説明

小型電動車両用ハンドル

【課題】複数のスイッチを内蔵した小型電動車両用ハンドルにおいて、スイッチ操作が容易で、デザイン上の連続性があり、構造が簡単でデザイン的にも優れた小型電動車両用ハンドルを提供することを目的とする。
【解決手段】ハンドル10は、上述した小型電動車両にステアリングシャフト21を介して接続され、ステアリングシャフト21はステアリングカバー22によって覆われている。ハンドル10は、コ字形断面のハンドル芯材を内部に有し、ハンドルグリップ部の大きさがほぼ一定な形状を有している。ハンドル10は、アッパ分割グリップ11、ロア分割グリップ12及びグリップ部に設けられたラバーグリップ13と、アッパ分割グリップ11の車両前方側には、クラクションスイッチ14,ウインカスイッチ15,バッテリの充電量を表示するメータ16等が集中して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスイッチを内蔵した小型電動車両用ハンドルに関し、特に、スイッチ操作が容易な小型電動車両用ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両には車両を操縦するためのハンドルが取り付けられ、車両に搭載した車載電気機器の制御をハンドルから手を離さずに手元で行えるようなスイッチが設置されたハンドルが実用化されている。これらのスイッチは、ホイール形ハンドルのパッド部やスポーク部に配置され、操作性を高めるために、ホイール形ハンドルを保持した手の指先が届く範囲内にその多くが配置されている。
【0003】
このようなホイール形ハンドルでは、スイッチ操作が容易である反面、ホイール形ハンドルを保持した手の指先がスイッチに触れて誤動作となる場合があった。そこで、特許文献1には、所定の条件でスイッチ信号を無視させることによりスイッチの作動力を高める又はスイッチの入力ストロークを大きくすることなくスイッチの誤操作による車載電気機器の誤動作を防止可能なハンドルスイッチ装置が開示されている。
【0004】
図13は、特許文献2に開示されたハンドルを示し、高齢者や足の不自由な人が利用する三輪または四輪の小型電動車両に用いられている小型電動車両用ハンドルを示している。小型電動車両用ハンドル(ハンドル100)では、特許文献1のハンドルに比べてハンドル回転角度が狭く、手返しを必要としない。また、ハンドル100は、ステアリングシャフト、ブラケット及びハンドルバーが溶接とボルト接続により一体に成型されており、ハンドル100の一部を形成するスイッチユニット114は、上側ケース101と下側ケース102によって構成され、ハンドルバーを覆う外皮部材103、バックミラー106のステーやブレーキバー107及びアクセルバー108等のステーを収容すると共に、前後進切換スイッチ109、速度切換スイッチ110、バッテリ充電状態表示器111、ウインカスイッチ112、クラクションスイッチ113等を収容している。
【0005】
ハンドルバーは、アクセルバー108近傍の外皮部材103から時計回りに、スイッチユニット114のハンドルバー後側連続部105、スイッチユニット114、ハンドルバー後側連続部105、外皮部材103、ハンドルバー前側連続部104、スイッチユニット114及びハンドルバー前側連続部104と、なるように構成されている。このような構成にすることにより、ハンドル上のスイッチの誤操作を防止することが可能であり、ハンドルバーの調整、修理や改造を容易にし、フルカバーの車体デザインに調和させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−49816号公報
【特許文献2】特開2000−237245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献2のハンドル100は、ハンドルバーの握る所(外皮部材103)からスイッチユニット114までが離れているため、スイッチ操作時には握っていた手を離して操作する必要がある。また、スイッチユニット114と外皮部材103に緩やかな段差があるため、手のスムーズな動きを阻害する場合があり、スイッチユニット114と金属製パイプを覆う外皮部材103とが分割されたデザインであるため、デザイン上の連続性が得にくい。さらに、溶接とボルト接続によりハンドル芯材を形成した上にスイッチユニット114と外皮部材103を取り付けているため構造が複雑になっていた。
【0008】
そこで、本発明は、複数のスイッチを内蔵した小型電動車両用ハンドルにおいて、スイッチ操作が容易で、デザイン上の連続性があり、構造が簡単でデザイン的にも優れた小型電動車両用ハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のような目的を達成するために、本発明に係る小型電動車両用ハンドルは、小型電動車両に搭載された機器を操作するスイッチを、小型電動車両の操舵輪を操作するためのハンドルに配置した小型電動車両用ハンドルにおいて、ハンドルの骨組み形状を形成し、骨組みに沿って長手方向に延びる金属板をコ字形断面に加工してコ字形断面の懐にスイッチの収容部を形成すると共に、スイッチの固定面を配置したハンドル芯材と、ハンドル芯材を収納するハンドルグリップと、を有し、ハンドル芯材の固定面にスイッチを固定したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る小型電動車両用ハンドルにおいて、コ字形断面のハンドル芯材を一つの上面と二つの側面となるように配置し、ハンドルグリップは、ハンドル芯材の上面と側面とに接触することで位置決めされた上側分割グリップと、ハンドル芯材の側面に設けられた係合穴に係合する爪を備える下側分割グリップと、を有し、下側分割グリップの爪の近傍に設けられたリブにより上分割グリップと下分割グリップの位置ずれを制限することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る小型電動車両用ハンドルを用いることにより、ハンドルバーを握る所からスイッチまでの距離を従来構成に比べて短くすることができるため、ハンドルを握る手をずらすことでスイッチを操作することが可能となる。また、スイッチとグリップに段差ができないため、手のスムーズな動きを阻害することがない。また、スイッチの取り付け部がグリップと同じ形状となるため、デザイン上の連続性を保つことができ、さらに、単純なコ字形断面を有するハンドル芯材を用いることにより、構造を簡略化することが可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る小型電動車両用ハンドルの外観図である。
【図2】図1に示した小型電動車両用ハンドルのA−A断面図である。
【図3】図1に示した小型電動車両用ハンドルのC−C断面図である。
【図4】図1に示した小型電動車両用ハンドルのB−B断面図とロア分割グリップの斜視図である。
【図5】図1に示した小型電動車両用ハンドルのアクセルスイッチの拡大図である。
【図6】別の実施形態に係る棒形ハンドルの外観図である。
【図7】別の実施形態に係る棒形ハンドルにおける変形例の外観図である。
【図8】別の実施形態に係るホイール形ハンドルの外観図である。
【図9】別の実施形態に係るU字形ハンドルの外観図である。
【図10】別の実施形態に係る小型電動車両用ハンドルの断面図である。
【図11】図10に示した小型電動車両用ハンドルの組み立て方法について説明する説明図である。
【図12】別の実施形態に係るスティック形ハンドルを装着した小型電動車両の外観図の一例である。
【図13】従来構造に係る小型電動車両用ハンドルの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0014】
図12は、本実施形態における小型電動車両90の一例を示し、図12を用いて小型電動車両90を概説する。小型電動車両90には、操作者が座るシート91と、その前方に操作者が足を載せるステップ94が配置され、その前方に操舵輪93を操作するためのハンドル70と、その後方に電動モータによって駆動される後輪95と、が取り付けられている。ハンドル70は、スティック形ハンドルであり、ステアリングシャフト71から延びるハンドル70にはアッパ分割グリップ72とロア分割グリップ73とで構成されたハンドルグリップ上にラバーグリップ76、クラクションスイッチ74、ウインカスイッチ75が配置されている。
【0015】
小型電動車両90は、ハンドル70を前後左右に動かすことによりステアリングシャフトと内蔵されたスイッチにより前進、後進、右折、左折する構成となっているが、ハンドル70をステップ94に固定し、体重を移動することにより小型電動車両90に内蔵されたセンサにて前進、後進、右折、左折する構成にしてもよい。なお、図12の小型電動車両90には、スティック式のハンドル70としたが、棒形ハンドルやホイール形の小型電動車両用ハンドルを有する形式も好適である。
【0016】
図1は小型電動車両用ハンドル(ハンドル10)の外観を示し、図1を用いてホイール形ハンドルの構造を概説する。ハンドル10は、上述した小型電動車両にステアリングシャフト21を介して接続され、ステアリングシャフト21はステアリングカバー22によって覆われている。ハンドル10は、後述する金属性のハンドル芯材を内部に有し、ハンドルグリップ部の大きさがほぼ一定な形状を有している。
【0017】
ハンドル10は、樹脂製のアッパ分割グリップ11、樹脂製のロア分割グリップ12及びグリップ部に設けられたラバーグリップ13と、アッパ分割グリップ11の車両前方側には、クラクションスイッチ14,ウインカスイッチ15,バッテリの充電量を表示するメータ16等が集中して配置されている。このような構成にすることで、ハンドルを握っている手を少しずらすことで、必要なスイッチの操作が可能となり、デザイン的に連続性のあるハンドルを形成することが可能となる。次に、図1に示したハンドル10の構造について、図1のA−A断面、B−B断面及びC−C断面を用いて詳説する。
【0018】
図2は、図1に示した小型電動車両用ハンドル(ハンドル10)のA−A断面を示している。ハンドルグリップ20は、コ字形断面を有する薄板鋼板製のハンドル芯材17と、ハンドル芯材17の懐に収容されたスイッチ23と、スイッチ23をハンドル芯材17に固定するためのネジ25と、ハンドル芯材17の上面に固定されたアッパ分割グリップ11と、ハンドル芯材17に固定されたロア分割グリップ12と、アッパ分割グリップ11に設けられた窓から操作することができるスイッチボタン24と、を有している。
【0019】
ハンドルグリップ20は、ハンドル10の骨組みを形成するハンドル芯材17に沿って延びているため、上面は平坦であり、その断面はほぼ一定である。スイッチ23は、ハンドル芯材17に形成された懐に収納される。スイッチ23をハンドル芯材17に配置するに当たり、スイッチ23の取り付け部分を平坦にすることにより、スイッチ23の取り付け性が向上する。また、スイッチ23だけでなく、メータ、表示装置、照明灯などを取り付けることが可能である。
【0020】
このような構造により、スイッチ23を固定するために台座を設けることなく取り付け可能であり、ハンドルグリップ20に手を載せて握ることにより、手の平全体でハンドルグリップを保持することができる。特に、握力が衰えてハンドルグリップ20を握る力が小さくなっても、ハンドルグリップ20の上面を手の平で押さえることができれば、操舵することが可能となる。本実施形態では、「握る」という動作よりも「押さえる」或いは「寄りかかる」という動作を重視することにより上面が平坦なハンドルグリップ形状としている。
【0021】
図3は図1に示した小型電動車両用ハンドルのC−C断面を示している。アッパ分割グリップ11には、ハンドル芯材17の上面に設けられた固定穴29に嵌り合う突起が設けられている。この突起は、固定穴29に嵌り合った後、加熱工具により熱カシメ18に加工されることで、ハンドル芯材17とアッパ分割グリップ11とが結合されることになる。なお、本実施形態では、熱カシメによる固定を行ったが、これに限定することなく、接着剤による固定、スナップによる固定、ネジによる固定であっても良い。
【0022】
図4は図1に示した小型電動車両用ハンドルのB−B断面とロア分割グリップ12の爪部を示している。ロア分割グリップ12はハンドル芯材17の側面に設けられた係合穴19に係合する爪27を有し、ハンドル芯材17の両側からぶら下がることでハンドル芯材17に固定される。また、斜視図に示すように、爪27の両脇には補強用のリブ28を設けることでアッパ分割グリップ11とロア分割グリップ12の横方向の位置ずれが制限され、爪27が係合穴から抜け落ちることを防止している。
【0023】
さらに、アッパ分割グリップの端部がロア分割グリップ12の端部に密着することでグリップ側面の隙間が発生しないようになっており、ハンドルグリップ20は、ラバーグリップ13によってアッパ分割グリップ11とロア分割グリップ12を覆うように配置され、ハンドルのグリップ感を向上させている。
【0024】
図5は図1の小型電動車両用ハンドル(ハンドルグリップ20)のアクセルスイッチ26を示している。アクセルスイッチ26は、ハンドルグリップ20の下面に取り付けられており、バネの力で元の位置に戻る連続形のスイッチであり、指先でアクセルスイッチ26を押し込むことで、押し込み量に応じて小型電動車両の速度を操ることが可能となっている。また、アクセルスイッチ26の周辺部にはラバーグリップ13が設けられており、アクセルスイッチ26の配置されている部位の目印となるばかりでなく、滑り防止の効果を発揮する。
【0025】
本実施形態に係る小型電動車両は、操作者がアクセルスイッチ26の押し込みをやめることにより、小型電動車両が停止することから、操作者がハンドルグリップ20から手を離すと同時に小型電動車両が停止する。なお、本実施形態では、ハンドルグリップ20の下面に配置しているが、これに限定するものではなく、ハンドルグリップ20の上面に近いハンドルグリップ20の内側の側面又は車両前方側の面に配置してもよい。このような側面に設けることで操作者がアクセルスイッチ26の場所を直接視認することができる。次に、本実施形態で実施した複数のハンドルについて説明する。
【0026】
図6は棒形ハンドル(ハンドル30)の外観を示している。ハンドル30は、ステアリングシャフト31と、ステアリングシャフト31に接続されたハンドル芯材と、アッパ分割グリップ32と、ロア分割グリップ33と、クラクションスイッチ34と、ウインカスイッチ35と、バックミラー37と、ラバーグリップ36と、アクセルスイッチ26と、を有している。ここで、各種スイッチとバックミラー37は、取り付けに特別なステーを用いることなくコ字形断面のハンドル芯材に取り付けられている。
【0027】
図7は棒形ハンドルにおける変形例(ハンドル40)の外観を示している。ハンドル40は、ラバーグリップ46の部分を操作者側に近づけるため、手前に湾曲した骨組み形状を有している。ハンドル40は、ステアリングシャフト41と、ステアリングシャフト41に接続されたハンドル芯材と、アッパ分割グリップ42と、ロア分割グリップ43と、クラクションスイッチ44と、ウインカスイッチ45と、パーキングブレーキ47と、アクセルスイッチ26と、を有している。この構成も同様に、各種スイッチとパーキングブレーキ47は、取り付けに特別なステーを用いることなく、コ字形断面のハンドル芯材に取り付けられている。
【0028】
図8はホイール形ハンドル(ハンドル50)の外観を示している。ハンドル50は、ハンドル回転が通常の車両と比べて狭いものの、ステアリングシャフト51からスポーク57を介してハンドル芯材が接続された略円形のハンドルである。このような形状にした理由は、ラバーグリップ56と操作者との間に、手首を置くスペース(枕状の手首置き)を設けるためであり、筋力の衰えた操作者の身体的負担の低減を考慮したためである。ハンドル50は、ステアリングシャフト51と、ステアリングシャフト51に接続されたスポーク57と、スポーク57に接続されたハンドル芯材と、アッパ分割グリップ52と、ロア分割グリップ53と、クラクションスイッチ54と、ウインカスイッチ55と、ラバーグリップ56と、メータ58と、アクセルスイッチ59と、を有している。この構成も同様に、各種スイッチをコ字形断面のハンドル芯材に取り付け、アッパ分割グリップ52上面の平坦部を枕状の手首置きとして活用したものである。
【0029】
図9はホイール形ハンドルの一部を切り離したU字形ハンドル(ハンドル60)の外観を示している。ハンドル60は、メータ58を省略すると共に、前方下方向の視界を遮らないようにしたハンドル形状である。ハンドル60は、ステアリングシャフト61に接続されたハンドル芯材と、アッパ分割グリップ62と、ロア分割グリップ63と、クラクションスイッチ64と、ウインカスイッチ65と、ラバーグリップ66と、アクセルスイッチ67と、を有している。同様に、ハンドル60には、ラバーグリップ56と操作者との間のアッパ分割グリップ62上に枕状の手首置きを設けている。なお、ハンドル60の右側及び左側の内側にアクセルスイッチ67を合計2個配置したが、どちらか一方だけでも小型電動車両の速度を調整することが可能となっている。さらに、ハンドル60には、安全対策として両方のアクセルスイッチ67を同時に強く握った場合には、緊急事態と判断し、小型電動車両を停止させる機能を設けている。
【0030】
図10は別の実施形態における小型電動車両用ハンドル(ハンドルグリップ80)の断面を示し、特に棒形ハンドルの軽量化及びラバーグリップを全体に施した棒型ハンドルで実施したものであり、ハンドルの骨組みを形成するハンドル芯材88をL字形断面にしたものである。ハンドル芯材88を格納するハンドルグリップ80は、丸みを帯びた四辺形の一辺が段付き断面形状で切断された形状であり、時計回りに、上面のハンドルグリップアッパ部81、ハンドルグリップミドル部82、ハンドルグリップロア部83を有している。
【0031】
ハンドルグリップアッパ部81には、ハンドル芯材88の上面に形成された固定穴92に嵌り合う突起85が形成され、突起85のスナップ構造によりハンドル芯材88に固定されている。また、ハンドル芯材88の側面に形成された係合穴96に係合する爪84がハンドルグリップアッパ部81とハンドルグリップロア部83に配置されている。また、ハンドルグリップ80の内面2箇所には補強用のリブ86,87が配置されており、横方向及び縦方向からの力による変形を防止している。このような構造により、ハンドル芯材をコ字形断面にすることなく、ほぼ同等の剛性を確保している。
【0032】
図11は図10に示した小型電動車両用ハンドル(ハンドルグリップ80)の組み立て方法について示している。ハンドルグリップ80は、丸みを帯びた四角形の一辺が段付き断面形状で切断された形状であり、ハンドルグリップミドル部82の両端に設けられた可動部を中心として開閉自在に形成されている。ハンドルを組み立てる場合には、ハンドルグリップ80を開口し、ハンドル芯材88をハンドルグリップ80内に挿入する。ハンドル芯材88の上側をハンドルグリップ80に固定するために、ハンドル芯材88の上面に設けられた固定穴92にハンドルグリップアッパ部81の突起を嵌め込む。次に、ハンドルグリップアッパ部81とハンドルグリップロア部83を上下方向から押し込むことにより、ハンドル芯材88の側面に形成された係合穴96に、ハンドルグリップアッパ部81とハンドルグリップロア部83の爪84が係合し、四角形のハンドルグリップ80が閉じる。なお、スイッチや表示器などを固定する場合には、ハンドル芯材88の懐に取り付けることになる。
【0033】
以上、上述したように、本実施形態に係る小型電動車両用ハンドルを用いることにより、ハンドルバーの握る所からスイッチまでの距離を従来構成に比べて短くすることができるため、ハンドルを握る手をずらすことでスイッチを操作することが可能となる。また、ハンドルグリップの断面形状を一定にすることにより、スイッチとグリップに段差ができないため、手のスムーズな動きを阻害することかない。
【0034】
さらに、スイッチの取り付け部がグリップと同じ形状となるため、デザイン上の連続性を保つことができ、単純なL字形断面又はコ字形断面を有するハンドル芯材を用いることにより、構造を簡略化することが可能である。以下に、単純なL字形断面又はコ字形断面を有するハンドル芯材を用いた小型電動車両用ハンドルについてその特徴を示す。
【0035】
本発明に係る小型電動車両用ハンドルは、小型電動車両に搭載された機器を操作するスイッチを、小型電動車両の操舵輪を操作するためのハンドルに配置した小型電動車両用ハンドルにおいて、ハンドルの骨組み形状を形成し、骨組みに沿って長手方向に延びる金属板をL字形断面又はコ字形断面に加工してL字形断面又はコ字形断面の懐にスイッチの収容部を形成すると共に、スイッチの固定面を配置したハンドル芯材と、ハンドル芯材を収納するハンドルグリップと、を有し、ハンドル芯材の固定面にスイッチを固定したことを特徴とする。
【0036】
また、本発明に係る小型電動車両用ハンドルにおいて、コ字形断面のハンドル芯材を一つの上面と二つの側面となるように配置し、ハンドルグリップは、ハンドル芯材の上面に設けられた固定穴に嵌り合う突起を備える上側分割グリップと、ハンドル芯材の側面に設けられた係合穴に係合する爪を備える下側分割グリップと、を有することを特徴とする。
【0037】
また、本発明に係る小型電動車両用ハンドルにおいて、L字形断面のハンドル芯材を一つの上面と一つの側面となるように配置し、ハンドルグリップは、L字形断面のハンドル芯材を収納するために四角形断面の一辺が切り離された開閉自在な形状であり、ハンドル芯材の上面に設けられた固定穴に嵌り合う突起と、ハンドル芯材の側面に設けられた係合穴に係合させるため、四角形の一辺が切り離された辺の内側に配置された爪と、を有することを特徴とする。また、コ字形断面はC字形断面としてもよく、適宜丸みを持たせてもよいことはいうまでもない。
【0038】
なお、本実施形態では、ハンドル芯材に自動車業界で通常使用される熱間圧延鋼板を用い、ハンドルグリップの材料にABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂等を用いて実施したが、これに限定するものではない。
【符号の説明】
【0039】
10,30,40,50,60,70,100 ハンドル、11 アッパ分割グリップ、12 ロア分割グリップ、13,36,46,56,66,76 ラバーグリップ、14,34,44,54,64,74,113 クラクションスイッチ、15,35,45,55,65,75,112 ウインカスイッチ、16,58 メータ、17,88 ハンドル芯材、18 熱カシメ、19,96 係合穴、20,80 ハンドルグリップ、21,31,41,51,61,71 ステアリングシャフト、22 ステアリングカバー、23 スイッチ、24 スイッチボタン、25 ネジ、26,59,67 アクセルスイッチ、27,84 爪、29 固定穴、32,42,52,62,72 アッパ分割グリップ、33,43,53,63,73 ロア分割グリップ、37,106 バックミラー、47 パーキングブレーキ、57 スポーク、81 ハンドルグリップアッパ部、82 ハンドルグリップミドル部、83 ハンドルグリップロア部、85 突起、86,87 リブ、90 小型電動車両、91 シート、92 固定穴、93 操舵輪、94 ステップ、95 後輪、101 上側ケース、102 下側ケース、103 外皮部材、104 ハンドルバー前側連続部、105 ハンドルバー後側連続部、107 ブレーキバー、108 アクセルバー、109 前後進切換スイッチ、110 速度切換スイッチ、111 バッテリ充電状態表示器、114 スイッチユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型電動車両に搭載された機器を操作するスイッチを、小型電動車両の操舵輪を操作するためのハンドルに配置した小型電動車両用ハンドルにおいて、
ハンドルの骨組み形状を形成し、骨組みに沿って長手方向に延びる金属板をコ字形断面に加工してコ字形断面の懐にスイッチの収容部を形成すると共に、スイッチの固定面を配置したハンドル芯材と、
ハンドル芯材を収納するハンドルグリップと、
を有し、
ハンドル芯材の固定面にスイッチを固定したことを特徴とする小型電動車両用ハンドル。
【請求項2】
請求項1に記載の小型電動車両用ハンドルにおいて、
コ字形断面のハンドル芯材を一つの上面と二つの側面となるように配置し、
ハンドルグリップは、ハンドル芯材の上面と側面とに接触することで位置決めされた上側分割グリップと、
ハンドル芯材の側面に設けられた係合穴に係合する爪を備える下側分割グリップと、
を有し、
下側分割グリップの爪の近傍に設けられたリブにより上分割グリップと下分割グリップの位置ずれを制限することを特徴とする小型電動車両用ハンドル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−187953(P2012−187953A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51252(P2011−51252)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】