説明

導電性ローラー

【課題】成形性を向上させるためにゴム成分に配合する炭酸カルシウムのゴム成分への分散性を向上させることができ、混練り時の炭酸カルシウムの凝集を抑制し、均一な表面形状を有する導電性ローラーを提供すること。特に、製造工程中に研削工程を有する場合であっても均一の表面形状を有する導電性ローラーを提供すること。
【解決手段】導電性軸体上にソリッドゴム層を有する導電性ローラーにおいて、ソリッドゴム層が、炭酸カルシウムをゴム成分100質量部に対して20質量部から100質量部の範囲で、且つ、全フィラーに対して50質量%以上の範囲で含み、重質炭酸カルシウムが、粒径1.0μm以下の粒子を全粒子数の30%以下の範囲で含み、平均粒径が3.0μm以下の範囲にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンターおよびファクシミリ等に代表される電子写真装置や静電記録装置などの画像形成装置に使用される帯電ローラーなどの像担持体に接触して使用される導電性ローラー関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンターおよびファクシミリ等に代表される電子写真装置や静電記録装置などの画像形成装置においては、均一に帯電された感光体を露光して得られた静電潜像に、現像剤であるトナーを付着させ、それを紙等の転写材に転写して画像を形成している。このような感光体の帯電はコロナ放電による非接触の帯電方式や、導電性ゴム製の帯電ローラーの接触、摩擦による接触型の帯電方式があるが、近年、放電によるオゾン発生等の問題がない帯電ローラーを用いた接触方式が主流となっている。
【0003】
上記画像形成装置には帯電ローラーを始めとし、現像ローラーおよび転写ローラー等の導電性ゴムローラーが設けられている。これらの導電性ローラーについてはその表面粗さは小さく均一であることが要求される。特に、帯電ローラーにおいて、感光体を均一に帯電させる機能から、また、表面の凹凸がトナーや添加剤などの微粒子が付着し汚れに繋がり、汚れが原因となって帯電不良など機能に支障を来たすことから、その表面粗さは小さく均一であることが要求されている。
【0004】
このような導電性ローラーの製造方法として、例えば、所定の配合を混練りしたゴム組成物を押出し機でチューブ状に押出し、加硫した後、導電性軸体を挿入し所定の形状に研削してゴム層を成形する方法が知られている。また、クロスダイヘッドを用い、ゴム組成物を導電性軸体の外周上に押出し加硫後、表面を研削して所望の形状のゴム層を成形した後、被覆または塗工により表面に抵抗調整層などを作製する方法も知られている。研削により様々な形状への対応が可能な他、振れ等の形状精度も優れた導電性ゴムローラーを製造することが可能となる。また、研削前の押出し、加硫工程では、クロスヘッド押出し機を用い、導電性芯材にゴム組成物を被覆して加硫する方法も用いられる。
【0005】
上記ゴム層の作製には、一般的に、押出しの加工性を向上させるために、炭酸カルシウムやカーボンブラック等の導電性フィラーをゴム成分の単量体100質量部当たり20質量部から100質量部配合したゴム組成物が用いられている。ゴム組成物にフィラーを配合しない場合、ゴムの収縮が激しく、加工困難になることが多い。しかし、加工性改善のために配合したフィラーの種類やその物性によっては、ローラー表面形状を始めとする導電性や硬さ等の特性にも影響を及ぼし、画像形成装置用の導電性ローラーとして要求される性能を低下させる場合がある。
【0006】
具体的には、カーボンブラックやシリカ等のフィラーは、添加による硬度上昇や粘度上昇が大きく、添加量が制限され、充分な加工性を満たすことができない場合もある。炭酸カルシウムを未加硫のゴム成分に添加して混合しゴム組成物を調製する際、硬度や粘度の上昇が少なく好ましいが、混練り時に粒子が凝集し、分散不良によりゴム層表面に凹凸が形成される場合がある。このよう凝集粒子が存在するゴム組成物を用いて導電性ローラーを作製するとき、特に、導電性ローラーを研削工程を経て製造する場合、研削されて現れる表面に凝集物が局所的に出現し、その表面に凸凹形状を形成し、更にその落下により不均一表面が形成される。
【0007】
上記混練り時の炭酸カルシウムの凝集を抑制するために、通気乾燥を行った軽質炭酸カルシウムを使用する方法が報告されている(特許文献1)。また、押出し時にゴム組成物中に含まれている水分等の除去を容易にするため、特定の比表面積を有する炭酸カルシウム粒子を用いる方法が報告されている(特許文献2)。また、特定の粒子径を有する炭酸カルシウムを分散した導電性ゴム材料を用いる方法(特許文献3)が報告されている。しかしながら、これらによっても混練り時にゴム組成物中に炭酸カルシウムを均一に分散することは困難であり、凝集が生じる場合もある。
【特許文献1】特開2004−144906
【特許文献2】特開2004−78127
【特許文献3】特開2002−194203
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、成形性を向上させるためにゴム成分に配合する炭酸カルシウムのゴム成分への分散性を向上させることができ、混練り時の炭酸カルシウムの凝集を抑制し、均一な表面形状を有する導電性ローラーを提供することにある。特に、製造工程中に研削工程を有する場合であっても均一の表面形状を有する導電性ローラーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、導電性軸体上にソリッドゴム層を有する導電性ローラーにおいて、
ソリッドゴム層が、炭酸カルシウムをゴム成分100質量部に対して20質量部から100質量部の範囲で、且つ、全フィラーに対して50質量%以上の範囲で含み、
重質炭酸カルシウムが、粒径1.0μm以下の粒子を全粒子数の30%以下の範囲で含み、平均粒径が3.0μm以下の範囲にある導電性ローラーに関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の導電性ローラーによれば、成形性を向上させるためにゴム成分に配合する炭酸カルシウムのゴム成分への分散性を向上させることができ、混練り時の炭酸カルシウムの凝集を抑制し、均一な表面形状を有するものとできる。特に、製造工程中に研削工程を有する場合であっても均一の表面形状を有するものとできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の導電性ローラーは、導電性軸体上にソリッドゴム層を有する導電性ローラーにおいて、ソリッドゴム層が、炭酸カルシウムをゴム成分100質量部に対して20質量部から100質量部の範囲で、且つ、全フィラーに対して50質量%以上の範囲で含み、重質炭酸カルシウムが、粒径1.0μm以下の粒子を全粒子数の30%以下の範囲で含み、平均粒径が3.0μm以下の範囲にあることを特徴とする。
【0012】
本発明の導電性ローラーに用いられる導電性軸体としては、導電性であってローラーを支持し必要とされる形状精度を維持できるものであれば、いずれのものであってもよい。導電性軸体の材質としては、金属製のものが好ましく、アルミニウム、銅合金、鉄、鋼鉄、ステンレス鋼等の金属または合金などを挙げることができる。耐腐蝕性、耐摩擦性を向上させるため、これらの金属または合金にクロム、ニッケル等のメッキ処理を施したものを摘要することができる。
【0013】
かかる導電性軸体の形状は、中空状あるいは中実状いずれものであってもよく、またその外径は、搭載される画像形成装置との関連において適宜選択することができ、例えば、通常4〜10mmの範囲のものを例示することができる。
【0014】
本発明の導電性ローラーにおけるソリッドゴム層は、ソリッド状である。ゴム層がスポンジ状の発泡体の場合、発泡セルにより形成される表面の凹凸は、炭酸カルシウムにより形成される表面の凹凸と比較して非常に大きく、凝集が生じた炭酸カルシウム粒子により形成される凹凸が及ぼす影響が小さくなる。後述する炭酸カルシウムにより形成される微細凹凸の効果はソリッド体のゴム層で顕著に得ることができる。
【0015】
上記ソリッドゴム層に含まれるゴム成分としては、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO,GECO)など、通常ゴム材料として使用されているものを用いることができる。これらのうち、ローラーの導電性をゴム成分自体の導電性で付与することができるものが、導電性フィラーの分散状態に左右されず均一な導電性を得ることができ、また、導電性の調整も容易なため好ましい。具体的には、体積抵抗率が107〜1010Ω・cmのアクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム等を好ましいものとして例示することができる。
【0016】
特に、エピクロルヒドリン系ゴムは導電性を有し好ましい。エピクロルヒドリン系ゴムとしては、具体的には、エピクロロヒドリンホモポリマー、エピクロロヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロロヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロロヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体などを挙げることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちエチレンオキサイド共重合体は、電気抵抗が比較的低く、エピクロロヒドリンとエチレンオキサイドの共重合比によって電気特性の調整が可能な上、他のポリマーとのブレンド等により容易に所望の抵抗値に調整できることから好ましい。特に、エピクロロヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体は、不飽和結合を有し硫黄や硫黄供与体の硫黄系加硫剤による加硫が可能である上、加硫方法や製造上の制約が少なく、耐熱軟化・劣化性、耐オゾン性を有するため好ましい。ゴム成分中、エピクロルヒドリン系ゴムの割合が、ゴム成分中80質量%から100質量%であることが、低抵抗であるという特徴を生かすことができるため好ましい。
【0017】
また、体積抵抗率が1010Ω・cmより高いエチレンプロピレンゴムなどは、導電性フィラーを充填して、所定の導電性を有するものとすることができる。
【0018】
このようなソリッドゴム層に含まれる炭酸カルシウムは、体積分布における粒径1.0μm以下の粒子を炭酸カルシウム粒子の全体数に対して30%以下の範囲で含み、平均粒径が3.0μm以下の範囲にある。炭酸カルシウムが粒径1.0μm以下の粒子を30%以下で含有することにより、凝集粒子が表面に露出したり、あるいは脱落することによる表面の平滑性不良の発生を抑制することができる。これは、粒径が小さい程、混練り時の凝集が発生し易く、粒径1.0μmを超える粒径を有する粒子は混練りによる凝集が起こりにくいと考えられる。また、粒径が1.0μmより小さい粒径を有する粒子を含有している場合であっても、その含有量が炭酸カルシウム全粒子数に対して、30%以下であれば、混練り時の凝集の発生を抑制することができる。また均一な分散状態を得るために、長時間の混練りを必要とせず、生産効率がよく、生産コストの低減を図ることができる。
【0019】
上記粒径およびその含有割合は、レーザー回折法による測定値とすることができる。
【0020】
更に、炭酸カルシウムの平均粒径が3.0μm以下であれば、表面粗さの増大を抑制することができる。
【0021】
上記平均粒径は、上記測定方法による50%径とすることができる。
【0022】
炭酸カルシウムは、その製造方法によって、重質炭酸カルシウムと軟質炭酸カルシウムとに分類される。重質炭酸カルシウムは、石灰石を機械的に粉砕して製造されたものであり、軟質炭酸カルシウムは、溶液中の消石灰と二酸化炭素の反応により沈殿乾燥等の工程を経て合成されたものである。重質炭酸カルシウムは軟質炭酸カルシウムと異なり、製造中の炭酸カルシウム粒子の凝集が抑制され、凝集粒子の含有率が低い。本発明におけるゴム層に含まれる炭酸カルシウムとして、重質炭酸カルシウムを用いることにより、一般的に小粒径であり凝集し易い軟質炭酸カルシウムを用いる場合には困難であるところ、容易に特定の粒子径を有するものとすることができる。炭酸カルシウムは脂肪酸等で表面処理されたものであってもよい。
【0023】
上記炭酸カルシウムは、ゴム成分100質量部に対し、20質量部から100質量部で含有される。炭酸カルシウムの含有量がゴム成分100質量部に対して20質量部以上であれば、表面が適度な平滑性を有し、押出し加工性や研削加工性に優れたものとなる。また、ゴム成分100質量部に対し炭酸カルシウムの含有量が100質量部以下であれば、ゴム成分の特性が阻害されることがなく、充分な弾性を得ることができる。
【0024】
また、炭酸カルシウムはソリッドゴム層に含まれる全フィラー中、50質量%以上含有される。炭酸カルシウムの含有量が全フィラー中50質量%以上であれば、他のフィラーによる炭酸カルシウムの作用の阻害を抑制することができる。
【0025】
上記ソリッドゴム層に含まれるその他のフィラーとしては、充填剤、補強剤、導電剤、加硫剤、加硫促進剤などを挙げることができる。充填剤としては、炭酸カルシウムの他、クレー等を挙げることができる。補強剤としてはカーボンブラックやシリカなどを挙げることができる。また、導電剤としては酸化亜鉛等の金属酸化物などの粒径5μm以下の微粒子の他、上記カーボンブラックも導電剤として用いることができる。
【0026】
加硫剤としては、硫黄または有機系硫黄化合物の他、従来公知の架橋剤を使用することができる。加硫剤の配合量としては、ゴム成分100質量部に対し、0.1から10質量部とすることができ、好ましくは0.3から5質量部である。その他加硫系の薬品としてメルカプトベンゾチアゾール等のチアゾール類、テトラメチルチウラムジスルフィド等の加硫促進剤、酸化亜鉛などの加硫促進助剤等を用いることができる。これらの配合量としては、ゴム成分100質量部に対し、各々0.1から20質量部とすることができ、好ましくは0.3〜10質量部である。
【0027】
上記ソリッドゴム層の厚さとしては、例えば、0.5mmから5.0mmとすることができる。
【0028】
本発明の導電性ローラーは、適宜必要に応じて、抵抗調整層、表面保護層などの機能層を設けることができる。
【0029】
このような本発明の導電性ローラーの製造方法としては、エピクロロヒドリン系ゴムなどの未加硫のゴム成分と炭酸カルシウムを含む上記添加剤とを上記範囲で混練り分散してゴム組成物を調製する。ゴム組成物を円筒形状に押出し成形し、架橋硬化後、導電性軸体を圧入し研削して製造する方法を挙げることができる。また、型によるプレス成形等により所望の形状に架橋硬化し、研削する方法を挙げることができる。
【0030】
上記ゴム組成物の架橋硬化には熱風炉加硫、蒸気缶加硫、プレス加硫など公知の方法を使用することができ、その条件として、例えば160℃〜180℃で10分〜60分などの条件を挙げることができる。
【0031】
上記架橋硬化後、研削工程を経てソリッドゴム層を成形することが好ましい。研削により現れるソリッドゴム層表面には炭酸カルシウムの粒子が出現する。上記炭酸カルシウムを使用しそれが均一に分散されたゴム組成物を用い、これを架橋硬化することにより、炭酸カルシウムによる微小な凹凸が均一に形成された表面を形成することができる。
【0032】
ソリッドゴム層の成形後、その外周に、ディッピング、塗布等の塗工により抵抗調製機能などを有する樹脂層を設けることも可能である。
【0033】
このようにして得られる本発明の導電性ローラーは、表面に微小な凹凸が均一に形成され表面性に優れたものであり、感光体を均一に帯電させることを目的とする帯電ローラーに特に好ましく用いることができる。特に、研削工程を経て成形される導電性ローラーは表面に微小な凹凸が均一に形成され、帯電体ローラーに好適である。研削工程を経ずに成形されたソリッドゴム層を有する場合であっても、炭酸カルシウム粒子の凝集が抑制され、表面に影響を及ぼす凹凸形状の形成を抑制することができる。
【0034】
本発明の導電性ローラーを備えた電子写真装置の画像形成装置の一例としては、図1に示すものを挙げることができる。図1に示す画像形成装置には、被像担持体である感光体1と、その周囲に本発明の導電性ローラーである帯電ローラー2、現像ローラー4c、転写ローラー5が設けられる。具体的には、感光体と接触し感光体の表面の帯電を行うバイアス印加電源S1に接続された帯電ローラー2が設けられる。帯電ローラー2により摩擦・帯電された感光体に潜像を形成するための露光手段3、感光体上の潜像に現像ローラー4aによりトナーを供給し潜像の現像を行う現像手段4が設けられる。更に、バイアス印加電源S2に接続された転写ローラー5が設けられ、転写ローラーと感光体間に搬送される転写材Pに裏面からバイアス電源を印加して、感光体上のトナー像を転写材上に転写するようになっている。転写材上のトナー像は図示しない定着装置において加熱などにより転写材上に定着され、転写材への画像形成が行われる。感光体表面はクリーニング手段により残留トナーが除去され、次の画像形成を待機するようになっている。
【実施例】
【0035】
次に本発明について実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0036】
表1及び表2に示す配合をニーダーで混練りして未加硫のゴム組成物を得た。次に、このゴム組成物を70mmL/D20の押出し機に投入し、直径8.0mmのダイス、直径2.0mmのニップルを装着したヘッドにより円筒形に押出した。これを160℃、30分蒸気加硫した。加硫後、直径6.0mmの導電性軸体に圧入し直径9.6mmの加硫ゴム層を作製した。押出し機の各温調は75℃、スクリュー回転数は6rpmに調整した。加硫ゴム層は、ゴム長220mmとなるように導電性軸体両端のゴムを除去し、直径8.5mmまで研削し、導電性ローラーを作製した。
【0037】
表1、2中の重質炭酸カルシウムの粒度分布における体積50%の平均粒子径(以下、D50という。)は、レーザー回折法により測定した。
【0038】
また、粒子径1μm以下の粒子の割合は、レーザー回折法により測定した。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
[成形加工性]
押出し時、ゴム組成物の収縮や押出し圧力の状況により、加工性を評価した。結果を表3、4に示す。
【0042】
[分散性]
研削後の研削面を光学顕微鏡(ライカ社製)により50倍拡大像を観察した。100μm未満の異物と100μm以上の異物を測定した。100μm以上の異物として確認されるものは、主に炭酸カルシウムの分散不良物であった。結果を表3、4に示す。
【0043】
[表面粗さ]
研削後の研削面について、表面粗さを測定した。基準長さは6mm、十点平均表面粗さ(Rz−JIS)を測定した。結果を表3、4に示す。
【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
実施例1〜3では重質炭酸カルシウムとして、粒子径1.0μm以下の粒子が30%以下、D50が3.0μm以下にあり、かつ、ゴム層中に含有される全フィラーに対する重質炭酸カルシウム質量が50質量%以上である。いずれの場合も粒子径100μm以上の凝集粒子が存在しない良好な分散性を示した。これに対し、粒子径1.0μm以下の粒子が全体数の30%以下、D50が3.0μmを超える重質炭酸カルシウムを使用した比較例1では凝集粒子は少ないものの表面粗さが大きくなる。粒子径1.0μm以下の粒子が全体数の30%を超え、D50が3.0μm以下の重質炭酸カルシウムを使用した比較例2及び比較例3では、粒子径100μm以上の凝集粒子が存在し、分散性が劣ることを示している。
【0047】
実施例4、5ではゴム成分100質量部に対し、重質炭酸カルシウムをそれぞれ20質量部、100質量部含有する。いずれの場合も押し出し時の加工性に優れたものである。これに対し、ゴム成分100質量部に対し、重質炭酸カルシウムを15質量部を含有する比較例4では押出し時にゴムの収縮が大きくなった結果、円筒形の成形物の内径が大きくなり、加工性が悪い。ゴム成分100質量部に対し、重質炭酸カルシウムを110質量部含有する比較例5では押出し圧力が高くなり、押出し機のベントからゴムが排出されてしまうベントアップ現象を起こし、加工性が悪い。
【0048】
実施例6ではフィラー中の重質炭酸カルシウムの含有量が50質量%以上であり、粒子径100μm以上の凝集粒子が存在しない良好な分散性を示す。これに対し、フィラー中の重質炭酸カルシウムの含有量が37.4質量%以上の比較例6では粒子径100μm以上の凝集粒子が存在し、分散性が劣ることを示している。
【0049】
以上より、本発明の導電性ローラーは、電子写真等の画像形成装置における導電性ローラーとして有効な表面形状を有する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の導電性ローラーを適用した電子写真方式の画像形成装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0051】
1 感光体(被帯電体)
2 帯電ローラー
3 露光手段
4 現像手段
5 転写ローラー
S1、S2 バイアス印加電源
P 転写材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性軸体上にソリッドゴム層を有する導電性ローラーにおいて、
ソリッドゴム層が、炭酸カルシウムをゴム成分100質量部に対して20質量部から100質量部の範囲で、且つ、全フィラーに対して50質量%以上の範囲で含み、
重質炭酸カルシウムが、粒径1.0μm以下の粒子を全粒子数の30%以下の範囲で含み、平均粒径が3.0μm以下の範囲にあることを特徴とする導電性ローラー。
【請求項2】
炭酸カルシウムが重質炭酸カルシウムを含むことを特徴とする請求項1記載の導電性ローラー。
【請求項3】
ゴム成分がエピクロロヒドリン系ゴムを含むことを特徴とする請求項1または2記載の導電性ローラー。
【請求項4】
ソリッドゴム層が研削工程を経て成形されたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の導電性ローラー。

【図1】
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【公開番号】特開2007−279564(P2007−279564A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108553(P2006−108553)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】