説明

層間絶縁膜形成用塗布液および層間絶縁膜を有する基板

【課題】外観ムラの無いアクティブマトリクス基板の製造に好適に用いることのできるアクティブマトリックス層間絶縁膜形成用塗布液および層間絶縁膜を有する基板を提供する。
【解決手段】(i)一般式RnSi(OR’)4-n[式中、R、R’は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアルケニル基を表わし、nは0〜3の整数である]で示されるアルコキシシランを加水分解重縮合して得られるシリカゾルと、(ii)前記アルコキシシランの部分加水分解物との反応物と、ポリシリコーン樹脂とが分散媒に分散または溶解してなるアクティブマトリックス層間絶縁膜形成用塗布液。前記ポリシリコーン樹脂がポリエーテル変性シリコーン樹脂である。前記ポリシリコーン樹脂の数平均分子量が1,000〜100,000の範囲にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のアルコキシシランを加水分解重縮合して得られるシリカゾルとアルコキシシランの部分加水分解物との反応物と、ポリシリコーン樹脂とが分散媒に分散または溶解してなるアクティブマトリックス層間絶縁膜形成用塗布液および層間絶縁膜を有する基板に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリックスは、TFTカラー液晶などで採用されている構造で、液晶の画素
一つずつに対して、電圧の制御を行なうための「アクティブ素子」を持つ。
また、このような構造であることから、鮮明でムラのない画面表示が可能となる。
【0003】
従来、このような液晶表示装置等に用いられるアクティブマトリクス基板は、基板と、前記基板上に形成された複数の走査配線と、前記複数の走査配線に交差する複数の信号配線と、前記基板上に形成され、対応する前記走査配線に印加される信号に応答して動作する複数の薄膜トランジスタと、前記複数の薄膜トランジスタを介して、対応する前記信号配線と電気的に接続され得る複数の画素電極とを備え、前記複数の薄膜トランジスタのそれぞれは、対応する前記走査配線に電気的に接続されたゲート電極と、対応する前記信号配線に電気的に接続されたソース電極と対応する前記画素電極に電気的に接続されたドレイン電極とを有するアクティブマトリクス基板であって、前記複数の薄膜トランジスタを覆うように形成された層間絶縁膜をさらに備え、前記複数の信号配線は、前記層間絶縁膜上に前記ソース電極および前記ドレイン電極とは異なる導電層から形成され、且つ、前記層間絶縁膜に設けられたコンタクトホールを介して前記ソース電極に電気的に接続されている。
【0004】
近年、表示装置の画面が大画面化し、アクティブマトリックス基板の製造に際して、大面積の基板に層間絶縁膜を形成する際にピンで基板を支持したり、層間絶縁膜を形成した後、基板を上昇させたり、コロ(ローラー)で移動させたり、真空乾燥時に支持ピンで支持したり、さらにコロ(ローラー)で移動する工程等が採用されている。
【0005】
また、本願出願人の一人は、特開2006−071946号公報(特許文献1)にて、層間絶縁膜は、有機成分を含む絶縁材料から形成され、具体的には有機成分を含むスピンオンガラス材料(いわゆる有機SOG材料)、特に、Si−O−C結合を骨格とするSOG材料や、Si−C結合を骨格とするSOG材料が好適に用いられることが提案されている。
【0006】
また、本願出願人の一人の出願による特開平3−263476号公報(特許文献2)には、アルコキシシランを加水分解重縮合して得られるシリカゾルとアルコキシシランの部分加水分解物との反応物とからなる被膜形成用塗布液を提案している。
【特許文献1】特開2006−071946号公報
【特許文献2】特開平3−263476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、たとえば特許文献1のような従来の層間絶縁膜形成用塗布液では、吸着チャック孔跡、支持ピン跡、コロ跡等の模様状の膜ムラが残り、外観ムラとなる問題があった。また、特許文献2のように従来より知られていたシリカ系被膜形成用塗布液では、乾燥が均一に行われにくいため、膜ムラが生じてしまうという問題点もあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記問題点を解消すべく鋭意検討した結果、層間絶縁膜形成用塗布液に少量のポリシリコーン樹脂を添加することによって塗膜形成後の乾燥が均一になり、同時に前記膜ムラが実質的に無くなることを見出して本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、外観ムラの無いアクティブマトリクス基板の製造に好適に用いることのできるアクティブマトリックス層間絶縁膜形成用塗布液および層間絶縁膜を有する基板を提供することを目的としている。
【0010】
本発明の構成は以下の通りである。
[1](i)一般式RnSi(OR’)4-n
[式中、R、R’は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアルケニル基を表わし、
nは0〜3の整数である]
で示されるアルコキシシランを加水分解重縮合して得られるシリカゾルと、
(ii)前記アルコキシシランの部分加水分解物と
の反応物と、
ポリシリコーン樹脂とが分散媒に分散または溶解してなるアクティブマトリックス層間絶縁膜形成用塗布液。
[2]前記ポリシリコーン樹脂がポリエーテル変性シリコーン樹脂である[1]のアクティブマトリックス層間絶縁膜形成用塗布液。
[3]前記ポリシリコーン樹脂の数平均分子量が1,000〜100,000の範囲にある[1]または[2]のアクティブマトリックス層間絶縁膜形成用塗布液。
[4]前記反応物の濃度が固形分として5〜50重量%の範囲にあり、前記ポリシリコーン
樹脂の濃度が固形分として0.01〜0.5重量%の範囲にある[1]〜[3]のアクティブマトリックス層間絶縁膜形成用塗布液。
[5](i)一般式RnSi(OR’)4-n[式中、R、R’は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアルケニル基を表わし、nは0〜3の整数である]
で示されるアルコキシシランを加水分解重縮合して得られるシリカゾルと、
(ii)前記アルコキシシランの部分加水分解物と
の反応物と、ポリシリコーン樹脂とからなる層間絶縁膜
を有するアクティブマトリックス基板。
[6]前記反応物の含有量が固形分として90〜99.98重量%の範囲にあり、前記ポリ
シリコーン樹脂の含有量が固形分として0.02〜10重量%の範囲にある[5]のアクテ
ィブマトリックス基板。
[7]前記ポリシリコーン樹脂がポリエーテル変性シリコーン樹脂である[5]または[6]のア
クティブマトリックス基板。
【発明の効果】
【0011】
本発明の塗布液によれば、アクティブマトリックス基板の層間絶縁膜を形成する際、吸着チャック孔跡、指示ピン跡、コロ跡等の模様状の膜ムラがなく、緻密で密着性、機械的強度、耐薬品性、耐湿性、絶縁性等に優れ、さらに比誘電率の低い層間絶縁膜を形成可能となる。
【0012】
このような層間絶縁膜は、液晶テレビ、液晶モニタ、ノートパソコン等に用いられるアクティブマトリクス基板の層間絶縁膜として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る層間絶縁膜形成用塗布液および層間絶縁膜を有するについて具体的に説明する。
層間絶縁膜形成用塗布液
本発明に係るアクティブマトリックス層間絶縁膜形成用塗布液は、
(i)シリカゾルと、
(ii)アルコキシシランの部分加水分解物と
の反応物と、
ポリシリコーン樹脂とが分散媒に分散または溶解してなる。
【0014】
以下、各成分について説明する。
[シリカゾル]
本発明に用いられるシリカゾルは水と有機溶媒との混合溶媒中、アルカリ触媒の存在下でアルコキシシランを加水分解重縮合して得られたものである。
【0015】
アルコキシシラン
アルコキシシランとしては一般式RnSi(OR’)4-n[式中、R、R’は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアルケニル基を表わし、nは0〜3の整数である]で表される。
【0016】
具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラオクチルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのアルコキシシランは単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。
【0017】
有機溶媒
有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類等が挙げられ、より具体的には、例えばメタノール、エタノール、ブロバノール、ブタノールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのエチレングリコールエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチルなどのエステル類等が用いられる。
【0018】
アルカリ触媒
アルカリ触媒としては、アンモニア、アミン、アルカリ金属水酸化物、第4級アンモニウム化合物、アミン系カップリング剤など、水溶液中でアルカリ性を示す化合物が用いられ、反応混合物のpHが7〜12、好ましくは8〜11となるような量で用いられる。
【0019】
調製方法
シリカゾルの調製法をさらに具体的に例示すると、例えば、水−アルコール混合溶媒を撹拌しながら、この混合溶媒にアルコキシシランおよび、例えばアンモニア水のようなアルカリ触媒を添加し、加水分解させる。
【0020】
水は、アルコキシシランを構成するSi−OR基1モル当り5〜50モル、好ましくは
5〜25モルとなるような量で用いられ、アンモニアは前記のpH範囲となる量で、アルコキシシランをSiO2例えば0.01〜1.0モル/SiO2モル、好ましくは0.05〜0.
8モル/SiO2モルとなるような量で用いられる。
【0021】
加水分解重縮合反応は、通常、常圧下、用いられる溶媒の沸点以下の温度で、好ましくは沸点より5〜10℃程度低い温度で行なわれるが、オートクレーブ等を用いて行う場合には、この温度よりもさらに高い温度で行なうこともできる。
【0022】
上記のような条件で加水分解すると、アルコキシシランの重縮合が三次元的に進行し、
シリカ粒子が生成、成長する。
また、上記のように、例えば撹拌下の水−アルコール混合溶媒に、アルコキシシランとアンモニアとを添加し、水−アルコール混合溶媒の沸点以下の温度、例えば約100℃以下の温度で反応を進行させて、シリカ粒子を生成・成長させ、その後、上記温度を溶媒の沸点以上の温度、例えば約100℃以上の温度に昇温し、一定時間保持して加熱処理を行なってもよい。
【0023】
このような加熱処理を行なうと、アルコキシシランの重縮合が一層促進され、密度の大きいシリカ粒子が分散したシリカゾルが得られる。
本発明において用いられるシリカゾルは、シリカ粒子の平均粒子径が5〜50nm、好ましくは10〜30nmの範囲にあることが好ましい。シリカ粒子の平均粒子径が小さすぎると、得られる層間絶縁膜形成用塗布液を用いた層間絶縁膜成形時に膜面にクラックが発生する傾向があり、一方、大きすぎても膜にボイドが多発し、緻密な膜が得られない場合がある。
【0024】
シリカ粒子は、シリカゾル中にSiO2として2〜50重量%、さらには5〜40重量%の範囲にあることが望ましい。
シリカ粒子の濃度が50重量%を越えるとゲル化し易い傾向があり、シリカ粒子の濃度が2重量%未満の場合は層間絶縁膜形成用塗布液の濃度が低すぎて所望の厚さの層間絶縁膜が形成できない場合がある。
【0025】
本発明においては、後述するようにシリカゾルとアルコキシシランとを反応させるが、その際に、前述の方法で得られたシリカゾルをそのまま用いることもできるが、反応に先立ち、予めシリカゾルの水−有機溶媒系分散媒を水に溶媒置換させておくことが好ましい。
【0026】
溶媒置換するには限外濾過膜法等は好適に採用することができる。
このシリカゾルと、アルコキシシランの部分加水分解物とのを反応物が使用される。
[アルコキシシランの部分加水分解物]
シリカゾルと反応させるアルコキシシランとしてはシリカゾルの調製に用いた一般式RnSi(OR’)4-nで示されるアルコキシシランを用いるが、この時シリカゾルの調製に用いた
と同一のアルコキシシランでもよく、異なっていてもよい。
【0027】
本発明においては、シリカゾルと反応させるアルコキシシランはそのまま用いても良いが、常法に従って予め部分加水分解させた後、得られた部分加水分解物とシリカゾルとを混合することが好ましい。このようにすると、ゾルの凝集、ゲル化が起こり難くなる傾向がある。ここで、部分加水分解とは、前記一般式RnSi(OR’)4-nのOR’基の少なくとも
1個以上が加水分解によりOH基となり、加水分解重縮合物中にOR’残基を有する加水分解を意味する。
【0028】
アルコキシシランの部分加水分解を行なう際には、通常、水、有機溶媒、酸またはアルカリ触媒が用いられる。有機溶媒およびアルカリ触媒としては、前述したものが挙げられる。酸触媒としては、具体的には、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸、酢酸、シュウ酸などの有機酸または金属石ケンなどの水溶液中で酸性を示す化合物が用いられる。
【0029】
水は、アルコキシシランを構成するSi-OR基1モル当り、通常、0.1〜2モル、好ま
しくは0.5〜2モルの量で用いられる。酸触媒が用いられる場合には、反応液のpHが、通常、0〜6、好ましくは1〜3となるような量で、また、アルカリ触媒か用いられる場合には、反応液のpHが、通常、7〜10、好ましくは7〜8となるような量で用いられる。
【0030】
上記のような条件で得られるアルコキシシラン部分加水分解物の分子量は、100〜10,000、好ましくは500〜5,000(ボリスチレン換算分子量)であることが望ましい。
【0031】
本発明においては、このような方法でアルコキシシランの部分加水分解物が得られるが、上記以外の方法として、特開平3−054279号公報あるいは特開平3−115379号公報に開示された方法により得られる塗布液を本発明の部分加水分解物として用いることもできる。すなわち、特開平3−54279号公報に記載されているように、一般成R1nSi(OR2)4-n(式中、R1は炭化水素基であり、R2は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜3の整数である)で示されるアルコキシシランの1種以上を、有機溶媒、水およびアルカリ触媒の存在下で部分加水分解し、次いで得られた部分加水分解液を、水および酸触媒の存在下でさらに部分加水分解してなる、アルコキシシラン部分加水分解物の縮重合物を含むシリカ系被膜形成用塗布液を本発明における部分加水分解物として用いることができる。
【0032】
あるいは、特開平3−115379号公報に記載されているように、一般式R1nSi(OR2)4-n(式中、R1は炭化水素基であり、R2は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜3
の整数である)で示されるアルコキシシランの1種または2種以上を、有機溶媒、水および酸触媒の存在下で部分加水分解し、次いで得られた部分加水分解液を、アルカリと接触させ、得られた塗布液をさらに必要に応じて酸を加えて酸性にしてなる、アルコキシシラン部分加水分解物の縮重合物を含むシリカ系被膜形成用塗布液を本発明における部分加水分解物として用いることができる。
【0033】
[反応物]
本発明においては、シリカゾルと、アルコキシシランの部分加水分解物とを混合して反応させる。
【0034】
シリカゾルとアルコキシシランの部分加水分解物との反応においては、シリカゾル中のシリカ粒子の成長あるいは新たなシリカ粒子の生成は起らず、シリカ粒子の表面でアルコキシシランの部分加水分解物との結合反応が起り、この反応物を含む層間絶縁膜形成用塗布液を用いて形成された層間絶縁膜は緻密で密着性、機械的強度、耐薬品性、耐湿性、絶縁性等に優れ、さらに比誘電率の低い層間絶縁膜を形成することができる。
【0035】
シリカゾルと、アルコキシシランの部分加水分解物との混合比は、シリカゾル中のSiO2(A)の重量/アルコキシシランの部分加水分解物中のSiO2(B)の重量=0.1〜10.0、
好ましくは0.25〜4.0となるような重量比で混合させることが望ましい。
【0036】
成分(A)の量が多くなると、得られる層間絶縁膜は、耐熱性、耐湿性には優れるが、厚い膜厚を有する層間絶縁膜を形成するとクラックが発生しやすくなる傾向があり、一方成分(B)の量が多くなると、得られる層間絶縁膜は耐熱性、耐湿性が不充分となる傾向がある。
【0037】
本発明においては、上記のようにシリカゾルとアルコキシシラン部分加水分解物とを混合した後、25〜100℃、好ましくは40〜80℃で、通常、0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間加熱処理を行なう。このような処理を行なうことによって本発明に係る層間絶縁膜形成用塗布液が得られる。
【0038】
前記処理温度が低い場合は、アルコキシシラン部分水分解物の重縮合反応が不十分となり、重合度が低く、このような層間絶縁膜形成用塗布液を用いて厚膜の層間絶縁膜を形成
するとクラックが発生することがある。処理温度が高すぎると、アルコキシシランの重縮合反応が進行し過ぎ、層間絶縁膜形成用塗布液の安定性が不充分となることがある。
【0039】
[ポリシリコーン樹脂]
本発明に用いるポリシリコーン樹脂としては、ポリエーテル変性シリコーン樹脂、アミノ変性シリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、アルコキシ変性樹脂等の従来公知の樹脂が挙げられる。
【0040】
これらのなかでも、本発明ではポリエーテル変性シリコーン樹脂が好適に採用される。ポリエーテル変性シリコーン樹脂は本発明ではポリエーテル変性シリコーン樹脂が好適に採用される。ポリエーテル変性シリコーン樹脂は数平均分子量が1,000〜100,0
00、さらには10,000〜80,000の範囲にあることが好ましい。
【0041】
ポリエーテル変性シリコーン樹脂の数平均分子量が1,000未満の場合は、アルコキ
シシラン部分加水分解物あるいは反応物との親和性が強くなり膜表面に存在しにくくなり、塗膜の乾燥を均一にする効果が不充分となり、アクティブマトリックス基板の製造時に吸着チャック孔跡、支持ピン跡、コロ跡等の膜ムラが発生し層間絶縁膜の外観が悪化する。
【0042】
ポリエーテル変性シリコーン樹脂の平均分子量が100,000を越えると、アルコキシシラン部分加水分解物あるいは反応物との親和性が低くなったり、あるいは溶媒への分散性が低下し、ポリエーテル変性シリコーン樹脂が層間絶縁膜形成用塗布液中で凝集体となって残存し、塗膜の乾燥を均一にする効果が不充分となるだけでなく、層間絶縁膜と基板の密着性が不充分となることがある。
【0043】
このようなポリエーテル変性シリコーン樹脂は例えば、特開平5−125189号公報に記載されているように、(A)オルガノ水素シロキサンコポリマーと、(B)ポリオキシアルキレンと、(C)アルカンジオールのモノカルボキシレートエステルとを混合し、不活性ガス雰囲気下、貴金属ヒドロシリル化触媒を用い、概ね130℃以下の温度で合成される。
(A)オルガノシロキサンコポリマーとしては、下記のようなポリマーが例示される。
【0044】
【化1】

【0045】
(Rは炭素数1〜20の不飽和結合を含まない炭化水素基、aは1〜192、bは1〜30)
(B)ポリオキシアルキレンとしては下記(i)、(ii)、(iii)等が例示される。
R1-(OCH2CH2)Z-OR2 (i)
R1-(OCH2CH(CH3))W-OR2 (ii)
R1-(OCH2CH2)Z(OCH2CH(CH3))W-OR2 (iii)
式中、R1はアルケニル基(アルキレン基)、OR2のR2はこの工程を阻害しないどんな置
換基(ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリロキシ基、アリーロキシ基、アルキルシロシキ基、アセチロキシ基、カルボン酸エステル基、イソシアネート基など)である。zは1〜20の値を取り、wは1〜20の値をとる。
【0046】
上記において、(A)オルガノシロキサンコポリマー中のHに(B)ポリオキシアルキレンが挿入される。これによって本発明に好適に用いることのできるポリエーテル変性シリコーン樹脂が得られる。
【0047】
分散媒
層間絶縁膜形成用塗布液は前記反応物と、ポリシリコーン樹脂とが分散媒に分散または溶解しているが、分散媒としては有機溶媒が適しており、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等が挙げられ、より具体的には、例えばエタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのエチレングリコールエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピルプロピレングリコールなどのグリコール類等が挙げられる。
【0048】
層間絶縁膜形成用塗布液中の前記反応物の濃度は固形分として5〜50重量%、さらには10〜30重量%の範囲にあることが好ましい。
前記反応物の濃度が大きすぎるとと、層間絶縁膜形成用塗布液の粘度が高くなり、安定性が不充分となることがある。また、膜を形成する場合、膜厚が厚くなりすぎたり、膜厚のコントロールが困難となることがある。前記反応物の濃度が少ないと、層間絶縁膜の膜厚が薄くなり、絶縁性が不充分となることがある。
【0049】
また、層間絶縁膜形成用塗布液中の前記ポリシリコーン樹脂の濃度は固形分として0.01〜0.5重量%、さらには0.03〜0.1重量%の範囲にあることが好ましい。層間絶縁膜形成用塗布液中の前記ポリシリコーン樹脂の濃度が前記範囲にあれば、基板が支持ピン等で支えられていることによる熱伝導の不均一さがあっても、乾燥が均一になるため、吸着チャック孔跡、支持ピン跡、コロ跡等の膜ムラの発生を抑制することができる。
【0050】
層間絶縁膜形成用塗布液中の前記ポリシリコーン樹脂の濃度が少ないと、塗膜の乾燥を均一にする効果が小さく、このためアクティブマトリックス基板の製造時に吸着チャック孔跡、支持ピン跡、コロ跡等の膜ムラが発生し層間絶縁膜の外観が悪化する。
【0051】
層間絶縁膜形成用塗布液中の前記ポリシリコーン樹脂の濃度が多すぎると、層間絶縁膜と基板の密着性が不充分となることがある。
つぎに、本発明に係るアクティブマトリックス基板について説明する。
【0052】
アクティブマトリックス基板
本発明に係るアクティブマトリックス基板は、一般成RnSi(OR’)4-n[式中、R、R’は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはビニル基を表わし、nは0〜3の整数である]で示されるアルコキシシランを加水分解重縮合して得られるシリカゾルと、該アルコ
キシシランの部分加水分解物との反応物と、ポリシリコーン樹脂とからなる層間絶縁膜を有している。該層間絶縁膜は前記層間絶縁膜形成用塗布液を基板上に塗布し、ついで乾燥、加熱処理することによって形成されたものである。
【0053】
すなわち、層間絶縁膜は、
(i)一般式RnSi(OR’)4-n[式中、R、R’は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基また
はアルケニル基を表わし、nは0〜3の整数である]
で示されるアルコキシシランを加水分解重縮合して得られるシリカゾルと、
(ii)前記アルコキシシランの部分加水分解物と
の反応物と、ポリシリコーン樹脂とから構成される。
【0054】
なお、層間絶縁膜中の構成は、前記反応物の含有量が固形分として90〜99.98重
量%、好ましくは92〜99.95重量%の範囲にあり、前記ポリシリコーン樹脂の含有量が固形分として0.02〜10重量%、好ましくは0.05〜8重量%の範囲にある。
【0055】
前記ポリシリコーン樹脂は、前記したようにポリエーテル変性シリコーン樹脂であることが好ましい。
本発明のアクティブマトリクス基板における実施例の1態様を図1と図2に示した。
なお、図1および図2を参照しながら本発明の実施形態を説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0056】
図1および図2に、液晶表示装置100を示す。図1は、液晶表示装置100の1つの画素領域を模式的に示す上面図であり、図2は、図1中の2A−2A’線に沿った断面図である。
【0057】
液晶表示装置100は、アクティブマトリクス基板(以下では「TFT基板」と呼ぶ)100aと、TFT基板100aに対向する対向基板(「カラーフィルタ基板」とも呼ばれる)100bと、これらの間に設けられた液晶層60とを備えている。
【0058】
TFT基板100aは、透明絶縁性基板(例えばガラス基板)10と、基板10上に形成された複数の走査配線11と、走査配線11に交差する複数の信号配線13とを有している。
【0059】
TFT基板100aの各画素領域には、対応する走査配線11に印加される信号に応答して動作する薄膜トランジスタ(TFT)14と、TFT14を介して対応する信号配線13に電気的に接続され得る画素電極15とが設けられている。
【0060】
対向基板100bは、透明絶縁性基板(例えばガラス基板)50と、基板50上に形成され画素電極15に対向する対向電極51とを有している。典型的には、対向基板100bはカラーフィルタ(ここでは不図示)をさらに有している。
液晶層60は、画素電極15と対向電極51との間に印加された電圧に応じてその配向状態を変化させ、それにより液晶層60を通過する光を変調することによって表示が行われる。
【0061】
本発明のアクティブマトリクス基板は、基板と、前記基板上に形成された複数の走査配線と、前記複数の走査配線に交差する複数の信号配線と、前記基板上に形成され、対応する前記走査配線に印加される信号に応答して動作する複数の薄膜トランジスタと、前記複数の薄膜トランジスタを介して、対応する前記信号配線と電気的に接続され得る複数の画素電極とを備え、前記複数の薄膜トランジスタのそれぞれは、対応する前記走査配線に電気的に接続されたゲート電極と、対応する前記信号配線に電気的に接続されたソース電極と対応する前記画素電極に電気的に接続されたドレイン電極とを有するアクティブマトリクス基板であって、前記複数の薄膜トランジスタを覆うように形成された層間絶縁膜をさらに備え、前記複数の信号配線は、前記層間絶縁膜上に前記ソース電極および前記ドレイン電極とは異なる導電層から形成され、且つ、前記層間絶縁膜に設けられたコンタクトホールを介して前記ソース電極に電気的に接続されている。
【0062】
層間絶縁膜形成用塗布液を基板上に塗布するには、スプレー法、スピンコート法、ディップコ−ト法、ロールコート法、スクリーン印刷法、転写印刷法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法、スリットコーター法など通常の方法を採用することができる。
【0063】
本発明では、大型基板上に層間絶縁膜を形成するに好適な層間絶縁膜形成用塗布液であり、スリットコーター法が推奨される。スリットコーター法を採用すると、広範囲に全域
にわたって均一な膜厚となるように塗布することができ、このため塗膜をより均一に乾燥することができ、前記膜ムラの生成を抑制することができる。
上記の加熱処理温度は、通常、150〜800℃、好ましくは200〜450℃程度である。
【0064】
層間絶縁膜の膜厚は0.5〜4.0μm、さらには1.0〜3.0μmの範囲にあるこ
とが好ましい。膜厚が薄すぎると、絶縁性が不充分となったり、アクティブマトリックス基板のカバーレッジ性が低下することがある。また、膜厚が厚すぎても、乾燥が不均一になることがあり、このため層間絶縁膜にクラックが発生し、絶縁性が不充分となることがある。
[実施例]
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
シリカゾル(1)の調製
純水139.1gとメタノール169.9gの混合溶液を60℃に保持し、これに、エチルシリケート−28の水−メタノール溶液(重量比2/8の水/メタノール混合液2450gにエチルシリケート−28を532.5に加えたもの)2982.57gおよび濃度0.25重量%のアンモニア水596.4gを同時に52時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その後、限外濾過法で濃縮の操作を行い、SiO2濃度10重量%、平均粒径20nmのSiO2粒子が分散したシリカゾル(1)を得た。
【0065】
アルコキシシラン部分加水分解物(1)の調製
メチルトリメトキシシラン454.5g、エタノール185.5gおよび純水360.Ogの混合溶液を濃硝酸でpH1.0に調整した後、50℃、2時間加水分解させた。その後、濃度1重量%のアンモニア水を添加し、pHを7.0に調整した後、さらに50℃で2時間処理してアルコキシシラン部分加水分解物(1)を得た。この分子量を測定し、結
果を表に示した。
【0066】
反応物(1)の調製
シリカゾル(1)とアルコキシシラン部分加水分解物(1)とを重量比60/40の割合で混合し、ついで、50℃で1時間加熱処理して反応物(1)を得た。
【0067】
層間絶縁膜形成用塗布液(1)の調製
反応物(1)をロータリーエバポレー夕―で、水、アルコールを留去し、プロピレングリ
コールモノプロピルエーテルと溶媒置換し、固形分濃度10重量%の反応物(1)のプロピ
レングリコールモノプロピルエーテル分散液とした。
【0068】
ついで、反応物(1)のプロピレングリコールモノプロピルエーテル分散液にポリエーテ
ル変性シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング(株)製:ペンタッド54)0.05gを混合して層間絶縁膜形成用塗布液(1)を調製した。
【0069】
層間絶縁膜(1)の形成
ガラス基板(コーニング社製:220cmx250cm)に吸着チャック孔を用いて固定し、層間絶縁膜形成用塗布液(1)をスリットコーターで塗布を行った。その後、ガラス
基板を支持ピンで持ち上げ、コロ(ローラー)に乗せて移動し、ついで、支持ピンに載せて350℃で10分間焼成を行い、層間絶縁膜(1)を形成した。
【0070】
層間絶縁膜(1)形成の上記工程において、吸着チャック孔跡、支持ピン跡、コロ跡およ
び膜ムラの観察を行い、以下の基準で評価し、結果を表1に示した。以下の尺度で評価し
た。
【0071】
吸着チャック孔跡評価
吸着チャック孔跡が全く認められない :◎
僅かに認められるが問題にならない:○
僅かに認められ問題になる :△
鮮明に認められる :×
支持ピン跡評価
支持ピン跡が全く認められない :◎
僅かに認められるが問題にならない:○
僅かに認められ問題になる :△
鮮明に認められる :×
コロ跡評価
コロ跡が全く認められない :◎
僅かに認められるが問題にならない:○
僅かに認められ問題になる :△
鮮明に認められる :×
膜全体の膜ムラ評価
膜ムラが全く認められない :◎
僅かに認められるが問題にならない:○
僅かに認められ問題になる :△
鮮明に認められる :×
また、得られた層間絶縁膜(1)の膜厚、密着性、クラックの有無および比誘電率を以下
のようにして評価し、結果を表に示した。
【0072】
膜厚
層間絶縁膜(1)の一部分を剥がし取り段差を作製した。得られた段差を東京精密株式会
社製サーフコム(表面粗さ測定器)で測定することより、膜厚を測定した。
【0073】
密着性
市販のセロハンテープを膜面にはりつけ、その端部を膜面に対して直角に保ち、瞬間的に引き剥がし、そのときの膜の剥離状態を観察し、以下の基準で評価し、結果を表1に示した。
【0074】
膜の剥離が認められない :〇
一部認められる:△
全面的に剥離 :×
クラックの有無
クラックの有無を目視観察し、結果を表1に示した。
【0075】
比誘電率
層間絶縁膜形成用塗布液(1)を別途シリコンウェハ状に層間絶縁膜と同じ膜厚となるよ
うにスピナー法で塗布し、乾燥し、350℃で30分間、窒素気流中で焼成して薄膜を形成し、さらにこの薄膜上にAlの蒸着膜を形成して比誘電率を測定した。結果を表1に示した。
[実施例2]
層間絶縁膜形成用塗布液(2)の調製
実施例1において、反応物(1)のプロピレングリコールモノプロピルエーテル分散液に
ポリエーテル変性シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング(株)製:ペンタッド54)0.01gを混合した以外は同様にして層間絶縁膜形成用塗布液(2)を調製した。
【0076】
層間絶縁膜(2)の形成
実施例1と同様に吸着チャック孔跡、支持ピン跡、コロ跡および膜ムラの観察を行い、結果を表に示した。また、得られた層間絶縁膜(2)の膜厚、密着性、クラックの有無およ
び比誘電率を評価し、結果を表1に示した。
[実施例3]
層間絶縁膜形成用塗布液(3)の調製
実施例1において、反応物(1)のプロピレングリコールモノプロピルエーテル分散液に
ポリエーテル変性シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング(株)製:ペンタッド54)0.1gを混合した以外は同様にして層間絶縁膜形成用塗布液(3)を調製した。
【0077】
層間絶縁膜(3)の形成
実施例1と同様に吸着チャック孔跡、支持ピン跡、コロ跡および膜ムラの観察を行い、結果を表に示した。また、得られた層間絶縁膜(3)の膜厚、密着性、クラックの有無およ
び比誘電率を評価し、結果を表1に示した。
[実施例4]
反応物(4)の調製
実施例1と同様にして調製したシリカゾル(1)とアルコキシシラン部分加水分解物(1)とを重量比30/70の割合で混合し、ついで、50℃で1時間加熱処理して反応物(4)を
得た。
【0078】
層間絶縁膜形成用塗布液(4)の調製
反応物(4)のプロピレングリコールモノプロピルエーテル分散液にポリエーテル変性シ
リコーン樹脂(東レ・ダウコーニング(株)製:ペンタッド54)0.05gを混合して層間絶縁膜形成用塗布液(1)を調製した。実施例1において、反応物(4)を用いた以外は同様にして層間絶縁膜形成用塗布液(4)を調製した。
【0079】
層間絶縁膜(4)の形成
実施例1と同様に吸着チャック孔跡、支持ピン跡、コロ跡および膜ムラの観察を行い、結果を表に示した。また、得られた層間絶縁膜(4)の膜厚、密着性、クラックの有無およ
び比誘電率を評価し、結果を表1に示した。
[実施例5]
反応物(5)の調製
実施例1と同様にして調製したシリカゾル(1)とアルコキシシラン部分加水分解物(1)とを重量比80/20の割合で混合し、ついで、50℃で1時間加熱処理して反応物(5)を
得た。
【0080】
層間絶縁膜形成用塗布液(5)の調製
反応物(5)のプロピレングリコールモノプロピルエーテル分散液にポリエーテル変性シ
リコーン樹脂(東レ・ダウコーニング(株)製:ペンタッド54)0.05gを混合して層間絶縁膜形成用塗布液(5)を調製した。
【0081】
層間絶縁膜(5)の形成
実施例1と同様に吸着チャック孔跡、支持ピン跡、コロ跡および膜ムラの観察を行い、結果を表に示した。また、得られた層間絶縁膜(5)の膜厚、密着性、クラックの有無およ
び比誘電率を評価し、結果を表1に示した。
[実施例6]
シリカゾル(6)の調製
純水139.1gとメタノール169.9gの混合溶液を60℃に保持し、これに、エチルシリケート−28の水−メタノール溶液(重量比2/8の水/メタノール混合液24
50gにエチルシリケート−28を532.5に加えたもの)2982.57gおよび濃度0.25重量%のアンモニア水596.4gを同時に24時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で5時間熟成した。その後、限外濾過法で濃縮の操作を行い、SiO2濃度10重量%、平均粒径10nmのSiO2粒子が分散したシリカゾル(6)を得た。
【0082】
反応物(6)の調製
シリカゾル(6)と実施例1と同様にして調製したアルコキシシラン部分加水分解物(1)とを重量比60/40の割合で混合し、ついで、50℃で1時間加熱処理して反応物(6)を
得た。
【0083】
層間絶縁膜形成用塗布液(6)の調製
実施例1において、反応物(6)を用いた以外は同様にして層間絶縁膜形成用塗布液(6)を調製した。
【0084】
層間絶縁膜(6)の形成
実施例1と同様に吸着チャック孔跡、支持ピン跡、コロ跡および膜ムラの観察を行い、結果を表に示した。また、得られた層間絶縁膜(6)の膜厚、密着性、クラックの有無およ
び比誘電率を評価し、結果を表1に示した。
【0085】
[実施例7]
アルコキシシラン部分加水分解物(7)の調製
テトラメトキシシラン454.5g、エタノール185.5gおよび純水360.Ogの混合溶液を濃硝酸でpH1.0に調整した後、50℃、2時間加水分解させた。その後、濃度1重量%のアンモニア水を添加し、pHを7.0に調整した後、さらに50℃で2時間処理してアルコキシシラン部分加水分解物(7)を得た。この分子量を測定し、結果を表1に示した。
【0086】
反応物(7)の調製
実施例1と同様にして調製したシリカゾル(1)とアルコキシシラン部分加水分解物(7)とを重量比60/40の割合で混合し、ついで、50℃で1時間加熱処理して反応物(7)を
得た。
【0087】
層間絶縁膜形成用塗布液(7)の調製
反応物(7)をロータリーエバポレー夕―で、水、アルコールを留去し、プロピレングリ
コールモノプロピルエーテルと溶媒置換し、固形分濃度10重量%の反応物(7)のプロピ
レングリコールモノプロピルエーテル分散液とした。
【0088】
ついで、反応物(7)のプロピレングリコールモノプロピルエーテル分散液にポリエーテ
ル変性シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング(株)製:ペンタッド54)0.05gを混合して層間絶縁膜形成用塗布液(7)を調製した。
【0089】
層間絶縁膜(7)の形成
実施例1と同様に吸着チャック孔跡、支持ピン跡、コロ跡および膜ムラの観察を行い、結果を表に示した。また、得られた層間絶縁膜(7)の膜厚、密着性、クラックの有無およ
び比誘電率を評価し、結果を表1に示した。
[実施例8]
アルコキシシラン部分加水分解物(8)の調製
テトラエトキシシラン454.5g、エタノール185.5gおよび純水360.Ogの混合溶液を濃硝酸でpH1.0に調整した後、50℃、2時間加水分解させた。その後、濃度1重量%のアンモニア水を添加し、pHを7.0に調整した後、さらに50℃で2時間処理してアルコキシシラン部分加水分解物(8)を得た。この分子量を測定し、結果を表1に示した。
【0090】
反応物(8)の調製
実施例1と同様にして調製したシリカゾル(1)とアルコキシシラン部分加水分解物(8)とを重量比60/40の割合で混合し、ついで、50℃で1時間加熱処理して反応物(8)を
得た。
【0091】
層間絶縁膜形成用塗布液(8)の調製
反応物(8)をロータリーエバポレー夕―で、水、アルコールを留去し、プロピレングリ
コールモノプロピルエーテルと溶媒置換し、固形分濃度10重量%の反応物(8)のプロピ
レングリコールモノプロピルエーテル分散液とした。
【0092】
ついで、反応物(8)のプロピレングリコールモノプロピルエーテル分散液にポリエーテ
ル変性シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング(株)製:ペンタッド54)0.05gを混合して層間絶縁膜形成用塗布液(8)を調製した。
【0093】
層間絶縁膜(8)の形成
実施例1と同様に吸着チャック孔跡、支持ピン跡、コロ跡および膜ムラの観察を行い、結果を表に示した。また、得られた層間絶縁膜(8)の膜厚、密着性、クラックの有無およ
び比誘電率を評価し、結果を表1に示した。
[比較例1]
層間絶縁膜形成用塗布液(R1)の調製
実施例1において、ポリエーテル変性シリコーン樹脂を加えなかった以外は同様にして層間絶縁膜形成用塗布液(R1)を調製した。
【0094】
層間絶縁膜(R1)の形成
実施例1と同様に吸着チャック孔跡、支持ピン跡、コロ跡および膜ムラの観察を行い、結果を表に示した。また、得られた層間絶縁膜(R1)の膜厚、密着性、クラックの有無および比誘電率を評価し、結果を表1に示した。
[比較例2]
層間絶縁膜形成用塗布液(R2)の調製
実施例1において、ポリエーテル変性シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング(株)製:ペンタッド54、)1.0gを混合した以外は同様にして層間絶縁膜形成用塗布液(R2)を調製した。
【0095】
層間絶縁膜(R2)の形成
実施例1と同様に吸着チャック孔跡、支持ピン跡、コロ跡および膜ムラの観察を行い、結果を表に示した。また、得られた層間絶縁膜(R2)の膜厚、密着性、クラックの有無および比誘電率を評価し、結果を表1に示した。
【0096】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1の実施形態の液晶表示装置100を模式的に示す上面図である。
【図2】液晶表示装置100を模式的に示す断面図であり、図1中の2A−2A’に沿った断面を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1 表示領域
2 非表示領域(額縁領域)
10 基板(透明絶縁性基板)
11 信号配線
12 第1の層間絶縁膜
12a 基材(マトリクス)
12b シリカフィラー
12’ コンタクトホール
13 走査配線
13a 第1の導電部材
14 薄膜トランジスタ(TFT)
14G ゲート電極
14S ソース電極
14D ドレイン電極
15 画素電極
15a 第2の導電部材
16 ゲート絶縁膜
16’ コンタクトホール
17 半導体層(真性半導体層)
18 不純物添加半導体層
19 層間絶縁膜
19’ コンタクトホール
20 補助容量配線
21 補助容量電極
23 シールド電極
30 ゲートドライバ
40 ソースドライバ
60 液晶層
100 液晶表示装置
100a アクティブマトリクス基板(TFT基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)一般式RnSi(OR’)4-n
[式中、R、R’は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアルケニル基を表わし、
nは0〜3の整数である]
で示されるアルコキシシランを加水分解重縮合して得られるシリカゾルと、
(ii)前記アルコキシシランの部分加水分解物と
の反応物と、
ポリシリコーン樹脂とが分散媒に分散または溶解してなるアクティブマトリックス層間絶縁膜形成用塗布液。
【請求項2】
前記ポリシリコーン樹脂がポリエーテル変性シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリックス層間絶縁膜形成用塗布液。
【請求項3】
前記ポリシリコーン樹脂の数平均分子量が1,000〜100,000の範囲にあるこ
とを特徴とする請求項1または2に記載のアクティブマトリックス層間絶縁膜形成用塗布液。
【請求項4】
前記反応物の濃度が固形分として5〜50重量%の範囲にあり、前記ポリシリコーン樹脂の濃度が固形分として0.01〜0.5重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアクティブマトリックス層間絶縁膜形成用塗布液。
【請求項5】
(i)一般式RnSi(OR’)4-n[式中、R、R’は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基また
はアルケニル基を表わし、nは0〜3の整数である]
で示されるアルコキシシランを加水分解重縮合して得られるシリカゾルと、
(ii)前記アルコキシシランの部分加水分解物と
の反応物と、ポリシリコーン樹脂とからなる層間絶縁膜
を有するアクティブマトリックス基板。
【請求項6】
前記反応物の含有量が固形分として90〜99.98重量%の範囲にあり、前記ポリシリコーン樹脂の含有量が固形分として0.02〜10重量%の範囲にあることを特徴とする請求項5に記載のアクティブマトリックス基板。
【請求項7】
前記ポリシリコーン樹脂がポリエーテル変性シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項5または6に記載のアクティブマトリックス基板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−248130(P2008−248130A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92392(P2007−92392)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】