説明

小形表示パネルとそれを用いた大画面表示装置および大形光源パネル

【課題】
小形ELパネルを2次元的に配列した場合であっても、目地部による画質劣化のない高品質、高精細表示が可能で軽量な大画面表示装置を得られるようにする。
【解決手段】
大画面表示装置1は、小形ELパネル5の表示面側に発光画素ごとに対応して光を所定の方向に伝達する機能をもつ光伝達パネル6を密着して設けた小形表示パネル2を配列して実現する。小形ELパネル5は透明基板10と絶縁基板14により挟まれた有機ELによる発光層11〜13の周辺部には十分な幅をもつ封止壁15が設けられている。光伝達パネル6は透明基板10上に、1ピクセル画素に対応して透明体18を設け、ブラックマトリクスA16の位置に対応してブラックマトリクスB23を介して空洞19があり、空洞19と接する透明体18との境界面には反射膜20を形成しているものである。この小形表示パネル6を配列することによって、目地部による画質劣化がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小形の表示デバイスを二次元的に配列して構成する大画面表示装置および大形光源パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近注目されている表示デバイスに有機ELがある。有機EL( e l e c t r o l u m
i n e s c e n c e)を用いた表示パネルは、自発光、高速応答、広視野角など液晶パネルにはない優れた表示性能を有している。この優れた性能を活かして小形サイズの有機ELパネル(以下「小形ELパネル」という。)を2次元的に配列して大画面表示装置(「大画面ディスプレイ」ともいう。)を実現することが考えられるが、その場合、配列された小形ELパネル同士の継ぎ目に沿って生じる発光しない部分の幅が各小形ELパネル内部に元々あるブラックマトリクス幅と異なると、この継ぎ目の部分が大画面表示装置の中で目地のように見えてしまい、画質が大きく劣化する。配列された小形ELパネル同士の継ぎ目に沿って生じる発光しない部分を以下「目地部」という。
【0003】
このような問題点を解決する方法として特開2001−296814号公報( 特許文献1)では、1枚の大きな基板の表示面全域に複数の表示素子を形成し、これらの表示素子の各々に対応して信号電極および走査電極に信号を供給する駆動回路を設けた構造が提案されている。特許文献1の構造によれば、共通の大きな1枚の基板の上に表示素子が配列されているので、目地部が見えてしまうという問題を解消することができるとされている。
【0004】
特開2007−86667号公報(特許文献2)によると、封止膜を発光層より外側にまで広げ、発光層の外側にある透明基板または透明基板の表面を覆う保護膜に直接強固に接する構造としているので、該封止膜が薄くても外部からの水分や酸素を遮断することができ、この結果、封止幅や電極取り出し領域を狭くでき、各小形ELパネル内部に元々あるブラックマトリクス幅と同じ目地部を実現できるとしている。
特開平3−22341号公報(特許文献3)によると、表示管の前面パネルに管体を設け発光部で発光した光を管体の中を通過させ、発光面と反対側の表示面に導き出し、表示管の周辺部の光らない部分を表示面から見て細くなるような位置に発光部がくるように配設されている。これにより、表示管を配列して生じる配列部分の大きさを小さくできるので、高精細表示が可能としている。
【特許文献1】特開2001−296814号公報
【特許文献2】特開2007−86667号公報
【特許文献3】特開平3−22341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に提案された構造では画面サイズの大きさに限界が生じる。すなわち、たとえば200インチのような大画面を構成しようとすると、一旦大きな面積で導電膜を形成してから不要箇所をエッチングなどで除去する方法を採るため、200インチの大きさの導電膜を形成する装置が必要となる。現状の装置の大きさを考慮すれば、単一の層として形成できる導電膜のサイズは150インチ以下である。したがって、特許文献1に示される構造のものでは、数百インチといった大きなサイズの導電膜は形成できない。
さらに、150インチ以下のサイズであっても大きな面積で発光層を成膜する際には、中央部とコーナー部との間で有機EL層の膜厚に差ができる問題や、ピンホールの発生といった問題が生じる。したがって、大きな面積のパネルにおいては高歩留まりで有機EL層を成膜することが難しい。
さらに、大多数の小形ELパネルが正常に動作していても一部の小形ELパネルに不良品が発生すると、その不良品の小形ELパネルを簡単に取り替えることができないため、不良品の小形ELパネルが混在する形で表示することになるので画質が大きく損なわれる。
また、独立した小形ELパネルを配列して構成する大画面表示装置であれば、大画面表示装置を分解して搬送や持ち運びができるが、特許文献1のように、たとえば150インチサイズの一枚のガラス上に形成された大画面表示装置では搬送や持ち運びは困難となる。
【0006】
特許文献2による大画面表示装置では、画素ピッチを小さくし高精細化していくと、駆動回路を接続するための電極取り出し端子領域が小さくなることによる電気的、機械的な信頼性の低下という問題が発生する。また、封止幅も細くしなければならないが、封止幅を細くすると有機EL材料は水分や酸素に極めて弱いので水分や酸素が浸透することによる発光効率や寿命の低下という問題も起こる。このような問題が起こらないようにするために取り出し端子領域や保護膜、および封止幅の厚さを大きい状態のままにしておくと、高精細表示にすればするほど発光しない部分の幅がブラックマトリクスの幅より大きくなる。すなわち目地部が目立ち大画面表示装置の画質が悪くなってくる。
【0007】
特許文献3による大画面表示装置では、表示管の前面パネルのベースはガラスであり、そのガラスと同等の熱膨張率をもつ金属管を管体として埋め込んで前面パネルを実現している。ガラスを溶融しながら管体を埋め込み、互いに所定の位置になったところで冷却してガラスと管体を強固に固着させて前面パネルとするが、ガラスを溶融、冷却、そして固体に至るまでの特性が金属の特性と若干異なるため、その結果、ガラスと金属との熱応力の差による歪が発生し破損する可能性があり、安定で高歩留まりの表示パネルができない。また、金属の管体を用いているので金属の肉厚が表示パネルの高精細さに制限を与え高精細な前面パネルが実現できない。さらに、管体に金属を用いていることと、ガラスの中に管体が埋め込む構造としているので管体と管体の間にはガラスが存在し軽量な表示管が実現できないなどの問題がある。
本発明は、複数の小形ELパネルを2次元的に配列した場合であっても、目地部による画質劣化のない高品質、高精細表示が可能で軽量な大画面表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に基づく大画面表示装置は、小形ELパネルと光伝達パネルより構成してなる小形表示パネルを配列して実現するものであり、該小形ELパネルは有機EL材料により構成される発光層の一方側の面(表示面側)は透明基板で、他方側の面は絶縁基板、あるいは金属基板で構成され、該透明基板と該絶縁基板により挟まれた発光層の周辺部には発光層を取り囲むように封止壁が設けられていて、該封止壁は外部の水分や酸素が発光層に浸透しないように十分な幅を有しており、該小形ELパネルの表示面側には発光画素ごとに対応して光を所定の方向に伝達する機能をもつ光伝達パネルを密着して設けた小形表示パネルであって、該小形表示パネルを配列することによって生じる目地部と小形表示パネルの内部にあるブラックマトリクス幅を同一とした小形表示パネルを用いて従来の課題を解決する。
【0009】
すなわち、本発明の第1の観点からは、小形ELパネルの面上に光伝達パネルが一体となって構成された小形表示パネルであって、該光伝達パネルは透明基板の内面に透明体と反射膜と空洞が形成されており、該透明体の一方の面は該小形ELパネルの発光画素の位置に対応して密着して設けられており、該小形ELパネルと該透明基板に接していない面には前記反射膜が形成され、前記透明体の間には前記空洞が設けられていることを特徴とする小形表示パネルが提供される。
また、本発明の第2の観点からは、上記の第1の観点において、上記小形ELパネルの透明基板の外面には、密着して複数の多角形をしたEL側透明体を設け、該EL側透明体は少なくともEL側反射膜を形成する面とEL側接着面を設けた面を有していて、該光伝達パネルの透明基板の内面には、密着して複数の多角形をした観視側透明体を設け、該観視側透明体は少なくとも観視側反射膜を形成する面と接着剤を塗布する観視側接着面を有していて、該EL側接着面と該観視側接着面を該接着剤にて強固に接着することによって上記透明体を成したことを特徴とする小形表示パネルが提供される。
【0010】
また、本発明の第3の観点からは、上記の第1又は第2の観点において、上記小形表示パネル周辺部の光らない部分の幅をa、該小形表示パネルを配列した時に生じる小形表示パネル間のギャップをγ、該小形表示パネル内のブラックマトリクスの幅をwとする時、2a+γ=wとなるように、該光伝達パネルを構成する透明基板の内面に接する透明体の位置と長さを設定したことを特徴とする小形表示パネルが提供される。
また、本発明の第4の観点からは、上記の第1〜第2の観点において、上記EL側透明体と逆の形状となるEL側モールドを用いて、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、未硬化の熱硬化性樹脂、あるいは未硬化の光硬化性樹脂などの有機ポリマーよりなる樹脂層に押し付けて該透明基板の外面に密着して該EL側透明体を形成すると共に、該観視側透明体と逆の形状となる観視側モールドを用いて、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、未硬化の熱硬化性樹脂、あるいは未硬化の光硬化性樹脂などの有機ポリマーよりなる樹脂層に押し付けて該透明基板の内面に密着して該観視側透明体を形成する作製方法を用いたことを特徴とする小形表示パネルが提供される。
また、本発明の第5の観点からは、小形ELパネルの面上に光伝達パネルが一体となって構成された小形光源パネルであって、透明体が該小形ELパネルにおける透明基板の外面に一定の長さeの幅で密着して設けられており、透明体の反対側の面は該光伝達パネルにおける透明基板の内面に一定の長さfの幅で密着して設けられており、該小形ELパネルの該透明基板と該光伝達パネルの該透明基板に接していない他の透明体の面には反射膜が形成されていることを特徴とする小形光源パネルが提供される。
【0011】
また、本発明の第6の観点からは、上記の第5の観点において、上記長さeは、前記小形ELパネルにおける発光層の長さdをn分割した長さ(e=d/n)であって、前記長さfは該光伝達パネルにおける透明基板の長さgをn分割した長さ(f=g/n)であることを特徴とする小形光源パネルが提供される。
また、本発明の第7の観点からは、上記の第5又は第6の観点において、上記EL側透明体と逆の形状となるEL側モールドを用いて、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、未硬化の熱硬化性樹脂、あるいは未硬化の光硬化性樹脂などの有機ポリマーよりなる樹脂層に押し付けて該透明基板の外面に該EL側透明体を形成すると共に、該観視側透明体と逆の形状となる観視側モールドを用いて、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、未硬化の熱硬化性樹脂、あるいは未硬化の光硬化性樹脂などの有機ポリマーよりなる樹脂層に押し付けて該透明基板の内面に該観視側透明体を形成する作製方法により得られることを特徴とする小形光源パネルが提供される。
また、本発明の第8の観点からは、上記の小形光源パネルを二次元的に配列してなる大画面表示装置もしくは大形光源パネルが提供される。ここで、好ましくは、上記大形光源パネルの前面に拡散板を設ける。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の小形表示パネルを2次元的に配列した場合であっても目地部と小形表示パネルの内部にあるブラックマトリクス幅を同一にしたもので、大画面表示装置の画質劣化がなく高品質、高精細表示が可能で軽量な大画面表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施の形態1)
(構成)
図1〜図6を参照して、本発明に基づく実施の形態1における大画面表示装置について説明する。
図1に示す大画面表示装置1は、水平方向42個×垂直方向24個の合計1008個の小形表示パネル2を2次元的に配列して構成したものである。この大画面表示装置1は、水平画素数が1344ピクセル画素、走査ライン数が768ライン、画面サイズが対角150インチである。なお、「ピクセル画素」とはR,G,Bの3単色画素で構成される画素を意味する。1344ピクセル画素は4032単色画素に相当する。
小形表示パネル2は、画面サイズが対角4.45インチ、水平画素数が32ピクセル画素、走査ライン数が32ラインである。小形表示パネル2は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の色を発光することによってフルカラー表示が行なえる有機ELパネルを用いている。小形表示パネル2を並べたことによって生じる目地部3の幅は、小型表示パネル2内のブラックマトリクスの幅と等しくなっている。
【0014】
図2は、小形表示パネル2の表示面を拡大して提示しており、その周りには小形表示パネル2が配列された状態を示している。
図3(a)は、小形表示パネル2の左端部における断面図(図2におけるA1−A2線に関する矢視断面図)、図3(b)は、小形表示パネル2の中央部における断面図(図2におけるB1−B2線に関する矢視断面図)、図3(c)は、小形表示パネル2の右端部における断面図(図2におけるC1−C2線に関する矢視断面図)である。
図4(a)は、小形表示パネル2の上端部における断面図(図2におけるD1−D2線に関する矢視断面図)、図4(b)は、小形表示パネル2の中央部における断面図(図2におけるE1−E2線に関する矢視断面図)、図4(c)は、小形表示パネル2の下端部における断面図(図2におけるF1−F2線に関する矢視断面図)である。
図2の左右方向が水平方向、図2の上下方向が垂直方向に相当する。
図3を用いて小形表示パネル2の構成について説明する。図のように小形表示パネル2は小形ELパネル5の面上に光伝達パネル6を設けた構成となっている。
【0015】
まず小形ELパネル5において、透明基板10と透明基板10の一方の面に形成された赤色発光層11、緑色発光層12、青色発光層13が絶縁基板14によって挟まれている。赤色発光層11、緑色発光層12、青色発光層13の三種類の発光層で1ピクセル画素の発光層を形成する。小形ELパネル5は十分な壁の厚さ(例えば数mm以上)を持つ封止壁15によって外部の水分や酸素が内部に浸透するのを防ぎ、赤色発光層11、緑色発光層12、青色発光層13の発光性能の低下を防止している。1ピクセル画素間にはブラックマトリクスA16が設けられている。また、絶縁基板14と赤色発光層11、緑色発光層12、青色発光層13との間には金属電極(記載略)が設けられており、赤色発光層11、緑色発光層12、青色発光層13と透明基板10との間には金属電極と直交する方向に透明電極(記載略)が配置されている。発光は、透明電極と金属電極に電圧を印加して電流を流すことによって起こり、この部分が発光画素となる。発光した光は、透明電極10を通して光伝達パネル6側に射出される。
【0016】
赤色発光層11、緑色発光層12、青色発光層13は印刷や蒸着により形成される。赤色発光層11、緑色発光層12、青色発光層13は図では単一層のように記載されているが、実際にはその内部は高効率に発光させるために電子輸送層、正孔輸送層、EL発光層等からなる多層化構造となっている。赤色発光層11、緑色発光層12、青色発光層13は、低分子材料や高分子材料を用いて形成される。封止壁15の外側、すなわち図3の(a)において透明電極10の左端には駆動回路(記載略)と接続するための取り出し端子17が設けられている。封止壁15の材料としては、有機材料ではエポキシ樹脂やアルカリ樹脂などが、無機材料では窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどが使用可能である。エポキシ樹脂は耐熱性や接着性の観点から好ましく、アルカリ樹脂は速硬化性の観点から好ましい。小形ELパネル5は、以上のように構成される。
続いて光伝達パネル6において、透明基板10の絶縁基板14と反対側の面上には、1ピクセル画素に対応して透明体18が設けられ、ブラックマトリクスA16の位置に対応してブラックマトリクスB23を介して空洞19があり、空洞19と接する透明体18との境界面には反射膜20が形成されている。透明基板10の厚さは、赤色発光層11、緑色発光層12、青色発光層13の三種類の発光層より構成する1ピクセル画素からの発光成分が、隣接する透明体18に漏れないようにするためにブラックマトリクスA16の幅に比べて薄い方が好ましい。透明体18の透明基板10と反対側の面は透明基板21と密着した状態にある。透明基板21の空洞19の位置には、ブラックマトリクスC22を設ける。光伝達パネル6は、以上のように構成される。
【0017】
このように小形表示パネル2は、小形ELパネル5と光伝達パネル6が強固に密着、あるいは貼りあわせた一体型の構成となっている。
小形ELパネル5より発光した赤色発光層11、緑色発光層12、青色発光層13からの光は、透明基板10を通過し、それぞれの位置に対応した透明体18を通過後、透明基板21を経て、観視者側にフルカラー表示される。透明体18内に射出した赤色発光層11、緑色発光層12、青色発光層13からの光は、直進して透明基板21側に到達する直達成分と、赤色発光層11、緑色発光層12、青色発光層13、すなわち1ピクセル画素ごとに設けられた空洞19との境界面に形成した反射膜20にあたって反射を繰り返しながら透明基板21の方に光が伝達されていく反射成分が混ざり合って透明基板21より発光色として表示される。
【0018】
このように1ピクセル画素単位で発光する光が、目地部3の発生原因となる発光に関わらない封止壁15と取り出し端子17の位置に対応する透明基板21側の位置に忠実に伝達されるので、透明基板21の表示面では小形ELパネル5における取出し端子17や封止壁15の光らない部分がなくなった状態となる。また、空洞19と接する透明体18との境界面には反射膜20が形成されているので隣接する透明体18の方には光が漏れることがなく、透明基板21から射出される1ピクセル画素単位の光は純粋で混濁のない色で表示することができる。
【0019】
透明体18のそれぞれの大きさは1ピクセル画素の大きさに対応しているので、赤色発光層11、緑色発光層12、青色発光層13からの発光色は透明体18の中で色が混色するのが好ましい。十分に混色されない場合、例えば透明体18の中に拡散剤を混在させたり反射膜20を形成している面を不均一して光の拡散を図ることによって赤色発光層11、緑色発光層12、青色発光層13からの発光色を混色させるとよい。
ここで、仮に小形ELパネル5だけの配列により大画面表示装置1を構成すると高精細表示にすればするほど、図5に示すように図3(a)の封止壁15と取り出し端子17の光らない部分25、および図3(c)の封止壁15の光らない部分26の幅が、小形ELパネル5内のブラックマトリクスA16の幅より大きくなるので、目地部3の幅が目立ってしまい表示画質を大きく損なうことになる。
【0020】
小形表示パネル2は、小形ELパネル5の面上に光伝達パネル6を設けるので、図6に示すように左端の光らない部分27および右端の光らない部分28の幅を十分に小さく、かつ等しくできる。このように光伝達パネル6を小形ELパネル5の面上に設けることによって、小形表示パネル2を並べて構成した大画面表示装置1では、ブラックマトリクスA16の幅以上にブラックマトリクスC22の幅を拡げることなくブラックマトリクスC22の幅を目地部3に等しくできるため、表示品質が優れた画像が表示できる。
【0021】
次に目地部3の幅とブラックマトリクスA16、およびブラックマトリクスC22の幅の関係について述べる。小形ELパネル5を配列することによって生じる目地部3の幅tは、封止壁15の幅がα、取り出し端子17の幅をβとすると、小形ELパネル5の左端にはα+βの幅の光らない部分25が、小形ELパネル5の右端にはαの幅をもつ光らない部分26が生じる。小形ELパネル5だけの配列では小形ELパネル5の配列によって生じるパネル間のギャップ(記載略)の幅をγとすると、目地部3の幅tはt=2α+β+γとなる。小形ELパネル5だけによる大画面表示装置1を構成する場合、大画面表示装置の1ピクセル画素のピッチが十分に大きい時はブラックマトリクスA16の幅をwとすると、t=wとすることは比較的容易であるが、高精細(ピクセル画素のピッチが小さくなる)になってくると1ピクセル画素の幅やブラックマトリクスA16の幅wが小さくなるので目地部3の幅tをブラックマトリクスA16の幅wに等しくするのが困難となってくる。すなわち、有機EL材料より構成する各発光層11〜13は水分や酸素に弱いので、封止壁15の幅αは十分な大きさに確保することや、駆動回路(記載略)のケーブルと取り出し端子17を信頼性よく接続するためには取り出し端子17の幅βもある程度の大きさを確保する必要があることから、大画面表示装置1が高精細になってくると目地部3の幅tをブラックマトリクスA16の幅wに等しく(t=w=2α+β+γ)させることが困難になってくる。
【0022】
このように信頼性を確保するために封止壁15の幅αや取り出し端子17の幅βを十分な大きさにしておく必要があるので、高精細表示になればなるほど目地部3の発光しない部分の幅tがブラックマトリクスA16の幅wより大きくなり、その結果、目地部3が目立つようになり大画面表示装置1の表示品質が劣化してくる。
【0023】
本発明はこのような欠点を解決するために小形ELパネル5の面上に光伝達パネル6を設けたもので、小形表示パネル2を配列して構成する大画面表示装置1が高精細になっても目地部3の幅t1と小形表示パネル2の内部にあるブラックマトリクスC22の幅w1を同一にできるものである。
本発明は、小形ELパネル5の面上に光伝達パネル6を設けることによって、水平方向の1ピクセル画素単位で発光する光が、発光に関わらない封止壁15と取り出し端子17の位置に対応する透明基板21側の位置に忠実に伝達されるので、透明基板21の表示面では小形ELパネル5における取出し端子17や封止壁15の光らない部分がなくなり、目地部3の大きさを大幅に低減することができる。
【0024】
このように小形ELパネル5において、ブラックマトリクスA16の幅に比べて封止壁15と取り出し端子17の幅が十分に大きくても、小形ELパネル5の透明基板10の面上に光伝達パネル6を設けるので、図6における光らない部分27の幅a、および光らない部分28の幅bを小さく、かつ等しくでき、小形表示パネル2を配列することによって生じる目地部3の幅t1をブラックマトリクスC22の幅w1に等しくできる。すなわち、目地部3の幅t1をt1=w1=2a+γとすることができる。
また、透明体18の間に空洞19を設けているので光伝達パネル6を軽量にすることができ、小形表示パネル2を多数用いて構成する大画面表示装置1の軽量化を図ることができる。
【0025】
以上、図3(a)における小形表示パネル2の左端部(図2におけるA1−A2線に関する矢視断面部)と、図3(c)の小形表示パネル2の右端部(図2におけるC1−C2線に関する矢視断面部)における小形ELパネル5と小形伝達パネル6の構成について述べた。
次に垂直方向での小形ELパネル5と光伝達パネル6の構造について説明する。図4(a)は小形表示パネル2の緑色発光層12における上端部(図2におけるD1−D2線に関する矢視断面部)を、図4(c)は小形表示パネル2の緑色発光層12における下端部(図2におけるF1−F2線に関する矢視断面部)の小形ELパネル5と小形伝達パネル6の構成を示した図である。
【0026】
小形ELパネル5は、前述したように透明基板10、緑色発光層12、絶縁基板14、封止壁15、ブラックマトリクスA16、取り出し端子17、電極(記載略)、透明電極(記載略)より構成されている。封止壁15の垂直方向の幅も水平方向のものと同様に十分に大きく(例えば数mm以上)しており、これによりに外部の水分や酸素が内部に浸透するのを防ぎ、緑色発光層12の発光性能の低下を防止している。通常、垂直方向の封止壁15の幅と水平方向の幅は等しい。封止壁15の外側、すなわち図4の(a)において透明電極10の左端には駆動回路(記載略)と接続するための取り出し端子17が設けられている。封止壁15の材料としては、水平方向のものと同一で有機材料ではエポキシ樹脂やアルカリ樹脂などが、無機材料では窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどが使用可能である。エポキシ樹脂は耐熱性や接着性の観点から好ましく、アルカリ樹脂は速硬化性の観点から好ましい。小形ELパネル5は、以上のように構成される。
【0027】
光伝達パネル6において、透明基板10の絶縁基板14と反対側の面上には、緑色発光層12に対応して透明体18が設けられ、ブラックマトリクスA16の位置に対応してブラックマトリクスB23を介して空洞19があり、空洞19と接する透明体18との境界面には反射膜20が形成されている。透明基板21の空洞19の位置には、ブラックマトリクスC22を設ける。光伝達パネル6は、以上のように構成される。
小形ELパネル5より発光した緑色発光層12からの光は、透明基板10を通過し、対応した透明体18を通過後、透明基板21を経て、観視者側に緑色表示される。透明体18内に射出された緑色発光層12からの光は、直進して透明基板21側に到達する直達成分と、緑色発光層12ごとに設けられた空洞19との境界面に形成した反射膜20にあたって反射を繰り返しながら透明基板21の方に光が伝達されていく反射成分が混ざり合って透明基板21より発光色として表示される。
【0028】
このように緑色発光層12からの光が、目地部3の発生原因となる発光に関わらない封止壁15と取り出し端子17の位置に対応する透明基板21側の位置に忠実に伝達されるので、透明基板21の表示面では小形ELパネル5における取出し端子17や封止壁15の光らない部分がなくなった状態となる。また、空洞19と接する透明体18との境界面には反射膜20が形成されているので隣接する透明体18の方には光が漏れることがなく、透明基板21から射出される光は純粋で混濁のない色で表示することができる。
ここで仮に小形ELパネル5だけの配列により大画面表示装置1を構成すると高精細表示にすればするほど、図5に示すように図4(a)の封止壁15と取り出し端子17の光らない部分29、および図4(c)の封止壁15の光らない部分30の幅が、小形ELパネル5内のブラックマトリクスA16の幅より大きくなるので、目地部3の幅が目立ってしまい表示画質を大きく損なうことになる。
【0029】
小形表示パネル2は、小形ELパネル5の面上に光伝達パネル6を設けるので、図6に示すように上端の光らない部分31および下端の光らない部分32の幅を十分に小さく、かつ等しくできる。このように光伝達パネル6を小形ELパネル5の面上に設けることによって、小形表示パネル2を並べて構成した大画面表示装置1では、ブラックマトリクスC22の幅を拡げることなくブラックマトリクスC22の幅を目地部3に等しくできるため表示品質が優れた画像が表示できる。
次に目地部3の幅とブラックマトリクスA16、およびブラックマトリクスC22の幅の関係について述べる。小形ELパネル5を配列することによって生じる大画面表示装置1の目地部3の幅tは、封止壁15の幅がα、取り出し端子17の幅をβとすると、小形ELパネル5の上端にはα+βの幅の光らない部分29が、小形ELパネル5の下端にはαの幅をもつ光らない部分30が生じる。小形ELパネル5だけの配列では小形ELパネル5の配列によって生じるパネル間のギャップ(記載略)の幅をγとすると、目地部3の幅tはt=2α+β+γとなる。
【0030】
小形ELパネル5だけによる大画面表示装置1を構成する場合、大画面表示装置の緑色発光層12のピッチが十分に大きい時はブラックマトリクスA16の幅をwとすると、t=wとすることは比較的容易であるが、高精細表示(緑色発光層12のピッチが小さくなる)になってくると緑色発光層12の幅やブラックマトリクスA16の幅wも小さくなるので目地部3の幅tをブラックマトリクスA16の幅wに等しくするのが困難となってくる。すなわち、有機EL材料より構成する緑色発光層12は水分や酸素に弱いので、封止壁15の幅αは十分な大きさに確保することや、駆動回路(記載略)のケーブルと取り出し端子17を信頼性よく接続するためには取り出し端子17の幅βもある程度の大きさを確保する必要があることから、大画面表示装置1が高精細になってくると目地部3の幅tをブラックマトリクスA16の幅wに等しく(t=w=2α+β+γ)させることが困難になってくる。
このように信頼性を確保するために封止壁15の幅αや取り出し端子17の幅βを十分な大きさにする必要があるので、高精細表示になればなるほど目地部3の発光しない部分の幅tがブラックマトリクスA16の幅wより大きくなり、その結果、目地部3が目立つようになり表示品質が劣化してくる。
【0031】
本発明はこのような欠点を解決するために小形ELパネル5の面上に光伝達パネル6を設けたもので、小形表示パネル2を配列して構成する大画面表示装置1が高精細表示になっても目地部3の幅t1と小形表示パネル2の内部にあるブラックマトリクスC22の幅w1を同一にできるものである。
本発明は、小形ELパネル5の面上に光伝達パネル6を設けることによって、垂直方向におけるそれぞれの発光層11、12、13からの光が、発光に関わらない封止壁15と取り出し端子17の位置に対応する透明基板21側の位置に忠実に伝達されるので、透明基板21の表示面では小形ELパネル5における取出し端子17や封止壁15の光らない部分がなくなり、目地部3の大きさを大幅に低減することができる。
このように小形ELパネル5においてブラックマトリクスA16の幅に比べて封止壁15と取り出し端子17の幅が十分に大きくても、小形ELパネル5の透明基板10の面上に光伝達パネル6を設けることにより、図6における光らない部分31の幅a、および光らない部分32の幅bを小さく、かつ等しくでき、小形表示パネル2を配列することによって生じる目地部3の幅t1をブラックマトリクスC22の幅w1に等しくできる。すなわち、目地部3の幅t1をt1=w1=2a+γとすることができる。
また、透明体18の間に空洞19を設けているので光伝達パネル6を軽量にすることができ、小形表示パネル2を多数用いて構成する大画面表示装置1の軽量化を図ることができる。
【0032】
( 製法 )
図7を用いて本実施例における光伝達パネル6の製造方法について説明する。
図7(a)は小形ELパネル5の左端(図2におけるA1−A2線に関する部分)より3ピクセル画素分を示した断面図である。
図7(b)は、小形ELパネル5の表面側にブラックマトリクスB23と、たとえば分子量20万のPMMA(PolyMethylMethAcrylate)のEL側樹脂層40を塗布したものである。EL側樹脂層40は、PMMAに限らず、ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP),ポリビニルアルコール(PVA),ポリ塩化ビニルリデン(PVDC),リエチレンテレフタレート(PET),ポリ塩化ビニル(PVC),ポリスチレン(PS),ABS樹脂,AS樹脂,ポリアミドイミド(PA),ポリアセタール,ポリブチレンテレフタレート(PBT),強化ポリエチレンテレフタレート(強化PET),ポリカーボネート(PC),変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE),ポリフェニレンサルファイド(PPS),ポリエーテルエーテルケトン(PEEK),液晶性ポリマー(LCP),フッ素樹脂(FR),ポリアリレート(PAR),ポリスルフォン(PSU),ポリエーテルスルフォン(PES),ポリアミドイミド(PAI),ポリエーテルイミド(PEI),熱可塑性ポリイミド(TPI),シクロオレフィンポリマー,ポリメチルメタクリレート,ポリ乳酸などの熱可塑性樹脂、さらにフェノール樹脂(PF)、メラミン樹脂(MF)、ユリア樹脂(UF)、エポキシ樹脂(EP)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、シリコン樹脂、ジアリルフタレート樹脂(PDAP)、ポリイミド(PI),ポリアミドビスマレイミド、トリアジン(BTレジン),ポリビスアミドトリアゾールなどの熱硬化性樹脂、これらを2種以上混合した材料、あるいは感光性物質を添加した光硬化性の材料などや、これらの材料に酸化防止剤、難燃剤等を添加したものでも良い。
図7(c)は透明体18を構成するためのEL側透明体41を示している。
図7(d)は透明体18を構成するEL側透明体41を形成するために、EL側透明体41の形状とまったく逆形状のEL側モールド42をEL側支持体43に取り付けたものである。
EL側モールド42は、たとえば結晶方位(100)のシリコンウエハを用いる。EL側モールド42の材料は、シリコンウエハに限らず表面の平滑性がよく、軟化点温度が高いガラスや金属のようなもの、あるいはポリカーボネートなどの有機物、あるいはこれらの積層構造体を用いてもよい。
図7(e)はEL側モールド42をEL側樹脂層40に押し付けた状態である。
図7(f)はEL側モールド42をEL側樹脂層40から引き離すことによって、透明基板10上にはEL側透明体41が形成された状態を示している。
EL側モールド42をこのようにEL側樹脂層40に押付け、その後、EL側モールド42をEL側樹脂層40から引き離すことによってEL側モールド42に入り込んだ熱可塑性樹脂、又は未硬化の光硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂によって、EL側モールド42の形状に対応した所望の形ができる。EL側透明体41は自己支持性であることが好ましく、透明基板10から自立できる形態であることが望ましい。EL側透明体41と透明基板10は完全に密着していることが好ましい。EL側樹脂層40の材料を熱可塑性樹脂にすることにより、EL側透明体41の作製時の温度や時間などを調整しながら、EL側モールド42をEL側樹脂層40から引き離すことによって正常な形状のEL側透明体41が作製できる。EL側樹脂層40の材料を光硬化性材料とすることにより、EL側透明体41の作製時の光照射量や時間などを制御しながら、EL側モールド42をEL側樹脂層40から引き離すことによって正常な形状のEL側透明体41を得ることができる。また、EL側樹脂層40にシリカや金などの超微粒子を添加することで屈折率を変化させてもよい。
【0033】
このようにEL側透明体41を備えた透明基板10は、EL側透明体41の形状と逆の形状となるEL側モールド42を用いてEL側透明体41を作製するが、EL側モールド42を熱可塑性樹脂のEL側樹脂層40に押付けこれを引き離す際に、EL側モールド42内に圧入されたEL側樹脂層40がうまく成形できるかは、用いる樹脂の種類、物性(分子量など)、成形条件(凹構造の深さ、温度、成形圧力など)によって変わるので、予め種々の実験によって確認する必要がある。
前記熱硬化性樹脂のEL側樹脂層40が未硬化の状態にある時に、EL側モールド42をEL側樹脂層40に押し付けて引き離すことにより、目的の形状をもったEL側透明体41が形成されるが、これを熱硬化などにより硬化させることにより、機械的強度の高いEL側透明体41となる。樹脂の硬化にあたっては、樹脂が溶融して流れたり、変形したりしないような条件を選ぶため、硬化温度や加熱プロファイルの検討が必要である。なお、熱硬化性樹脂に硬化剤や硬化促進剤を添加してもなんら差し支えない。
図7(g)は、EL側透明体41の一方の面に反射膜20を構成するためのEL側反射膜44を形成する。EL側反射膜44は反射率の高い銀ペーストなどを用いて印刷で作製したり、メッキなどによって表面を化学修飾してもよい。
図7(h)は、透明基板21にブラックマトリクスC22が設けたものである。
図7(i)は透明基板21の表面に、たとえば分子量20万のPMMAの観視側樹脂層45を塗布したものである。
【0034】
観視側樹脂層45の材料は、EL側樹脂層40の材料と同一が好ましい。観視側樹脂層45はEL側樹脂層40の材料と同様にPMMAに限らず、ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP),ポリビニルアルコール(PVA),ポリ塩化ビニルリデン(PVDC),リエチレンテレフタレート(PET),ポリ塩化ビニル(PVC),ポリスチレン(PS),ABS樹脂,AS樹脂,ポリアミドイミド(PA),ポリアセタール,ポリブチレンテレフタレート(PBT),強化ポリエチレンテレフタレート(強化PET),ポリカーボネート(PC),変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE),ポリフェニレンサルファイド(PPS),ポリエーテルエーテルケトン(PEEK),液晶性ポリマー(LCP),フッ素樹脂(FR),ポリアリレート(PAR),ポリスルフォン(PSU),ポリエーテルスルフォン(PES),ポリアミドイミド(PAI),ポリエーテルイミド(PEI),熱可塑性ポリイミド(TPI),シクロオレフィンポリマー,ポリメチルメタクリレート,ポリ乳酸などの熱可塑性樹脂、さらにフェノール樹脂(PF)、メラミン樹脂(MF)、ユリア樹脂(UF)、エポキシ樹脂(EP)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、シリコン樹脂、ジアリルフタレート樹脂(PDAP)、ポリイミド(PI),ポリアミドビスマレイミド、トリアジン(BTレジン),ポリビスアミドトリアゾールなどの熱硬化性樹脂、これらを2種以上混合した材料、あるいは感光性物質を添加した光硬化性の材料などや、これらの材料に酸化防止剤、難燃剤等を添加したものでも良い。
図7(j)は透明体18を構成するための観視側透明体46を示している。
図7(k)は透明体18を構成する観視側透明体46を形成するために、観視側透明体46の形状とまったく逆形状の観視側モールド47を観視側支持体48に取り付けたものである。
【0035】
観視側モールド47は、たとえば結晶方位(100)のシリコンウエハを用いる。観視側モールド47の材料は、シリコンウエハに限らず表面の平滑性がよく、軟化点温度が高いガラスや金属のようなもの、あるいはポリカーボネートなどの有機物、あるいはこれらの積層構造体を用いてもよい。
図7(l)は観視側モールド47を観視側樹脂層45に押し付けた状態である。
図7(m)は観視側モールド47を観視側樹脂層45から引き離すことによって、透明基板21上に観視側透明体46が形成された状態を示している。
観視側モールド47をこのように観視側樹脂層45に押付け、その後、観視側モールド47を観視側樹脂層45から引き離すことによって観視側モールド47に入り込んだ熱可塑性樹脂、又は未硬化の光硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂によって、観視側モールド47の形状に対応した所望の形ができる。
観視側透明体46は自己支持性であることが好ましく、透明基板21から自立できる形態であることが望ましい。観視側透明体46と透明基板21は完全に密着していることが好ましい。
【0036】
観視側樹脂層45の材料を熱可塑性樹脂にすることにより、観視側透明体46の作製時の温度や時間などを調整しながら、観視側モールド47を観視側樹脂層45から引き離すことによって正常な形状の観視側透明体46が作製できる。
観視側樹脂層45の材料を光硬化性材料とすることにより、観視側透明体46の作製時の光照射量や時間などを制御しながら、観視側モールド47を観視側樹脂層45から引き離すことによって正常な形状の観視側透明体46を得ることができる。また、観視側樹脂層45にシリカや金などの超微粒子を添加することで屈折率を変化させてもよい。
このように観視側透明体46を備えた透明基板21は、観視側透明体46の形状と逆の形状となる観視側モールド47を用いて観視側透明体46を作製するが、観視側透明体46を熱可塑性樹脂の観視側樹脂層45に押付けこれを引き離す際に、観視側モールド47に圧入された観視側樹脂層45をうまく成形できるかは、用いる樹脂の種類、物性(分子量など)、成形条件(凹構造の深さ、温度、成形圧力など)によって変わるので、予め種々の実験によって確認する必要がある。
【0037】
前記熱硬化性樹脂の観視側樹脂層45が未硬化の状態にあるときに、観視側透明体46を観視側樹脂層45に押し付けて引き離すことにより、目的の形状をもった観視側透明体46が形成されるが、これを熱硬化などにより硬化させることにより、機械的強度の高い観視側透明体46となる。熱硬化性樹脂の硬化にあたっては、樹脂が溶融して流れたり、変形したりしないような条件を選ぶため、硬化温度や加熱プロファイルの検討が必要である。なお、熱硬化性樹脂に硬化剤や硬化促進剤を添加してもなんら差し支えない。
図7(n)は、観視側透明体46の一方の面に反射膜20を構成するための観視側反射膜49を形成する。観視側反射膜49は反射率の高い銀ペーストなどを用いて印刷で作製したり、メッキなどによって表面を化学修飾してもよい。
図7(o)は、観視側透明体46の他方の面である観視側接着面51の表面に接着剤52を塗布しており、図7(g)のEL側接着面50と観視側接着面51をこの接着剤52によって強固に接着する。観視側接着剤52によって接着されたEL側接着面50と観視側接着面51は透明であり、また膨張係数や屈折率が同じである方が好ましい。
図7(p)は、接着剤52によって接着されたEL側接着面50と観視側接着面51は一体となって透明体18を成した状態を示した図である。透明体18はブラックマトリクスB23の位置とブラックマトリクスC22の位置で空洞19になるように、EL側透明体41と観視側透明体46が作製されている。
また、透明基板10の外面にあるEL側透明体41や透明基板21の内面にある観視側透明体46はプレスで作製されるので低コストに作製できる。
【0038】
図8は、小形ELパネル5の右端(図2におけるC1−C2線に関する部分)より3ピクセル画素分を示した断面図である。
図8(a)は小形ELパネル5を示す。
図8(b)は、小形ELパネル5の表面にブラックマトリクスB23と、たとえば分子量20万のPMMAのEL側樹脂層40を塗布したものである。
図8(c)は透明体18を構成するためのEL側透明体41を示している。
図8(d)は透明体18を構成するEL側透明体41を形成するために、EL側透明体41の形状とまったく逆形状のEL側モールド42をEL側支持体43に取り付けたものである。
図8(e)はEL側モールド42をEL側樹脂層40に押し付けた状態である。
図8(f)はEL側モールド42をEL側樹脂層40から引き離すことによって、透明基板10上にはEL側透明体41が形成された状態を示している。
図8(g)は、EL側透明体41の一方の面に反射膜20を構成するためのEL側反射膜44を形成したものである。
図8(h)は、透明基板21にブラックマトリクスC22が設けたものである。
図8(i)は透明基板21の表面に、たとえば分子量20万のPMMAの観視側樹脂層45を塗布したものである。
図8(j)は透明体18を構成するための観視側透明体46を示している。
図8(k)は透明体18を構成する観視側透明体46を形成するために、観視側透明体46の形状とまったく逆形状の観視側モールド47を観視側支持体48に取り付けたものである。
図8(l)は観視側モールド47を観視側樹脂層45に押し付けた状態である。
図8(m)は観視側モールド47を観視側樹脂層45から引き離すことによって、透明基板21上に観視側透明体46が形成された状態を示している。
図8(n)は、観視側透明体46の一方の面に反射膜20を構成するための観視側反射膜49を形成したものである。
図8(o)は、観視側透明体46の他方の面である観視側接着面51の表面に接着剤52を塗布しており、この接着剤52によって図7(g)のEL側接着面50と観視側接着面51を強固に接着させる。
図8(p)は、接着剤52によって接着されたEL側接着面50と観視側接着面51は一体となって透明体18を成した状態を示した図である。
尚、本発明の形態1によれば透明基板10の外面にあるEL側透明体41や透明基板21の内面にある観視側透明体46はプレスで作製されるので低コストに作製できる。
【0039】
図9(a)は小形ELパネル5の垂直方向の上端(図2におけるD1− D2線に関する部分)より3ピクセル画素分を示した断面図である。図9(a)と図7(a)の相違点は、図9(a)における緑色発光層12が、図7(a)においては赤色発光層(11)、緑色発光層12、青色発光層13になっている点であり、光伝達パネル6の製造方法についてはまったく変わりがない。
図10(a)は小形ELパネル5の垂直方向の下端(図2におけるF1−F2線に関する部分)より3ピクセル画素分を示した断面図である。図10(a)と図8(a)の相違点は、図10(a)における緑色発光層12が、図8(a)においては赤色発光層(11)、緑色発光層12、青色発光層13になっている点であり、光伝達パネル6の製造方法はまったく変わりがない。
光伝達パネル6の水平方向の中央部(図2におけるB1−B2線に関する矢視断面部)、および垂直方向の中央部(図2におけるE1−E2線に関する矢視断面部)の製造方法についても、同様な方法にて光伝達パネル6を作製することができる。
以上、光伝達パネル6の製法について述べたが、本製法に限定するものではなく光伝達パネル6と同様な構造が得られるものであればいかなる製法を用いてもよい。たとえば、射出成形法、圧縮成形法、真空成形法などである。
また、本実施の形態1では、発光デバイスに有機ELを用いて説明しているが、有機ELに限定されるものではなくPDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)や蛍光表示管のような発光デバイスを用いても本発明の効果は変わりがない。
【0040】
(作用・効果)
以上のように本発明によれば、透明基板21と透明体18、空洞19、および透明体18と空洞19の界面に設けた反射膜20、ならびブラックマトリクスC22により構成される小形伝達パネル6を小形ELパネル5の面上に設けることによって、水平方向における1ピクセル画素単位で発光する光や垂直方向におけるそれぞれの発光層11、12、13からの光が、発光に関わらない封止壁15と取り出し端子17の位置に対応する透明基板21側の位置に忠実に伝達されるので、透明基板21の表示面では小形ELパネル5における取出し端子17や封止壁15の光らない部分がなくなり、目地部3の大きさを大幅に低減することができる。
【0041】
これにより、小形表示パネル2の配列により生じる目地部3の幅と小形表示パネル2の内部にあるブラックマトリクスC22の幅を等しくできるので、画質を劣化させることなく高品質で高精細な表示が可能な大画面表示装置を提供することができる。尚、水平方向における透明体18の大きさは1ピクセル画素に対応して設けているが、単色画素単位で設けても本発明の効果は変わらない。
また、透明体18の間に空洞19を設けているので光伝達パネル6を軽量にすることができ、小形表示パネル2を多数用いて構成する大画面表示装置1の軽量化を図ることができる。
今回開示した上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものでない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0042】
(実施の形態2)
(構成)
図11〜図16を参照して、本発明に基づく実施の形態2における大形光源パネルについて説明する。
図11に示す大形光源パネル61は、水平方向8個、垂直方向5個の合計40個の小形光源パネル62を2次元的に配列して構成したものである。小形光源パネル62は、白色の単色で発光する。
図12は、小形光源パネル62の光源面を拡大して提示しており、その周りには小形光源パネル62が配列された状態を示している。
【0043】
図13は、小形光源パネル62の断面図(図12におけるG1−G2線に関する矢視断面図)である。
図13を用いて小形光源パネル62の構成について説明する。図のように小形光源パネル62は小形ELパネル65の面上に光伝達パネル66を設けた構成となっている。
小形ELパネル65において、透明基板10と透明基板10の一方の面に形成された白色発光層67が絶縁基板14によって挟まれている。小形ELパネル65は封止壁15によって外部の水分や酸素が内部に浸透するのを防ぎ白色発光層67の発光性能の低下を防止している。絶縁基板14と白色発光層67との間には全域にわたって金属電極(記載略)が設けられており、白色発光層67と透明基板10との間にも同様に全域にわたって透明電極(記載略)が配置されている。白色の発光は、透明電極と金属電極に電圧を印加して電流を流すことによって起こり、この部分が発光面となる。発光した光は、透明電極10を通して光伝達パネル66側に射出される。封止壁15の外側、すなわち図13において透明電極10の左端には駆動回路(記載略)と接続するための取り出し端子17が設けられている。
小形ELパネル65は、以上のように構成される。
【0044】
続いて光伝達パネル66において、透明基板10の絶縁基板14と反対側の面上には透明体18が設けられている。それぞれの透明体18が透明基板10に接している幅はeの長さである。長さeは白色発光層67の水平方向の長さをdとすると、n分割した長さとなっている。これにより、それぞれの透明体18に入射する白色発光層67からの光束量が同じになる。透明体18のそれぞれの透過率が同じであれば透明体18から射出される光束量は同じになるので、それぞれの透明体18からの明るさが等しくなる。仮にそれぞれの透明体18の透過率が不揃いの場合は、透過率の大きさに応じて透明体18の水平方向の長さeを変え光束量を調整すればよい。
隣接する透明体18との境界面には反射膜20が形成されている。透明体18の透明基板10と反対側の面には透明基板21が密着して設けられている。透明基板21側におけるそれぞれの透明体18の水平方向の長さfは、透明基板21の水平方向の長さをgとするとn分割された長さとなっている。このように透明体18は、透明基板10の絶縁基板14と反対側の面上には長さがeであって、透明基板21の面側での長さはfとしたものである。光伝達パネル66は、以上のように構成される。
このように小形光源パネル62は、小形ELパネル65と光伝達パネル66が強固に密着、あるいは貼りあわせた一体型の構成である。
【0045】
小形ELパネル65より発光した白色発光層67からの光は、透明基板10を通過し、それぞれの位置に対応した透明体18を通過後、透明基板21を経て、観視者側に明るい白色の光となって射出される。
透明体18内に射出された白色発光層67からの光は、直進して透明基板21側に到達する直達成分と、透明体18間の境界面に形成した反射膜20にあたって反射を繰り返しながら透明基板21の方に光が伝達されていく反射成分が混ざり合って透明基板21より発光色として明るく光る。
このように透明体18ごとに同じ光束量の光が忠実に伝達されるので、透明基板21の明るさは均一となる。
また光伝達パネル66を用いているので、小形ELパネル65における取出し端子17や封止壁15の光らない部分が削減でき、これにより小形光源パネル62を配列して生じる光らない部分の幅を細くすることができる。
【0046】
小形ELパネル65では、図14に示すように図13の左端の封止壁15と取り出し端子17の光らない部分75、および図13の右端における封止壁15の光らない部分76の幅が大きいと、このような小形ELパネル65を並べて大形光源パネル61を構成しても、光らない部分が目立ってしまい一様な明るさのものを得ることができない。
小形光源パネル62は、小形ELパネル65の面上に光伝達パネル66が設けられているので、図15に示すように左端の光らない部分77および右端の光らない部分78の幅を細く、かつ等しくすることができる。このように光伝達パネル66を小形ELパネル65の面上に設けることによって、小形光源パネル62を並べて大形光源パネル61を構成しても、明るさが均一な光源が実現できる。
本発明は、発光に関わらない小形ELパネル65の封止壁15と取り出し端子17の位置に、光伝達機能のある光伝達パネル66を用いて発光の位置を移動させるもので、配列部の光らない部分の幅を大幅に細くできる。
【0047】
このように小形ELパネル65において封止壁15と取り出し端子17の幅が十分に大きくても、小形ELパネル65の透明基板10の面上に光伝達パネル66を設けることによって、図15に示すように光らない部分77と光らない部分78の幅を細く、かつ等しくできる。
以上は、図13における小形光源パネル62の左端部(図12におけるG1−G2線に関する左端部)と、図13の小形光源パネル62の右端部(図12におけるG1−G2線に関する右端部)を含めた小形光源パネル62の水平方向における小形ELパネル65と小形伝達パネル66の構成について述べたが、垂直方向についても同様な構成で実現できる。
このように、小形ELパネル65の透明基板10の面上に光伝達パネル66を設けることによって、大形光源パネル61から発光する白色の光の明るさは、均一なものを得ることができる。
【0048】
( 製法 )
図16を用いて本実施例における光伝達パネル66の製造方法について説明する。
図16(a)は小形ELパネル65の断面図(図12におけるG1−G2線に関する部分)である。
図16(b)は、小形ELパネル65の表面側に有機ポリマーを、たとえば分子量20万のPMMAのEL側樹脂層70を塗布したものである。
図16(c)は透明体18を構成するためのEL側透明体71を示している。
図16(d)はEL側透明体71を形成するために、EL側透明体71の形状とまったく逆形状のEL側モールド72をEL側支持体73に取り付けたものである。
図16(e)はEL側モールド72をEL側樹脂層70に押し付けた状態である。
図16(f)はEL側モールド72をEL側樹脂層70から引き離すことによって、透明基板10上にはEL側透明体71が形成された状態を示している。
EL側モールド72をこのようにEL側樹脂層70に押付け、その後、EL側モールド72をEL側樹脂層70から引き離すことによってEL側モールド72に入り込んだ熱可塑性樹脂、又は未硬化の光硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂によって、EL側モールド72の形状に対応した所望の形ができる。EL側透明体71は自己支持性であることが好ましく、透明基板10から自立できる形態であることが望ましい。EL側透明体71と透明基板10は完全に密着していることが好ましい。
【0049】
EL側樹脂層70の材料を熱可塑性樹脂にすることにより、EL側透明体71の作製時の温度や時間などを調整しながら、EL側モールド72をEL側樹脂層70から引き離すことによって正常な形状のEL側透明体71が作製できる。
EL側樹脂層70の材料を光硬化性材料とすることにより、EL側透明体71の作製時の光照射量や時間などを制御しながら、EL側モールド72をEL側樹脂層70から引き離すことによって正常な形状のEL側透明体71を得ることができる。
【0050】
このようにEL側透明体71を備えた透明基板10は、EL側透明体71の形状と逆の形状となるEL側モールド72を用いてEL側透明体71を作製するが、EL側モールド72を熱可塑性樹脂のEL側樹脂層70に押付けこれを引き離す際に、EL側モールド72内に圧入されたEL側樹脂層70がうまく成形できるかは、用いる樹脂の種類、物性(分子量など)、成形条件(凹構造の深さ、温度、成形圧力など)によって変わるので、予め種々の実験によって確認する必要がある。
前記熱硬化性樹脂のEL側樹脂層70が未硬化の状態にある時に、EL側モールド72をEL側樹脂層70に押し付けて引き離すことにより、目的の形状をもったEL側透明体71が形成されるが、これを熱硬化などにより硬化させることにより、機械的強度の高いEL側透明体71となる。樹脂の硬化にあたっては、樹脂が溶融して流れたり、変形したりしないような条件を選ぶため、硬化温度や加熱プロファイルの検討が必要である。
【0051】
図16(g)は、EL側透明体71の一方の面に反射膜20を構成するためのEL側反射膜74を形成する。
図16(i)は透明基板21の内面に有機ポリマーを、たとえば分子量20万のPMMAの観視側樹脂層75を塗布したものである。
図16(j)は透明体18を構成するための観視側透明体76を示している。
図7(k)は観視側透明体76を形成するために、観視側透明体76の形状とまったく逆形状の観視側モールド77を観視側支持体78に取り付けたものである。
図16(l)は観視側モールド77を観視側樹脂層75に押し付けた状態である。
図16(m)は観視側モールド77を観視側樹脂層75から引き離すことによって、透明基板21上に観視側透明体76が形成された状態を示している。
観視側モールド77をこのように観視側樹脂層75に押付け、その後、観視側モールド77を観視側樹脂層75から引き離すことによって観視側モールド77に入り込んだ熱可塑性樹脂、又は未硬化の光硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂によって、観視側モールド77の形状に対応した所望の形ができる。
観視側透明体76は自己支持性であることが好ましく、透明基板21から自立できる形態であることが望ましい。観視側透明体76と透明基板21は完全に密着していることが好ましい。
【0052】
観視側樹脂層75の材料を熱可塑性樹脂にすることにより、観視側透明体76の作製時の温度や時間などを調整しながら、観視側モールド77を観視側樹脂層75から引き離すことによって正常な形状の観視側透明体76が作製できる。観視側樹脂層75の材料を光硬化性材料とすることにより、観視側透明体76の作製時の光照射量や時間などを制御しながら、観視側モールド77を観視側樹脂層75から引き離すことによって正常な形状の観視側透明体76を得ることができる。
このように観視側透明体76を備えた透明基板21は、観視側透明体76の形状と逆の形状となる観視側モールド77を用いて観視側透明体76を作製するが、観視側透明体76を熱可塑性樹脂の観視側樹脂層75に押付けこれを引き離す際に、観視側モールド77に圧入された観視側樹脂層75をうまく成形できるかは、用いる樹脂の種類、物性(分子量など)、成形条件(凹構造の深さ、温度、成形圧力など)によって変わるので、予め種々の実験によって確認する必要がある。
【0053】
前記熱硬化性樹脂の観視側樹脂層75が未硬化の状態にあるときに、観視側透明体76を観視側樹脂層75に押し付けて引き離すことにより、目的の形状をもった観視側透明体76が形成されるが、これを熱硬化などにより硬化させることにより、機械的強度の高い観視側透明体76となる。熱硬化性樹脂の硬化にあたっては、樹脂が溶融して流れたり、変形したりしないような条件を選ぶため、硬化温度や加熱プロファイルの検討が必要である。
図16(n)は、観視側透明体76の一方の面に反射膜20を構成するための観視側反射膜79を形成したものである。
図7(o)は、観視側透明体76の他方の面である観視側接着面81の表面に接着剤82を塗布しており、図16(g)のEL側接着面80と観視側接着面81をこの接着剤82によって強固に接着する。観視側接着剤82によって接着されたEL側接着面80と観視側接着面81は透明であり、また膨張係数や屈折率が同じである方が好ましい。
図16(p)は、接着剤82によって接着されたEL側接着面80と観視側接着面81は一体となって透明体18を成した状態を示した図である。透明体18間との境界面にはEL側反射膜74と観視側反射膜79が形成されている。EL側反射膜74と観視側反射膜79の間はギャップがあってもなくても良い。
尚、小形光源パネル62は白色で発光するとしているが、発光の色は白色に限定されるものではなく、単色で発光するものでもその効果は変わらない。
【0054】
また、本発明によれば透明基板10の表面にあるEL側透明体71や、透明基板21の表面にある観視側透明体76はプレスで作製されるので低コストに作製できる。
以上、光伝達パネル6の製法について述べたが、本製法に限定するものではなく光伝達パネル6と同様な構造が得られるものであればいかなる製法を用いてもよい。たとえば、射出成形法、圧縮成形法、真空成形法などである。
本実施の形態2では、発光デバイスに有機ELを用いて説明しているが、有機ELに限定されるものではなくPDP(Plasma Display Panel)やFED(Field Emission Display)のような発光デバイスを用いても本発明の効果は変わらない。
【0055】
(作用・効果)
以上のように本発明によれば、透明基板21と透明体18、および透明体18間の境界面に設けた反射膜20により構成される光伝達パネル66を小形ELパネル65の面上に設けることによって、発光に関わらない小形ELパネル65の封止壁15と取り出し端子17の位置に、光伝達機能のある光伝達パネル66を用いて白色発光層67からの光を伝達させて光らすことができるので光伝達パネル66の周辺まで光らすことができる。
これにより、小形光源パネル62の配列により生じる光らない部分の幅を細く、かつ等しくできるので明るさが均一な大形光源パネル61を提供することができる。尚、小形光源パネル62は白色で発光するとしているが、発光の色は白色に限定されるものではなく、単色で発光するものでもその効果は変わらない。また、大形光源パネル61の前面に拡散板を設けると、さらに配列部が目立たない大形高原パネル61が実現できる。
今回開示した上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものでない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明である小形表示パネルを2次元的に配列して構成した大画面表示装置である。
【図2】図1の中央部分に本発明の表示面を拡大して提示した図である。
【図3】図2におけるA1−A2線、B1−B2線、C1−C2線に関する矢視断面図である。
【図4】図2におけるD1−D2線、E1−E2線、F1−F2線に関する矢視断面図である。
【図5】本発明に基づく実施の形態1における小形ELパネルの表示面の図である。
【図6】本発明に基づく実施の形態1における小形表示パネルの表示面の図である。
【図7−1】本発明に基づく実施の形態1における小形表示パネルを製造段階を説明する図である。(a)から(d)
【図7−2】本発明に基づく実施の形態1における小形表示パネルを製造段階を説明する図である。(e)から(h)
【図7−3】本発明に基づく実施の形態1における小形表示パネルを製造段階を説明する図である。(i)から(l)
【図7−4】本発明に基づく実施の形態1における小形表示パネルを製造段階を説明する図である。(m)から(p)
【図8−1】本発明に基づく実施の形態1における小形表示パネルを製造段階を説明する図である。(a)から(d)
【図8−2】本発明に基づく実施の形態1における小形表示パネルを製造段階を説明する図である。(e)から(h)
【図8−3】本発明に基づく実施の形態1における小形表示パネルを製造段階を説明する図である。(i)から(l)
【図8−4】本発明に基づく実施の形態1における小形表示パネルを製造段階を説明する図である。(m)から(p)
【図9】本発明に基づく実施の形態1における小形ELパネルの断面図である。
【図10】本発明に基づく実施の形態1における小形ELパネルの断面図である。
【図11】本発明に基づく実施の形態2における大形光源パネルの図である。
【図12】図11の中央部分に実施の形態2の表示面を拡大して提示した図である。
【図13】図12におけるG1−G2線に関する矢視断面図である。
【図14】本発明に基づく実施の形態2における小形ELパネルの表示面の図である。
【図15】本発明に基づく実施の形態2における小形光源パネルの表示面の図である。
【図16−1】本発明に基づく実施の形態1における小形表示パネルを製造段階を説明する図である。(a)から(d)
【図16−2】本発明に基づく実施の形態1における小形表示パネルを製造段階を説明する図である。(e)から(g)
【図16−3】本発明に基づく実施の形態1における小形表示パネルを製造段階を説明する図である。(i)から(l)
【図16−4】本発明に基づく実施の形態1における小形表示パネルを製造段階を説明する図である。(m)から(p)
【符号の説明】
【0057】
1 大画面表示装置
2 小形表示パネル
3 目地部
5、65 小形ELパネル
6、66 光伝達パネル
10、21 透明基板
11 赤色発光層
12 緑色発光層
13 青色発光層
14 絶縁基板
15 封止壁
16 ブラックマトリクスA
17 取り出し端子
18 透明体
19 空洞
20 反射膜
22 ブラックマトリクスC
23 ブラックマトリクスB
25、26、27、28、29、30、31、32、75、76、77、78
光らない部分
40、70 EL側樹脂層
41、71 EL側透明体
42、72 EL側モールド
43、73 EL側支持体
44、74 EL側反射膜
45、75 観視側樹脂層
46、76 観視側透明体
47、77 観視側モールド
48、78 観視側支持体
49、79 観視側反射膜
50、80 EL側接着面
51、81 観視側接着面
52、82 接着剤
61 大形光源パネル
62 小形光源パネル
67 白色発光層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小形ELパネルの面上に光伝達パネルが一体となって構成された小形表示パネルであって、該光伝達パネルは透明基板の内面に透明体と反射膜と空洞が形成されており、該透明体の一方の面は該小形ELパネルの発光画素の位置に対応して密着して設けられており、該小形ELパネルと該透明基板に接していない面には前記反射膜が形成され、前記透明体の間には前記空洞が設けられていることを特徴とする小形表示パネル。
【請求項2】
前記小形ELパネルの透明基板の外面には、密着して複数の多角形をしたEL側透明体を設け、該EL側透明体は少なくともEL側反射膜を形成する面とEL側接着面を設けた面を有していて、該光伝達パネルの透明基板の内面には、密着して複数の多角形をした観視側透明体を設け、該観視側透明体は少なくとも観視側反射膜を形成する面と接着剤を塗布する観視側接着面を有していて、該EL側接着面と該観視側接着面を該接着剤にて強固に接着することによって上記透明体を成したことを特徴とする請求項1に記載の小形表示パネル。
【請求項3】
前記小形表示パネル周辺部の光らない部分の幅をa、該小形表示パネルを配列した時に生じる小形表示パネル間のギャップをγ、該小形表示パネル内のブラックマトリクスの幅をwとする時、2a+γ=wとなるように、該光伝達パネルを構成する透明基板の内面に接する透明体の位置と長さを設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載の小形表示パネル。
【請求項4】
前記EL側透明体と逆の形状となるEL側モールドを用いて、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、未硬化の熱硬化性樹脂、あるいは未硬化の光硬化性樹脂などの有機ポリマーよりなる樹脂層に押し付けて該透明基板の外面に密着して該EL側透明体を形成すると共に、該観視側透明体と逆の形状となる観視側モールドを用いて、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、未硬化の熱硬化性樹脂、あるいは未硬化の光硬化性樹脂などの有機ポリマーよりなる樹脂層に押し付けて該透明基板の内面に密着して該観視側透明体を形成する作製方法を用いたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の小形表示パネル。
【請求項5】
小形ELパネルの面上に光伝達パネルが一体となって構成された小形光源パネルであって、透明体が該小形ELパネルにおける透明基板の外面に一定の長さeの幅で密着して設けられており、透明体の反対側の面は該光伝達パネルにおける透明基板の内面に一定の長さfの幅で密着して設けられており、該小形ELパネルの該透明基板と該光伝達パネルの該透明基板に接していない他の透明体の面には反射膜が形成されていることを特徴とする小形光源パネル。
【請求項6】
前記長さeは、前記小形ELパネルにおける発光層の長さdをn分割した長さ(e=d/n)であって、前記長さfは該光伝達パネルにおける透明基板の長さgをn分割した長さ(f=g/n)であることを特徴とする請求項5に記載の小形光源パネル。
【請求項7】
前記EL側透明体と逆の形状となるEL側モールドを用いて、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、未硬化の熱硬化性樹脂、あるいは未硬化の光硬化性樹脂などの有機ポリマーよりなる樹脂層に押し付けて該透明基板の外面に該EL側透明体を形成すると共に、該観視側透明体と逆の形状となる観視側モールドを用いて、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、未硬化の熱硬化性樹脂、あるいは未硬化の光硬化性樹脂などの有機ポリマーよりなる樹脂層に押し付けて該透明基板の内面に該観視側透明体を形成する作製方法により得られることを特徴とする請求項5又は6に記載の小形光源パネル。
【請求項8】
請求項1乃至4のいずれかに記載の小形光源パネルを二次元的に配列してなる大画面表示装置。
【請求項9】
請求項5乃至7のいずれかに記載の小形光源パネルを二次元的に配列してなる大形光源パネル。
【請求項10】
前記大形光源パネルの前面に拡散板を設けたことを特徴とする請求項9に記載の大形光源パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図8−4】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【図16−3】
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【図16−4】
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【公開番号】特開2010−8478(P2010−8478A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164425(P2008−164425)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(508189924)
【Fターム(参考)】