説明

工作機械で工具を制御するための変換された制御データを発生するための方法および装置

【課題】工作機械においてクランプされた加工品を正確に機械加工できるようにすること
【解決手段】加工品がクランプ手段内にクランプされている場合にクランプ手段内に加工品のクランプ状況の目標とする状態を示すクランプ状況の目標状態に従って、クランプされた加工品を機械加工するために工具がどの第1工具配向でどの第1工具パスを移動すべきかを表示する制御データ決定ステップを備え、更にクランプ状況の現在の状態を検出するステップと、クランプされた状況の現在の状態とクランプされた状況の目標とする状態との間のクランプされた状況の偏差を検出するステップと、検出されたクランプされた状況の偏差に応じて、変換された制御データを発生するステップとを更に備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械のクランプ手段内にクランプされた加工品を機械加工するための、工作機械で工具を制御するための変換された制御データを発生するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特に本発明は、工作機械またはマシニングセンター内にクランプされた加工品を機械加工するための、特にブランクから所定の仕上げ部品の幾何学的形状を有する仕上げ部品に加工品を再加工するためのCNC制御された工作機械、特にCNC制御されたフライス盤、ターニング盤、フライス/ターニング盤、またはターニング/フライス盤もしくはCNC制御されたマシニングセンターで所定のフライス工具を制御するための変換された制御データを発生する方法および装置に関する。
【0003】
従来技術では、異なる実施形態のCNC制御された工作機械が開示されている。
【0004】
CNC(コンピュータ化された数値制御)とは、例えば発生されたNCプログラムまたはCNCプログラムを使用することにより、工作機械を数値制御することを意味する。この工作機械には、機械加工により加工品から材料を除去する工具が設けられるようになっている。この機械加工プロセス中の工具の制御は、制御データ、例えばCNCプログラムを使ってあらかじめ決定された制御データを使用する制御装置により実行される。従って、発生された制御データを使用することにより、工作機械内にクランプされた加工品の精密な機械加工が可能となっている。
【0005】
従来技術によれば、CNCプログラムは、CAM(コンピュータ支援製造)システムおよびCAD/CAMシステムにより、ソフトウェアによってサポートされるように記述される。発生されるCNCプログラムは、発生されたパスを移動しながら、このパスに沿って加工品の材料を除去するよう、工作機械内にクランプされた加工品に対して、工作機械のフライスヘッドの支持手段内に挿入された工具の向きを発生されたパスに沿って定める移動命令を含む。
【0006】
この場合、移動パスの計算は幾何学的形状の寸法に基づき、加工品の所望する仕上げ部品の幾何学的寸法によって調節され、仕上げ部品の輪郭が得られるまで、計算された工具パスを移動することにより、加工品の材料がパスごとに一般に除去される。この目的のために、制御データは、工作機械内の加工品の機械加工中にプログラム制御により工具の交換を自動的に命令し、および/またはプログラム制御により加工品の交換を自動的に命令し、よって制御データを使用することにより、工作機械上でプログラム制御によって工具のこれら交換および/または加工品のこれら交換が自動的に実行されるようにする命令を更に含むことができる。
【0007】
加工品から材料を除去するよう5の自由度で空間を通過するように工具を自由に移動させることができるようにする、少なくとも5本の軸を含むCNC制御工作機械は、特にユニバーサルに使用可能である。その理由は、ここで3の空間的方向の自由度(ほとんどの場合、直交軸、例えばx軸、y軸およびz軸と称される自由度)および2の角度自由度、すなわち2の回転自由度が任意の工具の配向または工具の配向の制御を可能にしているからである。5本の軸を有する今日のCNC工作機械は、プログラム制御により、5のいわゆる自由度で5本の軸を同時に駆動できるようになっている。ここで、従来技術は更に、6本の軸によるプログラム制御により5の自由度の工具制御装置を同時に駆動するよう6本の軸、特に3本の並進軸と3本の回転軸を含むCNC工作機械を更に開示している。基本的には7本以上の軸を有する工作機械も可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来技術が開示しているCNC工作機械では、所定の予備的条件下、あらかじめ決定した条件下および/またはある仮定、特に加工品が実際にクランプされた状況にあるという仮定のもとでそれぞれ制御データが計算され、発生される。従って、特に例えば制御データを発生するには、パス計算に基づくクランプされた状況の目標とする状態にある加工品に対するか、または加工品をクランプしているクランプ手段に対する工具の位置および/または工具の配向を正確に生じさせる制御データを発生するため、できるだけ精密なパスを計算できるように、工作機械のクランプ手段内にクランプされた状態にある加工品の位置または姿勢を特に知らなければならない。
【0009】
従って、従来技術に係わる制御データを発生するための方法は、パスを計算するために、機械加工すべき加工品がクランプされている理想的な状況の目標とする状態に従って、工作機械のクランプ手段内に正確にクランプされていることを特にあらかじめ仮定している。従って、発生された制御データを使用することにより、計算された工具のパスを移動しながら、工具によって加工品の機械加工をしているときには、パスデータの計算に従って加工品を正確に機械加工できるよう、クランプ手段内の加工品の位置および姿勢または配向が、パスデータの計算の根拠をなす、クランプされた状況の目標とする状態に正しく対応していることが更に必要である。
【0010】
この方法では、パス計算の根拠となるクランプされた状況からずれた状態または加工品のクランプされた状況の目標とする状態からずれた状態で、加工品がクランプ手段にクランプされている場合、発生された制御データを使用して工作機械で加工品を機械加工すると、加工品は誤って、または不正確に機械加工されてしまうという問題が生じる。
【0011】
ドイツ特許出願第DE10 2007 016 056A1号は、レーザーアブレーション機械にて、加工品を機械加工する際に、クランプされている加工品の回転角方向または並進方向のオフセット量を光学的に測定することを開示している。検出されたオフセット量に基づき、初期の製造データ、すなわちCAD/CAMデータが変更され、加工品の検出された実際のクランプ状態に応じ、CAD/CAM製造データからNCプログラムが発生され、このプログラムは次にレーザーアブレーション機械へ供給される。しかしながら、この方法には問題がある。その理由は、例えば大量生産において同じ加工品を連続的に機械加工する場合、加工品ごとにCAD/CAM製造データを変更しなければならず、このため、製造データに基づき、制御データを再び発生させなければならず、実行すべき実際の加工品の機械加工が同じであっても、加工品ごとに再びレーザーアブレーション機械へ制御データを送信しなければならないからである。従って、ドイツ特許出願第DE10 2007 016 056A1号によって開示されている方法は、個々の加工品の1回の機械加工にしか適しておらず、複数の加工品に対して同じ機械加工を行わなければならない、工作機械での大量生産および工作機械での加工品の機械加工には適していない。
【0012】
ドイツ特許第DE196 31 620A1号は、研削盤上で回転対称な加工品が研削ホイールによる機械加工を受ける場合に、加工品がクランプされている回転テーブルの軸に対する加工品の軸の傾斜を測定する方法について開示している。次に、加工品のテーブルの回転軸に対する回転軸の測定された傾斜に従い、研削ホイールの送り運動を調節する。しかしながらこの場合、回転対称な加工品の傾きの誤差を測定し、機械加工時にこの誤差を考慮しているに過ぎず、クランプされた加工品の並進変位量は考慮されていない。研削ホイールを使ってギアホイールを単に機械加工する場合には、加工品の軸に平行に研削ホイールを移動させるだけでよい。加工品の軸の方向の、実際にクランプされた状況にある加工品の変位量を正確に測定することは必要ではないので、ドイツ特許第DE196 31 620A1号によれば、このような正確な測定法は記載されていない。従って、ドイツ特許第DE196 31 620A1号によって開示された方法は、特に回転対称でない加工品を工作機械で機械加工するのに特に適していない。更にこの方法は、例えば回転対称な加工品の軸に平行な、研削ホイールの研削運動を実行するだけでなく、フライス工具またはドリル工具、例えばエンドフライスカッター、トーラスフライスカッター、チェリーまたはドラムフライスカッター、またはその他のドリル工具もしくはフライス工具を所望する場合に変更しながら、5の自由度で加工品に対する工具の複雑な運動を制御しなければならないような、少なくとも5本の軸を含む工作機械でのより複雑な機械加工には適していない。
【0013】
本発明の目的は、従来技術の方法の上記問題を解消できる、工作機械のクランプ手段にクランプされた加工品を機械加工するための工作機械で工具を制御するための変換された制御データを発生するための方法、装置およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【0014】
特に本発明の目的は、工作機械のクランプ手段に不正確に、またはクランプされた状況の目標とする状態からずれた状態で加工品がクランプされている場合でも、加工品の誤った、または不正確な機械加工を防止できる、工作機械のクランプ手段内にクランプされた加工品を機械加工するための、工作機械上の工具を制御するための変換された制御データを発生する方法、装置およびコンピュータプログラム製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
更に本発明によれば、工作機械のクランプ手段内にクランプされた加工品を機械加工するための工作機械上で工具を制御する制御データを発生するための方法および装置が提供され、この方法は、
クランプ手段内にクランプされた加工品のクランプ状況の目標とする状態を示すクランプされた状況の目標とする状態に従って、クランプされた加工品を機械加工するよう、所定の第1の工具の配向を有する第1の工具のパスに沿って、工作機械の工具を制御するための制御データを決定するステップと、
クランプ手段内にクランプされた加工品のクランプされた状況の実際の現在の状態を示す、クランプされた状況の現在の状態を検出するステップと、
クランプされた状況の現在の状態とクランプされた状況の目標とする状態との間の偏差を示す、クランプされた状況の現在の状態とクランプされた状況の目標とする状態との間のクランプされた状況の偏差を検出するステップと、
工作機械の工具が、クランプされた加工品を機械加工するように検出されたクランプされた状況の偏差に応じて決定された第2の工具配向を有する第2の工具パスに沿って移動するよう、決定されたクランプ状況の偏差に応じて工具を制御するステップとを備える。
【0016】
本発明によれば、上記目的は、工作機械のクランプ手段内にクランプされた加工品を機械加工するための、工作機械上で工具を制御するための変換された制御データを発生するための請求項1に記載の方法および変換された制御データを発生するための対応する請求項9に記載の装置によって達成される。
【0017】
更に本発明は、工作機械が上記本発明の装置を含む、変換された制御データを使用することにより、工具により加工品を機械加工するための少なくとも5本の軸を有する請求項13に記載の工作機械を提供するものである。
【0018】
更に本発明は、請求項16に記載のコンピュータプログラム製品および本発明に係わるコンピュータプログラム製品が記憶されている、請求項17に記載のデータ支持体を提供するものである。
【0019】
本発明の好ましい実施形態および例は、従属請求項に記載されている。
【0020】
工作機械のクランプ手段内にクランプされた加工品を機械加工するための工作機械上で工具を制御する制御データを発生するための本発明の方法は、クランプ手段内にクランプされた加工品のクランプ状況の目標とする状態を示すクランプされた状況の目標とする状態に従って、クランプされた加工品を機械加工するよう、所定の第1の工具の配向を有する第1の工具のパスに沿って、工作機械の工具を制御するための制御データを決定するステップを備える。
【0021】
特に本発明に係わる方法は、
クランプ手段内にクランプされた加工品のクランプされた状況の実際の現在の状態を示す、クランプされた状況の現在の状態を検出するステップと、
クランプされた状況の現在の状態とクランプされた状況の目標とする状態との間の偏差を示す、クランプされた状況の現在の状態とクランプされた状況の目標とする状態との間のクランプされた状況の偏差を検出するステップと、
検出されたクランプされた状況の偏差に応じて、決定された制御データのうちの少なくとも一部の変換を実行することにより、変換された制御データを発生するステップとを更に備える。
【0022】
ここで、「クランプ状況の現在の状態」なる用語とは、本発明のクランプ状況の偏差が、クランプされた状況の目標とする状態からの回転方向の偏差だけでなく、並進方向の偏差も含むような、クランプされている加工品の実際のクランプされている状況を意味する。
【0023】
このことは、本発明に係わる制御データを発生するための方法が、決定されたクランプされている状況の目標とする状態および/または根拠となるクランプされている状況の目標とする状態を使用することによって実行されるだけでなく、更に少なくとも検出された実際のクランプされている状況の現在の状態を更に使用することによっても実行され、このクランプされている状況の実際のクランプされている状況の現在の状態が、本発明に従って検出されている点で有利である。
【0024】
従って、加工品がクランプされている状況の目標とする状態からずれた状態でクランプされている場合、元のパスの計算に基づき、すなわちクランプされている状況の目標とする状態と比較して、傾斜または回転変位に関連させると共に、並進変位にも関連させてクランプされている状況の偏差を決定し、考慮することが好ましい。
本発明の方法では、検出されたクランプされた状況の現在の状態とあらかじめ決定されたクランプされた状況の目標とする状態とを比較することにより、このクランプされている状況の偏差を有利に検出し、変換された制御データは、加工品の検出されたクランプされている状況の偏差に応じて、変換された制御データを有利に発生できる。
【0025】
実際のクランプされている状況の現在の状態に適合した変換された制御データを発生し、加工品の正確な機械加工を可能にするよう、変換された制御データを発生するように、決定された制御データまたは制御データの少なくとも一部を変換によって変更するか、または変換して有利に使用する。特にこのことには、例えば大量生産で同じ加工品を機械加工するときに、特定の機械加工に従ってクランプされた状態の目標とする状態により、制御データの1つのセットだけを発生すればよく、この制御データのセットは、実際のクランプされている状況に従って個々の加工品の各々に対して別々に変換できるという利点がある。特に、最初に発生された制御データ、すなわち基礎となるNCプログラムは、すべての加工品に対し、1回だけ発生し、工作機械へ伝送するだけでよいことが望ましい。ここで、クランプ状況に適合した新しい制御データを発生し、送信することなく、各加工品に対して個々の1回の変換だけを行えばよい。
【0026】
この目的のため、本発明によれば、好ましくは、検出されたクランプされた状況の現在の状態に従って、決定されたクランプ状況の偏差値で加工品がクランプ手段内にクランプされている場合、クランプされている加工品を機械加工するための変換された制御データを使用することにより、検出されたクランプ状況の偏差に応じて、第2工具配向を有する第2工具パスに沿って、工作機械の工具を移動させる。
【0027】
従って、これによって変換された制御データを発生し、この変換された制御データの発生時に、加工品の実際のクランプ状況を考慮することにより、実際のクランプ状況に適合した態様で工作機械の工具を制御できるという利点が得られる。
【0028】
従って、工具を制御するための制御データの発生時に、クランプ状況の目標とする値からの、現在の実際のクランプ状況の現在の値の偏差がある場合、この偏差を検討し、補正することが可能である。従って、初期の制御データを満たす際に、誤ったクランプ状況にあるにもかかわらず、または目標とする状態からずれたクランプ状況にあるにもかかわらず、すなわち目標とするクランプ状況から並進方向に変位しているか、および/または回転方向に変位しているにもかかわらず、変換された制御データを使用することによって加工品は精密に機械加工される。この場合、制御データを、変換制御データに変換することにより、クランプ状況の目標とする値からのクランプ状況の偏差が補正されるように、好ましい態様で、変換された制御データが発生される。
【0029】
特に目標とするクランプ状況と比較したクランプ状況の並進方向の変位および回転方向の変位との双方を考慮する本発明の方法は、例えば少なくとも5本の軸を含む工作機械で複雑な機械加工をするのに適しており、この工作機械では、回転対称の加工品の軸に平行に、研削ホイールによる簡単な研削移動が行われるだけでなく、所望する場合にフライス工具またはドリル工具、例えばエンドフライスカッター、トーラスフライスカッター、チェリーまたはドラムフライスカッター、または他のドリル工具またはフライス工具を交換しながら、5の自由度で加工品に対する工具の複雑な運動も制御しなければならない。
【0030】
更に、ギアホイールのような回転対称の加工品を機械加工するための応用例とは別に、本発明の方法は、回転対称でない加工品を機械加工するのにも特に適す。ここで、驚くほど有利な態様で加工品の任意のクランプを選択することができ、この場合、工作機械内には既に初期制御データが存在する可能性があり、新しい制御データ、すなわち新しく発生されるCNCプログラムを発生/伝送することはできない。本発明によれば、目標とするクランプ状況と比較して、並進方向の変位だけでなく回転方向の変位も含む実際のクランプ状況を、初期に発生された制御データに基づいて検出する。その後、工具が加工品に対してあらかじめ決定された機械加工運動を行うように、変換された制御データ、すなわちダイレクト移動命令を発生できる。この場合、運動がどれだけ複雑であるか、すなわち少なくとも5本軸のすべてを同時に移動または制御するかということは、驚くことに無関係である。本発明の方法によれば、変換された制御データにより、5本以上の軸の駆動でさえも同時に実行できる。複雑な任意の機械加工パスに沿って工具を使用することにより、対称的加工品または非対称の加工品の特に複雑な機械加工の場合、所望する場合に少なくとも5本の軸を含む工作機械のすべての軸を同時に同期して駆動する場合でも、本発明から特別な利点が得られる。このことは特に、目標とするクランプ状況と比較した実際のクランプ状況の回転方向の変位および並進方向の変位の双方を、すべての空間的方向で測定するように、実際のクランプ状況またはクランプ状況の偏差を決定するという事実により可能となっている。
【0031】
提供されるかまたは発生されるCNCプログラムにより、上記制御データを検出し、決定することが好ましく、この制御データは、工具および/または加工品の移動を制御するよう、工具および/または加工品を制御するための工作機械の軸のうちの1本以上を駆動するようになっている移動命令または運動命令に対応することが好ましい。この目的のために、上記方法では、制御に基づくCNCプログラムを変更するだけでなく、加工品のクランプ状況に応じて移動命令を変換するか、または変更されていないCNCプログラムに基づき、直接変換された工作機械の移動命令を発生すること、すなわち例えば軸制御の最適なゼロポイントシフトにより変換された制御データを発生することも好ましい。このことは、リアルタイムで、工作機械上で直接、すなわち加工品の機械加工中の工作機械の数値制御時に直接、行うことが好ましい。
【0032】
好ましくは、加工品の中心軸と工作機械のクランプ手段の回転軸とが一致するよう、加工品は、クランプされた状況の目標とする状態で、工作機械のクランプ手段内にクランプされている。
【0033】
制御データの命令を所望する場合に、および好ましく使用することにより、クランプされている加工品が回転するときの中心となるクランプ手段の回転軸とクランプ状況の目標とする状態にある加工品の中心軸とが一致するという点で、このことは有利である。
【0034】
従って、クランプ状況の現在の状態と目標とする状態との間の偏差、すなわちクランプ状況の偏差は、次のようなパラメータによって簡単にパラメータ化できる。すなわちパラメータとして、例えば工作機械のクランプ手段の回転軸に対する加工品の中心軸の角度および/または加工品の中心軸とクランプ手段の回転軸との間の距離の距離パラメータ、例えば中心軸と回転軸の交点と工作機械のクランプ手段の回転軸に直交する平面との距離、例えばクランプ手段の回転軸と工作機械のクランプ手段の特定の高さにおけるクランプ手段の回転軸に対する直交平面との交点の間の距離、および/またはベクトル方向を示す距離パラメータが挙げられる。
【0035】
好ましくは、変換された制御データによるクランプされた状況の現在の状態に従ってクランプされている加工品の、工作機械上での機械加工が、決定された制御データによるクランプされた状況の目標とする状態に従ってクランプされている加工品の工作機械上での機械加工に対応するように、変換された制御データを発生するステップにおける変換を実行する。
【0036】
このことは、変換された制御データはクランプ状況の目標とする状態からの加工品のクランプ状況の偏差の補正値に正しく一致し、よって決定された制御データを使ってクランプ状況の目標とする状態に従いクランプされている加工品を機械加工するので、目標とする状態からずれた状態でクランプされている加工品を、変換された制御データを使用することによって正確に機械加工できるという点で有利である。
【0037】
好ましくは、工作機械のクランプ手段内にクランプされた加工品のクランプされた状況の現在の状態を検出するステップは、加工品の外側表面を光学的にスキャニングすること、誘導スキャニングすることおよび/または機械的にスキャニングすることまたは他の方法でスキャンニングすることを備える。
【0038】
これによって、加工品の異なる側面にある加工品の外側または外表面をスキャニングすることにより、加工品の外側または外表面上の加工品のポイントに対する異なる角度を測定し、よって光学的スキャニング、誘導的スキャニンおよび/または機械的スキャニングにより、実際のクランプ状況すなわちクランプ状況の現在の状態を検出できるという利点が得られる。
【0039】
このプロセスでは、例えば非可視レンジ内にある波長で、特に光または別のタイプの電磁放射線により、異なる角度で、加工品を異なる方向から光学的にスキャニングすることが可能となる。
【0040】
光学的スキャニングに加え、またはその代わりに、実際のクランプ状況を検出するように、検出要素によって異なる角度にて異なる方向から、加工品の外側または外表面を機械的にスキャニングすることも可能である。
【0041】
この目的のために、加工品の外側表面にある異なるポイントのそれぞれの位置を検出することにより、クランプされた状況の現在の状態に従って実際のクランプされた状況を決定するよう、工作機械のクランプ手段にクランプされた加工品を光学的、誘導的および/または機械的にスキャニングすることが好ましい。
【0042】
更に、工作機械のスキャニング手段により、光学的スキャニング、誘導的スキャニングおよび/または機械的スキャニングを自動的に行うことが好ましい。
【0043】
制御データを発生するステップにおいて、工作機械で決定された制御データをリアルタイムで、即ち加工中に工作機械の直接制御において、対応する工作機械の移動命令に変換することが好ましい。
【0044】
このことは、元のCNCプログラムを変更するのではなく、決定されたクランプ状況の偏差をクランプ状況に応じて使用することにより、リアルタイムで、すなわち加工品の機械加工中に工作機械での命令を変換することが好ましいことを意味する。所望する場合に、移動命令を実行するためにこの方法において工作機械での補正または変換としてクランプ状況の偏差に応じたゼロポイントシフトを実行し、リアルタイムで検出されたクランプ状況の偏差をリアルタイムで考慮し、対応する変換を実行する。
【0045】
決定された制御データは、工具位置データおよび工具配向データを含むことが好ましく、工具位置データは、時間内の第1ポイントにおける工具の第1の工具位置を示し、工具配向データは、時間内の第1ポイントにおける工具の第1の工具配向を示すことが好ましく、変換された制御データを発生するステップにおける変換は、工具位置データの変換された工具位置データへの変換および/または工具配向データの変換された工具配向データへの回転変換を含むことが好ましく、変換された工具位置データは、時間内の第1ポイントにおける工具の第2工具位置を示し、変換された工具配向データは、時間内の第1ポイントにおける工具の第2工具配向を示すことが好ましく、変換および/または回転変換は、時間内の第1ポイントにおいてクランプ状況の目標とする状態にある加工品に対する第1工具位置および第2工具配向が、時間内の第1ポイントにおけるクランプ状況の現在の状態にある加工品に対する第2工具位置および第2工具配向にそれぞれ対応するようになっていることが好ましい。
【0046】
このことは次の点で有利である。時間内の所定のポイント、例えば時間内の第1ポイントまたは時間内の複数の所定のポイントにおける、クランプ状況にある現在の状態の加工品のクランプ状況の偏移を、それぞれのポイントに関連化すべき正確な変換および/または回転変換によって実行でき、よって回転変換による変換および工具配向を使って時間内のそれぞれのポイントで工具位置を最適に補正できるという点で有利である。
【0047】
この方法は、好ましくはリアルタイムで発生された変換制御データに従い、工具を第2の機械加工のパスに沿って移動させるステップを更に備え、よって時間内の第1ポイントにおける変換された工具位置データおよび変換された工具配向データは、基本的には時間内の第1ポイントで発生され、第2機械加工パスを移動するステップ中の工具は、基本的には時間内の第1ポイントにおける第2の工具位置および第2の工具配向となることが好ましい。
【0048】
このことには次の利点がある。従来技術にかかわる工作機械における加工品の機械加工とは独立して、または機械加工する前に、クランプ状況の目標とする状態に基づき、所望する場合にコンピュータで、例えば従来のCAD/CAMシステムを使用することによって制御データを発生でき、よって工作機械に実際にクランプされている加工品の目標とする状態からクランプ状況がずれている場合、実際のクランプ状況に従って、変換された制御データへの変換により直接、リアルタイムで、すなわち工作機械での加工品の機械加工中に制御データを変換するという点で、最適に加工品の機械加工を実行できるという利点がある。
【0049】
このことは、好ましいことに、制御データの最初の計算の根拠となるクランプ状況からのクランプ状況の偏移を独立して行うことができるように、工作機械で自動的に実行できる。
【0050】
更に本発明は、上記方法の1つ以上に従い、所望する場合には例えば上記好ましい特徴事項のうちの1つ以上により、工作機械のクランプ手段内にクランプされた加工品を機械加工するための工作機械上で工具を制御する変換制御データを発生するための装置も提供する。
【0051】
本発明の装置は、クランプ手段内にクランプされた加工品のクランプ状況の目標とする状態を示すクランプされた状況の目標とする状態に従って、クランプされた加工品を機械加工するよう、決定された第1の工具の配向を有する第1の工具のパスに沿って、工作機械の工具を制御するための制御データを決定する制御データ決定手段を備える。
【0052】
更に、本発明に係わる装置は、クランプ手段内にクランプされた加工品のクランプされた状況の実際の現在の状態を示す、クランプされた状況の現在の状態を検出するためのクランプ状況の現在の状態検出手段と、クランプされた状況の現在の状態とクランプされた状況の目標とする状態との間の偏差を示す、クランプされた状況の現在の状態とクランプされた状況の目標とする状態との間のクランプされた状況の偏差を検出するクランプ状況偏差検出手段と、検出されたクランプされた状況の偏差に応じて、決定された制御データのうちの少なくとも一部の変換を実行することにより、変換制御データを発生する制御データ発生手段とを更に備え、工作機械の工具は、クランプされた加工品を機械加工するように検出されたクランプされた状況の偏差に応じて決定された第2の工具配向を有する第2の工具パスに沿って移動するよう、変換された制御データにより工具を制御することを特徴とする。
【0053】
このことは、特にクランプ状況の目標とする状態からの加工品のクランプ状況の偏差を考慮する変換された制御データ、従って発生された正しい制御データを発生するための、上記好ましい方法を実行できる装置が提供されるという点で、好ましい。
【0054】
本装置は、加工品をクランプするためのクランプ手段を備える工作機械内に設置する、即ち組み込むようになっていることが好ましい。
【0055】
このことには次の利点がある。すなわち装置を直接工作機械内に一体的に設置し、よって加工品の機械加工中にリアルタイムで変換された制御データを発生するよう、変換により制御データの補正を実行できるという利点がある。
【0056】
工作機械は、CNC制御データにより同時に駆動可能である少なくとも5本の軸を含むことが好ましい。ここで、工作機械は、少なくとも5本の軸を含むフライス/ターニング盤、またはターニング/フライス盤、フライス/ドリル盤または少なくとも5本の軸を含むユニバーサルマシニングセンターであることが好ましい。
【0057】
このことには次の利点がある。すなわち工具を制御するために3の並進自由度および2の回転自由度を含む5の運動自由度で、計算されたパスに沿って工具を移動できるという利点がある。更に、5の自由度での運動のフレキシビリティおよび自由度は、変換制御データを発生するために制御データを補正するのに必要な変換を、実際に工具ガイドにより運動力学的にも実行できることを保証する。
【0058】
更に、工作機械は、スキャニング手段を備え、工作機械のクランプ手段内にクランプされた加工品のクランプされた状況の現在の状態を検出するステップは、スキャニング手段の検出要素による加工品の外側表面の光学的スキャニング、誘導的スキャニングおよび/または機械的スキャニングを備え、光学的スキャニング、誘導的スキャニングおよび/または機械的スキャニングは、工作機械のスキャニング手段により自動的に実行される。
【0059】
このことは、工作機械自身がこの工作機械のクランプ手段内にクランプされた加工品のクランプ状況の現在の状態を検出できるようにするスキャニング手段を含むという点で有利である。
【0060】
更に本発明は、制御データを使用する工具により加工品を機械加工するための少なくとも5本の軸を有する工作機械を提供し、制御データは、クランプされた加工品を機械加工するために工具がどの配向でどの工具パスを移動するかを示し、この工作機械は、更に加工品をクランプするためのクランプ手段を備え、とくに本発明に係わる装置のうちの1つ以上が設けられている、かかる装置を含む。
【0061】
好ましくは、工作機械は、スキャニング手段を備え、工作機械のクランプ手段内にクランプされた加工品のクランプされた状況の現在の状態を検出するステップは、スキャニング手段の検出要素による加工品の外側表面の光学的スキャニング、誘導的スキャニングおよび/または機械的スキャニングを備え、光学的スキャニング、誘導的スキャニングおよび/または機械的スキャニングは、工作機械のスキャニング手段により自動的に実行されることが好ましい。
【0062】
最後に工作機械は、分割ヘッドおよび/または完全に一体化された回転軸、とくに好ましくはNC分割ヘッドおよび完全に一体化されたNC回転軸を含み、それぞれには加工品をクランプするためのクランプ手段が設けられており、これら分割ヘッドおよび/または完全に一体化された回転軸は、クランプされている加工品をクランプ手段の回転軸を中心として回転するようになっている。
【0063】
このことにより、工作機械のクランプ手段、例えば工具テーブル上に加工品をクランプすることが可能となるだけでなく、更に分割ヘッドのクランプ手段内に加工品を更にクランプすることも可能となり、分割ヘッドは次に所望する場合に工作機械のクランプ手段、例えば工具テーブル内にクランプできるようになっている工作機械で、本発明の方法および本発明の装置を採用または使用できるという利点を提供する。
【0064】
更にこのことは、従来の工作機械および分割ヘッド、特にNC分割ヘッドを有する従来の工作機械に本発明の方法および本発明の装置を採用できるという利点を提供する。
【0065】
最終的に本発明は、コンピュータプログラム製品と組み合わされるか、または制御データを発生するためのプログラム、例えばCAD/CAMプログラムおよびコンピュータプログラム製品と組み合わされたコンピュータが制御データを発生するための上記方法のうちの少なくとも1つを技術的に実行し、コンピュータのインターフェースを介し、工作機械へ、変換され、発生された制御データを所望する場合に伝送するようになっていることを特徴とするコンピュータプログラム製品を提供するものである。従って、本発明は、データキャリア上に上記コンピュータプログラム製品が記憶されていることを特徴とするデータ支持体も更に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】工作機械のクランプ手段にクランプされた加工品を機械加工するための工作機械の例を略図として示す。
【図2】工作機械の工具を制御するための制御データを発生することに基づき、加工品のクランプ状況の目標とする状態の例を略図として示す。
【図3A】図1の加工品のクランプ状況の目標とする状態例を略横断面図で示す。
【図3B】図3Aに示されたクランプ状況の目標とする状態に対してクランプ状況の状態がずれている、時間内の第1ポイントにおける加工品のクランプ状況の現在の状態の一例を略横断面図で示す。
【図3C】時間内の第1ポイントにおける工具の、クランプ状況の目標とする状態およびそれに対応する第1工具位置および第1工具配向にある、図3Aの加工品の例を示す略横断面図である。
【図3D】本発明の一実施形態において発生された変換制御データに従った、時間内の第1ポイントにおける加工品の、クランプ状況の現在の状態および時間内の第1ポイントにおける加工品の対応する第2工具位置および第2工具配向にある、図3Bの加工品の横断面を例として示す略図である。
【図4】(A)本発明に従って変換された制御データを発生するための方法の一実施形態に係わる加工品の位置の変換を例として示す略図である。 (B)本発明に従って変換された制御データを発生するための方法の一実施形態に係わる工具配向の変換を例として示す略図である。
【図5】本発明に従って変換された制御データを発生するための装置の一実施形態を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
次の記載では、図面を参照しながら、本発明に従い、変換された制御データを発生するための方法および装置の実施形態により、本発明について詳細に記載し、説明する。
【0068】
図1は、発生された制御データを使用することにより、加工品200を機械加工するための工具130を制御するようになっている工作機械100を例として示す。以下説明するこの実施形態では、工作機械100は5本の軸を含むフライス兼ドリル盤となっており、この工作機械は、工作機械100のクランプ装置およびクランプ手段120内にクランプされている加工品200から工具パスに沿って材料を除去するよう発生されたCNC制御データを使用するプログラム制御によって、計算された所定の工具パスにより、支持手段内に挿入されている工具130を取り外すようになっている。
【0069】
この目的のために、工作機械100は、加工品200をクランプするためのクランプ手段120を備える。工作機械100の好ましい実施形態では、クランプ手段120は、加工品200をクランプするための、工作機械100の工具テーブルに装着されたクランプ手段120となっており、よって工具テーブルを回転することにより、クランプ手段120の回転を通してクランプ手段120の中心軸Mを中心として加工品200を回転できるようになっている。
【0070】
しかしながら、本発明は、工具テーブルのクランプ手段内にクランプされた加工品を機械加工するための制御データを発生することだけに限定されるものでなく、本発明は更に、分割ヘッド、特にNC分割ヘッドのクランプ手段内に加工品がクランプされている場合に異なるクランプ手段内で機械加工するのにも使用できる。
【0071】
更に、図1において説明する実施形態における工作機械100は、発生されたCNC制御データを使用することにより、工具130を製造するようになっている制御装置110を備える。この目的のために、5軸工作機械100の制御装置110は、3本のリニア軸の方向に並進状態で工具を移動するようになっており、次の記載では、これらリニア軸をx軸、y軸およびz軸と称す。
【0072】
更に、制御装置110は、工具の配向を可能にするように、回転軸を中心として工具130をガイドするようになっている。従って、クランプ手段120および工具テーブルの回転運動軸と共に、軸の総数は5本となっており、これによって、クランプ手段120にクランプされている加工品200に対して、工具130を5の運動自由度で、特に3の並進運動自由度および2の回転運動自由度にて、自由に移動することが可能となっている。
【0073】
しかしながら本発明は、5軸工作機械だけに限定されるものでなく、6本以上の軸、例えば6軸、特に3本の並進軸および3本の回転軸を含む工作機械にも使用できる。また、5本よりも少ない軸を有する工作機械にも使用できる。
【0074】
図1における制御装置110は、スピンドル111を備え、このスピンドルは、工具130を駆動するようになっており、特に機械加工、特にフライス加工および/またはドリル加工により、加工品200からの材料の除去を可能にするよう、工具130の工具軸を中心に、工具130の回転運動を駆動するようになっている。
【0075】
更に、図1に示された工作機械100は、検出要素141を含むスキャニング手段140を備え、このスキャニング手段140は、加工品200をスキャニングするようになっており、特にクランプ手段120内の加工品200のクランプ状況を検出できるように、クランプ手段120の回転軸Mを中心として、異なる回転角において加工品200を数回スキャニングするようになっている。
【0076】
しかしながら本発明は、検出要素141を含むかかるスキャニング手段140を備えた工作機械100で使用することだけに限定されるものでなく、むしろ検出要素141を使用する機械的スキャニングにより、クランプ手段120内の加工品200のクランプ状況、特にクランプ手段120の回転軸を中心とする異なる回転角方向の位置におけるクランプ状況を検出することも可能であり、これまで説明した工作機械の実施形態とは異なり、検出要素141は、工具130に従って、制御装置110内で交換または置換されるようになっている。
【0077】
更に、工作機械100の上記実施形態は、検出要素141を使用する機械的スキャニングにより、クランプ手段120内の加工品200のクランプ状況を検出することについて記載するものである。しかしながら、本発明は加工品200のクランプ状況の検出を機械的スキャニングによって行うかかる工作機械100だけに限定されるものではなく、クランプ手段120内の加工品のクランプ状況を、光学的スキャニング、例えばレーザービームによって検出すようになっているスキャニング手段140を含む工作機械にも採用できる。
【0078】
レーザービームによる光学的スキャニングとは別に、光学的波長のレンジ内にない電磁放射線により、加工品を検出することも更に可能である。特に、検出要素141による機械的スキャニングと光学的および/または電磁スキャニングとの組み合わせにより、クランプ手段120内の加工品200のクランプ状況を検出するスキャニング手段140を含む工作機械100に対して、本発明を使用することも可能である。
【0079】
図2は、加工品200のクランプ状況の目標状態を例として示す。5軸CNC工作機械において、発生されるCNC制御データにより工具130を制御するのと同じように、制御データにより工具のパスをあらかじめ定めなければならず、工作機械100および制御装置110は、それぞれクランプ手段120内にクランプされた加工品に対して工具130、ここでは例えばエンドフライスカッターを制御データにより移動させるようになっている。従来技術によれば、工具130を制御するための制御データの発生は、クランプ状況の目標とする状態に対応するクランプ状況に基づいている。
【0080】
図2では、シリンダ形状の加工品200に対して、かかるクランプ状況の目標状態が示されており、図2は、x軸、y軸およびz軸の方向を例として示している。簡潔にするために、図2にはクランプ手段120は示されていない。しかしながら、図2に示されたクランプ状況の目標とする状態では、z軸に対応する加工品200の中心軸Mとクランプ手段120の回転軸Rとが一致しており、回転軸Rは、クランプ手段120がクランプ手段120内にクランプされた加工品200を回転できるようにするときの回転軸に対応している。
【0081】
図2に示されたクランプ状況の目標とする状態では、クランプされた加工品200の中心軸とクランプ手段120の回転軸Rとが一致しているとき、クランプされた加工品200は、クランプ手段120の回転軸Rを中心として回転するときには同じように加工品200の自らの中心軸Mを中心として回転する。特に加工品200がクランプ手段120の回転軸Rを中心として回転するときの一致に起因し、加工品200の中心軸Mは、クランプ手段120の回転軸Rを中心とするタンブリング(空中転回)運動を行わない。
【0082】
工具130は、制御データによってあらかじめ決定された工具のパスに沿って、制御データを使用することにより、クランプされた加工品200から材料を除去する。しかしながら、クランプされた加工品200の実際のクランプ状況が図2に示されているクランプ状況の目標とする状態からずれている場合、制御データはクランプ状況の目標状態に従ったクランプ状況に従って発生されたものであるので、加工品は制御データに基づいて誤った状態で機械加工されることになる。
【0083】
ここで、例えば加工品200の中心軸Mがクランプ手段120の回転軸Rに向かって、ある傾きまたはある角度となるように加工品200のクランプ状況がずれていた場合、加工品200がクランプ手段120の回転軸Rを中心として回転すると、この結果、加工品200のタンブリング運動または中心軸Mのタンブリング運動が生じる。この理由は、加工品200の中心軸Mとクランプ手段120の回転軸とが一致していないからである。
【0084】
図3Aは、図2に示されたクランプ状況の目標の状態にある、すなわち加工品200の中心軸Mとクランプ手段120の回転軸Rとが一致する状態のとき(図示されず)、時間t1における第1ポイントでの、図1に示された加工品200の横断面を示す。
【0085】
図3Bでは、時間t1内での第1ポイント(時点)のクランプ状況の現在の状態の例が横断面で示されている。図3Aと対照的に、クランプされている加工品200の中心軸Mは、角度θだけクランプ手段210の回転軸Rからずれている。時間t1内の第1ポイントにおける図3Bでのクランプ状況の現在の状態は、運動状況の目標とする状態からの実際のクランプ状況の現在の状態の角度の偏差の他に、角度θの傾きに加えて加工品200の位置が、図示されているベクトルVだけ並進状態でシフトされるように更にずれている。
【0086】
偏差、すなわちクランプ状況の目標とする状態とクランプ状況の現在の状態との間の偏差は、時間t1内の第1ポイントにおいて、加工品200の中心軸Mとクランプ手段120の回転軸Rとの間の角度の偏差θおよび時間t1内の第1ポイントにおけるベクトルVによって示される位置のシフトによって記述できる。
【0087】
図3Cは、図3Aに示されるように、クランプ状況の現在の状態にある時間t1内の第1ポイントにおける加工品200の横断面を再び示しており、発生された制御データによって時間t1における第1ポイントでの結果と同じように、図3Cには更に時間t1における第1ポイントでの工具130の工具の位置が更に示されている。このことは、工作機械100が制御装置110により、計算された工具パスに沿って工具130を制御し、よって時間t1における第1ポイントで工具が図3Cに示されるような工具位置および工具配向をとるように、制御データが発生されることを意味する。
【0088】
ここで、第1工具位置Wに対応する工具位置は、ベクトルによって示されている(x軸、y軸およびz軸に沿った3つの座標によって示されている)。時間t1内の第1ポイントでの工具130の配向は、角度θWO1によって記述される第1工具配向WOによって示されている。この場合、制御データは時間t1内の第1ポイントでの工具の位置を示すデータ、特に時間t1内の第1ポイントにおけるベクトルWの3つの座標を示す工具位置データと、角度θWO1による、時間t1内の第1ポイントでの工具130の第1工具配向WOを示す工具配向データとを含む。
【0089】
図3Cの図は、工具配向が現在x−z平面内にある一例として時間t1内のあるポイントが選択された、簡略化された図である。しかしながら、一般的には、工具の配向は、図3Cに示されているように、角度θWO1によって示されるだけでなく、(2の回転自由度に対応する)少なくとも2つの角度によっても示される。しかしながら、3つの座標値(位置データ)および2つの角度の値(配向データ)を示すことにより、それぞれの工具の位置を正確にパラメータ化できる。その理由は、CNC工作機械の5本の軸によって同時に駆動できる5のすべての自由度は、3つの位置座標および2つの角度パラメータにより、時間内の特定のポイントで、例えば時間t1内の第1ポイントで決定されるからである。
【0090】
図3Cに示される工具位置は、制御データを発生するときに加工品200のクランプ状況は、軸MとRとが一致するクランプ状況の目標とする状態に対応すると仮定し、時間t1内の第1ポイントに対する工具位置データおよび工具配向データを使用することにより、制御データによってあらかじめ定められる。次に、加工品300の実際のクランプ状況の現在の状態が、クランプ状況の目標とする状態からずれている場合、制御データを使用して、時間t1内の第1ポイントにおける、工具に対する所望する工具位置に対応しない工具の配向および工具位置へ、工具130を移動させる。
【0091】
図3Dは、時間t1内の第1ポイントにおける、図3Bに示されたクランプ状況の現在の状態に対応する加工品200を横断面で示す。ここで、加工品200に対する図3D内の工具位置が、図3Cに示されるように、加工品200に対する工具130の工具位置に正確に対応するよう、本発明に従って発生された変換された制御データによる予備的定義に従った工具130の工具位置が示されている。
【0092】
この目的のために、時間t1内の第1ポイントにおける工具位置が、図3D内のベクトルWによって示された第2工具位置Wに対応し、更に、時間内の第1ポイントにおける工具130の工具の配向が第2工具配向WOに対応するように工具が制御される。
【0093】
図4Aおよび4Bは、時間t1内の第1ポイントにおける制御データを、変換された制御データのうちの変換された工具位置制御データへ変換すること、および時間t1内の第1ポイントにおける制御データの工具配向データを、変換された制御データのうちの変換された工具配向データへ変換することを示している。
【0094】
図4Aは、図3Cに従った時間t1内の第1ポイントにおける第1工具位置を示すベクトルWを示す。従って、まず結果として別のベクトルW+vが結果として得られるように、加工品の位置のシフト(クランプされた状況の現在の状態とクランプされた状況の目標とする状況との間の、並進的偏差)に対応するベクトルvを、図3Bに示されるように加えることにより、時間t1内の第1ポイントにおけるベクトルWの座標を示す制御データの変換が行われる。しかしながら、このデータはまだ変換された工具位置データには対応していないが、この目的のために角度θだけベクトルW+vを回転するように、この制御データを変換しなければならない。ここで、角度θは、図3Bに示されるように、クランプされた状況の現在の状態とクランプされた状況の目標とする状態との間の回転偏差値に対応する。従って、ベクトルvに関する変換および角度θに関する別の回転変換をすると、換言すれば、次のように工具位置データから、変換された工具位置データへの次の変換を行うように変換マトリックスTに従った1回の変換を行うと、その結果、時間t1内の第1ポイントにおけるベクトルWの座標によって記述される第2工具位置が得られる。
(数1)
=T・W1.
【0095】
類似として、図4Bは、工具配向データから変換された工具配向データへの変換(回転変換)を示す。図4Bは、図3Cおよび3Dに示されるように、角度θだけずれている第1の工具配向WOおよび第2の工具配向WOの方向を記述する法ベクトルn(WO)およびn(WO)により、工具の配向を示している。従って、工具の配向データから変換工具配向データへの変換、および第1の工具配向WOおよび第2の工具配向WOからの変換は、それぞれ角度θだけの純粋な回転変換である。
【0096】
しかしながら、一般にこの回転変換は、図4Bに示されるように、任意の工具の配向がz−x平面になくても、任意の工具の配向を、これらからずれた任意の工具の配向にパラメータ化できるよう、図3Aおよび4Bに示されるように1つの角度θだけでなく、2つの角度によっても、時間内の特定のポイントでパラメータ化される。
【0097】
従って、上記のように本発明によれば、制御データを使って、変換された制御データが発生される。ここで、この変換は、本発明によれば、加工品200を機械加工するための変換された制御データを使用することにより工作機械100および制御装置110がそれぞれ工具130を制御するように、クランプされた状況の目標とする状態とクランプされた状況の現在の状態との間の、検出された偏差に応じて行われ、よって加工品200がクランプされた状況の目標とする状態に対応するクランプされた状況でクランプされているときに、制御データを使って加工品200が機械加工された場合に、機械加工が加工品の機械加工に正確に対応するよう、加工品がクランプされた状況の目標とする状態からずれたクランプ状況にあるにもかかわらず、加工品は正しく機械加工される。
【0098】
図5は、工作機械で工具130を制御するための、変換された制御データを発生するための本発明の装置300の一実施形態を示し、この装置300は制御データ決定手段310と、クランプされた状況の現在の状態を検出する手段320と、クランプされた状況の偏差を検出する手段330と、制御データ発生手段340とを備える。
【0099】
制御データ決定手段310は、工作機械100の工具130がどの第1の工具パスを移動すべきであるかを示し、加工品がクランプされた状況の目標とする状態に従ってクランプされている場合に、クランプされている加工品200を機械加工するためのどのような工具配置にするかを示す制御データを決定するようになっている。
【0100】
この目的のために、本実施形態に係わる装置300は、制御データを発生するための手段と通信するようになっているインターフェース350aを備え、よって制御データ決定手段310は、このインターフェース350aを介し、別のシステムによって発生される制御データを決定できる。この目的のためには、制御データ決定手段310は、制御データに基づき、クランプされた状況の目標とする状態を更に決定しなければならない。
【0101】
しかしながら、本発明は、制御データ決定手段310が外部ソースからの発生された制御データをインターフェース350aを介して決定できるようになっている実施形態だけに限定されることはなく、むしろ本発明の別の実施形態に係わる装置300を、システムの1つのコンポーネントとすることもでき、特に、既に制御データを発生したCAD/CAMシステムと組み合わせたコンピュータシステムの1つのコンポーネントとすることもできる。
【0102】
クランプされた状況の現在の状態を検出する手段320は、加工品200の実際のクランプされた状況を検出するようになっており、ここで、この実施形態では、クランプされた状況の現在の状態を検出する手段320は、インターフェース350bを介し(この他にインターフェース350aも介し)、工作機械100のスキャニング手段140に接続されており、スキャニング手段は、異なる回転角方向の位置において加工品200の機械的および/または光学的スキャニングを実行する。
【0103】
更に装置300は、クランプされた状況の現在の状態を検出する手段320によって検出された加工品200のクランプされた状況とクランプ状況の目標とする状態とを比較して使用することにより、クランプされた状況を検出するようになっている、クランプされた状況の偏差検出手段330を備え、このクランプされた状況の偏差検出手段330は、クランプ手段120の回転軸Rからの、クランプされた加工品200の中心軸Mの回転方向の偏差、更に例えば図3BにおけるベクトルVに従った並進シフトを所望する場合に検出する。
【0104】
更に装置300は、本発明の方法の上記実施形態のうちの少なくとも1つに従って、変換された制御データを発生するようになっている制御データ発生手段340を備える。この実施形態によれば、工作機械100が制御データ発生手段340によって発生された制御データを使用することによって、工具130を制御できるよう、インターフェース350aを介して工作機械100の制御装置と通信するようになっている。この目的のために、変換された制御データを所望する場合にリアルタイムで発生できるよう、本発明の一実施形態では、工作機械100に装置300を取り付けてもよいし、または工作機械内に組み込んでもよい。この場合、制御データ発生手段340は、発生された制御データを使用することにより、プログラム制御により工具を制御するよう、時間内の特定のポイントで実質的に同時に、制御データを制御データ発生手段により発生するように、変換された制御データを発生する。
【0105】
しかしながら、本発明はリアルタイムで実行される変換された制御データをこのように発生する方法だけに限定されず、その代わりに、制御データおよびクランプされた状況の現在の状態とクランプされた状況の目標とする状態との間のクランプされた状況の検出された偏差をまず使用することによって、変換された制御データをその後発生し、よって制御データにより工具130を制御できるように、変換され、発生された制御データをその後の工程でしか工作機械100へ伝送しないようにしてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械(100)のクランプ手段(120)内にクランプされた加工品(200)を機械加工するための工作機械(100)上で工具(130)を制御する制御データを発生するための方法であって、
前記クランプ手段(120)内にクランプされた前記加工品(200)のクランプ状況の目標とする状態を示すクランプされた状況の目標とする状態に従って、前記クランプされた加工品(200)を機械加工するよう、決定された第1の工具の配向(WO1)を有する第1の工具のパスに沿って、前記工作機械(100)の前記工具(130)を制御するための制御データを決定するステップを備える、工具を制御する制御データを発生するための方法において、
前記クランプ手段(120)内にクランプされた前記加工品(200)の前記クランプされた状況の実際の現在の状態を示す、クランプされた状況の現在の状態を検出するステップと、
前記クランプされた状況の現在の状態と前記クランプされた状況の目標とする状態との間の偏差を示す、前記クランプされた状況の現在の状態と前記クランプされた状況の目標とする状態との間のクランプされた状況の偏差を検出するステップと、
前記検出されたクランプされた状況の偏差に応じて、前記決定された制御データのうちの少なくとも一部の変換を実行することにより、変換された制御データを発生するステップとを更に備え、
前記工作機械(100)の前記工具(130)が、前記クランプされた加工品(200)を機械加工するように前記検出されたクランプされた状況の偏差に応じて決定された第2の工具配向(WO2)を有する第2の工具パスに沿って移動するよう、前記変換された制御データにより前記工具を制御することを特徴とする、工具(130)を制御するための制御データを発生する方法。
【請求項2】
前記加工品の中心軸(M)と前記工作機械(100)の前記クランプ手段(120)の回転軸(R)とが一致するよう、前記加工品(200)は、クランプされた状況の目標とする状態で、前記工作機械(100)の前記クランプ手段(120)内にクランプされていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変換された制御データによる前記クランプされた状況の現在の状態に従ってクランプされている前記加工品(200)の、前記工作機械(100)上での機械加工が、前記決定された制御データによる前記クランプされた状況の目標とする状態に従ってクランプされている前記加工品(200)の前記工作機械(100)上での機械加工に対応するように、前記変換された制御データを発生するステップにおける前記変換を実行することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記工作機械(100)の前記クランプ手段(120)内にクランプされた前記加工品(200)の前記クランプされた状況の現在の状態を検出する前記ステップは、前記加工品(200)の外側表面を光学的にスキャニングすること、誘導スキャニングすることおよび/または機械的にスキャニングすることを備える、請求項1〜3のうちの少なくとも1項に記載の方法。
【請求項5】
前記加工品(200)の前記外側表面にある異なるポイントのそれぞれの位置を検出することにより、前記クランプされた状況の現在の状態に従って実際のクランプされた状況を決定するよう、前記工作機械の前記クランプ手段にクランプされた加工品を光学的、誘導的および/または機械的にスキャニングすることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記工作機械(100)のスキャニング手段(140)により、前記光学的スキャニング、誘導的スキャニングおよび/または機械的スキャニングを自動的に行うことを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記制御データを発生するステップにおいて、前記工作機械で決定された制御データをリアルタイムで、対応する工作機械の移動命令に変換することを特徴とする、請求項1〜6のうちの少なくとも1項に記載の方法。
【請求項8】
リアルタイムで発生された前記変換された制御データに従い、前記工具(130)を前記第2の機械加工のパスに沿って移動させることを特徴とする、請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工作機械(100)のクランプ手段(120)内にクランプされた加工品(200)を機械加工するための工作機械(100)上で工具(130)を制御する制御データを発生するための装置であって、
前記クランプ手段(120)内にクランプされた前記加工品(200)のクランプ状況の目標とする状態を示すクランプされた状況の目標とする状態に従って、前記クランプされた加工品(200)を機械加工するよう、決定された第1の工具の配向(WO1)を有する第1の工具のパスに沿って、前記工作機械(100)の前記工具(130)を制御するための制御データを決定する制御データ決定手段(310)を備える、工具を制御する制御データを発生するための装置において、
前記クランプ手段(120)内にクランプされた前記加工品(200)の前記クランプされた状況の実際の現在の状態を示す、クランプされた状況の現在の状態を検出するためのクランプ状況の現在の状態検出手段320と、
前記クランプされた状況の現在の状態と前記クランプされた状況の目標とする状態との間の偏差を示す、前記クランプされた状況の現在の状態と前記クランプされた状況の目標とする状態との間のクランプされた状況の偏差を検出するクランプ状況偏差検出手段330と、
前記検出されたクランプされた状況の偏差に応じて、前記決定された制御データのうちの少なくとも一部の変換を実行することにより、変換された制御データを発生する制御データ発生手段340とを更に備え、
前記工作機械(100)の前記工具(130)が、前記クランプされた加工品(200)を機械加工するように前記検出されたクランプされた状況の偏差に応じて決定された第2の工具配向(WO2)を有する第2の工具パスに沿って移動するよう、前記変換された制御データにより前記工具を制御することを特徴とする、工具(130)を制御する制御データを発生するための装置。
【請求項10】
前記装置は、前記加工品(200)をクランプするための前記クランプ手段(120)を備える工作機械(100)内に設置するようになっていることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記工作機械(100)は、少なくとも5本の軸を含み、これら5本の軸は、CNC制御データにより同時に駆動可能であることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記工作機械(100)は、スキャニング手段(140)を備え、前記工作機械(100)の前記クランプ手段(120)内にクランプされた前記加工品(200)の前記クランプされた状況の現在の状態を検出する前記ステップは、前記スキャニング手段(140)の検出要素(141)による前記加工品(200)の外側表面の光学的スキャニング、誘導的スキャニングおよび/または機械的スキャニングを備え、前記光学的スキャニング、誘導的スキャニングおよび/または機械的スキャニングは、前記工作機械(100)の前記スキャニング手段(140)により自動的に実行されることを特徴とする、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
加工品(200)をクランプするためのクランプ手段(120)と、工具(130)がどの工具パスを移動するかを示すと共に前記クランプされた加工品(200)を機械加工するためにどんな工具の配向にするかを示す制御データにより前記工具(130)を制御するための制御手段とを備え、前記工具(130)により前記加工品(200)を機械加工するための少なくとも5本の軸を含む工作機械であって、
前記工作機械(100)は、請求項9〜12のいずれかに記載の装置(300)を備えることを特徴とする工作機械。
【請求項14】
前記工作機械(100)は、スキャニング手段(140)を備え、前記工作機械(100)の前記クランプ手段(120)内にクランプされた前記加工品(200)の前記クランプされた状況の現在の状態を検出する前記ステップは、前記スキャニング手段(140)の検出要素(141)による前記加工品(200)の外側表面の光学的スキャニング、誘導的スキャニングおよび/または機械的スキャニングを備え、前記光学的スキャニング、誘導的スキャニングおよび/または機械的スキャニングは、前記工作機械(100)の前記スキャニング手段(140)により自動的に実行されることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
工作機械(200)をクランプするためのクランプ手段(120)を有すると共に、前記クランプ手段(120)の回転軸(R)を中心として、前記クランプされた加工品(200)を回転するようになっている分割ヘッドを備えることを特徴とする、請求項13または14に記載の工作機械。
【請求項16】
コンピュータで読み取り可能な媒体と、この媒体内部に記憶されたコンピュータプログラムを備え、前記コンピュータプログラムは、データ処理装置のデータ処理手段により処理されるように設定された命令に対応する一連の状態として記憶されており、よってコンピュータプログラム製品と組み合わされるか、または制御データを発生するためのプログラムおよび前記コンピュータプログラム製品と組み合わされた前記データ処理装置が、請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の方法を実行するようになっているコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−225141(P2010−225141A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−26271(P2010−26271)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(506381599)ディッケル マホ プロンテン ゲーエムベーハー (16)
【Fターム(参考)】