説明

局所用化粧品製剤の製造のためのワックス誘導体を含む支持体

本発明は、特に局所用化粧品製剤を調製するためのワックス誘導体を含む支持体に関する。実際に本発明の支持体は、特にW/OまたはO/Wの場合による乳化効果のために、及び軟化効果のために、化粧品及び医薬品で使用できる。本発明は、化粧品分野に関してとりわけ以下に記載されているが、すでに述べたとおり、医薬品分野でも使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に局所用化粧品製剤を調製するためのワックス誘導体を含む支持体に関する。実際に本発明の支持体は、特にW/OまたはO/Wの場合による乳化効果のために、及び軟化効果のために、化粧品及び医薬品で使用できる。本発明は、化粧品分野に関してとりわけ以下に記載されているが、すでに述べたとおり、医薬品分野でも使用できる。
【背景技術】
【0002】
ワックスは、特に口紅における硬化剤として、または特定のエマルションにおける増粘剤として、化粧品において広く使用されている。その組成は特に複雑である。それらは、酸のモノエステルと非常に長い鎖の脂肪アルコールとの混合物を含むという一般的な特徴を有する。
【0003】
固体ワックスと液体ワックスの間で区別がなされている。
【0004】
固体ワックスは、50から90℃の間の融点を有するワックスである。それらは式R−C(O)−O−Rを有するモノエステルを必須に含む混合物に対応し、R−C(O)−基は脂肪酸の炭素鎖に対応し、前記酸は通常、直鎖状且つ飽和しており、20以上の炭素原子数を有する。それ故これは少なくとも20の炭素原子を含む酸を含み、それはエイコサン(またはアラキジン)酸、C22のドコサン(またはベヘン)酸、C24のテトラコサン(またはリグノセリン)酸、C26のヘキサコサン(またはセロチン)酸、C34までの酸である。ワックスのソースに依存して、モノエステルの混合物は、ヒドロキシパルミチン酸(C16)またはヒドロキシステアリン酸のようなヒドロキシ酸エステルを特定の割合で含んでも良い。これは例えばビーズワックスの場合に当てはまる。R基は、アルコールの炭化水素鎖に対応し、前記アルコールは通常、飽和直鎖状であり、20以上の炭素原子数を有する。それ故それは、C20のエイコサノール、C22のドコサノール、C24のテトラコサノール、及びC34までのものであって良い。ワックスのソースに依存して、モノエステルの混合物は、特定の割合のジオールエステルを含んでも良い。これは例えばカルナウバワックスの場合に当てはまる。
【0005】
ビーズワックス、カルナウバワックス、カンデリラワックス、ライスワックス、及びサトウキビワックスは、天然の固体ワックスの例である。
【0006】
液体ワックスは、酸モノエステルと非常に長い鎖の脂肪アルコールとの混合物であり、環境温度または15℃から約25℃の間の温度で液体状態で存在する。これらのモノエステルは式R−C(O)−O−Rを有し、R−C(O)基は脂肪酸の炭素鎖に対応する。この鎖は直鎖状またはモノ不飽和であって良い。それは18以上の炭素原子数を含む。不飽和酸としては、オレイン酸(C18:1)、ガドレイン酸(C20:1)、エルカ酸(C22:1)、ヘキサコセン酸(C26:1)までが挙げられる。R−C(O)基は、ゲルベ酸とも称されるC18より多い酸素原子数を有する分枝状且つ飽和酸からなっても良い。R−O−基は、18以上の炭素原子数を有するモノ不飽和直鎖状脂肪アルコールからなって良い。それ故、C18のオクタデセノール、C20のエイコセノール、C22のドコセノール、C26のヘキサコセノールまでが挙げられる。アルコールの炭素鎖は、分枝状且つ飽和であっても良く、C18以上の炭素原子数を含む。そのようなアルコールは、ゲルベアルコールとも称される。今日既知の液体ワックスは、ホホバオイルとも一般的に称されるホホバワックスであり、その液体の性質はモノ不飽和鎖の存在による。
【0007】
文献US 5 660 865は、ポリオールの添加のない固体ワックスと液体ワックスの混合物の化粧品における使用を記載している。
【0008】
文献US 6 630 134 B1は、固体ビーズワックスまたはカンデリラワックスまたはカルナウバワックスとゲルベアルコールとのエステルの美容的使用を記載している。三種のワックスから得られるこれらの製品は、ヘアゲルにおいて使用されている。
【0009】
文献US 6 432 428 B1は、イソプロピルアルコールによるアルコール分解によって得られるホホバワックスと水素化ホホバワックスの誘導体の、化粧品における、特に軟化剤としての使用を記載している。
【0010】
文献EP 795 317 B1は、リンゴワックス及びオレンジワックスのようなソフトワックスと、液体ワックス、この場合にはホホバワックスとからなるワックスの組み合わせを含む、皮膚または毛髪を処理するための化粧品組成物を記載している。
【0011】
文献US 6 258 965は、C20及びC22の長鎖モノ不飽和脂肪酸を含むトリグリセリドに対応する、メドーフォームオイルとも称されるメドースィート(Limnanthes Alba)種オイルとワックスの間の反応生成物を記載している。実際に、トリグリセリドの脂肪酸と、ワックスからなる脂肪アルコールとの間で、内部エステル化反応が生じる。
【0012】
文献US 6 706 768 B2は、けん化、引き続きポリオールの不存在下での水素化及び非水素化ホホバワックスの混合物のアルコキシル化によって得られる組成物を記載している。得られた混合物をエーテルを含む。
【0013】
本出願人の知見では、ポリオールで別個に変性された固体と液体のワックスの混合物が、更に市場で入手可能である。例えばホホバワックスPEG-80エステル(Floratech社製のFlorasolv(登録商標))、文献EP 1 286 679 B1に記載されたPEG-8ビーズワックス(ビーズワックスとPEGの間の反応生成物)(Gattefosse社製のApifil(登録商標))、ビス-PEG−12ジメチコーンビーズワックス(Koster Keunen社製のSiliconyl Beeswax)、文献US-A-5 387 579に記載されたポリグリセリル-3ビーズワックス(Jan Dekker及びKoster Keunen)が挙げられる。
【特許文献1】US 5 660 865
【特許文献2】US 6 630 134 B1
【特許文献3】US 6 432 428 B1
【特許文献4】EP 795 317 B1
【特許文献5】US 6 258 965
【特許文献6】US 6 706 768 B2
【特許文献7】EP 1 286 679 B1
【特許文献8】US-A-5 387 579
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本出願人は、非常に予期せぬことに、固体ワックス、液体ワックス、及びポリオールの間の同時反応の生成物が、ポリオールによって変性された固体ワックス、及び同じポリオールによって変性された液体ワックスのそれぞれの、以前に記載された二つの反応生成物の混合物から生じる生成物よりも低い硬度を有することを見出した。本出願人によれば、この挙動の差異は、生成物が別個に混合された際には存在しない新規なポリオール誘導体の存在から起因し、前記ポリオール誘導体は、ポリオールのOH官能基の全部または一部が、固体ワックスの飽和直鎖状脂肪酸と、且つ液体ワックスの不飽和直鎖状または飽和分枝状脂肪酸とエステル化している構造に対応する。更に、このエステル交換反応は、ワックスを構成する酸とアルコールのランダムな再分布を引き起こす。それ故この反応の終わりで、ワックス誘導体は、モノ不飽和直鎖状または飽和分枝状酸エステルと、飽和直鎖状アルコール、飽和直鎖状酸エステルとモノ不飽和直鎖状または飽和分枝状アルコール、飽和直鎖状遊離アルコール、モノ不飽和直鎖状及び/または飽和分枝状遊離アルコールと前述のポリオールエステル、更にいまだ未反応の開始成分を含む。
【0015】
言い換えると、本発明は、
−飽和直鎖状酸並びに不飽和直鎖状及び/または分枝状酸とのポリオールエステル;
−飽和直鎖状アルコールとのモノ不飽和直鎖状または飽和分枝状酸エステル;
−モノ不飽和直鎖状または飽和分枝状アルコールとの飽和直鎖状酸エステル;
−飽和直鎖状及び/またはモノ不飽和直鎖状及び/または飽和分枝状遊離アルコール;
−飽和直鎖状エステル酸と飽和直鎖状アルコール;
−モノ不飽和直鎖状または飽和分枝状エステル酸とモノ不飽和直鎖状または飽和分枝状直鎖状アルコール
を必須に含む混合物を含む、特に局所用化粧品製剤の製造のための支持体に関し、直鎖状飽和アルコールと酸は少なくとも20の炭素原子を有し、モノ不飽和または分枝状アルコールと酸は少なくとも18の炭素原子を有する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第一の実施態様では、前記混合物は、少なくとも一つのポリオールと少なくとも一つの触媒の存在下で、少なくとも一つの固体ワックスと少なくとも一つの液体ワックスを共に反応させることによって得られるワックス誘導体である。上述の通り、各種の化学的分子の間でエステル交換反応が起こり、上述の生成物を生ずる。
【0017】
実際に、固体ワックスは、カルナウバワックス、カンデリラワックス、コメヌカワックス、ヒマワリワックス、サトウキビワックス、オーリキュリーワックス、ビーズワックス、シェラックワックスを含む群から有利に選択される天然ワックスである。
【0018】
同様に液体ワックスは、天然ワックス、実際にはホホバワックスである。このワックスは、特にC18:(少数)、C20:1及びC22:1(C20:1>C22:1で多数)の不飽和脂肪酸エステルを含み、更にC20:1及びC22:1、次いでC24:1不飽和脂肪アルコールを含む。
【0019】
第二の実施態様では、前記混合物は、触媒の存在下または不存在下で、モノ不飽和直鎖状及び/または飽和分枝状直鎖状酸とアルコールと、飽和直鎖状酸とアルコールとの反応によって得られ、飽和直鎖状酸とアルコールは少なくとも20の炭素原子を有し、モノ不飽和直鎖状または飽和分子状酸とアルコールは少なくとも18の炭素原子を有する。エステル交換反応が起きて、本発明の生成物を生ずる。
【0020】
別の特徴によれば、前記ポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−メチルプロパンジオール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロールを含む群から選択される。
【0021】
前記支持体がワックスから調製される場合、反応におけるポリオールの存在は、ワックス誘導体に特定の親水性特性、それ故表面活性特性を与える。ポリオールの取り込みは、最終生成物中の遊離OH含量を増大する。前記誘導体のO/WまたはW/O表面活性挙動は、使用されるポリオールのタイプと割合によって変化する。
【0022】
液体ワックス、固体ワックス、及びポリグリセロールから主に得られるワックス誘導体は、油中水型乳化挙動、及びラノリンにおいて天然で観察される吸水能力を有する。
【0023】
実際に、エステル化ポリオールの割合は混合物の0.5から50重量%の間を占め、エステル化脂肪酸の割合は混合物の20から60重量%の間を占め、エステル化脂肪アルコールの割合は混合物の20から60重量%の間を占める。
【0024】
トランスエステル化反応の間で起きる分子変換は、触媒の存在下で得られる。好ましい触媒は、アルカリまたはアルカリ土類水酸化物またはアルコキシド、例えばアルコール溶液中、水性、または固体形態の水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウムまたはナトリウム、スズまたはチタンに基づく触媒である。
【0025】
好ましい実施態様では、ワックス誘導体は、ホホバワックス、ライスワックス、カンデリラワックス、及びポリグリセロールを反応させることによって得られる。
【0026】
実際に前記反応は、100℃から220℃の間、有利には150から200℃の間の温度で実施される。
【0027】
支持体の所望の特性に依存して、液体ワックス/固体ワックス重量比、同様にワックス/ポリオール重量比は変化する。
【0028】
実際に、液体ワックス/固体ワックス重量比は、5/95から95/5の間、有利には30/70から75/25の間で変化する。ワックス/ポリオール重量比は、1/99から99/1の間、有利には95/5から50/50の間で変化する。
【0029】
本発明の支持体は、選択されるポリオールに従って、油中水型及び水中油型乳化特性を有する。例えばポリグリセロールの使用は、大量の水を吸収する、得られる誘導体の能力に関して、油中水型エマルションを生産する脂溶性乳化剤を得るように機能する。これとは反対に、例えばPEGの使用は、水中油型エマルションを生産する親水性乳化剤を得るように機能する。
【0030】
従って、本発明の更なる目的は、上述の支持体の、W/OまたはO/W乳化剤の使用である。
【0031】
特定の実施態様では、本発明の支持体は、乳化剤として使用される場合、少なくとも上述のワックス誘導体を含み、ナトリウムステアロイルラクチレート、セトステアリルアルコール、グリセロールステアレートから選択される成分の有利には三種までを含む。
【0032】
有利には、ポリグリセロールと四種の上述の成分(支持体の重量の4−50重量%のナトリウムステアロイルラクチレート、4−50重量%のセトステアリルアルコール、4−50重量%のグリセロールステアレート、4−50重量%のワックス誘導体)の存在下で、ホホバワックス、コメヌカワックス、カンデリラワックスの間の反応によって生産されるワックス誘導体からなる乳化システムである。
【0033】
本発明の更なる主題は、上述の支持体を含む化粧品組成物である。
【0034】
前記支持体が上述のワックス誘導体からなる場合、ワックス誘導体は化粧品組成物の0.01から99重量%の間、好ましくは0.1から10重量%の間を占める。
【0035】
本発明の支持体は、一般的に局所的に適用される。それは更に、適用時またはその後に柔らかい感覚特性を有し、それは特に喜ばれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
一般的に本発明の支持体、特にワックス誘導体は、特に水中油型または油中水型または複相エマルション、シリコーンエマルション、マイクロエマルション、またはナノエマルションの形態の化粧品組成物において、皮膚または毛髪に対する局所適用のために通常使用される全ての生薬形態で製剤化されて良い。
【0037】
前記組成物は多かれ少なかれ流体であってよく、他の中でも白色または着色のクリーム、ポマード、乳液、ローション、漿液の外観を有して良い。
【0038】
前記組成物は、化粧品及び皮膚科学の分野で通常の添加剤、例えば脂肪、乳化剤及び共乳化剤、親水性または親油性ゲル化剤、親水性または親油性活性成分、防腐剤、抗酸化剤、溶媒、香料、フィラー、親水性または親油性フィルター、染料、中和剤、浸透促進剤、およびポリマーを含んでも良い。
【0039】
これらの各種の添加剤の量は、考慮される分野で従来使用されているものであり、例えば組成物の前重量の0.01から30%である。これらの添加剤は、その性質に従って、脂肪相または水性相に導入できる。
【0040】
本発明の化粧品組成物で使用可能な脂肪物質として、鉱物オイル、動物起源のオイル(ラノリン)、植物オイル、合成オイル(イソプロピルミリステート、オクチルドデシル、イソステアリルイソステアレート、デシルオレエート、イソプロピルパルミテート)、シリコーンオイル(シクロメチコーン、ジメチコーン)、及びフッ素化オイルの使用が挙げられる。脂肪物質として、脂肪アルコール、脂肪酸、ワックス及びゴム、特にシリコーンエラストマーの使用が挙げられる。
【0041】
本発明の化粧品組成物で使用できる乳化剤及び共乳化剤として、例えばポリグリセロールと脂肪酸とのエステル、サッカロースと脂肪酸とのエステル、ソルビタンと脂肪酸とのエステル、脂肪酸とポリオキシエチレン化ソルビタンとのエステル、脂肪アルコールとPEGとのエステル、グリセロールと脂肪酸とのエステル、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルホスフェート、アルキルポリグルコシド、ジメチコーンコポリオール、及びクエン酸と乳酸との誘導体、例えばナトリウムステアロイルラクチレートが挙げられる。
【0042】
親水性ゲル化剤として、特にカルボキシビニルポリマー(カーボマー)、アクリルコポリマー、例えばアクリレート/アルキルアクリレートコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリサッカリド、例えばキサンタンゴム、グアゴム、天然ゴム、例えばセルロースゴム及びその誘導体、デンプン及びその誘導体、クレー、並びに2−アクリルアミド−2−メチルプロパン酸のコポリマーが挙げられる。
【0043】
親油性ゲル化剤として、変性クレー、例えばベントン、脂肪酸の金属塩、シリカ及びその誘導体、並びにエチルセルロースが挙げられる。
【0044】
化粧品組成物は、更に活性成分を含んでも良い。活性成分として特に脱色剤、軟化剤、保湿剤、抗脂漏剤、抗炎症剤、抗ざ瘡剤、角質溶解剤及び/または剥離剤、抗シワ剤及びテンソル、引き締め剤、抗刺激剤、平滑化剤、潤滑剤、例えばキサントゲン塩基(カフェイン)、ビタミン及びその混合物、不透明化剤、アンチエイジング剤、例えばレチノール、抗シワ剤、及びエッセンシャルオイルの使用が挙げられる。
【0045】
本発明によって使用可能な防腐剤として、安息香酸、その塩、及びエステル;ソルビン酸及びその塩;パラベン、その塩及びエステル;トリクロサン;イミダキソリジニルウレア;フェノキシエタノール;DMDMヒダントイン;ジアゾリジニルウレア;クロルフェネシンが挙げられる。
【0046】
本発明によって使用可能な抗酸化剤として、キレート剤、例えばEDTA及びその塩が挙げられる。
【0047】
本発明によって使用可能な溶媒として、水、エタノール、グリセリン、プロポレングリコール、ブチレングリコール、ソルビトールが挙げられる。
【0048】
本発明によって使用可能なフィラーとして、タルク、カオリナイト、マイカ、セレサイト、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、有機パウダー、例えばナイロン(登録商標)が挙げられる。
【0049】
本発明によって使用できるフィルターとして、従来使用されているUVA及びUVBフィルター、例えばベンゾフェノン−3、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナメート、4−メチルベンジリデンカンファー、オクチルサリチレート、テレフタリデンジカンファースルファン酸、及びドロメタゾールトリシロキサンが挙げられる。マイクロメーター形態及びナノメーター形態の被覆されたまたはされていない物理的フィルターTiO及びZnOの使用も挙げられる。
【0050】
本発明によって使用可能な染料として、化粧品または皮膚科学組成物で一般的に使用されている親油性色素、親水性色素、顔料、及び真珠母、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0051】
本発明によって使用可能な中和剤として、水酸化ナトリウム、エタノールアミン、アミノメチルプロパノール、水酸化カリウムが挙げられる。
【0052】
本発明によって使用可能な浸透促進剤として、アルコール及びグリコール(エタノール、プロピレングリコール)、エトキシジグリコール、アルコール及び脂肪酸(オレイン酸)、脂肪酸エステル、ジメチルイソソルビドが挙げられる。
【0053】
本発明に係る組成物は、ケア製品として、クレンジング製品として、及び/または皮膚用のメイクアップ製品として、サンプロテクト製品として、またはヘア製品として使用できる。
【0054】
本発明及びその利点は、添付の図面と共に以下の例示的な実施態様から明らかとなるであろう。
【0055】
図1は、本発明のワックス誘導体によって形成されるエマルションの顕微鏡画像である。
【実施例】
【0056】
実施例1:約70/30の液体ワックス/固体ワックス重量比と、85/15のワックス/ポリオール重量比のワックス誘導体の製造
初期反応混合物の組成
ホホバワックス 571g
カンデリラワックス 123g
ライスワックス 122g
トリグリセロール 144g
K2CO3 40g
【0057】
製品を2リットル攪拌反応器に導入する。窒素を流入させながら200℃で8時間反応を生じさせる。温度がプラトーになった最後で触媒を中和する。ワックス誘導体を回収し濾過する。回収されたワックス誘導体の量は約780gである。得られた製品はベージュ色であり、柔らかい稠性を有する。
【0058】
製品は油中水型エマルションを形成する能力を有する。エマルションの顕微鏡画像は、ワックス相に分散した水滴を顕在化した。
【0059】
本発明及びその利点は、図1と共に以下の例示的な実施態様から明らかとなり、図1は実施例1のエマルションの顕微鏡写真である。
【0060】
実施例2:約50/50の液体ワックス/固体ワックス重量比と、90/10のワックス/ポリオール重量比のワックス誘導体の製造
ホホバワックス 432g
カンデリラワックス 432g
PEG200 96g
水性NaOH 40g
【0061】
製品を2リットル攪拌反応器に導入する。窒素を流入させながら200℃で8時間反応を生じさせる。温度がプラトーになった最後で、十分量のクエン酸により触媒を中和する。次いでワックス誘導体を濾過する。回収された量は約800gである。得られた製品は淡ベージュ色であり、柔らかい稠性を有する。
【0062】
製品は水中油型エマルションを形成する能力を有する。
【0063】
実施例3:約60/40の液体ワックス/固体ワックス重量比と、80/20のワックス/ポリオール重量比のワックス誘導体の製造
初期反応混合物の組成
ホホバワックス 461g
ライスワックス 307g
プロピレングリコール 192g
K2CO3 40g
【0064】
製品を2リットル攪拌反応器に導入する。窒素を流入させながら150℃で8時間反応を生じさせる。温度がプラトーになった最後で、十分量のリン酸により触媒を中和する。5mbarの圧力下で過剰なプロピレングリコールを除去し、次いで最後に得られたワックス誘導体を濾過する。回収されたワックス誘導体の量は約680gである。得られた製品は明褐色であり、柔らかい稠性を有する。
【0065】
製品を化粧品製剤を増粘し、粘稠剤として使用できる。
【0066】
実施例4:硬度比較試験、ワックス誘導体の稠性の評価。この実施例では、実施例1のワックス誘導体の硬度を、それぞれ別個に調製された三種のワックスの誘導体の混合物から由来する製品の硬度と比較する。ワックス誘導体を得るために適用された方法は、実施例1に記載されたものである。
【0067】
ホホバ+カンデリラ+ライスワックス+ポリグリセロール+触媒→実施例1のワックス誘導体
ホホバワックス+ポリグリセロール+触媒
カンデリラワックス+ポリグリセロール+触媒→各ワックス誘導体を含む混合物
ライスワックス+ポリグリセロール+触媒
【0068】
反応生成物は、混合物よりもずっと柔らかいことが見出される。この特徴は、2Nの限界力を適用する針の浸透深度によって反映される硬度を測定することに良って強調できる。
【0069】
硬度測定のために使用される装置
−Chatillon make TCD 200 support
−2.5Nに制限された針を備えたIndelco DGGS硬度計
原理:針はサンプルに浸透する。それ故適用される力は増大する。力が2Nに達した際に浸透深度を測定する。以下の結果が得られる:
ワックス誘導体:4.4mm
誘導体の混合物:2.4mm
【0070】
それ故ワックス誘導体は、各ワックス誘導体の混合物よりずっと柔らかい。実施例1のワックス誘導体、及び各誘導体の混合物は、各ワックス(カンデリラ、ライス、及びホホバ)の組成が同じである。
【0071】
これは、モノ不飽和及び飽和酸鎖を含むポリオール誘導体、並びに最終生成物を軟化するワックスの同時反応の製品の重要性を示す。
【0072】
実施例5:製剤例
抗シワデイクリーム
【表1】

【0073】
ボディー乳液
【表2】

【0074】
O/Wエマルション
【表3】

【0075】
W/Oエマルション
【表4】

【0076】
複相W/O/Wエマルション
【表5】

【0077】
サンクリーム
【表6】

【0078】
ファンデーションクリーム
【表7】

【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、本発明のワックス誘導体によって形成されるエマルションの顕微鏡画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−飽和直鎖状酸並びに不飽和直鎖状及び/または飽和分枝状酸とのポリオールエステル;
−飽和直鎖状アルコールとのモノ不飽和直鎖状または飽和分枝状酸エステル;
−モノ不飽和直鎖状または飽和分枝状アルコールとの飽和直鎖状酸エステル;
−飽和直鎖状及び/またはモノ不飽和直鎖状及び/または飽和分枝状遊離アルコール;
−飽和直鎖状エステル酸と飽和直鎖状アルコール;
−モノ不飽和直鎖状または飽和分枝状エステル酸とモノ不飽和直鎖状または飽和分枝状直鎖状アルコール
を含む混合物を含む、特に局所用化粧品製剤の製造のための支持体であって、直鎖状飽和アルコールと酸は少なくとも20の炭素原子を有し、モノ不飽和または飽和分枝状アルコールと酸は少なくとも18の炭素原子を有する、支持体。
【請求項2】
前記混合物が、少なくとも一つのポリオールの存在下で、少なくとも一つの固体ワックスと少なくとも一つの液体ワックスを共に反応させることによって得られるワックス誘導体であることを特徴とする、請求項1に記載の支持体。
【請求項3】
前記固体ワックスが、カルナウバワックス、カンデリラワックス、コメヌカワックス、ヒマワリワックス、サトウキビワックス、オーリキュリーワックス、ビーズワックス、シェラックワックスを含む群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の支持体。
【請求項4】
前記液体ワックスがホホバワックスであることを特徴とする、請求項2に記載の支持体。
【請求項5】
前記ポリオールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチルプロパンジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロールを含む群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の支持体。
【請求項6】
エステル化ポリオールが混合物の0.5から50重量%の間を占め、エステル化脂肪酸の割合が混合物の20から60重量%の間を占め、エステル化脂肪アルコールの割合が混合物の20から60重量%の間を占めることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の支持体。
【請求項7】
前記ワックス誘導体が、ホホバワックス、ライスワックス、カンデリラワックス、及びポリグリセロールを反応させることによって得られることを特徴とする、請求項2に記載の支持体。
【請求項8】
液体ワックス/固体ワックス重量比が、5/95から95/5の間、有利には30/70から75/25の間で変化することを特徴とする、請求項2から7のいずれか一項に記載の支持体。
【請求項9】
ワックス/ポリオール重量比が、95/5から50/50の間で変化することを特徴とする、請求項2から8のいずれか一項に記載の支持体。
【請求項10】
セトステアリルアルコール、ナトリウムステアロイルラクチレート、及びグリセロールステアレートから選択される少なくとも一つの成分を更に含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の支持体。。
【請求項11】
−4−50重量%のホホバワックス、ライスワックス、カンデリラワックス、及びポリグリセロールを反応させることによって得られるワックス誘導体;
−4−50重量%のナトリウムステアロイルラクチレート;
−4−50重量%のセトステアリルアルコール;
−4−50重量%のグリセロールステアレート
を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の支持体。
【請求項12】
乳化剤としての請求項11に記載の支持体の使用。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載の支持体を含むことを特徴とする化粧品組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2009−511554(P2009−511554A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535073(P2008−535073)
【出願日】平成18年10月9日(2006.10.9)
【国際出願番号】PCT/FR2006/051007
【国際公開番号】WO2007/042723
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(505260338)
【Fターム(参考)】