説明

屈曲ブロック

【課題】連結型境界ブロックの並びを一個のブロックで屈曲させることができるとともに、設置安定性及び作業性を向上させることができ、さらに屈曲部分の美観性も高めることができる屈曲ブロックを提供すること。
【解決手段】屈曲ブロック100を、一方に隣接する連結型境界ブロックが連結される第1連結端部111を備える第1ブロック部110と、他方に隣接する連結型境界ブロックが連結される第2連結端部121を備える第2ブロック部120とを、互いに角をなして形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向に連設され、区画又は境界を形成する連結型境界ブロックの間の屈曲部分に配置される屈曲ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、図2に示すような、ブロック本体210長手方向の両端部210a、210bが円弧状に形成されてなるとともに、該両端の一方の端部210aの下側が側方に突出して形成されてなる下側突出部220と、反対側の他方の端部210bの上側が側方に突出して形成されてなる上側突出部230とを備えてなり、下側突出部220の上面には円形凸状の嵌合凸部221が形成され、上側突出部230の下面には円形凹状の嵌合凹部231が形成されて、隣接するブロックの上側突出部又は下側突出部と嵌合した際に、当該嵌合部を支点として回動自在となるようにした基礎構築用プレキャストコンクリートブロック200(以下、当該形態のブロックを「連結型境界ブロック」という)について提案している(特許文献1参照)。係る連結型境界ブロックは、ガードレール等を設置するための基礎として優れた設置安定性を提供するのみならず、道路の曲率に関係なく直線区間、曲線区間を問わず設置でき、区画又は境界を形成することができる点で有用である。また、本発明者は、上記連結型境界ブロックと同時に、連設された一連の連結型境界ブロックの終端部に配置されるのに適した連結型境界ブロックとして、図14に示すような、ブロック本体310の長手方向の一方の端部310aにのみ上側突出部又は下型突出部が形成された基礎構築用プレキャストコンクリートブロック300(以下、当該形態のブロックを「端部用連結型境界ブロック」という)についても提案している(特許文献1参照)。この端部用連結型境界ブロックが、一連の連結型境界ブロックの並びの終端部に配置されることにより、終端部の美観が整えられる。
【0003】
このような連結型境界ブロック及び端部用連結型境界ブロックを用いて、例えば道路の曲がり角のような屈曲した場所に区画又は境界を形成にするには、図15に示されているように、屈曲に係る部分に二つの端部用連結型境界ブロック300を用いられている。具体的には、二つの端部用連結型境界ブロック300が互いに角度をなすようにして端部310b同士を突き合わせて配置され、これらに連結型境界ブロック200を順次連結していくことによって行われている。ところが、二つの端部用連結型境界ブロック300を用いて形成された屈曲部分は、両者の間での連結がなされないため、例えば自動車等が衝突したような場合に、連結されていない二つの端部用境界型連結ブロック300が容易に移動して離隔してしまい、形成された区画又は境界の並びがばらばらになってしまうだけでなく、これらに設置されたガードレールAも損傷させてしまう虞があった。また、このような事態が生じたときには、ばらばらになったブロックが車両等の通行の妨げとなってしまい、交通渋滞等の原因となるという問題があった。
【0004】
また、屈曲部分をなす二つの端部用連結型境界ブロックの間の角度が正確に設定されていないと、そこから順次連結されていく連結型境界ブロックの配置が、予定している位置からずれていってしまうこととなる。具体的には、例えば図16に示すように、屈曲部分が90°をなすように連結型境界ブロック200を連設していくことを予定している場合において、その屈曲部分をなす二つの端部用連結型境界ブロック300の間の角度が90°よりも広角になっていると、そこから順次連結されていく連結型境界ブロック200は、予定している設置位置(図16において鎖線で示された位置)からずれて設置されていってしまうのである。そして、この設置位置のずれは、連結型境界ブロックの連結長さが長くなっていくに従って顕著に表れることとなる。このような設置位置のずれを防止するためには、屈曲部分における二つの端部用連結型境界ブロックの間の設置角度を正確に設定しておく必要があった。
【0005】
さらに、屈曲部分に二つの端部用連結型境界ブロックのそれぞれの端面が露出することは美観的にも好ましいものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3814682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、一連の連結型境界ブロックの屈曲部分を形成するブロックの設置安定性及び作業性を向上させ、さらに屈曲部分の美観性も高めることができる屈曲ブロックを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明が採った手段は、長手方向に連結されて区画又は境界を形成する連結型境界ブロックの間の屈曲部分に配置される屈曲ブロックであって、一方に隣接する前記連結型境界ブロックが連結される第1連結端部を有する第1ブロック部と、他方に隣接する前記連結型境界ブロックが連結される第2連結端部を有する第2ブロック部とを備え、前記第1ブロック部と前記第2ブロック部とが互いに角をなして形成されていることを特徴とする屈曲ブロック、である。
【0009】
本発明に係る屈曲ブロックは、本発明者が既に提案している上述の連結型境界ブロックと組み合わせて用いることに適したものであり、連設された連結型境界ブロックの間に屈曲部分を形成するためのものである。すなわち、この屈曲ブロックは、一方に隣接する連結型境界ブロックが連結される第1連結端部を有する第1ブロック部と、他方に隣接する連結型境界ブロックが連結される第2連結端部を有する第2ブロック部とを備え、第1ブロック部と第2ブロック部とが、互いに角をなして形成されている。これにより、一連の連結型境界ブロックの屈曲部分を一個の屈曲ブロックで形成することができるので、自動車等が衝突しても容易に移動することがなく、形成された区画及び境界の並びが乱れることを防止することができる。また、屈曲部分の角度が、第1ブロック部と第2ブロック部とがなす角度によって決定されるので、設置時における角度調整作業が不要になるとともに、屈曲部分におけるブロックの一体感が得られるので美観を高めることもできる。
【0010】
第1連結端部は、隣接する連結型境界ブロックの上側突出部又は下側突出部と嵌合するように、第1ブロック部の端部の上側又は下側が側方に突出する突出部としてもよく、第2連結端部も、隣接する連結型境界ブロックの上側突出部又は下側突出部と嵌合するように、第2ブロック部の端部の上側又は下側が側方に突出する突出部としてもよい。係る構成を採用することによって、本発明者が提案している連結型境界ブロックの上側突出部又は下側突出部と連結可能となる。例えば、本発明に係る屈曲ブロックの第1連結端部又は第2連結端部を下側突出部として形成すれば、これらに連結型境界ブロックの上側突出部を重ね合わせて嵌合させることで連結することができる。
【0011】
また、突出部の嵌合面側には、嵌合凸部又は嵌合凹部が形成されてもよい。突出部の嵌合面側、すなわち、連結される連結型境界ブロックの上側突出部又は下側突出部と重なり合う面側に嵌合凸部又は嵌合凹部が形成されると、連結型境界ブロックの上側突出部又は下側突出部に形成された嵌合凹部又は嵌合凸部を嵌合させて連結することができるようになる。
【0012】
また、第1ブロック部及び/又は第2ブロック部は、上面に支柱を立設するための支柱立設孔が穿設されてもよい。本発明者が既に提案している連結型境界ブロックは、ガードレールや道路標識等の道路付帯物を取り付けるための支柱を立設する基礎として使用することができる。そこで、本発明に係る屈曲ブロックにおいても、支柱を立設することができる支柱立設孔を形成しておくとよい。
【0013】
また、第1ブロック部と第2ブロック部との間の外側面の角部が面取りされてもよい。これにより、外側面が滑らかな形状となって美観性を高めることができ、また、自動車等が屈曲部分付近を通過する際に角部と接触する機会を低減させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る屈曲ブロックによれば、一方に隣接する連結型境界ブロックが連結される第1連結端部を有する第1ブロック部と、他方に隣接する連結型境界ブロックが連結される第2連結端部を有する第2ブロック部とが互いに角をなして形成されることにより、一連の連結型境界ブロックにおける屈曲部分を一個のブロックで形成することが可能となる。これにより、屈曲部分に自動車等が衝突しても容易に移動しにくくなり、形成された区画及び境界の並びが乱れることを防止することができる。また、屈曲角度が、ブロックを作製する段階で決定されるので、設置時における角度調整作業が不要になるとともに、屈曲部分のブロックに一体感が得られて美観性を高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例に係る屈曲ブロックの斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係る屈曲ブロックと連結可能な連結型境界ブロックの斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係る屈曲ブロックに連結型境界ブロックを連結し、さらにガードレールを設置した状態を示す側面図である。
【図4】本発明の実施例に係る屈曲ブロックに連結型境界ブロックを連結する方法を説明する図である。
【図5】本発明の実施例に係る屈曲ブロックの設置形態を説明する図である。
【図6】本発明の実施例に係る屈曲ブロックを「置き型」として用いたときの設置形態を説明する図である。
【図7】本発明の実施例に係る屈曲ブロックを「本設型」として用いたときの設置形態を説明する図である。
【図8】本発明の屈曲ブロックの他の実施形態を示す平面図である。
【図9】図8に示された屈曲ブロックの設置例を説明する図である。
【図10】本発明の屈曲ブロックの第3の実施形態を示す斜視図である。
【図11】本発明の屈曲ブロックの第4の実施形態を示す斜視図である。
【図12】本発明の屈曲ブロックの第5の実施形態を示す斜視図である。
【図13】本発明の屈曲ブロックの第6の実施形態を示す斜視図である。
【図14】最端部連結型境界ブロックを示す斜視図である。
【図15】連結型境界ブロックの屈曲部分に端部連結型境界ブロックを用いた従来の設置方法を説明する図である。
【図16】従来において、端部連結型境界ブロックを用いて屈曲部分を形成する最に生じ得た設置位置のずれの状態を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、一方に隣接する連結型境界ブロックが連結される第1連結端部を有する第1ブロック部と、他方に隣接する連結型境界ブロックが連結される第2連結端部を有する第2ブロック部とを備える屈曲ブロックである。
【0017】
本発明に係る屈曲ブロックは、長手方向に連結されて区画又は境界を形成する連結型境界ブロックと連結されるものである。このため、本発明に係る屈曲ブロックにおける第1ブロック部及び第2ブロック部の形態、並びにこれらにそれぞれ形成される第1連結端部及び第2連結端部の形態は、隣接される連結型境界ブロックの形状に適合するように、種々の形態を採用することができる。
【0018】
より好適には、本発明者がすでに開発している上述の連結型境界ブロックと組み合わせることによって、より高い効果を発揮する。そこで、まずは本発明に係る屈曲ブロックと組み合わせて使用されるのに好適な連結型境界ブロックの形態について説明する。
【0019】
本発明に係る屈曲ブロックと組み合わされるのに好適な連結型境界ブロックとしては、例えば、ブロック本体長手方向の両端部が円弧状に形成されてなるとともに、一方の端部の下側が側方に突出して形成されてなる下側突出部と、反対側の他方の端部の上側が側方に突出して形成されてなる上側突出部を備えてなり、下側突出部の上面に円形凸状の嵌合凸部が形成され、上側突出部の下面に円形凹状の嵌合凹部が形成されて、隣接する連結型境界ブロックの上側突出部の嵌合凹部又は下側突出部の嵌合凸部と嵌合した際に、この嵌合部を支点として回動自在となるようにしたものが挙げられる。この連結型境界ブロックが連設されることにより、直線区間、曲線区間を問わずに区画又は境界を形成することができる。なお、この連結型境界ブロックにおいては、上側突出部と下側突出部との間で、嵌合凸部と嵌合凹部とが互いに交換して設けられても構わない。
【0020】
本発明に係る屈曲ブロックが、上記連結型境界ブロックと連結される場合、第1ブロック部に形成される第1連結端部及び第2ブロック部に形成される第2連結端部は、上側又は下側が側方に突出した突出部として形成される。この場合、突出部は、連結される連結型境界ブロックの上側突出部又は下側突出部と対応する形態に形成される。例えば、突出部が連結型境界ブロックの上側突出部と連結される場合には、これに対応する下側突出部として形成され、突出部が連結型境界ブロックの下側突出部と連結される場合には、これに対応する上側突出部として形成される。また、上側突出部及び下側突出部を含む第1ブロック部及び第2ブロック部の端部の形状は特に限定されないが、連結型境界ブロックの端部が円弧状に形成されている場合には、これに合わせて第1ブロック部及び第2ブロック部の端部形状を円弧状に形成してもよい。当該構成を採用することで、連結型境界ブロックとの間で角度をなすように連結する必要がある場合に、回動範囲を広く確保することができるからである。
【0021】
また、第1連結端部及び第2連結端部が突出部として形成される場合には、突出部の嵌合面側、すなわち、連結される連結型境界ブロックの上側突出部又は下側突出部と重なり合う面側には、嵌合凸部又は嵌合凹部を形成してもよい。これにより、例えば、連結される連結型境界ブロックの上側突出部に嵌合凹部が形成されている場合には、屈曲ブロックの突出部に嵌合凸部を形成しておくことで、嵌合凹部と嵌合凸部とを嵌合させて連結することができるようになる。従って、突出部に形成される嵌合凹部又は嵌合凸部の形状は、連結される連結型境界ブロックの嵌合凹部又は嵌合凸部と対応する形状であれば特には限定されないが、連結型境界ブロックの嵌合凹部が円形凹状であるときには、これに対応して突出部における嵌合凸部を円形凸状に形成することが好ましい。係る形態とした場合には、設置後に連結型境界ブロックとの間で角度調整が必要な場合に、嵌合部を中心にして連結型境界ブロックを回動させることができるからである。
【0022】
また、第1ブロック部及び第2ブロック部の上面には、ガードレールや道路標識等の道路付帯物が取り付けられる支柱を立設するための支柱立設孔を形成してもよい。この支柱立設孔は、支柱と同等又は支柱より大きい径の孔からなり、第1ブロック部又は第2ブロック部の下面まで貫通した形態としてもよいし、途中深さまで穿設した形態としてもよい。
【0023】
上記のように構成される第1ブロック部と第2ブロック部とが、互いに角をなして形成されることによって、本発明に係る屈曲ブロックが形成される。この屈曲ブロックが一連の連結型境界ブロックの間に配置されることで、屈曲部分が形成される。言い換えれば、第1ブロック部と第2ブロック部とがなす角度が、一連の連結型境界ブロックの屈曲部分の角度を決定するのである。第1ブロック部と第2ブロック部とがなす角は、連結型境界ブロックの並びを屈曲させるという機能を奏する角度であれば特に限定されるものではなく、0°〜180°の間で適宜設定することができる。
【0024】
また、第1ブロック部と第2ブロック部との間の外側面の角部には、面取りを施してもよい。面取りの形態としては、例えば、角部を真っ直ぐに削り落としたような平面状としてもよいし、曲面を描くような円弧状としてもよい。このような面取りを施すことにより、屈曲部分に不要な出っ張りがなくなるので、自動車等が屈曲部分付近を通過する際に、屈曲ブロックの角部に接触する機会を低減させることができる。また、屈曲部分の外側面の形状が滑らかになるので、美観を高めることもできる。
【0025】
また、本発明に係る屈曲ブロックは、これに連結される連結型境界ブロックとともに、地面に載置される「置き型」として用いてもよいし、地中に埋め込まれる「本設型」として用いてもよい。
【0026】
以下、本発明の実施例について、図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下に説明する実施例及び図面は、本発明の実施例の1形態を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではない。
【実施例】
【0027】
図1には、実施例1に係る屈曲ブロック100が示されている。この屈曲ブロック100は、第1ブロック部110と、第2ブロック部120とを備える。そして、第1ブロック部110と第2ブロック部120とは、互いに90°の角をなして一体に形成されている。そして、第1ブロック部110及び第2ブロック部120には、図2に示されている連結型境界ブロック200が連結される。
【0028】
ここで、図2に示されている連結型境界ブロック200について説明する。連結型境界ブロック200は、ブロック本体210の長手方向の両端部210a、210bが略半円形の円弧状に形成される。そして、一方の端部210aには、この端部210aの下側略半分の高さ部分が側方に突出してなる下側突出部220が形成される。この下側突出部220の上面には、円形凸状の嵌合凸部221が形成されるとともに、この嵌合凸部221の円形中心位置には、ボルト孔222が下側突出部220を貫通して穿設されている。また、他方の端部210bには、この端部210bの上側略半分の高さ部分が側方の突出してなる上側突出部230が形成されている。この上側突出部230の下面には、円形凹状の嵌合凹部231が形成されるとともに、この嵌合凹部231の円形中心位置には、ボルト孔232が上側突出部230を貫通して穿設されている。さらにブロック本体210の上面には、支柱立設孔240が、ブロック本体210を貫通して穿設されている。
【0029】
この連結型境界ブロック200が、屈曲ブロック100の第1ブロック部110及び第2ブロック部120に連結される。図1に示されているように、屈曲ブロック100における第1ブロック部110は、端部110aが略半円形の円弧状に形成されるとともに、第1連結端部111が形成されている。この第1連結端部111は、連結型境界ブロック200の上側突出部230と嵌合するように、端部110aの下側略半分が側方に突出した下側突出部として形成されている。そして、この第1連結端部111の上面には、円形凸状の嵌合凸部112が形成されるとともに、この嵌合凸部の円形中心位置には、ボルト孔113が第1連結端部111を貫通して穿設されている。
【0030】
さらに、第1ブロック部110の上面には、ガードレールや道路標識等の道路付帯物が取り付けられる支柱を設置するための支柱立設孔114が、第1ブロック部110を貫通して穿設されている。
【0031】
第2ブロック部120は、第1ブロック部110と同様に形成されており、その端部120aが略半円形の円弧状に形成される。そして、端部120aには下側突出部として形成される第2連結端部121が、その上面に円形凸状の嵌合凸部122とボルト孔123を有して形成されている。さらに、第2ブロック部120の上面には、支柱立設孔124が穿設されている。
【0032】
上記のようにして形成される第1ブロック部110と第2ブロック部120とが、互いに90°の角度をなして一体に形成されることによって、屈曲ブロック100が形成される。そして、第1ブロック部110と第2ブロック部120との間の外側面の角部101は、平面状に面取りがなされている。また、角部101の上面は、第1ブロック部110の上面高さ及び第2ブロック部120の上面高さよりもやや低い高さに形成されたガードレール逃げ部102となっている。このガードレール逃げ部102は、図3に示されているように、屈曲ブロック100にガードレールAの端部が設置される場合において、ガードレールAの袖ビームA2の下方への出っ張りが、屈曲ブロック100と干渉することを避けるために設けられるものである。このため、袖ビームA2の下方出っ張り部分が屈曲ブロック100に干渉しない高さ位置となる場合、或いは、袖ビームA2を設けない場合には、ガードレール逃げ部102は形成しなくてもよい。
【0033】
図4には、屈曲ブロック100の第1ブロック部110と、連結型境界ブロック200とを連結させる方法が示されている。第1ブロック部110と連結型境界ブロック200とを連結させるには、まず、第1ブロック部110の第1連結端部111に、連結型境界ブロック200の上側突出部230を重ね合わせる。このとき、第1連結端部111に形成された円形凸状の嵌合凸部112に、上側突出部230に形成された円形凹状の嵌合凹部231を嵌合させる。これにより、第1連結端部111と上側突出部230との嵌合位置が決定されると共に、連結型境界ブロック200が第1ブロック部110に対して当該嵌合部を中心に回動できるようになる。また、嵌合凸部112と嵌合凹部231とを嵌合させると、第1ブロック部110の嵌合凸部112に形成されたボルト孔113は、連結型境界ブロック200の嵌合凹部231に形成されたボルト孔231と互いに連通した状態となる。これらの互いに連通したボルト孔113とボルト孔231とにボルトBを螺合することによって連結が完了する。尚、ここでは図4を用いて第1ブロック部110と連結型境界ブロック200との連結方法を説明したが、第2ブロック部120についても同様の方法により連結型境界ブロック200を連結することができる。
【0034】
図5には、連結型境界ブロック200の間に屈曲ブロック100を配置し、これにガードレールAを設置した状態が示されている。図5に示されているように、屈曲ブロック100の第1連結端部111と、第2連結端部121とに、それぞれ連結型境界ブロック200を順次連結していくことで、屈曲ブロック100によって一連の連結型境界ブロック200の間に屈曲部分が形成される。そして、屈曲ブロック100の第1ブロック部110の支柱立設孔114、第2ブロック部120の支柱立設孔124及び各々の連結型境界ブロック200に形成された支柱立設孔240には支柱A3が固定され、この支柱A3にビームA1が取り付けられることによってガードレールAが設置される。
【0035】
尚、この屈曲ブロック100は、図6に示すように、連結型境界ブロック200とともに地面に載置して「置き型」として用いることもできるが、図7に示すように、地中に埋め込んで「本設型」として用いてもよい。
【0036】
このように、一連の連結型境界ブロック200の間に屈曲ブロック100を配置することによって、屈曲部分が一個のブロックとして形成されるので、例えば自動車等が衝突した場合であっても、屈曲部分のブロックが移動して連結型境界ブロック200の並びが容易に乱れることを防止することができる。また、屈曲ブロック100は、両側に隣接する連結型境界ブロック200と連結されているので優れた設置安定性を得ることでき、屈曲部分の外観にも一体感が得られて美観性を高めることができる。
【0037】
また、屈曲部分の角度が、屈曲ブロック100における第1ブロック部110と第2ブロック部120とがなす角度によって決定されるので、現場において屈曲角度の調整を行う煩わしさがなくなって作業性が向上するとともに、連結型境界ブロック200を予定の設置位置からずれることなく順次連設していくことができる。さらに、第1ブロック部110と第2ブロック部120との間の外側面の角部101が面取りされて平面状に形成されているので、外側に不要な出っ張りが生じることがなく、例えば自動車等が屈曲部分付近を通行する際に接触する機会を低減させることができるとともに、外側面を滑らかに見せることができるので美観性の向上にも繋がる。
【0038】
以上、本発明に係る屈曲ブロックの実施例について詳述したが、本発明に係る屈曲ブロックはこの実施例の形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような形態を採ることも可能である。
【0039】
実施例における屈曲ブロック100では、第1ブロック部110と第2ブロック部120とが90°の角度をなして形成されているが、この角度は任意の角度に設定することができる。例えば、図8(a)に示すように鈍角をなすようにしてもよいし、図8(b)に示すように鋭角をなすようにしてもよい。このような鈍角或いは鋭角をを有する屈曲ブロックは、例えば、図9に示されているような、2本の道路が斜交する場所等に設置するときに有効である。
【0040】
また、第1ブロック部110の第1連結端部111及び第2連結端部121を突出部として形成する場合には、第1ブロック110の端部110a及び第2ブロック部120の端部120aの形状を、図10に示されているように矩形状に形成してもよいし、図11に示されているように多角形状に形成してもよい。さらに、端部110a及び120aを矩形状或いは多角形状に形成する場合には、これらに連結される連結型境界ブロックの上側突出部との間に隙間ができるように、第1連結端部111及び第2連結端部121の突出長さや嵌合凸部又は嵌合凹部の位置を調整して形成するとよい。これは、端部110a及び120aと連結型境界ブロック200の上側突出部230が密接して、回動動作に支障が生じないようにするためである。また、実施例では、第1連結端部111と第2連結端部121のいずれも下側突出部として形成しているが、これらは連結しようとする連結型境界ブロック200の形態に応じて、図13に示されているように一方を上側突出部とし他方を下側突出部としてもよいし、両方を上側突出部としてもよい。
【0041】
さらに、第1ブロック部110と第2ブロック部120との間の外側面の角部101は、実施例のように平面状に面取りした形状とする他に、図12に示すように円弧状に面取りした形状としてもよい。
【符号の説明】
【0042】
100 屈曲ブロック
101 角部
110 第1ブロック部
111 第1連結端部
112 嵌合凸部
113 ボルト孔
114 支柱立設孔
120 第2ブロック部
121 第2連結端部
122 嵌合凸部
123 ボルト孔
124 支柱立設孔
200 連結型境界ブロック
220 下側突出部
230 上側突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に連結されて区画又は境界を形成する連結型境界ブロックの間の屈曲部分に配置される屈曲ブロックであって、
一方に隣接する前記連結型境界ブロックが連結される第1連結端部を有する第1ブロック部と、
他方に隣接する前記連結型境界ブロックが連結される第2連結端部を有する第2ブロック部とを備え、
前記第1ブロック部と前記第2ブロック部とが互いに角をなして形成されていることを特徴とする屈曲ブロック。
【請求項2】
第1連結端部は、隣接する連結型境界ブロックの上側突出部又は下側突出部と嵌合するように、第1ブロック部の端部の上側又は下側が側方に突出する突出部であることを特徴とする請求項1記載の屈曲ブロック。
【請求項3】
第2連結端部は、隣接する連結型境界ブロックの上側突出部又は下側突出部と嵌合するように、第2ブロック部の端部の上側又は下側が側方に突出する突出部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の屈曲ブロック。
【請求項4】
突出部の嵌合面側には、嵌合凸部又は嵌合凹部が形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の屈曲ブロック。
【請求項5】
第1ブロック部及び/又は第2ブロック部は、上面に支柱を立設するための支柱立設孔が穿設されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の屈曲ブロック。
【請求項6】
第1ブロック部と第2ブロック部との間の外側面の角部が面取りされていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の屈曲ブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−255192(P2010−255192A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102912(P2009−102912)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000246343)揖斐川コンクリート工業株式会社 (31)
【Fターム(参考)】