説明

工業炉における金属材料/金属ワークピースの熱処理用のプロセスガスを制御する方法およびその装置

【課題】保護ガスをパージせずに再利用するタイプの工業炉における金属材料のワークピースの熱処理用のプロセスガスを制御する方法および装置において、安全性とプロセスガスの節約を提供する。
【解決手段】処理チャンバ2と燃焼弁4.1を備える燃焼部4と、圧力計5.1を備える制御装置5とを有する工業炉1において、燃焼弁が開放されている第1のステップで一定量のプロセスガス6をパージガス6.1として、工業炉に制御しながら供給し、その後燃焼させ、第2のステップで燃焼弁を閉鎖し、工業炉を予め設定された炉内圧力に制御すると共に圧力計によって継続的に測定し、工業炉の基準圧力に達すると、第3のステップで基準圧力を圧力計によって測定すると共に維持し、ここで燃焼弁は引き続き閉鎖したまま維持する、方法および装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業炉における金属材料/金属ワークピースの熱処理用のプロセスガスを制御する方法およびその装置に関する。工業炉は、少なくとも1つの処理チャンバと、気密的に閉鎖可能な弁を備える少なくとも1つの燃焼部と、圧力制御装置とを含んでおり、前記プロセスガスの少なくとも1つの成分が、少なくとも1つの、プロセスに関連する調製チャンバにおいて調製される。
【背景技術】
【0002】
一般に、工業炉では、例えば一般的なガス浸炭処理において、パージ工程を用いることが知られている。これはつまり、持続的に一定の量の保護ガスが、炉に連続的に供給され、燃焼部において燃焼し(燃え尽きて)炉から排出されることを意味している。このパージ工程は、新たに供給された保護ガス、および/または、天然ガス−空気−混合物を連続的に混合することによって、雰囲気内に準定常の平衡状態を実現し、これによってCポテンシャルを調節可能にするために、不可欠な工程である。
【0003】
この連続的な炉パージ技術の欠点としては、第1に、燃焼部において保護ガスが燃え尽きる際の熱損失、および、第2に、基本的なガス損失が挙げられる。このガス損失は、プロセスガスの新たな成分によって補償される必要がある。さらに、燃え尽きたガスは、そのCポテンシャルがもう利用することができないレベルなので、燃焼部で燃焼させる。
【0004】
DE 10 2008 029 001.7 B1では、工業炉におけるガス制御のプロセス効果を、次のように改善している。すなわち、浸炭用の炭化水素を必要に応じて供給することにより、保護ガス中のCポテンシャルを制御すると共に、制御不能なおよび/または望ましくない反応を防止し、このことにより、保護ガスを節約して熱エネルギーの損失を低減させている。このようにして、ガス浸炭用の新規な保護ガス再循環システムが実現されている。この保護ガス再循環システムでは、工業炉の調製チャンバにおいて、二酸化炭素、酸素および水蒸気という成分が、触媒の助けを借りて、供給された炭化水素と反応し、再び一酸化炭素および水素になる。このシステムの利点は、既に「消費された」保護ガス、すなわちCポテンシャルが低い保護ガスを再利用できることである。Cポテンシャルの調節は、処理チャンバの調製チャンバにおいて行われる。「調製された」保護ガスは、その後、1以上の供給点を介して、再び処理チャンバ内に供給することができ、このことにより、ガス浸炭の循環プロセスが実現される。
【0005】
ここで、保護ガスがもう燃焼しなくなると、中間ステップである内部または外部の調製チャンバにおける調製ステップを経た後に、再び加熱チャンバに供給される。すなわち、保護ガスは、再循環させられる。このようにして、保護ガスは、従来のようにパージされずに再利用される。
【0006】
加熱チャンバ内での浸炭工程の間、CO、HOおよびOの濃度は上昇し、C量は低下する。もう燃焼しなくなった消費されたガスは、ファンによって、加熱チャンバから離間配置された前述の調製チャンバへ導かれる。調製チャンバでは、天然ガスが適切な量となるように制御して供給することによって、C量のエンリッチが行われる。この場合、次の反応が起こり、これらの濃度は、再び低下する。
【0007】
DE 10 2008 029 001.7 B1に記載されているガス処理法は、DE 10 2009 038 598.3において発展させられており、保護ガスの生成およびエンリッチ化が別個の調製工程として行われ、バッチから分離されている。このため、バッチに、常に均質のガス雰囲気を適用することができる。
【0008】
しかし、工業炉は、プロセスに応じた理由および安全技術的理由により、例えば上述のプロセスガスによって熱処理を行う際に、気密的に閉鎖可能な弁を有する燃焼部と圧力調節装置とを必要としている。圧力調節装置は、持続的な燃焼工程には優先的には寄与しないが、爆発防止の機能を有している必要がある。これに関して、国内で公知の燃焼部は、持続的なガス流を機能的な特徴としているため、ガス損失が高くなるという欠点を有している。このことは、機械構造的には、炉室に生じた過圧を除去するための安全弁を設けることによって解決することができるが、安全弁は完全に気密的に閉鎖することができないという問題点がある。また、安全弁は、一般的に、制御することはできず、事前に設定した経験的な値に従って開閉するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE 10 2008 029 001.7 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、上述した保護ガスをパージせずに再利用するタイプの工業炉における金属材料/金属ワークピースの熱処理用のプロセスガスを制御する方法および装置であって、燃焼部が、プロセスガスに関連する要求に応じてのみ開かれる、すなわち、安全技術的な条件およびプロセスガスを節約するという条件を満たすことができる方法および装置を実現することにある。このことは、プロセスに応じた様々な量の燃焼量を可能にする弁およびスライド弁を有する構成によって実現することができる。
【0011】
上記課題は、少なくとも1つの処理チャンバと、少なくとも1つの第1の弁を備える少なくとも1つの燃焼部と、圧力計を備える圧力調節装置とを有する工業炉における、金属材料/金属加工品の熱処理用のプロセスガスを調節する方法であって、上記プロセスガスは、各ガス混合物の少なくとも1つの成分において、境界を区切ることが可能な領域内で調製され、および/または、1つのステップであるパージガス処理にて、パージガスとして使用される方法において、次のことによって根本的に解決される。
(a)燃焼弁が開放している第1のステップにおいて、一定の量の、各プロセスガスのガス混合物のうちのパージガスを、(好ましくは調節しながら)工業炉に供給し、その後、燃焼させる。
(b)上述のパージガス処理ステップの後の第2のステップにおいて、燃焼弁を閉鎖し、任意により、少なくとも1つのフレッシュガス弁を調節し、該少なくとも1つのフレッシュガス弁が、炉の圧力を維持するために十分な量の、プロセスガスの各ガス混合物のうちのフレッシュガスを提供するようにして、工業炉を、予め設定された炉圧力に調節すると共に、圧力計によって持続的に測定する。
(c)工業炉の基準圧力に達すると、第3のステップにおいて、この圧力が引き続き圧力計を介して測定されると共に維持されるように、フレッシュガス弁を調節する。この段階では、場合によっては発生する損失ガスの量だけを置き換えるために、燃焼弁は、引き続き閉鎖された状態を保持している。
【0012】
好ましくは、第4のステップにおいて、パージガス処理(ステップ1参照)を作動させると共に調整してもよい。
【0013】
本方法は、圧力上昇が大きい場合に、第5のステップにおいて、燃焼部の超過圧力弁を、圧力除去のために制御して、一定の限界値を超えた場合には、開放することによって、さらに発展される。
【0014】
プロセスにとってC量の調節が必要な場合、C量を、炉制御装置の圧力調節には無関係に、少なくとも1つのCポテンシャル調節器によって調節し、ガスおよび空気の供給を介して設定することが可能である。
【0015】
本方法は、一貫した原理に従って動作する、工業炉(1)における金属材料/金属加工品の、回分式の熱処理のため、または熱処理時に適用可能である。
【0016】
第4のステップにおいて作動されたパージガス処理は、装入物の移動前、装入物の交換前、または装入物の搬入前に、調整することが可能である。
【0017】
この制御されたパージガス処理は、パージ時間が経過するまで、または、選択されたCO含有量に達するまで作動させることが可能である。
【0018】
炉室からキャリアガス(Fremdgas)の残りを除去するために、炉制御装置から、パージガス処理の指令を出すことが可能である。
【0019】
本方法は、特に、保護ガス再循環システムにおける適用に適している。この保護ガス再循環システムでは、ガス浸炭のために、工業炉の内部または外部の調製チャンバにおいて、二酸化炭素、酸素、および水蒸気という成分が、供給された炭化水素と反応して、再び一酸化炭素および水素に再循環する。
【0020】
圧力上昇が大きい場合には、第5のステップにおいて、第1のステップから第4のステップの間に、それ自体が理想的に気密的に閉鎖された、燃焼部の超過圧力弁を開放する。
【0021】
燃焼部における手動スライド弁の使用によって、本方法は、特殊な場合にも利用可能である。特殊な場合とは、損失ガスの量が極めてわずかであるため、炉雰囲気の減耗が生じ、そのため、通常の燃焼量よりも少ない所定の少量のガスを持続的に燃焼させなければならないような場合である。
【0022】
本方法の利点を、第1の方法ステップから第5の方法ステップまでの経過を組み合わせることによって、特に発展させることが可能である。これは、
第1のステップでは、装入物の交換後の制御の目的で、燃焼弁を開放した状態で、工業炉に、ガス混合物のパージガスの量を供給して燃焼させ、炉室からキャリアガスの残りを取り除く。この制御されたパージガス処理は、パージ時間が経過するまで、または、例えば工業炉の加熱チャンバ内が選択されたCO含有量に達するまで作動された状態を維持し、パージガス処理の指令は、炉制御部から出される。
上述のパージ段階後の第2のステップにおいて、制御の目的で、上述の燃焼弁を閉鎖して、フレッシュガス弁を制御し、該フレッシュガス弁が、圧力上昇に必要な量のフレッシュガスを提供するようにして、制御装置が、工業炉を、予め設定された炉内圧力にする。この炉内圧力は、圧力計によって継続的に測定される。
第3のステップにおいて、炉基準圧力に達した際の制御の目的で、この圧力が、引き続き炉内圧力計によって測定されながら、維持されるように、上述のフレッシュガス弁を制御する。この段階では、燃焼弁は、例えば非密封によって必要な量の損失ガスだけを置き換えるために、引き続き閉じられており、プロセスに必要なC量は、炉制御部の圧力制御には無関係に制御され、ガスおよび空気の供給を介して設定され、この段階では、燃焼弁は、通常の場合、閉じられている。
第4のステップにおいて、パージガス処理(ステップ1を参照)を作動させ、例えば、ドアおよび装入物を動かす前に、パージガス処理を調整する。そして最後に、
圧力上昇が大きい場合、第5のステップにおいて、超過圧力弁を、圧力除去のために制御して、一定の限界値を超えた場合には、開放する。
【0023】
本発明の原理において、プロセスガスを、各ガス混合物の少なくとも1つの成分において調製するための、境界を区切ることが可能な上述の領域は、
・圧力、
・温度、および/または
・プロセスガスの成分の組成の、大きさを有している。
【0024】
さらに、工業炉の上述の調製チャンバは、DE 10 2008 029 001.7 B1に従って内部に、または、DE 10 2009 038 598.3に従って外部に構成されていてよい。ここで、外部に構成されている場合、保護ガスの生産およびエンリッチは、別個の調製工程として、および、装入物から分離されて行われる。
【0025】
本発明を実施するための装置は、
(a)プロセスガスを調製するための調製チャンバと、
(b)一定の量の、ガス混合物のうちのパージガスを制御しながら排出するための少なくとも1つの燃焼弁を備える、パージガスを燃焼させるための少なくとも1つの燃焼部と、
(c)予め設定可能且つ持続的に測定可能な炉圧力用の圧力計を備える圧力調節装置と、
(d)圧力を上昇させるために必要な量の、プロセスガスの各ガス混合物のうちのフレッシュガスを提供するためのフレッシュガス弁とを、有している。
【0026】
本装置は、制御しながら圧力を除去するための、燃焼部の気密的に閉鎖可能な超過圧力弁によって、完全なものになる。
【0027】
炉制御装置の圧力調節に無関係に機能するCポテンシャル調節器によって、ガスおよび空気の供給の調節された設定が行われる。
【0028】
炉の損失ガスの量が極めてわずかであるような特殊な場合のために、手動スライド弁が設けられている。これは、雰囲気組成を維持するために少なくとも必要な損失ガスの量を、ガスの燃焼によって生成するためのものである。
【0029】
本装置は、弁として、電磁弁または位置調節が可能な弁を含む。これらの弁は、炉内のプロセスの状態に応じて駆動され、流れを燃焼部に向かって放出する。異なる燃焼管において、異なるガスの量を燃焼させることが可能である。様々な弁を、プログラムステップ、炉圧力、および雰囲気組成に応じて駆動させ、これによって、最小限必要とされる量のガスだけを燃焼させる。異常が生じた場合には、全ての弁が流れを放出し、これによって、素早く炉室をパージすることが可能である。しかし、従来からも通例であった超過圧力弁は、本発明によれば、規定の炉圧力まで調節されながら密閉された状態で閉鎖され、規定の炉圧力を超過した場合には調節されながら開放され、従って、(同じくほぼ調節されながら)素早い圧力除去が確保されるように構成されている。
【0030】
炉圧力の調節は、ガス混合物を制御しながら供給することによって行われる。ここで、燃焼部は、通常の場合、超過圧力弁によって閉鎖されている。圧力を調節するために、炉圧力を持続的に測定し、圧力を保持するために必要な量の混合物を供給する。
【0031】
圧力を上昇させるガス処理では、最小炉圧力より下回った際に、最大限可能な量のガス混合物を、設定された弁の開放時間が経過するまで、または予め設定された炉圧力に達するまで、供給する。ここで、燃焼弁の制御は、炉圧力の調節と同様に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る調節方法の経過を、選択された一実施形態における概略的なブロック図として示す図である。
【図2】燃焼弁と、手動スライド弁および電磁弁を備える第2の燃焼管との構成に関する、一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
処理チャンバ2を備える工業炉1が、図1の例示的な実施形態に概略的に示されている。処理チャンバ2は、圧力計5.1を介して制御装置5に接続されている。制御装置5は、一般的な炉制御部9からパージガス処理の要求信号を受け取る。また、制御装置5は、Cポテンシャル制御部3から、炉内のCポテンシャル(C量)の調節の要求信号を受け取る。さらに、制御装置5には、圧力計5.1により測定された炉内の圧力の測定値と、CO分析器8により測定された炉内のCO濃度の測定値とが入力される。
【0034】
制御装置5は、燃焼部4の燃焼弁4.1の開放または閉鎖を命令する信号、および、フレッシュガス弁7の開放または閉鎖を命令する信号を出力する。燃焼弁4.1およびフレッシュガス弁7は、例えば、電磁弁であり得る。
【0035】
以下、本発明の方法について説明する。
【0036】
第1のステップでは、例えば装入物の交換後に、燃焼弁4.1を開いた状態で、フレッシュガス弁7を開いて、工業炉1の処理チャンバ2にプロセスガス(ガス混合物)をパージガス6.1として供給し、処理チャンバ内の残留ガスを燃焼部4にパージして、燃焼部4において燃焼させる。この制御されたパージガス処理は、予め定められたパージ時間が経過するまでか、あるいは、処理チャンバ2内のCO濃度が予め設定されたCO濃度に達するまで行われる。処理チャンバ(詳細には図示されていない)内のCO濃度は、CO分析器8によって測定する。パージガス処理の命令は、一般的な炉制御部9から出される。
【0037】
第2のステップでは、上述の第1のステップ(パージステップ)の後、燃焼弁4.1を閉じた状態で、制御装置5によりフレッシュガス弁7を制御し、処理チャンバ2内の圧力を上昇させるのに必要な量のプロセスガスをフレッシュガスとして処理チャンバ2へ供給することによって、前記処理チャンバ内の圧力が予め設定された目標圧力になるようにする。処理チャンバ2内の圧力は、圧力計5.1によって継続的に測定する。
【0038】
第3のステップでは、処理チャンバ内の圧力が目標圧力に達した後、圧力計5.1で処理チャンバ内の圧力を継続的に測定し、処理チャンバ内の圧力が目標圧力に維持されるように、制御装置5によってフレッシュガス弁7を制御する。このステップでは、例えば漏出に起因するガス損失を補償するために、燃焼弁4.1は閉じられている。プロセスに必要なC量は、制御装置5による処理チャンバ内の圧力制御とは独立して、Cポテンシャル制御部3によって制御される。具体的には、処理チャンバ内に、ガスや空気を供給することにより制御する。
【0039】
これによって、本方法の原理が規定される。
【0040】
本実施例では、第4のステップにおいて、パージガス処理(ステップ1参照)を実施し、例えば、ドアおよび装入物を動かす前に、パージガス処理を行う。
【0041】
最後に、処理チャンバ内の圧力が予め設定された限界値を超えた場合、第5のステップにおいて、燃焼部4の安全弁4.3を開いて、処理チャンバ内の圧力を減少させるようにすることも可能である。
【0042】
このために、本方法を実施するための装置は、基本的に、
プロセスガスを調製するための調製チャンバ2と、
少なくとも1つの燃焼弁4.1を備える、パージガス6.1を燃焼させるための少なくとも1つの燃焼部4と、
予め設定可能でありかつ処理チャンバ内の圧力を継続的に測定可能な圧力計5.1を備える制御装置5と、
処理チャンバ内の残留ガスを燃焼部にパージするのに必要な量のプロセスガス(パージガス6.1)、または、処理チャンバ内の圧力を上昇させるの必要な量のプロセスガス(フレッシュガス6.2)を処理チャンバ2に供給するための少なくとも1つのフレッシュガス弁7と、
処理チャンバ内の圧力を制御的に減少させるための、燃焼部4に設けられた密閉的に閉鎖可能な安全弁4.3とを含む。
【0043】
閉鎖弁4.4を有する手動スライド弁4.2を燃焼部4に設けることによって、少量の排気ガスの連続的な燃焼が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、燃焼部4を、プロセスガスに応じた要件に依存してのみ開くことを可能にする。すなわち、燃焼部4を、安全技術的条件およびプロセスガスを環境に配慮して節減することを保持しながら開くことを可能にする。
【符号の説明】
【0045】
1 工業炉
2 処理チャンバ
3 Cポテンシャル制御部
4 燃焼部
4.1 燃焼弁
4.2 手動スライド弁
4.3 安全弁
4.4 閉鎖弁
5 制御装置
5.1 圧力計
6 ガス混合物
6.1 パージガス
6.2 フレッシュガス
7 フレッシュガス弁
8 CO分析器
9 炉制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスガスを用いて金属材料/金属ワークピースを熱処理するための少なくとも1つの処理チャンバと、前記処理チャンバ内のガスをパージするための少なくとも1つの燃焼弁を備える1つの燃焼部と、前記処理チャンバ内の圧力を測定するための圧力計を備える制御装置とを含み、前記制御装置によって前記燃焼弁の開閉および前記処理チャンバへのプロセスガスの供給を制御するように構成された工業炉において、プロセスガスの供給を制御する方法であって、
前記燃焼弁を開き、所定量のプロセスガスをパージガスとして前記処理チャンバに供給して前記処理チャンバ内のガスを前記燃焼部へパージし、前記燃焼部で燃焼させる第1のステップと、
前記燃焼弁を閉じ、所定の量のプロセスガスをフレッシュガスとして前記処理チャンバに供給し、前記処理チャンバ内の圧力が予め設定された目標圧力になるようにする第2のステップと、
前記処理チャンバ内の圧力が前記目標圧力に達した後、前記圧力計で前記処理チャンバ内の圧力を継続的に測定し、その測定結果に基づいてガス漏出に起因する圧力損失を補償する量だけのプロセスガスを前記処理チャンバに供給することによって、前記処理チャンバ内の圧力が前記目標圧力に維持されるようにする第3のステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記圧力計で前記処理チャンバ内の圧力を継続的に測定し、その測定結果に基づいて前記処理チャンバ内の圧力が前記目標圧力となるのに十分な量だけのプロセスガスをフレッシュガスとして前記処理チャンバに供給することによって、前記処理チャンバ内の圧力が前記目標圧力になるようしたことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、
前記第1のステップと同様のパージ処理を行う第4のステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、
前記燃焼部が安全弁をさらに備えており、
前記処理チャンバ内の圧力が予め定められた限界値を超えた場合に、前記安全弁を開いて前記処理チャンバ内の圧力を減少させるようにする第5のステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、
前記工業炉が、前記処理チャンバ内のC量を制御するためのCポテンシャル制御部をさらに含んでおり、
前記Cポテンシャル制御部の命令に応じて前記処理チャンバ内にガスまたは空気を供給することにより、前記処理チャンバ内のC量の制御を、前記制御装置による圧力制御とは独立して行うようにしたことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法であって、
当該方法が、金属材料/金属ワークピースのバッチ式の熱処理に適用されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法であって、
当該方法が、プッシャー型連続炉での熱処理に適用されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、
前記第4のステップのパージ処理が、装入物の移動前、装入物の交換前、または装入物の搬入前に行われることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法であって、
前記パージ処理が、予め定められたパージ時間が経過するか、あるいは、前記処理チャンバ内のCO濃度が予め設定されたCO濃度に達するまで行われることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法であって、
前記工業炉が、前記処理チャンバ内の残留ガスのパージを制御するための炉制御部をさらに含み、
前記炉制御部の命令に応じて前記処理チャンバにパージガスを供給し、前記処理チャンバ内の残留ガスを前記燃焼部へパージするようにしたことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法であって、
当該方法が、前記工業炉の内部または外部に配置された前記調製チャンバにおいて、前記処理チャンバから供給された二酸化炭素、酸素または水蒸気の成分を、外部供給源から供給された炭化水素と反応させて一酸化炭素および水素を生成することにより、前記処理チャンバで使用されたプロセスガスを再利用するように構成されたガス浸炭用の保護ガス再循環システムに適用されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項4に記載の方法であって、
前記燃焼部の前記安全弁が、前記第1のステップと前記第4のステップの間は、気密的に閉鎖されていることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法であって、
前記燃焼部が、少量のパージガスを燃焼させる場合に用いられる、閉鎖弁を有する手動スライド弁をさらに備えていることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法であって、
前記第1のステップないし前記第5のステップを一連のステップとして行うようにしたことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法を実施するための装置であって、
前記プロセスガスを調製するための調製チャンバと、
前記処理チャンバにパージガスとして供給された所定量のプロセスガスを前記処理チャンバから制御的に排出するための少なくとも1つの燃焼弁を備えた、前記パージガスを燃焼させるための少なくとも1つの燃焼部と、
前記処理チャンバ内の圧力を上昇させるために必要な量の前記プロセスガスを、前記処理チャンバにフレッシュガスとして提供するためのフレッシュガス弁と、
予め設定可能でありかつ前記処理チャンバ内の圧力を継続的に測定可能な圧力計を備えた、前記燃焼弁および前記フレッシュガス弁の開閉を制御するための制御装置とを含む装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、
前記燃焼部が、前記処理チャンバ内の圧力を制御的に減少させるための、気密的に閉鎖可能な安全弁をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項15または16に記載の装置であって、
前記処理チャンバ内にガスまたは空気を供給することにより前記処理チャンバ内のC量を制御する、かつ前記制御装置による圧力制御とは独立的に制御されるCポテンシャル制御部をさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項15〜17に記載の装置であって、
前記燃焼部が、少量のパージガスを燃焼させる場合に用いられる手動スライド弁をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項1に記載の方法を実施するための装置であって、
(a)前記プロセスガスを調製するための調製チャンバと、
前記処理チャンバにパージガスとして供給された所定量のプロセスガスを前記処理チャンバから制御的に排出するための少なくとも1つの燃焼弁を備えた、前記パージガスを燃焼させるための少なくとも1つの燃焼部と、
前記処理チャンバ内の圧力を上昇させるために必要な量の前記プロセスガスを、前記処理チャンバにフレッシュガスとして提供するためのフレッシュガス弁と、
予め設定可能でありかつ前記処理チャンバ内の圧力を継続的に測定可能な圧力計を備えた、前記燃焼弁および前記フレッシュガス弁の開閉を制御するための制御装置とを含み、
(b)前記燃焼部が、前記処理チャンバ内の圧力を制御的に減少させるための、気密的に閉鎖可能な安全弁をさらに備え、
(c)前記処理チャンバ内にガスまたは空気を供給することにより前記処理チャンバ内のC量を制御する、かつ前記制御装置による圧力制御とは独立的に制御されるCポテンシャル制御部をさらに含み、
(d)前記燃焼部が、少量のパージガスを燃焼させる場合に用いられる手動スライド弁をさらに備えることを特徴とする装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−137229(P2011−137229A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278843(P2010−278843)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(501128737)イプセン インターナショナル ゲーエムベーハー (6)
【氏名又は名称原語表記】Ipsen International GmbH
【Fターム(参考)】