説明

差動インク媒体熱排除による実質的に正確なレジストレーションでのセラミックインクの層の印刷

実質的に正確なレジストレーションでセラミックインクの層を含む印刷パターンを使用して基材、例えば、ガラスを部分的に画像化する方法が提供される。この方法は、印刷パターンを画定するマスクインク層および印刷パターンの外側の領域と印刷パターン内の領域との間の熱融合工程におけるセラミックインク媒体の差動熱排除に依存する。この結果、顔料およびガラスフリットは、印刷パターン内では基材に接着される耐久性のある画像材料を、印刷パターンの外側では耐久性のない材料を形成し、印刷パターンの外側で除去することにより、印刷パターン内のセラミックインクの所望の層を実質的に正確なレジストレーションで残すことが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に正確なレジストレーションでセラミックインクの層を含む印刷パターンを使用して基材、例えば、ガラスを部分的に画像化することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラスにセラミック印刷することはよく知られている。米国特許第4,321,778号(Whitehead)、米国再発行特許第37,186号(Hill)、国際公開第00/46043号(HillおよびClare)、国際公開第98/43832号(Pearson)、および米国特許第5,830,529号(Ross)では、一方向視界パネル、視界制御パネル、またはシースルーグラフィックスパネル、およびそのようなパネルを生産する方法としてさまざまな態様により説明されているパネルを含む、複数の層を重ね合わせた部分的印刷ガラスパネルを開示している。米国再発行特許第37,186号では、実質的に正確なレジストレーションでインクの複数の層を含む不透明な「シルエットパターン」を透明基材に部分的に印刷し、一方の側からは見えるが、他方の側からは見えないデザイン、および適宜、他方の側から「通し視」を最大化するように他方の側に面する黒色層を有するパネルを生産するいくつかの方法について説明している。これらの方法のうちの3つは、「直接」、「ステンシル」、および「レジスト」法と称され、すべて、硬化したインクを除去して実質的に正確なレジストレーションで所望の「シルエットパターン」を残すことを伴う。不要なインクをこのように除去することは、インクの重ね合わされた層に加えられる全体的な力を施すか(ダイレクトおよびステンシル法の場合)、またはレジスト法の場合に溶剤を全体に施すことによってなされる。英国特許第2 188 873号(Hill)では、実質的に正確なレジストレーションによる印刷のこれらの方法の改良を開示し、またインクの別々に印刷される領域の横方向レジストレーションを開示している。国際公開第00/46043号(HillおよびClare)では、1つの基層上への重ね合わせ層の印刷と選択的な力による不要なインクの除去とによって統合された、実質的に正確なレジストレーションでこのようなパネルにセラミックインクを印刷するさまざまな方法を開示している。
【0003】
国際公開第04/030935号(HillおよびQuinn)でも、実質的に正確なレジストレーションで複数の層のセラミックインクによりガラスパネルの部分印刷を行うことを開示している。実質的に正確なレジストレーションは、層の1つが「印刷パターン」で高い割合のガラスフリットが入っているインクを含む、インクの重ね合わされた層の印刷によって達成される。インクのこれらの層は、ガラス板に直接施されるか、またはガラス板上にデカールとして転写されうる。ガラスおよびインクの塗布層は熱処理を受け、これにより、ガラスフリットはガラスと融合し、インクの層を印刷パターン内のガラスに結合する。印刷パターンの範囲内にないインクは、熱処理工程で焼き落とされ、および/または後続の仕上げ工程において他の何らかの方法で除去され、印刷パターン内に実質的に正確なレジストレーションでセラミックインクの所望の層を残す。本発明は、少なくとも1つの共通の境界がガラス上に設けられているインクの実質的に正確なレジストレーションが望ましい一方向視界パネルおよび他の製品の製造に使用されうる。あるいは、相隔てて並ぶ境界を持つインクの領域は、一方から他方へと横方向のレジストレーションがなされる。この方法は、層の実質的に正確なレジストレーションが印刷パターンを画成する1つのインク層内の「過剰な」ガラスフリットによって達成されるので、「フリットローデッド」法と称されている。この方法の不利な点は、フリットなしで最初に露出される層は、ガラス中に融合される従来のセラミックインクに比較して外観がつや消しになっているという点である。また、他方の側からは見えないのが望ましい一方の側で見えるデザインを特徴とするいわゆる一方向視界パネルは、適宜、黒色フリットローデッドインクの単一層を含み、これは、典型的には、一部の領域において光沢のある外観を有するが、フリットの一部がデザインインク層内に移動している同じ黒色インクの他の領域では比較的つや消しの外観を有する。このような矛盾した外観は、このデザインの「ゴーストイメージ」が他方の側から見えるようになり、典型的には望ましくない状態である。
【0004】
セラミックインクは、典型的には、ガラス「フリット」、金属酸化物顔料、および典型的には溶剤、樹脂、可塑剤のインク媒体を含み、そのインク中に、顔料とフリットが懸濁される。フリットは、ガラスを溶融し、水または空気中で急冷して、小さな粒子を形成し、その後、所望の最大粒度、典型的には10ミクロンのサイズに磨りつぶすか、または「挽いた」ものである。セラミックインクは、松根油などの油を含有していてもよい。セラミックインクは、不透明または半透明とすることができる。インク媒体は、ときには、単に媒体、結合媒体、または基質とも称される。
【0005】
セラミックインク媒体中の溶媒は、インク乾燥もしくは硬化工程において、印刷後に蒸発し、ガラスフリットと顔料との間の隙間に樹脂および可塑剤を残す。
【0006】
セラミックインクの焼成中のこの樹脂および可塑剤の基質の除去は、問題になる可能性があり、「低速焼成」過程が一般的には好ましいと考えられているけれども、比較的短い強化サイクルにおけるインクの焼成が当技術分野では知られている。
【0007】
ガラスは、典型的には第1段階の低速熱処理工程またはインクパターンがガラスに融合される「インク融合過程」の後の第2段階として、熱処理工程において適宜強化が施され、これはときには焼き戻しと称される。
【0008】
英国特許第2 174 383号(EastonおよびSlavin)では、水溶性転写ならびに単一段強化およびデカール融合工程を用いてセラミックインクでガラスを装飾する方法を開示している。
【0009】
他のタイプの視界制御パネルが、欧州特許第0880439号で開示されており、これは、透明および半透明のシートならびにシートの「無色の背景」と異なる色の透明または半透明の「基本パターン」を含む。
【0010】
セラミックデカール転写の知られている方法として、
(i)間接転写、例えば、水溶性転写および間接熱剥離転写、および
(ii)直接転写、例えば、直接熱剥離転写が挙げられる。
【0011】
転写工程は、デカール(デカルコマニアの略)と一般に称される転写される材料をデカールキャリアと一般に称される転写キャリアから基材表面上に転写されることを含む。
【0012】
間接転写法は、デカールキャリアからデカールを剥離する手段およびデカールを基材に付着させる手段が典型的には転写キャリア上の単一層内において組み合わされる方法である。デカールは、最初にキャリアから取り除かれ、次いで、パッド、ローラーを使って、手で、または他の中間表面により基材上に位置決めされる。
【0013】
例えば、セラミックインク水溶性転写は、典型的には、大量生産型のデカールキャリア、典型的にはシーラント層と水溶性接着剤層とを備える特別に調製された紙を含む。これは、適宜、ダウンコート、典型的には、メチルメタクリレート系ラッカーで印刷されるか、または他の何からの方法でコーティングされる。次いで、必要な画像を形成するセラミックインクの所望の層で印刷され、次いで、典型的には、ブチルまたはメチルメタクリレート系ラッカーのカバーコートが塗布される。この転写アセンブリは、典型的には、水に浸けられ、カバーコート、セラミックインク、任意選択のダウンコート、および何らかの粘着性水溶性接着剤を含むデカールが、キャリアから剥離され、次いで、典型的には手で、装飾される基材表面に施される。
【0014】
他の例として、間接セラミックインク熱剥離転写は、典型的には、紙、シーラント層、熱活性化剥離および接着機能を併せ持つ層、典型的には、接着剤または粘着付与剤ブレンドを組み込んだ変性ワックスからなる大量生産型のデカールキャリアを備える。これは、適宜、ダウンコート、典型的には、メチルメタクリレートラッカーで印刷されるか、または他の何からの方法でコーティングされる。次いで、セラミックインクの所望の層で印刷され、次いで、カバーコート、典型的には、ブチルまたはメチルメタクリレート系ラッカーが塗布される。次いで、デカールは、熱を加えることにより、典型的には、紙の下に置いた熱せられた鉄板により剥離され、こうすることで、剥離/接着剤層が活性化され、中間パッド、ローラーを介して、または手で、デカールがキャリアから取り外され、次いで装飾対象の基材に転写され、接着されうる。
【0015】
直接転写法は、転写アセンブリが基材に直接施され、デカールキャリアが剥離されて取り除かれ、基材上にデカールを残す方法である。
【0016】
例えば、直接セラミックインク熱剥離転写は、典型的には、紙、シーラント層、および熱剥離層、典型的にはポリエチレングリコール(PEG)ワックスからなる大量生産型のデカールキャリアを含む。これは、カバーコート、典型的には例えばブチルまたはメチルメタクリレートの皮膜形成カバーコートで適宜印刷される。次いで、セラミックインクの所望の層で印刷される。任意のデザインが、基材のインク側からその意図された向きと逆の向きに印刷される。次いで、熱活性化接着剤層、例えば、メタクリレート樹脂が施される。次いで、この転写アセンブリは、典型的には、接着剤層が基材表面に対向する形で基材に直接対向するように位置決めされる。紙を介して熱が加えられ、それと同時に、接着剤層および別になっている熱剥離剤が活性化される。これにより、接着剤、セラミックインク、およびカバーコートのデカールを基材に接着し、キャリアから転写することが可能になり、そこでキャリアは剥離され、デカールおよび基材から取り除かれる。基材は、適宜予熱されうる。
【0017】
「カバーコート」および「ダウンコート」という用語は、常に、基材関する位置に関して使用され、カバーコートは基材上のインクの上の層であり、ダウンコートは基材上のインクの下の、基材に接着される層である。
【0018】
セラミックデカールが転写される典型的な基材は、セラミック製の深い容器、セラミック製の平皿、中空のガラス製品、および板ガラスを含む。
【0019】
上記の転写材料および方法はすべて、当技術分野でよく知られている。
【0020】
デカールを貼る多くの自動的な方法が考案されており、例えば、すべての機械工程、焼成炉、および加熱炉が国際公開第98/43832号において説明されている。
【0021】
セラミックインクが、ときにはフロートガラスとも称される、またときには焼きなましガラスとも称される、通常の1枚の板ガラスに塗布された後、印刷されたその1枚のガラス板は、典型的には、標準570℃の温度までの熱処理過程に曝され、ガラスフリットおよび顔料以外のセラミックインクのすべての成分を焼き落とし、そのガラスフリットを溶融し、インクの残りをガラス上に融合し、典型的にはその後比較的低速の冷却を行ってガラスをもう一度焼きなましするが、この工程は「インク融合過程」と称される。適宜、セラミックインクを含む焼きなましされたガラス基材は、焼き戻しまたは強化過程に供することができ、これは、ガラス温度を典型的には、ガラスが比較的軟らかい温度範囲である670℃から700℃までの範囲の温度に高め、次いで、比較的速く、典型的には冷気急冷によって冷却することを伴う。これにより、ガラス板の作動冷却が行われ、芯が固まる前に2つの主面が固化する。芯のその後の冷却および収縮により、それぞれの主面に隣接する予圧ゾーンが生じる。ガラス板の物理的強度特性は、基本的に、このガラス焼き戻しまたは強化過程によって変更され、その結果得られる焼き戻しまたは強化ガラスにかなり改善された曲げ強度を付与する。このようなガラス焼き戻しまたは強化過程は、別のインク融合過程の後に、または1つの工程として実行することができ、インクはその1つの工程の一部としてガラス上に融合される。
【0022】
インク融合過程またはガラス焼き戻し過程のいずれかにより、転写工程の接着剤、カバーコート、ダウンコート、およびセラミックインク媒体が加熱炉内で焼き落とされ、その結果得られるパネルの一部を形成しない。
【0023】
当技術分野では、比較的低い割合のガラスフリットとともにセラミックインクを使用してデザインを印刷し、知覚される色を強め、次いで、フラックスとも称される、ガラスフリットとともに透明セラミックインクの層全体と重ね刷りし、下記の顔料の「綴じ込み」をすることが知られている。米国特許第3,898,362号(Blanco)では、ガラスを含まないデザイン層を裏打ちシート上に湿式印刷し、事前溶融ガラスフラックスの保護コーティングを湿潤デザイン層上に別々に蒸着することによって、重ね塗りセラミックデカールを生産する方法を開示している。米国特許第5,132,165号(Blanco)および米国特許第5,665,472号(Tanaka)では、この工程に対する改善を開示している。Blancoは、1つの顔料に対し所望のパターンの層をクリアニスで印刷し、次いで、リソグラフィ工程においてシート全体の顔料を散布し、シートをクリーニングし、ニスがある場所のみに顔料を残すという従来技術のリソグラフィデカール法も開示している。複数の色が必要な場合、この工程は、段階毎に繰り返し、乾燥させなければならない。
【0024】
欧州特許第1 207 050 A2号(Geddesら)では、デジタル印刷されたセラミックカラーラントイメージが裏打ちシートに施され、その後、フリットおよび結合剤を含むオーバーコートが続く転写システムを開示している。Geddesは、フリットを含まないインクの熱転写デジタル印刷も開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】米国特許第4,321,778号
【特許文献2】米国再発行特許第37,186号
【特許文献3】国際公開第00/46043号
【特許文献4】国際公開第98/43832号
【特許文献5】米国特許第5,830,529号
【特許文献6】英国特許第2 188 873号
【特許文献7】国際公開第04/030935号
【特許文献8】英国特許第2 174 383号
【特許文献9】欧州特許第0880439号
【特許文献10】米国特許第3,898,362号
【特許文献11】米国特許第5,132,165号
【特許文献12】米国特許第5,665,472号
【特許文献13】欧州特許第1 207 050 A2号
【特許文献14】英国特許第2 165 292号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の一態様によれば、複数の層を持つ基材を、基材を複数の離散印刷領域および/または複数の離散非印刷領域に細分する印刷パターン内に部分的に画像化する方法があり、前記層は実質的に正確なレジストレーションを施されており、前記方法は
(i)インクの複数の層を基材に施すステップであって、インクの前記複数の層はインク媒体を含み、前記インク媒体は第1のインク媒体および同じであっても異なっていてもよい他のインク媒体を含み、インクの前記層のうちの1つは、前記印刷パターンを画定するマスクインク層を含み、前記マスクインク層は前記第1のインク媒体を含み、インクの前記層のうちの他の1つの層は、顔料およびガラスフリットおよび前記他のインク媒体を含む、ステップと、
(ii)前記基材およびインクの前記複数の層を熱融合工程に供するステップであって、前記熱融合工程において前記インク媒体は前記印刷パターンの内側と比べて前記印刷パターンの外側において差動熱排除を受け、前記顔料および前記ガラスフリットは前記印刷パターン内に前記基材に接着された耐久性のある画像材料を形成し、前記印刷パターンの外側に耐久性のある画像材料を形成しない、ステップと、
(iii)前記印刷パターンの外側で前記層のうちの前記他の層の一部分を除去するステップであって、前記一部分は前記熱融合工程において焼き落とされ、および/または気化され、および/または後続の仕上げ工程によって実質的に除去される、ステップとを含む。
【0027】
本発明の特定の一態様によれば、基材は、インクの複数の層をコーティングされ、これらの層のうちの少なくとも1つの層はガラスフリットを含むセラミックインクから構成される。インク層は、典型的には、印刷またはデカールによって施され、次いで、熱処理加熱炉内で焼成される。印刷パターンは、マスクインク層によって、典型的には、熱融合工程におけるインク媒体の差動熱排除によって作成される。印刷パターン内において、顔料およびフリットの必要な層は、基材に融合された耐久性のある画像材料を形成する。印刷パターンの外側では、この割合および/または組成のインク媒体は、基材への顔料およびフリットの融合を妨げるか、または実質的に妨げる。
【0028】
基材は、ガラスフリットが溶融される熱融合工程に耐えることができるものであり、例示的な基材としてはガラス板、中空ガラス製耐熱エナメル鋼板、またはセラミック品が挙げられる。セラミックインクガラスフリットの融点は、典型的には、約350℃以上の範囲である。
【0029】
この方法は、さまざまな製品、例えば、ガラス製一方向視界パネル、または他の視界制御パネル、耐熱エナメル鋼鉄製標識、または装飾的なセラミック製の物を作るために使用される。
【0030】
「印刷パターン」は、基材を複数の離散印刷領域および/または複数の離散非印刷領域に細分することとして定義される。視界制御パネルに対する印刷パターンは、典型的には、例えばグリッド、ネット、またはフィリグリーパターンの形態の、点、直線、もしくは曲線、またはマーキング材料の他の複数の離散領域および/またはマーキング材料を含まない複数の領域のパターンである。印刷パターンは、ビネットパターンなどにおいて、一様であるか、または非一様であるものとしてよい。あるいは、印刷パターンは、全く不規則である、例えば、標識を形成する印である。「印刷パターン内」および「印刷パターンの内側」という言い回しは、不要なインクを取り除いた後に部分的に画像化された基材内に画像化されたままである印刷パターンの離散領域または相互連結領域を指すために使用される。逆に、「印刷パターンの外側」という言い回しは、部分的に画像化された基材内で未画像化が望まれる基材の1つまたは複数の領域、典型的には不要なインクが取り除かれた1つまたは複数の領域を指すために使用される。
【0031】
セラミックインクは、典型的には、顔料、ガラスフリット、およびインク媒体(ときには結合媒体または基質とも称される)を含み、インク媒体は典型的には溶媒、樹脂、および可塑剤および/または松根油などの油を含むか、または硬化性樹脂、例えば、UV硬化性樹脂を含む。顔料は、クリアフリットまたはフラックスの着色剤である。
【0032】
インクの層は、典型的には、基材上に直接スクリーン印刷されるか、または事前印刷されたデカールキャリアから転写されたデカールの形態で基材に施される。デカール、例えば、水溶性転写デカールは、適宜間接的に施されるか、または典型的には熱と圧力を使って、キャリアから直接施される。
【0033】
インク媒体は、典型的には、2つの方法の一方で固体状態から気体状態に転換される。加熱炉内温度が上昇すると、固体インク媒体が直接炭化され、いわゆる熱劣化温度で「焼き落とされる」か、または蒸発する前に溶融相または液相を通ることができる。通常の従来技術の実践において、異なる樹脂を有利にはインクの異なる層において選択し、典型的には、温度を徐々に上げてゆく過程において上側層の樹脂を、その下の層内の樹脂の前に「焼き落とす」か、または蒸発させることができる。このように異なる層から樹脂を漸進的に、または逐次的に排除することで、顔料および/またはフリットの層の乱れならびにインクの重ね合わされている層の焼成に一般に関連する欠陥を最小限度に抑えられる。
【0034】
逆に印刷パターンの内側と比較した印刷パターンの外側の適切なインク媒体またはリンク媒体の組み合わせまたは単純に、より高い割合の同じインク媒体の選択により、印刷パターンの外側のインク層が加熱炉内での熱処理後に耐久性のある画像化材料を形成しないが、例えば空気または水の噴流によってその後に取り除くことができるようにすることを選択的に行えることが判明している。焼成工程において、インク媒体の排除を継続することで、他のインク成分が基材に実質的に結合することを妨げる。適宜、印刷パターンの外側の1つまたは複数の領域内のインクが加熱炉内に噴出し、これにより、不要なインクのその後の除去がさらにしやすくなる。典型的には、熱融合工程の開始後のインクの複数の層内のインク媒体の重量と熱融合工程の最高温度におけるインクの複数の層内の溶融ガラスフリットの重量との比率は、印刷パターン内よりも印刷パターンの外側において大きい。印刷パターンの外側では、媒体の排除は、好ましくは、局部破壊の形態でインク層の崩壊を引き起こし、その後の除去を助ける。熱融合工程の温度/時間の熱サイクルは、印刷パターン内の媒体が加熱炉の内部雰囲気中に、好ましくはガラスフリットの融点に達する前に、定常的に取り出されるように適宜選択されるが、印刷パターンの外側では、ガラスフリットが溶融したときに一定割合の媒体が好ましくは残り、これにより、液体フリットを通じて気体の形態の残っている媒体が崩壊しつつ排除される。適宜、印刷パターンの外側で媒体が継続的に排除されることにより、溶融したフリットおよび含有顔料がガラス表面に融合することが実質的に妨げられるが、そのような融合は印刷パターン内で生じる。
【0035】
典型的には点または線の印刷パターンを有する一方向視界制御パネルとともに、この方法は、実質的に正確なレジストレーションが望まれるさまざまな他の製品を製造するために使用することができる。例えば、デザインの色は、典型的には白色の背景上で見るために必要であることが知られている。この方法により、カラーデザイン、例えば、ガラスドアの赤色の印内の建築用の「no exit」という標識は、白色層がそれぞれの赤色文字の下に正確に置かれ、それぞれの層の周が実質的に正確に位置合わせされている状態で印刷することができる。複数の領域が、共通の長さの境界または周を持つインクの複数の重ね合わされた層を含む。
【0036】
他の例として、この方法は、異なる色の単一層の横方向のレジストレーションを行うためにも使用され、例えば、印刷パターンの複数の領域のうちの1つの領域は、異なる色を有し、印刷パターンのそれらの複数の領域のうちの他の領域から相隔てて並び、これら2つの領域は正確なレジストレーション関係にある。例えば、装飾的な建築用ガラス間仕切りパネルは、赤色と灰色の交互に並ぶ直線を含む。印刷の従来技術による方法には、不可避的に、レジストレーションの欠如という問題がある。典型的には、2つの異なるスクリーン印刷用スクリーンを使用して施される、2組のカラー直線では、単一パネルの異なる部分における線とそのような生産工程内の異なるパネルにおける線との間の間隔が異なるという問題が生じる。
【0037】
必要に応じて、インク融合過程は、印刷された基材、典型的には焼きなましされたガラス板が典型的には570℃の温度まで高められ、ガラスフリットおよび顔料以外のセラミックインクのすべての成分を焼き落とし、ガラスフリットを溶融し、印刷パターン内のインクの残りをガラス上に融合する熱融合工程を含む。
【0038】
必要に応じて、熱融合工程はガラス焼き戻し工程であり、これは、ガラス温度を典型的には、ガラスが比較的軟らかい温度範囲である670℃から700℃までの範囲の温度に高め、次いで、比較的速く、典型的には冷気急冷によって冷却することを伴う。
【0039】
必要に応じて、ガラス焼き戻し工程は、別々に実行され、熱融合工程に続く第2の熱工程である。
【0040】
次に、本発明の例示的な実施形態について図1A〜5Gを参照しつつ説明するが、これらの図は、基材、例えば、ガラス板10が直接印刷される、実質的に正確なレジストレーションでインクの層を重ね合わせたパネルを生産するためのこの方法の異なる実施形態の順次的段階を例示するパネルを通る縮尺通りでない断面図である。インクの例示されている層は、代替として、最初に、デカールキャリア上に印刷され、キャリアからガラス板10に直接的にまたは間接的に施されうることは理解されるであろう。この方法は、ガラス以外の基材、例えば、セラミック基材に適用可能であることも理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1A〜1Hはマスクが要求された印刷パターンのステンシルである第1の実施形態の段階の断面図である。
【図2】図2A〜2Kはマスクが印刷パターン内にある第2の実施形態の段階の断面図である。
【図3】図3A〜3Fはマスクが印刷パターン内にあり、層が異なる融点を持つガラスフリットを含む第3の実施形態の段階の断面図である。
【図4】図4A〜4Iはデザイン層も含む第1の実施形態の段階の断面図である。
【図5】図5A〜5Gはデザイン層も含む第2の実施形態の段階の断面図である。
【図6】図6Aおよび6Bは発明の方法によって作製されるパネルの両面の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
実施形態1:ステンシルマスクからのインク媒体の差動熱排除
本発明の第1の実施形態において、セラミックインク媒体の差動排除は、印刷パターン(印刷パターンの外側に蒸着される、印刷パターンのネガティブレイアウト)をガラス板、典型的には焼きなましされ、焼き戻しされていないガラス板に施すことによって形成される。ステンシルインクは、インク媒体を含み、適宜、顔料を含まず、適宜ガラスフリットを含まず、適宜従来のセラミックインク媒体、例えば溶媒、樹脂、および可塑剤中に見られる材料のみを含み、適宜要求されているインク媒体成分の印刷性を補助する充填剤も含み、充填剤は適宜熱融合工程において固体または溶融ガラスフリットまたは顔料の移動への障壁層も構成する。
【0043】
図1A〜Hでは、ガラス板の片方の側から見える一様な色およびそのガラス板の他方の側から見える他の色の印刷パターンを含む単純な一方向視界パネルを作製する段階を開示している。
【0044】
図1Aにおいて、ステンシルインク層20が、印刷パターンのネガの形態でガラス板10に施され、インプリントされた印刷パターン部分40が残される。例えば、点からなる印刷パターンが必要な場合、ステンシルインク層20は、典型的には、完成品では未印刷の透明領域である必要がある、それらの点を囲む連続領域上にスクリーン印刷される。次いで、インクの後続の層が、ステンシルインク層20と完成品内に印刷パターン40を形成するために必要な露出したガラス領域とに施される。
【0045】
第1の色の第1のセラミックインク層21は、図1Bに示されているように、パネルのステンシルインク層20および印刷パターン部分40上に一様に施され、典型的にはスクリーン印刷され、その後、図1Cに示されているように、第1の色と異なる第2の色の第2のセラミックインク層25が施される。インクのそれぞれの層は、典型的には、溶媒を含み、それぞれの層の硬化または乾燥は、次の層を施す前に、典型的には、乾燥トンネル内で高温の空気を強制的に吹き付けて次の層を施す前に1つの層内の溶媒の大半、理想的にはすべてを蒸発させ、例えば、第1のインク層21を印刷する前にステンシルインク層20を硬化させ、第2のインク層25を印刷する前に第1のインク層21を硬化させることによって、行われる。図1Cの印刷され、硬化したパネルは、加熱炉内で加熱され、これにより、図1Dの矢印「m」で表されているように、残っているインク溶媒およびインク媒体の他の成分が追い出される。
【0046】
図1Eでは、インク媒体の放出が続き、加熱炉の温度がインク層21および25内のガラスフリットの融点を超えるとともに、矢印「f」で表されているように、ガラスフリットが溶融して、インク顔料と結合し、印刷パターン部分40内のガラス表面に融合する。対照的に、印刷パターンの外側部分では、インク媒体成分は、ステンシル層20およびインク層21および25から放出され続ける。典型的には液体または気体をガラス板10の表面からこのように継続的に移動すると、他のステンシルインク成分の障壁効果と相まって、印刷パターンの外側のインク層内のかなりの量の固体顔料または溶融フリットがかなりの程度、ガラス板10に融合すること、またはさらには結合することをも妨げる。印刷パターン40の内側に比べて印刷パターン40の外側における層内のインク媒体の量および/または割合が高ければ高いほど、熱工程におけるインク媒体の差動熱排除が確実なものとなる。この差動熱排除は、ステンシルインク層20内のインク媒体のタイプにより、例えば、第1および/または第2のセラミックインク層21および25内のインク媒体に比べて揮発性が高いことにより適宜補助される。ステンシルインク層20からインク媒体成分が継続的に排除されると、その結果、必要に応じて、また有利に、インク層25および好ましくは印刷パターンの外側のインク層21と25の表面の噴出が生じ、そのため、インク層25の表面が、印刷パターン40の内側に比べて印刷パターン40の外側において盛り上がる。図1Fにおいて、印刷パターン40の内側では、第1のセラミックインク層21はガラス板10に徐々に融合されているが、これは図1Gにおいてガラス板10の表面層内に埋め込まれているものとして図式的に示されている。冷却、加熱炉からの取り出し、および典型的にはさらなる冷却に続いて、印刷パターン部分40の外側の不要なインクが、例えば、水もしくは空気の噴流によって取り除かれ、セラミックインク層21および25が印刷パターン40内で実質的に正確なレジストレーションに置かれている図1Hの完成したパネルが残される。
【0047】
発明の実施化の際に、比較的高い「グリーン強度」を持つ第1のインク媒体、例えば、Ferro Corporation社(米国)によって製造されるFerroインク媒体1597がこの第1の実施形態に好ましいものであることが判明した。また、異なる層内のインク媒体が類似しているか、または同一であり、適宜同じ割合で同じ成分を含むことができることも判明している。例えば、Ferroインク媒体1597がステンシル層20、およびインクの2つの他の層、例えば、黒色の第1のインク層21および白色の第2のインク層25において適宜使用されることが発明の実施化の際に示されている。
【0048】
適宜、ステンシルインク層20は、インクの印刷工程を保持するために充填剤または他の成分を含有し、適宜ガラスフリットまたは従来のセラミックインク顔料を含まない。
【0049】
適宜、差動インク媒体熱排除は、ガラス表面に到達するステンシル層の上の固体または溶融フリットまたは顔料への物理的障壁または部分的障壁層として働き、それにより、ガラスフリットおよび顔料がガラス表面に融合するのを妨げるステンシルインク内の充填剤によって補完される。有効であるためには、そのような充填剤は、熱融合工程全体を通して、残っている媒体と一緒に、障壁を形成すべきである。例示的な充填剤は、熱工程または焼成サイクルの最高温度より高い融点を持つガラスフリットである。好ましくは、充填剤は、より大きな粒子同士の間の隙間がより小さな粒子で部分的に埋められ、これにより、溶融フリットまたは固体粒子の移動に対するより効果的な障壁を構成するような粒子形状および粒度分布を持つ。互いに重なり、互いに接着する平坦な、または薄板状充填剤粒子、例えば、雲母(ケイ酸塩)プレートレットは、溶融ガラスフリットの移動に対する任意選択の物理的障壁を備える。
【0050】
さらなる例として、好ましい実施形態において、融点が従来のガラス加熱過程の最高温度より高いアルミナ(酸化アルミニウムまたはボーキサイト)は、ステンシルパターン内において印刷パターンの外側のセラミックインク層からガラス基材までのガラスフリットの移動に対する効果的な障壁を形成する。アルミナは、ガラス基材に融合しない。
【0051】
他の例として、発明の実施化の際に、Ferroインク媒体1597に加えられる、エッチング効果をもたらすために透明または着色セラミックインクと通常は混合される生成物である、アルミナ(酸化アルミニウムまたはボーキサイト)を含む、Ferro 20−8543の成分が、好適なステンシルインク20を形成することがわかっている。このステンシルインクは、印刷パターンを画定するようにガラス板10上に正確に印刷され得るが、焼成の前、焼成中、または焼成後にガラスに強く結合することはない。さらに、熱工程において、このステンシルインク層20からのインク媒体排除により、典型的には、上にあるインク層が噴出し、さらに、ステンシルインク層20ならびにステンシルインク層20の上にあるインク層21および25の印刷パターン40の外側でのその後の除去が可能になる。
【0052】
また、本発明の実施化の際に、Ferroインク媒体1597とともにFerro 20−8101高不透明性白色はインク層21に適しており、Ferroインク媒体1597とともにFerro 24−8029黒色はインク層25に適していることも示されている。
【0053】
粘度は、重要なインクパラメータである。温度は、インクの粘性または流動性に影響を及ぼす。回転スピンドルを有する粘度計が、適宜混合、攪拌、または振盪を含むインク調製のときに粘度を測定するために必要に応じて使用される。例えば、10rpmで6番スピンドルを使用することにより、インクは、好ましくは24℃(75°F)で15,000〜22,000cps、より好ましくは24℃(75°F)で17,000〜20,000cpsの範囲内の粘度まで薄めるのが好ましいことが判明している。
【0054】
インクは、適宜スクリーン印刷によって施され、それぞれの層は、好ましくは強制高温空気セクションおよび冷却セクションを備える乾燥機を使用して、完全な乾燥が行われ、次の層を印刷する前にインク媒体内の1つまたは複数の溶媒を実質的に除去する。
【0055】
好適な熱融合工程は、典型的なガラス焼き戻し工程、例えば、650℃〜700℃の範囲内の温度にし、次いで冷気急冷を行う前に625℃〜635℃まで温度を下げることを含む。この工程の後に、圧力が2500〜3000psiの高圧水噴射で、パネルから不要なインクを取り除き、次いで、好ましくは、従来のガラス洗浄工程に供して残留インクを除去する。
【0056】
インク媒体を含むステンシルインク層20による、本発明のこの第1の実施形態では、印刷パターン内よりも印刷パターンの外側の方にインク層内の単位面積当たりの重量に関してインク媒体が常に多く、これにより、熱融合工程において差動インク媒体排除が確実になされる。典型的には、熱融合工程の開始後のインクの複数の層内のインク媒体の重量と熱融合工程の最高温度におけるインクの複数の層内の溶融ガラスフリットの重量との比率は、印刷パターン内よりも印刷パターンの外側において大きい。
【0057】
例えば、上記の材料および手順は、例えばプライバシーグレージングに適している、耐久性のある効果的な一方向視界パネルを形成するために、黒色の点を白色の点の上に重ね合わせたパネルを生産するのに有効であることが判明している。使用時に、白色側は、建物の外側から日光の下で照らされ、建物の中への視認性を遮るか、または部分的に遮るが、黒色の点により、建物の内側から窓を通して外側を見るときには良好な視認性が得られる。
実施形態2:直接マスクによって画定された印刷パターンの外側からのインク媒体の差動排除
この第2の実施形態では、インクの層中の異なる割合のガラスフリット、および異なる割合のインク媒体を使用して、印刷パターン内と印刷パターンの外側との間のインク媒体の差動排除(differential expulsion)を引き起こす。印刷パターンは、印刷パターン内で施される、印刷パターンの幾何学的形状の「直接マスク」によって画定される。この第2の実施形態の一例では、直接マスクは、図2Aに示されているように印刷パターン部分40内に、典型的にはスクリーン印刷によって施されるセラミックの第1のインク層22を含む。セラミックの第1のインク層22は、比較的高い割合の、典型的には60質量%超、好ましくは65質量%超、より好ましくは70質量%超のガラスフリットを有する。
【0058】
この直接マスクは、セラミックの第1のインク層22の形態であり、図2Bに示されているように、セラミックの第2のインク層26によって重ね合わされる。セラミックの第2のインク層26は、焼成後に基材10から取り除けるようにセラミックの第1のインク層22に比べて低い割合のガラスフリットを有する。実験により、セラミックの第2のインク層26内のフリットのパーセンテージは、21%と高く、それでも、熱融合工程の後に、印刷パターン40の外側から不要な第2のインク層26を実質的に除去することができることが判明している。
【0059】
セラミックの第2のインク層26は、比較的低い割合の、典型的には21質量%未満、好ましくは17質量%未満、より好ましくは13質量%未満のガラスフリットを含む。セラミックの第2のインク層26は、比較的高い割合の、典型的には30質量%超、好ましくは40質量%超、より好ましくは50質量%超のインク媒体を有するものとして他の何らかの方法で説明できる。
【0060】
図2Bの印刷され硬化したパネルは、図2Cの矢印「m」で表されているように加熱炉内で加熱してインク媒体を追い出すことによって加熱融合工程に供される。インク媒体の放出が続き、加熱炉の温度がインク層22および26内のガラスフリットの融点を超えるとともに、矢印「f」で表されているように、第1のインク層22内の溶融ガラスフリットはガラス板10に融合される。溶融ガラスは、図2Dに図式的に示されているように、インク層22および26内のインク顔料を印刷パターン部分40内のガラス表面にも結合する。対照的に、印刷パターン40の外側のインク層26の部分では、典型的には液体または気体または蒸発物をガラス板10の表面から移動して遠ざけると、またガラスフリットの割合が低いことにより、印刷パターンの外側のかなりの量の固体顔料または溶融フリットがかなりの程度、ガラス板10に融合すること、またはさらには結合することすら妨げられる。印刷パターンの外側のインク媒体と溶融フリットとの割合が高いほど、典型的には、インク層26が噴出する。印刷パターン40の外側の不要なインク層26は、冷却し、除去する力を加える、例えば水もしくは空気の噴流による力を加えた後、印刷パターン40から実質的な除去を行うことができる。しかしながら、顔料の微粒子を含む結合粒子261は、ごく少量のガラスフリットによりガラス表面に融合される可能性が高く、本発明の文脈では、「印刷パターンの外側からの実質的除去」は、顕微鏡または未印刷ガラス板と比較して低い光線透過率で測定したときに、少なくとも単位面積当たり90%の除去、好ましくは単位面積当たり95%超の除去として定義される。このような結合粒子261が残る可能性は、図2Eの完成パネル90内に示されている。完成パネル90が、視界制御パネル、例えば、窓の外の視認性がよくなるように窓の外から見える着色された、または白色のインク層22および窓の内側から見えるインク層26の黒色印刷パターンを持つプライバシーグレージングである場合、小さな黒色顔料粒子261は、裸眼ではほとんど視認できず、1mを超える典型的な見える距離から見えないので、外の視界またはパネルの美的印象を著しく損ねることにならない。
【0061】
熱融合工程において、印刷パターン40内のインク媒体の継続的な差動放出により、インク層22からインク層26内への溶融フリットの移動が容易になり、インク層26内の顔料を結合して耐久性のあるインク層26を形成するようにインク層26内のガラスフリットのパーセンテージが増大し、他の方法による結果に比べてより光沢のある外観がインク層26に付与される。インク層22内の比較的高いパーセンテージのフリットの割合によってインク層26内の比較的低いパーセンテージのガラスフリットを補正することで、技術の問題が軽減され、好ましくは解消され、完成品におけるインク層26に実質的に一様な光沢のある外観を付与することが可能になる。典型的には、熱融合工程の開始後のインクの複数の層内のインク媒体の重量と熱融合工程の最高温度におけるインクの複数の層内の溶融ガラスフリットの重量との比率は、印刷パターン内よりも印刷パターンの外側において大きい。
【0062】
この方法は、適宜、使用されるインク内に特別粒度の固形物を含む。従来のセラミックインクが「焼成され」、インク媒体が「焼き落とされる」と、顔料が溶融フリット内で移動し、取り除かれたインク媒体によって残された顔料間の空隙の少なくとも一部を占有するときに、インク層が「落ち込む」または厚みを減らす傾向がある。しかし、フリットのパーセンテージが低いセラミックインクでは、インクのその結果の構造および焼成後の残留物厚さは、主に、顔料粉体の「粒度」または「粒度分布」の特質に依存する。
【0063】
複数の固体粒子が、異なる粒度範囲の割合を表す、いわゆる「粒度曲線」または「粒子分布」曲線を有する。土木の分野では、例えば、道路建設またはコンクリートの配合において、これは、石と砂を開口サイズの異なる連続篩に通すことによって確立され、定量化され得る。セラミックインク顔料またはガラスフリットに見られるようなより小さなサイズの粒子では、レーザー散乱法、例えば、0.02から2000ミクロンの範囲の粒度を測定すると主張するHORIBA,Ltd社製HORIBA LA−920 などの異なる技術が必要である。セラミックインクおよびコンクリートなどの複合材料の場合、より細かな固形物がより大きな固形物の間のギャップを埋める傾向を持つような固体材料の粒度曲線を構成すると有益であると思われる。コンクリートでは、砂または「細骨材」が「石骨材」の間の空隙を埋める。セラミックインクでは、より細かな顔料粒子は、より大きな顔料粒子の間の空隙を埋める傾向も有する。このような顔料粒子分布曲線は、顔料を結合し、熱処理済み層をガラス板および/または他のセラミックインク層に融合するために必要な溶融フリットの体積を減らす傾向がある。しかし、固形物が「ギャップ粒度」の粒度曲線を有することも、コンクリートおよび他の微粒子材料技術において知られている。例えば、より細かな粒子が省かれる場合、より大きな粒子の間の隙間または空隙が高い割合となる。ギャップ粒度顔料粒子は、ペーパーフィルターおよび超音波振動技術または空気およびサイクロンシステムを使用して選択され得る。このようなギャップ粒度構成は、本発明では、細かく磨りつぶした、または溶融したガラスフリットを一方の層から他方の層へ比較的容易に移動することができ、また一方の層から他方の層への顔料の移動を最小限度に抑えることができるため有利であるが、他の方法では1つまたは複数の層内で望ましくない混色が生じることになる。層と層との間のフリットのこの望ましい移動(顔料とは反対)は、適宜、溶融したインク媒体または気化したインク媒体が熱工程内に放出されることによって運ばれることにより支援される。溶融したインク媒体内のフリットの移動は、必要に応じて、発泡剤をインク媒体中に導入することによってさらに可能になる。
【0064】
要約すると、顔料とフリットの両方の粒度または粒子分布曲線および樹脂基質特性は、方法、例えば印刷パターンのインク層22からインク層26および他のインク層へのフリットの再分配を最適化するように異なる層内で選択され得る。
【0065】
セラミックインクの媒体含有量は、典型的には、顔料およびフリットの露出している表面積に基づき、典型的には、デカール印刷については30〜50%、直接スクリーニングについては15〜30%の範囲である。例えば、第2の実施形態を実施する場合、セラミックインクをガラス上に印刷して2つの異なる色の層を有する点の印刷パターンを含む単純な視界制御パネルを形成するときに、印刷パターンを画定する第1の(「フリットローデッド」)マスク層は質量で
72%のフリット
10%の顔料
18%の媒体
合わせて100%を含むが、
第2の(低いフリット含有量)層は、適宜、
20%のフリット
62%の顔料
18%の媒体
合わせて100%を含む。
【0066】
開示されている実施形態には多くの変更形態があり、例えば、この第2の実施形態の範囲内では、マスクは適宜基材10に施される第1の層ではない。
【0067】
例えば、単純な視界制御パネルを作製するために、図2F〜2Hに示されているように、比較的低い割合のガラスフリット、例えば21%未満のガラスフリットを含む2つの一様なセラミックインク層26および29、例えば、明るい色の層とその後の黒色のインク層が、基材10上に一様に施され、その後に、透明なセラミックインクを含む、例えば、着色顔料を持たない80%のガラスフリットと20%のインク媒体を含む、印刷パターンを画定するマスクインク層37が続く。図21において、ガラス基材10に対してセラミックインク層26および29の媒体mおよび融合fの差動熱排除(differential thermal expulsion)がある。図2Jでは、マスクインク層37内のフリットは、セラミックインク層26および29内に移動して、ガラス基材10に融合される適合されたセラミックインク層26および29を形成する。印刷パターンの外側の不要なセラミックインク層は、例えば、高圧水噴射によって取り除かれ、印刷パターンとの実質的に正確なレジストレーションで適合されたセラミックインク層26および29を残す。第2の実施形態のこの変更形態では、顔料インク層の上のフリットローデッドマスク層によりガラスフリットが完成印刷パターンの表面上に、または表面の近くに確実に残るので、露出しているインク表面に対するつや消し仕上げの技術の問題が解消される。
実施形態3:異なる融点のガラスフリットを使用する差動インク媒体放出
実施形態3において、「直接マスク」層は、印刷パターンを画定し、印刷パターン内に施される。異なる融点のフリットが2つのインク層において使用され、これにより、印刷されるときに両方のインクが類似の割合のガラスフリットを有することができるが、熱融合工程において印刷パターン内と比べて印刷パターンの外側では溶融フリットに対してインク媒体の割合が高く、その結果、差動インク媒体放出が生じる。
【0068】
図3Aは、印刷パターン40内に施され、融点t3、例えば、660℃のガラス板10に対し印刷パターンを画定する、融点t1、例えば、550℃の第1のガラスフリットを含む、「直接マスク」、第1のインク層23を例示している。
【0069】
図3Bでは、融点t2、例えば600℃の第2のガラスフリットを含むインク層27が、インク層23および印刷パターン40の外側の未印刷部分の上に一様に施される。図3Cでは、図3Bのパネルが、インク層23内の第1のガラスフリットとガラス板10が融合して1つになるときに、t1超、t2未満の温度、例えば、570℃のガラス加熱炉内で熱融合工程または熱処理過程に供される。印刷パターン内のインク層22からの差動インク媒体放出は、溶融した第1のガラスフリットがインク層22からインク層27内に移動して、顔料および未溶融の第2のガラスフリットを結合し、掴み、部分的にインク層27内に封入するのを支援し、そのときに、印刷パターン40の外側の単一のインク層27の一部分からのインク媒体放出は典型的には第2のインクフリットが溶融することなく完了する。図3Eに例示されているように、段階的冷却の後、図3Dの結果として得られるパネルは、力、例えば、水もしくは空気の噴流に曝され、これにより、顔料および第2のガラスフリットおよび残留インク媒体が印刷パターン40の外側から取り除かれ、実質的に正確なレジストレーションで印刷パターン40内にインク層23および27が残される。典型的には、熱融合工程の開始後のインクの複数の層内のインク媒体の重量と熱融合工程の最高温度におけるインクの複数の層内の溶融ガラスフリットの重量との比率は、印刷パターン内よりも印刷パターンの外側において大きい。
【0070】
次いで、図3Eのパネルが、第2の熱工程、典型的にはガラス焼き戻しまたは強化工程に供され、そこで、パネルは、第2のガラスフリットの融点であるt2より高い温度、最大670〜700℃まで高められる。次いで、これは、空気の噴流によって急速冷却され、ガラスパネルのそれぞれの側に予圧の古色(patina of precompression)を形成する。
【0071】
第2のガラスフリットが溶融された、この第2の熱工程に続いて、光沢のある表面外観を、インク層27からこの熱工程によって変化したインク層28に対して形成する。
【0072】
この方法の主要な利点は、ガラス焼き戻し工程の前のインク層23の不要な部分の除去で、同じ加熱炉内での将来のガラス処理の有害な含浸を引き起こすおそれのある、インク層23の粒子を除去するガラス冷却空気噴流による加熱炉の汚染の可能性、実際には確実と言えるくらいの可能性がなくなるという点である。
【0073】
適宜、インク層27も、比較的低いパーセンテージの、典型的には21質量%未満の、第1のガラスフリットを含み、それでも、実施形態2と同様にして、初期熱融合工程の後にインク層23の残留成分を実質的に除去することができる。
実施形態4:デザインインク層を含む実施形態1の変更形態
実施形態4は、インクの複数の層がデザインインク層30を含むデザイン層を含むという点を除き実施形態1と似ている。例えば、デザインインク層30は、図4Bの逆読みデザインの形態で、ステンシル層20、および図4Aのガラス板10の露出している未印刷の部分の上に印刷される。デザインインク層30は、適宜、単一のスポットカラーまたは複数のスポットカラーまたは全色刷り、例えば、シアン、マゼンタ、黄色、および黒色(CMYK)の4色刷り層を含む。デザインインク層30は、例えば、スクリーン印刷されるか、またはセラミックインクを印刷するさまざまなデジタル方式のうちの1つ、例えば、Dip−Tech Ltd社(イスラエル)によって提供されている機器によるGlassJet(商標)デジタルインクジェット印刷によって施される。
【0074】
逆読みデザインは、ガラス板10の他方の側から正しい読みで、またガラス板10を通して見える。次いで、図4Cおよび4Dにおいて、インク層21および25が施される。図4E〜4Iは、図1D〜1Hの生産段階に続き、デザイン層30ならびにインク層21および25を実質的に正確なレジストレーションで印刷パターン40内に残す。
【0075】
米国再発行特許第37,186号による一方向視界シースルーグラフィックパネルを作製するために、インク層21は、典型的には白色であり、デザインインク層30の1つまたは複数の色に対する背景層として働き、インク層25は、典型的には黒色であり、パネルの印刷側からパネルの他方の側へ良好な通し視をもたらし、そこからデザインが明確に見える。説明されている実施形態には多くの変更形態があり得ることは理解されるであろう。例えば、この実施形態4では、デザインインク層30は、適宜、ステンシル層20の上で、黒色のインク層21上、白色のインク層25上に正しい読みで印刷され、その結果、パネルの印刷側からデザインが見え、未印刷側から良好な通し視が可能になるパネルが得られる。
実施形態5:デザインインク層を含む実施形態2の変更形態
実施形態5は、デザインインク層31を含むデザイン層を含むという点を除き実施形態2と似ている。
【0076】
図5Aでは、クリアな透明インク層19が印刷パターン40の形態でガラス板10上に印刷される。インク層19は、比較的高い割合の、例えば70質量%のガラスフリットを含む。デザインインク層31は、透明インク層19およびガラス板10の未印刷部分の上に逆読みで印刷され、これにより、図5Bに示されているように、デザインはガラス板10および透明インク層19を通して正しい読み(right-reading)で見える。デザインインク層31は、図5Cおよび5Dにおけるそれぞれ次のインク層24および26の場合のように、比較的低いパーセンテージの、好ましくは21質量%未満のガラスフリットを含む。図5E〜5Gは、デザインインク層31および透明インク層19が図5Fおよび5Gにおけるガラス板10を通して見えるデザインインク層32内に融合する傾向を有することを除き、図2C〜2Eの生産段階に対応している。インク層24が白色で、インク層26が黒色である場合、英国特許第2 165 292号に従って一方向視界パネルを作製するためには、デザインインク層32は、ガラス板10の印刷されていない側から見えるが、印刷されている側からは見えず、パネルを通した良好な視界が得られる。
実施形態6:デザインインク層を含む実施形態3の変更形態
英国特許第2 165 292号に従って一方向視界パネルを形成するためにデザインを組み込む他の方法として、実施形態3の方法を適合させる方法もあり得、例えば、ガラスフリット1を含むインク層23は黒色で、ガラス板10の未印刷側からは良好な通し視となるようにし、ガラスフリット2を含むインク層27は白色で、融点t2の第2のガラスフリットも適宜含むデザインインク層で重ね印刷され、他の生産段階は実施形態3に従うものとする。
【0077】
他のタイプのシースルーグラフィックパネルの一例として、実施形態3の第2のガラスフリットを含むインク層23は白色であり、第2のガラスフリットを適宜含む半透明デザインインク層は、インク層27の代わりに使用され、欧州特許第088 0439号に従って半透明「基層」23および半透明デザイン層とともにシースルーグラフィックスパネルを形成する。
【0078】
図6Aは、デザイン層33が印刷パターン線41内で見えるシースルーグラフィックパネル90の一方の側を例示している。図6Bは、印刷パターン40内のデザイン層33と正確に見当合わせされた黒色線42を含み、パネル90の一方の側から相隔てて並ぶ物体の通し視をもたらすことが可能なパネル90の他方の側を例示している。
【0079】
本発明のこれらすべての例示的な実施形態において、ガラスフリットおよびインク媒体は、印刷パターン内と印刷パターンの外側の両方に構成され、典型的には、熱融合工程の最高温度でのインクの複数の層内の溶融ガラスフリットの重量に対する熱融合工程の開始後のインクの複数の層内のインク媒体の重量の比率は、印刷パターン内に比べて印刷パターンの外側において大きい。このため、インク媒体の差動排除およびインクが取り除かれる印刷パターンの外側とは対照的なその結果生じる印刷パターン内の基材へのインクの差動接着が可能になる。
【0080】
すべての例示的な実施形態において、インクの層は、ガラス板10に直接印刷する代わりに、直接的または間接的デカールによってガラスパネル10に施され得ることは理解されるであろう。
【0081】
必要に応じて、1つまたは複数のインク媒体は酸化ビスマスを含む。
【0082】
ガラス上への直接印刷は、典型的には、直接印刷に使用される着色顔料対媒体の比が典型的にはデカール印刷に使用される比に比べてかなり高く、したがって焼成工程において除去すべき有機材料が少ないため、有利である。
【0083】
デカールおよび直接印刷方法は、適宜組み合わされる。例えば、第1の実施形態では、ステンシルインク層は、適宜、デカールとして施され、続くインク層は直接印刷される。他の例として、例えば、黒色の上に白色のインク層を含む一方向視界パネルを生産するための、ステンシルインク層および1つまたは複数の後続のインク層を含むデカールは、適宜直接印刷されるデザインインク層が後に続くデカールとして適宜施される。完成品の黒色の上に白色の層は、これにより、適宜、比較的大量に生産され、したがって、個別のデザインを有するシースルーグラフィックパネルをより経済的に生産することができる。
【0084】
例示されている、および/または説明されているものよりも多くの本発明の実施形態があることも理解されるであろう。
【符号の説明】
【0085】
10 ガラス板
19 透明インク層
20 ステンシルインク層
21 第1のセラミックインク層
22 第1のインク層
23 インク層
24 インク層
25 第2のセラミックインク層
26 セラミックインク層
27 インク層
28 インク層
29 セラミックインク層
30 デザインインク層
31 デザインインク層
32 デザインインク層
33 デザイン層
37 マスクインク層
40 印刷パターン
41 印刷パターン線
42 黒色線
261 結合粒子
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図1F】

【図1G】

【図1H】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図2E】

【図2F】

【図2G】

【図2H】

【図2I】

【図2J】

【図2K】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】

【図3E】

【図3F】

【図4A】

【図4B】

【図4C】

【図4D】

【図4E】

【図4F】

【図4G】

【図4H】

【図4I】

【図5A】

【図5B】

【図5C】

【図5D】

【図5E】

【図5F】

【図5G】

【図6A】

【図6B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層を持つ基材を、前記基材を複数の離散印刷領域および/または複数の離散非印刷領域に細分する印刷パターン内に部分的に画像化する方法であって、前記層は実質的に正確なレジストレーションを施されており、
(i)インクの複数の層を前記基材に施すステップであって、インクの前記複数の層はインク媒体を含み、前記インク媒体は第1のインク媒体および同じであっても異なっていてもよい他のインク媒体を含み、インクの前記層のうちの1つは、前記印刷パターンを画定するマスクインク層を含み、前記マスクインク層は前記第1のインク媒体を含み、インクの前記層のうちの他の1つの層は、顔料およびガラスフリットおよび前記他のインク媒体を含む、ステップと、
(ii)前記基材およびインクの前記複数の層を熱融合工程に供するステップであって、前記熱融合工程において前記インク媒体は前記印刷パターンの内側と比べて前記印刷パターンの外側において差動熱排除を受け、前記顔料および前記ガラスフリットは前記印刷パターン内に前記基材に接着された耐久性のある画像材料を形成し、前記印刷パターンの外側に耐久性のある画像材料を形成しない、ステップと、
(iii)前記印刷パターンの外側で前記層のうちの前記他の層の一部分を除去するステップであって、前記一部分は前記熱融合工程において焼き落とされ、および/または気化され、および/または後続の仕上げ工程によって実質的に除去される、ステップとを含む方法。
【請求項2】
複数の前記領域は、共通の長さの境界を持つインクの複数の重ね合わされた層を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記印刷パターンの前記領域のうちの1つの領域は、異なる色を有し、前記印刷パターンの前記領域のうちの他の1つの領域から相隔てられて並ぶ請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記マスクインク層は、前記印刷パターンの外側にステンシル層を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記マスクインク層は、前記印刷パターン内に施される請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のインク媒体および前記他のインク媒体は、同じ成分を含み、前記同じ成分は、前記第1のインク媒体および前記他のインク媒体内に同じ割合で存在する前の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記マスクインク層は、60質量%を超えるガラスフリットを含む請求項5に記載の方法。
【請求項8】
インクの前記層のうちの前記他の1つの層において、前記ガラスフリットは、インクの前記層のうちの前記他の1つの層の21質量%未満の湿潤インクを含む請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記マスクインク層は、第1の融点の第1のガラスフリットを含み、前記他のインク層は、第2の融点の第2のガラスフリットを含み、前記熱融合工程は、前記第1の融点より高く、前記第2の融点より低い最高温度を伴い、インクの前記他の1つの層の一部は、前記熱融合工程の後に前記印刷パターンの外側で除去される請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記印刷パターンの外側で前記他の1つのインク層の前記除去に続いて、前記基材および前記印刷パターン内の前記層の前記残りの部分は、前記第2の融点を超える温度を伴う第2の熱工程に供される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の熱工程は、ガラス焼き戻し工程である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記熱融合工程の開始後のインクの前記複数の層内の前記インク媒体の重量と前記熱融合工程の最高温度におけるインクの前記複数の層内の溶融ガラスフリットの重量との比率は、前記印刷パターン内よりも前記印刷パターンの外側において大きい前の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記印刷パターン内よりも前記印刷パターンの外側で単位面積当たりの重量のインク媒体が多い請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ステンシル層は、アルミナを含む請求項4に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のインク媒体は、酸化ビスマスを含む前の請求項のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2012−513918(P2012−513918A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544079(P2011−544079)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【国際出願番号】PCT/GB2009/002972
【国際公開番号】WO2010/076563
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(508019160)コントラ ヴィジョン リミテッド (2)
【Fターム(参考)】