説明

導電性ロール、導電性ロールを備えた画像形成装置、導電性ロールの製造方法および製造装置

【課題】帯電部材および/または感光体のフィルミングを抑制し、帯電部材の歪み特性を向上させスジ欠陥を抑制可能な導電性ロール、導電性ロールを備えた画像形成装置、導電性ロールの製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】導電性ロール100は、導電性軸心である芯金20の層形成用部位20aの外周に同芯状に導電性弾性層10を有し、電圧が印加された状態で被帯電体に接触し、被帯電体を帯電させる導電性ロール100であって、導電性ロール100は、導電性弾性層10の硬度が厚み方向Tに硬度勾配gを有し、該硬度は、導電性ロール100の導電性軸心側が高く、導電性ロール100の表面側に向かって低くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子写真複写機、プリンタ等の画像形成装置において、電子写真や静電記録プロセスに用いられる導電性ロール、導電性ロールを備えた画像形成装置、並びに導電性ロールの製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を採用した複写機やプリンタなどの画像形成装置においては、帯電装置としてスコロトロン帯電器のようなコロナ放電現象を使用したものが多用されてきたが、このような帯電器においては、人体や地球環境に悪影響を及ぼす可能性のあるオゾンや窒素酸化物が発生する。
【0003】
そこで、電子写真方式の画像形成装置において使用される帯電装置としては、有害とされるオゾンや窒素酸化物の発生が極めて少ない、導電性の帯電部材を直接接触させて像保持体を帯電させる接触帯電方式のものが主体となっている。この場合、感光体と接触しているため、転写残トナーやトナー外添剤が像保持体のクリーニング部材からすり抜け、帯電部材と像保持体の間で転写残トナーやトナー外添剤をこすり付ける、いわゆるフィルミングが帯電部材にも像保持体に生じてしまう。このフィルミングが発生すると帯電部材のフィルミング部で電気抵抗が上昇し、また像保持体のフィルミング部は感光特性を著しく損なうため、フィルミング部分で濃度ムラが発生する場合がある。
【0004】
最近はカラー化、高画質化、長寿命化に伴い、フィルミングによる濃度ムラが顕在化する傾向がある。このような帯電部材および/または感光体のフィルミングは接触部の押圧が高いことにより、接触部でトナーおよび/または外添剤がすり潰されることにより生じる。これを回避するために、外周層(表層)にフィラーや粒子を添加したり、外周層(表層)を発泡により低硬度とする方法が考案されている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0005】
しかしながら、フィラーの凸部に荷重が集中した場合には充分な効果が得られず、またフィラーの分散不良の場合には白点・色点が発生してしまう。また、単純に帯電ロールの外周層を低硬度にするだけでは、圧縮による帯電ロールの歪み特性が悪化し、帯電ロールの軸方向にスジが発生し、一方、歪み特性を維持するためには2層の弾性層を持つ構成も考えられているが、作製工程が煩雑で高価であるという課題が生じる。また、単純に帯電ロールの外周層を低硬度にしただけの場合には、帯電ロール表面の研磨性が著しく悪化するため、特に帯電ロールの振れや粗さ等の形状を精密に制御し均一ニップの確保が必要な接触帯電方式においては、充分な画質を得ることができない場合がある。
【0006】
【特許文献1】特開2006−10754号公報
【特許文献2】特開平6−202442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、帯電部材および/または感光体のフィルミングを抑制し、帯電部材の歪み特性を向上させスジ欠陥を抑制可能な導電性ロール、導電性ロールを備えた画像形成装置、導電性ロールの製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の本発明により達成される。すなわち、本発明の導電性ロール、導電性ロールを備えた画像形成装置、導電性ロールの製造方法および製造装置は、以下の特徴を有する。
【0009】
(1)少なくとも導電性軸心の外周の同芯状に導電性弾性層を有し、電圧が印加された状態で被帯電体に接触し、被帯電体を帯電させる導電性ロールであって、前記導電性ロールは、該導電性弾性層の硬度が厚み方向に硬度勾配を有し、該硬度は、前記導電性ロールの導電性軸心側が高く、前記導電性ロールの表面側に向かって低くなる導電性ロールである。
【0010】
(2)少なくとも像保持体と、該像保持体に接触しその表面を帯電する帯電手段とを備える画像形成装置であって、前記帯電手段が上記(1)に記載の導電性ロールからなる画像形成装置である。
【0011】
(3)少なくとも導電性軸心の外周の同芯状に導電性弾性層を有する導電性ロールの製造方法であって、導電性弾性層の外周に面した金型温度を導電性軸心に加わる温度よりも低く設定して成形する導電性ロ−ルの製造方法である。
【0012】
(4)弾性層形成用の空間と、前記空間の長手方向に渡しかける芯金を支持する支持部と、前記空間内に弾性材料を充填する充填口とを有する金型を備えた導電性ロールの製造装置であって、前記金型内には、冷却装置が設けられ、さらに、前記支持部より突出した芯金の両端に装着される加熱装置が設けられている導電性ロールの製造装置である。
【0013】
(5)少なくとも導電性軸心の外周の同芯状に導電性弾性層を有し、電圧が印加された状態で被帯電体に接触し、被帯電体を帯電させる導電性ロールであって、前記導電性ロールは、該導電性弾性層の硬度が厚み方向に硬度勾配を有し、該硬度は、前記導電性ロールの導電性軸心側が低く、前記導電性ロールの表面側に向かって高くなる導電性ロールである。
【0014】
(6)前記導電性ロールの全振れが0.1mm以下である上記(5)に記載の導電性ロールである。
【0015】
(7)前記導電性ロールの表面の十点平均粗さRzが5μm以下である上記(5)に記載の導電性ロールである。
【0016】
(8)少なくとも像保持体と、該像保持体に接触しその表面を帯電する帯電手段を備える画像形成装置であって、前記帯電手段が上記(5)から(7)のいずれか1つに記載の導電性ロールからなる画像形成装置である。
【0017】
(9)少なくとも導電性軸心の外周の同芯状に導電性弾性層を有する導電性ロールの製造方法であって、導電性弾性層の外周に面した金型温度を導電性軸心に加わる温度よりも高く設定して成形する導電性ロ−ルの製造方法である。
【0018】
(10)弾性層形成用の空間と、前記空間の長手方向に渡しかける芯金を支持する支持部と、前記空間内に弾性材料を充填する充填口とを有する金型を備えた導電性ロールの製造装置であって、前記金型内には、加熱装置が設けられ、さらに、前記支持部より突出した芯金の両端に装着される冷却装置が設けられている導電性ロールの製造装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、導電性ロールの導電性弾性層の硬度が厚み方向に硬度勾配を有し、且つ導電性ロールの導電性軸心側の硬度が高く、前記導電性ロールの表面側に向かって硬度が低くなっている場合には、導電性ロールの外周近傍が低硬度になるため、導電性ロールを帯電部材として用いる際に、帯電部材と感光体の押圧力を低下させる効果が発現し、外添剤のフィルミングが防止され、これにより、画像の濃度ムラが抑制される。また、導電性ロールの中心部に向かい硬度が高く、充分に加硫されているため、歪み特性を損なうことがなく、歪みによるスジ欠陥の発生が抑制される。さらに、導電性弾性体層の同一層内で実現可能であるため、従来のように弾性層を積層する必要がなく、従来に比べ、安価な導電性ロール、及び安価な導電性ロールを供えた安価な画像形成装置を提供することができる。
【0020】
また、本発明によれば、導電性ロールの導電性弾性層の硬度が厚み方向に硬度勾配を有し、且つ導電性ロールの導電性軸心側の硬度が低く、導電性ロールの表面側に向かって硬度が高くなっている場合には、外周近傍が高硬度で緻密な加硫がされているため、導電性ロール表面の研磨性に優れた、すなわち導電性ロールの振れ等の形状制御が容易に行え、また、硬度が厚み方向に硬度勾配しているので、歪み特性に優れ、また軸芯部に行くにしたがい低硬度となるため、帯電部材と感光体の押圧力を低下させる効果が発現し、トナーの外添剤によるフィルミングが防止される。さらに、導電性弾性体層の同一層内で実現可能であるため、従来のように弾性層を積層する必要がなく、従来に比べ、安価な導電性ロール、及び安価な導電性ロールを供えた安価な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態について以下説明する。なお、本発明の実施の形態を詳細に説明するにあたり、まず本実施の形態における導電性ロールについて詳述し、その後、本実施の形態における導電性ロールの製造方法及び製造装置、画像形成装置について述べる。なお、本実施の形態の導電性ロールは、帯電ロールに限るものではなく、他の形態も許容するものである。
【0022】
<導電性ロール>
本発明の第1の実施の形態の導電性ロールは、図1に示すように、導電性軸心である芯金20の層形成用部位20aの外周に同芯状に導電性弾性層10を有し、電圧が印加された状態で被帯電体に接触し、被帯電体を帯電させる導電性ロール100であって、導電性ロール100は、導電性弾性層10の硬度が厚み方向Tに硬度勾配gを有し、該硬度は、導電性ロール100の導電性軸心側が高く、導電性ロール100の表面側に向かって低くなっている。
【0023】
また、さらに感光体への汚染防止や均一ニップの形成を考慮して、本発明の第2の実施の形態の導電性ロールは、図2に示すように、ある芯金20の層形成用部位20aの外周に同芯状に導電性弾性層10を有し、電圧が印加された状態で被帯電体に接触し、被帯電体を帯電させる導電性ロール110であって、導電性ロール110は、導電性弾性層30の硬度が厚み方向Tに硬度勾配gを有し、該硬度は、導電性ロール110の導電性軸心側が低く、導電性ロール110の表面側に向かって高くなっている。
【0024】
図1及び図2に示す第1、第2の実施の形態の導電性ロール100,110において、表面と軸心近傍の硬度差は1°から9°が好ましく、3°から6°がより好ましい。硬度差が10°以上になると、表面はほとんど加硫されていない状態となり、表面側が極端にゴム弾性を失い、歪みが著しく悪化するためスジの発生が顕著になる。
【0025】
また、図2に示す第2の実施の形態の導電性ロール110における全振れは、0.1mm以下、好ましくは0.08mm以下、より好ましくは0.05mm以下である。また、図2に示す導電性弾性層30の十点平均粗さRzは、5μm以下、好ましくは4.5μm以下、より好ましくは3.5μm以下である。なお、全振れ及び十点平均粗さRzの測定方法については後述する。
【0026】
図1及び図2に示す第1、第2の実施の形態の導電性ロール100,110の導電性の芯金20は、導電性ロールの電極及び支持部材として機能するもので、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属または合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄;導電性の樹脂;などの導電性の材質で構成される。
【0027】
図1及び図2に示す第1、第2の実施の形態の導電性弾性層10,30は、例えばゴム材中に導電剤を分散させることによって形成される。ゴム材としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、シリコーンゴム、天然ゴム等、及びこれらのブレンドゴムが挙げられる。中でも、ポリウレタン、EPDM、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、NBRおよびこれらのブレンドゴムが好ましく用いられる。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
【0028】
また、図1、図2に示す導電性弾性層10,30に添加される導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末を挙げることができる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;を挙げることができる。これらを分散することで任意の抵抗に調整すればよく、抵抗を任意に得ることができれば、特に限定はしない。また、これらの導電剤を2種類以上併用して使用することも可能である。
【0029】
導電性ロール100,110の一例の帯電ロールとしては、導電性弾性層10,30の外周に、抵抗均一化や表面保護など高機能化するための中間層や表面層を用いる構成としてもよく、また、必要に応じてタック防止やブリード防止などの効果を得るために導電性弾性層の外周に1層以上の樹脂からなる層を構成してもよい。
【0030】
上記表面層を構成する高分子材料としては、特に制限されないが、ポリアミド、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。
【0031】
これらの中では、トナーとの離型性等の観点から、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミドが好ましく用いられる。上記高分子材料は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、当該高分子材料の数平均分子量は、1,000〜100,000の範囲であることが好ましく、10,000〜50,000の範囲であることがより好ましい。
【0032】
上記表面層は、上記高分子材料に前記導電性弾性層10,30に用いた導電剤や各種微粒子を混合して組成物として形成される。上記導電剤や各種微粒子としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等の金属酸化物及び複合金属酸化物、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等の高分子微粉体を単独または混合して用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0033】
前記表面層の組成物として配合される導電材及び微粒子の配合量は、表面層の組成物全体中に3質量%以上120質量%以下の範囲であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下の範囲であることがより好ましい。
【0034】
また、表面層の膜厚も特に限定しないが、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。
【0035】
<導電性ロールの製造装置及び製造方法>
図3には、本発明の第1の実施の形態における導電性ロール100の製造装置の一例の構成の概要が示されている。図3に示すように、導電性ロールの製造装置300は、導電性弾性材料12が注入または充填される弾性層形成用の空間54と、空間54の長手方向に渡しかける芯金20の軸部20bを支持する支持部52と、空間54内に弾性材料を充填する充填口(図示せず)と、冷却装置を備えた金型収容部56とを有する金型50と、金型50の支持部52より突出した芯金20の軸部20bの両端にそれぞれ装着される加熱装置40が設けられている。なお、製造装置300は、1つ以上の金型収容部56を有し、それぞれが区画され、複数の導電性ロールを同時に製造可能な装置構成であってもよい。
【0036】
第1の実施の形態における冷却装置として、恒温水循環装置(チラー)を用いることができ、さらに冷却装置の一例として、図3に示すように、金型収容部56には、冷却水循環流路58が金型表面を冷却可能に配設され、さらに金型50の外部には循環させる冷却水を冷却するための外部冷却器(図示せず)が設けられている。ここで、冷却水循環流路58は、金型50の空間54に面する表面を均一冷却するために、例えば蛇行して設けられている。また、加熱装置40としては、例えば、電磁誘導コイル42からなる電磁誘電加熱装置(IH装置)が用いられる。また、導電性ロールが帯電ロールの場合、金型50の弾性層形成用の空間54は、円筒状の空間になっている。
【0037】
上述した導電性ロールの製造装置300を用いた導電性ロール100の製造方法について、図3を用いながら、以下に説明する。まず、金型50の円筒状の空間54に、充填口(図示せず)より未加硫の導電性弾性材料12を充填していく。そして、空間54内に導電性弾性材料12が充填された後、加熱装置40の電磁誘導コイル42に電流を印加して、芯金20を加熱するとともに、ほぼ同時に、金型50の冷却水循環流路58に冷却水を循環させて、金型収容部56の表面と接する導電性弾性材料12を冷却する。ここで、導電性弾性層の厚み、弾性材料の種類、加硫剤の種類とその添加量に応じて、所定時間、加熱と冷却との温度差を保ちながら、弾性材料の加硫化を行う。
【0038】
上記製造方法により、導電性弾性層の外周に面した金型50の温度を導電性軸心(すなわち、芯金20)に加わる温度よりも低く設定して成形することによって、導電性弾性層体の硬度が同一層内かつ同一材料であるにもかかわらず、導電性軸心側が高く、表面側に向かって低くなり、厚み方向に硬度勾配を有する導電性弾性層の成形が可能となる。このように成形すると、高温の熱源に近い導電性軸心側から加硫反応が始まり、放射状に表面側に行くに従い加硫反応が遅くなるため、導電性軸心近傍は加硫密度が高く、故に硬度も高くなりかつ歪み特性に優れる物性を得ることが可能となる。一方表面側では加硫密度が低くなるため、低硬度となる。
【0039】
また、図4には、本発明の第2の実施の形態における導電性ロール110の製造装置の一例の構成の概要が示されている。図4に示すように、導電性ロールの製造装置310は、導電性弾性材料12が注入または充填される弾性層形成用の空間64と、空間64の長手方向に渡しかける芯金20の軸部20bを支持する支持部62と、空間64内に弾性材料を充填する充填口(図示せず)と、加熱装置を備えた金型収容部66とを有する金型60と、金型60の支持部62より突出した芯金20の軸部20bの両端にそれぞれ装着される冷却装置70が設けられている。なお、製造装置310は、1つ以上の金型収容部66を有し、それぞれが区画され、複数の導電性ロールを同時に製造可能な装置構成であってもよい。
【0040】
第2の実施の形態における冷却装置70として、恒温水循環装置(チラー)を用いることができ、図4に示すように、冷却装置70内には冷却循環流路72が設けられ、さらに、循環させる冷却水を冷却するための外部冷却器(図示せず)が設けられている。また、金型収容部66に設けられる加熱装置としては、例えば、電磁誘導コイル68からなる電磁誘電加熱装置(IH装置)が用いられる。また、導電性ロールが帯電ロールの場合、金型60の弾性層形成用の空間64は、円筒状の空間になっている。
【0041】
上述した導電性ロールの製造装置310を用いた導電性ロール110の製造方法について、図4を用いながら、以下に説明する。まず、金型60の円筒状の空間64に、充填口(図示せず)より未加硫の導電性弾性材料12を充填していく。そして、空間64内に導電性弾性材料12が充填された後、金型60の加熱装置である電磁誘導コイル68に電流を印加して、金型収容部66の表面と接する導電性弾性材料12を加熱するとともに、ほぼ同時に、冷却装置70の冷却水循環流路72に冷却水を循環させて、芯金20を冷却する。ここで、導電性弾性層の厚み、弾性材料の種類、加硫剤の種類とその添加量に応じて、所定時間、加熱と冷却との温度差を保ちながら、弾性材料の加硫化を行う。
【0042】
上記製造方法により、導電性弾性層の外周に面した金型60の温度を導電性軸心に加わる温度よりも高く設定して成形することによって、導電性弾性層の硬度が同一層内かつ同一材料であるにもかかわらず、導電性軸心側が低く、表面側に向かって高くなり、厚み方向に硬度勾配を有する導電性弾性層の成形が可能となる。このように成形すると、高温の熱源に近い導電性弾性層の外周側から加硫反応が始まり、放射状に導電性軸芯側に行くに従い加硫反応が遅くなるため、導電性弾性層の外周側は加硫密度が高く、したがって硬度も高くなりかつ歪み特性に優れるとともに、研磨性が著しく向上する導電性ロールを得ることが可能となる。一方、導電性軸芯側では加硫密度が低くなるため、低硬度となり、全体としては感光体への押圧が低減される。
【0043】
本実施の形態では、射出成形または注入成形における導電性ロールの製造装置について説明したが、これに限るものではなく、未加硫の導電性ロール前駆体を製造し、この未加硫の導電性ロール前駆体を上記金型50,60にそれぞれ入れて導電性弾性層の厚み方向に加硫度合いを変えてもよい。
【0044】
<画像形成装置>
次いで、本発明の画像形成装置について、図を用いて詳細に説明する。本発明の画像形成装置は、潜像保持体と、該潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体上次転写する転写手段と、を備える画像形成装置であって、前記帯電手段に、上述した第1,第2の実施の形態の導電性ロール100,110を備えることを特徴とする。なお、後述する図5に示す帯電ロール402a〜402dとして、フィルミング抑制、歪み特性の向上、感光体の汚染防止、均一ニップ形成などの目的に応じて、第1,第2の実施の形態の導電性ロール100,110を選択して用いることが好ましい。
【0045】
図5は、本発明の画像形成装置の構成例を示す概略図である。図示した画像形成装置200はハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401dが中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。潜像保持体である電子写真感光体401a〜401dは、例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dが黒の色からなる画像をそれぞれ形成することが可能である。
【0046】
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、黒の4色のトナーが供給可能であり、また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a〜401dに当接している。上記帯電ロール402a〜402dは、いずれも上述した接触式帯電部材の一例の接触式帯電ロールである。
【0047】
さらに、ハウジング400内の所定の位置には露光装置403が配置されており、露光装置403から出射された光ビームを帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
【0048】
ここで、帯電ロール402a〜402dは、電子写真感光体401a〜401dの表面に導電性部材(帯電ロール)を接触させて感光体に電圧を均一に印加し、感光体表面を所定の電位に帯電させるものである(帯電工程)。なお本実施形態において示した帯電ロールの他、帯電ブラシ、帯電フィルム若しくは帯電チューブなどを用いて接触帯電方式による帯電を行っている。
【0049】
露光装置403としては、電子写真感光体401a〜401dの表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。これらの中でも、非干渉光を露光可能な露光装置を用いると、電子写真感光体401a〜401dの導電性基体と感光層との間での干渉縞を防止することができる。
【0050】
現像装置404a〜404dには、上述の二成分静電荷像現像用現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行うことができる(現像工程)。そのような現像装置としては、二成分静電荷像現像用現像剤を用いる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜公知のものを選択することができる。
【0051】
一次転写工程では、1次転写ロール410a〜410dに、像保持体に担持されたトナーと逆極性の1次転写バイアスが印加されることで、像保持体から中間転写ベルト409へ各色のトナーが順次1次転写される。
【0052】
クリーニングブレード415a〜415dは、転写工程後の電子写真感光体の表面に付着した残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された電子写真感光体は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0053】
中間転写ベルト409は駆動ロール406、背面ロール408及び張架ロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介して背面ロール408と当接するように配置されている
【0054】
2次転写ロール413に、中間転写体上のトナーと逆極性の2次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルトから記録媒体へトナーが2次転写される。背面ロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416或いは、除電器(不図示)により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。また、ハウジング400内の所定の位置には被転写媒体収容部411が設けられており、被転写媒体収容部411内の紙などの被転写媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
【実施例】
【0055】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中「部」は「質量部」を表す。
【0056】
(導電性ロールの作製)
−弾性層の形成−
内径14.0mmの円筒型金型の金型収容部を冷却水が循環し、かつ軸心を電磁誘導コイルで加熱できるように施した図3に示す製造装置を用いた。導電性ロールを作製するにあたり下記混合物をオープンロールで混練りし、SUM材に無電界ニッケルメッキを施した直径8mmの導電性芯金を用い、ゴム厚さ3mmとなるように、前記の円筒型金型に注型した。導電性芯金の温度は常時170℃となるように電磁誘導コイルの出力をコントロールし、金型外部を循環する冷却水温度を10℃に設定した。これを25分間加硫させ、金型から取り出した円筒状の導電性弾性層Aを得た。
【0057】
・ゴム材 ・・・・・・・・・100質量部
(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム:Gechron3106:95%、アクリロニトリルブタジエンゴム:Nipol1312:5%:日本ゼオン社製)
・カーボンブラック(#3030B:三菱カーボンブラック社製)・・15質量部
・イオン導電剤 ・・・・1質量部
(塩化ベンジルトリエチルアンモニウム:関東化学社製)
・加硫剤((硫黄)200メッシュ:鶴見化学工業社製) ・・・・1質量部
・加硫促進剤(ノクセラーDM:大内新興化学工業社製) ・・2.0質量部
・加硫促進剤(ノクセラーTT:大内新興化学工業社製) ・・0.5質量部
・酸化亜鉛(亜鉛華1号:正同化学工業社製) ・・・・5質量部
・炭酸カルシウム(ホワイトンSSB:白石カルシウム) ・・・30質量部
【0058】
−表面層の形成−
下記混合物をビーズミルにて分散し得られた分散液Aを、メタノールで希釈し、前記導電性弾性層Aの表面に塗布初速度及び加速度を便宜調整し浸漬塗布した後、120℃で15分間加熱乾燥し、厚さ5μmの表面層を形成し、導電性ロール1を得た。
【0059】
・高分子材料 ・・・100質量部
(共重合ナイロン)アラミンCM8000:東レ社製
・導電剤 ・・・14質量部
(カーボンブラック)MONARCH1000:キャボット社製
・溶剤(メタノール) ・・・500質量部
・溶剤(ブタノール) ・・・240質量部
【0060】
(導電性ロールの評価)
導電性弾性層Aについて、ロール状の弾性層表面からと導電性弾性層をシャフトから引き剥がし、そのシャフト面から硬度両端20mmと中央の3箇所を22℃、55%RHの通常環境でMD1硬度計にて測定して、3点の平均値とした。
【0061】
−実機評価−
導電性ロール1を帯電ロールとして図5に示すカラー複写機DocuCentre Color400CP:富士ゼロックス社製に装着し、カラー複写機DocuCentre Color400CP用のカラートナー(シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、黒トナー)を用い、A4用紙50,000枚印字テスト(10℃、15%RH環境下で25,000枚印刷後、28℃、85%RH環境下で25,000枚印字)を行った。なお、途中で大きな問題が発生した場合には、その時点で印字を中止した。
【0062】
画質評価は、50,000枚走行後の画像について、目視により、ハーフトーン画像中での濃度ムラの有無により以下の基準で判定した。
◎:濃度ムラ等のディフェクト無し。
○:極軽微な濃度ムラ発生。
△:軽微な濃度ムラ発生。
×:実使用不可の濃度ムラ発生。
【0063】
−保管評価−
導電性ロール1を帯電ロールとしてドラムカートリッジにセットし、45℃、95%環境下に1ヶ月放置した後、前述複写機を用いて通常環境でハーフトーン画像を出力し、下記の基準でハーフトーン画像中での帯電ロールピッチのスジの発生有無を目視により評価した。結果を表1にまとめて示した。
◎:スジのディフェクト無し。
○:極軽微なスジ発生。
△:軽微なスジ発生。
×:実使用不可のスジ発生。
【0064】
<実施例2>
冷却水温度を25℃に変更した以外は実施例1と全く同様にして、導電性弾性層Bを作製し、実施例1と同じに表面層を形成し、導電性ロール2を得た。結果を表1にまとめて示した。
【0065】
<実施例3>
冷却水温度を60℃に変更した以外は実施例1と全く同様にして、導電性弾性層Cを作製し、実施例1と同じに表面層を形成し、導電性ロール3を得た。結果を表1にまとめて示した。
【0066】
<実施例4>
冷却水を循環させず、実施例1における加硫時間を20分に変更した以外は全く同様にして、導電性弾性層Dを作製し、実施例1と同じに表面層を形成し、導電性ロール4を得た。結果を表1にまとめて示した。
【0067】
<比較例1>
冷却水温度を5℃、加硫時間を18分に変更した以外は実施例1と全く同様にして、導電性弾性層Eを作製し、実施例1と同じに表面層を形成し、導電性ロール5を得た。結果を表1にまとめて示した。
【0068】
<比較例2>
実施例1の成形方法において電磁誘導コイルや冷却水を使用せず、通常の金型を用いて注型成形した以外は実施例1と同様にして、導電性弾性層Fを作製し、実施例1と同じに表面層を形成し、導電性ロール6を得た。結果を表1にまとめて示した。
【0069】
【表1】

【0070】
(導電性ロールの作製)
−弾性層の形成−
内径14.5mmの円筒金型の金型収容部を電磁誘導コイルで加熱し、導電性軸芯を冷却水で冷却できるように施した図4に示す製造装置を用いた。導電性ロールを作製するにあたり下記混合物をオープンロールで混練りし、SUM材に無電界ニッケルメッキを施した直径8mmの導電性芯金を用い、ゴム厚さ3mmとなるように、前記の円筒型金型に注型した。円筒金型の温度は常時170℃となるように電磁誘導コイルの出力をコントロールし、導電性芯金を冷却する冷却水温度を10℃に設定した。これを25分間加硫させ、冷却後、金型から取りはずし、研磨機で切削研磨して、直径14.0mmの円筒状の導電性弾性層Gを得た。
【0071】
・ゴム材 ・・・・・・・・・100質量部
(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム:Gechron3106:95%、アクリロニトリルブタジエンゴム:Nipol1312:5%:日本ゼオン社製)
・カーボンブラック(#3030B:三菱カーボンブラック社製)・・15質量部
・イオン導電剤 ・・・・1質量部
(塩化ベンジルトリエチルアンモニウム:関東化学社製)
・加硫剤((硫黄)200メッシュ:鶴見化学工業社製) ・・・・1質量部
・加硫促進剤(ノクセラーDM:大内新興化学工業社製) ・・2.0質量部
・加硫促進剤(ノクセラーTT:大内新興化学工業社製) ・・0.5質量部
・酸化亜鉛(亜鉛華1号:正同化学工業社製) ・・・・5質量部
・炭酸カルシウム(ホワイトンSSB:白石カルシウム) ・・・30質量部
【0072】
−表面層の形成−
下記混合物をビーズミルにて分散し得られた分散液Gを、メタノールで希釈し、前記導電性弾性層Gの表面に塗布初速度及び加速度を便宜調整し浸漬塗布した後、120℃で15分間加熱乾燥し、厚さ5μmの表面層を形成し、導電性ロール7を得た。
【0073】
・高分子材料 ・・・100質量部
(共重合ナイロン)アラミンCM8000:東レ社製
・導電剤 ・・・14質量部
(カーボンブラック)MONARCH1000:キャボット社製
・溶剤(メタノール) ・・・500質量部
・溶剤(ブタノール) ・・・240質量部
【0074】
(導電性ロールの評価)
導電性弾性層Gについて、ロール状の弾性層表面からと導電性弾性層をシャフトから引き剥がし、そのシャフト面から硬度両端20mmと中央の3箇所を22℃、55%RHの通常環境でMD1硬度計にて測定して、3点の平均値とした。
【0075】
[全振れ]
全振れの大きさは、導電性ロールを回転させながら、基準板から帯電ロールの距離の変位量をレーザーにて測定し、その変位量の最大値と最小値の差をとった値を振れとし、これをロール長手方向に沿って上記箇所を測定し、それら測定点の振れの最大値であると定義して測定した。具体的には、アサカ理研工業株式会社ロール径測定システムROLL2000を使用することにより測定し、測定しようとする導電性ロールを、円周振れの測定基準面となる両端部を支持するように、アサカ理研工業株式会社ロール径測定システムROLL2000にセットし、導電性ロールの回転数60rpm、回転時間5secの条件下で、被測定物である導電性ロールと、この導電性ロール並行に設置されたナイフエッジとの距離を測定し、この5sec間における距離の変動幅から円周振れを求めた。上記の測定を導電性ロールの両端部から5mmの位置、および、両端部5mmの位置を基準に3等分した軸方向中央部分の3箇所の計5箇所について測定し、変位量の最大値と最小値の差を取った値を全振れとした。
【0076】
[表面の粗さRz]
Rzの測定は、表面粗さ計surfcom1400A(東京精密社製)を用い、JISB0601−1994に従って、ロールの軸方向について、測定長4.0mm、カットオフ値0.8、測定速度0.30mm/secの条件で同様に上記3箇所を測定し、その平均値とした。
【0077】
−実機評価−
導電性ロール7を帯電ロールとして図5に示すカラー複写機DocuCentre Color400CP:富士ゼロックス社製に装着し、カラー複写機DocuCentre Color400CP用のカラートナー(シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、黒トナー)を用い、A4用紙50,000枚印字テスト(10℃、15%RH環境下で25,000枚印刷後、28℃、85%RH環境下で25,000枚印字)を行った。なお、途中で大きな問題が発生した場合には、その時点で印字を中止した。
【0078】
画質評価は、初期及び50,000枚走行後の画像について、目視によってハーフトーン画像中での濃度ムラの有無により以下の基準で判定した。なお、初期の濃度ムラについては、表2に全振れによる濃度ムラとして記載し、50,000枚走行後の濃度ムラについては、表2のフィルミングによる経時濃度ムラとして記載した。
◎:濃度ムラ等の欠陥無し。
○:極軽微な濃度ムラ発生。
△:軽微な濃度ムラ発生。
×:実使用不可の濃度ムラ発生。
【0079】
ロール汚れ評価は、50,000枚走行後のロールについて、目視により以下の基準で目視評価した。
◎:ほとんど異物付着なし、軽微の異物付着。
○:局所的な異物付着。
△:全面軽微な異物付着(薄く白くなる)。
×:全面異物付着。
【0080】
−保管評価−
導電性ロール7を帯電ロールとしてドラムカートリッジにセットし、45℃、95%環境下に1ヶ月放置した後、前述複写機を用いて通常環境でハーフトーン画像を出力し、下記の基準でハーフトーン画像中での帯電ロールピッチのスジの発生有無を目視により評価した。結果を表2にまとめて示した。
◎:スジの欠陥無し。
○:極軽微なスジ発生。
△:軽微なスジ発生。
×:実使用不可のスジ発生。
【0081】
<実施例6>
冷却水温度を25℃に変更した以外は実施例5と全く同様にして、導電性弾性層Hを作製し、実施例5と同じに表面層を形成し、導電性ロール8を得た。結果を表2にまとめて示した。
【0082】
<実施例7>
冷却水温度を60℃に変更した以外は実施例5と全く同様にして、導電性弾性体Iを作製し、実施例5と同じに表面層を形成し、導電性ロール9を得た。結果を表2にまとめて示した。
【0083】
<実施例8>
冷却水を循環させず、加硫時間を20分に変更した以外は実施例5と全く同様にして、導電性弾性層Jを作製し、実施例5と同じに表面層を形成し、導電性ロール10を得た。結果を表2にまとめて示した。
【0084】
<比較例3>
冷却水温度を5℃、加硫時間を18分に変更した以外は実施例5と全く同様にして、導電性弾性層Kを作製し、実施例5と同じに表面層を形成し、導電性ロール11を得た。結果を表2にまとめて示した。
【0085】
<比較例4>
実施例5の成形方法において電磁誘導コイルや冷却水を使用せず通常の金型を用いて注型成形した以外は実施例5と同様にして、導電性弾性層Lを作製し、実施例5と同じに表面層を形成し、導電性ロール12を得た。結果を表2にまとめて示した。
【0086】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置等への適用がある。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明における第1の実施の形態の導電性ロールの構成の一例を示す横断面図である。
【図2】本発明における第2の実施の形態の導電性ロールの構成の一例を示す横断面図である。
【図3】本発明における第1の実施の形態の導電性ロールの製造装置の構成の一例を示す横断面図である。
【図4】本発明における第2の実施の形態の導電性ロールの製造装置の構成の一例を示す横断面図である。
【図5】本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0089】
10,30 導電性弾性層、12 導電性弾性材料、20 芯金、20a 層形成用部位、20b 軸部、40 加熱装置、42,68 電磁誘導コイル、50,60 金型、52,62 支持部、54,64 空間、56,66 金型収容部、58,72 冷却水循環流路、70 冷却装置、100,110 導電性ロール、200 画像形成装置、300、310 製造装置、400 ハウジング、401a,401b,401c,401d 電子写真感光体、402a〜402d 帯電ロール、403 露光装置、404a〜404d 現像装置、405a〜405d トナーカートリッジ、406 駆動ロール、407 張架ロール、408 背面ロール、409 中間転写ベルト、410a〜410d 1次転写ロール、411 被転写媒体収容部、412 移送ロール、413 2次転写ロール、414 定着ロール、415a〜415d クリーニングブレード、416 クリーニングブレード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも導電性軸心の外周の同芯状に導電性弾性層を有し、電圧が印加された状態で被帯電体に接触し、被帯電体を帯電させる導電性ロールであって、
前記導電性ロールは、該導電性弾性層の硬度が厚み方向に硬度勾配を有し、
該硬度は、前記導電性ロールの導電性軸心側が高く、前記導電性ロールの表面側に向かって低くなることを特徴とする導電性ロール。
【請求項2】
少なくとも像保持体と、該像保持体に接触しその表面を帯電する帯電手段とを備える画像形成装置であって、前記帯電手段が請求項1に記載の導電性ロールからなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
少なくとも導電性軸心の外周の同芯状に導電性弾性層を有する導電性ロールの製造方法であって、
導電性弾性層の外周に面した金型温度を導電性軸心に加わる温度よりも低く設定して成形することを特徴とする導電性ロ−ルの製造方法。
【請求項4】
弾性層形成用の空間と、前記空間の長手方向に渡しかける芯金を支持する支持部と、前記空間内に弾性材料を充填する充填口とを有する金型を備えた導電性ロールの製造装置であって、
前記金型内には、冷却装置が設けられ、
さらに、前記支持部より突出した芯金の両端に装着される加熱装置が設けられていることを特徴とする導電性ロールの製造装置。
【請求項5】
少なくとも導電性軸心の外周の同芯状に導電性弾性層を有し、電圧が印加された状態で被帯電体に接触し、被帯電体を帯電させる導電性ロールであって、
前記導電性ロールは、該導電性弾性層の硬度が厚み方向に硬度勾配を有し、
該硬度は、前記導電性ロールの導電性軸心側が低く、前記導電性ロールの表面側に向かって高くなることを特徴とする導電性ロール。
【請求項6】
前記導電性ロールの全振れが0.1mm以下であることを特徴とする請求項5に記載の導電性ロール。
【請求項7】
前記導電性ロールの表面の十点平均粗さRzが5μm以下であることを特徴とする請求項5に記載の導電性ロール。
【請求項8】
少なくとも像保持体と、該像保持体に接触しその表面を帯電する帯電手段を備える画像形成装置であって、前記帯電手段が請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の導電性ロールからなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
少なくとも導電性軸心の外周の同芯状に導電性弾性層を有する導電性ロールの製造方法であって、
導電性弾性層の外周に面した金型温度を導電性軸心に加わる温度よりも高く設定して成形することを特徴とする導電性ロ−ルの製造方法。
【請求項10】
弾性層形成用の空間と、前記空間の長手方向に渡しかける芯金を支持する支持部と、前記空間内に弾性材料を充填する充填口とを有する金型を備えた導電性ロールの製造装置であって、
前記金型内には、加熱装置が設けられ、
さらに、前記支持部より突出した芯金の両端に装着される冷却装置が設けられていることを特徴とする導電性ロールの製造装置。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−223252(P2009−223252A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70678(P2008−70678)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】