説明

崩壊性水含有カプセル

崩壊性水含有カプセルであって:(a)カプセルの約70重量%〜約92重量%の水相であって、(1)約5重量%〜約91.9重量%の水と(2)約0.1重量%〜約20重量%のゲル化剤とを含む水相;(b)約1重量%〜約29.9重量%の、1μm未満の粒径を有し、疎油性で疎水性のコーティング材料で表面コーティングされた第1の顔料成分;(c)約0.1重量%〜約29重量%の、1μm以上の粒径を有し、疎水性コーティング材料で表面コーティングされた球状の第2の顔料成分とを含み、前記第1の顔料成分及び前記第2の顔料成分の総量がカプセルの少なくとも約8重量%であり;前記カプセルが、1μm未満の粒径を有する多孔性顔料を1%未満含む、カプセル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の保存条件下及び通常の混合プロセス下で安定であるが、身体表面に適用される際に崩壊する崩壊性水含有カプセルに関する。本発明は更に、こうした崩壊性カプセルを製造する方法、こうした崩壊性カプセルを含むパーソナルケア組成物、及びこうした崩壊性カプセルを使用して皮膚を処理又はメークアップする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンデーション組成物は、顔及び体のその他の部分に適用して肌の色調及びきめを均一にして、毛穴、欠陥、小じわなどを隠すことができる。ファンデーション組成物はまた、皮膚に潤いを与え、皮膚の油分を整え、そして日光、風、及びその他の環境要因の悪影響から皮膚を守るためにも適用される。
【0003】
ファンデーション組成物は、一般に液体又はクリーム懸濁液、エマルション、ジェル、プレストパウダー、ルースパウダー又は無水油及びワックス組成物の形態で利用可能である。エマルション型ファンデーションは、組み込まれた水や水溶性皮膚処理剤によって潤い効果を与える点で好適である。一方で、多量の様々な粉末及び顔料はプレストパウダー及びルースパウダーに処方できる。
【0004】
最近、潤いを与える効果に加えて、皮膚に良好なカバー力と自然な外観との両方を有する理想の外観を求める消費者は、ファンデーションを適用するのに2工程レジメンを習慣としている。この2工程レジメンは、通常、液体又はエマルション型ファンデーション、それに続くプレストパウダー又はルースパウダーファンデーションの適用を含んでいる。こうした要求の強い消費者には、こうした2工程レジメンは最良の結果を提供するが、こうしたレジメンはまた非常に面倒であると考えられている。皮膚に良好な感触及び良好な外観の両方を提供できるファンデーション製品が必要とされている。
【0005】
一方、崩壊性水含有カプセルは当該技術分野において既知である。こうしたカプセルは、皮膚への適用及び皮膚での崩壊の際に独特の感触又は感触の変化をもたらす。皮膚に適用する際、こうしたカプセルは、潤いを与えるか又は清々しい感触を与える。こうしたカプセルはまた、多少安定な様式で水溶性皮膚有効成分、例えばビタミンC誘導体を皮膚に送達できる。
【0006】
既知の崩壊性水含有カプセルは、通常、微細な多孔質顔料、例えば、PCT国際公開特許第01/85138号、日本特許公開第2001−131528A号、同第2000−247823A号、同第2000−309506A号、同第11−130614A号、同第10−265367A号、同第5−65212A号、及び同第4−308520A号に開示されるように、表面処理されていてもされていなくてもよいシリカ粒子から製造される。シリカを使用することにより比較的安定なカプセルを提供できるが、皮膚への適用後に望ましくない乾燥した感触を与えることも観測されている。これは、カプセルに含有される豊富な水によって潤いを与える感触を提供することが期待されている製品にとって好ましくないことは明らかである。例えば、日本特許公開第2006−509732A号、同第2001−226230A号、同第2001−158716A号、及び同第1−125314A号に開示されるような疎水性で疎油性の表面コーティング剤によってコーティングされた顔料を利用することが一部に試みられている。しかし、上述したカプセルはどれも皮膚への適用が望ましいものであり、また種々の製品形態で組み込まれるのに十分な剪断応力許容度を提供しない。種々の製品形態としては、粉末及び液体ファンデーションが挙げられるが、これらに限定されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】PCT国際公開特許第01/85138号
【特許文献2】日本特許公開第2001−131528A号
【特許文献3】日本特許公開第2000−247823A号
【特許文献4】日本特許公開第2000−309506A号
【特許文献5】日本特許公開第11−130614A号
【特許文献6】日本特許公開第10−265367A号
【特許文献7】日本特許公開第5−65212A号
【特許文献8】日本特許公開第4−308520A号
【特許文献9】日本特許公開第2006−509732A号
【特許文献10】日本特許公開第2001−226230A号
【特許文献11】日本特許公開第2001−158716A号
【特許文献12】日本特許公開第1−125314A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した通り、身体表面に良好な感触を与えることができるとともに、通常の保存条件下及び通常の混合プロセス下で安定であるが、身体表面に適用する際に特定の剪断応力で崩壊するような、適切な剪断力許容度を有することができる崩壊性水含有カプセルが必要とされている。更に身体表面に良好な外観を与える崩壊性水含有カプセルも必要とされている。
【0009】
既存の技術分野には、本発明の利点及び効果の全てを提供するものはない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は崩壊性水含有カプセルに関し、このカプセルは:
(a)前記カプセルの約70重量%〜約92重量%の水相であって、
(1)約5重量%〜約91.9重量%の水と
(2)約0.1重量%〜約20重量%のゲル化剤と、を含む水相:
(b)約1重量%〜約29.9重量%の、1μm未満の粒径を有し、疎油性で疎水性のコーティング材料で表面コーティングされた第1の顔料成分;並びに
(c)約0.1重量%〜約29重量%の、1μm以上の粒径を有し、疎水性コーティング材料で表面コーティングされた球状の第2の顔料成分、
を含み、前記第1の顔料成分及び前記第2の顔料成分の総量が前記カプセルの少なくとも約8重量%であるとともに;
前記カプセルが、1μm未満の粒径を有する多孔性顔料を1%未満含む。
【0011】
本発明はまた、上述の崩壊性水含有カプセルを含むパーソナルケア組成物を対象とする。
本発明はまた、上述の崩壊性水含有カプセルを利用して皮膚を処理又はメークアップする方法を対象とする。
本発明はまた、上述の崩壊性水含有カプセルを製造するプロセスを対象とする。
【0012】
添付の特許請求の範囲とともに本明細書の開示内容を読むことによって、本発明におけるこれら並びにその他の特徴、態様、及び利点が当業者に明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書は、本発明を特に指摘しかつ明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、以下の説明からよりよく理解されるものと考えられる。
【0014】
特に規定のない限り、百分率、部分及び比率は全て、本発明の組成物の総重量に基づいている。提示した成分に関するこのような重量は全て活性物質の濃度に基づいており、したがって市販材料に包含される可能性があるキャリア又は副生成物を包含しない。
【0015】
本明細書において有用な活性物質及びその他の成分のような成分は全て、美容上及び/若しくは治療上の効果又はそれらの想定される作用様式によって分類又は記載されてもよい。ただし、本明細書に有用な活性物質及び他の成分が、場合によっては美容及び/若しくは治療的な複数の効果をもたらすこと、又は複数の作用様式で作用することもあることを理解すべきである。したがって、本明細書での分類は便宜上実施されるものであって、成分を特に規定した用途又は列挙した用途に制限しようとするものではない。
【0016】
崩壊性水含有カプセル
本発明は、カプセルの約70重量%〜約92重量%の水相を含み、その中で水及び任意の水溶性溶媒の総量がカプセルに対して少なくとも50重量%である、崩壊性水含有カプセルに関する。こうした豊富な量の水溶液を構造内に保持するために、本発明のカプセルは、ゲル化剤、第1の顔料成分、及び第2の成分を含む。本発明は、通常の保存条件下及び通常の混合プロセス下で安定であるが、適用される際に崩壊する崩壊性水含有カプセルを提供する。カプセルのこうした安定性は、後述するように成分の選択によって提供されると考えられる。理論に束縛されるものではないが、ゲル化剤は、相対的に堅い構造内に水相を保持しつつ、第1及び第2の顔料成分がその水相を覆い、それによってカプセルの安定性及び一体性を提供すると考えられる。
【0017】
好ましくは、本発明のカプセルは実質的に界面活性剤を含まない。理論に束縛されるものではないが、界面活性剤は、水相と第1及び第2顔料成分との間の表面張力の差を縮めて本発明のカプセルの安定性及び剪断応力許容度に負の影響を与えると考えられる。ここで、界面活性剤としては、洗浄性能を有するもの、並びに水及び油相を乳化するための乳化剤としてのみ作用するものが挙げられる。
【0018】
好ましくは、本発明のカプセルは、1μm未満の粒径を有する多孔質顔料を1%未満で含む。理論に束縛されるものではないが、小さいサイズの多孔質顔料は、身体表面に望ましくない乾燥した感触を与える程度に身体表面から皮脂を吸収すると考えられている。本発明において1%以上では含まれないのが好ましい多孔質顔料としては、シリカ、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、セルロース、及び拡大下で観測される場合に多孔質構造を有し得るものが挙げられる。同じ化学的化合物から製造される顔料は、それが精製され、加工処理され、合成され、ないしは別の方法で処理されるプロセスに基づいて、多孔質又は多孔性でない構造のいずれかをとり得ることに留意されたい。
【0019】
本発明の崩壊性水含有カプセルは、皮膚、毛髪、又は頭皮のような身体表面にて崩壊する場合にその表面に独特の利益を与える。それは、豊富な水溶液を放出することによって、まず表面に清々しい感触を与え、次に潤いを与える感触を提供する。このカプセルは更に、第1及び/又は第2顔料成分の特徴によって表面に良好な感触を与える。第1及び第2顔料成分が表面に適用される場合、こうした成分はこうした顔料成分に固有の外観利益を与える。
【0020】
本発明のカプセルは、それ自体で、ルースパウダー製品の形態の製品を提供できる。本発明のカプセルはまた、異なる製品形態を提供するために他の成分と混合されてもよい。本発明のカプセルは、通常の保存条件下で安定であるとともに、通常の混合プロセス下、例えば他の成分との混合時に安定であるが、身体表面に適用される際に崩壊するような適切な剪断力許容度を有する。
【0021】
本発明の崩壊性水含有カプセルは、水、顔料、及び他の成分を身体表面に送達するためのパーソナルケア組成物に特に有用である。本明細書のパーソナルケア組成物としては、スキンケア、メークアップ、エクステンシブトリートメント(extensive treatment)、香料、制汗、脱臭、ヘアカラー、ヘアトリートメント、ヘアスタイリングなどを目的とするものが挙げられる。本明細書のパーソナルケア組成物は、粉末、ワックス固結固体形態、液体、ローション、ペースト、エアゾルなどの製品形態をとることができる。1つの極めて好ましい製品形態の実施形態は、ファンデーション及びスキンケア製品のような皮膚に使用するための粉末である。
【0022】
本発明のカプセルは、皮膚に使用するため、皮膚を処理するため、及び皮膚のメークアップのためのパーソナルケア組成物に組み込むのに特に好適である。したがって、本発明はまた、皮膚を処理又はメークアップする方法に関し、この方法は:
(1)本発明の崩壊性水含有カプセルを提供する工程と;
(2)前記崩壊性水含有カプセルを指又はアプリケータで皮膚にすり動かし、前記崩壊性水含有カプセルを崩壊させる工程であって;それによって崩壊性水含有カプセルの成分を皮膚に適用する、好ましくはそれによって前記成分を前記皮膚から近い方から水、前記第1の顔料成分、及び前記第2の顔料成分の順で、前記皮膚に適用する工程と;
(3)前記水を蒸発及び/又は前記皮膚に吸収させる工程とを含む。
【0023】
こうしたパーソナルスキンケア組成物に関して、第1及び第2顔料成分は、適切な皮膚処理及び/又はメークアップ利益を提供するように選択される。更に、本発明のカプセルは、水相にて溶解又は分散した形態で又は第1及び第2顔料成分内に引き付けられて種々の皮膚処理剤及び香料を含んでいてもよい。1つ以上の理由から、本発明の崩壊性水含有カプセルにて包含されるこうした皮膚処理剤、及び香料を送達するのが有利である。熱に敏感な成分に関して、本発明のカプセルは、使用前に蒸発するのを防ぐか又は遅延する。パーソナルケア組成物の残部と接触するようになることによって利益を悪化又は妥協させられ得るような成分に関しては、本発明のカプセルは障壁剤として作用する。他の成分は、本発明のカプセルの適用及び崩壊時に特定の感覚を提供し得る。
【0024】
水相
本発明のカプセルは水相を含み、この水相は水、ゲル化剤、及び後述される任意の水溶性溶媒を含む。本発明のカプセルは、カプセルの約70重量%〜約92重量%の水相を含む。水はカプセルの約5%〜約91.9%で含有される。水相は水及びゲル化剤だけから構成されてもよい。脱イオン水を使用するのが好ましい。ミネラルカチオンを包含する天然供給源からの水もまた、製品の所望の特性に応じて使用することができる。1つの好ましい実施形態では、水は発酵生物培地又はそのろ液からのものであってもよい。この種類の極めて好ましい市販供給源は、カシワヤマ(Kashiwayama)から入手可能な商標名SK−IIピテラ(SK-II Pitera)のサッカロミコプシス発酵ろ液である。
【0025】
水相のpHは、所望の製品特徴、特に皮膚処理剤が含まれる場合は皮膚処理剤の活性及び安定性の観点から選択される。1つの好ましい実施形態において、pHは約4〜約8に調整される。望ましいpHを達成するために、緩衝剤及び他のpH調整剤を包含することができる。
【0026】
水溶性溶媒
本発明のカプセルの水相は更に、低級アルキルアルコール及び水溶性保湿剤から選択される水溶性溶媒を含む。水溶性溶媒は、送達されるべき所望の肌触りによって、及び/又は特定の皮膚処理剤を送達するために選択される。
【0027】
本明細書において有用な低級アルキルアルコールは、1〜6個の炭素を有する一価アルコール、より好ましくはエタノール及びイソプロパノールである。
【0028】
本明細書で有用な水溶性保湿剤には、ブチレングリコール(1,3ブタンジオール)、ペンチレングリコール(1,2−ペンタンジオール)、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、エトキシル化グルコース、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、ヘキサントリオール、ジプロピレングリコール、エリスリトール、トレハロース、ジグリセリン、キシリトール、マルチトール、マルトース、グルコース、フルクトースのような多価アルコール;並びに尿素、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アデノシンリン酸ナトリウム(sodium adenosin phosphate)、乳酸ナトリウム、ピロリドンカーボネート、グルコサミン、シクロデキストリン及びこれらの混合物のような多価アルコールが挙げられる。本明細書で有用なものには、また、CTFA名称がPEG−200、PEG−400、PEG−600、PEG−1000であるもの、及びこれらの混合物のような、約1000までの分子量を有するポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのような水溶性アルコキシル化非イオン性ポリマーが挙げられる。
【0029】
1つの好ましい実施形態において、本発明のカプセルは約1%〜約30%の水溶性保湿剤を含む。カプセルがファンデーションとして使用されるような極めて好ましい実施形態の1つにおいて、カプセルは約3%〜約30%の水溶性保湿剤を含む。
【0030】
本明細書の市販の保湿剤としては:セラニーズ(Celanese)から入手可能な商標名1,3−ブチレングリコールのブチレングリコール、ドラゴコ(Dragoco)から入手可能な商標名ハイドロライト(HYDROLITE)−5のペンチレングリコール、プロクター&ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)から入手可能な商標名スター(STAR)及びスーパロール(SUPEROL)、クローダ・ユニバーサル社(Croda Universal Ltd.)から入手可能なクロデロール(CRODEROL)GA7000、ユニケマ(Unichema)から入手可能なプレセリン(PRECERIN)シリーズ、及びNOFから入手可能な化学名と同じ商標名のグリセリン;イノレックス(Inolex)から入手可能な商標名レクソル(LEXOL)PG−865/855、BASFから入手可能な1,2−プロピレングリコールUSPのプロピレングリコール;Lipoから入手可能な商標名リポニック(LIPONIC)シリーズ、ICIから入手可能なソルボ(SORBO)、アレックス(ALEX)、A−625、及びA−641、及びUPIから入手可能なユニスイート(UNISWEET)70、ユニスイート・コンク(UNISWEET CONC)のソルビトール;BASFから入手可能な同じ商標名のジプロピレングリコール;ソルベイ(Solvay GmbH)から入手可能な商標名ジグリセロール(DIGLYCEROL)のジグリセリン;共和(Kyowa)及びエーザイ(Eizai)から入手可能な同じ商標名のキシリトール;ハヤシバラ(Hayashibara)から入手可能な商標名マルビット(MALBIT)のマルチトール、フリーマン(Freeman)及びバイオイベリカ(Bioiberica)から入手可能な同じ商標名、及びアトマージック・ケメタルズ(Atomergic Chemetals)から入手可能な商標名アトマージック・ソディアム・コンドロイチン・スルフェート(ATOMERGIC SODIUM CHONDROITIN SULFATE)のコンドロイチン硫酸ナトリウム;チッソ社(Chisso Corp)から入手可能なヒアルロン酸ナトリウム、アクティブ・オーガニクス(Active Organics)から入手可能な商標名アクチモイスト(ACTIMOIST)のヒアルロン酸ナトリウム、インターゲン(Intergen)から入手可能なアビアン(AVIAN)ヒアルロン酸ナトリウムシリーズ、一丸ファルコス(Ichimaru Pharcos)から入手可能なヒアルロン酸Na;旭化成、協和(Kyowa)、及び第一製薬から入手可能な同じ商標名のアデノシンリン酸ナトリウム(sodium adenosin phophate);メルク(Merck)、和光(Wako)、及び昭和加工(Showa Kako)から入手可能な同じ商標名の乳酸ナトリウム、アメリカン・メイズ(American Maize)から入手可能な商標名カビトロン(CAVITRON)のシクロデキストリン、ローヌ・プーラン(Rhone-Poulenc)から入手可能なロドキャップ(RHODOCAP)シリーズ、及びトメン(Tomen)から入手可能なデクスパール(DEXPEARL);並びにユニオン・カーバイド(Union Carbide)から入手可能な商標名カルボワックス(CARBOWAX)シリーズのポリエチレングリコールが挙げられる。
【0031】
ゲル化剤
本発明の組成物の崩壊性水含有カプセルは、カプセルの、約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%のゲル化剤を含み、そのゲル化剤は、水相に約10mPas〜約1,000,000mPas、好ましくは約10mPas〜約100,000mPasの粘度を与える。ゲル化剤は、相対的に堅い構造内に水及び任意の水溶性溶媒を保持し、それによってカプセルの安定性及び一体性を提供すると考えられる。
【0032】
本明細書のゲル化剤として有用なポリマーは水溶性又は水混和性ポリマーである。本明細書のゲル化剤に関して「水溶性又は水混和性」という用語は、高温及び/又は混合の補助があってもなくても十分な水に溶解させる場合に透明な溶液を作るように溶解する化合物に関する。
【0033】
デンプン誘導体ポリマー、例えばカルボキシメチルデンプン、及びメチルヒドロキシプロピルデンプンは本明細書で有用である。本明細書で極めて有用な市販の化合物としては、LCWから入手可能な商標名コバゲル(COVAGEL)のカルボキシメチルデンプンナトリウムが挙げられる。
【0034】
本明細書で有用なものは、セルロース誘導体ポリマーである。本明細書で有用なセルロース誘導体ポリマーには、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶性セルロース、セルロース粉末及びこれらの混合物が挙げられる。デンプン誘導体ポリマー、例えばカルボキシメチルデンプン、及びメチルヒドロキシプロピルデンプンも有用である。本明細書で極めて有用な市販の化合物には、商標名ナトロソル・ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol Hydroxyethylcellulose)のヒドロキシエチルセルロース、商標名アクアロン・セルロース・ガム(Aqualon Cellulose Gum)のカルボキシメチルセルロースが挙げられ、両方ともアクアロン(Aqualon)から入手可能である。
【0035】
本明細書で有用なものは、カルボン酸/カルボキシレートコポリマーである。本明細書で有用な市販のカルボン酸/カルボキシレートコポリマーには、ペムレン(Pemulene)TR−1、ペムレンTR−2、カーボポール(Carbopol)1342、カーボポール1382及びカーボポールETD 2020の商標名を有するCTFA名称アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーが挙げられ、全てB.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich Company)から入手可能である。
【0036】
中和剤が本明細書のカルボン酸/カルボキシレートコポリマーを中和するために含まれてもよい。このような中和剤の非限定例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、トロメタミン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0037】
約1000を越える分子量を有するポリアルキレングリコールが本明細書において有用である。有用なものは、次の一般式を有するものであり、
【0038】
【化1】

式中、R95はH、メチル及びこれらの混合物からなる群から選択される。R95がHであるとき、これらの物質は、エチレンオキシドのポリマーであり、これらは、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン、及びポリエチレングリコールとしても知られている。R95がメチルであるとき、これらの物質は、プロピレンオキシドのポリマーであり、これらは、ポリプロピレンオキシド、ポリオキシプロピレン、及びポリプロピレングリコールとしても知られている。R95がメチルであるとき、得られるポリマーの様々な位置異性体が存在しうることも理解される。上記構造では、x3は、約1,500〜約25,000、好ましくは約2,500〜約20,000、より好ましくは約3,500〜約15,000の平均値を有する。他の有用なポリマーには、ポリプロピレングリコール及び混合ポリエチレン−ポリプロピレングリコール、又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーポリマーが挙げられる。本明細書で有用なポリエチレングリコールポリマーは、R95がHに等しく、x3が約2,000の平均値を有するPEG−2M(PEG−2Mは、ユニオン・カーバイド(Union Carbide)から入手可能なポリオックス(Polyox)WSR(登録商標)N−10としても知られ、またPEG−2,000としても知られる);R95がHに等しく、x3が約5,000の平均値を有するPEG−5M(PEG−5Mは、ともにユニオン・カーバイドから入手可能なポリオックスWSR(登録商標)N−35及びポリオックスWSR(登録商標)N−80としても知られ、またPEG−5,000及びポリエチレングリコール300,000としても知られる);R95がHに等しく、x3が約7,000の平均値を有するPEG−7M(PEG−7Mは、ユニオン・カーバイドから入手可能なポリオックスWSR(登録商標)N−750としても知られる);R95がHに等しく、x3が約9,000の平均値を有するPEG−9M(PEG−9Mは、ユニオン・カーバイドから入手可能なポリオックスWSR(登録商標)N−3333としても知られる);並びにR95がHに等しく、x3が約14,000の平均値を有するPEG−14M(PEG−14Mは、ユニオン・カーバイドから入手可能なポリオックスWSR(登録商標)N−3000としても知られる)である。
【0039】
本明細書で有用なものは、ビニルポリマー、例えば、CTFA名称カルボマー(Carbomer)の架橋アクリル酸ポリマー、プルラン、マンナン、スクレログルカン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、アカシアガム、アラビアゴム、トラガカント、ガラクタン、カロブガム、カラヤゴム、イナゴマメゴム、カラゲニン、ペクチン、アミロペクチン、寒天、マルメロ種子(シドニア・オブロンガ・ミル(Cydonia oblonga Mill))、デンプン(米、トウモロコシ、ジャガイモ、小麦)、藻類コロイド(藻類抽出物)、微生物学的ポリマー、例えば、デキストラン、サクシノグルカン(succinoglucan)、デンプン系ポリマー、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン、アルギン酸系ポリマー、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アクリレートポリマー、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、並びに無機水溶性物質、例えば、ベントナイト、アルミニウムマグネシウムシリケート、ラポナイト、ヘクトナイト、及び無水ケイ酸である。
【0040】
本明細書の有用な市販のゲル化剤としては、ケルコ(Kelco)から入手可能な商標名ケルトロール(KELTROL)シリーズのキサンタンガム、商標名カルボポール(CARBOPOL)934、カルボポール940、カルボポール950、カルボポール980、及びカルボポール981のカルボマー(全てB.F.グッドリッチ社(B. F. Goodrich Company)から入手可能)、ローム・アンド・ハース(Rohm and Hass)から入手可能な商標名アクリゾル(ACRYSOL)22のアクリレート/ステアレス−20メタクリレートコポリマー、セピック(Seppic)から入手可能な商標名セピゲル(SEPIGEL)305のポリアクリルアミド、ISPから入手可能な商標名ルブラゲル(LUBRAGEL)NPのグリセリルポリメタクリレート、及び商標名ルブラゲル・オイル(LUBRAGEL OIL)のグリセリルポリメタクリレート、プロピレングリコール及びPVM/MAコポリマーの混合物、ミカエル・メルシエール・プロダクツ(Michel Mercier Products Inc.)(米国ニュージャージー州)から入手可能な商標名クリアロゲル(Clearogel)SC11のスクレログルカン(scleroglucan)、全てアメルコール(Amerchol)から供給される商標名カルボワックス(CARBOWAX)PEG、ポリオックス(POLYOX)WASR及びユーコンフルイズ(UCON FLUIDS)のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド系ポリマーが挙げられる。
【0041】
両性ポリマー、例えば商標名メルクアット(MERQUAT)280、メルクアット295のポリクアテルニウム22、商標名メルクアット・プラス(MERQUAT PLUS)3330、メルクアット・プラス(MERQUAT PLUS)3331のポリクアテルニウム39、及び商標名メルクアット2001、メルクアット2001Nのポリクアテルニウム47(全てカルゴン・コーポレーション(Calgon Corporation)から入手可能)は有用である。他の有用な両性ポリマーとしては、ナショナル・スターチ&ケミカル(National Starch & Chemical)によって供給される商標名アンフォマ(AMPHOMER)、アンフォマSH701、アンフォマ28−4910、アンフォマLV71、及びアンフォマLV47のオクチルアクリルアミン/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマーが挙げられる。
【0042】
第1の顔料成分
本発明の組成物の崩壊性水含有カプセルは、カプセルの約1重量%〜約29.9重量%、好ましくは約6重量%〜約27重量%、更に好ましくは約8重量%〜約25重量%の第1の顔料成分を含む。本明細書の第1の顔料成分は、1μm未満、好ましくは約5nm〜約600nm、より好ましくは約10nm〜約500nmの粒径を有し、疎油性の疎水性コーティング材料で表面コーティングされている。理論に束縛されるものではないが、第1の顔料成分の疎油性の疎水性表面の表面張力によって、第1の顔料成分は、水相の相境界にて整列すると同時に、第1の顔料成分の粒子はファンデルワールス結合によって互いに結合すると考えられる。故に、第1の顔料成分は水相を覆う。更に比較的小さい粒径の第1の顔料成分と組み合わせて疎油性の疎水性表面によって構造全体が本組成物の崩壊性水含有カプセルの好適な剪断応力許容度に寄与すると考えられる。本発明のカプセルが約6%〜約27%の第1の顔料成分を含むような極めて好ましい実施形態において、カプセルの安定性は向上する。
【0043】
本明細書で有用な第1の顔料成分の基本顔料としては、色を与えるか、又は色調を変化させるもの、更に特定の肌触りを与えるものもが挙げられる。本明細書で有用な顔料としては、粘土鉱物粉末、例えばタルク、ケイ酸マグネシウム、合成フッ素金雲母、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ベントナイト及びモンモリロナイトが挙げられる。本明細書で有用な着色粉末としては、パール顔料、例えばアルミナ、硫酸バリウム、第二リン酸カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、ヒドロキシアパタイト、酸化鉄、チタン酸鉄(iron titate)、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、酸化クロム、水酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト、酸化チタン被覆雲母;有機粉末、例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、メチルメタクリレート樹脂、12−ナイロン、6−ナイロン、スチレン−アクリル酸コポリマー、ポリプロピレン、塩化ビニルポリマー、テトラフルオロエチレンポリマー、窒化ホウ素、魚鱗グアニン、レーキタールカラー染料、及びレーキナチュラルカラー染料が挙げられる。二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウム、ポリスチレン、及びこれらの混合物は第1の顔料成分として本明細書で特に有用である。
【0044】
本明細書の第1の顔料成分は、疎油性及び疎水性特徴の両方を有するコーティング材料、例えばフッ素化合物で表面コーティングされる。本明細書で特に好適なフッ素化合物は、ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン、ペルフルオロアルキルリン酸、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0045】
本明細書に極めて有用な市販の第1の顔料成分としては、商標名PF−5 TiO2 CR−50のC9〜15フルオロアルコールホスフェートでコーティングされた二酸化チタン(0.25μm)、商標名FHS−12 TiO2 P−25のペルフルオロオクチルトリエトキシシランでコーティングされた二酸化チタン(0.021μm)、商標名PF−7 ZnO−350のC9〜15フルオロアルコールホスフェートでコーティングされた酸化亜鉛(0.020μm)、商標名PF−5イエローLL−100PDのC9〜15フルオロアルコールホスフェートでコーティングされた黄酸化鉄(0.435μm)、商標名PF−5レッドR−516PDのC9〜15フルオロアルコールホスフェートでコーティングされた赤酸化鉄(0.44μm)、及び商標名PF−5ブラックBL−100PのC9〜15フルオロアルコールホスフェートでコーティングされた黒酸化鉄(0.4μm)(全て大東化成(Daito Kasei)から入手可能)が挙げられる。
【0046】
第2の顔料成分
本発明の組成物の崩壊性水含有カプセルは、カプセルの約0.1重量%〜約29重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%の第2の顔料成分を含む。本明細書の第2の顔料成分は、1μm以上、好ましくは約1μm〜約25μm、より好ましくは約4μm〜約15μmの粒径を有し、疎水性のコーティング材料で表面コーティングされ、形状は球体である。理論に束縛されるものではないが、第2の顔料成分の大きなサイズと球体形状によって、第2の顔料成分は、第1顔料成分の相境界に整列すると考えられる。第1及び第2顔料成分によって提供される二重に覆われた構造は、本発明の組成物の崩壊性水含有カプセルの好適な剪断応力許容度を提供すると考えられる。
【0047】
第1顔料成分及び第2顔料成分の総量は、カプセルの少なくとも約8%、好ましくはカプセルの約8%〜約26%である。
【0048】
第2の顔料成分はまた、第1の顔料成分によって容易には送達されない独特の外観効果又は肌触りを提供する。1つの例では、第1の顔料成分単独では、全体的にマットな仕上がりになり、毛穴のような皮膚の不均一性を隠すのではなく強調する場合がある。球体で半透明の第2の顔料成分は、その形状及び半透明性による光拡散効果によって自然な外観を改善できる。別の例では、第1の顔料成分単独ではその小さいサイズのために皮膚につっぱった(squeaky)感触を与えることがある。軟質な球状の第2顔料成分は、こうした負の肌触りを緩和し、滑らかで良好な感触を与えることができる。
【0049】
本明細書で有用な第2の顔料成分の基本顔料としては;ポリアクリレート、ケイ酸塩、硫酸塩、アルミナ、金属二酸化物、炭酸塩、セルロース、ポリアルキレン、酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、アクリル酸エーテル、シリコーン、並びにこれらの混合物及びこれらの複合材が挙げられる。特に、本明細書で有用な材料としては、ポリアクリレート、例えばメチルメタクリレートコポリマー、及びナイロン、架橋されたポリメチルメタクリレート;ケイ酸塩、例えばケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸アルミニウム及びシリカビーズ;アルミナ;金属二酸化物、例えば二酸化チタン及び水酸化アルミニウム;炭酸塩、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム;セルロース;ポリアルキレン、例えばポリエチレン、及びポリプロピレン;酢酸ビニル;ビニルアセテート;ポリスチレン;ポリアミド;アクリル酸エーテル、例えばアクリル酸メチルエーテル及びアクリル酸エチルエーテル;ポリビニルピロリドン;並びにシリコーン、例えばポリオルガノシルセスキオキサン樹脂、例えばポリメチルシルセスキオキサン、及び固体のシリコーンエラストマー、例えばビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマーが挙げられる。極めて好ましい材料は、メチルメタクリレートコポリマー、シリカビーズ、ナイロン、ポリメチルシルセスキオキサン、ビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー、ポリオルガノシロキサンエラストマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0050】
実施形態の1つでは、ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂及び固体のシリコーンエラストマーは、皮膚の毛穴を隠す効果を向上させるために使用されてもよい。
【0051】
本明細書の第2の顔料成分は、疎水性の特徴を有するコーティング材料で表面コーティングされ、そのため、疎油性で疎水性のコーティング材料が好ましい。本明細書で有用な疎水性コーティング材料としては、メチルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン(methyl phenyl polysilxoane)、n−オクチルトリエトキシシラン、メチル−α−スチレンポリシロキサン、アクリルシリコーンコポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい疎油性の疎水性コーティング材料は、第1の顔料成分について上述したものと同じコーティング材料である。
【0052】
本明細書で極めて有用な市販の球状粉末としては、ガンズ・ケミカル(Ganz Chemical Co., Ltd.)から入手可能な商標名ガンズパール(GANZ PEARL)シリーズ及びフジ・シリシア・ケミカル(Fuji Sylysia Chemical)から入手可能なシリシア(SYLYSIA)シリーズのメチルメタクリレートコポリマー、東レ・ダウ・コーニング(Toray Dow Corning)から入手可能な商標名ナイロン・パウダー(NYLON POWDER)シリーズのナイロン−12、大東化成(Daito Kasei)から入手可能な商標名PF−5ナイロンSP500のC9〜15のフルオロアルコールホスフェートでコーティングされたナイロン−12(5μm)、大東化成(Daito Kasei)から入手可能な商標名PF−5トスパール(TOSPEARL)145のC9〜15フルオロアルコールホスフェートでコーティングされたポリメチルシルセスキオキサン、信越化学社(ShinEtsu Chemical Co., Ltd.)(日本、東京)から入手可能な商標名KSPシリーズのビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー、並びに東レ・ダウ・コーニング(Toray Dow Corning)から入手可能な商標名トレフィル(TREFIL)シリーズの硬化ポリオルガノシロキサンエラストマーが挙げられる。
【0053】
皮膚処理剤
本発明の組成物のカプセルは更に、水相又は顔料成分に溶解又は分散した皮膚処理剤を含んでいてもよい。極性を有するこれらの皮膚処理剤は、水相に溶解又は分散できるが、水相内に溶解又は分散しないものは、顔料成分内に混合及び引き付けられてもよい。含まれる場合、皮膚処理剤は、通常、カプセルの約0.001重量%〜約20重量%にてカプセルの安定性に影響しない量で含まれる。
【0054】
本明細書で有用な皮膚処理剤としては、皮膚ライトニング剤、抗ニキビ剤、皮膚軟化剤、非ステロイド系抗炎症剤、局所麻酔薬、人工日焼け剤、防腐剤、抗菌及び抗真菌活性物質、皮膚鎮静剤、UV保護剤、皮膚バリア修復剤、しわ防止剤、皮膚萎縮防止剤、脂質、皮脂阻害物質、皮脂阻害物質、皮膚感覚剤、タンパク質分解酵素抑制剤、皮膚引き締め剤(skin tightening agent)、かゆみ止め剤、発毛阻害物質、落屑酵素強化剤、糖化防止剤、制汗剤、酸化毛髪着色剤、毛髪スタイリング剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0055】
市販のフラボノイド化合物としては、アルプス薬品工業(Alps Pharmaceutical Industry Co. Ltd.)(日本)から入手可能なヘスペリジン、メチルヘスペリジン、及びルチン;並びに林原バイオケミカル(Hayashibara Biochemical Laboratories, Inc.)及び東洋精糖(Toyo Sugar Refining Co. Ltd.)から入手可能な商標名α−GヘスペリジンPS−CCのグルコシルヘスペリジン及びグルコシルルチンが挙げられる。
【0056】
本明細書で有用なビタミンB3化合物としては、例えば、次式を有するものが挙げられる。
【0057】
【化2】

式中、Rは−CONH2(例えば、ナイアシンアミド)、又は−CH2OH(例えば、ニコチニルアルコール);これらの誘導体;及びこれらの塩である。前出のビタミンB3化合物の代表的な誘導体としては、ニコチン酸の非血管拡張性エステル、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸N−オキシド及びナイアシンアミドN−オキシドを包含する、ニコチン酸エステルが挙げられる。好ましいビタミンB3化合物は、ナイアシンアミド及びニコチン酸トコフェロールであり、より好ましいものはナイアシンアミドである。好ましい実施形態では、ビタミンB3化合物は限られた量の塩の形態を含有し、より好ましくはビタミンB3化合物の塩は実質的に含まれない。好ましくは、ビタミンB3化合物は、約50%未満のそのような塩を含有し、より好ましくは本質的に塩の形態を含まない。本明細書において極めて有用な市販のビタミンB3化合物としては、ライリー(Reilly)から入手可能なナイアシンアミドUSPが挙げられる。
【0058】
本明細書で有用なビタミンB6化合物としては、ピリドキシン、ピリドキシンのエステル、例えばピリドキシントリパニテート(tripahnitate)、ピリドキシンジパルミテート、及びピリドキシンジオクタノエート、ピリドキシンのアミン、例えばピリドキサミン、ピリドキシンの塩、例えばピリドキシンHCl、及びこれらの誘導体、例えばピリドキサミン、ピリドキサル、ピリドキサルホスフェート、及びピリドキシン酸が挙げられる。特に有用なビタミンB6化合物は、ピリドキシン、ピリドキシンのエステル及びピリドキシンの塩からなる群から選択される。ビタミンB6化合物は、合成又は天然起原であることができ、本質的に純粋な化合物又は化合物の混合物(例えば、天然供給源からの抽出物又は合成物質の混合物)として使用することができる。本明細書で使用するとき、「ビタミンB6」はこのようなものの異性体及び6個の互変異性体を包含する。本明細書で有用な市販のビタミンB6化合物には、例えば、DSMから入手可能なピリドキシンHCl、ニッコーケミカル株式会社(Nikko Chemicals Co. Ltd.)から入手可能な、商標名ニッコール(NIKKOL)DPのピリドキシンジパルミテート及び商標名ニッコールDKのピリドキシンジオクタノエートが挙げられる。
【0059】
本明細書において有用な皮膚ライトニング剤は、処置前と比較した場合に過度の色素沈着を改善する活性成分を指す。本明細書で有用な皮膚ライトニング剤としては、アスコルビン酸化合物、アゼライン酸、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸及びその誘導体、グリチルリチン酸、ヒドロキノン、コウジ酸、アルブチン、クワ抽出物、並びにこれらの混合物が挙げられる。皮膚ライトニング剤の組み合わせの使用は、それらが異なる機構により美白効果をもたらす可能性があるという点で、有益であると考えられる。
【0060】
本明細書で有用なアスコルビン酸化合物には、本質的にL型のアスコルビン酸、アスコルビン酸塩、及びこれらの誘導体が挙げられる。アスコルビン酸は、例えばロッシュ・ビタミン(Roche Vitamins)(日本)から入手可能である。本明細書で有用なアスコルビン酸塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アンモニウム及びプロタミン塩が挙げられる。本明細書において有用なアスコルビン酸誘導体としては、例えば、アスコルビン酸のエステル、及びアスコルビン酸のエステル塩が挙げられる。特に好ましいアスコルビン酸化合物としては、アスコルビン酸とグルコースのエステルであって、通常はL−アスコルビン酸2−グルコシド又はアスコルビルグルコシドと称される、2−o−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、及びその金属塩、並びにリン酸アスコルビルナトリウム、リン酸アスコルビルカリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、及びリン酸アスコルビルカルシウムのようなリン酸L−アスコルビン酸エステル塩が挙げられる。市販のアスコルビン酸化合物には、昭和電工(Showa Denko)から入手可能なリン酸アスコルビルマグネシウム、林原(Hayashibara)から入手可能な2−o−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、及びDSMから入手可能な商標名ステイ(STAY)C50のリン酸L−アスコルビルナトリウムが挙げられる。
【0061】
本明細書で有用なその他の疎水性皮膚ライトニング剤としては、アスコルビン酸誘導体、例えばテトライソパルミチン酸アスコルビル(例えば、日光ケミカル(Nikko Chemical)から入手可能なVC−IP)、パルミチン酸アスコルビル(例えば、DSMから入手可能)、ジパルミチン酸アスコルビル(例えば、日光ケミカル(Nikko Chemical)から入手可能なニッコール(NIKKOL)CP;ウンデシレノイルフェニルアラニン(例えば、セピック(Seppic)から入手可能なセピホワイト(SEPIWHITE)MSH;オクタデセン二酸(例えば、ユニケマ(Uniquema)から入手可能なアーラトンジオイック(ARLATONE DIOIC)DCA;メマツヨイグサ種子(oenothera biennis sead)抽出物、及びピーラス・マルス(pyrus malus)(リンゴ)果実抽出物、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0062】
本明細書で有用なその他の皮膚処理剤には、パンテノール、過酸化ベンゾイル、3−ヒドロキシ安息香酸、ファルネソール、フィタントリオール、グリコール酸、乳酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アセチルサリチル酸、2−ヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシペンタン酸、2−ヒドロキシヘキサン酸、シス−レチノイン酸、トランス−レチノイン酸、レチノール、レチニルエステル(例えば、レチニルプロピオネート)、フィチン酸、N−アセチル−L−システイン、リポ酸、トコフェロール及びそのエステル(例えば、トコフェリルアセテート)、アゼライン酸、アラキドン酸、テトラサイクリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ヒドロコルチゾン、アセトミノフェン、レゾルシノール、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシイソプロパノール、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’−トリクロロカルバニリド、オクトピロックス、塩酸リドカイン、クロトリマゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、ネオマイシン硫酸塩、テオフィリン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0063】
日光及びUV保護効果を提供するためのUV保護剤は、本明細書の皮膚処理剤として有用である。含まれる場合、有機UV保護剤の総量はカプセルの約0.1%〜約20%である。油溶性有機UV剤、水溶性有機UV剤及び無機UV剤は、本発明のカプセルに組み込まれてもよい。無機UV保護剤は、200nmより小さい、好ましくは100nmより小さい粒径を有する。故に、表面コーティングの特性によって、特定の第1の顔料成分はUV保護利益を提供してもよい。親油性で疎水性のコーティング材料で表面コーティングされていないものも水相に分散するUV保護剤として本明細書で有用である。有用な有機UV保護剤としては、主にUVB領域で紫外線を吸収するもの、及び主にUVA領域で紫外線を吸収するものが挙げられる。UVBからの保護は、SPF(太陽光線保護指数)によって記述され、UVAからの保護はPA(UVA保護)によって記述される。UVA保護剤とUVB保護剤との組み合わせは、有効な日焼け止め効果を有する組成物を提供することが当該技術分野において周知である。好ましい実施形態の1つでは、本発明は、少なくとも15のSPF及び少なくとも++のPAを有する日焼け止め製品又は化粧品製品である。
【0064】
UVBフィルタとして有効な、有用な油溶性有機UV保護剤としては、次のものが挙げられる:3−ベンジリデンカンファー誘導体、好ましくは3−(4−メチルベンジリデン)カンファー及び3−ベンジリデンカンファー;アミノ安息香酸誘導体、好ましくは2−エチルヘキシル4−(ジメチルアミノ)−ベンゾエート及びアミル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート;ケイ皮酸のエステル、好ましくは2−エチルヘキシル4−メトキシシンナメート及びイソペンチル4−メトキシシンナメート;サリチル酸のエステル、好ましくは2−チルヘキシル(thylhexyl)サリチラート、4−イソプロピルベンジルサリチラート及びホモメンチルサリチラート;ベンゾフェノン誘導体、好ましくは2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−3)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン及び2.2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;ベンザルマロン酸のエステル、好ましくはジ(2−エチルヘキシル)4−メトキシベンザルマロネート;及び2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジン。
【0065】
UVAフィルタとして有効な、有用な油溶性有機UV保護剤としては次のものが挙げられる:ジベンゾイルメタンの誘導体、特に1−(4’−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1.3−ジオン及び1−フェニル−3−(4’−イソプロピルフェニル)プロパン−1.3−ジオン。
【0066】
市販されている本明細書の油溶性有機UV保護剤としては、次のものが挙げられる:ロッシュ・ビタミン・ジャパン(ROCHE VITAMINS JAPAN K.K)から商標名パーソル(PARSOL)MCXで入手可能な2−エチルヘキシル4−メトキシシンナメート、及びBASFから入手可能な2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−3)。
【0067】
UVBフィルタとして有効な、有用な水溶性有機UV保護剤としては、次のものが挙げられる:2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、及びそのナトリウム、カリウム、又はトリエタノール−アンモニウム塩;ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸(ベンゾフェノン−4)及びその塩;例えば4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)−ベンゼンスルホン酸、2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)スルホン酸及びその塩のような、3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体。
【0068】
市販されている本明細書の水溶性有機UV保護剤としては、次のものが挙げられる:BASFから商標名パーソル(PARSOL)HSで入手可能なフェニルベンジルイミダゾール−5−スルホン酸及びシムライズ(Symrise)から入手可能なネオヘロパンハイドロ(Neo Helopan Hydro)、及びBASFから入手可能な2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸(ベンゾフェノン−4)。
【0069】
本明細書で有用な無機UV保護剤は、水に難溶性又は不溶性の化粧品及び皮膚科学的に許容可能な金属酸化物及び/又はその他の金属化合物であり、特に、チタン(TiO2)、亜鉛(ZnO)、鉄(例えばFe23)、ジルコニウム(ZrO2)、ケイ素(SiO2)、マンガン(例えばMnO)、アルミニウム(Al23)及びセリウム(例えばCe23)の酸化物、対応する金属の混合酸化物及びこのような酸化物の混合物である。
【0070】
このような金属酸化物が示す変態は、本質的に本発明に無関係である。例えば、TiO2は天然に3つの主要な変態(ルチル、アナターゼ、板チタン石)で存在し、これは原則的に全て等しく好適である。同じことが、酸化鉄等の変態に当てはまる。
【0071】
本明細書の無機UV保護剤は、表面に撥水処理がなされてもよい。この表面処理は、それ自体既知のプロセスによって、薄い疎水性層の顔料を提供することを含むことができる。このようなプロセスは、nTiO2+m(RO)3Si−R’→nTiO2(表面)に従う反応によって、疎水性の表面層を生じてもよい。ここでn及びmは必要に応じて挿入される化学量論的パラメータであり、R及びR’は所望の有機ラジカルである。例えば、DE−A 33 14 742と同様に調製された疎水化された顔料は、有利である。
【0072】
市販されている本明細書の無機UV保護剤としては、次のものが挙げられる:BASFから商標名Z−コート(Z-cote)HP1で入手可能な約70nmの平均粒径を有する酸化亜鉛、及び三好(Miyoshi)から商標名SI−TTO−S−3Z−LHC及びSAMT−UFZO−450で入手可能な約50nmの平均粒径を有する酸化チタン。
【0073】
追加の成分
本明細書のカプセルは更に、局所適用製品に従来使用されるもののような追加の成分を含有していてもよく、例えば、組成物又は身体表面に審美的又は機能的効果を与えるためのもの、例えば外観、匂い又は感触に関連する知覚上の効果、治療的効果、あるいは予防的効果を与えるためのものである(上述の必要とされる材料自体がこうした効果を提供してもよいことを理解すべきである)。含まれる場合、その量はカプセルの約10重量%以下に保たれる。
【0074】
好適な局所用成分の部類の例としては:他の顔料又は上記無機UV保護剤の定義に合わない粉末及び顔料、キレート防止剤、研磨材、収れん剤、染料、精油、芳香剤、フィルム形成ポリマー、可溶化剤、固化防止剤、消泡剤、結合剤、緩衝剤、充填剤、変性剤、pH調整剤、噴射剤、還元剤、隔離剤、化粧用殺生物剤、及び防腐剤が挙げられる。
【0075】
崩壊性水含有カプセルを製造するプロセス
本発明のカプセルは、本明細書にて上記で記載されるカプセルの本質的な成分を混合することによって好適に製造される。驚くべきことに、そして予期できなかったことに、本発明のカプセルは、水含有カプセルを提供するために、当該技術分野において開示される極端な条件及び工程を必要とせずに、製造できることを見出した。極端な条件及び工程としては、高せん断混合、剪断前の凍結などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
1つの実施形態において、本発明の崩壊性水含有カプセルは:
(1)ゲル化剤、第1の顔料成分、及び第2の顔料成分を均一に混合する工程と;
(2)工程(1)の生成物を水相と混合する工程とによって調製される。
【0077】
別の実施形態において、本発明の崩壊性水含有カプセルは:
(1)ゲル化剤及び第1の顔料成分を均一に混合する工程と;
(2)工程(1)の生成物を水相と混合する工程と
(3)工程(2)の生成物を水相と混合する工程とによって調製される。
【0078】
小規模製造に好適である極めて好ましい実施形態の1つにおいて、ゲル化剤、第1及び第2顔料は容器にて混合され、更に疎水性の内表面を有する容器にて水と混合される。
大規模製造に好適である極めて好ましい別の実施形態において、ゲル化剤、第1及び第2顔料は粉砕機にて混合され、更にリボンブレンダーにて混合され、そこで水が噴霧される。
【0079】
崩壊性水含有カプセルの剪断力許容度
本発明のカプセルは、通常の保存条件下及び通常の混合プロセス下で安定であるが、身体表面に適用される際に崩壊するように適切な剪断力許容度を有する。本発明のカプセルの崩壊は、元々のカプセルの流動性で乾燥した粉末様の外観が非流動性の湿ったペースト様の外観に変化するときに裸眼で容易に観測できる。
【0080】
こうした剪断力許容度は、次のように本明細書で定義される落下試験によって定量的に測定されるのが好ましい:
1)本発明の崩壊性水含有カプセル40gをキャップで密閉可能な100mLの半透明のプラスチックボトルに移す;
2)こうして調製された試験容器をキャップで密閉し、コンクリート表面に所定の高さから落とす;及び
3)カプセルが崩壊するかどうかを確認するために裸眼で落下した試験容器を観測する。
【0081】
工程2)の所定の高さは、cm単位の落下試験の定量的剪断力許容度を示す。
【0082】
本発明の崩壊性水含有カプセルは、落下試験に従って少なくとも100cmの剪断力許容度を有する。
【実施例】
【0083】
以下の実施例は更に、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明及び実証する。これら実施例は、説明の目的のためのみに提示するものであって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの変更が可能であるので、本発明を限定するものと解釈すべきではない。成分は、適用可能な場合は、化学名又はCTFA名称で識別し、そうでない場合には以下で定義する。
【0084】
以下は、皮膚に使用するためのカプセル組成物、それらの調製方法、及びそれらの特性の技術的評価である。実施例1〜5は本発明に従うカプセルであるが、比較例1〜7は本発明に従わないものである。
【0085】
【表1】

【0086】
成分の定義
*1 C9〜15フルオロアルコールホスフェートでコーティングされた二酸化チタン(0.25μm):大東化成(Daito Kasei)から入手可能なPF−5 TiO2 CR−50。
*2 ペルフルオロオクチルトリエトキシシランでコーティングされた二酸化チタン(0.021μm):大東化成(Daito Kasei)から入手可能なFHS−12 TiO2 P−25。
*3 C9〜15フルオロアルコールホスフェートでコーティングされた酸化亜鉛(0.020μm):大東化成(Daito Kasei)から入手可能なPF−7 ZnO−350。
*4 C9〜15フルオロアルコールホスフェートでコーティングされた黄酸化鉄(0.435μm):大東化成(Daito Kasei)から入手可能なPF−5イエローLL−100PD。
*5 C9〜15フルオロアルコールホスフェートでコーティングされた赤酸化鉄(0.44μm):大東化成(Daito Kasei)から入手可能なPF−5レッドR−516PD。
*6 C9〜15フルオロアルコールホスフェートでコーティングされた黒酸化鉄(0.4μm):大東化成(Daito Kasei)から入手可能なPF−5ブラックBL−100P。
*7 カルボキシメチルデンプンナトリウム:LCWから入手可能なコバゲル(COVAGEL)。
*8 キサンタンガム:ケルコ(Kelco)から入手可能なケルトロール(Keltrol)T。
*9 C9〜15フルオロアルコールホスフェートでコーティングされたナイロン−12(5μm):PF−5ナイロン
*10 C9〜15フルオロアルコールホスフェートでコーティングされたポリメチルシルセスキオキサン(4.5μm):大東化成(Daito Kasei)から入手可能なPF−5トスパール(TOSPEARL)145。
*11 雲母(10μm):三信鉱工(Sanshin Kohkoh)から入手可能な絹雲母FSE。
*12 二酸化チタン(0.040μm):石原(Ishihara)から入手可能な二酸化チタンTTO−55。
*13 アスコルビン酸:ロッシュ・ビタミン・ジャパン(ROCHE VITAMINS JAPAN K.K.)から入手可能なアスコルビン酸。
*14 D−δ−トコフェロール:エーザイ株式会社(EISAI CO., LTD.)から入手可能なD−δ−トコフェロール。
*15 エチルヘキシルメトキシシンナメート:ロッシュ・ビタミン・ジャパン(ROCHE VITAMINS JAPAN K.K.)から入手可能なパーソル(PARSOL)MCX。
*16 ブチレングリコール:セラニーズ(Celanese)から入手可能な1,3−ブチレングリコール。
*17 二酸化チタン(0.035μm):TAYCAから入手可能な二酸化チタンMT500B。
*18 二酸化チタンでコーティングされた雲母:メアール(THE MEARL)から入手可能なフラメンコ・スーパー・パール(FLAMENCO SUPER PEARL)。
*19 グルコシルヘスペリジン:林原(Hayashibara)から入手可能なα−Gヘスペリジン(Ghesperidin)PS−CC。
*20 ナイアシンアミド:DSMから入手可能なナイアシンアミドUSP(Niacinamide USP)。
*21 クワ根抽出物:丸善製薬株式会社(Maruzen Pharmaceuticals)から入手可能なマルベリー(Mulberry)BG。
*22 パンテノール:DSMから入手可能なD−パンテノールUSP。
*23 サッカロミコプシス発酵ろ液:カシワヤマ(Kashiwayama)から入手可能なSK−IIピテラ(Pitera)。
【0087】
調製方法
実施例1〜4のカプセルは、次の3つの方法のいずれかにて製造できる。方法1及び2は、小規模製造に好適であるが、方法3は大規模製造に好適である。いずれの方法においても、100cmの落下試験を合格したルースパウダー形態の安定な微細カプセルが得られた。
1.成分(1)〜(10)を混合し、疎水性の内表面を有する容器に移す。成分(16)〜(28)は別に混合して同じ容器に移す。容器を閉じ、2〜3分間手で振とうする。ルースパウダー形態にてカプセルの裸眼観察後、別に混合されていた成分(11)〜(15)及び(29)をその容器に移し、混合する。
2.成分(1)〜(8)を混合し、疎水性の内表面を有する容器に移す。成分(16)〜(28)は別に混合して同じ容器に移す。容器を閉じ、2〜3分間手で振とうする。ルースパウダー形態にてカプセルの裸眼観察後、別に混合されていた成分(9)〜(10)をその容器に移し、混合する。次いで、別に混合されていた成分(11)〜(15)及び(29)をその容器に移し、混合する。
3.成分(1)〜(8)を粉砕機で混合し、疎水性の内表面を有するリボンブレンダーに移す。成分(16)〜(28)は、当該技術分野において既知の従来の任意の方法によって別に混合され、リボンブレンダーにて噴霧される。ルースパウダー形態にて水のカプセルの観察後、別に混合されていた成分(9)〜(10)をリボンブレンダーに移し、混合する。次いで、別に混合されていた成分(11)〜(15)及び(29)をリボンブレンダーに移し、混合する。
【0088】
【表2】

【0089】
【表3】

【0090】
成分の定義
*24 C9〜15フルオロアルコールホスフェートでコーティングされたタルク(9μm):大東化成(Daito Kasei)から入手可能なPF−5タルクJA−46R。
*25 トリメチルシリルでコーティングされた多孔質シリカ(7nm、表面積:260m2/g):日本アエロシル(Nippon Aerosil)から入手可能なアエロジル(AEROSIL)R812。
【0091】
調製方法
成分(1)〜(5)を混合し、疎水性の内表面を有する容器に移した。水(6)を同じ容器に添加した。容器を閉じ、2分間手で振とうした。
【0092】
技術試験の方法
カプセル化:均一で微細な粒子のカプセルが裸眼で観察される場合、評価は「良好」である。カプセルが形成されない場合又は製造されたカプセルが均一でない場合、評価は「良好でない」である。カプセルが形成されない場合、以下の試験は行われない。
【0093】
落下試験:得られたカプセルのうち、40gを上述の方法に従って試験した。裸眼で損傷が観測されない場合、評価は「良好」である。カプセルの崩壊又はアグロメレーションが液体漏出又は顔料濡れによって観測される場合、評価は「良好でない」である。
【0094】
適用時の崩壊性:崩壊性は手に適用する際に裸眼による観測及び感覚によって評価する。カプセルが適用時に液体に変化し、冷却感を伴う場合、評価は「良好」である。カプセルが適用時に液体に変化しない場合、又は冷却感がない場合、評価は「良好でない」である。
【0095】
評価
実施例5及び比較例1〜7の評価結果を表2及び3に示す。第1の顔料成分のない比較例1は、落下試験において「良好でない」と評価された。第2顔料成分のない比較例2、ゲル化剤のない比較例3、及び第1顔料成分及び第2顔料成分の総量が8%未満である比較例4は全て、カプセル化において「良好でない」と評価された。水が70%未満である比較例5、及び1μm未満の粒径を有する多孔質シリカが1%以上である比較例6及び7は全て、適用時の崩壊性が「良好でない」と評価された。
【0096】
実施例1〜5の利用
実施例1〜5のカプセルは、通常の保存条件下及び通常の混合プロセス下で安定であるが、皮膚に適用される際に特定の剪断応力下で崩壊するような適切な剪断力許容度を有する。崩壊するとき、実施例1〜5のカプセルは皮膚に良好な感触を与える。
【0097】
実施例1及び2はファンデーションとして有用である。皮膚に適用される場合、カプセルはカバー力と自然な外観とのバランスによって皮膚に良好な外観を与える。
【0098】
実施例3は日焼け止め剤として有用である。皮膚に適用される場合、カプセルは高い透明性を伴って皮膚に良好なUV保護効果を与える。
【0099】
実施例4は皮膚ライトニング粉末として有用である。実施例5は冷却粉末として有用である。皮膚に適用される場合、カプセルは好適な冷却感を与える。皮膚に適用される場合、実施例4の皮膚ライトニング剤は皮膚に浸透する。
【0100】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした寸法はそれぞれ、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0101】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0102】
本発明の特定の実施形態を説明記述してきたが、本発明の精神範囲から逸脱することなく他の様々な変更修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
崩壊性水含有カプセルであって、
(a)前記カプセルの約70重量%〜約92重量%の水相であって、
(1)約5重量%〜約91.9重量%の水と
(2)約0.1重量%〜約20重量%のゲル化剤と、
を含む水相;
(b)約1重量%〜約29.9重量%の、1μm未満の粒径を有し、疎油性で疎水性のコーティング材料で表面コーティングされた第1の顔料成分;並びに
(c)約0.1%〜約29%の、1μm以上の粒径を有し、疎水性コーティング材料で表面コーティングされた球状の第2の顔料成分、
を含み、前記第1の顔料成分及び前記第2の顔料成分の総量が前記カプセルの少なくとも約8重量%であるとともに、
前記カプセルが、1μm未満の粒径を有する多孔性顔料を1%未満含む、カプセル。
【請求項2】
前記カプセルが実質的に界面活性剤を含まない、請求項1に記載の崩壊性水含有カプセル。
【請求項3】
約6%〜約27%の第1の顔料成分を含む、請求項1に記載の崩壊性水含有カプセル。
【請求項4】
前記水相が水溶性溶媒を更に含む、請求項1に記載の崩壊性水含有カプセル。
【請求項5】
前記疎油性で疎水性のコーティング材料が、ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン、ペルフルオロアルキルリン酸、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の崩壊性水含有カプセル。
【請求項6】
前記ゲル化剤がデンプン誘導体ポリマーから選択される、請求項1に記載の崩壊性水含有カプセル。
【請求項7】
前記ゲル化剤がセルロース誘導体ポリマーから選択される、請求項1に記載の崩壊性水含有カプセル。
【請求項8】
前記第1の顔料成分が、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウム、ポリスチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の崩壊性水含有カプセル。
【請求項9】
前記第2の顔料成分が、メチルメタクリレートコポリマー、シリカビーズ、ナイロン、ポリメチルシルセスキオキサン、ビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー、ポリオルガノシロキサンエラストマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の崩壊性水含有カプセル。
【請求項10】
前記崩壊性水含有カプセルが、通常の保存条件下及び通常の混合プロセス下で安定であるが、身体表面に適用される際に崩壊するような適切な剪断力許容度を有する、請求項1に記載の崩壊性水含有カプセル。
【請求項11】
前記崩壊性水含有カプセルが、落下試験に従って少なくとも100cmの剪断力許容度を有する、請求項8に記載の崩壊性水含有カプセル。
【請求項12】
皮膚処理剤を更に含む、請求項1に記載の崩壊性水含有カプセル。
【請求項13】
香料を更に含む、請求項1に記載の崩壊性水含有カプセル。
【請求項14】
皮膚を処理又はメークアップする方法であって、
(1)請求項1に記載の崩壊性水含有カプセルを提供する工程と;
(2)前記崩壊性水含有カプセルを指又はアプリケータで皮膚上ですり動かし、前記崩壊性水含有カプセルを崩壊させる工程であって;それによって前記崩壊性水含有カプセルの成分を前記皮膚上に適用する工程と;
(3)前記水を蒸発及び/又は前記皮膚に吸収させる工程と
を含む、方法。
【請求項15】
皮膚を処理又はメークアップする方法であって、
(1)請求項1に記載の崩壊性水含有カプセルを提供する工程と;
(2)前記崩壊性水含有カプセルを指又はアプリケータで皮膚上ですり動かし、前記崩壊性水含有カプセルを崩壊させる工程であって;それによって前記成分を、前記皮膚から近い方から水、前記第1の顔料成分、及び前記第2の顔料成分の順で、前記皮膚に適用する工程と;
(3)前記水を蒸発及び/又は前記皮膚に吸収させる工程と
を含む、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の崩壊性水含有カプセルを製造するプロセスであって、
(1)前記ゲル化剤、前記第1の顔料成分、及び前記第2の顔料成分を均一に混合する工程と;
(2)前記工程(1)の生成物を前記水相と混合する工程と
を含む、プロセス。
【請求項17】
請求項1に記載の崩壊性水含有カプセルを製造するプロセスであって、
(1)前記ゲル化剤及び前記第1の顔料成分を均一に混合する工程と;
(2)前記工程(1)の生成物を前記水相と混合する工程と;
(3)前記工程(2)の生成物を前記第2の顔料成分と混合する工程と
を含む、プロセス。

【公表番号】特表2010−500338(P2010−500338A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523425(P2009−523425)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【国際出願番号】PCT/IB2007/053123
【国際公開番号】WO2008/018028
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】