説明

導電性樹脂粒子、該導電性樹脂粒子を用いた液晶表示パネル及びその接続状態検査方法

【課題】 液晶表示パネルの一方の基板の共通電極と他方の基板のトランスファ電極との電気的接続の有無が簡単に確認できる接続のための導電性樹脂粒子を提供し、さらに、その電気的接続が簡単に確認できる液晶表示パネル及びその検査方法を提供すること。
【解決手段】 一方の基板に共通電極18を有し、他方の基板にトランスファ電極17〜174を有し、両電極を導電性樹脂粒子40で接続した液晶表示パネル10において、該導電性樹脂粒子40として所定の粒径の柔軟性を有する蛍光性材料含有樹脂粒子の表面を導電性の金属層42で被覆したものを使用する。
製造された液晶表示パネルの導電性樹脂材料40の表面の金属層42にはクラック又は縦割れ43が生じているため、液晶表示パネル10に紫外線を含む光を照射すると、蛍光性材料含有樹脂粒子の表面が露出しているので、ここから蛍光が発生する。この蛍光を発しないものは不良品として識別できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性樹脂粒子、その導電性樹脂粒子を用いた液晶表示パネル及びその液晶表示パネルの接続状態検査方法に関し、特に、一方の基板に共通電極を有し、他方の基板にトランスファ電極を有し、導電性材料を介して共通電極とトランスファ電極とを電気的に接続した構成を備える液晶表示パネルにおける導電性材料として使用するための導電性樹脂粒子、該導電性樹脂粒子を用いた液晶表示パネル及びその共通電極とトランスファ電極との電気的接続の有無を効率的に判定し得る接続状態の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルは、電極等が形成された2枚の透明基板を対向させ、その透明基板の周辺をシール材で固着し、この透明基板とシール材によって形成される空間に液晶を封入した構成を有している。例えばアクティブマトリクス型液晶表示パネルの場合、一方の基板上に信号線と走査線をマトリクス状に配置し、その交差部近傍に薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、信号線と走査線で囲まれる領域内にTFTと接続される画素電極を形成している。また、他方の基板には、画素電極と対向する位置に赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかのフィルタ層を配置し、各フィルタ層間にブラックマトリクスを設け、このフィルタ層及びブラックマトリクスを共通電極である透明電極によって覆っている。
【0003】
そして、一方の基板の端部には接続端子が設けられ、この接続端子は信号線や走査線からのドレインライン、ゲートライン及びコモンラインからなる駆動ラインと繋がっている。そしてこれらの駆動ラインは接続端子に取付けられるTCP(tape carrier package)を介して外部制御回路に接続され、外部制御回路からの制御信号が駆動ラインに送られる。また、一方の基板にはコモンラインと接続するトランスファ電極が設けられ、このトランスファ電極は導電性材料を介して他方の基板の共通電極に電気的に接続され、外部制御回路からコモンライン及びトランスファ電極を介して共通電極に所定の電圧が供給されている。
【0004】
基板の周辺上には、例えば光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を主成分としたシール材を所定パターンで塗布し、2枚の基板を貼り合わせている。下記特許文献1〜2には、シール材として使用される樹脂と同じ樹脂中に導電性粒子を混在させたものを用いて、この導電性粒子によって共通電極とトランスファ電極を電気的に接続したものが開示されている。
【0005】
そこで、本発明の理解のために以下において、下記特許文献1に開示された導電性粒子によって共通電極とトランスファ電極を電気的に接続する構成を有している液晶表示パネルについて図4〜図6を用いて説明する。なお、図4は下記特許文献1に開示されている液晶表示パネルの第1基板側を模式的に示す平面図、図5は図4のA−A’線に沿った断面図、図6は同じく共通電極とトランスファ電極の接続状態を模式的に示す要部拡大図である。
【0006】
液晶表示パネル10の透明基板からなる第1基板11は、表示領域12に走査線及び信号線がマトリクス状に形成されており、走査線と信号線で囲まれる部分に画素電極が形成され、走査線と信号線の交差部に画素電極と接続する薄膜トランジスタが形成されている。これらの各配線や薄膜トランジスタ、画素電極の具体的な構成は図示しないが、図5ではこれらを模式的に第1構造物13として示してある。
【0007】
第1基板11の短辺部には信号線と制御回路基板(図示せず)を接続するための接続端子14が設けられ、接続端子14は信号線とソースライン15で接続されており、また、第1基板11の長辺部には走査線と制御回路基板を接続するための接続端子14’が設けられ、接続端子14’は走査線とゲートライン15で接続されている。そして接続端子14、14’がTCP16、16’の出力端子と接続され、TCP16、16’の入力端子を制御回路基板の出力端子と接続することにより、制御回路からの駆動信号を走査線や信号線に供給している。
【0008】
第1基板11の四隅には、複数のトランスファ電極17〜17が設けられている。このトランスファ電極17〜17は走査線や信号線等を形成する工程と同一工程で形成され、走査線と同じ素材で構成されており、互いに直接接続ないしは接続端子14、14’内で互いに接続されて同電位となっている。接続端子14、14’とTCP16、16’を接続する際にトランスファ電極17〜17もコモンライン15を介してTCP16、16’に接続され、TCP16、16’を介して制御回路基板に接続されている。トランスファ電極17〜17は後述するように共通電極18と電気的に接続され、制御回路基板から出力される所定の電圧が共通電極18に印加されるようになっている。なお、ゲートライン15及びソースライン15の配置を逆にする場合もある。
【0009】
透明基板からなる第2基板19には、カラーフィルタと、ブラックマトリクスが形成されている。カラーフィルタは第1基板11の画素電極と対向するように配置されると共に各画素に応じたフィルタ層が設けられ、ブラックマトリクスは少なくとも第1基板11の走査線や信号線に対応する位置に配置されている。これらのカラーフィルタ等の具体的な構成は図示しないが、図5ではこれらを模式的に第2構造物20として示してある。
【0010】
第2基板19にはさらにITO(Indium-Tin-Oxide)、IZO(Indium-Zinc-Oxide)等で構成された透明電極からなる共通電極18が少なくとも表示領域12の全域に亘って形成されている。
【0011】
シール材21は、第1基板11の表示領域12の周囲を注入口(図示せず)を除いて塗布されており、また、コンタクト材17がトランスファ電極17〜17上に塗布されている。このシール材21は例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂23に絶縁性粒体のフィラ24を混入したものであり、コンタクト材17はシール材と同様の樹脂に粒状の導電性樹脂粒子25を混入したものである。
【0012】
コンタクト材17に混入される導電性樹脂粒子25は、例えば球体粒状の樹脂粒子の全面に金等の柔軟な金属層を被覆したものを使用でき、粒径は液晶表示パネルのセルギャップよりも若干大きいものが使用されている。そうすれば、両基板11、19を貼り合わせたときに、導電性樹脂粒子25とトランスファ電極17〜17と共通電極18の間に隙間ができることがなく、導電性樹脂粒子25は確実にトランスファ電極17〜17及び共通電極18と接触する。
【0013】
フィラ24は、塗布した際の型崩れを防止するためにシール材21やコンタクト材17に混入されるものであり、アルミナ若しくはシリカを粒径約1μmの粒状にしたものである。
【0014】
両基板11、19を貼り合わせるときは以下の手順で行なわれる。まず、第1基板11を第1のディスペンサ装置にセットしてシール材21を所定パターンで塗布し、次に、第1基板11を第2のディスペンサ装置にセットして導電性樹脂粒子25が混入されたコンタクト材17をトランスファ電極17〜17上に塗布する。その後、第1基板11の表示領域12にスペーサ27を均一に散布し、第2基板19のシール材21やコンタクト材17が当接する部分に仮止め用接着剤を塗布する。その後、第1基板11と第2基板19を貼り合わせ、仮止め用接着剤を硬化させて仮止めが完了する。そして仮止めされた両基板11、19を加圧しながら加熱処理するとシール材21、コンタクト材17の熱硬化性樹脂23が硬化し、粒状の導電性樹脂粒子25はトランスファ電極17〜17及び共通電極18と接触し、空の液晶表示パネルが完成する。この空の液晶表示パネル内に注入口(図示せず)から液晶28を注入し、この注入口を封止剤で塞ぐと液晶表示パネル10が完成する。
【0015】
なお、ここでは第1基板の互いに隣り合う辺にそれぞれ接続端子を設けた例を示したが、第1基板の一つの辺にのみ接続端子を設けることもある。
【0016】
ところで、液晶表示パネル10において導電性樹脂粒子25は、トランスファ電極17〜17及び共通電極18と接触した状態で確実に両電極間の接続を行わせるために、特許文献2に示されているように、加圧により弾性的に変形して楕円状になることが望ましい。そのため、導電性樹脂粒子25としては弾性変形が可能な樹脂球からなるコア材料の表面をニッケル、金などの導電性の金属被覆層で被覆したものがよく使用される。
【0017】

【特許文献1】特開2002−090770号公報(特許請求の範囲、段落[0002]〜[0004]、[0016]〜[0026]、図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従来から一般的に使用されている液晶表示パネルのセルギャップは6μm程度であり、このような液晶表示パネルに対しては、上述のようなセルギャップよりも若干粒径が大きい導電性樹脂粒子25を混入したコンタクト材17を用いてトランスファ電極17〜17と共通電極18との間の電気的接続状態を確保していた。
【0019】
しかしながら、近年の高解像度化及び高応答速度化の要求に答えるため、液晶表示パネルのセルギャップはだんだん小さくなり、3〜5μm程度のものが普通に使用されるようになってきており、特にフィールドシーケンシャル方式用の液晶表示パネルにおいては、1フィールド期間中に復数回の表示の切換が必要になることから、より応答速度の高い液晶表示パネルが必要とされており、このような高速応答液晶表示パネルのセルギャップは2μm以下のものが使用されるようになってきている。これらのセルギャップの小さい液晶表示パネルにおいては、共通電極とトランスファ電極との間の接続用の導電性樹脂粒子の粒径もセルギャップに対応して小さいものを使用しなければならなくなる。
【0020】
コンタクト材17は、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂23に絶縁性粒体のフィラ24を混入したものに導電性樹脂粒子25を混入したものであるが、導電性樹脂粒子の粒径がこのように小さくなると、コンタクト材17の中に導電性樹脂粒子が含まれているかどうかの判断すら難しくなる。このことは、導電性樹脂粒子25を液晶表示パネル10の共通電極18とトランスファ電極17〜17との電気的接続が行われたかどうかの判別すら困難であることを意味する。現実に、コンタクト材の中に導電性樹脂粒子が存在せず液晶表示パネルの共通電極とトランスファ電極との電気的接続が取れないことがあった。
【0021】
また、コンタクト材を打ち込むにも、小型の液晶表示パネルは、母基板に多数形成される。そのため一枚の母基板上において、コンタクト材の打ち込み回数も非常に多く、中には導電性粒子が存在していない接着剤だけが打ち込まれることもある。またコンタクト材の中に空泡が存在し、その空泡によりコンタクト材が飛び出さないこともある。
【0022】
このためコンタクト材17中の導電性樹脂粒子の有無を検査することが必要となっていたが、小型の液晶表示パネルは母基板からの取り数が多く、顕微鏡などで全てのパネルを検査することは手間がかかるため困難であった。しかも、測定対象が極めて微小な粒子であるため、単なる視覚検査では共通電極18とトランスファ電極17〜17との間の電気的接続の有無を判定することは困難であった。そうすると、液晶の注入が終わり、組み立てが完了した後の通電試験によらなければ製品の良否がわからないことになるが、この段階では製品が不良になった場合の損失が大きいため、接続工程後に電気的接続が行われていない不良のパネルを容易に見つけ出すことができる簡単で安価な検査方法が求められている。
【0023】
本願の発明者は、上述のような従来技術の問題点を解決すべく、複雑な方法を使用しない共通電極とトランスファ電極との間の電気的接続の有無を検出するための検査技術につき種々検討を重ねた結果、共通電極及びトランスファ電極間の接続を行う導電性樹脂粒子の表面の金属被覆層に縦割れやクラックが生じても電気的導通は保たれていることから、このような表面の金属被覆層に縦割れが生じた導電性粒子を欠陥品として排除する必要はないことを考慮し、導電性樹脂粒子のコアとなる樹脂粒子として蛍光性材料を含むものを用いると、両電極間に圧着した後のコンタクト材に紫外線を含む光を照射した場合、導電性樹脂粒子の表面の金属被覆層にクラックや縦割れが生じている場合には、蛍光性材料含有樹脂粒子の表面の一部が露出しているために蛍光の発生が見られることから、目視によっても導電性樹脂粒子の存否を簡単に検知することができることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0024】
すなわち、本発明の第1の目的は、導電性樹脂粒子の存否が容易に判別でき、導電性樹脂粒子を液晶表示パネルにおける一方の基板の共通電極と他方の基板のトランスファ電極との間の電気的導通をとるための導電性材料として使用した場合に、その電気的接続の有無を容易に判別し得る導電性樹脂粒子を提供することにある。
【0025】
また、本発明の第2の目的は、一方の基板に共通電極を有し、他方の基板にトランスファ電極を有し、導電性材料を介して共通電極とトランスファ電極とを電気的に接続する構成を備える液晶表示パネルにおいて、導電性材料として簡単な方法で共通電極とトランスファ電極との電気的接続の有無を評価できる導電性樹脂粒子を使用した、信頼性の高い液晶表示パネルを提供することにある。
【0026】
さらに、本発明の第3の目的は、一方の基板に共通電極を有し、他方の基板にトランスファ電極を有し、導電性材料を介して共通電極とトランスファ電極とを電気的に接続する構成を備える液晶表示パネルにおいて、共通電極とトランスファ電極との間の電気的接続の有無が容易に判別できる簡単な検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の上記第1の目的は以下の構成により達成し得る。すなわち、請求項1に記載の導電性樹脂粒子の発明は、蛍光性材料含有樹脂粒子の表面に金属被覆層を有する導電性樹脂粒子であることを特徴とする。
【0028】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の導電性樹脂粒子において、前記導電性樹脂粒子は、液晶表示パネルにおける一方の基板の共通電極と他方の基板のトランスファ電極との間の電気的導通をとるためのものであることを特徴とする。
【0029】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の導電性樹脂粒子において、前記蛍光性材料含有樹脂粒子が弾性変形可能なものであることを特徴とする。
【0030】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の導電性蛍光性材料含有樹脂粒子において、前記金属被覆層が金層、又は、ニッケル層及び金層からなることを特徴とする。
【0031】
また、本発明の上記第2の目的は以下の構成により達成し得る。すなわち、請求項5に記載の発明は、一方の基板に共通電極を有し、他方の基板にトランスファ電極を有し、両電極を導電性材料で接続した構成を有する液晶表示パネルにおいて、前記導電性材料が蛍光性材料含有樹脂粒子の表面を導電性金属で被覆した導電性樹脂粒子を含むことを特徴とする。
【0032】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の液晶表示パネルにおいて、前記蛍光性材料含有樹脂粒子は弾性変形が可能なものであることを特徴とする。
【0033】
また、請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の液晶表示パネルにおいて、前記金属被覆層が金層、又は、ニッケル層及び金層からなることを特徴とする。
【0034】
さらに、本発明の上記第3の目的は以下の構成により達成し得る。すなわち、請求項8に記載の液晶表示パネルの共通電極とトランスファ電極との間の接続状態の検査方法の発明は、一方の基板に共通電極を有し、他方の基板にトランスファ電極を有し、両電極を導電性材料で接続した液晶表示パネルの接続状態検査方法において、前記導電性材料として蛍光性材料含有樹脂粒子の表面を導電性金属で被覆した導電性樹脂粒子を含むものを使用し、前記液晶表示パネルに紫外線を含む光を照射して蛍光の発生の有無を検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明は上記の構成を備えることにより以下に述べるような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、蛍光性材料含有樹脂粒子の表面を導電性金属で被覆した導電性樹脂粒子は、導電性金属被覆にクラックや縦割れ等が生じていると、蛍光性材料含有樹脂粒子の表面が露出するために紫外線を含む光を照射すると蛍光を発するから、容易にその存否を検出することができるようになる。
【0036】
また、請求項2の発明によれば、この導電性樹脂粒子によると、容易に共通電極とトランスファ電極との電気的接続の有無を判定して良品を選定できるようになるから、信頼性の高い液晶表示パネルを製造することができる。
【0037】
また、請求項3の発明によれば、液晶表示パネルにおける一方の基板の共通電極と他方の基板のトランスファ電極との間の電気的導通を取る際に両電極間の接続を確実に行うことができる導電性樹脂粒子が得られる。
【0038】
また、請求項4の発明によれば、金属被覆層が柔軟性を有しているため、クラックや縦割れがあっても確実に電気的導通をとることができる導電性樹脂粒子を得ることができる。
【0039】
さらに、請求項5の発明によれば、液晶表示パネルの一方の基板の共通電極と他方の基板のトランスファ電極とを電気的に接続する導電性材料が蛍光性材料含有樹脂粒子の表面に導電性金属被覆を有する導電性樹脂粒子からなるので、その存否を容易に検出できるため、良品を選定することにより信頼性の高い液晶表示パネルを提供できる。
【0040】
また、請求項6の発明によれば、蛍光性材料含有樹脂粒子が弾性変形可能なものであるので、液晶表示パネルの一方の基板の共通電極と他方の基板のトランスファ電極の間の電気的接続状態を良好な状態とすることができるようになる。
【0041】
また、請求項7の発明によれば、金属被覆層が柔軟性を有しているため、導電性樹脂粒子の金属被覆層にクラックや縦割れがあっても確実な電気的接続ができ、液晶表示パネルの一方の基板の共通電極と他方の基板のトランスファ電極の間の電気的接続状態を良好な状態とすることができるようになる。
【0042】
さらにまた、請求項8の発明によれば、導電性樹脂粒子が蛍光性材料含有樹脂粒子の表面を導電性金属で被覆したものからなるので、導電性樹脂粒子の導電性金属にクラックや縦割れが生じていると、蛍光性材料含有樹脂粒子の表面の一部が露出し、導電性樹脂粒子に紫外線を含む光を照射すれば蛍光の発生が見られる。したがって、目視によってこの蛍光の発生の有無を検知することにより、導電性樹脂粒子の存否を簡単に知ることができるため、液晶表示パネルの共通電極とトランスファ電極との間の接続の有無を容易に判定することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、図1〜図3を参照して本発明の実施例を説明するが、液晶表示パネル全体の具体的構成、液晶表示パネルの共通電極とトランスファ電極との電気的接続部分等は図4〜図6に示した従来例のものと同様であるので、必要に応じて図4〜図6を参照して説明する。なお、図1(a)は本発明で使用する導電性樹脂粒子の断面構造を示す図であり、図1(b)は使用時の導電性樹脂粒子の断面構造を示す図である。図2は本発明における液晶表示パネルの共通電極とトランスファ電極の接続状態を模式的に示す要部拡大図である。図3は図1の導電性樹脂粒子を用いて製造された液晶表示パネルの検査方法の概要を示す図である。
【0044】
なお、本発明は、透過型液晶表示パネルだけでなく、半透過型液晶表示パネル、反射型液晶表示パネル、フィールドシーケンシャル方式の液晶表示パネルなど、一方の基板に共通電極を有し、他方の基板にトランスファ電極を有し、導電性材料を介して共通電極とトランスファ電極とを電気的に接続した構成を備える液晶表示パネルに対して等しく適用できるものである。
【実施例】
【0045】
<導電性樹脂粒子の製造>
図1(a)に示すように、本発明に係る導電性樹脂粒子40は、弾性変形しやすい柔軟性に優れた高分子樹脂中に蛍光性材料を添加することにより製造された、鋭い粒度分布をもち、液晶表示パネルのセルギャップよりもやや大きい粒径を有する蛍光性材料含有樹脂粒子41をコアとし、この蛍光性材料含有樹脂粒子41の表面を金等の導電性を有する金属被覆層42を施したものからなる。
【0046】
樹脂粒子の材質は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、スチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン・ジビニル共重合体等適宜選択できるが、好ましくは常温で弾性変形が可能なものであり、液晶表示パネルの第1基板11及び第2基板19(図4及び図5参照)の加圧・加熱接合時に溶融しないものがよい。蛍光性材料は、発光波長の如何にかかわらず、蛍光染料、蛍光顔料等のうちから任意のものを選択して使用でき、蛍光性材料含有樹脂粒子41は樹脂原料に蛍光性材料を添加して重合させ、常法に従って造粒することにより製造し得る。しかしながら、蛍光性材料含有樹脂粒子としては、既にバイオ関連分析技術の一つであるフローサイトメトリー用として、発光波長が赤、青、緑等のものについて粒子径が0.025μmから10μm程度のものまで種々のものが市販されているので、このうち必要な粒径のものを選択して使用するとよい。
【0047】
導電性の金属被覆層42は、金による単層の被覆でも、ニッケルと金の2層被覆であっても、その他の金属を交えた多層被覆でもよい。導電性の金属被覆層42は、周知の無電解めっき法により形成でき、さらに必要に応じてその上に電解めっきを行い、あるいはさらに多層めっきして形成してもよい。導電性の金属被覆層42を形成する方法としては、他に蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法なども採用できる。なお、表面が金となるように被覆すれば、その導電性が良好なことと相まって表面が柔軟性の金属被覆層が得られるため、クラックや縦割れが生じても導電性を損なわないので好ましい。
【0048】
なお、導電性の金属被覆層42のクラックは、導電性樹脂粒子40の直径の10乃至15パーセントの圧縮によって始まり、20パーセント程度に達すると縦割れとなる。従って導電性樹脂粒子40の大きさは、確実にクラックや縦割れが得られるようにセルギャップと比較して定めることが必要である。また導通は確保しながら蛍光性材料含有樹脂粒子が最初から、例えば斑点状に露出するように金属を被膜したものでもよい。
<液晶表示パネルの形成>
液晶表示パネル10は、アレイ側基板と、カラーフィルタ側基板がそれぞれ別々に、母基板となる一枚の大きなガラス基板上に形成されたものを貼り合せてつくる。本実施例においては、1.5〜2.2インチ程度の液晶表示パネルを作るため、大体母基板の大きさが550mm×670mmで、このような母基板から、アレイ基板或はカラーフィルタ基板を約150〜300枚分作りだしている。このような母基板上に形成された複数のアレイ基板、或はカラーフィルタ基板一枚一枚に、コンタクト材17が一箇所または二箇所、或はそれ以上打ち込まれることになる。
【0049】
液晶表示パネル10の基本的構造は図4〜図6に示した従来例において説明したものと同じであり、ただ、共通電極18とトランスファ電極17〜17の電極間接続に使用されるコンタクト材17に含まれる導電性樹脂粒子25に換えてコアが蛍光性材料含有樹脂粒子41からなりその表面に導電性の金属被覆層42を有する導電性樹脂粒子40を使用した点のみ従来例とは相違している。
【0050】
すなわち、図2に示すように、蛍光性材料含有樹脂粒子41の表面に金属被覆層42を有する導電性樹脂粒子40を液晶表示パネル10の共通電極18とトランスファ電極17〜17との電気的接続に使用する際には、導電性樹脂粒子40が混入されているコンタクト材17を硬化させるが、硬化の際に第1基板11及び第2基板19に圧力又は温度と圧力をかける。そうすると、液晶表示パネルのセルギャップより粒径が大きい導電性樹脂粒子40は上下の圧縮により中央部周辺が大きく変形するため、導電性樹脂粒子40の金属被覆層42には力が加わった部分にクラック43が生じたり、縦割れが生じたりするので、図1(b)及び図2に示したように、蛍光性材料含有樹脂粒子41が露出する。
【0051】
この場合、導電性樹脂粒子40の金属被覆層42にクラック43を生じたり、縦割れしたりしても、共通電極18とトランスファ電極17〜17との間の電気的接続が絶たれるわけではなく、導電性樹脂粒子40の金属被覆層42は縦に繋がっているため、共通電極18とトランスファ電極17〜17との間の電気的導通は保たれている。このようにして液晶の入っていない空の液晶表示パネルが得られ、その後、この空の液晶表示パネル内に注入口(図示せず)から液晶28を注入し、この注入口を封止剤で塞ぐと液晶表示パネル10が完成する。
<液晶表示パネルの検査>
本実施例においては、紫外線を含む光を照射することにより表面の金属層にクラックないしは縦割れが生じた蛍光性材料含有樹脂粒子41から蛍光が生じるので、硬化したコンタクト材17中の導電性樹脂粒子40の存否を確認することが目視でも可能になる。
【0052】
この導電性樹脂粒子40を使用した液晶表示パネル10の検査方法を図3を参照しながら説明する。なお、図3は、本発明の液晶表示パネルの検査方法を適用するための液晶表示パネル検査装置50の概略図である。完成された液晶表示パネル10は、周知の液晶表示パネル搬送手段51により順次一方向(図2においては右方向)に搬送され、この搬送路の途中にある蛍光測定装置52内に搬入される。
【0053】
蛍光測定装置52内には、液晶表示パネル搬送手段51の上部に、紫外線を含む光を放射する紫外線光源53と、蛍光検出器55が配置されている。紫外線光源53としてはブラックライト(商品名)、殺菌灯等の周知のものを使用でき、また、蛍光検出器55は、紫外線を遮蔽し、可視光を透過させるフィルタと、光電子倍増管等の光検出器あるいはビデオカメラ等(何れも図示せず)周知のものを使用し得るが、ビデオカメラを用いると蛍光発生位置を明確に識別できるので好ましい。なお、これらの光検出器やビデオカメラを使用せずに目視によっても蛍光を検知することができるが、連続的に多数の液晶表示パネルの検査を行うためには光検出器やビデオカメラを使用した方がよい。
【0054】
液晶表示パネル搬送手段51により搬送されて蛍光測定装置52内に導入された液晶表示パネル10に対して紫外線光源53から紫外線が照射される。その際、トランスファ電極部分に導電性樹脂粒子40が存在していないと蛍光性材料含有樹脂粒子41が露出しないため蛍光は発生しないが、導電性樹脂粒子40があるとその表面の金属被覆層42にクラックや縦割れが生じているので、導電性樹脂粒子40の蛍光性材料含有樹脂粒子41が露出しているために蛍光54が発生する。この蛍光54は蛍光検出器55により検出できるので、液晶表示パネルの全数検査も容易に行うことができ、液晶表示パネル10の良品と不良品とを連続的に選別することができる。
【0055】
なお、この例では、液晶表示パネル10として液晶が封入されているものを検査する例を示したが、液晶は高価であるので不良品と判定された液晶表示パネルとともに破棄される液晶量を少なくするために、液晶の入っていない空の液晶表示パネルを検査するようにするとよい。
【0056】
このように、本発明によれば液晶表示パネル10で使用されている導電性樹脂粒子40の存否を簡単に識別することができるため、トランスファ電極と共通電極との間の電気的接続の有無を容易に確認することができるので、信頼性の高い液晶表示パネルを提供できるとともに不良品とともに廃棄される高価な液晶の節減が可能であり、液晶表示パネルの大幅なコストダウンが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1(a)は本発明に係る導電性樹脂粒子の模式的断面図であり、図1(b)はこの導電性樹脂粒子の使用時の模式的断面図である。
【図2】本発明における液晶表示パネルの共通電極とトランスファ電極の接続状態を模式的に示す要部拡大図である。
【図3】本発明の液晶表示パネルの検査方法を適用するための液晶表示パネル検査装置の概略図である。
【図4】従来例の液晶表示パネルの第1基板側を模式的に示す平面図である。
【図5】従来例における図4のA−A’線に沿った断面図である。
【図6】従来例における図5に示した液晶表示パネルの共通電極とトランスファ電極の接続状態を模式的に示す要部拡大図である。
【符号の説明】
【0058】
10 液晶表示パネル
11 第1基板
12 表示領域
17 コンタクト材
17〜17 トランスファ電極
18 共通電極
19 第2基板
23 熱硬化性樹脂
40 導電性樹脂粒子
41 蛍光性材料含有樹脂粒子
42 導電性の金属被覆層
50 液晶表示パネル検査装置
51 液晶表示パネル搬送手段
52 蛍光測定装置
53 紫外線光源
54 蛍光
55 蛍光検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光性材料含有樹脂粒子の表面に金属被覆層を有する導電性樹脂粒子。
【請求項2】
前記導電性樹脂粒子が、液晶表示パネルにおける一方の基板の共通電極と他方の基板のトランスファ電極との間の電気的導通をとるためのものであることを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂粒子。
【請求項3】
前記蛍光性材料含有樹脂粒子が弾性変形可能なものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性樹脂粒子。
【請求項4】
前記金属被覆層が金層、又は、ニッケル層及び金層からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性樹脂粒子。
【請求項5】
一方の基板に共通電極を有し、他方の基板にトランスファ電極を有し、両電極を導電性材料で接続した構成を有する液晶表示パネルにおいて、前記導電性材料が蛍光性材料含有樹脂粒子の表面に金属被覆層を有する導電性樹脂粒子を含むことを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項6】
前記蛍光性材料含有樹脂粒子が弾性変形可能なものであることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示パネル。
【請求項7】
前記金属被覆層が金層、又は、ニッケル層及び金層からなることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示パネル。
【請求項8】
一方の基板に共通電極を有し、他方の基板にトランスファ電極を有し、両電極を導電性材料で接続した液晶表示パネルの共通電極とトランスファ電極との間の接続状態の検査方法において、前記導電性材料として蛍光性材料含有樹脂粒子の表面に金属被覆層を有する導電性樹脂粒子を含むものを使用し、前記液晶表示パネルに紫外線を含む光を照射して蛍光の発生の有無を検知することを特徴とする液晶表示パネルの共通電極とトランスファ電極との間の接続状態の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−98441(P2006−98441A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281017(P2004−281017)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】