説明

導電性ボールの搭載方法および搭載装置

【課題】本発明は、所定のパターンで導電性ボールを被配列体に確度よく搭載するための改良された搭載方法および搭載装置を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明は、被配列体の少なくとも一面に所定のパターンで形成された凹部に導電性を有するボールを充填することで被配列体にボールを搭載する方法であって、
軸芯をほぼ揃えた状態で密接して配設された弾性を有する複数の線状部材を備え、前記被配列体の一面に供給された前記ボールに対し前記線状部材が略水平な姿勢で当接可能な状態に配設された振込具を、前記被配列体の一面に前記線状部材を押付けつつ前記被配列体の一面に対し相対的に水平移動するステップを含む搭載方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品または電子部品の製造するために使用される部材など被配列体に所定のパターンで整列された状態となるように導電性を有するボールを搭載するための搭載方法および搭載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
導電性を有するボール(以下導電性ボールと称する。)が所定のパターンで整列された状態となるように搭載される被配列体の一例として、例えばBGA(Ball Grid Allay)タイプやFC(Frip−Chip)タイプなどエリアアレイ型の突起状接続バンプを有する半導体装置、基板またはそれらのパッケージなどの電子部品がある。
【0003】
近年、携帯端末機器やノート型パソコンの高速化と高機能化、及び軽量化、小型化と薄型化が進むにつれ、それらに内蔵される電子部品に対しては、その小型化、薄型化と多端子化という相反する性能が要求されている。その要求に応ずるものとして、上記エリアアレイ型の電子部品が採用されている。
【0004】
例えば半田や銅など導電材を用いて接続バンプを形成する方法としては、導電材を含んだペーストを電子部品の電極に印刷するペースト方式、導電性ボールを電極に搭載する導電性ボール方式、導電材をメッキや蒸着する膜付け方式などがある。多端子化のため電極の配列は高密度化し、それに伴い接続バンプの大きさも小型化する傾向にある。小型の接続バンプを形成する場合には、接続バンプの整列精度や高さの均一性(コプラナリティー)、ボイドレスの面で有利な導電性ボール方式が採用される場合が多くなってきている。
【0005】
従来の導電性ボール方式によれば、前記接続バンプは、ソルダーペーストやフラックスなど粘着性を有する接続助剤からなる粘着膜を電極上に形成する粘着膜形成工程と、粘着膜を介して電極に導電性ボールを搭載する搭載工程と、その導電性ボールを加熱するなどして接続バンプを形成するバンプ形成工程を経て形成される。
【0006】
搭載工程で導電性ボールを電極に搭載する方法として、吸着方式と振込方式が周知であり、後者の一例が下記特許文献1に開示されている。
【0007】
特許文献1に記載された搭載方法は、「電子部品上の複数の電極部分の各々に選択的に粘着膜を形成する粘着膜形成工程と、該粘着膜形成工程で形成された粘着膜の各々の上に接合材を整列させて供給する接合材整列供給工程と、該接合材整列供給工程で供給した接合材を溶融して電極部分と接合する接合工程とを有する」ものであり、整列部材であるボール整列マスクをウェハ上に配置し、ボール整列マスクの上に半田ボールを供給し、振込具である整列スキージで該半田ボールを移動させて粘着膜が形成された電極の上に搭載するものである。
【0008】
この振込方式では、上記マスクの開口部の規制により半田ボールを精度よく電子部品上に位置決めできるとともに、電子部品において電極以外の部分はマスクで遮蔽されているので余剰ボールが不要な部分に付着する恐れが少ないという利点がある。しかしながら、電子部品に搭載された半田ボールは粘着膜で仮止めされている状態であるため外力(例えば電子部品の運搬時に作用する)が働くと外れてしまう可能性があった。
【0009】
その問題を解決することを目的とした技術が、例えば下記特許文献2、3に開示されている。特許文献2,3に記載された搭載方法は、振込方式の一つの態様であり、電子部品の電極に対応した凹部を有する樹脂膜(例えばレジスト膜)を該電子部品の電極の側の面に形成し、該凹部に半田ボールを充填することで搭載するものである。この方法によれば、電子部品に搭載された半田ボールは樹脂膜の凹部により拘束されているので自由に運動ができず、その結果、外力が作用した場合でも電子部品から外れ難いという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−267731号公報
【特許文献2】特開平11−186455号公報
【特許文献3】特開2003−332369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
今後、電子部品の更なる多端子化、小型化の要求が想定される。その場合には、接続バンプの数は膨大となるため狭ピッチ化、高密度化され、導電性ボールも100μm以下の径小のものが使用されることとなる。したがって、そのような径小な導電性ボールを電子部品に所望の搭載位置に確実に搭載する技術が求められている。特許文献2,3の搭載方法は、上記した利点を有するものの、樹脂膜に形成された凹部に導電性ボールを確度よく充填する点については開示されていない。
【0012】
本発明は、上記した公知技術の問題を鑑みてなされたものであり、所定のパターンで導電性ボールを被配列体に確度よく搭載するための改良された搭載方法および搭載装置を提供することを目的としている。なお、Sn又はCu、Au、Ag、W、Ni、Mo、Alなど金属を主体とした導電性ボールは本発明に含まれる。また、ポリプロピレン又はポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、酢酸セルロース、ポリエステル系などの樹脂を主体としたボールの表面に半田などの導電性金属をコーティングした導電性ボールは本発明に含まれる。半導体装置(チップ)、基板、それらのパッケージ、その他の電子部品など接続バンプとして導電性ボールが採用される電子部品は本発明の被配列体に含まれる。また、電子部品に接続バンプを形成するための部材、例えば導電性ボールを電子部品に搭載するため該導電性ボールが配置される部材も本発明で言う被配列体に含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一の態様は、被配列体の少なくとも一面に所定のパターンで形成された凹部に導電性を有するボールを充填することで被配列体にボールを搭載する方法であって、軸芯をほぼ揃えた状態で密接して配設された弾性を有する複数の線状部材を備え、前記被配列体の一面に供給された前記ボールに対し前記線状部材が略水平な姿勢で当接可能な状態に配設された振込具を、前記被配列体の一面に前記線状部材を押付けつつ前記被配列体の一面に対し相対的に水平移動するステップを含む搭載方法である。
【0014】
この態様によれば、少なくとも一面に所定のパターンで形成された凹部を有する被配列体に対し、軸芯をほぼ揃えた状態で配設された複数の線状部材を備え、被配列体の一面に供給されたボールに対し線状部材が略水平な姿勢で当接可能な状態に配設された振込具は、被配列体の一面に対し相対的に水平移動される。ボールは、振込具が水平移動することにより線状部材に捕捉され移動し、被配列体の凹部に充填される。その一方で、振込具の線状部材は、被配列体の一面に対しその軸芯が平行な姿勢を保ちつつ水平移動される。したがって、該線状部材は凹部に入り込み難く、凹部に充填されたボールが該線状部材で掻き出される恐れが少ない。ここで、弾性を有する線状部材は被配列体の一面に押付けられつつ被配列体の一面に対し相対的に水平移動するので、凹部の上方まで移送されたボールには重力に加え、弾性変形した線状部材の反力による下向きの力も作用する。重力に加えその反力が作用したボールは凹部へ円滑に確実に装入される。さらに、個々には剛性の低い線状部材を複数本密設することにより全体的には剛性を有することとなる。したがって、密接された線状部材により、マスクに多数個投入されるボールを全体で捕捉できるとともに、捕捉したボールを通じて反力を受けても変形し難くなる。
【0015】
本発明の別の態様は、被配列体の少なくとも一面に所定のパターンで形成された凹部に導電性を有するボールを充填することで被配列体にボールを搭載する装置であって、軸芯をほぼ揃えた状態で密接して配設された複数の線状部材を備え、少なくとも前記ボールを搭載する時には、前記被配列体の一面に供給された前記ボールに対し前記線状部材が略水平な姿勢で当接可能な状態に配設され、前記被配列体の一面に対し相対的に水平移動される振込具を有し、前記線状部材は弾性を有するとともに前記被配列体の一面で押圧される状態に位置決めされる搭載装置である。
【0016】
この態様によれば、少なくとも一面に所定のパターンで形成された凹部を有する被配列体の該一面に供給されたボールに対し線状部材が略水平な姿勢で当接可能な状態に配設され、軸芯をほぼ揃えた状態で配設された複数の線状部材を備えた振込具を、被配列体の一面に対し相対的に水平移動する。ボールは、振込具が水平移動することにより線状部材に捕捉され移動し、被配列体の凹部に充填される。その一方で、振込具の線状部材は、被配列体の一面に対しその軸芯が平行な姿勢を保ち水平移動される。したがって、該線状部材は凹部に入り込み難く、凹部に充填されたボールは該線状部材で掻き出されることが少ない。ここで、線状部材は弾性を有するとともに被配列体の一面で押圧される状態に位置決めされているので、線状部材が被配列体の一面に対し相対的に水平移動して凹部の上方までボールを移送したとき、当該ボールには重力に加え弾性変形した線状部材の反力による下向きの力も作用する。重力に加えその反力が作用したボールは凹部へ円滑に確実に装入される。さらに、個々には剛性の低い線状部材を複数本密設することにより全体的には剛性を有することとなる。したがって、密接された線状部材により、マスクに多数個投入されるボールを全体で捕捉できるとともに、捕捉したボールを通じて反力を受けても変形し難くなる。
【発明の効果】
【0017】
以下で詳細に述べるように、本発明によれば、所定のパターンで導電性ボールを被配列体に搭載するための改良された搭載方法および搭載装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1態様に係る搭載装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1の搭載装置で導電性ボールが搭載される基板の構造を示す図である。
【図3】図1の部分拡大断面図である。
【図4】図1の振込具の変形例を示す図である。
【図5】図1のa−a断面図であって振込具の部分拡大断面図である。
【図6】図1の平面図である。
【図7】図1の搭載装置の動作を説明する図である。
【図8】図1の振込具の振込みの際の動作を説明する図である。
【図9】本発明の第2態様に係る搭載装置の概略構成を示す斜視図である。
【図10】図9の磁気発生手段の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施態様]
本発明の第1態様について図1〜8を参照しながら説明する。図1は、第1態様に係る搭載装置の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1の搭載装置で導電性ボールが搭載される基板の構造を示す図である。図3は、図1の部分拡大断面図である。図4は、図1の振込具の変形例を示す図である。図5は、図1のa−a断面図であって振込具の部分拡大断面図である。図6は、図1の平面図である。図7は、図1の搭載装置の動作を説明する図である。図8は、図1の振込具の振込みの際の動作を説明する図である。
【0020】
第1態様の対象である被配列体としての基板7は、図2に示すように、例えばマザーボードなど外部装置に接続される接続バンプ72b(72)がエリアアレイ状に一面(下面)に突設されるとともに、半導体素子に接続される接続バンプ72a(72)がエリアアレイ状に他面(上面)に突設されている。この基板7の上面に半導体素子がフリップチップボンディングされパッケージcが形成される。
【0021】
基板7は、薄板状の基体73と、基体73の上面側に前記接続バンプ72aが突設されるパッド状の電極71a(71)と、下面側に前記接続バンプ72bが突設されるパッド状の電極71b(71)を有している。基体73の表面及び内部には再配線のため導体パターンが形成されている。基体73としては、周知の樹脂製又はセラミック製の基体、或いはそれらが積層された基体などが必要に応じ選択される。
【0022】
図3に示すように、基板7の上面には、電極71に対応し半田ボールBが充填可能な凹部51を有するレジスト(樹脂)膜5が形成されている。凹部51の深さは、充填された半田ボールBが容易に抜け出さないように半田ボールBの半径以上とし、また、複数個の半田ボールBが充填されないように半田ボールBの直径の2倍未満とするとよい。なお、この凹部51を有するレジスト膜5は周知のフォトリソ加工により形成される。
【0023】
レジスト膜5が形成された基板7に半田ボールBを搭載する第1態様の搭載装置は、図1に示すように、レジスト膜5の上面を図示しない移動手段で水平移動され半田ボールBを凹部51に充填するための振込具27を備えている。
【0024】
振込具27は、軸芯をほぼ揃えた状態で配設された2本以上の線状部材271を備えている。振込具27は、少なくとも半田ボールBが搭載される際には、レジスト膜5の上面に供給された半田ボールBに対して線状部材271がほぼ水平な姿勢で当接可能な状態に配設されるととも、レジスト膜5の上面に対し相対的に水平移動される。
【0025】
符号272で示す一対の保持部材は、その間で、線状部材271を湾曲した腹部を有する形状に保たせるものである。ここで腹部とは、保持部材272で保持されていない部分、具体的には、図4(a)において符号Fで示すように、半田ボールBに当接するほぼ直線状をなす部分のことである。
【0026】
保持部材272の間で張設された線状部材271の形状は、保持部材272の間隔や向きなどを調整することで適宜に調整することができる。すなわち、半田ボールBの搭載範囲が小さな場合には、腹部の長さは短くてもよいので、図4(a)、(b)に示すように略弓形状或いは略コの字形状、略U字形状とすればよい。搭載範囲の広い場合には、長い腹部が必要となるため、図4(c)に示すように略直線状とすればよいし、図4(d)示すように、線状部材271の剛性を上げるため複数の線状部材271を配置してもよい。また、図4(e)に示すように、線状部材271は、その片端で保持部材272に保持されてもよい。
【0027】
振込具27は、人手により或いは機械的な移動機構(一軸テーブルやシリンダなど)で水平移動される。また、レジスト膜5の上面に対して鉛直方向にも振込具27を移動可能にし位置決めできるようすれば、往復動作で半田ボールBを移送する場合には都合がよく特に自動化のためには好適である。
【0028】
振込具27についてさらに詳細に説明する。
図5に示すように、振込具27は、その複数本の線状部材271が密接状態になるように移動方向(紙面において水平方向)及び上下方向に密設されている。具体的には、図示するように幾本かの線状部材271同士を結束して密に保持部材272に固定されている。線状部材271は個々には剛性が低いが、このように線状部材271を密設することにより全体的には剛性を有することとなる。したがって、複数本が密設された線状部材271によれば、レジスト膜5の上面に多数個投入される半田ボールBを全体で捕捉できるとともに、捕捉した半田ボールBを通じて反力を受けても変形し難くなる。
【0029】
線状部材271は、移送中に帯電した半田ボールBを除電して基板7や線状部材271への付着を防止するため、金属またはカーボンなど導電性のある素材を有していれば好ましい。また、線状部材271の表面に付着した水分による半田ボールBの付着を防止するため、線状部材271は、例えば少なくとも表面にフッ素処理などがされ撥水性を付与されていることが好ましい。
【0030】
線状部材271は、種々の断面形状のものを選択することができるが、入手の容易さの点では略円形状のものを採用することが工業生産上望ましい。線状部材271の断面を略円形状とする場合には、半田ボールBよりその直径を小さくすれば、レジスト膜5の上面に供給された半田ボールBに当接した後に線状部材271が半田ボールBに乗り上げ難いので好ましい。
【0031】
水平移動する時の線状部材271の平面視の姿勢は、特に限定されることはないが、図6に示すように、線状部材271の移動方向に対し線状部材271が傾斜した状態で移動した場合には、線状部材271の腹部側面に沿い半田ボールBが移動して腹部端から漏れてしまう恐れがある。したがって、線状部材271の移動方向と線状部材271の軸芯の交差角度θは45度〜135度の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは、交差角度θを90度前後とし、線状部材271を、その軸芯に対しほぼ直交する方向に移動させればよい。また、線状部材271をレジスト膜5の上面に当接させながら振込具27を水平移動させれば、線状部材271とレジスト膜5の隙間から半田ボールBが漏れることがないので好ましい。
【0032】
前記線状部材271を、例えば軟質の樹脂やゴム、紙、金属などを主体とした柔軟性のある素材で形成すれば、半田ボールBの変形を防止しつつ移送できるので望ましい。さらに、線状部材271に柔軟性がある場合には、図8に示すように、ある線状部材271が変形しその隙間から半田ボールBが漏れた場合でも、漏れた半田ボールBは後方に隣接する別の線状部材271で捕捉される。したがって、凹部51に挿入されなかった残余の半田ボールBは後方に漏れることなく、線状部材271に捕捉された状態で所定位置まで移動される。この残余の半田ボールBを適宜な方法で回収すれば、レジスト膜5の上に半田ボールBが残留する恐れが少なくなる。
【0033】
さらに、前記線状部材271を、所定の腰の強さ、すなわち弾性を有する樹脂やゴム、金属などを主体とした素材で形成し、線状部材271をレジスト膜5の上面に押付けた状態に配設すれば、凹部51の上方まで移送された半田ボールBには重力に加え、弾性変形した線状部材271の反力による下向きの力も作用する。重力に加えその反力が作用した半田ボールBは凹部51へより円滑に確実に装入される。
【0034】
上記搭載装置の動作について説明する。
【0035】
図7(a)に示すように、上記のようなレジスト膜5が形成された基板7を準備する。このとき、レジスト膜5の凹部(好ましくはその底面)51には半田ボールBを仮止めするための粘着膜が形成されていることが望ましい。この粘着膜は、スプレー装置や印刷装置などの粘着膜形成手段で粘着材(フラックスなど)を塗布して形成することができる。
【0036】
電極71の個数以上の半田ボールBをレジスト膜5の上面に供給する。レジスト膜5の上面に供給された半田ボールBに対し線状部材271が略水平な姿勢で当接するように配設された振込具27をマスク22の上面に対し相対的に水平移動する。
【0037】
そうすると、図8に示すように、半田ボールBは、レジスト膜5の上面に対し略水平な状態で移動する線状部材271の腹部で捕捉され、凹部51の上方まで移動され、凹部51に装入され、図7(b)に示すように電極71に載置される。ここで、線状部材271は、凹部51より十分大きなその腹部がレジスト膜5の上面に対し平行な状態で水平移動するので、凹部51の規制により凹部51に入りこむことがない。したがって、凹部51に既に挿入された半田ボールBが線状部材271で掻き出され、電極71から離脱する恐れが少ない。
【0038】
半田ボールBが搭載された基板7をリフローすれば、図7(c)に示すように接続バンプ72が形成される。
【0039】
[第2実施態様]
本発明の第2態様について図9、10を参照しながら説明する。図9は、第2態様に係る搭載装置の概略構成を示す斜視図である。図10は、図9の磁気発生手段の変形例を示す図である。図9,10において、第1態様と実質的に同様な構成ついては同一の符号を付し、その構造や動作の詳細な説明を省略する。
【0040】
図9に示すように、第2態様の搭載装置は第1態様の搭載装置と基本的には同一の構成であるが、磁性ステンレスのような軟磁性材からなる線状部材271´を備えた振込具27´と、磁気発生手段314を有する点で第1態様の搭載装置と異なっている。
【0041】
磁気発生手段314は、基板7に対し平面的に対応するように配設された略平板状の永久磁石である。振込具27に対する磁気発生手段314の上面(一面)は一定の極(例えば正(N)極)に着磁されている。なお、磁気発生手段314は、基板7に密着した状態で配設されてもよく、その発生する磁力を線状部材271´に適量作用させるため基板7に対し適当な間隙で配設されてもよい。このように配置された磁気発生手段314は、レジスト膜5の上面を水平移動する線状部材271´を発生する磁力で下方に引付ける。
【0042】
磁気発生手段として、図10(a)、(b)で示す磁気発生手段314a、314bを選択することもできる。この磁気発生手段314a、314bは、複数の磁区を有し、隣接した磁区は異なる極性に配された磁気発生手段を具現するため、略立方体状または略直方体状、略円板状の複数個の永久磁石81、82を有し、隣接する永久磁石81、82が異なる極性となるように全体として略平板状に並設したものである。この磁気発生手段314a、314bによれば、永久磁石40から生ずる磁力線の間隔が短くなり、線状部材11はより強く均等に下側へ引付けられる。
【0043】
このような磁気発生手段314a、314bを適用する場合には、図示するように、線状部材271´は、永久磁石81、82の極性の並びの方向に対しその軸芯が略平行な状態となるように配設することが望ましい。このように線状部材271´を配設すれば、線状部材271´は、各永久磁石81、82から生じる磁力線にたいし常にほぼ平行にあるいはほぼ直角にレジスト膜5の上面を水平移動する。したがって、磁気発生手段314a、314bから生じる磁力線の密度差による線状部材271´の変形が抑制される。
【0044】
磁気発生手段として、図10(c)で示す磁気発生手段314cを選択することもできる。この磁気発生手段314cは、複数の磁区を有し、隣接した磁区は異なる極性に配されるとともに各磁区は一列に配されている磁気発生手段を具現するため、例えば略角柱形状の複数個の永久磁石83を有し、隣接する永久磁石83が異なる極性となるようにその短手の側面を密着させて略平板状に並べ配したものである。
【0045】
この磁気発生手段314cは、前記磁気発生手段314a、314bに対し次のように改善されている。すなわち、磁気発生手段314aの場合で説明すると、図10(a)で示すように、磁気発生手段314aは、図において符号811、812で示す2つの方向の磁区の境界を有している。例えば、図示するように線状部材271´を配設した場合、線状部材271´の軸芯と平行な境界811では線状部材271´と交わる磁力線が生じている。水平移動する線状部材271´が境界811の上方を通過する時、線状部材271´は、境界部811に隣接した永久磁石81、82の方向へ引っ張られる。その結果、図において符号dで示すように線状部材271´が変形する。そのように線状部材271´が変形すると、半田ボールBが変形部から漏れたり、変形部では半田ボール7が凹部51へ円滑に装入されないという現象が生じやすい。
【0046】
その一方で、図10(c)に示すように、磁力発生手段314cは、図において符号832で示すように一方向のみの磁区の境界832を有する。したがって、図示するように線状部材271´を配設すれば、境界832で生じている磁力線は線状部材271´の軸芯に対し平行となり、線状部材271´と交わることがない。したがって、線状部材271´には変形が生じることがない。
【0047】
磁気発生手段として、図10(e)、(f)に示す磁気発生手段314e、314fを選択することもできる。この磁気発生手段314e、314fは、前記磁気発生手段314cにおいて、同一の極性の永久磁石85、86を一方向に並設して磁区を形成したものである。このような形態にすれば、磁気発生手段314cのように長い永久磁石83を準備する必要もなく、磁気発生手段314e、314fを低コストで製造できるので好ましい。
【0048】
磁気発生手段として、図10(d)に示す磁気発生手段314dを選択することもできる。この磁気発生手段314dは、磁区を電磁石84で構成したものであり、電磁石84に印加する電流の大きさにより磁力を自在に制御可能となる。したがって、半田ボールBや基板7の大きさにより線状部材271´の長さや太さが変更された場合でも容易に対応可能となる。
【0049】
上記説明では永久磁石や電磁石を複数個用いて磁気発生手段314a〜fの磁区を構成したが、複数の磁区を有するように一枚の磁石を区分したものであってもよい。
【0050】
上記構成の磁気発生手段314を備えた搭載装置によれば、磁気発生手段314が生じる磁力により下向きに引付けられた線状部材271´はレジスト膜5の上面に腹部が押付けられた状態となる。その状態で線状部材271´を水平移動させる。線状部材271´は半田ボールBを捕捉し、凹部51の上方まで移動させる。線状部材271´の腹部には磁力による下向きの押圧力が作用している。したがって、その押圧力が半田ボールBに作用し、半田ボールBは凹部51に円滑に挿入される。レジスト膜5の上面の粗さなどの状態に係らず磁力により生じる線状部材271´の押圧力は一定に維持される。したがって、線状部材271´が移動方向に乱されてスプリングバック的な動きを起こす恐れが少なく、半田ボールBは安定して凹部51に装入される。
【0051】
なお、本発明は上述した実施態様に限られることなく、例えば特許文献3で開示されているいわゆる液中振込方式においても適用することができる。この場合、アルコールなどの液体中において振込具の線状部材でボールは捕捉され移動させられるので、液体の抵抗により移動中のボールの挙動が緩やかになりボールを取扱い易くなるという利点がある。なお、液体としてはアルコールなど被配列体に残渣が残らないものが好ましく、さらに、ボールの凝集を抑制するため導電性のある液体を用いることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、上記の説明に限定されることなく、例えば医薬品や窯業などの分野において徴小な或いは不定形の粉体や粒体を被配列体に搭載する用途にも利用することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
27 振込具
271 線状部材
314 磁力発生手段
5 レジスト膜
51 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被配列体の少なくとも一面に所定のパターンで形成された凹部に導電性を有するボールを充填することで被配列体にボールを搭載する方法であって、
軸芯をほぼ揃えた状態で密接して配設された弾性を有する複数の線状部材を備え、前記被配列体の一面に供給された前記ボールに対し前記線状部材が略水平な姿勢で当接可能な状態に配設された振込具を、前記被配列体の一面に前記線状部材を押付けつつ前記被配列体の一面に対し相対的に水平移動するステップを含む搭載方法。
【請求項2】
被配列体の少なくとも一面に所定のパターンで形成された凹部に導電性を有するボールを充填することで被配列体にボールを搭載する装置であって、
軸芯をほぼ揃えた状態で密接して配設された複数の線状部材を備え、少なくとも前記ボールを搭載する時には、前記被配列体の一面に供給された前記ボールに対し前記線状部材が略水平な姿勢で当接可能な状態に配設され、前記被配列体の一面に対し相対的に水平移動される振込具を有し、前記線状部材は弾性を有するとともに前記被配列体の一面で押圧される状態に位置決めされる搭載装置。
【請求項3】
請求項2に記載の搭載装置において、前記被配列体に相対して配設された磁気発生手段を有し、前記線状部材の少なくとも前記磁気発生手段に対する部位は軟磁性を有する搭載装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の搭載装置において、前記磁気発生手段は、隣接した同士が異なる極性に配された複数の磁区を有する搭載装置。
【請求項5】
請求項4に記載の搭載装置において、前記磁区は一列に配された搭載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−166067(P2010−166067A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37049(P2010−37049)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【分割の表示】特願2004−169418(P2004−169418)の分割
【原出願日】平成16年6月8日(2004.6.8)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】