説明

導電接続構造

【課題】一方の基板面に少なくとも1つのチップ部品が実装された第1の配線基板と第2の配線基板との導電接続構造であって、実装面積の狭小化を図ることができ、チップ部品の高さにばらつきがあっても良好に導電接続が可能であり、導電接続時に200℃以上の高温加熱が不要であり、充分な導電接続強度を確保でき、配線接続設計の自由度が高い導電接続構造を提供する。
【解決手段】導電接続構造1は、第1の配線基板10のチップ部品11の上端に露出した外部電極11Eと第2の配線基板30の端子とが、外部電極11E上に載置された異方性導電性接着材を介して導電接続されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の基板面に少なくとも1つのチップ部品が実装された第1の配線基板と第2の配線基板との導電接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の通信端末は益々高機能化しており、それに伴ってそれに搭載される配線基板(PCB:printed circuit board)の実装面積が不足傾向にある。この不足を補うために、回路ブロックごとのモジュール化等が進められている。
携帯電話等の通信端末においては、それに搭載される配線基板とフレキシブル配線基板(FPC:Flexible Printed Board)とを接続することがなされる場合があるが、この接続部の狭小化が難しい。これは、通信端末の品質確保のために、配線間から発生する電波の感度抑圧などを考慮しなければならないからである。
具体的には、携帯電話等の通信端末に搭載された配線基板とFPCとの接続には信号線から発生する電波の感度抑圧が必要であり、接続信号線間に電気的なグランドと繋がる機能部品として通常チップコンデンサを配置する必要がある。
【0003】
通信端末の配線基板とFPCとの接続構造としては、表面実装(SMD:Surface Mount Device)コネクタを用いた接続構造、あるいは異方性導電フィルム(ACF:anisotropic conductive film)を用いた接続構造などがある。
【0004】
従来のSMDコネクタを用いた接続構造では、SMDコネクタの実装面積とチップコンデンサの実装面積とが必要である。チップコンデンサは機能部品であるため、接続部の狭小化にはSMDコネクタを小さくする必要がある。しかしながら、SMDコネクタの端子接続を人手で行うこと、及び端子の充分な嵌合力の確保を考慮すれば、端子ピッチを現状以上に小さくすることは難しい。
【0005】
従来のACFを用いた接続構造では、ACFの加熱加圧を行う接続ツールの位置合わせを考慮して、チップ部品を含めた各種部品を避けてACFを配置している。そのため、ACFの実装面積とチップコンデンサの実装面積がそれぞれ必要である。チップコンデンサは機能部品であるため、接続構造の狭小化にはACFの実装面積を小さくする必要があるが、ACFの加熱加圧を行う接続ツールの位置合わせを考慮してチップ部品を含めた各種部品を避けてACFを配置しなくてはならない、あるいは、加熱圧着時のACFのはみ出しを考慮しつつ狭ピッチで他の部品を配置しなければいけないなどの制限がある。
【0006】
特許文献1には、LSI等を搭載したマルチチップモジュール(1)上に実装された抵抗あるいはコンデンサ等のチップ部品(3)と実装基板(2)とを直接接続する接続構造が記載されている(請求項1、図1及び図2)。
特許文献1には、上記接続構造では、マルチチップモジュールと実装基板とを、厚みを一定としたチップ部品を用いて接続することができること(段落0015)、そして、このように、マルチチップモジュールと実装基板の距離を一定に保つことで、接続面でのBGAの存在しない領域に部品を実装することが可能となり、基板面積を小さくすることができること(段落0016)が記載されている。
【0007】
特許文献2には、液晶表示装置において、LSIなどの半導体チップ(7)の下面両側に多数のバンプ電極(7a)が設けられ、これらバンプ電極(7a)が異方導電性接着材(13)を介して透明基板(5)に接合され、半導体チップ(7)が接合された透明基板(5)上の電極端子部(10)に、フィルム基板(1)に設けられた接続端子部(12)の基端部(12b)側が異方導電性接着材(13)を介して接合されると共に、この接続端子部(12)の先端部(12c)側が半導体チップ(7)の上面に接着剤(14)を介して接合された接続構造が記載されている(請求項1−6、段落0021−0023、及び図2)。
【0008】
特許文献3には、液晶表示装置において、フレキシブル基板(FPC2)と上側フレーム(SHD)の導電接続にチップ部品(CHX)と金属テープ(MTP)を用い、上側ケース(SHD)との間に導電接続用の部品を要しない接続構造が記載されている(請求項1、段落0036−0038、図1、及び要約書)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004-356146号公報
【特許文献2】特開2005-252134号公報
【特許文献3】特開平11-305205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の接続構造では、複数のチップ部品の高さを揃えないと接続ができず、複数のチップ部品の高さにばらつきがあれば接続不良が生じてしまう。また、特許文献1では、接続時の加熱はチップ部品に使われる電極のはんだ組成に合わせて、一般的に200℃以上の高温が必要である。そのため、マルチチップモジュール及び実装基板に実装された部品が高温加熱によって劣化する恐れがある。
【0011】
特許文献2では、上記接続構造を採用することで、半導体チップとフィルム基板との接続強度を高めている。しかしながら、特許文献2に記載の接続構造では、基板面に対して平行方向には接続強度が高いが、基板面に対して交差する方向(例えば垂直方向)に引き剥がす力に対しては接続強度が充分ではない。
【0012】
特許文献3で使用されている金属テープは、電気的に抵抗値が高く、振動あるいは衝撃等で剥がれやすいため、携帯電話等のモバイル機器のように省電力、耐振動性及び耐衝撃性が必要な機器に適応することが難しい。
特許文献3ではまた、すべての電極に共通した電気的なGND(グランド)との接続はできるが、個々の電極に対してGNDと平行して信号線として任意の配線を接続することができない。携帯電話等のモバイル機器の基板間接続では、送信側からの感度抑圧のためGNDと平行して信号線同士を接続する構造が必要であるが、特許文献3の接続構造ではこれができない。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、
一方の基板面に少なくとも1つのチップ部品が実装された第1の配線基板と第2の配線基板との導電接続構造であって、
実装面積の狭小化を図ることができ、
チップ部品の高さにばらつきがあっても良好に導電接続が可能であり、
導電接続時に200℃以上の高温加熱が不要であり、
基板面方向及び基板面に対して交差する方向(例えば垂直方向)に対しても充分な導電接続強度を確保でき、
配線接続設計の自由度が高い導電接続構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の導電接続構造は、一方の基板面上に、少なくとも上端に外部電極が露出した少なくとも1つのチップ部品が実装された第1の配線基板と、当該第1の配線基板の前記外部電極が導電接続される少なくとも1つの端子を有する第2の配線基板との導電接続構造であって、
前記第1の配線基板の前記チップ部品の前記上端に露出した前記外部電極と前記第2の配線基板の前記端子とが、前記外部電極上に載置された異方性導電性接着材を介して導電接続されたものである。
【0015】
本発明において、チップ部品の「上端」とは、第1の配線基板の基板面と反対側の端を意味している。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、
一方の基板面に少なくとも1つのチップ部品が実装された第1の配線基板と第2の配線基板との導電接続構造であって、
実装面積の狭小化を図ることができ、
チップ部品の高さにばらつきがあっても良好に導電接続が可能であり、
導電接続時に200℃以上の高温加熱が不要であり、
基板面方向及び基板面に対して交差する方向(例えば垂直方向)に対しても充分な導電接続強度を確保でき、
配線接続設計の自由度が高い導電接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る一実施形態の導電接続方法の工程を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る一実施形態の導電接続方法の工程を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る一実施形態の導電接続方法の工程を示す斜視図である。
【図4】従来の導電接続構造と本発明に係る一実施形態の導電接続構造の接続回路図である。
【図5】設計変更例を示す図である。
【図6】他の設計変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、本発明に係る一実施形態の導電接続構造について説明する。
図1〜図3は、導電接続方法の各工程を示す斜視図である。視認しやすくするため、図面上は各構成要素の図示を実際のものとは適宜異ならせて、簡略化してある。
【0019】
図3に示す本実施形態の導電接続構造1は、図1に示す第1の配線基板10と図3に示す第2の配線基板30との導電接続構造である。本実施形態では、第1の配線基板10と第2の配線基板30とが、図2に示す異方性導電フィルム(ACF:anisotropic conductive film)等の異方性導電性接着材20を介して導電接続されている。
本実施形態は、携帯電話等の通信端末に搭載された配線基板とFPCとの導電接続構造等に好ましく適用できる。
【0020】
本実施形態において、配線基板10、30の種類は特に制限されず、リジッド基板、フレキシブル基板、リジッドフレックス基板、セラミック基板、あるいはガラス基板など、任意である。配線基板10、30の種類は同一でも非同一でもよい。
本実施形態では、第1の配線基板10は非フレキシブル基板であり、第2の配線基板30はフレキシブル基板である。
【0021】
図1に示すように、第1の配線基板10の一方の基板面10S上には、少なくとも上端に外部電極11Eが露出した少なくとも1つのチップ部品11が実装されている。
本実施形態において、チップ部品11は、互いに対向する一対の端面に各々、基板面10Sに対して交差する方向(本実施形態では垂直方向)に広がった外部電極11Eを有するものである。本実施形態において、チップ部品11は、信号線から発生する電波の感度抑圧のために設けられ、接続信号線の間に電気的なグランドと繋がるチップコンデンサである。チップ部品11の組成は特に制限されず、主材質がセラミックであり、一対の側面に外部電極11EとしてSnメッキが施された一般的なものを利用できる。
【0022】
本実施形態では、第1の配線基板10において、複数のチップ部品11が千鳥状に実装されている。図示例では計12個のチップ部品11が、6個ずつ2列に千鳥配置されている。複数のチップ部品11の配列パターンは特に制限されないが、図示のように千鳥配置することで、高密度実装が可能であり、好ましい。
複数のチップ部品11の実装方法は特に制限されず、本実施形態ではSMT(Surface Maunt Technology)によるはんだ付けである。
複数のチップ部品11の配置パターンは、単列配置、(楕)円状配置、円弧状配置、L字状配置、及び十字状配置等でも構わない。
複数のチップ部品11は、穴あるいは部品等を跨いで複数箇所に分けて実装しても構わない。
【0023】
個々のチップ部品11において、一方の電極11Eは第1の配線基板10の電気的なGND(グランド)と接続され、他方の電極11Eが第2の配線基板30と接続され、基板間で必要な信号線をなしている。
本実施形態では、2列に配列した複数のチップ部品11において、他列のチップ部品11に遠い側(外側)の外部電極11Eが第1の配線基板10の電気的なGND(グランド)と接続され、他列のチップ部品11に近い側(中央側)の外部電極11Eが第2の配線基板30と接続され、基板間で必要な信号線をなしている。
【0024】
第2の配線基板30には、第1の配線基板10の外部電極11Eが導電接続される複数の端子(図示略)が設けられている。
第1の配線基板10のチップ部品11と第2の配線基板30の端子の数を同数とすることが好ましい。この際、必要に応じて、複数のチップ部品11には、数合わせのために、実際にはチップ部品として機能しないダミーチップ部品を含めることができる。かかる構成によって、第1の配線基板10及び第2の配線基板30間を安定した間隙で導電接続することができる。
【0025】
第2の配線基板30の組成は特に制限されず、ポイリミドなどの柔軟で薄い樹脂フィルムを基材とし、端子及び配線をなす導電材として銅等を薄膜ラミネートした一般的なものを利用することができる。第2の配線基板30の複数の端子配置は、第1の配線基板10の複数のチップ部品11の外部電極11Eの配列パターンに合わせて設計される。
【0026】
異方性導電性接着材20に関しては、配線間ショート防止のために、第1の配線基板10上のチップ部品11と第2の配線基板30上の端子の接続ピッチ等に応じて、導電粒子の組成、粒径及び配合量等が選択される。
導電粒子としては、金属粒子、あるいは樹脂コア粒子を金属メッキしたものを使用できる。
導電粒子の代わりに、はんだ等の導電材を用いてもよい。
異方性導電性接着材20の絶縁樹脂は特に制限されず、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、あるいは光硬化性樹脂を使用できる。異方性導電性接着材20の絶縁樹脂としては、熱硬化性樹脂が好ましい。以下、異方性導電性接着材20が熱硬化性である場合を例として、本実施形態を説明する。
異方性導電性接着材20の形態は特に制限されず、シート状が好ましい。異方性導電性接着材20としては、ペースト状のものを使用することもできる。
【0027】
導電接続を行うにあたっては、図2に示すように、図1に示した第1の配線基板10の複数のチップ部品11の基板間で必要な信号線をなす一方の外部電極11E上に異方性導電性接着材20を載置し、仮貼りする。この際、チップ部品11よりも少ない数の異方性導電性接着材20を用いることが好ましい。異方性導電性接着材20は、あらかじめ複数のチップ部品11上に取り付けておいても構わない。
【0028】
本実施形態では、2列に配置した複数のチップ部品11の他列のチップ部品11に近い側(中央側)の外部電極11Eに跨るように、チップ部品11の数より少ない数である1個の異方性導電性接着材20を載置している。
異方性導電性接着材20の幅及び長さ、及び数は、複数のチップ部品11の配列パターンに応じて設計され、複数のチップ部品11の基板間で必要な信号線をなす側のすべての外部電極11E上に異方性導電性接着材20が載り、GNDに接続される側の外部電極11E上には異方性導電性接着材20が載らないように設計される。
異方性導電性接着材20の厚みは、加熱圧着後に、複数のチップ部品11と第2の配線基板30とが良好に接続されるように設計される。
【0029】
次に図3に示すように、複数のチップ部品11及び異方性導電性接着材20上に第2の配線基板30を載置し、チップ部品11の信号線をなす外部電極11Eと第2の配線基板30の端子とを光学観察等により位置合わせする。最後に、第2の配線基板30側から加熱加圧ツールを用いて、熱硬化型の異方性導電性接着材20のある導電接続箇所を加熱加圧する。
第2の配線基板30側から加熱圧着を行うと、第1の配線基板10と第2の配線基板30の信号線同士が異方性導電性接着材20を介して結線される。また、第1の配線基板10と第2の配線基板30の信号線は同時にチップ部品11を介して回路的には並列してGNDと結線される。
異方性導電性接着材20が熱可塑型あるいは光硬化型の場合には、異方性導電性接着材20の物理特性に応じて、接着条件を調整する。
【0030】
以上のようにして、第1の配線基板10に実装された必要に応じてダミーチップ部品11を含む複数のチップ部品11と第2の配線基板30の複数の端子とが異方性導電性接着材20を介して導電接続された導電接続構造1が得られる。
【0031】
本実施形態では、導電接続のためにSMDコネクタ等のコネクタを必要としない。また、異方性導電性接着材20を複数のチップ部品11上に載置しており、異方性導電性接着材20の実装領域は、ほぼ、複数のチップ部品11の実装領域と同じである。したがって、本実施形態では、別途、SMDコネクタ等のコネクタ及び異方性導電性接着材20の実装領域を必要としない。また、複数のチップ部品11は、コネクタよりも狭ピッチに配置でき、千鳥配置等により高密度実装が可能である。本実施形態では、異方性導電性接着材20のはみ出し領域を考慮しなくてよい。
以上の理由から、本実施形態では、実装面積の狭小化を図ることができる。本実施形態ではまた、高価なSMDコネクタ等のコネクタを必要としないので、低コスト化が可能である。
【0032】
図4は、従来の導電接続構造と本実施形態の導電接続構造の接続回路図である。図4の左図は、SMDコネクタを用いた従来構造の接続回路図を示し、図4の右図は本実施形態の接続回路図を示している。図中、Cはチップ部品11(チップコンデンサ)、ACFは異方性導電性接着材20を示している。
図4の左図に示す従来の導電接続構造では、第1の配線基板上のICと第2の配線基板であるFPCとがコネクタを介して導電接続されている。図4の右図に示す本実施形態の導電接続構造では、コネクタを介さずにACFを介してチップ部品CとFPCとが接続されている。
携帯電話等のモバイル機器の基板間接続では、送信側からの感度抑圧のためGNDと平行して信号線同士を接続する構造が必要であり、本実施形態ではかかる接続構造が可能である。したがって、本実施形態では、配線間から発生する電波の感度抑圧を良好に実施できる。
【0033】
本実施形態では、チップ部品11の高さにばらつきがあっても良好に導電接続が可能である。これは、加熱圧着時に異方性導電性接着材20の樹脂が軟化して広がり、チップ部品11の高さにばらつきを吸収できるためである。また、異方性導電性接着材20内の導電粒子の径を部分的に変えることで、異方性導電性接着材20の厚みを部分的に調整し、チップ部品11の高さのばらつきを吸収することも可能である。
【0034】
本実施形態の導電接続温度は、異方性導電性接着材20の樹脂が軟化する温度であればよく、はんだ接続のような高温を要しない。異方性導電性接着材20の樹脂組成にもよるが、一般的なACFの場合、例えば130℃程度で導電接続を実施できる。したがって、本実施形態では、第1の配線基板10及び第2の配線基板30に実装された各種部品の熱による劣化を抑制できる。
【0035】
本実施形態では、複数のチップ部品11と第2の配線基板30とを異方性導電性接着材20を介して導電接続しており、異方性導電性接着材20は、「背景技術」の項で挙げた特許文献3で使用されている金属テープよりも、抵抗値が低く、振動及び衝撃に強い。また、複数のチップ部品11間に異方性導電性接着材20の樹脂が充填され、基板面方向及び基板面に対して交差する方向(例えば垂直方向)に対しても充分な導電接続強度を確保できる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によれば、
一方の基板面10Sに少なくとも1つのチップ部品11が実装された第1の配線基板10と第2の配線基板30との導電接続構造であって、
実装面積の狭小化を図ることができ、
チップ部品11の高さにばらつきがあっても良好に導電接続が可能であり、
導電接続時に200℃以上の高温加熱が不要であり、
基板面方向及び基板面に対して交差する方向(例えば垂直方向)に対しても充分な導電接続強度を確保でき、
配線接続設計の自由度が高い導電接続構造1を提供することができる。
【0037】
本実施形態の導電接続構造は例えば、携帯電話内部の電子部品である主基板と副基板との接続、携帯電話内部の電子部品であるカメラと主基板との接続、携帯電話内部の電子部品である主基板とキーFPCの接続、あるいは携帯電話内部の電子部品である主基板とタッチパネルFPCの接続など、任意の導電接続に適用できる。
【0038】
(設計変更)
本発明は上記実施形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜設計変更が可能である。
【0039】
チップ部品11としては、少なくとも上端(第1の配線基板10の基板面10Sとの反対側の端)に外部電極11Eが露出したものであればよく、チップコンデンサの他、LSI等のチップ部品等であっても、本発明を適用可能である。
【0040】
チップ部品11の高さのばらつきが異方性導電性接着材20の厚みよりも大きく、異方性導電性接着材20だけではチップ部品11の高さのばらつきを吸収できないような場合、第2の配線基板30の導電接続箇所及びその近傍を部分的にフライングリード構造あるいは切欠構造とすることで、個々のチップ部品11に対して、その高さに合わせて第2の配線基板30の端子を導電接続することができる。
【0041】
図5は第2の配線基板30にフライングリード構造を設けた例を示しており、左上図は上面図、右図は上面図を図示右方から見た側面図、左下図は上面図を図示下方から見た側面図である。
【0042】
図5に示す例では、第1の配線基板10に、相対的に背の高い高チップ部品11Hと相対的に背の低い低チップ部品11Lとが実装されている。
また、第2の配線基板30が、ポリイミド等の絶縁樹脂からなる基材フィルム31とその一方の面に形成され、端子及び配線をなす銅等の導電材からなる複数のリード32とからなるフレキシブル配線基板からなり、第1の配線基板10との導電接続箇所及びその近傍の基材フィルム31がリード32の直交方向に部分的に除去された中空部33を有している。
図5に示す例においても、第1の配線基板10のチップ部品11と第2の配線基板30の端子とは、異方性導電性接着材20を介して接続されているが、ここでは異方性導電性接着材20の図示を省略してある。
【0043】
第2の配線基板30において、基材フィルム31が部分的に除去された中空部33はリード32のみが存在し、屈曲性に優れ、リード32ごとに形状を変えられる。
図示するように、高チップ部品11Hと低チップ部品11Lに対して、それぞれの高さに合うよう、中空部33のリード32を屈曲させて、高チップ部品11Hと低チップ部品11Lのそれぞれの一方の外部電極11Eと第2の配線基板30のリード32とを異方性導電性接着材20を介して接続することができる。
【0044】
図6は切欠構造を設けた例を示しており、左上図は上面図、右図は上面図を図示右方から見た側面図、左下図は上面図を図示上方から見た側面図である。
【0045】
図6に示す例においても、第1の配線基板10に、相対的に背の高い高チップ部品11Hと相対的に背の低い低チップ部品11Lとが実装されている。
この例では、第2の配線基板30が、ポリイミド等の絶縁樹脂からなる基材フィルム31とその一方の面に形成され、端子及び配線をなす銅等の導電材からなる複数のリード32とからなるフレキシブル配線基板からなり、第1の配線基板10との導電接続箇所及びその近傍の互いに隣接するリード32間が部分的に除去された切欠部34を有している。
図6に示す例においても、第1の配線基板10のチップ部品11と第2の配線基板30の端子とは、異方性導電性接着材20を介して接続されているが、ここでは異方性導電性接着材20の図示を省略してある。
【0046】
第2の配線基板30においては、互いに隣接するリード32間に切欠部34が設けられているので、各リード32の第1の配線基板10との導電接続箇所及びその近傍は屈曲性に優れ、導電接続箇所ごとに形状を変えられる。
高チップ部品11Hと低チップ部品11Lに対して、それぞれの高さに合うよう、第2の配線基板30の第1の配線基板10との導電接続箇所及びその近傍を屈曲させて、高チップ部品11Hと低チップ部品11Lのそれぞれの一方の外部電極11Eと第2の配線基板30のリード32とを異方性導電性接着材20を介して接続することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 導電接続構造
10 第1の配線基板
10S 基板面
11 チップ部品
11E 外部電極
11H 高チップ部品
11L 低チップ部品
20 異方性導電性接着材
30 第2の配線基板
31 基材フィルム
32 端子及び配線をなすリード
33 中空部
34 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の基板面上に、少なくとも上端に外部電極が露出した少なくとも1つのチップ部品が実装された第1の配線基板と、当該第1の配線基板の前記外部電極が導電接続される少なくとも1つの端子を有する第2の配線基板との導電接続構造であって、
前記第1の配線基板の前記チップ部品の前記上端に露出した前記外部電極と前記第2の配線基板の前記端子とが、前記外部電極上に載置された異方性導電性接着材を介して導電接続された導電接続構造。
【請求項2】
前記チップ部品は、互いに対向する一対の端面に各々、前記基板面に対して交差する方向に広がった外部電極を有するものであり、
前記チップ部品の一方の前記外部電極と前記第2の配線基板の前記端子とが、前記異方性導電性接着材を介して導電接続された請求項1に記載の導電接続構造。
【請求項3】
前記チップ部品がチップコンデンサである請求項2に記載の導電接続構造。
【請求項4】
前記チップ部品と前記第2の配線基板の前記端子の数が同数とされた請求項1〜3のいずれかに記載の導電接続構造。
【請求項5】
前記第1の配線基板に複数の前記チップ部品が実装されていると共に、前記第2の配線基板に複数の前記端子が実装されており、
かつ、前記複数の前記チップ部品の前記外部電極と前記第2の配線基板の前記端子とが、前記チップ部品よりも少ない数の前記異方性導電性接着材を介して導電接続された請求項1〜4のいずれかに記載の導電接続構造。
【請求項6】
前記第1の配線基板に高さの異なる複数の前記チップ部品が実装されていると共に、前記第2の配線基板に複数の前記端子が実装されており、
前記第2の配線基板が、絶縁性の基材フィルムと、当該基材フィルムの一方の面に形成され、前記端子をなす導電材とからなるフレキシブル配線基板からなり、かつ、前記第1の配線基板との導電接続箇所の前記基材フィルムが部分的に除去された中空部を有するものであり、
前記第1の配線基板上の複数の前記チップ部品のそれぞれの高さに合わせて、前記第2の配線基板の前記中空部の前記導電材が屈曲されて、前記第1の配線基板の前記チップ部品と前記第2の配線基板の前記導電材とが前記異方性導電性接着材を介して導電接続された請求項1〜5のいずれかに記載の導電接続構造。
【請求項7】
前記第1の配線基板に高さの異なる複数の前記チップ部品が実装されていると共に、前記第2の配線基板に複数の前記端子が実装されており、
前記第2の配線基板が、絶縁性の基材フィルムと、当該基材フィルムの一方の面に形成され、前記端子をなす導電材とからなるフレキシブル配線基板からなり、かつ、前記第2の配線基板の互い隣接する前記第1の配線基板との導電接続箇所間が部分的に除去された切欠部を有し、
前記第1の配線基板上の複数の前記チップ部品のそれぞれの高さに合わせて、前記第2の配線基板の前記第1の配線基板との導電接続箇所が屈曲されて、前記第1の配線基板の前記チップ部品と前記第2の配線基板の前記導電材とが前記異方性導電性接着材を介して導電接続された請求項1〜5のいずれかに記載の導電接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−186210(P2012−186210A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46520(P2011−46520)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】