巻上機のブレーキ
【課題】ブレーキの組立て時間の短縮を図り、製造コストの低い巻上機のブレーキを提供する。
【解決手段】ロータ4の軸5と同軸にある固定鉄心6、ロータ4の径方向へ動作するように弾性部材を介して固定鉄心6と連結された可動鉄心7、可動鉄心7と球面ボルト9を介して連結されたブレーキシュー8、ブレーキシュー8におけるロータ4の周方向の端面を受ける端面を有するトルク受け11、ロータ4の周方向と平行にトルク受け11に接続され、ブレーキシュー8をガイドする2つのガイド部材12を備えた内部拡大式の巻上機のブレーキにおいて、2つのガイド部材12に突起15が設けられ、突起15によって、ブレーキシュー8が、ガイド部材12両側それぞれにおいて2点で拘束されるようにした。
【解決手段】ロータ4の軸5と同軸にある固定鉄心6、ロータ4の径方向へ動作するように弾性部材を介して固定鉄心6と連結された可動鉄心7、可動鉄心7と球面ボルト9を介して連結されたブレーキシュー8、ブレーキシュー8におけるロータ4の周方向の端面を受ける端面を有するトルク受け11、ロータ4の周方向と平行にトルク受け11に接続され、ブレーキシュー8をガイドする2つのガイド部材12を備えた内部拡大式の巻上機のブレーキにおいて、2つのガイド部材12に突起15が設けられ、突起15によって、ブレーキシュー8が、ガイド部材12両側それぞれにおいて2点で拘束されるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブレーキシューの組立て、調整を容易にすることにより、製造コストを低減した巻上機のブレーキに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の巻上機では、左右一対の電磁ブレーキがロータの内周面に180°対向して配置されている。電磁ブレーキは、ロータに内蔵された内部拡張型のブレーキ装置であり、電磁石の固定鉄心と可動鉄心からなり、可動鉄心の先端にはブレーキシューが取付けられている。ブレーキシューは、可動鉄心の先端に連結部材を介して取付けられ、2つのトルク受けの間に配置されている。ブレーキシューとロータとのギャップを調整するため、連結部材として球面座と球面ボルトが使用されている。
【0003】
このようなブレーキでは、ブレーキシューに設けた浅い凹部に球面座を収め、球面座の位置を規制することにより、ブレーキシューの組立精度を向上していた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ブレーキシューの巻上機のロータの周方向と垂直な端面と平行な方向の側面中央部に突起を設け、片側ないし両側から弾性部材で支持することにより、組立てたブレーキシューが水平となるように、傾きを調整していた(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−303341号公報(第3頁、図5)
【特許文献2】WO2004/36080号公報(第16頁、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のような巻上機のブレーキでは、ブレーキシューの組立精度を向上する場合には、寸法精度の高い部品が必要となって、製造コストが増加する問題があった。一方、また部品の加工コストを低減する場合には、球面座の位置決め精度が低下するため、ブレーキの組立て時の調整に時間を要し、ブレーキの製造コストが増加する問題があった。
【0007】
また、上記特許文献2のような巻上機のブレーキでは、調整目標となる寸法が微小なため繰返し調整する必要が生じて、組立てに時間を要し、製造コストが増加するという問題点があった。
【0008】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、ブレーキの組立て時間の短縮を図り、製造コストの低い巻上機のブレーキを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る巻上機のブレーキは、コイルを備え、ロータの軸と同軸にある固定鉄心、上記ロータの径方向へ可動に弾性部材を介して上記固定鉄心と連結された可動鉄心、上記可動鉄心と連結されたブレーキシュー、上記ロータ周方向の上記ブレーキシュー各端面と対向する端面を有するトルク受け、及び上記周方向と略平行に上記ブレーキシューを表裏で挟む形で上記トルク受けに接続され、一組となって上記ブレーキシューの上記径方向の動きをガイドする2つのガイド部材を備え、
上記2つのガイド部材と上記ブレーキシューとが対向する面において、上記2つのガイド部材及びブレーキシューのいずれか一方に突起が設けられ、上記突起によって、上記ブレーキシューが、上記ガイド部材両側それぞれにおいて拘束されているものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る巻上機のブレーキによれば、ブレーキシューをトルク受けと平行に調整しやすくなり、その結果、ブレーキシューの組立て、調整が容易になり、ブレーキの製造コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態1を示す正面断面図である。
巻上機1のブレーキ2は、巻上機1の回転軸5とほぼ同軸心、且つ、巻上機1のロータ4の内側に固定されており、コイル24を備えた固定鉄心6、固定鉄心6と圧縮バネ等の弾性部材を介して連結された可動鉄心7、可動鉄心7に連結されたブレーキシュー8、可動鉄心7とブレーキシュー8との連結手段である球面ボルト9、球面ボルト9を支持する球面座10、球面座10を介し球面ボルト9とブレーキシュー8を弾性的に支持する板バネ13、ロータ4の周方向に端面を有し、ブレーキシュー8の周方向端面を挟みガイドするトルク受け11、ブレーキシュー8を巻上機1のロータ4の周方向と垂直な方向に拘束する2つのガイド部材12で構成される内部拡大式ブレーキ2である。なお、トルク受け11は、ハウジング3と一体に形成されたり、ハウジング3にネジで固定される。
【0012】
この巻上機1のブレーキ2の場合、コイル24を励磁する電流の遮断と通電を切り換えて、作動と解除を制御する。ブレーキ2の作動時には、コイル24への電流を遮断することにより、可動鉄心7をロータ4の径方向外側に押す圧縮バネ25の力によって、可動鉄心7に連結されたブレーキシュー8がロータ4に押し付けられる。一方、ブレーキ2の解除時は、コイル24への電流を供給することにより、固定鉄心6に生じる磁気吸引力によって、ブレーキシュー8が可動鉄心7とともに吸引されてロータ4から引き離される。
【0013】
図2は、この実施の形態1における巻上機のブレーキのブレーキシュー周りの拡大図であり、(a)は正面図、(b)は(a)中のA−A矢視図である。
ブレーキシュー8は、巻上機1のロータ4の周方向に設けた上記2つのトルク受け11により、周方向の動きが規制される。また、ブレーキシュー8における巻上機1のロータ4の周方向と垂直な端面には、ガイド部材12のブレーキシュー8に接する面に設けた2対の突起15を介し、ガイド部材12によってブレーキシュー8をトルク受け11と略平行に保持する。なお、図2では、この発明の構成を説明するために、ブレーキシュー8と突起15とのすき間22を大きく描いているが、すき間22の実際の大きさは数十μm以下である。
【0014】
この方式のブレーキ2では、制動力を一定に保つため、球面ボルト9の可動鉄心7から突出する部分の長さL1を調節することにより、ブレーキシュー8とロータ4とのギャップ26を、数十μmの精度に調整する必要がある。一方、この方式のブレーキ2では、ブレーキシュー8がロータ4に押し付けられた状態で、ロータ4が回転する場合があるため、ブレーキシュー8がロータ4の周方向に変位しないように、トルク受け11によってブレーキシュー8の変位を抑制して球面ボルト9に過大な力が作用することを防止する。そのために、ブレーキシュー8は、トルク受け11と平行になるように、組立て時に調整する必要がある。
【0015】
図3は、従来のブレーキの構造を示す正面図(a)及び(a)のA−A矢視図である。
図3(a)と(b)に示した従来の構造では、球面ボルト9を支持する球面座10をブレーキシュー8に設けた浅い凹部14に収め、凹部14の寸法精度の高い2つの側面部28で球面座10の位置を規制することにより、精度よくブレーキシュー8をトルク受け11に組み立てていた。しかしこの構造では、組立精度をさらに向上する場合、寸法精度のさらに高い部品が必要なため、製造コストが増加する問題があった。また部品の加工コストを低減するために寸法精度の低い部品を使う場合、ブレーキシュー8とロータ4とのギャップ26を数十μm前後の精度に収め、且つ、ブレーキシュー8とトルク受け11を平行となるように組み立てるために、繰り返し調整する必要が生じて組立時間を要するなど、製造コストが増加するという問題点があった。
【0016】
図2に示した構成によれば、ブレーキシュー8におけるロータ4の周方向と垂直な端面を2点で拘束することが可能となるため、トルク受け11と平行に調整しやすくなり、その結果、ブレーキシュー8の組立て性を改善でき、ブレーキ2の製造コストを低減できる。
【0017】
図4は、この実施の形態1における他の例を示す下面図である。
図2では、ガイド部材12の両側に突起15を設けた構成を示したが、図4に示したように、ブレーキシュー8に2対の突起15を設け、突起15と対向するガイド部材12をを平坦な面にしてもよい。
【0018】
図4のような構成によれば、突起15をブレーキシュー8に集約できて、ガイド部材12の加工が簡略化できるため、ブレーキ2のコストを低減できる。
【0019】
図5は、この実施の形態1における他の例を示す下面図である。
図2に示した構成では、ブレーキシュー8に設けた突起15と接触するガイド部材12の面を平坦に加工する必要があり、滑りを良くするためには、表面あらさを小さくする必要も生じる場合がある。このときには、図5に示したように、ガイド部材12に設けた突起15と接触するブレーキシュー8の面に段差27を設ける。図5に示したように、ブレーキシュー8に段差27を設けて加工する領域を制限することにより、製造コストを低減できる。また、図4のような場合には、ガイド部材12の方に段差27を設けることにより同様の効果を得る方法がある。
【0020】
図6は、この実施の形態1における他の例を示す下面図である。
図2と図4に示した構成を組み合わせてもよい。図6に示したように、ブレーキシュー8のガイド部材12と対向する2面のうち、一方を平坦な面、他方を突起15を2つ設けた面とし、ブレーキシュー8の平坦な面と対向するガイド部材12に2つの突起15を設け、ブレーキシュー8の突起15を2つ設けた面と対向するガイド部材12を平坦とする方法もある。
【0021】
なお、図4、図5、図6も図2と同様に、本発明の構成を説明するために、ブレーキシュー8と突起15とのすき間22を大きく描いている。
【0022】
図7は、この実施の形態1における他の例を示す下面図である。
突起15が剛体の場合、長さL2のばらつきによって、ブレーキシュー8をトルク受け11と略平行に拘束する力の不足や過剰が生じる可能性がある。そのため、図7に示したように、ガイド部材12として弾性部材を用いる方法がある。ガイド部材12の剛性を任意に設定することにより、ブレーキシュー8を拘束する力を予め設計できるため、組立て時の調整を簡素化できて、ブレーキ2の組立コストを低減できる。
【0023】
図8は、この実施の形態1における他の例を示す下面図である。
突起15を設ける方法としては、図8に示したように、当て板20をガイド部材12にネジ19で固定したり、貼り付けるなどの方法がある。図示しないが、同様にしてブレーキシュー8に突起15を設ける方法もある。
【0024】
図9及び図10は、この実施の形態1における他の例を示す下面図である。
図9に示したように、ガイド部材12による拘束力を調整するために、当て板20をネジ19で押し込む方法がある。また、図10に示したように、ガイド部材12の固定部に配設したバネ等の弾性要素16のたわみを利用して、ブレーキシュー8の拘束力を調整する方法がある。これらの方法により、組立て時の調整をさらに簡素化できて、ブレーキ2の製造コストを低減できる。
【0025】
図11は、この実施の形態1における他の例を示す下面図である。
ブレーキシュー8は、組立て時、図1に示したロータ4の軸方向からトルク受け11に挿入するが、ブレーキシュー8とトルク受け11のすき間が微小なため、組立てにくい。そこで図11に示したように、ブレーキシュー8の面取り加工箇所23を面取り加工することにより、ブレーキシュー8をトルク受け11へ挿入しやすくできる。面取り加工には、図11(a)のようなC面取り加工や、図11(b)のような角をR面取りする加工、図11(c)のようなトルク受け11との対向面をR面取りする等がある。
【0026】
この実施の形態1に示した構成によれば、ブレーキシュー8を巻上機1のロータ4の端面と平行な方向に拘束できるため、図3に示した側面部28には高い寸法精度が不要となる。図12(a)に示したように、球面座10を配置する凹部14に側面部28がない場合、ブレーキシュー8の加工が簡単になるためブレーキ2の製造コストを低減できる。
【0027】
実施の形態2.
図13及び図14は、この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態2を示す下面図であり、一部断面で示している。
上記実施の形態1のように、ブレーキシュー8またはガイド部材12に剛体の突起15を設けて、ブレーキシュー8をトルク受け11と略平行に拘束する場合、例えば、突起15の高さのばらつきなどの要因によって、拘束力の不足や過剰が生ずる可能性がある。
【0028】
そこで、図13に示したように、バネ等を用いた弾性構成体21をブレーキシュー8に内蔵して突起を設ける方法や、あるいは、図14に示したように、ボールプランジャ17をブレーキシュー8に内蔵して突起を設ける方法によって、ガイド部材12がブレーキシュー8を拘束する力を予め設計した範囲に調節する。
【0029】
このような構成によれば、突起15の寸法に応じ、ブレーキシュー8の拘束力を調整する必要がなくなるため、組立て時の調整を簡素化できて、ブレーキ2の製造コストを低減できる。
【0030】
実施の形態3.
図15及び図16は、この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態3を示す下面図である。
図15に示したように、板金加工部品18を取付けることにより、突起15を設ける方法もある。
【0031】
図15に示したような構成によれば、異なる機種のブレーキでも標準化した板金加工部品18で突起15を構成できるため、突起15を構成する部品の製造コストを低減できる。
【0032】
また、図16に示したように、ガイド部材12の一部を塑性変形させて突起15を設ける方法もある。
【0033】
図16に示したような構成によれば、突起15の部品点数を減らすことができるため、ブレーキ2のコストを低減できる。
【0034】
実施の形態4.
図17は、この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態4を示す下面図である。
上記実施の形態1に示したように、可動鉄心7とブレーキシュー8との連結手段である球面ボルト9を、ブレーキシュー8の中心に対してロータ4の周方向に対称に2つ配置する場合、図17(a)に示したように1つのガイド部材12がブレーキシュー8を拘束する突起15の2点の間隔L3を球面ボルト9の間隔L4と同等以上に大きい構成にする。
【0035】
図17(a)に示したような構成によれば、1つのガイド部材12がブレーキシュー8を拘束する突起15の2点の間隔L3が、球面ボルト9の間隔L4より小さい図17(b)に示したような構成と比較して、ブレーキシュー8を安定してトルク受け11と略平行に拘束できるため、ブレーキシュー8を調整しやすくなってブレーキ2の製造コストの低減が期待できる。
【0036】
実施の形態5.
図18は、この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態5を示す下面図である。
この発明のブレーキでは、ブレーキシュー8は、2つの突起15によって、トルク受け11と略平行となるように両側から拘束される。そのため、ブレーキシュー8とガイド部材12の間の摩擦係数が高い場合、ブレーキシュー8及び可動鉄心7が動作したときの摺動抵抗が大きくなり、摩擦損失が増えることが想定される。
【0037】
このため、図18に斜線で示したように、ブレーキシュー8、または、ガイド部材12が互いに当接する当接部29の摩擦係数を、非当接部より低くする。このような構成にすれば、ブレーキシュー8とガイド部材12が接触する場合でもブレーキシュー8とガイド部材12の摺動抵抗を低減できるため、ブレーキ2の滑らかな動作を実現できる。
【0038】
摩擦係数を低減する方法として、突起15、あるいは、突起15と対向するブレーキシュー8またはガイド部材12の少なくともいずれか一方を銅、青銅など摩擦係数の低い材料によって構成する方法や、任意の材料によって構成された突起15、あるいは、突起15と対向するブレーキシュー8またはガイド部材12の少なくともいずれか一方の当接部29の近傍に、銅、青銅など摩擦係数の低い材料を貼り合わせる方法がある。これらの方法により、突起15やブレーキシュー8やガイド部材12の材料選択に自由度が増えて、材料コストを低減できる。
【0039】
また摩擦係数を低減する他の方法として、任意の材料によって構成された突起15、あるいは、突起15と対向するブレーキシュー8またはガイド部材12の少なくともいずれか一方の当接部29の近傍に、表面処理を施す方法などがある。
摩擦係数を低減する表面処理には、ニッケルとリンの化合物にふっそ化合物を分散させためっきを施す方法や、ふっそ化合物などの低摩擦材をスパッタや蒸着などで成膜する方法がある。これらの方法により、摩擦係数を低減する部位を必要最小限に限定できるため、加工コストを低減できる。
【0040】
図18に示したような構成によれば、材料コストや加工コストを低減できるため、ブレーキの製造コストを低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明に係る巻上機のブレーキは、エレベータ等に有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態1を示す正面断面図である。
【図2】この実施の形態1における巻上機のブレーキのブレーキシュー周りの拡大図である。
【図3】従来のブレーキの構造を示す正面図(a)及び(a)のA−A矢視図である。
【図4】実施の形態1における他の例を示す下面図である。
【図5】実施の形態1における他の例を示す下面図である。
【図6】実施の形態1における他の例を示す下面図である。
【図7】実施の形態1における他の例を示す下面図である。
【図8】実施の形態1における他の例を示す下面図である。
【図9】実施の形態1における他の例を示す下面図である。
【図10】実施の形態1における他の例を示す下面図である。
【図11】実施の形態1における他の例を示す下面図である。
【図12】実施の形態1における効果を説明する下面図である。
【図13】この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態2を示す下面図である。
【図14】この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態2を示す下面図である。
【図15】この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態3を示す下面図である。
【図16】この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態3を示す下面図である。
【図17】この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態4を示す下面図である。
【図18】この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態5を示す下面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 巻上機、2 ブレーキ、3 ハウジング、4 ロータ、5 回転軸、
6 固定鉄心、7 可動鉄心、8 ブレーキシュー、9 球面ボルト、10 球面座、
11 トルク受け、12 ガイド部材、13 板バネ、14 凹部、15 突起、
16 弾性要素、17 ボールプランジャ、18 板金加工部品、19 ネジ、
20 当て板、21 弾性構成体、22 すき間、23 面取り加工箇所、
24 コイル、25 圧縮バネ、26 ギャップ、27 段差、28 側面部、
29 当接部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブレーキシューの組立て、調整を容易にすることにより、製造コストを低減した巻上機のブレーキに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の巻上機では、左右一対の電磁ブレーキがロータの内周面に180°対向して配置されている。電磁ブレーキは、ロータに内蔵された内部拡張型のブレーキ装置であり、電磁石の固定鉄心と可動鉄心からなり、可動鉄心の先端にはブレーキシューが取付けられている。ブレーキシューは、可動鉄心の先端に連結部材を介して取付けられ、2つのトルク受けの間に配置されている。ブレーキシューとロータとのギャップを調整するため、連結部材として球面座と球面ボルトが使用されている。
【0003】
このようなブレーキでは、ブレーキシューに設けた浅い凹部に球面座を収め、球面座の位置を規制することにより、ブレーキシューの組立精度を向上していた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ブレーキシューの巻上機のロータの周方向と垂直な端面と平行な方向の側面中央部に突起を設け、片側ないし両側から弾性部材で支持することにより、組立てたブレーキシューが水平となるように、傾きを調整していた(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−303341号公報(第3頁、図5)
【特許文献2】WO2004/36080号公報(第16頁、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のような巻上機のブレーキでは、ブレーキシューの組立精度を向上する場合には、寸法精度の高い部品が必要となって、製造コストが増加する問題があった。一方、また部品の加工コストを低減する場合には、球面座の位置決め精度が低下するため、ブレーキの組立て時の調整に時間を要し、ブレーキの製造コストが増加する問題があった。
【0007】
また、上記特許文献2のような巻上機のブレーキでは、調整目標となる寸法が微小なため繰返し調整する必要が生じて、組立てに時間を要し、製造コストが増加するという問題点があった。
【0008】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、ブレーキの組立て時間の短縮を図り、製造コストの低い巻上機のブレーキを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る巻上機のブレーキは、コイルを備え、ロータの軸と同軸にある固定鉄心、上記ロータの径方向へ可動に弾性部材を介して上記固定鉄心と連結された可動鉄心、上記可動鉄心と連結されたブレーキシュー、上記ロータ周方向の上記ブレーキシュー各端面と対向する端面を有するトルク受け、及び上記周方向と略平行に上記ブレーキシューを表裏で挟む形で上記トルク受けに接続され、一組となって上記ブレーキシューの上記径方向の動きをガイドする2つのガイド部材を備え、
上記2つのガイド部材と上記ブレーキシューとが対向する面において、上記2つのガイド部材及びブレーキシューのいずれか一方に突起が設けられ、上記突起によって、上記ブレーキシューが、上記ガイド部材両側それぞれにおいて拘束されているものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る巻上機のブレーキによれば、ブレーキシューをトルク受けと平行に調整しやすくなり、その結果、ブレーキシューの組立て、調整が容易になり、ブレーキの製造コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態1を示す正面断面図である。
巻上機1のブレーキ2は、巻上機1の回転軸5とほぼ同軸心、且つ、巻上機1のロータ4の内側に固定されており、コイル24を備えた固定鉄心6、固定鉄心6と圧縮バネ等の弾性部材を介して連結された可動鉄心7、可動鉄心7に連結されたブレーキシュー8、可動鉄心7とブレーキシュー8との連結手段である球面ボルト9、球面ボルト9を支持する球面座10、球面座10を介し球面ボルト9とブレーキシュー8を弾性的に支持する板バネ13、ロータ4の周方向に端面を有し、ブレーキシュー8の周方向端面を挟みガイドするトルク受け11、ブレーキシュー8を巻上機1のロータ4の周方向と垂直な方向に拘束する2つのガイド部材12で構成される内部拡大式ブレーキ2である。なお、トルク受け11は、ハウジング3と一体に形成されたり、ハウジング3にネジで固定される。
【0012】
この巻上機1のブレーキ2の場合、コイル24を励磁する電流の遮断と通電を切り換えて、作動と解除を制御する。ブレーキ2の作動時には、コイル24への電流を遮断することにより、可動鉄心7をロータ4の径方向外側に押す圧縮バネ25の力によって、可動鉄心7に連結されたブレーキシュー8がロータ4に押し付けられる。一方、ブレーキ2の解除時は、コイル24への電流を供給することにより、固定鉄心6に生じる磁気吸引力によって、ブレーキシュー8が可動鉄心7とともに吸引されてロータ4から引き離される。
【0013】
図2は、この実施の形態1における巻上機のブレーキのブレーキシュー周りの拡大図であり、(a)は正面図、(b)は(a)中のA−A矢視図である。
ブレーキシュー8は、巻上機1のロータ4の周方向に設けた上記2つのトルク受け11により、周方向の動きが規制される。また、ブレーキシュー8における巻上機1のロータ4の周方向と垂直な端面には、ガイド部材12のブレーキシュー8に接する面に設けた2対の突起15を介し、ガイド部材12によってブレーキシュー8をトルク受け11と略平行に保持する。なお、図2では、この発明の構成を説明するために、ブレーキシュー8と突起15とのすき間22を大きく描いているが、すき間22の実際の大きさは数十μm以下である。
【0014】
この方式のブレーキ2では、制動力を一定に保つため、球面ボルト9の可動鉄心7から突出する部分の長さL1を調節することにより、ブレーキシュー8とロータ4とのギャップ26を、数十μmの精度に調整する必要がある。一方、この方式のブレーキ2では、ブレーキシュー8がロータ4に押し付けられた状態で、ロータ4が回転する場合があるため、ブレーキシュー8がロータ4の周方向に変位しないように、トルク受け11によってブレーキシュー8の変位を抑制して球面ボルト9に過大な力が作用することを防止する。そのために、ブレーキシュー8は、トルク受け11と平行になるように、組立て時に調整する必要がある。
【0015】
図3は、従来のブレーキの構造を示す正面図(a)及び(a)のA−A矢視図である。
図3(a)と(b)に示した従来の構造では、球面ボルト9を支持する球面座10をブレーキシュー8に設けた浅い凹部14に収め、凹部14の寸法精度の高い2つの側面部28で球面座10の位置を規制することにより、精度よくブレーキシュー8をトルク受け11に組み立てていた。しかしこの構造では、組立精度をさらに向上する場合、寸法精度のさらに高い部品が必要なため、製造コストが増加する問題があった。また部品の加工コストを低減するために寸法精度の低い部品を使う場合、ブレーキシュー8とロータ4とのギャップ26を数十μm前後の精度に収め、且つ、ブレーキシュー8とトルク受け11を平行となるように組み立てるために、繰り返し調整する必要が生じて組立時間を要するなど、製造コストが増加するという問題点があった。
【0016】
図2に示した構成によれば、ブレーキシュー8におけるロータ4の周方向と垂直な端面を2点で拘束することが可能となるため、トルク受け11と平行に調整しやすくなり、その結果、ブレーキシュー8の組立て性を改善でき、ブレーキ2の製造コストを低減できる。
【0017】
図4は、この実施の形態1における他の例を示す下面図である。
図2では、ガイド部材12の両側に突起15を設けた構成を示したが、図4に示したように、ブレーキシュー8に2対の突起15を設け、突起15と対向するガイド部材12をを平坦な面にしてもよい。
【0018】
図4のような構成によれば、突起15をブレーキシュー8に集約できて、ガイド部材12の加工が簡略化できるため、ブレーキ2のコストを低減できる。
【0019】
図5は、この実施の形態1における他の例を示す下面図である。
図2に示した構成では、ブレーキシュー8に設けた突起15と接触するガイド部材12の面を平坦に加工する必要があり、滑りを良くするためには、表面あらさを小さくする必要も生じる場合がある。このときには、図5に示したように、ガイド部材12に設けた突起15と接触するブレーキシュー8の面に段差27を設ける。図5に示したように、ブレーキシュー8に段差27を設けて加工する領域を制限することにより、製造コストを低減できる。また、図4のような場合には、ガイド部材12の方に段差27を設けることにより同様の効果を得る方法がある。
【0020】
図6は、この実施の形態1における他の例を示す下面図である。
図2と図4に示した構成を組み合わせてもよい。図6に示したように、ブレーキシュー8のガイド部材12と対向する2面のうち、一方を平坦な面、他方を突起15を2つ設けた面とし、ブレーキシュー8の平坦な面と対向するガイド部材12に2つの突起15を設け、ブレーキシュー8の突起15を2つ設けた面と対向するガイド部材12を平坦とする方法もある。
【0021】
なお、図4、図5、図6も図2と同様に、本発明の構成を説明するために、ブレーキシュー8と突起15とのすき間22を大きく描いている。
【0022】
図7は、この実施の形態1における他の例を示す下面図である。
突起15が剛体の場合、長さL2のばらつきによって、ブレーキシュー8をトルク受け11と略平行に拘束する力の不足や過剰が生じる可能性がある。そのため、図7に示したように、ガイド部材12として弾性部材を用いる方法がある。ガイド部材12の剛性を任意に設定することにより、ブレーキシュー8を拘束する力を予め設計できるため、組立て時の調整を簡素化できて、ブレーキ2の組立コストを低減できる。
【0023】
図8は、この実施の形態1における他の例を示す下面図である。
突起15を設ける方法としては、図8に示したように、当て板20をガイド部材12にネジ19で固定したり、貼り付けるなどの方法がある。図示しないが、同様にしてブレーキシュー8に突起15を設ける方法もある。
【0024】
図9及び図10は、この実施の形態1における他の例を示す下面図である。
図9に示したように、ガイド部材12による拘束力を調整するために、当て板20をネジ19で押し込む方法がある。また、図10に示したように、ガイド部材12の固定部に配設したバネ等の弾性要素16のたわみを利用して、ブレーキシュー8の拘束力を調整する方法がある。これらの方法により、組立て時の調整をさらに簡素化できて、ブレーキ2の製造コストを低減できる。
【0025】
図11は、この実施の形態1における他の例を示す下面図である。
ブレーキシュー8は、組立て時、図1に示したロータ4の軸方向からトルク受け11に挿入するが、ブレーキシュー8とトルク受け11のすき間が微小なため、組立てにくい。そこで図11に示したように、ブレーキシュー8の面取り加工箇所23を面取り加工することにより、ブレーキシュー8をトルク受け11へ挿入しやすくできる。面取り加工には、図11(a)のようなC面取り加工や、図11(b)のような角をR面取りする加工、図11(c)のようなトルク受け11との対向面をR面取りする等がある。
【0026】
この実施の形態1に示した構成によれば、ブレーキシュー8を巻上機1のロータ4の端面と平行な方向に拘束できるため、図3に示した側面部28には高い寸法精度が不要となる。図12(a)に示したように、球面座10を配置する凹部14に側面部28がない場合、ブレーキシュー8の加工が簡単になるためブレーキ2の製造コストを低減できる。
【0027】
実施の形態2.
図13及び図14は、この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態2を示す下面図であり、一部断面で示している。
上記実施の形態1のように、ブレーキシュー8またはガイド部材12に剛体の突起15を設けて、ブレーキシュー8をトルク受け11と略平行に拘束する場合、例えば、突起15の高さのばらつきなどの要因によって、拘束力の不足や過剰が生ずる可能性がある。
【0028】
そこで、図13に示したように、バネ等を用いた弾性構成体21をブレーキシュー8に内蔵して突起を設ける方法や、あるいは、図14に示したように、ボールプランジャ17をブレーキシュー8に内蔵して突起を設ける方法によって、ガイド部材12がブレーキシュー8を拘束する力を予め設計した範囲に調節する。
【0029】
このような構成によれば、突起15の寸法に応じ、ブレーキシュー8の拘束力を調整する必要がなくなるため、組立て時の調整を簡素化できて、ブレーキ2の製造コストを低減できる。
【0030】
実施の形態3.
図15及び図16は、この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態3を示す下面図である。
図15に示したように、板金加工部品18を取付けることにより、突起15を設ける方法もある。
【0031】
図15に示したような構成によれば、異なる機種のブレーキでも標準化した板金加工部品18で突起15を構成できるため、突起15を構成する部品の製造コストを低減できる。
【0032】
また、図16に示したように、ガイド部材12の一部を塑性変形させて突起15を設ける方法もある。
【0033】
図16に示したような構成によれば、突起15の部品点数を減らすことができるため、ブレーキ2のコストを低減できる。
【0034】
実施の形態4.
図17は、この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態4を示す下面図である。
上記実施の形態1に示したように、可動鉄心7とブレーキシュー8との連結手段である球面ボルト9を、ブレーキシュー8の中心に対してロータ4の周方向に対称に2つ配置する場合、図17(a)に示したように1つのガイド部材12がブレーキシュー8を拘束する突起15の2点の間隔L3を球面ボルト9の間隔L4と同等以上に大きい構成にする。
【0035】
図17(a)に示したような構成によれば、1つのガイド部材12がブレーキシュー8を拘束する突起15の2点の間隔L3が、球面ボルト9の間隔L4より小さい図17(b)に示したような構成と比較して、ブレーキシュー8を安定してトルク受け11と略平行に拘束できるため、ブレーキシュー8を調整しやすくなってブレーキ2の製造コストの低減が期待できる。
【0036】
実施の形態5.
図18は、この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態5を示す下面図である。
この発明のブレーキでは、ブレーキシュー8は、2つの突起15によって、トルク受け11と略平行となるように両側から拘束される。そのため、ブレーキシュー8とガイド部材12の間の摩擦係数が高い場合、ブレーキシュー8及び可動鉄心7が動作したときの摺動抵抗が大きくなり、摩擦損失が増えることが想定される。
【0037】
このため、図18に斜線で示したように、ブレーキシュー8、または、ガイド部材12が互いに当接する当接部29の摩擦係数を、非当接部より低くする。このような構成にすれば、ブレーキシュー8とガイド部材12が接触する場合でもブレーキシュー8とガイド部材12の摺動抵抗を低減できるため、ブレーキ2の滑らかな動作を実現できる。
【0038】
摩擦係数を低減する方法として、突起15、あるいは、突起15と対向するブレーキシュー8またはガイド部材12の少なくともいずれか一方を銅、青銅など摩擦係数の低い材料によって構成する方法や、任意の材料によって構成された突起15、あるいは、突起15と対向するブレーキシュー8またはガイド部材12の少なくともいずれか一方の当接部29の近傍に、銅、青銅など摩擦係数の低い材料を貼り合わせる方法がある。これらの方法により、突起15やブレーキシュー8やガイド部材12の材料選択に自由度が増えて、材料コストを低減できる。
【0039】
また摩擦係数を低減する他の方法として、任意の材料によって構成された突起15、あるいは、突起15と対向するブレーキシュー8またはガイド部材12の少なくともいずれか一方の当接部29の近傍に、表面処理を施す方法などがある。
摩擦係数を低減する表面処理には、ニッケルとリンの化合物にふっそ化合物を分散させためっきを施す方法や、ふっそ化合物などの低摩擦材をスパッタや蒸着などで成膜する方法がある。これらの方法により、摩擦係数を低減する部位を必要最小限に限定できるため、加工コストを低減できる。
【0040】
図18に示したような構成によれば、材料コストや加工コストを低減できるため、ブレーキの製造コストを低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明に係る巻上機のブレーキは、エレベータ等に有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態1を示す正面断面図である。
【図2】この実施の形態1における巻上機のブレーキのブレーキシュー周りの拡大図である。
【図3】従来のブレーキの構造を示す正面図(a)及び(a)のA−A矢視図である。
【図4】実施の形態1における他の例を示す下面図である。
【図5】実施の形態1における他の例を示す下面図である。
【図6】実施の形態1における他の例を示す下面図である。
【図7】実施の形態1における他の例を示す下面図である。
【図8】実施の形態1における他の例を示す下面図である。
【図9】実施の形態1における他の例を示す下面図である。
【図10】実施の形態1における他の例を示す下面図である。
【図11】実施の形態1における他の例を示す下面図である。
【図12】実施の形態1における効果を説明する下面図である。
【図13】この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態2を示す下面図である。
【図14】この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態2を示す下面図である。
【図15】この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態3を示す下面図である。
【図16】この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態3を示す下面図である。
【図17】この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態4を示す下面図である。
【図18】この発明に係る巻上機のブレーキの実施の形態5を示す下面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 巻上機、2 ブレーキ、3 ハウジング、4 ロータ、5 回転軸、
6 固定鉄心、7 可動鉄心、8 ブレーキシュー、9 球面ボルト、10 球面座、
11 トルク受け、12 ガイド部材、13 板バネ、14 凹部、15 突起、
16 弾性要素、17 ボールプランジャ、18 板金加工部品、19 ネジ、
20 当て板、21 弾性構成体、22 すき間、23 面取り加工箇所、
24 コイル、25 圧縮バネ、26 ギャップ、27 段差、28 側面部、
29 当接部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルを備え、ロータの軸と同軸にある固定鉄心、上記ロータの径方向へ可動に弾性部材を介して上記固定鉄心と連結された可動鉄心、上記可動鉄心と連結されたブレーキシュー、上記ロータ周方向の上記ブレーキシュー各端面と対向する端面を有するトルク受け、及び上記周方向と略平行に上記ブレーキシューを表裏で挟み形で上記トルク受けに接続され、一組となって上記ブレーキシューの上記径方向の動きをガイドする2つのガイド部材を備え、
上記2つのガイド部材と上記ブレーキシューとが対向する面において、上記2つのガイド部材及びブレーキシューのいずれか一方に突起が設けられ、上記突起によって、上記ブレーキシューが、上記ガイド部材両側それぞれにおいて拘束されている巻上機のブレーキ。
【請求項2】
上記突起と対向する上記ガイド部材またはブレーキシューの面を、平面とすることを特徴とする請求項1記載の巻上機のブレーキ。
【請求項3】
上記ガイド部材が、弾性部材であることを特徴とする請求項1または2記載の巻上機のブレーキ。
【請求項4】
上記ブレーキシューの上記トルク受けとの対向端面R面取りしたことを特徴とする請求項1記載の巻上機のブレーキ。
【請求項5】
上記ブレーキシューの上記トルク受けとの対向面角部を面取りしたことを特徴とする請求項1記載の巻上機のブレーキ。
【請求項6】
上記ガイド部材は、上記トルク受けに弾性要素を介して接続されていることを特徴とする請求項1または2記載の巻上機のブレーキ。
【請求項7】
上記ブレーキシューは弾性構成体を内蔵し、上記突起は、上記弾性構成体を介して上記ブレーキシューに設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の巻上機のブレーキ。
【請求項8】
上記突起は、金属板を曲げ加工した板金加工部品であることを特徴とする請求項1または2記載の巻上機のブレーキ。
【請求項9】
上記突起は、上記ガイド部材の一部を塑性変形させて形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の巻上機のブレーキ。
【請求項10】
上記ブレーキシューを拘束する突起の位置は、上記可動鉄心と上記ブレーキシューとを連結する複数の連結点のうち、上記周方向で最も外側に位置する2連結点間の外側に、且つ、上記ブレーキシューの中心に対して略対称に複数配置されていることを特徴とする請求項1記載の巻上機のブレーキ。
【請求項11】
上記ブレーキシューまたはガイド部材の上記突起と当接する面に、非当接面に比べて摩擦係数を低減する加工を施したことを特徴とする請求項1記載の巻上機のブレーキ。
【請求項12】
上記ブレーキシューまたはガイド部材の上記突起と当接する面に、段差を設けたことを特徴とする請求項1記載の巻上機のブレーキ。
【請求項1】
コイルを備え、ロータの軸と同軸にある固定鉄心、上記ロータの径方向へ可動に弾性部材を介して上記固定鉄心と連結された可動鉄心、上記可動鉄心と連結されたブレーキシュー、上記ロータ周方向の上記ブレーキシュー各端面と対向する端面を有するトルク受け、及び上記周方向と略平行に上記ブレーキシューを表裏で挟み形で上記トルク受けに接続され、一組となって上記ブレーキシューの上記径方向の動きをガイドする2つのガイド部材を備え、
上記2つのガイド部材と上記ブレーキシューとが対向する面において、上記2つのガイド部材及びブレーキシューのいずれか一方に突起が設けられ、上記突起によって、上記ブレーキシューが、上記ガイド部材両側それぞれにおいて拘束されている巻上機のブレーキ。
【請求項2】
上記突起と対向する上記ガイド部材またはブレーキシューの面を、平面とすることを特徴とする請求項1記載の巻上機のブレーキ。
【請求項3】
上記ガイド部材が、弾性部材であることを特徴とする請求項1または2記載の巻上機のブレーキ。
【請求項4】
上記ブレーキシューの上記トルク受けとの対向端面R面取りしたことを特徴とする請求項1記載の巻上機のブレーキ。
【請求項5】
上記ブレーキシューの上記トルク受けとの対向面角部を面取りしたことを特徴とする請求項1記載の巻上機のブレーキ。
【請求項6】
上記ガイド部材は、上記トルク受けに弾性要素を介して接続されていることを特徴とする請求項1または2記載の巻上機のブレーキ。
【請求項7】
上記ブレーキシューは弾性構成体を内蔵し、上記突起は、上記弾性構成体を介して上記ブレーキシューに設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の巻上機のブレーキ。
【請求項8】
上記突起は、金属板を曲げ加工した板金加工部品であることを特徴とする請求項1または2記載の巻上機のブレーキ。
【請求項9】
上記突起は、上記ガイド部材の一部を塑性変形させて形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の巻上機のブレーキ。
【請求項10】
上記ブレーキシューを拘束する突起の位置は、上記可動鉄心と上記ブレーキシューとを連結する複数の連結点のうち、上記周方向で最も外側に位置する2連結点間の外側に、且つ、上記ブレーキシューの中心に対して略対称に複数配置されていることを特徴とする請求項1記載の巻上機のブレーキ。
【請求項11】
上記ブレーキシューまたはガイド部材の上記突起と当接する面に、非当接面に比べて摩擦係数を低減する加工を施したことを特徴とする請求項1記載の巻上機のブレーキ。
【請求項12】
上記ブレーキシューまたはガイド部材の上記突起と当接する面に、段差を設けたことを特徴とする請求項1記載の巻上機のブレーキ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
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【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−24819(P2009−24819A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190396(P2007−190396)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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