法により閉塞されているか、又は、他の方法若しくははプロセス(自然の、及び人工の、又は医療的プロセスを含む)により閉塞されているかに関わらず、導管を開放することをさらに含む。この方法は、イントロデューサシャフトの除去及び再挿入、又は実質的な再配置をせずに2つの導管を閉塞させることを含み得る。このような方法は、哺乳類の卵管を処置するために用いられることができ、避妊の方法を提供する。
【0090】
本発明の方法に用いられる、閉塞材料を含む組成物は、身体の内腔に配送される前に混合され得る。この組成物は、液体の組織接着剤及び溶媒和ポリマーを含むことができ、この組成物は現場で硬化する。閉塞材料を含むこの組成物は、超音波可視性である。超音波可視材料は、空気若しくはガスの微小泡、又は、空気若しくはガスを閉じ込める材料の微小粒子を含み得る。本発明の組成物は、以下の組成物を含む。すなわち、液体の組織接着剤が、シアノアクリレート、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、変性ポリエチレングリコール、トロンビン、コラーゲン、コラーゲンを基材とする接着剤、フィブリン、フィブリン接着剤組成物、ゼラチン−レゾルシノール−ホルムアルデヒド−グルタルアルデヒド(GRFG)接着剤、コラーゲン及び/又はトロンビンと組み合わせた自家血液、架橋アルブミン接着剤、変性グリコサミノグリカン、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を基材とする接着剤、カルボジイミド又はゲネピンで架橋されたアルギナート、キトサン及びゼラチンである;また、溶媒和ポリマーは、再吸収可能なポリエステルであり、ポリラクチド、ポリグリコリド、若しくはポリカプロラクトン、又はこれらの材料のコポリマーを含み、これらのコポリマーは、ポリ(ラクチド/グリコリド)酸(PLGA)、又は、ポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)(PLCL)を含む。これらの組成物は、超音波可視性であり得る。これらの組成物は、さらに、組織瘢痕化剤、線維化剤、受精抑制剤、避妊薬、組織成長促進物質、ホルモン、重合防止剤、重合安定剤、乳化剤、エコー源性剤、造影剤、粘性変更材料、可塑剤、着色剤、又は、これらの薬剤及び材料の組合せを含み得る。
【0091】
本発明の硬化された組成物は、膨潤率が20%未満であり、組成物の約20%〜約100%が、約30日〜約365日の期間にて実質的に再吸収され得る。閉塞は、再吸収されたならば、組織内部成長により維持され得る。
【0092】
本発明の組成物は、また、液体の組織接着剤及び粒子を含み得る。この粒子は、再吸収可能なポリマーの球体を含むナノ粒子、又は微小粒子であり得る。この粒子は、直径が約0.1マイクロメータ〜約1000マイクロメータであり得る。この組成物は、超音波により観測可能であり得る。この組成物は、さらに、閉塞材料のための硬化可能な担体、コントロールリリース剤、組織瘢痕化剤、線維化剤、受精抑制剤、避妊薬、組織成長促進物質、ホルモン、重合防止剤、重合安定剤、乳化剤、エコー源性剤、造影剤、粘性変更材料、可塑剤、着色剤、又は、これらの薬剤及び材料の組合せを含み得る。
【0093】
本発明は、避妊のための方法を含み、この方法は、閉塞材料を含む有効量の組成物を配送することができるデリバリーシステムを設けることを含み、このデリバリーシステムは、少なくとも2つのカテーテルをもたらすための少なくとも1つのイントロデューサシャフトを含むデリバリー装置と、2つのデュアルルーメンバルーンカテーテルと、閉塞材料を含む組成物と、閉塞材料を含む前記組成物を、カテーテル内に、及びカテーテルを通してもたらすための手段とを含む。前記方法は、さらに、閉塞材料を含む有効量の組成物を、ターゲット位置又はその付近に、前記閉塞材料が少なくとも1つの卵管の内腔を閉塞させるように配送することを含む。前記方法は、さらに、卵管を、導管の内腔内にて、閉塞材料を含む組成物により閉塞させることを含む。
【0094】
本発明は、避妊装置を含む装置を含み、この装置は、少なくとも2つのカテーテルをもたらすためのイントロデューサシャフトと、デリバリー端に端部構造物を各々が含む2つのカテーテルと、閉塞材料を含む組成物と、閉塞材料を含む前記組成物を、カテーテル内に、及びカテーテルを通してもたらすための手段とを含む。前記端部構造物は、カップ、ノズル又はバルーンであり得る。この装置は、避妊装置が一度配置されたならば所定位置に保持するためのデリバリー装置安定器をさらに含む。デリバリー装置安定器は、前記装置を適切な位置に保持するために、頸部に嵌め付けられ、若しくは取り付けられ、若しくは頸部内に嵌め込まれ、又は頸部内で膨張し得る。
【0095】
本発明は、また、閉塞された導管を開放するためのシステム及び方法を含む。この方法は、少なくとも2つのカテーテルをもたらすための少なくとも1つのイントロデューサシャフトと、デリバリー端に端部構造物を各々が含む2つのカテーテルと、導管を再開放するための手段と含むデリバリー装置を設けることを含む。この方法は、さらに、導管を再開放又は開放することを含む。導管を開放するために用いられ得る装置が、少なくとも2つのカテーテルをもたらすための少なくとも1つのイントロデューサシャフトと、静的装置を一端に含む少なくとも1つのカテーテルと、配置時にデリバリーシステムを適切な位置に保持するための手段と、導管を開放するための手段とを含む。導管を開放するための手段が、閉塞材料を粉砕するための衝撃波、溶剤を含む化学的手段、酵素を含む生物学的手段、又は、内腔を再疎通させるための堅固な、若しくは切断用のカテーテル端を含む機械的手段をもたらすための装置又は方法を含む。この方法は、さらに、ステントを導管の内腔内に設けることにより導管の開放を維持することを含む。
【0096】
本明細書及び特許請求の範囲にて用いられているように、単数形「1つの」(
“a”,“an”)及び「その」(“the”)は、文脈上明らかに他のものを示す場合を除き、複数の指示対象を含むことを留意されたい。
【0097】
本文中に含まれる、全ての特許、特許出願及び参照文献の詳細を援用して本文の記載の一部とする。
【0098】
もちろん、上記の内容が、本発明の例示的な実施形態にのみ関連し、多くの変更及び修正が、上記の内容に、この開示に記載されている本発明の精神及び範囲から逸脱せずに行われ得ることが理解されよう。
【0099】
本発明の例示的な実施形態は、ヒトの卵管を閉塞させるための方法、デリバリーシステム、及び組成物を詳細に記載しているが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。多くの変更及び修正が存在し、これらの変更及び修正は、当業者に、本文中に記載された方法、デリバリーシステム、及び組成物を、ヒト及びヒトでない哺乳類の両方の様々な導管を閉塞させるために利用できるように提示され得る。
【0100】
また、本発明は、本文中に含まれる例を用いて例示されており、これらの例は、理解を明確にするために提示されている。例示的な実施形態は、いかなる場合も、本発明の実施形態の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。反対に、他の様々な実施形態、変更、及びこれらの同等物を用いることができ、これらが、本文の詳細な説明を読んだ後に、本発明の精神、及び/又は添付の特許請求の範囲から逸脱せずに当業者に提示され得ることが、明確に理解されるべきである。
【0101】
例1
埋め込み可能な材料Aの調製
n−メチル−ピロリドン(NMP)中に、ポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)(PLCL)(ラクチド/ε−カプロラクトン単位比が25/75)を50重量%溶解させた溶液を調製し、滅菌した。2−メトキシプロピルシアノアクリレート(MPCA)と、生体適合性の酸(この場合は氷酢酸(AA))との混合物(MPCA:AAを約1:1の割合で含む)を調製し、滅菌した。埋め込み可能な材料Aを、0.8ccのPLCL溶液と、0.2ccのMPCA混合物とを混合する(混合物の均質性が達成するまで)ことにより、使用直前に調整した。得られた混合物は、水性環境がない状態での室温にて、最初に温かくなり、硬化を示すが、少なくとも15分間、組織への付着を維持し、且つ、20G IVカテーテルを通して流動可能である。この埋め込み可能な材料は、水又は動物組織と接触すると、硬化を急速に達成し、比較的容易に圧縮可能で且つ鱗状に剥離する半固体材料を形成する。
【0102】
例2
埋め込み可能な材料Bの調製
エチルアルコール(EtOH)中に、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)(ラクチド/グリコリド単位比が50/50)を25重量%溶解させた溶液を調製し、滅菌した。シアノアクリル酸ブチル(BCA)とAAとの混合物(BCA:AAを約2:1の割合で含む)を調製し、滅菌した。埋め込み可能な材料Bを、0.4ccのPLGA溶液と、0.4ccのBCA混合物とを混合する(混合物の均質性が達成するまで)ことにより、使用直前に調整した。得られた混合物は、水性環境がない状態での室温にて、最初に温かくなり、硬化を示すが、少なくとも15分間、組織への付着を強度に維持し、且つ、20G IVカテーテルを通して流動可能である。この埋め込み可能な材料は、水又は動物組織と接触すると、硬化を急速に達成し、折り曲げようとすると破損する、比較的圧縮不可能な半固体材料を形成する。
【0103】
例3
埋め込み可能な材料Cの調製
塩化メチレン中にPLGAを溶解させて25重量/容量%の溶液を生成することにより、50/50PLGAの粒子を調製し、これを0.3%のポリビニールアルコール(PVA)溶液中で乳化し、さらに、PVA溶液に、2%のイソプロピルアルコールを加え、溶剤を除去した。粒子を収集し、凍結乾燥し、滅菌した。粒子(0.25g)を、BCAとAAとを2:1で含む0.75gの滅菌された混合物に加えた。得られた懸濁液は室温で流動可能であったが、水又は動物組織と接触すると硬化し、堅固な接着材料を形成した。
【0104】
例4
埋め込み可能な材料Cの調製
50/50PLGAの粒子を、例3に記載した方法で調製し、ヒドロキノン(0.5%)をPVA乳化液に加え、粒子の表面上にヒドロキノンを閉じ込めた。粒子を収集し、凍結乾燥し、滅菌した。粒子(0.25g)を、0.75gの滅菌されたBCAに加えた。粒子懸濁液は室温で流動可能であり、シアノアクリレートポリマー化を示さなかった。この組成物は、水又は組織に露出されると硬化し、堅固な接着材料を形成した。
【0105】
例5
埋め込み可能な3つの材料の、ウサギの卵管での実験
上記の例と同様に調製された3つの候補材料を、ウサギの卵管に配置したときに機械的閉塞を形成する能力、及び、組織内部成長反応を発生する能力に関して実験した。第4の材料(メチルシアノアクリレート(MCA))を、実験対照材料として用いた。メチルシアノアクリレートは、以前に、動物及びヒトの女性の避妊を実行するために用いられているが、生体適合性の面で許容されないことが示されている。実験材料および実験対照材料の各々を、3匹のニュージーランドホワイトラビットの卵管に、公開手順(20G IVカテーテルをデリバリーシステムとして用いる)により滴下した。これらの材料を、カテーテルを通して左右の子宮体の角状部に注入した。材料が子宮の他の部分に逆流することを防止するために指圧を用いた。材料が盲管内にあることを確認したならば(すなわち、腹膜からの漏出が生じたならば)、又は、十分な量の材料が配送されたならば、材料の順流を停止した。非常に急速に硬化し、カテーテルに付着し、硬化の高熱を生じる実験対照材料と比較して、実験材料は、より長い硬化時間(閉鎖前の時間内であり、且つ、粘着を生じずにカテーテルを除去するために十分に長い)を有し、また、それほど多くの熱も発生しないことが注目された。左右両方の卵管を処置したならば、生殖器官を骨盤内に再び配置し、切開を閉じた。14日後に動物を解剖した。染料注入テストが、全ての動物の卵管が閉塞されることを示した。1つの実験材料は、過剰な量の炎症および粘着を生じたので、除外した。残りの実験材料及び実験対照材料は、適切な組織反応を生じ、炎症細胞及び挫滅組織片により、卵管の内腔を完全に閉塞させた。
【0106】
例6
外植されたヒトの子宮におけるデリバリーシステムの使用
図1にされたシステムと同等の試作のデリバリーシステムを用いて、外植された3つのヒトの子宮(協会の施設内倫理委員会の規則に従って得られた)の卵管に、染料及び閉塞材料を配送した。各々の場合において、外植された子宮を検査台上に解剖的位置にて配置し、イントロデューサのシャフトを、シャフト先端が子宮底に達するまで(触感により決定)、経頸管的に配置した。次いで、2つのバルーンカテーテルの各々を、イントロデューサ内のチャネルを通して、カテーテルが子宮の角状部内で留まったことを感じるまで前進させた。抵抗が感じられるまでバルーンを膨張させた。次いで、装置の視覚化を可能にするために子宮を切開(bivalve)し、装置が各々、適切に配置されたことを確認した。上記の3体のうち、1つのケースは正常な多産子宮を示し、2つのケースが重大な平滑筋腫を示した。これは、子宮筋腫が中線の外側にあること、又は、子宮角がデリバリーシステムの使用の成功を妨げていないこと示す。配置が成功したことを確認した後、カテーテルを通して一連の液体注入を行った。第1の注入は、開存性を確認するために食塩水を用い、第2の注入は、子宮腔への逆流が起こらなかったことを証明するためにヘマトキシリン染料を用い、最後の注入は、先に示した例における動物実験から得た閉塞材料を、このシステムがヒトにおいて十分に機能することを示すために用いた。実験された各ケースにおいて、染料が、子宮腔への漏出がない順流を示し、材料が成功裡に配送された。
【0107】
例7
閉塞組成物
【表1】

【0108】

【0109】

【0110】

【表2】

【0111】
その他の刊行物
1.「受胎、家族計画及び女性の健康:家族成長の全国調査(1995年)のからの新データ」:JC・アブマ(Abma)、A・チャンドラ(Chandra)、WD・モーシァー(Mosher)ら(医学雑誌バイタル・アンド・ヘルス・スタティスティクス(Vital and health statistics)1997年第23(19)刊)
2.「産婦人科医のための臨床管理ガイドライン」:米国産婦人科学会公報46(医学雑誌オブステトリクス・アンド・ジネコロジー(Obstetrics and Gynecology)2003年第102刊 647〜658)
3.「精管切除術の安全性に関する事実」(泌尿器疾患財団)
4.「子宮内器具の適切な使用」:T・カナバン(canavan)(米国家庭医学会 1998年12月)
5.「精管切除術技術」:T・クレニー(Clenney)ら(米国家庭医学会 1999年7月)
6.「受胎、避妊及び人口政策」(国連人口委員会、経済社会局 2003年4月25日 ESA/P/WP.182)
7.「避妊手術及びその結果」:N・ヘンドリクス(Hendrix)ら(医学雑誌オブステトカル・アンド・ジネコロジカル・サーベイ(Obstetrical and Gynecological Survey)1999年12月第54刊(12)766頁)
8.「経口避妊薬、卵管避妊手術、及び卵巣嚢胞の機能的リスク」:VL・ホールト(Holt)ら(医学雑誌オブステトリクス・アンド・ジネコロジー(Obstetrics and Gynecology)2003年第102刊:252〜258)
9.「精管切除術と比較した女性の卵管避妊法の後悔」:DJ・ジェイミソン(Jamieson)ら(医学雑誌オブステトリクス・アンド・ジネコロジー(obstetrics and Gynecology)2002年第99刊 1073〜1079)
10.「ピル:30年の安全性」:S・スナイダー(Snider)(食品医薬品局 2001年4月)
11.「卵管結紮避妊術の副作用」(ビディヤ・メディカルニュースサービス(Viddya Medical News Service) 第1刊、論題249)
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】図1Aは、閉塞材料の経頸管的デリバリーのためのデリバリー装置の一実施形態を示し、図1Bは、ダブルルーメンカテーテルの一実施形態を示し、図1Cは、膨張可能な材料を収容しているカートリッジ部品を示し、膨張可能な材料は、限定はしないが、閉塞材料又はバルーン膨張材料を含む。
【図2】図2Aは、デリバリー装置を配備及び使用するためのデリバリーシステムの方法の一実施形態における1つのステップを示し、このステップにおいて、イントロデューサが頸部を通して挿入されており、図2Bは、デリバリー装置を配備及び使用するためのデリバリーシステムの方法の一実施形態における1つのステップを示し、このステップにおいて、2つのダブルルーメンカテーテルが子宮角内に対側的に配備されており、図2Cは、デリバリーシステムの方法の一実施形態における1つのステップを示し、このステップにおいて、各カテーテルは引き下げられており、操作者が、イントロデューサシャフトを子宮から引き出し始めている。
【図3】図3Aは、デリバリーシステムの一実施形態を示し、デリバリーカテーテルが部分的に延伸されている様子が示されており、図3Bは、図1Aのデリバリーシステムの一部を示し、イントロデューサ先端、及び、部分的に延伸されたカテーテルが拡大されて詳細に示されており、図3Cは、図3Aのデリバリーシステムの内部の図を示す。
【図4】図4〜図4Cは、デリバリー装置安定器の一実施形態、及び、デリバリー装置安定器の身体内での配置を示し、図4Aは、デリバリー装置安定器の一実施形態が身体内に配置される前の様子を示し、図4Bは、デリバリー装置安定器が適切な位置に配置され、膨張可能な部分が膨張する前の様子を示し、図4Cは、膨張可能な部分が膨張された様子を示し、図4Dは、イントロデューサシャフト上でスライド可能で、且つ、膨張可能な部分が組み込まれたデリバリー装置安定器の一実施形態を示し、膨張可能な部分が未だ膨張されていない様子が示されており、図4Eは、イントロデューサシャフト上でスライド可能な、予め形成されたデリバリー装置安定器の一実施形態を示し、図4Fは、イントロデューサシャフト上でスライド可能で、且つ、頸部を覆うように嵌るカップ形状のベース部分が組み込まれたなデリバリー装置安定器の機構の一実施形態を示し、図4Gは、図4Fに示したデリバリー装置安定器の、頸部の外面との相互作用を示す。
【図5】図5は、頸部クランプ及びその配置を示し、図5Aは、頸部クランプが組み込まれたデリバリー装置の一実施形態が身体内の適切な位置に配置されている様子を示し、図5Bは、デリバリー装置の一実施形態が、身体内の適切な位置に、頸部クランプが適切な位置に配置された状態で配置されている様子を示し、図5Cは、頸部クランプの一実施形態の様相を示し、図5Dは、頸部クランプの一実施形態の様相を示す。
【図6】図6は、閉塞を開放するための方法及び装置の実施形態を示す。図6Aは、閉塞を崩壊させ、除去する1以上の溶液を配送する一実施形態を示し、図6Bは、閉塞を開放するためにガイドワイヤ又はカテーテルを用いる一実施形態を示し、図6Cは、閉塞を開放するための、膨張可能な部材、例えばバルーンを使用する一実施形態を示し、図6Dは、閉塞を開放するための切断又は創傷清拭部材を使用する一実施形態を示し、図6Eは、閉塞を開放するためのエネルギー装置の一実施形態を示し、図6Fは、開放後の導管の一実施形態を示す。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図4A】

【図4B】

【図4C】

【図4D】

【図4E】

【図4F】

【図4G】

【図5A】

【図5B】

【図5C】

【図5D】

【図6A】

【図6B】

【図6C】

【図6D】

【図6E】

【図6F】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト又は動物の身体内の少なくとも1つの導管を閉塞させるための方法であって、
a)閉塞材料を含む有効量の組成物を配送することができるデリバリーシステムを設けることを含み、当該デリバリーシステムが、少なくとも2つのカテーテルをもたらすための少なくとも1つのイントロデューサシャフトを含むデリバリー装置と、デリバリー端上の端部構造物、及び近位端上の取付け手段を各々が含む2つのカテーテルと、閉塞材料を含む組成物と、閉塞材料を含む前記組成物を、カテーテル内に、及びカテーテルを通してもたらすための手段とを含み、前記方法が、さらに、
b)閉塞材料を含む有効量の組成物を、ターゲット部位又はその付近に、前記閉塞材料が導管の内腔を閉塞させるように配送することを含み、前記方法が、さらに、
c)導管を、導管の内腔内にて、閉塞材料を含む組成物により閉塞させることとを含む方法。
【請求項2】
イントロデューサシャフトの取り出し及び再挿入、又は実質的な再配置を行わずに2つの導管が閉塞される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2つの導管が哺乳類の卵管である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
さらに、d)少なくとも1つの導管を再開放すること、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
閉塞材料を含む組成物が、前記内腔に配送される前に混合される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
閉塞材料を含む組成物が、液体の組織接着剤及び溶媒和ポリマーを含み、前記組成物が現場(in situ)で硬化する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
閉塞材料を含む組成物が超音波可視性である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記超音波可視材料が、空気若しくはガスの微小泡、又は、空気若しくはガスを閉じ込めた材料の微小粒子を含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記液体の組織接着剤が、シアノアクリレート、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、変性ポリエチレングリコール、トロンビン、コラーゲン、コラーゲンを基材とする接着剤、フィブリン、フィブリン接着剤組成物、ゼラチン−レゾルシノール−ホルムアルデヒド−グルタルアルデヒド(GRFG)接着剤、コラーゲン又はトロンビンと組み合わせた自家血液、架橋アルブミン接着剤、変性グリコサミノグリカン、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を基材とする接着剤、カルボジイミド又はゲネピン(genepin)で架橋されたアルギナート、キトサン又はゼラチンであり;溶媒和ポリマーが、再吸収可能なポリエステルであり、ポリラクチド、ポリグリコリド、若しくはポリカプロラクトン、又はこれらの材料のコポリマーを含み、当該コポリマーが、ポリ(ラクチド/グリコリド)酸(PLGA)、又は、ポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)(PLCL)を含む請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記硬化された組成物の膨潤率が20%未満である請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記硬化された組成物が、約30日〜約365日の期間に、実質的に約20%〜約100%再吸収される請求項6に記載の方法。
【請求項12】
閉塞が組織の内部成長により維持される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
閉塞材料を含む組成物が、液体の組織接着剤、及び粒子を含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記粒子が、再吸収可能なポリマーの球体を含むナノ粒子又は微小粒子である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記粒子の直径が約0.1マイクロメータ〜約1000マイクロメータである請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記閉塞材料が超音波により観測可能である請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が、さらに、組織瘢痕化剤、線維化剤、受精抑制剤、避妊薬、組織成長促進物質、ホルモン、重合防止剤、重合安定剤、乳化剤、エコー源性剤、造影剤、粘性変更材料、可塑剤、着色剤、又は、これらの薬剤及び材料の組合せを含む請求項6に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、さらに、閉塞材料のための硬化可能な担体、コントロールリリース剤、組織瘢痕化剤、線維化剤、受精抑制剤、避妊薬、組織成長促進物質、ホルモン、重合防止剤、重合安定剤、乳化剤、エコー源性剤、造影剤、粘性変更材料、可塑剤、着色剤、又は、これらの薬剤及び材料の組合せを含む請求項13に記載の方法。
【請求項19】
避妊のための方法であって、
a)閉塞材料を含む有効量の組成物を配送することができるデリバリーシステムを設けることを含み、当該デリバリーシステムが、少なくとも2つのカテーテルをもたらすための少なくとも1つのイントロデューサシャフトを含むデリバリー装置と、2つのデュアルルーメンバルーンカテーテルと、閉塞材料を含む組成物と、閉塞材料を含む前記組成物を、カテーテル内に、及びカテーテルを通してもたらすための手段とを含み、前記方法が、さらに、
b)閉塞材料を含む有効量の組成物を、ターゲット位置又はその付近に、前記閉塞材料が少なくとも1つの卵管の内腔を閉塞させるように配送することを含み、前記方法が、さらに、
c)卵管を、導管の内腔内にて、閉塞材料を含む組成物により閉塞させることとを含む方法。
【請求項20】
避妊装置であって、少なくとも2つのカテーテルをもたらすためのイントロデューサシャフトと、デリバリー端に端部構造物を各々が含む2つのカテーテルと、閉塞材料を含む組成物と、閉塞材料を含む前記組成物を、カテーテル内に、及びカテーテルを通してもたらすための手段とを含む避妊装置。
【請求項21】
前記端部構造物が、カップ、ノズル又はバルーンである請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記避妊装置を、当該装置が一度配置されたならば所定位置に保持するためのデリバリー装置安定器をさらに含む請求項19に記載の装置。
【請求項23】
デリバリー装置安定器が、前記装置を適切な位置に保持するために、頸部に嵌め付けられ、若しくは取り付けられ、若しくは頸部内に嵌め込まれ、又は頸部内で膨張する請求項21に記載の装置。
【請求項24】
少なくとも1つの閉塞された導管を開放するための方法であって、
a)少なくとも2つのカテーテルをもたらすための少なくとも1つのイントロデューサシャフトと、デリバリー端に端部構造物を各々が含む2つのカテーテルと、導管を再開放するための手段とを含むデリバリー装置を設けることと;
b)導管を再開放することとを含む方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法により閉塞された少なくとも1つの閉塞導管を開放するための方法であって、
a)導管を開放する手段を配送することができるデリバリー装置を含むデリバリーシステムを設けることと;
b)導管を開放することとを含む方法。
【請求項26】
導管を開放する手段を配送することができるデリバリーシステムが、デリバリー装置を含み、当該デリバリー装置が、少なくとも2つのカテーテルをもたらすための少なくとも1つのイントロデューサシャフトと;静的装置を一端に含む少なくとも1つのカテーテルと;配置時にデリバリーシステムを適切な位置に保持するための手段と;導管を開放するための手段とを含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
導管を開放するための手段が、閉塞材料を粉砕するための衝撃波、溶剤を含む化学的手段、酵素を含む生物学的手段、又は、内腔を再疎通させるための堅固な、若しくは切断用のカテーテル端を含む機械的手段をもたらすための装置又は部材を含む請求項24に記載の方法。
【請求項28】
さらに、c)ステントを前記導管の内腔内に設けることにより導管の開放を維持すること、を含む請求項24に記載の方法。

【公表番号】特表2007−523716(P2007−523716A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500782(P2007−500782)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/006334
【国際公開番号】WO2005/082299
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(506289882)フェマシス インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】