説明

小型電子機器

【課題】外部接続用端子のカバーを開け易く、塵などに対する密閉性、及びデザイン性を向上させる。
【解決手段】機器を収めるための2つ以上の筐体と、筐体の重なり合う部分に隙間を備え、隙間に隣接して備えられ、隙間に隣接する筐体側に指先や爪を掛けるための切り欠き部を有する内部保護のための蓋である開閉可能なカバーと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部接続用コネクタを覆うためのカバーを有する小型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話の市場拡大に伴い、装置の小型化、特に薄型化は、ユーザーの大きな訴求ポイントである。また、音声通話だけでなく、メール送受信、インターネットへの接続、音楽再製機能、そして、ワンセグ放送視聴など、ユーザーは無線付携帯情報端末機に対する要求機能のニーズは多様化している。
【0003】
そのような携帯情報端末において、例えば外部接続用のコネクタを実装する筐体には、コネクタを覆い、保護するためのカバーが備えられている。通常、コネクタ、及びカバーは、筐体の側面の一部に実装されており、カバーは自身に有する支点を中心に開閉可動に構成されている。
【0004】
図10は、従来の外部接続用端子カバーを具備する携帯電話機の構成図である。図のような折りたたみ式やスライド式の携帯電話機は、上筐体101と、下筐体201とで構成される。下筐体201には、外部接続用端子が備えられており、該端子を覆うカバー202が備えられる。
【0005】
カバー202の開閉に際しては、カバーの周囲に指先、あるいは爪を引っ掛けることによって開けられるが、操作性向上のためのガイドとして、従来の装置では、カバー202の周囲の筐体側に凹部204が設けられていたり、カバーに指先、あるいは爪掛かりの凸部203が設けられている。
【0006】
しかしながら、電子機器の小型化、特に薄型化をした場合には、2つの筐体を有する携帯情報端末などでは、外部接続用のコネクタを実装する側の筐体において、コネクタを覆うカバーは、筐体の側面の高さが少なくなるため、カバーはコネクタを実装する側の筐体の一部側面を完全に覆う形状となり、筐体側の厚み方向には、開閉ガイド用の凹部を設けることが出来なくなる。
【0007】
例えば、特許文献1に記載の発明では、折り畳み型携帯電話端末において、それぞれの筐体の表示部と操作部の当接を防止するために、側面に設けられたコネクタカバーを操作部が形成された面よりも突出させている。
【0008】
また、特許文献2には、機器の落下などにより、不本意にカバーが開いてしまうのを防ぐため、カバーの短手方向一端部側を回転中心として他端部側を所定角度以上回動させた際にのみ、カバーの短手方向一端部側が機器ケースから引き出せるように、カバーの短手方向一端部に設けた枠状の連結片の先端部を機器ケースに係止させる発明について開示されている。
【特許文献1】特開2006−157795号公報
【特許文献2】特開2008−011055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、カバーに爪掛かり用のガイドの突起を設けたりすることは、小型化・薄型化の電子機器の見栄えが良くないなどデザイン性を損なう、という課題がある。
【0010】
また、先に述べた、カバー周囲の筐体に爪掛け用の凹部を設けると、そのスペースが必要となるため小型化・薄型化に支障をきたし、かつ、デザイン性をも損なう。
【0011】
更に操作性を考慮して凹部を大きくすると、落下時等の衝撃や小型電子機器に加わる曲げなどの外力で凹部への応力集中により、筐体破損が生じるという課題がある。
【0012】
その際、凹部の内側をリブなどで補強すると、内部に実装されるプリント基板の面積が小さくなり、電気部品が実装できないという課題がある。
【0013】
また、カバーをあける際、指や爪先が入り易いように、カバーに大きな凹部または切り欠きを設ける場合は、塵がカバーの当該箇所に入り易く溜まり易いという課題がある。
【0014】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、外部接続用端子のカバーを開け易く、塵などに対する密閉性、及びデザイン性を向上させた小型化、薄型化した携帯電話機などの小型電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明における小型電子機器は、機器を収めるための2つ以上の筐体と、筐体の重なり合う部分に隙間を備え、隙間に隣接して備えられ、隙間に隣接する筐体側に指先や爪を掛けるための切り欠き部を有する内部保護のための蓋である開閉可能なカバーと、を備えることを特徴とする。
【0016】
筐体は、カバーを開けるための凹部を備えないことを特徴とする。
【0017】
カバーは、一点を支点として筐体につながれていることを特徴とする。
【0018】
カバーは、支点部が弾性材料であることを特徴とする。
【0019】
カバーは、切り欠き部を円弧形状とし、指先や爪を掛けやすくすることを特徴とする。
【0020】
カバーは、表面に切り欠き部を示すための溝を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、筐体の隙間を利用し、外部接続用端子のカバーに爪や指先引掛け用の突起を設けず、切り欠き状の凹部を設けることで、塵などに対する密閉性、及びデザイン性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態における小型電子機器について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態におけるスライド式携帯電話機の構成図である。図の状態は、通話をしない時や、携帯時、そしてワンセグ放送などテレビ視聴する等の状態における斜視図である。
【0024】
本携帯電話機は、上筐体1と、下筐体2と、カバー3と、表示部11とを備えて成る。
【0025】
上筐体1は、ユーザに情報を送るための表示部11を有し、下筐体2は、外部接続用端子を有し、さらに外部接続用端子への塵の侵入や浸水を防ぐためにそれを覆い、蓋の役目をするエラストマ樹脂などの弾性材料で形成されたカバー3が備えられる。テレビ視聴時には、表示部11にて映像をみることができる。また所定の位置に設けられたスピーカー部(図示せず)から音を聞くことができる。
【0026】
なお、上筐体1と、下筐体2とは、スライド動作時に互いに干渉しないよう、隙間10を常時保持して構成され、両筐体はスライド機構(図示せず)により連結されている。
【0027】
カバー3は、所定の位置に支点を有し、開閉自由な構成をしており、下筐体2の側面の一部につき、厚さ方向の全てを覆っている。そのため、下筐体2には縁構成がなく、かつ、カバー3を開ける際のガイドとなる凹部3aが、カバー3の上筐体1側の上辺に備えられる。
【0028】
本構成により、上筐体1と下筐体2との隙間10をカバー3を開ける際の指や爪先の引掛けスペースと兼用することにより、指先や爪の引掛け用の凹部3aの見栄えを損なわずに、カバーを開け易い構成を実現することが可能となる。
【0029】
次に、図1を部分拡大した図2を用いて、カバー3の周辺構造を詳細に説明する。
【0030】
カバー3を開ける際に引っ掛けるための凹部3aは、ユーザーの指先や爪が引っ掛かり易いように円弧形状3bにて構成される。さらに、カバー3の上辺側、すなわち凹部3a付近は、筐体間の隙間10を有しているためにカバー上筐体1を切り欠く必要がない。なお、3bの形状は、円弧に限ることなく、水平に溝をきっても良い。
【0031】
次に、図3は、外部接続用端子30を露出した状態の斜視図である。図のように、カバー3の一端は、下筐体2から離れないように繋げられている。例えば、充電機能、音楽視聴など携帯音楽プレーヤー機能、そしてワンセグ放送受信でテレビ視聴の機能を使うときには、充電用ACアダプターやステレオイヤホンなどを接続するため、カバー3は常時開いて用いられる。
【0032】
次に、図4は、上筐体1をスライドさせ、下筐体2の表面に配備された入力部20を使用可能にした状態の斜視図である。例えば、通話機能やメール機能、そしてインターネット閲覧機能等で、携帯電話機を使用する時には、このように上筐体1を開状態として用いる。
【0033】
次に図5は、上筐体1をスライドさせ、下筐体2の表面に配備された入力部20を使用可能にした状態において、外部接続用端子30を利用できるようカバー3を開けた状態の斜視図である。
【0034】
本状態では、入力部20を使用しながら、AVアダプターでの充電、または音楽視聴、あるいはテレビ視聴するためにステレオイヤホンを接続、またはパーソナルコンピューターなどと接続できる。
【0035】
本実施形態による携帯電話機によれば、上筐体1と下筐体2との隙間と、カバー3に備えられた凹部とを利用して爪を引っ掛けるため、図のようにスライドさせた場合においてもいつでもカバーを開くことが可能である。
【0036】
次に図6は、図1におけるカバー3表面との垂直面で凹部3aの中央の断面図であり、また、図7は、図6のカバー3の開ける周辺構造をわかり易いように部分拡大した断面図である。なお本実施形態においては、カバー3を開ける凹部3aの周辺構造が重要になるため、それに関連した構成のみ表示し、他の内部実装部品などは適宜省略している。
【0037】
図1で説明したように、表示部11を具備する上筐体1と、塵侵入や浸水を防ぐために外接続用端子30などを覆う蓋の役目をするカバー3を装着した下筐体2が、隙間10を有して構成され、互いにスライド可能に連結構成されている(連結構成部品は省略)。
【0038】
プリント基板30aに電気接続された外部接続用端子30は、下筐体2の内部の所定の位置に固定保持される構成であり(固定保持方法は省略)、外部接続用端子30は、充電ACアダプターやステレオイヤホンを脱着時に破損、または位置ずれしないように、下筐体2の側面に設けられた開口穴2aの所定の位置に固定保持されている。
【0039】
カバー3は、凹部3aに沿うように内側に切り欠き3cが設けられ、これにより上筐体1と下筐体2とで形成される隙間、すなわちカバー3の上筐体1側の上辺に指先または爪が入り易いように構成されている。
【0040】
なお、上記では、スライド動作をする端末で説明したが、二つの筐体を有し、その間に隙間を有する構成であればその限りではない。例えば、折り畳み式や回転式などである。
【0041】
図8は、カバー3を下筐体2に係止、及び固定するための説明図であり、上筐体1を省略している。また、図9は、同様の説明におけるカバー3付近の部分拡大斜視図である。
【0042】
カバー3は、エラストマ樹脂などの弾性材料で形成され、一方の側面に一体形成された軸部3eは、先端部に鉤部を具備する。軸部3eは、下筐体2の所定の位置に形成された穴2dを貫通時に先端に設けられた鉤部が変形し易いように、切り欠きの凹部3fを有し、鉤部貫通後に下筐体2と一体化する。これにより、カバー3は、下筐体2の穴2dを支点として開閉可能となる。
【0043】
また、下筐体2の外部接続端子を露出する開口部2aの両側の所定の位置に設けられた2b、及び2cには、カバー3を閉めた時に鉤部3g、及び鉤部3hが係合し、開口部2aが覆われて密閉される。
【0044】
本実施形態の活用例としては、薄型の携帯電話機などの電子通信機器が上げられる。なお、外部接続用端子のカバーは、例えば記録媒体のSDカードなどの保護カバーが必要とする部位に適用可能である。
【0045】
また、隙間10に指が入る空間が十分確保できる場合は、カバー3で指や爪先の引っかけ部の切り欠き3cは備えた方が良いが、凹部3aを備えなくとも容易に開閉可能とすることができる。本構成によれば、カバー外周に凹がないため、さらにデザイン性を向上させることができる。なお、本構成においては、例えばカバー3の表面に溝を設けて開け易い個所を示すと良い。その際の形状は、例えば三角や丸、四角などとする。
【0046】
また、カバーを開ける際の凹部は、お互いがスライドする筐体だけでなく、他のカバー類の部品との隙間を利用した構成の小型電子機器、例えば、デンチカバーとの隙間や、他の回転式筐体、回転式カバー、回転式蓋を用いても良い。
【0047】
また、カバーは、全体がエラストマ樹脂などの弾性材料では無く、開閉の支点部のみ弾性材料で、外装部は硬質樹脂等の別材料でも良い。
【0048】
本発明の実施形態により、外部接続用端子を覆うカバーを開ける際、カバーを開け易くするために筐体自体に切り欠きの凹部を設ける必要がないため、デザイン性を向上させることができる。
【0049】
従来では、落下時等の衝撃や小型電子機器に曲げなどの外力による、下筐体部の切り欠き部への応力集中により筐体破損が生じていたが、カバーを開け易くする筐体自体に切り欠きの凹部を設ける必要がないため、薄型化、及び小型化を実現した電子機器を提供できる。
【0050】
また、カバーの切り欠きを小さくできるため、内部が見えにくく、また塵が入りにくい。
【0051】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機の構造図である。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯電話機の要部拡大図である。
【図3】本発明の実施形態に係る携帯電話機の構造図である。
【図4】本発明の実施形態に係る携帯電話機の構造図である。
【図5】本発明の実施形態に係る携帯電話機の構造図である。
【図6】カバーの垂直面における凹部の中央の断面図である。
【図7】図6における要部拡大図である。
【図8】カバーを下筐体に係止、及び固定するための説明図である。
【図9】図8における要部拡大図である。
【図10】従来の携帯電話機の構成図である。
【符号の説明】
【0053】
1 上筐体
2 下筐体
3 カバー
10 隙間
11 表示部
20 操作部
30 外部接続用端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器を収めるための2つ以上の筐体と、
前記筐体の重なり合う部分に隙間を備え、
前記隙間に隣接して備えられ、前記隙間に隣接する前記筐体側に指先や爪を掛けるための切り欠き部を有する内部保護のための蓋である開閉可能なカバーと、を備えることを特徴とする小型電子機器。
【請求項2】
前記筐体は、前記カバーを開けるための凹部を備えないことを特徴とする請求項1記載の小型電子機器。
【請求項3】
前記カバーは、一点を支点として前記筐体につながれていることを特徴とする請求項1又は2記載の小型電子機器。
【請求項4】
前記カバーは、前記支点部が弾性材料であることを特徴とする請求項3記載の小型電子機器。
【請求項5】
前記カバーは、前記切り欠き部を円弧形状とし、指先や爪を掛けやすくすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の小型電子機器。
【請求項6】
前記カバーは、表面に前記切り欠き部を示すための溝を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の小型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−80209(P2010−80209A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246106(P2008−246106)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】