説明

屈折率示差を測定するための向上された示差屈折計および測定方法

【課題】光検出器アレイを組込む、向上された示差屈折計を開示する。
【解決手段】複数素子のフォトアレイを用いることにより、従来達成できなかった測定感度と平行する測定範囲とを組合わせた示差屈折率の測定の基礎を提供する。達成可能な広いダイナミックレンジ内において、検出器構成は、範囲内の屈折に関わりなく等しい感度を与える。透過光ビームは、アレイにおいて光度の空間的変動をもたらすよう調整され、それにより、その位置ずれの測定精度が向上する。したがって、報告される示差屈折率、および、示差屈折率増分dn/dcの計算において、精度が向上する結果となる。事例のフローセル構成に検出器アレイを組込むことで極めて感度の良好な検出器をもたらし、従来の示差屈折計よりもはるかに少ない試料量ですむ結果となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折率示差を測定するための向上された示差屈折計および測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試料と基準材料との屈折率の差は、示差屈折率、dRIと呼ばれ、かなり重要な物理的パラメータである。溶媒プラス溶質からなる試料溶液と、純粋な溶媒からなる基準溶液とのdRIは、関係式Δc≒Δn/(dn/dc)から溶質濃度を決定するのに使用されるが、ここで濃度の変化Δcは測定された溶質屈折率の変化Δnに直接比例する。比例定数は示差屈折率増分dn/dcの逆数である。dRIを測定するための典型的な計器は「ウォークオフ」タイプの示差屈折計である。この計器は、液体または気体のいずれかを格納できる2つの流体チャンバおよび、チャンバ同士を隔てる傾斜した透過性インターフェイスを有する、透過性の材料でできたセルを含む。図1に示すように、光のビーム1はセル内に入り、試料チャンバ2を通過し、2つのチャンバを隔てるインターフェイス3を通り、基準チャンバ4を通過して、最後にセルから出る。図示されたセルについては、2つのチャンバ内の流体が同一の屈折率を有する場合、透過した光のビーム5はセルを出た後、入射ビーム1と平行な経路で伝搬する。2つの流体が異なる屈折率を有する場合、透過した光のビーム6は入射ビームに対し、ある角度θの経路で伝搬する。入射光ビームと透過した光のビームとの間の角度θは、一次的に、2つの液体間の屈折率の差に比例する。光ビームの角屈折(angular deflection)は、十分に確立されたさまざまな手法によって測定でき、これに従いdRIを測定し、報告できる。
【0003】
測定される示差屈折率増分dn/dcは、一般に、照らす光ビームの波長の関数である。この量は、このような試料のモル質量およびサイズを測定するのに用いられる光散乱測定のための試料濃度の計算に重要な役割を果たす。このような光散乱測定に用いるための屈折計ビームの波長は、光散乱光度計に用いる場合と同じように選択される。単色のビームのためには、示差屈折計の光源として、発光ダイオード、レーザ、または、狭帯域通過フィルタと組合された白色光源でさえ選択され得る。ある範囲のdn/dc値を平均化する白色光源を用いる示差屈折計もある。
【0004】
図1に示すように、入射ビームは一般に、入口表面の法線である試料チャンバのインターフェイスにぶつかるが、入射ビームはインターフェイスに対しある角度で配向される。たとえばこの態様で、最終的に透過したビームをミラーで反射し、フローセルチャンバに戻して、ビームが同じ面から出るようにすることが可能となる。このようなミラー手段でセルの感度が2倍高くなる。出力ビームは入射ビームと平行またはコリニアではなく、より容易に検出できる。
【0005】
従来、試料チャンバと基準チャンバと間の透過性インターフェイスの角度は入射ビームの方向に対してほぼ45°のオーダであるが、この角度が大きくなるほど、試料流体の屈折率と基準流体の屈折率との差のために、透過ビームの角屈折が大きくなる。図示したジオメトリでは、この角度を大きくするとより大きな体積の試料流体チャンバを要し、小さくすると、試料流体と基準流体との屈折率差のために、角屈折が低下する。
【0006】
多くの用途において、試料の準備に膨大な時間と資源の投入が必要であり、測定に要する試料の量を低減することは直接に利益をもたらす。試料準備に関する手間の低減に加えて、測定に要する試料の量が減じられると測定の質が向上する。液体クロマトグラフィシステムは、測定に要する試料の体積が減じられると測定の質が向上する、1つの例である
。液体クロマトグラフィシステムでは、潜在的に多くの種(species)からなる材料が溶媒に溶けこんでおり、続いて、流体の流れに注入される。流体の流れは、ある媒体または装置を横断させられるが、媒体または装置は、その中でサイズ、化学親和力、熱的特性または電気的特性などいくつかの物理的パラメータに基づいて種を選択的に遅らせ、それにより種を互いに分離する。したがって、異なる種は異なる時間に媒体または装置を出る。伝統的命名法に従って、この媒体または装置をここではカラムと呼ぶが、装置の物理的形状および機能はカラムとはかなり異なり得る。カラムを通過する流体は典型的には口径の小さいチューブに出て行くので、いつの時点においてもチューブの長手に沿って、異なる種が異なる位置に存在する。示差屈折計などの測定装置が、流体がそのチューブから測定装置を通って流れるように設置されると、材料の構成種が個別に測定される。材料の構成種の測定はクロマトグラフィシステムの本質的な目的である。液体の有限体積は常に測定に必要なので、チューブの、ある体積以内の種は必然的にいつの時点でも、信号に寄与する。したがって測定計器は常に、測定体積に対応するチューブの長手に沿って存在する種の平均値を測定している。このような種の平均化は、カラムによって達成された分離を部分的に損ない、結果的にデータの質を低下させる。測定に要する試料の体積を低減することは種の平均化を最小化することであり、結果的にデータの質を高める。
【0007】
試料の有限体積を平均化して測定することによるデータの質への悪影響に加え、いくらかの体積の試料が測定システムを横断する間に混ざり合う。多くのクロマトグラフィシステムは、流体の流れに沿って連続して設置される数種の測定計器からなり、各々が試料について、異なる物理的パラメータを測定する。測定装置で流体のいくらかの体積が混ざり合うと、その流体に関する以後の測定はすべて、結果的に測定体積中の複数種の平均化により悪影響を受ける。典型的には、測定に要する体積が大きいほど混ざり合う試料の体積は大きくなり、流体の下流に設置される計器のデータの質に及ぼす悪影響も大きくなる。
【0008】
液体クロマトグラフィ分野での用途に加えて、多様な型の示差屈折計が多くの異なる分野で用いられている。参照標準と試料との間の屈折率差を正確に測定することにより、このような測定が蔗糖濃度、流体密度、および硫酸、塩化ナトリウム、エタノールなどの無数の産業流体の濃度測定に使用できる。多様な抽出物の量を測定する手段として屈折率差を測定し利用するという概念のもとに、さまざまな計器が設計されてきた。
【特許文献1】米国特許第4,616,927号「光散乱測定のための試料セル」(1986年10月14日)
【特許文献2】米国特許第5,530,540号「極めて小さい体積の光散乱測定セル」(1996年6月25日)
【特許文献3】米国特許第6,411,383号「第2ビリアル係数測定方法」(2002年6月25日)
【特許文献4】米国特許第6,651,009号「噴射方法による、高分子の平均的溶液物性の測定方法」(2003年11月18日)
【非特許文献1】「物理学年鑑」第33巻1275−1298頁に発表された、アルバート・アインシュタインの1910年の研究報告書「臨界状態付近における均質流体および液体混合体のタンパク光理論」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
dRI測定に要する試料の体積を低減することには明らかに利点がある。しかしウォークオフタイプの示差屈折計においては、試料体積の低減とdRI測定感度との間にトレードオフが存在する。試料体積の低減に伴うdRI感度の低下には、少なくとも3つの理由がある。第1の感度低下の理由は、試料の平均化の低減である。たとえ完全に安定したシステムであっても、熱力学の基本原則からして、試料および基準液体についての温度、密度および溶液濃度が、時間とともに局部的に変動することが予想される。このことについ
ては、非特許文献1に詳細に説明されている。現実のシステムは完全に安定していることはあり得ず、一般にこのような変動は、現実のシステムで大きくなる。これらの変動は、光ビームが流体を横断する経路が経時的に変化し、かつ光ビーム6がセルを出る角度θが時間とともに変動する理由となる。ビーム角度の経時的な変動は、dRI測定ではノイズとされる。ビームが試料とする流体の体積を増加させると、ビームはこれら局部的変動をよりよく平均化し、影響を全体として減じる。
【0010】
試料体積の低減がdRI測定感度の低下を起こす第2の理由は、システムを通る光出力の低減である。図1に示すセル設計では、試料体積が低減されると、光が送られる試料領域が減じられる。システムにおいて同じ光出力を得るには、光度を上げなければならない。典型的には、光ビームの角屈折の測定に使われるシステムの感度は、システムに供給される光出力にある程度比例して上がる。したがって、ビームの角屈折測定において、小さな体積の試料で大きな体積の試料と同じ感度を得るためには、光度を増す必要がある。これらのシステムは、典型的には、実施可能な最も強力な光源を既に使用しているので、試料体積の低減は必然的に、システムを通った光強度の低減、およびそれに対応した光ビームの角屈折が測定される感度の低下を結果として招く。光ビームの角屈折が測定される感度の低下は、dRI測定の感度の低下に直接的に対応する。
【0011】
試料体積の低減がdRI測定の感度を低下させる第3の理由は、さらに、光ビームが送られる領域の減少である。光ビームが送られる領域が低減されると、回析効果が、後にビームを集束させる際の鮮明さを制限する。ビームが通る領域が小さくなるほど、焦点はさらにぼやける。典型的には、光ビームの角屈折測定に利用されるシステムは、集束したビームの鮮明さが増すにつれて、感度を増す。したがって、光ビームが通る領域を減少させることは、さらに、dRI測定感度の低下に対応して、ビームの角屈折測定における感度を低下させる結果になる。
【0012】
別の検討によれば、試料体積が低減されるとdRIの感度が上がる。検出器がオンラインのクロマトグラフィ検出器として用いられる場合のように、組成の変化する試料がセルを通過すると、セル内の試料は空間的に非均質になる。このため、セルチャンバは、焦点面上の点の形状に影響し得る弱いレンズとして機能する。セル内の試料のdRIを平均化する前述の検討とは異なり、点の鮮明さは、その正確な位置を見つける能力と引き換えに低下する。試料体積が低減されるとこの効果は最小化され、より正確に点の位置を測定することができる。この同じ検討がセル内の熱的非均質物にも適用される。フローセル体積が減少するにつれて、組成と温度との両方の均一性が向上される。
【0013】
親発明である出願番号10/768,600号の1つの重要な目的は、必要な試料量を最小化すると同時にdRI測定感度を上げることである。出願番号10/768,600号の他の目的は、試料体積を増加させることなく、ビームが通らなければならない透明なアパーチャの口径を広げることによって、回析効果を低減することである。さらに他の目的は、ビームがセルのいずれの側にも近づきすぎることなく、広範囲の計器で応答が得られるようにすることである。
【0014】
出願番号10/768,600号の一部継続出願である本発明は、透過出力ビームの角度が測定され得るような検出方法を改善することにより、出願番号10/768,600号における感度をさらに強化することに関する。したがって、透過ビームの角偏差測定の精密さを向上させることが、ここに説明される新しい発明の検出方法の目的である。流体チャンバを通過した後の光ビームの屈折角の測定は、典型的には、流体を含むチャンバからいくらかの距離にある平面の表面上の光ビーム位置を測定することによって達成される。その平面上のビーム位置の変化は、三角関数によって、光ビームの角屈折の変化と関連し得る。この一部継続出願のさらなる目的は、このような角屈折をより精密に測定するこ
とである。本発明のさらに別の目的は、親発明における特別なセルの流体間の前記示差屈折率の差の測定範囲を、さらに拡張することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、屈折率示差の各主要な変化に対して透過ビームを位置決めし直す必要をなくすことである。透過ビームがその上を動く、従来の分割フォトダイオード検出器では、一旦ビームが検出器の一部のみを照らすように動くと目盛りがその限界に達し、ビーム位置はリセットされなければならない。ビーム位置は、分割フォトダイオードの両方の構成要素を再度照らすよう、機械的な機構によって位置決めし直される。本発明では、ビームを位置決めし直す必要なしに、極めて広い範囲の示差屈折率に応答することができるので、本発明は、好ましい実現例からかなりの可動部をなくす。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の概要
はるかに広い範囲の屈折率示差の検出を行うためには、伝統的な分割フォトダイオード検出器は、複数の検出素子から構成される光検出器アレイによって置換される。さらに、光検出器アレイに当たる変位したビームの検出の精度をさらに高めるために、ビーム自体が複数のビームによって置換され、それにより、その複数のビームからの1組の信号を与え、その各々が、一般に、光検出器アレイの多数の検出素子の範囲をカバーする。したがって、そこで寄与する各ビームはその位置ずれを示す1組の信号を生成し、複数のビームは複数の位置ずれ信号を生成し、それらすべてが組合され、処理されると、結果的に向上された精度で位置ずれを測定する。この位置ずれの測定から、極めて高い精度の示差屈折率の測定を決定するために、透過ビームの平均角検出が用いられ得る。出力ビームに選択的に発散レンズを挿入することは、ビームの角屈折が測定され得る精度をさらに高める。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
すべてのdRI検出器の目的は、基準流体と試料流体との屈折率差を測定することである。これは、ウォークオフタイプのdRI検出器では、セルを横断後セルから出る、光ビームの角屈折を測定することにより達成される。入射ビームに相対する出力ビームの変位は、ビームが試料チャンバ内の領域を照らす領域を減らしつつ、光が十分に基準チャンバに到達して横断することにより、従来のセル構造の感度を制限する一因となる。この変位は主に、試料流体の屈折率とセルを作る透過性材料の屈折率との差に依存し、試料流体と基準流体との屈折率差にも少々依存する。ほとんどの実用の用途においては、特に液体クロマトグラフィ分野に関する用途において、2つの流体間の屈折率差は、流体とセル材料の屈折率差に比して小さい。
【0018】
図1は、明確にする目的のため、非常に細い光ビームを示す。背景技術の部分で述べた理由により、可能な限り多くの光で満たされたときのセルを図2に示す。ビームは、試料チャンバと基準チャンバとの間の、厚さtを有するパティション3を通過する際、変位dを生ずる。簡単な光学を用いれば、図1にθで示されるビームの角屈折を、図2にdで示される変位から分離することが可能なので、変位はdRI測定には必ずしも影響しない。しかしながら変位は、有効に照らされる試料チャンバ内の体積を限定する。試料チャンバ2の縁部近くの光は基準チャンバ4を外れるかもしれず、したがって測定の感度を下げ、測定に寄与しない。基準チャンバを外れるか、またはかすめる光が試料チャンバ2に入れるとすると、光は多様な表面、角、セルの凹凸などで反射し、散乱して、典型的には、光ビームの角屈折を測定するいかなる装置にも、偽の望ましくない信号を送ることになる。この状態を避けるため、図2に示すように典型的にはアパーチャ7がフローセルの前に設けられ、基準チャンバ4を外れ、またはかすめそうな光が試料チャンバ2に入れないよう、確実に防止する。
【0019】
図1および図2に示した変位の方向は、流体の屈折率がセルを構成する材料の屈折率よ
り小さいとき、適正となる。それが一般的な場合であるが、測定される流体の屈折率がセル材料の屈折率よりも大きい場合がある。たとえば、トルエンなどの流体は屈折率1.5を有し、これは屈折率1.46の石英ガラスからなる典型的なセル材料よりも大きい。dRI検出器は典型的には多様な流体に対して動作するよう設計されるので、アパーチャは十分小さく作られ、所望の範囲の流体屈折率に対して、基準チャンバの壁をかすめる光がないよう配置される。典型的な体積の少ない種類のフローセルでは、光ビームは試料チャンバ2の中央65%にのみ入るよう制限され、チャンバの残りの部分は実質的に使われないが、それでもなおチャンバは試料流体で満たされる。光ビームの変位と、その変位に関連した上述の悪影響を結果としてもたらすのは、パティション3の厚さである。パティションの厚さが無視できる程度となるにつれて、変位は0に近づき、光がかすめる基準チャンバ4の面に関連する悪影響も0に近づく。さらに、パティションの厚さが減少すると、2つの流体はより良い熱的接触におかれ、熱に誘発されて屈折率が変化する、望ましくない効果を低減する。しかしながら、実際にはパティションの寸法を小さくすることは困難である。さらに、パティションの寸法が減じられると、試料チャンバと基準チャンバとの圧力差のためにチャンバ間のパティションが曲がり、測定にノイズおよび歪みが発生する原因となる。圧力差は、流体が一方または両方のチャンバを流れる場合は特に、試料チャンバと基準チャンバとの間に不可避的に存在する。
【0020】
親発明の基準チャンバ4は、好ましい実施例を図3に示すが、試料チャンバよりも十分大きく作られる。それにより光ビームは、前記基準チャンバ面の交差点に位置するどの角(隅)にも衝突することなく、また、前記ビームが面9に沿ったいずれかの位置において試料チャンバ2に入り、試料チャンバを横断し、パティション3に向かい、それを通過して前記基準チャンバに入った後、通過してはならないどの側もかすめることもなく、前記基準チャンバを横断することができる。これにより、試料チャンバの全体積が、入射ビームによって照らされる。試料チャンバ体積の照らされる部分が増加するにつれて、測定感度は試料チャンバのサイズを上げることなく向上する。逆に記載の発明を使えば、測定感度を損じることなく試料体積を対称的なフローセルにおける体積よりも小さく作れるが、それは好ましい実施例では、試料チャンバ体積のより大きな部分が照らされるからである。従来のクロマトグラフィ測定では、基準チャンバ4は測定開始時には基準流体で満たされているが、測定の際に一定に保たれる。したがって基準チャンバ4の体積の増加は、測定に要する試料体積に影響しない。
【0021】
フローセル基準チャンバ4を試料チャンバよりもどの程度大きくしなければならないかは、フローセルの物理的特性、および測定される溶媒の屈折率の範囲に依存する。どの実施例においても、基準チャンバ4は、試料チャンバ2内のどの入射ビームも基準チャンバにうまく到達し横断することができるよう、十分大きく、かつ正しく配置されるよう作られなければならない。図3では本発明の好ましい実施例を示す。この実施例では、基準チャンバ4は試料セルの断面に相似の三角形の断面を有する。面8、9、12および13は互いに平行であり、面10および11は互いに平行である。試料チャンバと基準チャンバとは、厚みtのパティションで互いに隔てられ、図示した光ビームはパティションを通過するため距離dで平行移動する。ここで、パティション3(表面の延びる方向)は入射ビームの方向(図3の点線で示す方向)に対して実質的に45°の角度(たとえば43°以上47°以下であり、好ましくは44°以上46°以下)を有する。試料チャンバの流体は屈折率n1を有し、基準チャンバの流体は屈折率n2を有し、試料チャンバと基準チャンバとの間のパティションは屈折率ngを有する。試料流体の屈折率n1および基準流体の屈折率n2の差は、典型的には1x10-3以下のオーダであり、n1またはn2と、ngとの間の屈折率の差は0.1のオーダである。下記の微分を簡略化するため、ここでは、n1≒n2≡n1と仮定する。この仮定において変位dは下記のようになる。
【0022】
【数1】

【0023】
液体がセルの透過性材料より高い屈折率を有する場合、すなわちm>1の場合は、dは負でありビームの位置ずれは下向きとなる。
【0024】
親出願で説明されたように、光が流体を含むチャンバを通過した後に光ビームの屈折角を測定することは、2つの流体間の示差屈折率dRIの測定を可能にする。本願に示した先の出願である出願番号10/723,548号では、2つの流体間のdRI、または、2つのセルに含まれる同一の流体の絶対屈折率ARIの測定を可能にするフローセルを説明する。dRIまたはARIの測定は、光が流体を含むチャンバを通過した後に光ビームの屈折角を測定することにより達成される。本発明の好ましい実施例において、後者の測定は、表面12が表面9と平行ではないことを要する。本発明は、屈折角の測定に向けられる。
【0025】
下記の説明において、図2および図3の2つのチャンバ2および4にそれぞれ含まれる2つの異なる流体間のdRIを求めるために、屈折角が測定されるべきであると仮定する。図3の面12と面9とは平行である。面12と面9とが平行でない場合、2つのセルに含まれる同一の流体のARIも、先に示された出願番号10/723,548号の出願で詳細に説明されるように、屈折角の測定から求められ得る。
【0026】
現在までに、光ビーム位置の測定のためにdRI計器に採用されてきた主な技術は、並んだ2つの光感知素子(受光素子)から構成される分割フォトダイオードを用いるものであった。分割フォトダイオードを用いる典型的なシステムが図4に示される。示されるシステムでは、光源17が矩形のアパーチャ18を照らす。このアパーチャは収束レンズ19の焦点面に置かれ、レンズは、アパーチャからの光がレンズを通過した後コリメートされるようにする。コリメートされた光は、次に、アパーチャ7によって、流体を含むチャンバを横断するよう制限され、そこで角屈折を受ける。ビームは次に第2の収束レンズ20を通って送られる。親出願で説明されたように、セルのすぐ後に挿入されるミラー手段がレンズ20を置換し、溶液を通る経路数を増加させるのに用いられることができる。本明細書では、そこで生じた反射されるビームのさらなる透過については、その使用および実現例が当業者には周知であるので説明されない。矩形のアパーチャ18の像が第2のレンズ20の焦点面において形成され、像は、その位置に置かれるいわゆる分割フォトダイオード21上にある。
【0027】
分割フォトダイオード21は2つの独立したフォトダイオードから構成され、その個々の信号は、そこに投影される透過された像の量に比例する。「ゼロ」信号では、矩形のアパーチャの像が、2つのフォトダイオードからの信号が同一となるまで回転が可能であるガラス板22によって変位される。dRIの変化のためにビームが角屈折を受けると、次に像の位置が動き、像のより大きい部分が、第2のフォトダイオード素子に比較して第1のフォトダイオード素子に影響し、関連する信号が比例的に変化する。矩形の像および空間的に均一な独立したフォトダイオードでは、2つのダイオードからの信号の差は、一次的に、流体チャンバを出るビームの角屈折に比例する。2つの信号の差に比例する電圧を生成するためにアナログ回路が用いられることができ、そのため、ビーム位置および関連するビーム屈折角が測定され得る。分割フォトダイオードシステムでは、測定され得る最大信号は、フォトダイオードおよび矩形の像の寸法によって限定される。像が第1の検出
器から第2の検出器に完全に移ってしまうと、ビーム位置を測定することはもはや不可能である。図5は、2つのフォトダイオード素子21に関するビーム強度プロファイルを示す。
【0028】
本発明では、光ビーム位置の測定ならびに関連するdRIおよびARI値のその後の測定のために、二重フォトダイオード構成21ではなく、フォトダイオードアレイまたは電荷結合素子アレイなどの複数の光検出器23を用いる。ビームの位置を測定することと、それによる実効的な角偏差は、ビームの外縁に近い僅かな検出器のみに決定的に依存することに注意すべきである。なぜなら、外縁の間にあるダイオードに当たるビームの強度はすべて同じだからである。追加的な光検出器によってビーム位置の測定精度を向上させるためには、広い範囲の個々の光検出素子にわたる、より大きなビーム強度変動が必要である。このような強度の変動は、前記強度の変動が分析的にあてはめられてそれにより前記ビームの位置測定を向上させ得るような、追加的手段を提供する。図7は単純な三角形の強度変動を示し、そこでは光検出素子の広がりが大きく、各素子によって検出される強度の相対的な変動がビーム位置をより正確に規定するために用いられ得る。図4を再び参照すると、アパーチャ18および7の組合わせが十分に小さくされる場合、結果的なビームプロフィルは回折限界と関連する強度変動を示し、たとえば図8に示されるような強度変動を生じる。ここでも、広い範囲の光検出素子を含むビーム強度変動が、ビーム位置のより正確な測定を可能にする。
【0029】
ここで図9の配列を検討すると、セルに入射する単一ビームが、アパーチャ18によって生成される複数のビームによって置換され、アパーチャ18は、従来の単一アパーチャではなく一連の狭いアパーチャまたはスリット24を含むよう変更される。図9に示される例では、選択されるアパーチャは3個であった。分割フォトダイオードシステムの場合と同様に、一連の狭いアパーチャは、アパーチャからの光がレンズを通過した後にコリメートされるようにする、収束レンズ19の焦点面に配置される。コリメートされた光は、次に、アパーチャ7によって、流体を含むチャンバを横断するようさらに制限され、そこで、試料セルの2つのチャンバ内の流体の屈折率示差の結果として起こる角屈折を受ける。出力ビームは、次に、第2の収束レンズ20を通って送られる。一連の狭いアパーチャの回折限界像は、この第2のレンズの焦点面で光検出器アレイ23において形成される。図10は、広い範囲の光検出器におよぶ三重ビームの強度変動を示す。複数の検出器、および、それらの検出器で光ビームの位置または多くの光ビームの平均位置を測定する能力を用いると、測定の範囲を拡張し、および/または測定の感度を上げることが可能である。より多くの検出器をカバーするパターンをもたらすために、追加的なビームが生成され得る。これは、より多くのマスクのアパーチャ24を用いることにより達成され得、さらに複雑で、かつそのためにより容易に規定される強度変動を生成する。
【0030】
たとえば、512素子のフォトダイオードアレイを用いることを検討する。このユニットによって、測定可能な最大の信号として定義される、システムノイズで除した測定ダイナミックレンジを、従来の分割フォトダイオード計器より係数50だけ拡大させることが可能である。測定ダイナミックレンジのこのような拡大は、明らかに多くの設定において著しく有益である。広い範囲の検出素子を用いると、図4に示すような回転するガラス板22の使用をなくすことも可能である。なぜなら、光ビームの小さい変位は、その角方向の測定に関連しないからである。光検出器アレイ上の光ビームの開始位置は、その位置がアレイの中央になくても、単純に「ゼロ」位置と考えられ得る。可動部をなくすことは、いかなる測定システムにもおいて常に望ましい。なぜなら、このような可動部は複雑さを増し、システム故障につながるさらなる道筋を加える傾向があるからである。
【0031】
複数の光検出器を用いると、たとえば、光検出器アレイ上の平均光ビーム位置を正確に測定するために、光検出器応答を検出器位置の関数としてなんらかの関数形式にあてはめ
るなどの、より高度な数学的手法を用いなければならない。このような関数形式へのあてはめの手法は、光ビーム位置が測定され得る精度を著しく高めることができる。光ビーム位置が測定され得る精度のさらなる向上は、光ビームを特定のプロファイルを備えるように調整することによって得ることができる。たとえば、図7に示されるような鋭いピークのあるプロファイルを有する光ビームは、図5および図6に示されるような、方形アパーチャの像から生じる、典型的な分割フォトダイオードシステムにおいて用いられる方形パルス関数などの頂部が平坦な関数よりも、うまく光ビームの位置測定ができる。頂部が完全に平坦な方形パルス関数である光ビームプロフィルについては、強度しきい値または同様の手段を用いてビーム位置を測定することが一般に可能であるが、単一の光検出素子の幅より小さい分解能においてまで光ビームの位置を知ることに寄与することができるのは、ビームの両外縁の2つの光検出器のみである。
【0032】
ピークのある関数の理想的な幅は、光検出器応答の測定のノイズに依存する。ノイズレベルが増大するにつれて、より良い平均化を可能にするために、光検出素子の物理的な寸法に対してピークのある関数の理想的な幅が拡大されなければならない。単一のピークのある関数に加えて、測定の感度を高める光ビームプロフィルのための、多数の他の関数形式を導入することが可能である。たとえば、図10に示されるような複数のピークを有するように光ビームプロフィルが作られる場合、各ピークは平均ビーム位置の測定に寄与する。測定の「ホワイトノイズ」のために、ビーム位置が測定され得る精度が、ピークの個数の二乗根にしたがって増大する。測定の精度を高めるために用いられ得るさらに別の光ビームプロファイルは、正弦波プロファイル、または多くの周期を備える三角波プロファイルである。一般に、隣接した検出器からの信号に大きな変化を与える検出器の個数を最大にすることで、ビーム位置が測定され得る精度が最大になる。正弦波プロファイルのような拡張されたピークのアレイは、平均化が増大することにより測定感度の増大をもたらす一方で、そのためより複雑になり、パターンの動きを追えるほどパターンがゆっくり動かないかぎり、パターンと、複数の一体的な正弦波ピークによって変位したものとを区別することが、一般に不可能になる。ピークの有限アレイを用いて、周期的なアレイの縮退を伴わずに、複数のピークの平均化の改善を達成する。
【0033】
本発明の方法が、光検出器アレイと、その好ましい実施例の1つにおいては、ビーム位置の測定を向上させるための手段としての複数の前記ビームとを利用することを強調することが重要である。これは、たとえばアッベ絶対屈折計などにおける同様の素子の利用と対照区別的である。近代のアッベ型ARI計器はしばしば検出器アレイを組み入れ、検出器アレイは、固定された位置でそれに当たる複数のビームを有する。それらの計器における多数の照らされる素子は、その固定されたビームによる照明の強度を測定するために用いられる。本発明においては複数のビームは動いており、多数の照らされる素子はビーム位置の測定を向上させるために用いられる。
【0034】
検出器アレイに当たる光ビームプロフィルは、多くの方法で調整され得る。光検出器アレイに当たる光ビームプロフィルが調整され得る1つの手段は、光検出器アレイに投影される複雑な目的物を与えることである。図9の場合、マスク18における一連の狭いアパーチャ24が光検出器アレイに投影される目的物であって、図10に示されるような光のパターンを生じ、平均光ビーム位置が測定され得る精度を高める。光検出器アレイに投影される目的物は単純なアパーチャに限定される必要はなく、部分的に光を妨げたり反射したりする不透明なパターンを有する透明媒質を透過する光、またはそれに反射される光からも構成され得る。たとえば、図9のアパーチャ24として用いられるために、正弦波インク密度の変動は、透明なプラスチック、またはガラスシート上に印刷され得る。そのアパーチャに入射する光は、光検出器アレイ平面23に投影される複雑な目的物を生成する。
【0035】
光ビームプロフィルを調整するさらなる方法は、光検出器アレイ平面から位置ずれした平面に像を生成することである。このような位置がずれた像は、結果的に光検出器アレイ上で焦点の合わない像となり、実効的に光のパターンを滑らかにする。たとえば、目的物が一連の狭いアパーチャから構成され、それらのアパーチャを光検出器アレイ平面のわずかに前または後ろの平面に投影することによって、光検出器平面上のアパーチャの像が、一連のはっきりした、頂部が平坦なピークとして現れる場合、アレイ上の光パターンは、図10のピークといくらか類似する一連のピークから構成される。
【0036】
回折効果もまた、光ビームプロファイルを調整するのに用いられ得る。アパーチャ7を通過した後で投影されるいかなる目的物も、前記アパーチャの回折効果のために変更される。像は、対応するアパーチャ関数7を有する実際の目的物のコンボリューションである。たとえば、アパーチャ7が幅bの矩形の場合、像は、周知の二乗されたsinc関数を有する、目的物のコンボリューションである(1974年、マサチューセッツ洲レディング市アディソン−ウェズリー社発行、ヘクト著「オプティクス」参照)。
【0037】
【数2】

【0038】
ここでλは測定に用いられる光の波長であり、φは光ビームの中央位置角からの屈折角である。
【0039】
一般に、いかなるアパーチャ関数もピークのある関数であって、その幅は、アパーチャ7の幅、像からレンズ20までの距離、および、用いられる光の波長によって決定される。生成される像が、たとえば図4の分割フォトダイオードシステムの分割フォトダイオード21上のアパーチャ18の像のように、アパーチャ関数の幅と比較して大きい場合、回折は、図5に示される強度の像に軽微な相対的な変更を生じる。しかしながら、像が、アパーチャ関数の幅と比較して非常に小さい寸法を有する場合、像はアパーチャ関数によって支配される。たとえば、アパーチャが極めて狭いスリットであるように作られる場合、像は単に図8に示される回折パターンになる。回折効果がない場合、図9の狭いアパーチャ24のアレイは、完全に頂点が平坦な一連の方形パルス関数として、光検出器アレイ上に投影される。しかしながら、アパーチャ7のサイズが小さい場合、光検出器における像は、頂点の平坦な狭い方形パルス関数を伴う、関数I(φ)のコンボリューションに対応する、一連のピークのある関数となる。アパーチャ7の寸法、スリット24の寸法、レンズ20から像までの距離、および測定に用いられる光の波長を調整することにより、より多い、またはより少ないピークを有する像に変更することが可能である。
【0040】
分割フォトダイオードシステムと複数の光検出器を使用する本発明とは、両方とも、平面における光ビームの位置を測定し、三角法の関係を用いて、その位置を流体を含むチャンバから出てくる光ビームの角屈折θと関連づける。図4および図9に示されるように、屈折されない光ビームの経路に正確に直角に配向される検出平面の場合、図11の、入射ビームの方向に対するビーム屈折角θは、検出平面のビームの空間的位置ずれxと、x=Ltan(θ)の関係で関連し、ここで、Lは投影レンズ20から検出平面23までの距離である。所与の角屈折θについては、ビームが動く距離xは、距離Lの増加につれて増加する。所与の角屈折θについての、Lの増加に伴うxの増加は、一般に、屈折されない光ビームの経路に対する検出平面の配向に関係なく発生する。所与の、光ビームの位置が測定され得る精度のためには、距離Lを増大させることにより、角屈折θの測定
における感度を増加させることができる。θの測定においてより良い精度を得るために、Lは、実際に可能な限り大きくされなければならない。しかしながら、寸法Lが非常に大きいことに関連する数多くの有害な作用がある。一般に、これらのシステムの光ビームの空間的位置はしばしば、ナノメートルの何分の1かにまで測定されなければならないので、光学システムの熱的および機械的な安定が最も重要である。システムの物理的寸法がより大きくされるにつれて、熱的および機械的安定度は必然的に低下する。しかしながら、追加的な発散レンズを用いて、物理的な長さを増加させることなくシステムの有効光路長を増大することが可能である。
【0041】
図11は、セル出口面13に対してある角度θでフローセルから出て、検出器アレイ23の平面から距離Lに位置する投影レンズ20に入る、単一ビームを有する標準的な構成を示す。ビームは、ビームの実効的なゼロ位置から距離xにある検出器アレイに当たり、ここで、x=ctan(θ)であり、cは定数である。図12に示されるように、コリメートレンズ20に続く経路に発散レンズ25を挿入することはソースの虚像を形成し、それにより、距離xとして示される、検出器アレイ23に沿ったビームの位置ずれを増加させる。ここでx=ctan(θ)であり、c>cである。このように、角θの測定がより正確になされる。なぜなら、このレンズが、このような寸法Lの増加によるいかなる有害な作用をも伴うことなく、より長い経路Lによって生じるであろう結果に正確に対応する結果を効果的に生じたからである。
【0042】
示差屈折率検出器の性能を高め、向上させるための、光検出器アレイの使用に関する説明の多くが、ビームまたは複数のビームがフローセルを一度通過することに重点を置いてなされたが、親出願にて開示されたように、この装置の感度が、ビームを反射してセルを通って戻すミラーを挿入する、周知の手段によって向上されることが強調される。この実現例で、ソースビームは、図3に示される表面8に対してわずかな角でフローセルに入射する。したがって、光検出器アレイは、入射ビームを外すために適切に位置決めされる表面8の入射側に存在する。
【0043】
本明細書の大部分にわたって示された例は、示差屈折率検出器、dRIのための本発明の実現例に重点を置いたが、以前の出願は、流体の絶対屈折率をも測定し得る手段を開示した。本発明の好ましい用途は、これら以前の出願にて開示されたような両方の測定を行うことができる構造に、この手段を組み込む。
【0044】
ここに開示された基本発明の単純な変形例である、示差屈折率測定技術の当業者にとって明らかであるような、多くの本発明の実施例が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】透過ビームの位置ずれを示す、従来のdRIセル設計の図である。
【図2】ビームが試料チャンバの大部分を満たす、従来のセルを示す図である。
【図3】基準流体チャンバが試料流体チャンバより大きい、本発明の好ましい実施例のセルを示す図である。
【図4】試料セルを通過して分割フォトダイオードに当たるビームを示す図である。
【図5】分割フォトダイオードにおける位置に相対したビーム強度プロファイルを示す図である。
【図6】光検出素子のアレイに当たるビームの強度プロファイルを示す図である。
【図7】光検出器アレイに当たる三角形の強度プロファイルを示す図である。
【図8】光検出器アレイに当たる、回折が変更された強度プロファイルを示す図である。
【図9】試料セルを通過して光検出器アレイに当たる1組のビームのジオメトリを示す図である。
【図10】図9の光検出器アレイに来る対応する1組のビームから、回折が変更された、一組の強度プロファイルを示す図である。
【図11】セルから出て、次にアレイに沿って対応する位置ずれxを生成する投影レンズから出る、ビームの角屈折を示す図である。
【図12】セル、投影レンズ、アレイに沿って対応する位置ずれxを生成する追加された発散レンズから出る、ビームの角屈折を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
2 試料チャンバ、3 パティション、4 基準チャンバ、7 アパーチャ、8 入口表面、12,13 面、17 光源、18 マスク、19,20 レンズ素子、23 光検出器アレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料流体と基準流体との屈折率示差を測定するための向上された示差屈折計であって、a)アパーチャ7に当たるコリメートされた光ビームを生成するコリメートレンズ19に当たるように、光源17により生成される入射光ビーム1を制限するためのマスク18を含み、前記アパーチャは、前記出力ビームが測定セルの入口表面8に入射する前に前記ビームの断面を制限し、さらに、
b)測定セルを含み、前記制限アパーチャは、前記フローセルの前記試料チャンバ2に含まれる試料溶液を照らすよう、前記コリメートされた出力光ビームを制限し、さらに、
c)前記コリメートされた光ビームが前記試料チャンバ2を横断した後、透過性パティション3を通過して基準チャンバ4に入る、透過性パティション3と、
d)基準流体を包含し、前記試料チャンバ2を基準チャンバ4から隔てる前記透過性パティション3によって隔てられる、前記基準チャンバ4と、
e)前記ビーム制限マスク18の像を複数の光検出素子23に形成するレンズ素子20と、
f)複数の光検出素子23とを含む、向上された示差屈折計。
【請求項2】
前記入射光ビームは単色である、請求項1に記載の向上された示差屈折計。
【請求項3】
前記光源はレーザである、請求項1に記載の向上された示差屈折計。
【請求項4】
前記光源は発光ダイオードである、請求項1に記載の向上された示差屈折計。
【請求項5】
前記試料チャンバおよび前記基準チャンバは同一の直角三角形の断面を有する、請求項1に記載の向上された示差屈折計。
【請求項6】
前記試料チャンバおよび前記基準チャンバは相似の直角三角形の断面を有し、前記ビーム制限アパーチャ7は、前記コリメートされた入射ビームが、前記試料チャンバの規定する側面の間の側面に衝突したり角をかすめたり、または、前記基準チャンバの側面および角をかすめることなく、前記フローセルの前記試料チャンバ2に含まれる前記試料溶液を完全に照らすよう、前記コリメートされた入射ビームを制限する、請求項1に記載の向上された示差屈折計。
【請求項7】
前記基準チャンバは、前記コリメートされた光入射ビームが、基準流体と試料流体との屈折率示差に関係なく、前記測定セルを出る前にそこで他の面または角をかすめないことを確実にするよう適切な寸法で作られる、請求項6に記載の向上された示差屈折計。
【請求項8】
前記マスク18は、アパーチャ7ならびに前記試料チャンバおよび前記基準チャンバを通過した後に前記光検出器アレイ23に当たるその像が回折限界的であって、それにより、確実に、前記像が実質的にアパーチャ7のアパーチャ関数であることを確実にするのに十分小さい寸法の単一のスリットから構成される、請求項1に記載の向上された示差屈折計。
【請求項9】
前記マスク18は、前記測定セルに入射する複数のコリメートされたビームと、前記光検出器アレイ23に当たる複数の透過像とを生成する複数のスリット24から構成される、請求項1に記載の向上された示差屈折計。
【請求項10】
試料チャンバの内部入口表面9と基準チャンバの内部出口表面12とは互いに平行ではない、請求項1に記載の向上された示差屈折計。
【請求項11】
前記透過性パティション3の流体接触表面10および11は互いに平行ではない、請求項1に記載の向上された示差屈折計。
【請求項12】
前記測定セルの前記入口表面8は、前記入射ビームに対して直角ではない、請求項1に記載の向上された示差屈折計。
【請求項13】
前記直角ではない入射ビームは、前記測定セルを横断し、前記像形成レンズ素子20を置換するミラー素子手段によって反射されて前記測定セルを通って戻され、前記反射されたビームは十分な角度で入口表面8から出て光検出器アレイにより検出され、アレイは前記ビーム制限マスク18から十分位置ずれされて、そこで制限される入射ビームに影響したり干渉したりしない、請求項12に記載の向上された示差屈折計。
【請求項14】
前記測定セルの前記適切な寸法は、前記フローセルの前記屈折率と、前記向上された示差屈折計が使用される試料屈折率および基準屈折率の完全な範囲に基づく計算とによって決定される、請求項7に記載の前記向上された示差屈折計の測定セル。
【請求項15】
前記測定セルの前記適切な寸法は、前記向上された示差屈折計が使用されるすべての試料流体および基準流体に関する前記透過ビームの直接測定で決定される、請求項7に記載の前記向上された示差屈折計の測定セル。
【請求項16】
発散レンズ25が透過ビームの経路に挿入され、それにより入射ビーム1の方向に対して測定セル透過ビームの仮想位置ずれを増大させる、請求項1に記載の向上された示差屈折計。
【請求項17】
発散レンズ25が透過ビームの経路に挿入され、それにより入射ビーム1の方向に対して測定セル透過ビームの仮想位置ずれを増大させる、請求項13に記載の向上された示差屈折計。
【請求項18】
前記複数の光検出素子はフォトダイオードアレイの素子である、請求項1に記載の向上された示差屈折計。
【請求項19】
素子の個数は512個である、請求項18に記載のフォトダイオードアレイ。
【請求項20】
基準流体に相対した試料流体の屈折率示差を測定するための方法であって、
a)アパーチャ7に当たるコリメートされた光ビームを生成するコリメートレンズ19に当たるように、光源17により生成される入射光ビーム1を制限するためのマスク18を入射光ビーム1に挿入するステップを含み、前記アパーチャはさらに、連続する2つのチャンバ2および4を含む測定セルの入口表面8に入る前に前記出力ビームの断面を制限し、さらに、
b)試料流体および基準流体を前記連続するチャンバ2および4にそれぞれ配置するステップと、
c)前記フローセルの前記試料チャンバ2に含まれる試料溶液を完全に照らすよう、前記コリメートされた出力ビームを、前記アパーチャ7によって制限するステップと、
d)透過ビームが当たる複数の光検出素子23に前記ビーム制限マスク18の像を形成するレンズ素子21を、前記試料流体を含むチャンバおよび前記基準流体を含むチャンバを横断した後前記測定セルから出力する透過ビームの経路に挿入するステップと、
e)前記試料チャンバおよび前記基準チャンバの両方が前記基準流体で満たされると、前記透過ビーム位置に相対する前記透過ビームにより照らされる、前記複数の光検出器のすべての素子を用いて前記透過ビームの位置ずれを測定するステップとを含み、前記複数の照らされた検出素子にわたって検出された強度変動を参照すると前記測定の精度が向上さ
れている、方法。
【請求項21】
前記入射光ビームは単色である、請求項20に記載の方法。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−105998(P2006−105998A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293709(P2005−293709)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(594035932)ワイアット テクノロジー コーポレイション (8)
【氏名又は名称原語表記】Wyatt Tecknology Corporation
【Fターム(参考)】